JPH06199812A - 新規シクロペンテン誘導体 - Google Patents

新規シクロペンテン誘導体

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JPH06199812A
JPH06199812A JP2553592A JP2553592A JPH06199812A JP H06199812 A JPH06199812 A JP H06199812A JP 2553592 A JP2553592 A JP 2553592A JP 2553592 A JP2553592 A JP 2553592A JP H06199812 A JPH06199812 A JP H06199812A
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JP
Japan
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benzyloxymethyl
hydroxymethyl
cyclopent
group
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Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2553592A
Other languages
English (en)
Inventor
Chikara Kaneko
主税 金子
Shinya Katagiri
信弥 片桐
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH06199812A publication Critical patent/JPH06199812A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】新規シクロペンテン誘導体を提供する。 【構成】 一般式 【化1】 [式中、Bはアデニン-9-イル、グアニン-9-イルまたは
チミン-1-イルを示し、R1とR2はどちらか一方が水素
原子を、他方は保護されていてもよい水酸基を有するメ
チル基を示す。ただし、Bがグアニン-9-イルのときは
1は保護された水酸基を有するメチル基、R2は水素原
子であり、Bがチミン-1-イルのときはR1は水素原子、
2は保護されていてもよい水酸基を有するメチル基で
ある。]で示される化合物またはその塩。 【効果】上記化合物は抗ウイルス作用を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗ウイルス作用を有する
新規シクロペンテン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】アシクロビル(aciclovir)の開発以
来、ヌクレオシド系抗ウイルス剤の合成研究が盛んに行
われており、これまで多くの有用な化合物が得られてい
る。しかし、これらのヌクレオシド系抗ウイルス剤はウ
イルスの複製を阻害するだけであって、ウイルス自体を
根絶するわけではないため、ウイルス感染患者はこの種
の薬剤を長期間服用する必要がある。したがって、例え
ば、経口投与が可能なヌクレオシド系抗レトロウイルス
剤が開発されればウイルス感染患者にとって朗報とな
る。すなわち、ヌクレオシドの糖部分の環内酸素原子を
炭素原子に置換した、いわゆる、カルボサイクリックヌ
クレオシドの誘導体は酸に対して安定であることから、
これらカルボサイクリックヌクレオシドの中から強い抗
ウイルス活性を示す化合物が得られれば、経口投与が可
能な抗ウイルス剤となる。ウイルス感染疾患の中で、ヒ
ト免疫不全症ウイルス(HIV,Human Immuno-deficie
ncy Virus)の感染によって生ずる後天性免疫不全症候
群(エイズ,AIDS)は重篤な免疫能低下を引き起こ
し、致死性の疾患である。さらに、エイズは、その流行
が世界的な規模で拡大の一途をたどっており、大きな社
会問題となっている。
【0003】エイズの治療に関する研究は、全世界をあ
げて活発に行われており、これまで、HIVの増殖を阻
止する活性を有するいくつかのヌクレオシド系誘導体が
知られている。たとえば、アジドチミジン(AZT)、
2',3'-ジデオキシアデノシン、2',3'-ジデオキシイノシ
ン、2',3'-ジデヒドロ-2',3'-ジデオキシチミジン、2',
3'-ジデヒドロ-2',3'-ジデオキシシトシン、2',3'-ジデ
オキシ-2'-β-フルオロアデノシン、2',3'-ジデオキシ-
2',2'-ジフルオロアデノシンなどのジデオキシヌクレオ
シド類が知られているが、とりわけ、アジドチミジンは
エイズ患者の延命効果が臨床的に実証されており、現在
エイズ治療薬として承認されている唯一の薬剤である
〔バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem. Phar
m.),37巻,3534 〜 3458 頁(1988 年)他〕。これら
のジデオキシヌクレオシド類は、宿主細胞内でHIVの
持つ逆転写酵素の活性を阻害することによってウイルス
の増殖を阻止することが明らかにされている。そして、
HIVなどのレトロウイルスと同様に逆転写酵素を持つ
レトロイドウイルス(HBVなど)に対しても増殖阻止
活性を有することが認められている。
【0004】また、経口投与が可能な抗HIVを目指し
て、カルボサイクリックヌクレオシド誘導体における抗
レトロウイルス剤の探索研究が行われ、その中で、カル
ボビル〔Carbovir, 9-〔(1R,4R)-4-(ヒドロキシメチル)
-2-シクロペンテニル〕グアニ ン〕がHIVの増殖を阻
止する活性を有していることが見出されている〔バイオ
ケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミ
ュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.),
156 巻,1046 〜 1053 頁(1988 年)〕。さらに、4員
環の糖を持つヌクレオシド,オキセタノシンA(Oxetan
osin A)のカルボサイクリックアナローグにも抗レトロ
ウイルス活性および抗レトロイドウイルス活性を有する
ことが明らかにされている。すなわち、9-〔2,3-ジ(ヒ
ドロキシメチル)シクロブチル〕アデニン,9-〔2,3-ジ
(ヒドロキシメチル)シクロブチル〕グアニンなどの 2,3
-ジ(ヒドロキシメチル)シクロブチル誘導体(特開平 2-
6487)、および、9-〔シス-3-(ヒドロキシメチル)シク
ロブチル〕アデニンなどの 3-(ヒドロキシメチル)シク
ロブチル誘導体(特開平 2-73072)に抗レトロウイルス
活性および抗レトロイドウイルス活性が認められてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】先に述べたジデオキシ
ヌクレオシド類は、一般に、酸に対してきわめて不安定
であり〔サイエンス(Science),245 巻,412 〜 415
頁(1989 年)〕、経口投与による服用では治療効果が
期待できない。また、AZTは抗エイズ薬として承認さ
れた唯一の薬剤であるが、骨髄細胞抑制や好中球減少な
どの重篤な副作用を示すことが知られている。一方、カ
ルボビルは酸に対して安定であり、経口投与が可能であ
るが、その抗ウイルス活性はまだ満足できるものではな
い。しかも、カルボビルはきわめて水に難溶性であり、
経口投与では殆ど吸収されない〔アンティミクロバイア
ル・エージェンツ・アンド・ケモテラピー(Antimicrob
ial.Agents Chemother.),33 巻,171 〜 175 頁(198
9 年)〕。さらに、2,3-ジ(ヒドロキシメチル)シクロブ
チル誘導体や 3-(ヒドロキシメチル)シクロブチル誘導
体も酸に対して安定であり、経口投与の可能性が示唆さ
れるが、これらの化合物の抗ウイルス活性はまだ満足で
きるものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カルボサ
イクリックヌクレオシドが経口投与の可能な抗ウイルス
剤となり得る面に着目して、新規カルボサイクリックヌ
クレオシド誘導体の合成研究を行った結果、4,5-ジ(ヒ
ドロキシメチル)-2-シクロペンテニル誘導体が低毒性
で、しかも、レトロウイルスやレトロイドウイルスの増
殖を強力に阻止することを見出した。すなわち、本発明
は一般式〔1〕
【化2】 〔式中、Bはアデニン-9-イル、グアニン-9-イルまたは
チミン-1-イルを示し、R1とR2はどちらか一方が水素
原子を、他方は保護されていてもよい水酸基を有するメ
チル基を示す。ただし、Bがグアニン-9-イルのときは
1は保護された水酸基を有するメチル基、R2は水素原
子であり、Bがチミン-1-イルのときはR1は水素原子、
2は保護されていてもよい水酸基を有するメチル基で
ある。〕で示される化合物またはその塩に関する。尚、
一般式〔1〕は、光学活性体またはラセミ体のいずれも
表わす。
【0007】一般式〔1〕で示される化合物またはその
塩は、次のような方法によって製造される。一般式〔2
a〕
【化3】 (式中、R3とR4はどちらか一方が水素原子を、他方が
保護された水酸基を有するメチル基を示す。)で示され
る化合物またはその塩と 5-アミノ-4,6-ジハロゲノピリ
ミジンを反応させた後、オルトぎ酸エステルを酸の存在
下に反応させてプリン骨格を形成させ、続いてプリン環
上のハロゲンをアミノ基に変換し、要すれば脱保護反応
に付すことを特徴とする一般式〔1a〕
【化4】 (式中、B1はアデニン-9-イルを、R3'とR4'はどちら
か一方が水素原子を、他方が保護されていてもよい水酸
基を有するメチル基を示す。)で示されるシクロペンテ
ニルアデニン誘導体またはその塩が製造される。
【0008】一般式〔2b〕
【化5】 (式中、R5は保護された水酸基を有するメチル基を示
す。)で示される化合物またはその塩と 2-アミノ-4,6-
ジハロゲノピリミジンを反応させた後、ピリミジン環上
の5位 をアミノ化し、続いてオルトぎ酸エステルを酸の
存在下に反応させてプリン骨格を形成させ、さらに、プ
リン環上のハロゲンを水酸基に変換することを特徴とす
る一般式〔1b〕
【化6】 (式中、B2はグアニン-9-イルを、R5は保護された水
酸基を有するメチル基を示す。)で示されるシクロペン
テニルグアニン誘導体またはその塩が製造される。
【0009】一般式〔2c〕
【化7】 (式中、Yは低級アルコキシ基を示し、R6は保護され
た水酸基を有するメチル基を示す。)で示される化合物
またはその塩に塩基を反応させ、要すれば保護基の脱離
反応に付すことを特徴とする一般式〔1c〕
【化8】 (式中、B3はチミン-1-イルを、R6'は保護されていて
もよい水酸基を有するメチル基を示す。)で示されるシ
クロペンテニルチミン誘導体またはその塩が製造され
る。
【0010】上記における一般式〔2a〕、〔2b〕お
よび〔2c〕を含む化合物またはその塩は、次ぎの反応
によって製造される。すなわち、一般式〔3〕
【化9】 (式中、Zはアシル基を、R3とR4はどちらか一方が水
素原子を、他方が保護された水酸基を有するメチル基を
示す。)で示される 2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5
-エン-3-オン誘導体またはその塩を還元的開環反応に付
し、要すれば脱アシル化すること を特徴とする一般式
〔2〕
【化10】 (式中、Z’は水素原子またはアシル基を、R3とR4
どちらか一方が水素原子を、他方が保護された水酸基を
有するメチル基を示す。)で示されるシクロペンテニル
アミン誘導体またはその塩が製造される。
【0011】一般式〔1〕,〔1a〕,〔1b〕,〔1
c〕,〔2〕,〔2a〕,〔2b〕,〔2c〕および
〔3〕において、R1またはR2,R3'またはR4',R6'
で示される保護されていてもよい水酸基を有するメチル
基における水酸基が保護された場合、および、R3または
4,R5,R6で示される保護された水酸基を有するメ
チル基において、その水酸基の保護基としては、糖およ
び核酸の化学で水酸基の保護基として用いられる保護
基、例えば、エーテル型保護基、アシル型保護基が用い
られる。
【0012】エーテル型保護基としては、例えば、ハロ
