JPH06200496A - 製紙カレンダ用弾性ベルト - Google Patents

製紙カレンダ用弾性ベルト

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JPH06200496A
JPH06200496A JP36082392A JP36082392A JPH06200496A JP H06200496 A JPH06200496 A JP H06200496A JP 36082392 A JP36082392 A JP 36082392A JP 36082392 A JP36082392 A JP 36082392A JP H06200496 A JPH06200496 A JP H06200496A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】基布と弾性樹脂とを完全一体化し、剥離や加圧
変形を確実に防止し、しかも、表面側弾性樹脂層と裏面
側弾性樹脂層の硬度を同じにすることも、異ならせるこ
ともできるようにし、また、表裏両層の弾性樹脂の材質
を異ならせることも自由にできる製紙カレンダ用弾性ベ
ルトを提供する。 【構成】形状を保つ基布4と、該基布の紙シート側とな
る面から含浸塗布され該面を覆った表面側弾性樹脂層5
と、前記基布4の他方の面から含浸塗布され該面を覆っ
た裏面側弾性樹脂層6とからなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製紙カレンダ用弾性ベ
ルトに係り、特に、紙の表面性を改善する製紙用カレン
ダ装置に使用する製紙カレンダ用弾性ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紙の表面に平滑性や光沢を施すな
ど、紙の表面性を改善する製紙用カレンダ装置には、さ
まざまなタイプのものがあった。その代表的なものとし
ては、スチール製のチルドロールでニップを構成したマ
シンカレンダ、弾性ロールとチルドロールでニップを構
成したスーパーカレンダ、及びソフトニップカレンダが
挙げられる。
【0003】しかしながら、前記マシンカレンダは、紙
の厚さを無理に調整するため、紙の密度が均一になら
ず、印刷の均一性を低下させるという欠点があった。ま
た、前記スーパーカレンダは、使用中に、弾性カバーと
該弾性カバーが巻付けられたロールとの間に熱が蓄積し
て弾性カバーが剥離するなど、装置の耐久性が劣るとい
う欠点があった。さらに、前記ソフトニップカレンダ
は、印刷適性に優れた紙を造ることができる反面、紙の
厚みが大きい個所に対応して弾性ロールが部分的に発熱
し、弾性カバーが剥離したり、疲労により破断するな
ど、弾性カバーの寿命が短いという欠点があるなど種々
の問題を抱えていた。
【0004】そこで、上記問題を解決するものとして、
特開平2−91296号公報に開示された技術がある。
これは紙シートを通過させるニップ部分を少なくとも一
対のロールで構成するとともに、その一方のロールをチ
ルドロールとし、他方のロールをバッキングロールとし
て、そのニップ部分を含む周面に対してバッキングロー
ルとともに回転し、走行する長尺の無端弾性ベルトの一
部を掛け渡した製紙用カレンダ装置である。この装置に
よると、紙シートがニップ部分を通過する際に紙シート
の厚さの不均一による凹凸は、チルドロールに接して表
面側が平らにされたときに裏面側の凹凸を増幅させるよ
うに作用するが、当該凹凸は無端弾性ベルトの弾性によ
り全て吸収されるため、前記紙シートの表面を平滑にす
ることができる利点がある。
【0005】また、前記無端弾性ベルトのような製紙プ
レス用ベルトの例としては、紙シートからの脱水を受け
入れるために、表面を基布面にし、シューとの滑走性を
考慮して裏面を平滑にした脱水プレス用エンドレスベル
ト(特公昭63−38477号公報)、基布の外面に表
面自由エネルギーが30erg/cm2 より小さい値を
持つ物質をブレンドしたポリウレタンゴム層を設けた面
圧プレス用加圧ベルト(特開昭63−159590号公
報)、及び基布の外面に主鎖に疏水性部を有するウレタ
ン原料と、主鎖に親水性部を有するウレタン原料をブレ