ゲン,炭素数1〜5の低級アルコキシ基,ベンジルオキ
シ基,フェニル基で置換されていてもよい炭素数1〜5
の低級アルキル基;炭素数2〜4の低級アルケニル基;
炭素数1〜5の低級アルキル基,フェニル基,ベンジル
基等が置換基であるトリ置換シリル基;炭素数1〜5の
低級アルコキシ基,ニトロ基で置換されていてもよいベ
ンジル基;炭素数1〜5の低級アルコキシ基;ハロゲン
で置換されていてもよいテトラヒドロピラニル基等が挙
げられる。上記のハロゲンとしては、フッ素,塩素,臭
素,ヨウ素が、炭素数1〜5のアルキル基としては、例
えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチ
ル,イソブチル,sec-ブチル,tert-ブチル,ペンチ
ル,イソペンチル,ネオペンチル等が、炭素数1〜5の
アルコキシ基としては、例えば、ハロゲンで置換されて
いてもよいメトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキ
シ,ビニルオキシ,アリルオキシ基等が挙げられる。ま
た、先に述べたアミノ基の保護基において、炭素数1〜
5のアルキル基,炭素数1〜5のアルコキシ基およびハ
ロゲンとしては、この水酸基のエーテル型保護基の場合
に例示したものと同様のものが用いられる。水酸基のエ
ーテル型保護基をさらに具体的に示せば、メチル,メト
キシメチル,ベンジルオキシメチル,tert-ブトキシメ
チル,2-メトキシエトキシメチル,2,2,2-トリクロロメ
トキシメチル,1-エトキシエチル,1-メチル-1-メトキ
シエチル,2,2,2-トリクロロエチル,プロピル,イソプ
ロピル,ブチル,イソブチル,sec-ブチル,tert-ブチ
ル,エトキシエチル,トリフェニルメチル,p-メトキシ
フェニルジフェニルメチル;トリメチルシリル,tert-
ブチルジメチルシリル,tert-ブチルジフェニルシリ
ル,1,1,3,3-テトライソプロピル-1,3-ジシロキサンジ
イル;ベンジル,p-メトキシベンジル,p-ニトロベンジ
ル,p-クロロベンジル;テトラヒドロピラニル,4-メト
キシテトラヒドロピラニル,テトラヒドロフラニル等で
ある。
【0013】アシル型保護基としては、例えば、ハロゲ
ン,炭素数1〜5の低級アルコキシ基,ハロゲンを有し
ていてもよいフェノキシ基で置換されていてもよい炭素
数1〜5のアルカノイル基;ニトロ基,フェニル基,ハ
ロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜5の低級アル
キル基で置換されていてもよいベンゾイル基;炭素数2
〜6の低級アルキルオキシカルボニル基で置換されてい
てもよいベンゾイル基;ハロゲンで置換されていてもよ
い炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル基;炭素数
3〜5のアルケニルオキシカルボニル基;炭素数1〜5
の低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されていても
よいベンジルオキシカルボニル基;ニトロ基で置換され
ているフェノキシカルボニル基等が挙げられる。上記の
ハロゲン、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜
5の低級アルコキシ基、炭素数2〜4のアルケニル基と
してはエーテル型保護基の場合に例示したものと同様の
ものが用いられる。アシル型保護基をさらに具体的に示
せば、ホルミル,アセチル,クロロアセチル,ジクロロ
アセチル,トリクロロアセチル,トリフルオロアセチ
ル,メトキシアセチル,トリフェニルメトキシアセチ
ル,フェノキシアセチル,p-クロロフェノキシアセチ
ル,プロピオニル,イソプロピオニル,3-フェニルプロ
ピオニル,イソブチリル,ピバロイル;ベンゾイル,p-
ニトロベンゾイル,o-(メトキシカルボニル)ベンゾイ
ル;メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,tert-
ブトキシカルボニル,2,4,6-トリクロロエトキシカルボ
ニル,イソブチリルオキシカルボニル;ベンジルオキシ
カルボニル,p-メトキシベンジルオキシカルボニル,3,
4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル,p-ニトロベン
ジルオキシカルボニル;p-ニトロフェノキシカルボニル
等である。
【0014】また、一般式〔3〕で示される化合物にお
いて、Zで示されるアシル基、および、一般式〔2〕で
示される化合物におけるZ’がアシル基の場合のアシル
基は、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル基、ま
たは、炭素数1〜5の低級アルコキシ基を有していても
よい炭素数2〜6のアルケノイル基で置換されていても
よいカルバモイル基が用いられる。該アシル基を具体的
に示せば、メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,
tert-ブトキシカルボニル;カルバモイル,N-(3-メト
キシアクリロイル)カルバモイル,N-(3-メトキシ-メチ
ルアクリロイル)カルバモイル,N-(3-エトキシ-2-ビニ
ルアクリロイル)カルバモイル,N-〔3-メトキシ-2-(ブ
ロモビニル)アクリロイル〕カルバモイル等である。
【0015】一般式〔2b〕で示される化合物におい
て、Yで表される低級アルコキシ基としては、メトキ
シ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,tert-ブトキ
シ,sec-ブトキシあるいはベンジルオキシ基等のフェニ
ル基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルコキシ
基が挙げられる。
【0016】一般式〔1〕中、Bはアデニン-9-イル,
チミン-1-イルが好ましい。さらに一般式〔1〕中、B
はアデニン-9-イルが特に好ましい。一般式〔1〕中、
1とR2はどちらか一方が水素原子で、他方が水酸基を
有するメチル基が好ましい。一般式〔1〕中、R1また
はR2の保護されていてもよい水酸基を有するメチル基
とヒドロキシメチル基とがトランス配位である場合が好
ましい。
【0017】一般式〔1〕で示される化合物はBで表さ
れるアデニン塩基あるいはグアニン塩基部分が酸と塩を
形成することができる。このような塩としては、例え
ば、塩酸,臭化水素酸,硫酸,リン酸,硝酸などの無機
酸、例えば、酢酸,リンゴ酸,クエン酸,アスコルビン
酸,マンデル酸,メタンスルホン酸などの有機酸等との
薬学的に許容できる塩が用いられる。上記一般式〔1
a〕,〔1b〕,〔1c〕,〔2〕,〔2a〕,〔2
b〕,〔2c〕および〔3〕で示される化合物を含む原
料化合物の塩も一般式〔1〕で示される化合物の塩と同
様なものが用いられる。上記化合物の塩は自体公知の手
段に従い、例えば一般式〔1〕で示される化合物に前記
した酸を加えることによって製造することができる。
【0018】一般式〔1〕で示される化合物の具体例を
次に挙げる。 (1)(±)-9-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロ
ペント-2-エン-1β-イル〕 アデニン (2)(±)-9-〔4β,5β-ジ(ヒドロキシメチル)シクロ
ペント-2-エン-1β-イル〕 アデニン (3)(±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド
ロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニ
ン (4)(±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド
ロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニ
ン (5)(±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド
ロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕グアニ
ン (6)(±)-1-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド
ロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-5-メチ
ル-2,4〔1H,3H〕-ピリミジンジオン (7)(±)-1-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロ
ペント-2-エン-1β-イル〕 -5-メチル-2,4〔1H,3H〕-ピ
リミジンジオン。
【0019】次に、一般式〔1〕で表される化合物また
はその塩の製造法についてさらに詳しく説明する。ま
ず、一般式〔1〕において、Bがアデニン塩基残基であ
る化合物、すなわち、一般式〔1a〕で示される化合物
またはその塩は、例えば、一般式〔2a〕で示される化
合物またはその塩から次のようにして合成することがで
きる。すなわち、一般式〔2a〕で表されるシクロペン
テニルアミン誘導体またはその塩と 5-ア ミノ-4,6-ジ
クロロピリミジン,5-アミノ-4,6-ジブロモピリミジ
ン,5-アミノ-4,6-ジヨードピリミジン,5-アミノ-4-フ
ルオロ-6-クロロピリミジンなどの 5-アミノ-4,6-ジハ
ロゲノピリミジンを塩基の存在下に反応させることによ
り、一般 式〔4a〕
【化11】 (式中、R3,R4は前記と同意義、Xはフッ素,塩素,
臭素,ヨウ素などのハロゲンを示す)で示される化合物
またはその塩を得ることができる。
【0020】一般式〔2a〕で示されるシクロペンテニ
ルアミン誘導体またはその塩と反応させる 5-ア ミノ-
4,6-ジハロゲノピリミジンは該シクロペンテニルアミン
誘導体1当量に対して約1当量以上、通常約1.5〜5
当量用いられる。反応に用いる塩基としては、ピリジ
ン,トリエチルアミン,N,N-ジメチルアミノピリジ
ン,1,8-ジアザビシクロ〔5・4・0〕-7-ウンデセン等の有
機塩基、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナト
リウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム等の無機塩
基が挙げられるが、好ましくは、トリエチルアミン,
N,N-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が用いられ
る。 該反応は通常溶媒中で行われ、適当な溶媒として
は、水、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタ
ノール等のアルコール類、アセトニトリル、N,N-ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサ
ン,テトラヒドロフラン等のエーテル類が用いられる。
反応温度は一般式〔2a〕で示される化合物またはその
塩、5-アミノ-4,6-ジハロゲノピリミジンおよび反応に
用いる塩基の種類によって異な るが、通常約5℃〜2
00℃程度である。反応温度を溶媒の沸点以上に上げる
必要がある場合は封管中で行ってもよい。反応時間も用
いる試薬の種類や反応温度によって異なるが、約1時間
〜4日間程度である。
【0021】次に、一般式〔4a〕で示される化合物ま
たはその塩とオルトぎ酸メチル,オルトぎ酸エチル,オ
ルトぎ酸ブチル等のオルトぎ酸エステルを酸の存在下に
反応させて一般式〔5a〕
【化12】 (式中、R3,R4,Xは前記と同意義)で示されるシク
ロペンテニルプリン誘導体またはその塩を得ることがで
きる。オルトぎ酸エステルは一般式〔4a〕で示される
化合物1当量に対して約1当量以上用いられるが、通
常、反応溶媒を兼ねて大過剰使用される。反応に用いる
酸は、リン酸,塩酸,臭化水素酸,硫酸等の無機酸、あ
るいは、ベンゼンスルホン酸,p-トルエンスルホン酸,
メタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸等の
有機スルホン酸が適宜用いられる。これらの酸は通常、
一般式〔4a〕で示される化合物1当量に対して約0.
01〜0.2当量使用される。反応溶媒は、通常、反応
に用いるオルトぎ酸エステルを溶媒として兼ねるが、一
般式〔4a〕で示される化合物のオルトぎ酸エステルに
対する溶解性などから、必要な場合は、メタノール,エ
タノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン,ジオ
キサン,エチルエーテル等のエーテル類、N,N-ジメチ
ルホルムアミド等の溶媒を用いてもよい。反応温度は約
0℃〜100℃まで、通常約10℃〜50℃である。反
応時間は用いる試薬の種類、反応温度によって異なる
が、通常約1時間〜24時間程度である。
【0022】さらに、〔5a〕で示される化合物または
その塩にアンモニアを反応させて、〔5a〕のプリン部
分のハロゲンをアミノ基に置換し、要すれば、R3また
はR4における保護された水酸基を有するメチル基の水
酸基の保護基を脱離することによって、一般式〔1a〕
で表されるシクロペンテニルアデニン誘導体またはその
塩を得ることができる。プリン環上のハロゲンをアミノ
基に置換する反応は、通常、水、メタノール,エタノー
ル等のアルコール類などの極性溶媒中で大過剰のアンモ
ニアを反応させて行われる。反応温度は、通常、約5℃
〜180℃であり、アンモニアが蒸発するのを避けるた
め、封管中で行うことが好ましい。反応時間は反応温度
によって異なるが、通常、約5時間〜50時間程度であ
る。
【0023】一般式〔1〕において、Bがグアニン塩基
残基である化合物またはその塩、すなわち、一般式〔1
b〕で示される化合物またはその塩は、例えば、一般式
〔2b〕で示される化合物またはその塩から次のように
して合成することができる。すなわち、一般式〔2b〕
で示されるシクロペンテニルアミン誘導体またはその塩
と 2-ア ミノ-4,6-ジクロロピリミジン,2-アミノ-4,6-
ジブロモピリミジン,2-アミノ-4,6-ジヨードピリミジ
ン,2-アミノ-6-フルオロ-4-クロロピリミジンなどの 2
-アミノ-4,6-ジハロゲノピリミジンを塩基の存在下に反
応させることにより、一般 式〔4b〕
【化13】 (式中、R5前記と同意義、Xはフッ素,塩素,臭素,
ヨウ素などのハロゲンを示す)で示される化合物または
その塩を得ることができる。一般式〔2b〕で示される
化合物またはその塩と 2-アミノ-4,6-ジハロゲノピリミ
ジンの反応は、先に述べた一般式〔2a〕で示される化
合物またはその塩と 5-アミノ-4,6-ジハロゲノピリミジ
ンの反応条件と同様に行われる。次に、ピリミジン環上
の5位をアミノ化した後、オルトぎ酸メチル,オルトぎ
酸エチル,オルトぎ酸ブチル等のオルトぎ酸エステルを
酸の存在下に反応させて一般式〔5b〕
【化14】 (式中、R5,Xは前記と同意義)で示されるシクロペ
ンテニルプリン誘導体またはその塩を得ることができ
る。ピリミジン環上の5位のアミノ化は、一般式〔4
b〕で示される化合物またはその塩にベンゼンジアゾニ
ウムクロリド,p-クロロベンゼンジアゾニウムクロリド
等のジアゾニウム塩反応させて、ピリミジン環の5位を
アゾ化後、これを亜鉛−酢酸等により加水素化分解する
自体公知の方法によって行われる。オルトぎ酸エステル
を反応させてプリン骨格を形成させる反応は、先に述べ
た一般式〔4a〕で示される化合物またはその塩とオル
トぎ酸エステルとの反応条件と同様に行われる。さら
に、一般式〔5b〕で示される化合物またはその塩に水
酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の塩基を反応させて
プリン環上のハロゲンを水酸基に変換する自体公知の方
法によって一般式〔1b〕で示されるシクロペンテニル
グアニン誘導体またはその塩を製造することができる。
【0024】一般式〔1〕において、Bがチミン塩基残
基である化合物またはその塩、すなわち、一般式〔1
c〕で示される化合物またはその塩は、例えば、一般式
〔2c〕で示される化合物またはその塩に塩基を反応さ
せ、要すれば、R6の保護された水酸基を有するメチル
基の水酸基の保 護基を脱離することによって合成する
ことができる。反応に用いる塩基は、アンモニア,水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸
カリウム,炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、ピリジ
ン,トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられ、好まし
くは、アンモニア,ピリジン等の弱塩基が用いられる。
反応は通常溶媒中で行われ、水、メタノール,エタノー
ル,プロパノール,ブタノール等のアルコール類、N,
N-ジメチルホルムアミド、あるいはこれらの極性溶媒
の混合溶媒が用いられる。反応温度は用いる塩基の種類
によって異なるが、通常、約5℃〜150℃である。ア
ンモニアを塩基として用いた場合は、アンモニアの蒸発
を防ぐため、封管中で行うことが好ましい。反応時間は
用いる塩基の種類,反応温度によって異なるが、通常約
5時間〜50時間程度である。
【0025】一般式〔2a〕,〔2b〕,〔2c〕で示
される化合物を含む一般式〔2〕で表される化合物また
はその塩は一般式〔1〕で示される化合物またはその塩
を合成するための重要な中間化合物であるが、これらの
化合物またはその塩は、例えば、次のようにして合成す
ることができる。すなわち、一般式〔3〕で示される化
合物またはその塩を還元的開環反応に付した後、脱アシ
ル化することによって一般式〔2a〕,〔2b〕で示さ
れるシクロペンテニルアミン誘導体またはその塩を得る
ことができる。この還元的開環反応は、水素化ホウ素リ
チウム,水素化ホウ素ナトリウム,水素化ホウ素カリウ
ム等の水素化ホウ素金属、シアノ水素化ホウ素ナトリウ
ム,シアノ水素化ホウ素カリウム等のシアノ水素化ホウ
素金属、水素化トリエチルホウ素リチウム等の水素化ト
リアルキルホウ素金属を用いて行うことができ、好まし
くは、水素化ホウ素ナトリウムを用いて行われる。反応
溶媒は、水,メタノール,エタノール,プロパノール,
N,N-ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド等
の極性溶媒あるいはそれらの混合溶媒が用いられるが、
メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコール
類が有利に用いられる。反応温度は通常、約5℃〜35
℃で行われるが、場合によっては約−20℃まで冷却す
るか、あるいは溶媒の還流温度まで加熱してもよい。反
応時間は用いる還元剤の種類,反応温度によって異なる
が、数分〜10時間程度である。アシル基の脱離反応は
自体公知の方法によって行われる。例えば、トリエチル
アミン,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ナトリウ
ムメトキシド等の塩基を反応させることによって目的を
達することができる。
【0026】一般式〔2c〕で示される化合物またはそ
の塩は一般式〔2a〕で示される化合物またはその塩か
ら自体公知の方法によって得ることができる。例えば、
一般式〔2a〕で示される化合物またはその塩に一般式
〔6〕
【化15】 (式中、Yは前記と同意義)で示される化合物またはそ
の塩を反応させることによって得ることができる。ま
た、一般式〔7〕
【化16】 (式中、R6は前記と同意義)で示される化合物または
その塩に一般式〔6〕で示される化合物またはその塩を
反応させてN-アシル化後、還元的開環反応に付すこと
によっても得ること ができる。この還元的開環反応は
先に述べた反応条件を用いて同様に行うことによって目
的を達することができる。
【0027】一般式〔1〕で示される化合物のR1また
はR2で示される保護されていてもよい水酸基を有する
メチル基において、その水酸基が保護されている場合、
保護基の脱離はそれ自体公知の方法を用いて行うことが
できる。例えば、トリチル基,p-メトキシトリチル基,
tert-ブチル基,テトラヒドロピラニル基などの酸で脱
離可能な保護基は塩酸,酢酸,トリフルオロ酢酸,p-ト
ルエンスルホン酸,スルホン酸型イオン交換樹脂等の酸
で加水分解することによって、例えば、アセチル基,ベ
ンゾイル基等のアシル型保護基はアンモニア,トリエチ
ルアミン,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ナトリ
ウムメトキシド等の塩基を反応させることによって、例
えば、tert-ブチルジメチルシリル基等のシリル型保護
基はフッ化テトラブチルアンモニウムを反応させること
によって、また、ベンジル基,p-メトキシベンジル基等
のベンジル型保護基は三塩化ホウ素を反応させることに
よって、場合によっては接触還元による水素化分解によ
って脱離することができる。
【0028】本発明の一般式〔1〕で示される化合物ま
たはその塩は細胞毒性が弱く、強い抗ウイルス活性を示
すことから、ウイルスの感染による疾病の治療および感
染防御にこれを用いることができる。例えば、一般式
〔1〕で示される化合物またはその塩に含まれる (±)-
9-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エ
ン-1β-イル〕アデニンのHIV-1に対する阻害作用
を、宿主細胞としてMT−4細胞を用いて測定すると、
細胞の死滅を 50 %抑えるのに必要な濃度(I
50)は 0.355 μg/mL であった。また、宿主細胞
(MT-4)に対する細胞毒性(IC50;細胞を 50 %
死滅させ るのに必要な濃度)は 66.4 μg/mL であっ
た。さらに、本化合物は 100 μg/mL の濃度でベロ細
胞に対して細胞毒性を示さな かった。すなわち、本発
明の化 合物は、ヒトを初めとする哺乳動物におけるウ
イルスの感染による疾病の治療および感染防御に広く用
いることができる。とりわけ、本発明の化合物はエイズ
やB型肝炎などのレトロウイルス,レトロイドウイルス
の感染によって引き起こされる疾病の治療や予防に有効
な化合物である。
【0029】また、本発明の化合物〔1〕またはその塩
は酸に対して安定であり、エイズ患者などのように抗ウ
イルス剤を長期間服用する必要のある患者にとって有益
な化合物である。化合物〔1〕またはその塩を有効成分
として含有する薬剤としては、それ自体あるいは薬学的
に許容される担体、分散剤、賦型剤等の補助剤を適宜、
適量加えて、常法にしたがって、例えば、カプセル、錠
剤、軟膏剤、注射剤、顆粒、粉末、溶液、懸濁液または
エリキシル等の剤型で、通常経口的に、必要に応じて静
脈内にまたは筋肉内に投与することができる。
【0030】経口投与に用いるカプセル、粉末、顆粒、
錠剤は、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、
ソルビトール、トラガントゴム、ポリビニルピロリドン
などの補助剤、例えば、ラクトース、糖類、とうもろこ
し澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールグリシンなど
の充填剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タル
ク、ポリエチレングリコール、シリカなどの潤滑剤、例
えば、馬齢薯澱粉などの崩壊剤、または例えばナトリウ
ムラウリルサルフェートのような利用し得る潤滑剤を含
んでいてもよい。錠剤は、当該技術によく知られている
方法によって被覆することができる。経口液状製剤は、
水性または油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、エリ
キシルなどの形態になし得ることができ、また、使用前
に水または他の適当な溶液に溶解する乾燥品であってよ