ンドしたポリウレタンゴム層を設けた面圧プレス用加圧
ベルト(特開昭63−159591号公報)などが挙げ
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−91296号公報に開示されている製紙用カレ
ンダ装置の無端弾性ベルトは、基布の片面に圧縮弾性を
有する樹脂を接着又は塗布してなるため、基布と弾性樹
脂との一体化が弱く、剥離し易い上に、製紙用カレンダ
装置のニップ部分を通過する際に、加圧変形を起こす虞
れもあった。また、前記特公昭63−38477号公報
に開示されている脱水プレス用エンドレスベルトは、紙
シートの表面と接触する面が基布であり、平滑でないた
めに紙シート表面を平滑に仕上げることが困難であっ
た。
【0007】そして、前記特開昭63−159590号
公報及び特開昭63−159591号公報に開示されて
いる面圧プレス用加圧ベルトの場合も基布と弾性樹脂と
の一体化が弱く、剥離し易く、しかも、製紙用カレンダ
装置のニップ部分を通過する際に、加圧変形を起こす虞
れがあった。
【0008】本発明は、このような問題を解決すること
を課題とするものであり、基布と弾性樹脂とを完全一体
化し、剥離や加圧変形を確実に防止し、しかも、表面側
弾性樹脂層と裏面側弾性樹脂層の硬度を同じにすること
も、異ならせることもできるようにし、また、表裏両層
の弾性樹脂の材質を異ならせることも自由にできる製紙
カレンダ用弾性ベルトを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、紙の表面性を改善する製紙用カレンダ装
置に使用する製紙カレンダ用弾性ベルトにおいて、形状
を保つ基布と、該基布の紙シート側となる面から含浸塗
布され該面を覆った表面側弾性樹脂層と、前記基布の他
方の面から含浸塗布され該面を覆った裏面側弾性樹脂層
とからなることを特徴とする製紙カレンダ用弾性ベルト
を提供するものである。また、前記表面側弾性樹脂層の
表面粗さを、20μm以下、裏面側弾性樹脂層の表面粗
さを、20μmを越え、400μm以下としたことを特
徴とする製紙カレンダ用弾性ベルトを提供するものであ
る。
【0010】そして、前記表面側弾性樹脂層の硬度を8
5〜99°(JISA)とし、裏面側弾性樹脂層の硬度
と同等かそれより硬くしたことを特徴とする製紙カレン
ダ用弾性ベルトを提供するものである。更に、前記表面
側弾性樹脂層と裏面側弾性樹脂層との材質を異にしたこ
とを特徴とする製紙カレンダ用弾性ベルトを提供するも
のである。
【0011】
【作用】本発明に係る製紙カレンダ用弾性ベルトは、形
状を保つための基布の紙シート側となる面から含浸塗布
して得た表面側弾性樹脂層と、該基布の他方の面から含
浸塗布して得た裏面側弾性樹脂層とは基布の厚みの中間
部位にて当接し、基布との完全一体化を果たすことがで
き、剥離や加圧変形がなく、寿命が向上する。
【0012】上記の場合、前記表面側弾性樹脂層の表面
粗さを20μm以下、裏面側弾性樹脂層の表面粗さを2
0μmを越え400μm以下とすれば、紙シート表面に
は平滑性、光沢性が付与できる上に、印刷特性の向上に
なる。一方、裏面側弾性樹脂層はスリップ防止を考慮す
れば足りる。尤も、スリップ防止のみを考慮して無制限
に粗くしたのでは、表面側弾性樹脂層の平滑性にも影響
を与え、紙シートの平滑性を低下させる虞れが無いとも
言えないから、いかに粗くしても400μm以下、好ま
しくは50〜150μmぐらいが適当である。
【0013】さらに、本発明は上述の如く、表面側弾性
樹脂層と裏面側弾性樹脂層とは別の含浸塗布工程で形成
されるために、前記表面側弾性樹脂層の硬度を85〜9
9°(JISA)とし、裏面側弾性樹脂層の硬度と同等
とすることも、それより硬くすることも可能であるか
ら、表裏の硬度のバランスをはかりつつ表面側弾性樹脂
層に十分なカレンダ効果を発揮させることができる。こ
こに表面側弾性樹脂層の硬度を85〜99°(JIS
A)としたのは、85°(JISA)未満では柔らか過
ぎて、紙シートへの加圧が弱くなり、十分なカレンダ効
果を発揮させることが困難となるし、基布マークが紙シ
ートに出る虞れがあった。勿論、表面側弾性樹脂層の全
膜厚のうち、基布を覆った部分の膜厚を大幅に厚くすれ