い。このような液状製剤は、例えば、ソリビトールシロ
ップ、メチルセルロース、グルコース/糖類シロップ、
ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルなどの
懸濁剤、例えば、アーモンド油、分留ヤシ油、油状エス
テルなどの水素添加可食油、プロピレングリコールまた
はエチルアルコール、例えば、メチルまたはプロピル P
-ヒドロキシベンゾエート、ソルビン酸などの防腐剤を
含有することもできる。座剤として用いてもよく、この
場合は、座剤基質として、例えば、ココア・バターまた
は他のグリセライドなどを用いることができる。注射用
剤は、アンプルまたは防腐剤を添加した容器の単位使用
の形態で提供し得る。該剤は、油性または水性溶媒中の
懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような補助剤を
適宜含有していてもよい。また、活性成分は、使用前に
適当な溶媒例えば殺菌した発熱性物質を含有していない
水で再構成する粉末形態になし得る。また、鼻および喉
の粘膜または気管支組織によって吸収される適当な形
態、例えば、粉末、液状スプレーまたは吸収剤、ロゼイ
ン、喉ペイントなどの形態に常法にしたがって製剤化す
ることもできる。また、担体以外に、例えば安定剤、結
合剤、酸化防止剤、防腐剤、潤滑剤、粘稠剤または風味
剤などのような他の成分を含有し得る。さらに、組成物
に他の活性成分を含有せしめてより広い医薬用途を与え
ることもできる。これらの製剤には、液体または固体の
単位使用において、一般式〔1〕で示される化合物また
はその塩約 0.1 〜 99 %(重量)、好適には約 10 〜
60 %(重 量)を含有せしめる。本発明の化合物〔1〕
またはその塩を含有する抗ウイルス剤は、レトロウイル
スの増殖および感染阻止剤として、例えばヒトの免疫不
全症、とりわけ、エイズ,成人T細胞白血病などの治
療、予防に用いることができる。その投与量は、成人
(体重約 60 Kg)に対し、1日あたり(有効成分とし
て)約20 〜 2000 mg、好 ましくは約50 〜 1000 mg で
あり、1日1回または数回に分けて投与する。具体的な
投与量は患者の年齢、体重、症状、投与形態および投与
回数によって決められる。
【0031】
【実施例】以下に、一般式〔1〕で示される化合物の製
造例を実施例および参考例をあげて示し、本発明をさら
に具体的に説明する。 参考例1 1-ベンジルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプ
ト-5-エン-2-オン、7-anti-ベンジルオキシメチル-2-ア
ザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オンおよび 7-sy
n-ベンジルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプ
ト-5-エン-3-オン シクロペンタジエニルタリウム(13.5 g, 50 mmol)の
無水エチルエーテル(15 mL)懸濁液をアルゴン気流中
-20 ℃に冷却し、これにベンジル(クロロメチル)エーテ
ル(7.8 g, 50 mmol)の無水エチルエーテル(5 mL)溶
液を滴下した。反応液を同温度で7時間攪拌後、氷冷下
に沈澱物を吸引濾過し、無水エチルエーテルで洗浄し
た。濾液と洗液を合わせ、これに p-トルエンスルホニ
ルシアニド(9.0 g, 50 mmol)を加えた。この溶液を約
25 mL に減圧濃縮し、室温で12時間放置した。濃縮液
にクロロホルム(100 mL)とシリカゲル(10 g)を加え
て3時間室温で攪拌した。シリカゲルを濾過し、濾液を
減圧濃縮後、残留物をシリカゲル(400 g)のカラムク
ロマトグラフィーに付した。カラムをヘキサン−酢酸エ
チル(4:1, 2.5 L)、ヘキサン−酢酸エチル(3:1, 3
L)、ヘキサン−酢酸エチル(1:1, 3 L)、ヘキサン
−酢酸エチル(1:3, 3 L)の順に溶出し、1-ベンジル
オキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-
2-オン,7-anti-ベ ンジルオキシメチル-2-アザビシク
ロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オンおよび7-syn-ベンジ
ルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エ
ン-3-オンを分離し た。 1-ベンジルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプ
ト-5-エン-2-オン:収量 1.5 g(収率 12 %);無色油
状物;IR(CHCl3):3450, 1715 cm-11H-NMR
(CDCl3, 60 MHz)δ:2.20 (2H, m, 7-H), 3.27 (1H,
m, 4-H), 3.83 (2H, s, BnOCH2-), 4.63 (2H, s, PhCH2
-), 5.28 〜 5.71 (1H, ブロード s, -NH-), 6.71 (2H,
m, 5-H および 6-H), 7.37 (5H, s, C6H5-). MS:C14H15NO2(M+)として計算値 M/Z:229.1102. 実
験値 M/Z:229.1098.7-anti-ベンジルオキシメチル-2-
アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン :収量
2.8 g(収率 25 %);無色不定型晶(エチルエーテル
−ヘキサンより結晶化);融点 70 〜 75 ℃.IR(CH
Cl3):3450, 1710 cm-11H-NMR(CDCl3, 500 MH
z)δ:2.92 (1H, m, 7-H), 3.08 (1H, ブロード s, 4-
H), 3.49 (1H, dd, J=10, 6 Hz) および 3.69 (1H, d
d, J=10, 9 Hz) (BnOCH2-), 4.25 (1H, m, 1-H), 4.50
(2H, s, PhCH2-), 5.18 (1H, ブロード s, -NH-), 6.7
1(1H, m, 5-H), 6.85 (1H, dd, J=6, 2 Hz, 6-H), 7.3
0 (5H, m, C6H5-). MS:C14H15NO2(M+)として計算値 M/Z:229.1102.
実験値 M/Z:229.1128.7-syn-ベンジルオキシメチル-2
-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン:収量
2.0 g(収率 17 %);無色油状物.IR(CHCl3):34
50, 1710 cm-11 H-NMR(CDCl3, 500 MHz)δ:3.
08 (1H, ブロード s, 4-H), 3.21 (1H, m, 7-H), 3.39
(1H, dd, J=10, 8 Hz) および 3.43 (1H, dd, J=10,
7 Hz) (BnOCH2-), 4.27 (1H, m, 1-H), 4.44 (2H, s,
PhCH2-), 6.21 (1H, ブロード s,-NH-), 6.49 (1H, m,
5-H), 6.85 (1H, dd, J=5, 2 Hz, 6-H), 7.30 (5H, s,
C6H5-). MS:C14H15NO2(M+)として計算値 M/Z:229.1102.
実験値 M/Z:229.1106.
【0032】参考例2 7-syn-ベンジルオキシメチル-2-エトキシカルボニル-2-
アザビシクロ〔2・2・1〕 ヘプト-5-エン-3-オン 10 %リチウムジイソプロピルアミドのヘキサン溶液(1
2 mL)と無水テトラヒドロフラン(20 mL)の混合液を
-78 ℃に冷却し、これにアルゴン気流中 7-syn-ベンジ
ルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エ
ン-3-オン(1258mg, 5.49 mmol)の無水テトラヒドロフ
ラン(10 mL)溶液をゆっくり滴下した後、同温度で1時
間攪拌した。反応液にクロロ炭酸エチル(0.7 mL, 7.32
mmol)を加えた後、冷却浴を除き、反応温度が室温に
上昇するまで攪拌した。反応液をさらに室温で12時間攪
拌後、減圧濃縮した。残留物にクロロホルムを加え、生
じた塩化リチウムを濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留
物をシリカゲル(50 g)のカラムクロマトグラフィーに
付し、ヘキサン−酢酸エチル(3:1)で溶出した。溶出
画分を減圧濃縮乾固して 7-syn-ベンジルオキシメチル-
2-エトキシカルボニル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト
-5-エン-3-オンの無色油状物(983 mg, 収率 59 %)を
得た。 IR(CHCl3):1790, 1761, 1710 cm-11H-NMR
(CDCl3, 60 MHz)δ:1.32 (3H, t, J=7 Hz, -CH2C
H 3), 3.13 (1H, m, 7-H), 3.28 (1H, m, 4-H), 3.2 〜
3.7 (2H, m, BnOCH2-), 4.26 (2H, q, J=7 Hz, -CH 2CH
3), 4.46 (2H, s,PhCH2-), 5.00 (1H, m, 1-H), 6.48
(1H, m, 5-H), 6.73 (1H, dd, J=6, 3 Hz, 6-H), 7.31
(5H, s, C6H5-). MS:C13H14O(M+ − C4H5NO3)として計算値 M/Z:1
86.1044. 実験値 M/Z:186.1027.
【0033】参考例3 7-anti-ベンジルオキシメチル-2-エトキシカルボニル-2
-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン 7-anti-ベンジルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・
1〕ヘプト-5-エン-3-オン (1705 mg)を参考例2と同
様に処理して 7-anti-ベンジルオキシメチル-2-エトキ
シカルボニル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-
3-オン(1163 mg,収率 52 %)を無色油状物として得
た。 IR(CHCl3):1792, 1770, 1715 cm-11H-NMR
(CDCl3, 60 MHz)δ:1.32 (3H, t, J=7 Hz, -CH2C
H 3), 2.81 (1H, m, 7-H), 3.29 (1H, m, 4-H), 3.2 〜
3.8 (2H, m, BnOCH2-), 4.26 (2H, q, J=7 Hz, -CH 2CH
3), 4.49 (2H, s,PhCH2-), 4.96 (1H, m, 1-H), 6.66
(1H, ddd, J=5, 4, 2 Hz, 5-H), 6.94 (1H, dd, J=5,
3 Hz, 6-H), 7.33 (5H, s, C6H5-). MS:C17H19NO4(M+)として計算値 M/Z:301.1314.
実験値 M/Z:301.1321.
【0034】参考例4 エチル (±)-N-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕カル
バメート 7-syn-ベンジルオキシメチル-2-エトキシカルボニル-2-
アザビシクロ〔2・2・1〕 ヘプト-5-エン-3-オン(404 m
g, 1.34 mmol)の無水メタノール(10 mL)溶液 を氷水
で冷却し、これに水素化ホウ素ナトリウム(255 mg, 6.
71 mmol)を加え、 室温で1時間攪拌した。反応液を酢
酸−メタノール(1:1)で中和し、溶媒を減 圧下に留
去した。残留物をシリカゲル(40 g)のカラムクロマト
グラフィーに 付し、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で
溶出した。溶出画分を減圧濃縮乾固して エチル (±)-
N-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチ
ル)シクロペ ント-2-エン-1β-イル〕カルバメート(35
2 mg, 収率 85 %)を無色油状物 とし て得た。 IR(CHCl3):3450, 1715 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:1.23 (3H, t, J=7 Hz, -CH2CH 3), 2.3
〜 3.0 (2H, m, 4-H および 5-H), 3.2 〜 3.9(5H, m,
BnOCH2-, および -CH 2OH), 4.11 (2H, q, J=7 Hz, -CH
2CH3), 4.3 〜4.5 (1H, m, 1-H), 4.57 (2H, s, PhCH
2-), 4.8 〜 5.2 (1H, ブロード d, J=10 Hz, -NH-),
5.67 (2H, s, 2-H および 3-H), 7.32 (5H, s, C6H5-). MS:C17H24NO4(M+ + 1)として計算値 M/Z:306.1
705. 実験値 M/Z:306.1754.
【0035】参考例5 エチル (±)-N-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕カル
バメート 7-anti-ベンジルオキシメチル-2-エトキシカルボニル-2
-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン(1132 m
g, 3.76 mmol)を参考例4と同様に処理してエ チル
(±)-N-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペン ト-2-エン-1β-イル〕カルバメート
(954 mg, 収率 83 %)を無色油状物として 得た。 IR(CHCl3):3450, 1715 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:1.22 (3H, t, J=7 Hz, -CH2CH 3), 2.1
〜 2.5 (1H, ブロード s, -OH), 2.6 〜 3.0 (2H, m, 4
-H および 5-H), 3.5 〜 3.8 (4H, m, BnOCH2- および
-CH 2OH), 4.08 (2H, q, J=7 Hz, -CH 2CH3), 4.52 (2H,
s, PhCH2-), 4.7 〜 5.0 (1H, m, 1-H),5.0 〜 5.55
(1H, ブロード d, J=12 Hz, -NH-), 5.82 (2H, s, 2-H
および 3-H), 7.31 (5H, s, C6H5-). MS:C17H24NO4(M+ + 1)として計算値 M/Z:306.1
705. 実験値 M/Z:306.1701.
【0036】参考例6 (±)-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミン エチル (±)-N-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕カル
バメート(510 mg, 1.67 mmol)のメタノール(10 mL)
溶液に 10 N 水酸化カリウム溶液(10 mL)を加えて20
時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残留物に水を
加えた。生じた油状物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物を
シリカゲル(25 g)のカラムクロマトグラフィーに付
し、酢酸エチル−メタノール(1:1)で溶出した。溶出
画分を減圧濃縮乾固して (±)-〔5α-ベンジルオキシメ
チル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β
-イル〕アミン(336 mg, 収率 86 %)を無色油状物と
して得た。 IR(CHCl3):3380 cm-11H-NMR(CDCl3, 60 MH
z)δ:3.28 〜 3.87(5H, m, -CH2- x 2 および 4-H),
4.56 (2H, s, PhCH2-), 5.67 (2H, s, 2-H および 3-
H), 7.33 (5H, s, C6H5-). MS:C14H18NO2(M+ − 1)として計算値 M/Z:232.1
338. 実験値 M/Z:232.1333.
【0037】参考例7 (±)-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミン エチル (±)-N-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕カル
バメート(3246 mg, 10.64 mmol)を参考例6と同様に
処理して (±)-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド
ロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミンの無色
プリズム晶(エチルエーテルから結晶化)を得た。収量
1980 mg (収率 79 %)。 融点:73 〜 74 ℃;IR(CHCl3):3380 cm-11H-
NMR(CDCl3, 60 MHz)δ:2.36 〜 3.00 (2H, m, 4-
H および 4-H), 3.63 (2H, d, J=3 Hz, BnOCH2-), 3.7
1 (2H, d, J=8 Hz, -CH 2OH), 3.96 (1H, dd, J=6, 2
Hz, 1-H), 4.55(2H, s, PhCH2-), 5.91 (2H, s, 2-H お
よび 3-H), 7.34 (5H, s, C6H5-). MS:C14H18NO2(M+ − 1)として計算値 M/Z:232.1
338. 実験値 M/Z:232.1341.
【0038】参考例8 (±)-5-アミノ-4-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-6-クロロピリミジン (±)-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミン(269 mg,
1.15 mmol)のエタノール(13 mL)溶液に 5-ア ミノ-
4,6-ジクロロピリミジン(378 mg, 2.3 mmol)およびト
リエチルアミン(350 mg, 3.5 mmol)を加え、封管中48
時間 100 ℃に加熱した。溶媒を減圧留去後、残留物を
シリカゲル(15 g)のカラムクロマトグラフィーに付
し、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出した。溶出画
分を減圧濃縮乾固して (±)-5-アミノ-4-〔5α-ベンジ
ルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕アミノ-6-クロロピリミジン(344 m
g, 収率 82 %)を無色油状物として 得た。 IR(CHCl3):3370, 1580 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:2.16 (1H, m, 4-H または 5-H), 2.77 (1
H, m, 4-H または 5-H), 3.3 〜 4.0 (7H, m,-CH2- ×
2, -NH2 および -OH), 4.54 (2H, s, PhCH2-), 5.03 (1
H, m, 1-H),5.73 (3H, m, 2-H, 3-H および -NH-), 7.
29 (5H, s, C6H5-), 7.98 (1H, s,ピ リミジン 2-H). MS:C18H21N4O2Cl(M+)として計算値 M/Z:360.135
2. 実験値 M/Z:360.1331.;C18H21N4O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:362.1322. 実験値 M/Z:36
2.1331.
【0039】参考例9 (±)-5-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-
(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕ア
ミノ-6-クロロピリミジン (±)-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミン(424 mg,
1.81 mmol)を参考例8と同様に処理して (±)-5-アミ
ノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミノ-6-クロロ
ピリミジン(517 mg, 収率 79 %)を無色油状物として
得た。 IR(CHCl3):3370, 1580 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:2.88 (2H, m, 4-H および 5-H), 3.31 (3
H, ブロード s, -NH2 および -OH), 3.69 (4H,m, -CH 2O
H および BnOCH2-), 4.41 (2H, s, PhCH2-), 5.39 (1H,
m, 1-H), 5.94 (3H, m, 2-H, 3-H および -NH-), 7.2
8 (5H, s, C6H5-), 8.02 (1H, s, ピリミジン 2-H). MS:C18H21N4O2Cl(M+)として計算値 M/Z:360.135
2. 実験値 M/Z:360.1335.;C18H21N4O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:362.1322. 実験値 M/Z:362.13
14.
【0040】参考例10 (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-クロロプリ
ン (±)-5-アミノ-4-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-6-クロロピリミジン(203 mg, 0.56 mmol)を オル
トぎ酸エチル(3.1 mL)に溶解し、氷水で冷却下攪拌し
ながら 12 N 塩酸 (0.04 mL)を加えた。反応液を室
温で12時間攪拌後、減圧濃縮した。残留物を テトラヒ
ドロフラン(9 mL)に溶解し、これに 0.5 N 塩酸(12
mL)を加えて 室温で2時間攪拌した。反応液を 1 N
水酸化ナトリウム溶液で中和後、減圧濃 縮した。残留
物に水を加え、生じた油状物を酢酸エチルで抽出した。
抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、残
留物をシリカゲル(10 g)のカラムクロマトグラフィー
に付した。カラムをヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶
出し、溶出画分を減圧濃縮乾固して (±)-9-〔5α-ベン
ジルオキシメチル-4β-(ヒド ロキシメチル)シクロペン
ト-2-エン-1β-イル〕-6-クロロプリン(180 mg,収率 8
6 %)を無色油状物として得た。 IR(CHCl3):3450, 1590, 1560 cm-11H-NMR
(CDCl3, 60 MHz)δ:2.64 (1H, q, J=6 Hz, 4-H ま
たは 5-H), 2.88 (1H, m, 4-H または 5-H), 3.23(1H,
ブロード s, -OH), 3.72 (2H, d, J=6 Hz, BnOCH2-),
3.80 (2H, m, -CH 2OH), 4.51 (2H, s, PhCH2-), 5.58
(1H, m, 1-H), 5.77 (1H, ddd, J=5, 1, 1Hz, 3-H),
6.08 (1H, ddd, J=5, 2, 2 Hz, 2-H), 7.25 (5H, s, C
6H5-), 8.24(1H, s, プリン-H), 8.66 (1H, s, プリン-
H). MS:C19H19N4O2Cl(M+)として計算値 M/Z:370.119
6. 実験値 M/Z:370.1158.;C19H19N4O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:372.1165. 実験値 M/Z:372.11
38.
【0041】参考例11 (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-クロロプリ
ン (±)-5-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-6-クロロピリミジン(517 mg, 1.43 mmol)を 参考
例10と同様に処理して (±)-9-〔5β-ベンジルオキシ
メチル-4β-(ヒドロ キシメチル)シクロペント-2-エン-
1β-イル〕-6-クロロプリンの無色プリズム晶 (ジクロ
ロメタン−ヘキサンから結晶化)を得た。 収量:376 mg(収率 70 %);融点:120 ℃;IR(CH
Cl3):3450, 1590, 1560 cm-11H-NMR(CDCl3, 6
0 MHz)δ:3.36 (3H, m, 4-H, 5-H および -OH), 3.51
(2H, m, -CH2-), 3.83 (2H, m, -CH2-), 3.95 (2H, s,
PhCH2-), 5.93(2H, m, 1-H および 3-H), 6.36 (1H,
m, 2-H), 6.92 〜 7.23 (5H, s, C6H5-), 8.43 (1H, s,
プリン-H), 8.63 (1H, s, プリン-H). 元素分析:C19H19N4O2Cl として 計算値(%):C, 61.53; H, 5.16; N, 15.10; Cl, 9.56. 実験値(%):C, 61.62; H, 5.18; N, 15.10; Cl, 9.54.