ば、85°未満であっても基布マークは出ないが、全体
が厚くなり過ぎ、不都合となる。
【0014】一方、該表面側弾性樹脂層の硬度が99°
(JISA)を越えると硬過ぎ、紙シートの密度が斑に
なり、良好なカレンダ効果を発揮することが困難となる
し、クラックも発生し易くなる。従って、表面側弾性樹
脂層の硬度は上述の如く85〜99°(JISA)、よ
り好ましくは95〜99°(JISA)で決定されるこ
ととなる。これに対して、裏面側弾性樹脂層の硬度は、
表面側弾性樹脂層が求めるような硬度の必然性はない
が、製紙カレンダ用弾性ベルトの耐久性と、表面側弾性
樹脂層との硬度のバランスとを考慮して決定される。従
って、その硬度は表面側弾性樹脂層の硬度より相対的に
低くてよいが、80°以下にすることは好ましくないこ
とは言うまでもない。
【0015】また、本発明では基布に対して別個の含浸
塗布工程で造られる表面側弾性樹脂層と裏面側弾性樹脂
層とはそれぞれの材質を違えることができる。例えば、
紙シートのカレンダ効果をあげるために、紙シートに接
するチルドロールを加熱する場合があるが、これに対応
させるために、表面側弾性樹脂層を耐熱性樹脂とし、裏
面側弾性樹脂層を一般の樹脂とすることがある。このよ
うに構成すれば、全体を熱耐久性にするより安価なベル
トが提供できるものである。
【0016】
【実施例】次に、本発明の一実施例について、図面を参
照して説明する。 (実施例1)図1は、本発明の実施例に係る製紙カレン
ダ用弾性ベルトの巾方向断面図、図2は、図1に示す製
紙カレンダ用弾性ベルトの表面研磨方法を示す構成図、
図3は、図1に示す製紙カレンダ用弾性ベルトを用いた
製紙用カレンダ装置の図である。
【0017】図1に示すように、本実施例に係る製紙カ
レンダ用弾性ベルト1は、その丈方向及び巾方向の糸と
して、熱変化が少なく安定性が良好なポリエステルモノ
フィラメント(0.4mmΦ)を用い、さらに、丈方向
充填糸としてポリエステルマルチフィラメント(300
0d)を用いて無端状の三重織構造とした基布4を備え
ている。
【0018】前記基布4のシート側となる面からジアミ
ン硬化ウレタン樹脂を含浸塗布するとともに該基布面を
覆った部分の膜厚を2.5mm程度とする。これを熱硬
化させて表面側弾性樹脂層5を形成する。次いで、該基
布4の反対側の面からジアミン硬化ウレタン樹脂を含浸
塗布するとともに該基布面を覆った部分の膜厚が0.8
mm程度とする。これを熱硬化させて裏面側弾性樹脂層
6を形成する。表裏両弾性樹脂層5、6は基布4の中層
にて互いに当接(図示せず)している。
【0019】そして、図2に示すように、2本のシリン
ダ11A及び11Bに、前記構造を有する製紙カレンダ
弾性ベルト1の表面側弾性樹脂層5が接触するように掛
けてストレッチし、#100のサンドペーパーを巻いた
丸棒12を、一方のシリンダ11A面に押圧する方法に
より裏面側弾性樹脂層6を研磨する。その後、前記サン
ドペーパーを#200に替えてさらに研磨し、該裏面側
弾性樹脂層6の表面粗さを60μm程度に仕上げる。
【0020】しかる後、前記製紙カレンダ用弾性ベルト
1を裏返して、#100のサンドペーパーを用い、前記
したと同様の方法で紙シート側弾性樹脂層5を研磨した
後、順次、目が細かいサンドペーパーで研磨を繰り返
し、最終的に#1000のサンドペーパーを用いて研磨
仕上げを行い、表面側弾性樹脂層5の表面粗さを5μm
程度に仕上げた。なお、表面側弾性樹脂層5及び裏面側
弾性樹脂層6の硬度は、98°(JISA)と共通にし
た。
【0021】このようにして得た製紙カレンダ用弾性ベ
ルト1の仕様を表1に示す。 (表1) 表面側弾性樹脂層 種類 ジアミン硬化ウレタン樹脂 硬度 98°(JISA) 厚み 2.5 mm 裏面側弾性樹脂層 種類 ジアミン硬化ウレタン樹脂 硬度 98°(JISA) 厚み 0.8 mm 弾性樹脂が充填された基布 厚み 2.7 mm 組織 無端状の三重織 丈方向の糸 0.4mmΦ、PETモノフィラメント 充填糸 3000d、 PETマルチフィラメント 巾方向の糸 0.4mmΦ、PETモノフィラメント ベルトの表面粗さ 表面側 5μm 裏面側 60μm
【0022】次に、以上の工程により完成した製紙カレ