【0042】参考例12 (±)-2-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-6-クロロピリミジン 参考例7で得られた (±)-〔5β-ベンジルオキシメチル
-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イ
ル〕アミン(373 mg, 1.60 mmol)のエタノール (40 m
L)溶液に 2-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン(324 mg,
1.92 mmol)およびトリエチルアミン(485 mg, 4.80 m
mol)を加え、封管中40時間 100 ℃に加熱した。溶媒を
減圧留去後、残留物をシリカゲル(20 g)のカラムクロ
マトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)
で溶出した。溶出画分を減圧濃縮乾固して (±)-2-アミ
ノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル) シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミノ-6-クロ
ロピリミジン(526 mg,収率 91 %)を無色油状物とし
て得た。 IR(CHCl3):3350, 3450, 1610, 1580, 1570 cm-1
1H-NMR(CDCl3, 60 MHz)δ:2.6 〜 3.0 (2H, m,
4-H および 5-H), 3.16 (1H, ブロ-ド s, -OH), 3.61
(4H, m, -CH 2OH および -CH 2OBn), 4.39 (2H, s, PhCH2
-), 4.92 (1H, m, 1-H), 5.27 (2H, ブロ-ド s, -NH2),
5.74 (1H, s, ピリミジン 5-H), 5.82 (2H, s, 2-H
および 3-H), 5.7 〜 6.0 (1H, ブロ-ド s, -NH-), 7.2
5 (5H, s,C6H5-). MS:C18H21N4O2Cl(M+)として計算値 M/Z:360.135
2. 実験値 M/Z:360.1384.;C18H21N4O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:362.1322. 実験値 M/Z:362.13
37.
【0043】参考例13 (±)-2-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-5-(p-クロロフェニル)アゾ-6-クロロピリミジ ン (±)-2-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミノ-6-
クロロピリミジン(1201 mg, 3.33 mmol)と酢酸ナトリ
ウム(6.6 g)を酢酸−水−メタノ−ル(17:17:10, 4
4 mL)に溶解し、氷冷下に攪拌した。これに、氷冷した
ジアゾニウム塩溶液〔p-クロロアニリン(510 mg, 4.0
mmol)の 3N塩酸(8 mL)溶液と亜硝酸ナトリウム(30
3mg, 4.4 mmol)の水溶液(4 mL)から調製〕を加えた
後、室温で6時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留
物に水を加えて、(±)-2-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキ
シメチル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エ
ン-1β-イル〕アミノ-5-(p-クロロフェニル)アゾ-6-ク
ロロピリミジンの結晶(1336 mg, 収率 80 %) を得
た。ジクロロメタン−ヘキサンより再結晶。 黄色不定型晶;融点:208 〜 211 ℃;IR(ヌジョー
ル):3450, 1570 cm-11H-NMR(DMSO-d6, 60 MH
z)δ:2.6 〜 3.0 (2H, m, 4-H および 5-H), 3.6 〜
3.8 (4H, m, -CH 2OH および -CH 2OBn), 4.18 (1H, d, J
=12 Hz) および4.41 (1H, d, J=12 Hz) (PhCH2-), 4.
77 (1H, ブロ-ド s, -OH), 5.4 〜 5.8 (1H, m, 1-H),
5.92 (2H, m, 2-H および 3-H), 7.17 (5H, s, C6H
5-), 7.3 〜7.9 (6H, m, ClC6H4- および -NH2), 10.00
(1H, ブロ-ド s, -NH-). MS:C24H24N6O2Cl2(M+)として計算値 M/Z:498.13
37. 実験値 M/Z:498.1346.;C24H24N6O2ClCl*(M+
+ 2)として計算値 M/Z:500.1307. 実験値 M/Z:500.
1295.;C24H24N6O2Cl2*(M+ + 4)として計算値 M/
Z:502.1337. 実験値 M/Z:502.1325.
【0044】参考例14 (±)-2,5-ジアミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β
-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン1β-イル〕ア
ミノ-6-クロロピリミジン (±)-2-アミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミ
ノ-5-(p-クロロフェニル)アゾ-6-クロロピリミジ ン(1
336 mg, 2.03 mmol)のエタノール−水(1:1, 80 mL)
溶液に亜鉛末(1. 74 g, 26.6 mmol)と酢酸(0.85 m
L)を加えて3時間加熱還流した。不溶物を濾 過し、濾
液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲル(70 g)のカラ
ムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル
(1:2)で溶出した。溶出画分を減圧濃縮乾固し、残留
物に少量のジクロロメタンを加えて、(±)-2,5-ジアミ
ノ-4-〔5β- ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメ
チル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アミノ-6-クロロ
ピリミジンの無色鱗片晶(762 mg, 収率 76 %)を得
た。 融点:107 〜 109 ℃;IR(CHCl3):3520, 1610, 15
60 cm-11H-NMR(CDCl3, 60 MHz)δ:2.7 〜 3.0
(2H, m, 4-H および 5-H), 3.08 (4H, ブロ-ド s, -NH
2 x 2), 3.64 (4H, m, -CH 2OH および -CH 2OBn), 4.40
(2H, s, PhCH2-), 4.75 (1H, ブロ-ド s, -OH), 5.24
(1H, m, 1-H), 5.82 (2H, m, 2-H および 3-H), 6.11
(1H, ブロ-ド d, J=10 Hz, -NH-), 7.24 (5H, s, C6H5
-). MS:C18H22N5O2Cl(M+)として計算値 M/Z:375.146
1. 実験値 M/Z:375.1442.;C18H22N5O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:377.1431. 実験値 M/Z:377.14
52.
【0045】参考例15 (±)-2-アミノ-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-ク
ロロプリン (±)-2,5-ジアミノ-4-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β
-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕
アミノ-6-クロロピリミジン(206 mg, 0.55 mmol)をオ
ルトぎ酸エチル(3 mL)に懸濁し、氷水で冷却下攪拌し
ながら 12 N塩酸 (0.14 mL)を加えた。反応液を室温
で14時間攪拌後、減圧濃縮した。残留物を テトラヒド
ロフラン(3 mL)に溶解し、氷冷下攪拌しながら、これ
に 0.5N 塩酸(3 mL)を加えた後、室温で6時間攪拌し
た。反応液を 2 N 水酸化ナトリウ ム溶液で中和後、
減圧濃縮した。残留物をシリカゲル(20 g)のカラムク
ロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール
(50:1)で溶出した。溶出画分 を減圧濃縮乾固して
(±)-2-アミノ-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-ク
ロロプリン(123 mg, 収率 53 %)を無色油状物として
得た。 IR(CHCl3):3450, 1610, 1570 cm-11H-NMR
(CDCl3, 60 MHz)δ:2.8 〜 4.3 (7H, m, 4-H, 5-H,
-CH 2OH, -CH2OBn および -OH), 3.06 (2H, s, PhCH2-),
5.26 (2H, ブロ-ド s, -NH2), 5.54 〜 5.80 (2H, m,
1-H および 3-H),6.22 (1H, m, 2-H), 6.86 〜 7.36 (5
H, m, C6H5-), 8.02 (1H, s, プリン 8-H). MS:C19H20N5O2Cl(M+)として計算値 M/Z:385.130
5. 実験値 M/Z:385.1289.;C19H20N5O2Cl*(M+
2)として計算値 M/Z:387.1275. 実験値 M/Z:387.12
42.
【0046】参考例16 2-〔N-(3-メトキシ-2-メチルアクリロイル)カルバモイ
ル〕-7-syn-ベンジルオ キシメチル-2-アザビシクロ〔2
・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン 塩化 3-メトキシ-2-メチルアクリロイル(176 mg, 1.31
mmol)の無水ベンゼン(10 mL)溶液にシアン酸銀(29
3 mg, 1.95 mmol)を加え、50 ℃で3時間攪拌した。不
溶物を濾過し、濾液に参考例1で得られた 7-syn-ベン
ジルオキシメチル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-
エン-3-オン(200 mg, 0.87 mmol)を加え、さらに 50
℃で5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物をシ
リカゲル(10 g)のカラムクロマトグラフィーに付し
た。カラムをヘキサン−酢酸エチル(2:1)で溶出する
と、先に 2-〔N-(3-メトキシ-2-メチルアクリロイル)
カルバモイ ル〕-7-syn-ベンジルオキシメチル-2-アザ
ビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン(113 mg, 収
率 41 %)が溶出され、遅れて未反応の 7-syn-ベンジ
ルオキシメ チル-2-アザビシクロ〔2・2・1〕ヘプト-5-エ
ン-3-オン(54 mg, 回収率 31 %)が 溶出された。 2-〔N-(3-メトキシ-2-メチルアクリロイル)カルバモイ
ル〕-7-syn-ベンジルオ キシメチル-2-アザビシクロ〔2
・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン:無色油状物;IR(CHCl
3):3300, 1755, 1730, 1630 cm-11H-NMR(CDCl
3, 60 MHz)δ:1. 82 (3H, s, -CH3), 3.17 (1H, m, 7
-H), 3.45 (3H, m, BnOCH2- および4-H), 3.85 (3H, s,
-OCH3), 4.56 (2H, s, PhCH2-), 5.24 (1H, m, 1-H),
6.52(1H, m, 5-H), 6.83 (1H, m, dd, J=5, 2 Hz, 6-
H), 7.27 (1H, s, アクリロイル 3-H), 7.32 (5H, s, C
6H5-), 10.50 (1H, ブロード s, -NH-). MS:C20H22N2O5(M+)として計算値 M/Z:370.1529.
実験値 M/Z:370.1497.
【0047】参考例17 (±)-5α-ベンジルオキシメチル-4β-ヒドロキシメチル
-1β-〔N'-(3-メトキシ-2-メトキシアクリロイル)ウレ
イド〕シクロペント-2-エン 2-〔N-(3-メトキシ-2-メチルアクリロイル)カルバモイ
ル〕-7-syn-ベンジルオ キシメチル-2-アザビシクロ〔2
・2・1〕ヘプト-5-エン-3-オン(118 mg, 0.31mmol)の無
水メタノール(3 mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム
(60 mg, 1.58mmol)を氷水で冷却下に加え、室温で1時
間攪拌した。反応液を酢酸−メタノール(1:1)で中和
後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲル(10 g)のカラ
ムクロマトグ ラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル
(1:1)で溶出した。溶出画分を減圧 濃縮し、残留物
にジクロロメタン−ヘキサンを加えて (±)-5α-ベンジ
ルオキシメチル-4β-ヒドロキシメチル-1β-〔N'-(3-
メトキシ-2-メトキシアクリロイル)ウレイド〕シクロペ
ント-2-エンの無色針状晶(97 mg, 収率 81 %)を得
た。 融点:113 〜 114 ℃;IR(CHCl3):3450, 3
300, 1690, 1620 cm-11H-N MR(CDCl3, 60 MHz)
δ:1.78 (3H, s, -CH3), 2.12 (1H, m, 5-H), 2.76 (1
H, m, 4-H), 3.3 〜 3.8 (5H, m, -CH 2OH および BnOCH
2-), 3.81 (3H, s, -OCH3), 4.57 (2H, s, PhCH2-), 4.
77 (1H, m, 1-H), 5.70 (2H, s, 2-Hおよび 3-H), 7.31
(6H, s, C6H5- および アクリロイル 3-H), 8.57 (1H,
ブロード s, -NH-), 8.90 (1H, ブロード d, J=10 H
z, -NH-). MS:C20H26N2O5(M+)として計算値 M/Z:374.1842.