ンダ用弾性ベルト1を架け渡す製紙用カレンダ装置の構
成について説明する。図3に示すように、符号25で示
すカレンダフレームには、取付アーム26Aを介してチ
ルドロール21Aが回転自在に取り付けられている。一
方、チルドロール21Aの下に上下対向して設けられた
バッキングロール23Aはカレンダフレーム25に一端
を枢着された可動取付アーム27Aに取り付けられてい
る。このバッキングロール23Aには図示しない回転駆
動装置が取り付けられている。さらに、可動取付アーム
27Aの自由端側には、昇圧装置28Aの作動部が取り
付けられており、昇圧装置28Aの押し上げ圧によって
可動取付アーム27Aが枢着個所を支点として上方へ押
し上げられ、バッキングロール23Aはチルドロール2
1Aに圧接触されている。
【0023】前記製紙カレンダ用弾性ベルト1はバッキ
ングロール23Aのニップ部分を覆い、かつ、押圧する
ようにして保持ロール7a〜7d、ストレッチロール3
0A及びガイドロール31Aに掛け渡されている。そし
て、可動取付アーム27Aが昇圧装置28Aによって上
方へ押し上げられた場合の製紙カレンダ用弾性ベルト1
の走行路の修正は、ガイドロール31Aの位置調整によ
って行われ、また、ストレッチロール30Aにより張力
が調整される。
【0024】さらに、チルドロール21Aはスチーム、
温水、電気誘導などの加熱手段32Aを内蔵しており、
一方、製紙カレンダ用弾性ベルト1の走行路に対しては
エアシャワーや水分噴霧装置などの冷却装置33Aが設
けられ、熱を帯びた製紙カレンダ用弾性ベルト1が適宜
冷却される。
【0025】シートロール34a及び34bは紙シート
15を前記チルドロール21Aと製紙カレンダ用弾性ベ
ルト1との間に送給するためのものであって、紙シート
15が前記チルドロール21Aとバッキングロール23
Aからなる一対のロール構成のみによって処理される時
には、チルドロール21Aと接する側の表面が製紙カレ
ンダ用弾性ベルト1に接する表面よりも強く改質処理さ
れる。
【0026】従って、紙シート15の両面を同じように
処理する場合には、前記一対のロール構成を第1セット
とし、このロールの上下を逆転させて第2セットとし、
この第2セットを第1セットに連続して設置すればよ
い。図3は、この趣旨によりカレンダフレーム25を境
に、紙シート15の流出側に、前記第2セットを設置し
たものである。なお、この第2セットの構成は、前記第
1セットのチルドロール21Aと、バッキングロール2
3Aの上下を逆転させた以外は、前記第1セットの場合
と同様である。
【0027】図3に示す製紙用カレンダ装置(本発明に
係る製紙カレンダ用弾性ベルトを使用)を使用して、紙
シートのカレンダ処理を下記条件で行った。 記 抄紙速度 500m/min チルドロール温度 常温 加圧力(線圧) 100kg/cm
【0028】また、比較として、従来例の弾性ロールを
使用したソフトニップカレンダ装置を使用し、前記と同
条件で紙シートのカレンダ処理を行い、前記カレンダ処
理後に得られた紙シートの平滑度及び光沢度を測定し
た。なお、平滑度はパーカプリントサーフ試験器、光沢
度はJIS P−8123に従った。
【0029】この結果を表2に示す。 (表2) 実施例1 従来例 密度 0.846g/cm3 0.840g/cm3 平滑度F 1.40μm 1.50μm 平滑度W 3.60μm 3.65μm 光沢度F 75.9 74.2 光沢度W 74.0 68.7 但し、Fはフェルト面、Wはワイヤー面を示す。
【0030】上記表2から、本実施例に係る製紙カレン
ダ用弾性ベルト1を備えた製紙用カレンダ装置から得ら
れた紙シートは、従来の弾性ロールを使用したソフトニ
ップカレンダ装置から得られた紙シートに比べ、平滑性
及び光沢性が優れており、印刷適性が向上していること
が判明した。次に、製紙カレンダ用弾性ベルト1の硬度
とクラックとの関係、及び硬度とマーク性との関係につ
いて、以下の試験方法による調査を行った。
【0031】この結果を表3に示す。 (表3) 硬度(JISA) クラックが発生す 基布マークが出始め るまでの回数(回) る弾性樹脂の厚み(mm) 79° 450000 2.4 80° 400000 1.7 90° 100000 1.0 95° 20000 0.7 98° 3000 0.5 99° 1700 0.4 100° 800 0.3 (硬度とクラックとの関係)繰り返し屈曲試験(Dem