実験値 M/Z:374.1825.
【0048】実施例1 (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニンおよ
び (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒド ロ
キシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキ
シプリン 参考例10で得られた (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメ
チル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イ
ル〔-6-クロロプリン(196 mg, 0.53 mmol)の無水メタ
ノール(20 mL)溶液を塩−氷で冷却しながらアンモニ
アガスを1時間通じた。この溶液を封管中20時間 50 ℃
に加温した。反応液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲル
(15 g)のカラムクロマトグラフィーに付した。カラム
を酢酸エ チル-メタノール(8:1)で溶出して (±)-9-
〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチル)
シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニン と (±)-9-
〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチル)
シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキシプリンを
分離した。 (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニン:収
量 144 mg(収率 77 %);無色針状晶(ジクロロメタ
ンから結晶化);融点:171 〜 173 ℃;IR(ヌジョ
ール):3450 cm-11H-NMR(DMSO-d6, 500 MHz)
δ:2.44 (1H, dddd, J=5, 5, 5, 5 Hz, 5-H), 2.72
(1H, m, 4-H), 3.52 (1H, ddd, J=11, 5, 5 Hz) およ
び 3.61 (1H, ddd, J=11, 5, 5 Hz) (-CH 2OH), 3.66
(2H, m, BnOCH2-), 4.46 (1H, d, J=12Hz) および 4.4
9 (1H, d, J=12 Hz) (PhCH2-), 4.77 (1H, t, J=5 H
z, -OH),5.52 (1H, ddd, J=6, 2, 2 Hz, 1-H), 5.79
(1H, ddd, J=6, 2, 2 Hz, 3-H),6.66 (1H, ddd, J=6,
2, 2 Hz, 2-H), 7.17 (2H, ブロード s, -NH2), 7.28
(5H, s, C6H5-), 8.05 (1H, s, プリン-H), 8.13 (1H,
s, プリン-H). 元素分析:C19H21N5O2 として 計算値(%):C, 64.94; H, 6.02; N, 19.93. 実験値(%):C, 65.13; H, 6.07; N, 19.93. (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキシプ
リン:収量 18 mg(収率 9 %);無色油状物;IR(C
HCl3):3450, 1600, 1580 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:2.5〜 3.1 (2H, m, 4-H および 5-H), 3.7
1 (2H, d, J=6 Hz, BnOCH2-), 3.80 (2H, m, -CH 2OH),
4.17 (3H, s, -CH3), 4.52 (2H, s, PhCH2-), 5.51 (1
H, m, 1-H), 5.75 (1H, ddd, J=6, 2, 2 Hz, 3-H), 6.
07 (1H, ddd, J=6, 2, 2 Hz, 2-H), 7.27 (5H, s, C6H
5-), 7.94 (1H, s, プリン-H), 8.46 (1H, s, プリン-
H).MS:C20H22N4O3(M+)として計算値 M/Z:366.16
92. 実験値 M/Z:366.1717.
【0049】実施例2 (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニンおよ
び (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキ
シメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキシ
プリン 参考例11で得られた (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメ
チル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β
-イル〕-6-クロロプリン(244 mg, 0.66 mmol)を実施
例1と同様に処理し、(±)-9-〔5β-ベンジルオキシメ
チル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β
-イル〕アデニン(208 mg, 収率 89 %)および (±)-9
-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチル)
シクロペ ント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキシプリン
(26 mg, 収率 11 %)を得た。 (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニン:無
色針状晶(メタノールから結晶化);融点:119〜 121
℃;IR(ヌジョール):3450, 1710 cm-11H-NM
R(DMSO-d6, 60MHz)δ:2.96 (1H, m, 4-H), 3.06 (1
H, dddd, J=9, 9, 9, 9 Hz, 5-H), 3.27(2H, m, BnOCH
2-), 3.59 (1H, ddd, J=11, 5, 5 Hz) および 3.69 (1
H, ddd,J =11, 5, 5 Hz) (-CH 2OH), 3.96 (1H, d, J=
12 Hz) および 4.09 (1H, d, J=12 Hz) (PhCH2-), 4.7
5 (1H, t, J=5 Hz, -OH), 5.73 (1H, ブロード d, J=
9 Hz, 1-H), 5.93 (1H, ddd, J=6, 2, 2 Hz, 3-H), 6.
26 (1H, ddd, J=6, 2,2 Hz, 2-H), 6.98 (2H, m) およ
び 7.22 (3H, m) (C6H5-), 7.14 (2H, ブロード s, -NH
2), 8.07 (1H, s, プリン-H), 8.11 (1H, s, プリン-
H). 元素分析:C19H21N5O2 として 計算値(%):C, 64.94; H, 6.02; N, 19.93. 実験値(%):C, 65.12; H, 6.11; N, 19.94. (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-6-メトキシプ
リン:無色油状物;IR(CHCl3):3450, 1600, 1580
cm-11H-NMR(CDCl3, 60 MHz)δ:3.36 (3H, m,
4-H, 5-H および −OH), 3.41 (2H,
m, −CH−), 3.79 (2H, m, −
CH−), 4.00 (2H, s, PhCH
−),4.21 (3H, s, −CH), 5.
89 (2H, m, 1−H および 3-H), 6.23 (1
H, m, 2-H), 7.03 (2H, m) および 7.23 (3H, m) (C6H5
-), 8.12 (1H, s, プリン-H), 8.51 (1H, s, プリン-
H). MS:C20H22N4O3(M+)として計算値 M/Z:366.1692.
実験値 M/Z:366.1708.
【0050】実施例3 (±)-9-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕アデニン (±)-9-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニン(105
mg, 0.30 mmol)の無水ジクロロメタン(20 mL)溶液
を -78 ℃に冷却し、これにアルゴン気流中三塩化ホウ
素のジクロロメタン 溶液(1 M溶液,9 mL)をゆっく
り滴下した。反応液を同温度で3時間攪拌後、無水メタ
ノール−無水ジクロロメタン(1:1, 12 mL)をゆっく
り滴下した。滴下後、冷却浴を除き、反応温度が室温に
上昇するまで攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物に
無水メタノール(5 mL)を加えて10分間放置後、再び減
圧濃縮した。この操作を4回繰り返した後、残留物をメ
タノール(5 mL)に溶解し、アン バーライト IRA-45
(OH- 型, 1 g)を加えて室温で1時間攪拌した。イオン
交換樹脂を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリ
カゲル(10 g)のカラムクロマトグラフィーに付し、ク
ロロホルム−メタノール(10:1)で溶出した。溶出画
分を減圧濃縮後、残留物に少量のメタノールを加えて
(±)-9-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕アデニンの結晶(65 mg,収率 83
%)を得た。 無色不定型晶;融点:179 〜 180 ℃;UV(CH3OH)λ
maxnm (ε):260.9 (14200);1H-NMR(DMSO-d6, 50
0 MHz)δ:2.23 (1H, dddd, J=5, 5, 5, 5 Hz, 5-H),
2.70 (1H, m, 4-H), 3.51 (1H, ddd, J=10, 5, 5 Hz)
および 3.57 (1H, ddd, J=10, 5, 5 Hz) (-CH 2OH),
3.61 (2H, dd, J=5, 5 Hz, -CH 2OH), 4.78 (1H, t, J
=5 Hz, -OH), 4.82 (1H, t, J=5 Hz, -OH), 5.43 (1
H, m, 1-H),5.79 (1H, m, 3-H), 6.06 (1H, m, 2-H),
7.18 (2H, ブロード s, -NH2), 8.05(1H, s, プリン-
H), 8.13 (1H, s, プリン-H). MS:C12H15N5O2(M+)として計算値 M/Z:261.1225.
実験値 M/Z:261.1212.
【0051】実施例4 (±)-9-〔4β,5β-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕アデニン (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕アデニン(154
mg, 0.44 mmol)を実施例3と同様に処理して(±)-9-
〔4β,5β-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-
1β-イル〕アデニン(105 mg, 収率 92 %)を得た。 無色不定型晶(メタノールから結晶化);融点:177 〜
178 ℃;UV(CH3OH)λmaxnm (ε):260.8 (1470
0);1H-NMR(DMSO-d6, 500 MHz)δ:2.85 (1H, m,
5-H), 2.94 (1H, m, 4-H), 3.10 (1H, ddd, J=11, 9,
5 Hz) および 3.21 (1H, ddd, J=11, 6, 5 Hz) (-CH 2
OH), 3.57 (1H, ddd, J=10, 5, 5 Hz)および 3.65 (1
H, ddd, J=10, 5, 5 Hz) (-CH 2OH), 4.49 (1H, t, J=
5 Hz, -OH), 4.79 (1H, t, J=5 Hz, -OH), 5.62 (1H,
d, J=9 Hz, 1-H), 5.94 (1H, m,3-H), 6.31 (1H, m, 2
-H), 7.19 (2H, ブロード s, -NH2), 7.98 (1H, s, プ
リン-H), 8.24 (1H, s, プリン-H). MS:C12H15N5O2(M+)として計算値 M/Z:261.1225.
実験値 M/Z:261.1214.
【0052】実施例5 (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕グアニン 参考例15で得られた (±)-2-アミノ-9-〔5β-ベンジ
ルオキシメチル-4β-(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕-6-クロロプリン(123 mg,0. 32 mmo
l)のジオキサン(3 mL)溶液に 0.5 N水酸化カリウム
溶液(4 mL)を 加え、5時間還流した。反応液を減圧濃
縮し、残留物をシリカゲル(12 g)のカ ラムクロマト
グラフィーに付し、クロロホルム-メタノール(20:1)
で溶出した。溶出画分を減圧濃縮し、残留物に少量の水
を加えて (±)-9-〔5β-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〔グア
ニン の結晶(75 mg, 収率 81 %)を得た。 無色不定形晶;1H-NMR(DMSO-d6, 500 MHz)δ:2.
95 (2H, m, 4-H および 5-H), 3.24 〜 3.37 (2H, m, -
CH 2OH), 3.55 (1H, dd, J=11, 5 Hz) および3.65 (1H,
dd, J=11, 4 Hz) (BnOCH2-), 4.02 (1H, d, J=13 H
z) および 4.15 (1H, d, J=13 Hz) (PhCH2-), 4.76 (1
H, t, J=5 Hz, -OH), 5.49 (1H, m,1-H), 5.87 (1H,
m, 3-H), 6.21 (1H, m, 2-H), 6.44 (2H, ブロード s,
-NH2), 7.07 〜 7.29 (5H, m, C6H5-), 7.65 (1H, s,
プリン 8-H), 10.50 (1H, s,-NH-).