attia屈曲試験)により調査した。 (硬度とマーク性との関係)直径10cmΦの一対のロ
ールを用い、50kg/cm2 で加圧した時に、基布マ
ークが出る最小弾性樹脂厚を調査した。
【0032】上記表3から、表面側弾性樹脂層5の硬度
が、85°(JISA)未満ではクラックが発生するま
での回数が極めて大きい点では優れているが、弾性樹脂
の膜厚を極めて厚くしないと基布マークが出てしまうこ
とが確認された。これより、表面側弾性樹脂層5は硬度
85°(JISA)以上にすることが好適である。ま
た、前記表面側弾性樹脂層の硬度が99°(JISA)
を越えると、紙シートの密度が斑になり、良好なカレン
ダ効果を発揮することが困難となる。これにより、表面
側弾性樹脂層5は硬度99°(JISA)以下がよい。
従って、表面側弾性樹脂層5の硬度は85〜99°(J
ISA)の範囲内、好ましくは95〜99°(JIS
A)とすることが好適である。
【0033】一方、裏面側弾性樹脂層6の硬度を、表面
側弾性樹脂層5と同じか、それより若干柔らかめとする
ことで製紙カレンダ用弾性ベルトの耐久性と紙シートの
平滑性とのバランスを向上させることができる。なお、
本実施例では表面側弾性樹脂層5の表面粗さを5μmと
したが、これに限らず、20μm以下であれば、紙シー
トの平滑性、光沢性を良好とすることができる。
【0034】(実施例2)次に、本発明に係る実施例2
について説明する。実施例1と同様の基布4を使用し、
この基布4のシート側となる面からエーテルウレア系ポ
リマー樹脂を塗布含浸するとともに該基布面を覆った部
分の膜厚が2.7mm程度とし、熱硬化させて表面側弾
性樹脂層5を形成し、次いで、前記基布4の反対側面か
らジアミン硬化ウレタン樹脂を塗布含浸するとともに該
基布面を覆った部分の膜厚が0.8mm程度となるよう
にし、熱硬化させて裏面側弾性樹脂層6を形成して弾性
ベルトを得た。
【0035】次に、この弾性ベルトに前記実施例1と同
様の表面研磨を行い、裏面側弾性樹脂層6の表面粗さを
60μm程度にし、また、表面側弾性樹脂層5の表面粗
さを5μm程度にした。なお、表面側弾性樹脂層5及び
裏面側弾性樹脂層6の硬度は共に97°(JISA)と
共通にした。
【0036】このようにして得た製紙カレンダ用弾性ベ
ルト1の仕様を表4に示す。 (表4) 表面側弾性樹脂層 種類 ウレア系ポリマー 硬度 97°(JISA) 厚み 2.7 mm 裏面側弾性樹脂層 種類 ジアミン硬化ウレタン樹脂 硬度 97°(JISA) 厚み 0.8 mm 弾性樹脂が充填された基布 厚み 2.5 mm 組織 無端状の三重織 丈方向の糸 0.4mmΦ、PETモノフィラメント 充填糸 3000d、 PETマルチフィラメント 巾方向の糸 0.4mmΦ、PETモノフィラメント ベルトの表面粗さ 表面側 5μm 裏面側 60μm
【0037】次に、図3に示す製紙用カレンダ装置(本
発明に係る製紙カレンダ用弾性ベルトを使用)を使用し
て、紙シートのカレンダ処理を下記条件で行った。 記 抄紙速度 500m/min チルドロール温度 150℃ 加圧力(線圧) 100kg/cm また、比較として、従来例の弾性ロールを使用したソフ
トニップカレンダ装置を使用して前記と同条件で紙シー
トのカレンダ処理を行った。前記カレンダ処理後に得ら
れた紙シートの平滑度及び光沢度を測定した。なお、平
滑度はパーカプリントサーフ試験器、光沢度はJIS
P−8123に従った。
【0038】この結果を表5に示す。 (表5) 実施例2 従来例 密度 0.879g/cm3 0.840g/cm3 平滑度F 1.42μm 1.50μm 平滑度W 3.50μm 3.65μm 光沢度F 76.4 72.8 光沢度W 73.2 70.4 但し、Fはフェルト面、Wはワイヤー面を示す。
【0039】上記表5から、本実施例に係る製紙カレン
ダ用弾性ベルト1を備えた製紙用カレンダ装置から得ら
れた紙シートは、従来の弾性ロールを使用したソフトニ
ップカレンダ装置から得られた紙シートに比べ、平滑性