【0053】実施例6 (±)-1-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-5-メチル-2,4
(1H,3H)-ピリミジンジオン 参考例17で得られた (±)-5α-ベンジルオキシメチル
-4β-ヒドロキシメチル-1β-〔N'-(3-メトキシ-2-メト
キシアクリロイル)ウレイド〕シクロペント-2- エン(6
9 mg, 0.19 mmol)のメタノール(3 mL)溶液に 25 %
アンモニア水(2 mL)を加え、これを封管中20時間 85
℃に加熱した。反応液を減圧濃縮後、残留物をシリカゲ
ル(6 g)のカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:1)で溶出した。溶出画分を減圧濃
縮乾固して (±)-1-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-
(ヒドロキシメチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-5
-メチル-2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン(62 mg, 収率 9
8 %)を無色油状物として得 た。 IR(CHCl3):3430, 1690 cm-11H-NMR(CDCl3,
60 MHz)δ:1.90 (3H, s, -CH3), 2.23 (1H, m, 5-
H), 2.82 (2H, m, 4-H および -OH), 3.4 〜 4.0 (4H,
m, -CH 2OH および BnOCH2-), 4.56 (2H, s, PhCH2-),
5.56 (2H, m, 1-H および 3-H), 5.97 (1H, m, 2-H),
7.09 (1H, m, ピリミジン-H), 7.31 (6H,s, C6H5-), 9.
12 (1H, ブロード s, -NH-). MS:C19H22N2O4(M+)として計算値 M/Z:342.1580.
実験値 M/Z:342.1565.
【0054】実施例7 (±)-1-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント-
2-エン-1β-イル〕-5-メチル-2,4(1H,3H)-ピリミジンジ
オン (±)-1-〔5α-ベンジルオキシメチル-4β-(ヒドロキシ
メチル)シクロペント-2-エン-1β-イル〕-5-メチル-2,4
(1H,3H)-ピリミジンジオン(80 mg, 0.23 mmol) の無
水ジクロロメタン(10 mL)溶液を -78 ℃に冷却し、こ
れにアルゴン気流 中攪拌しながら三塩化ホウ素のジク
ロロメタン溶液(1 M 溶液,7 mL)をゆっ くり滴下し
た。反応液を同温度で3時間攪拌後、無水メタノール−
無水ジクロロ メタン(1:1, 10 mL)をゆっくり滴下し
た。滴下後、冷却浴を除き、反応温度 が室温に上昇す
るまで攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物に無水メ
タノール(5 mL)を加えて10分間室温で放置後、再び減
圧濃縮した。この操作を4回繰り 返した。残留物をシリ
カゲル(8 g)のカラムクロマトグラフィーに付し、ク
ロ ロホルム−メタノール(30:1)で溶出した。溶出画
分を減圧濃縮し、残留物に 少 量のメタノールを加えて
(±)-1-〔4β,5α-ジ(ヒドロキシメチル)シクロペ ン
ト-2-エン-1β-イル〕-5-メチル-2,4(1H,3H)-ピリミジ
ンジオンの無色プリズ ム晶(44 mg, 収率 74 %)を得
た。 融点:222 〜 223 ℃;IR(CHCl3):1690 cm-11
-NMR(DMSO-d6, 500 MHz)δ:1.95 (1H, ddd, J=
5, 5, 5 Hz, 5-H), 2.61 (1H, m, 4-H); 3.46 (1H, dd
d, J=10, 5, 5 Hz), 3.51 (1H, ddd, J=10, 5, 5 H
z), 3.56 (1H, ddd,J=10, 5, 5 Hz) および 3.57 (1H,
ddd, J=10, 5, 5 Hz) (-CH 2OH x 2); 4.68 (1H, t, J
=5 Hz, -OH), 4.76 (1H, t, J=5 Hz, -OH), 5.36 (1
H, m, 1-H), 5.58 (1H, m, 3-H), 6.01 (1H, m, 2-H),
7.37 (1H, s, ピリミジン-H), 11.20 (1H, s, -NH-). MS:C12H16N2O4(M+)として計算値 M/Z:252.1110.
実験値 M/Z:252.1127.
【0055】実施例8 9−{(1S,4R,5S)−4−〔(1S)−(−)
−カンファノイロキシメチル〕−5−(ベンジロキシメ
チル)シクロペント−2−エン−1−イル}−6−クロ
ロプリン()および9−{(1R,4S,5R)−4
−〔(1S)−(−)−カンファノイロキシメチル〕−
5−(ベンジロキシメチル)シクロペント−2−エン−
1−イル}−6−クロロプリン() (±)−9−〔5α−ベンジルオキシメチル−4β−
(ヒドロキシメチル)シクロペント−2−エン−1β−
イル〔−6−クロロプリン(210mg,0.57mm
ol)を無水テトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、
(1S)−(−)−カンファニン酸クロリド(240m
g,1.22mmol)およびトリエチルアミン(23
0mg,2.28mmol)を加え、室温で16時間攪
拌した。反応後、氷水に注ぎクロロホルムで抽出した。
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣を
シリカゲルカラムに付し、ヘキサン−酢酸エチル(1:
1)で溶出し9−{(1S,4R,5S)−4−〔(1
S)−(−)−カンファノイロキシメチル〕−5−(ベ
ンジロキシメチル)シクロペント−2−エン−1−イ
ル}−6−クロロプリン()と9−{(1R,4S,
5R)−4−〔(1S)−(−)−カンファノイロキシ
メチル〕−5−(ベンジロキシメチル)シクロペント−
2−エン−1−イル}−6−クロロプリン()の混合
物を244mg(78%)得る。この混合物を高速液体
クロマトグラフィー〔 ウオーターズ(waters),マイ
クロポラシル,へキサン−エタノール(20:1)〕で
分離しおよびを得た。 保持時間 カラム;マイクロポラシル :25.5分 1/4´´×1´ :24 分 移動層;ヘキサン−エタノール(25:1) 検出器;紫外線254nm
【0056】実施例9 (+)−9−〔(1S,4R,5S)−5−ベンジロキ
シメチル−4−(ヒドロキシメチル)シクロペント−2
−エン−1−イル〕アデニン 9−{(1S,4R,5S)−4−〔(1S)−(−)
−カンファノイロキシメチル〕−5−(ベンジロキシメ
チル)シクロペント−2−エン−1−イル}−6−クロ
ロプリン(70mg,0.127mmol)をメタノー
ル(10ml)に溶解し、塩−氷冷却下アンモニアガス
を5分間通した。次に封管中70〜80℃で16時間加
熱した。反応後、過剰のアンモニアおよびメタノールを
留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトに付したす。
酢酸エチル−メタノール(8:1)で溶出し、得られる
結晶を酢酸エチル−メタノールで再結晶し、(+)−9
−〔(1S,4R,5S)−5−ベンジロキシメチル−
4−(ヒドロキシメチル)シクロペント−2−エン−1
−イル〕アデニンの無色針状晶を35mg(78%)得
た。 融点:186−187℃ 〔α〕26 D+50.50(c=0.8,メタノール)
【0057】実施例10 (−)−9−〔(1R,4S,5R)−5−ベンジロキ
シメチル−4−(ヒドロキシメチル)シクロペント−2
−エン−1−イル〕アデニン 9−{(1R,4S,5R)−4−〔(1S)−(−)
−カンファノイロキシメチル〕−5−(ベンジロキシメ
チル)シクロペント−2−エン−1−イル}−6−クロ
ロプリン(80mg,0.145mmol)を上記と同
様に処理し、(−)−9−〔(1R,4S,5R)−5
−ベンジロキシメチル−4−(ヒドロキシメチル)シク
ロペント−2−エン−1−イル〕アデニンを40mg
(78%)得た。 融点:186−187℃(無色針状晶) 〔α〕26 D−45.00(c=0.8,メタノール)
【0058】実施例11 (+)−9−〔(1S,4R,5S)−4,5−ジ(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント−2−エン−1−イル〕
アデニン (+)−9−〔(1S,4R,5S)−5−ベンジロキ
シメチル−4−(ヒドロキシメチル)シクロペント−2
−エン−1−イル〕アデニン(28mg,0.08mm
ol)を無水塩化メチレン(10ml)に溶解し、−7
8℃に冷却下、攪拌しながら1M 3塩化ホウ素−塩化
メチレン溶液(2ml)を滴下した。3時間この温度で
攪拌をつづけたのち、塩化メチレン−メタノール(1:
1)1.4mlを加え室温にもどした。溶媒を減圧留去
し、残渣にメタノール(5ml)を加え、再び乾固し
た。この操作を4回行い、残渣をメタノール(5ml)
に溶解し、アンバーライト(Amberlite)−IR−45
(弱塩基性樹脂)を加えて攪拌した。残渣をシリカゲル
カラムに付し、クロロホルム−メタノール(5:1)で
溶出し、(+)−9−〔(1S,4R,5S)−4,5
−ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント−2−エン−1
−イル〕アデニンを16mg(76%)得た。 融点 206−207℃(無色針状晶,メタノールより
再結晶) 〔α〕28 D+27.62(c=1.3,メタノール)
【0059】実施例12 (−)−9−〔(1R,4S,5R)−4,5−ジ(ヒ
ドロキシメチル)シクロペント−2−エン−1−イル〕
アデニン 上記と同様に処理し、(−)−9−〔(1R,4S,5
R)−5−ベンジロキシメチル−4−(ヒドロキシメチ
ル)シクロペント−2−エン−1−イル〕アデニン(2
4mg)より(−)−9−〔(1R,4S,5R)−
4,5−ジ(ヒドロキシメチル)シクロペント−2−エ
ン−1−イル〕アデニンを14mg(78%)得た。 融点 206−207℃(無色針状晶,メタノールより
再結晶) 〔α〕28 D−24.71(c=1.4,メタノール)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 〔式中、Bはアデニン-9-イル、グアニン-9-イルまたは
    チミン-1-イルを示し、R1とR2はどちらか一方が水素
    原子を、他方は保護されていてもよい水酸基を有するメ
    チル基を示す。ただし、Bがグアニン-9-イルのときは
    1は保護された水酸基を有するメチル基、R2は水素原
    子であり、Bがチミン-1-イルのときはR1は水素原子、
    2は保護されていてもよい水酸基を有するメチル基で
    ある。〕で示される化合物またはその塩。
JP2553592A 1991-02-12 1992-02-12 新規シクロペンテン誘導体 Withdrawn JPH06199812A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002536448A (ja) * 1999-02-12 2002-10-29 グラクソ グループ リミテッド 治療用ヌクレオシド化合物

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JP2002536448A (ja) * 1999-02-12 2002-10-29 グラクソ グループ リミテッド 治療用ヌクレオシド化合物

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