及び光沢性が優れており、印刷適性が向上していること
が判明した。
【0040】なお、本実施例では表面側弾性樹脂層5の
表面粗さを5μmとしたが、これに限らず、20μm以
下であれば、紙シートの平滑性、光沢性を良好とするこ
とができる。また、実施例1及び実施例2では、三重織
の基布4を使用したが、これに限らず、ベルトの形状を
保持可能であれば、基布4の織り方は、所望により決定
してよい。
【0041】更に、本実施例では裏面側弾性樹脂層6の
表面粗さは60μm程度としているが、これ以上でも以
下の粗さでもよい。尤も、400μmを越えることは紙
シートの平滑性を低下させるから好ましくない。
【0042】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係る製紙カ
レンダ用弾性ベルトは、形状を保つ基布と、該基布の紙
シート側となる面から含浸塗布され該面を覆った表面側
弾性樹脂層と、前記基布の他方の面から含浸塗布され該
面を覆った裏面側弾性樹脂層とからなるので、基布と表
裏両層の弾性樹脂層、及び基布を介して両層の弾性樹脂
同士とが完全一体化する。従って、剥離や加圧変形を確
実に防止できる。また、表面側弾性樹脂層と裏面側弾性
樹脂層の硬度は同じにすることも異ならせることもで
き、また、両弾性樹脂の材質を異ならせることも自由に
できるという優れた効果を奏するものである。
【0043】また、本発明において、前記表面側弾性樹
脂層の表面粗さを、20μm以下、裏面側弾性樹脂層の
表面粗さを20μmを越え400μm以下とした場合に
は紙シート表面には平滑性、光沢性が付与できる上に、
印刷特性の向上させることが可能となる。
【0044】更に、前記表面側弾性樹脂層の硬度を85
〜99°(JISA)とし、裏面側弾性樹脂層の硬度と
同等か、それより硬くするようにすれば、表面側弾性樹
脂層に十分なカレンダ効果を発揮させることができる上
に、他方の弾性樹脂層の硬度と相まって、製紙カレンダ
用弾性ベルトとしての耐久性の向上と、ベルト表裏にお
ける硬度的バランスとれたものが提供できる。
【0045】更にまた、表面側弾性樹脂層の材質を、例
えば熱耐久性の樹脂とし、裏面側弾性樹脂層の材質を一
般の樹脂として製造すれば、全体を熱耐久性の樹脂で造
るより安価に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る製紙カレンダ用弾性ベル
トの巾方向断面図である。
【図2】図1に示す製紙カレンダ用弾性ベルトの表面研
磨方法を示す図である。
【図3】図1に示す製紙カレンダ用弾性ベルトを用いた
製紙用カレンダ装置の構成図である。
【符号の説明】
1 製紙カレンダ用弾性ベルト 2 丈方向の糸 3 巾方向の糸 4 基布 5 表面側弾性樹脂層 6 裏面側弾性樹脂層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙の表面性を改善する製紙用カレンダ装
    置に使用する製紙カレンダ用弾性ベルトにおいて、 形状を保つ基布と、該基布の紙シート側となる面から含
    浸塗布され該面を覆った表面側弾性樹脂層と、前記基布
    の他方の面から含浸塗布され該面を覆った裏面側弾性樹
    脂層とからなることを特徴とする製紙カレンダ用弾性ベ
    ルト。
  2. 【請求項2】 前記表面側弾性樹脂層の表面粗さを、2
    0μm以下、裏面側弾性樹脂層の表面粗さを、20μm
    を越え、400μm以下としたことを特徴とする請求項
    1に記載の製紙カレンダ用弾性ベルト。
  3. 【請求項3】 前記表面側弾性樹脂層の硬度を、85〜
    99°(JISA)とし、裏面側弾性樹脂層の硬度と同
    等かそれより硬くしたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の製紙カレンダ用弾性ベルト。
  4. 【請求項4】 前記表面側弾性樹脂層と裏面側弾性樹脂
    層との材質を異にしたことを特徴とする請求項1〜3項
    のうちの1に記載の製紙カレンダ用弾性ベルト。
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