JPH06198912A - 熱式インク・ジェット・プリント・ヘッド - Google Patents

熱式インク・ジェット・プリント・ヘッド

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JPH06198912A
JPH06198912A JP23906093A JP23906093A JPH06198912A JP H06198912 A JPH06198912 A JP H06198912A JP 23906093 A JP23906093 A JP 23906093A JP 23906093 A JP23906093 A JP 23906093A JP H06198912 A JPH06198912 A JP H06198912A
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JP
Japan
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ink
heater
ink jet
orifice
jet print
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Application number
JP23906093A
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English (en)
Inventor
Ross R Allen
ロス・アール・アレン
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HP Inc
Original Assignee
Hewlett Packard Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アッセンブリノ単純化とコストダウンを可能
とし、かつ最小限の追加プロセスで追加機能性を実現で
きる熱式インク・ジエット・プリント・ヘッドを提供す
ることを目的とする。 【構成】 プリナム室26内のインク32を加熱溶融し
て液体インク39をインク供給室28を経て熱式インク
・ジエット・プリント・エンジン40から噴射するとと
もに、プリナム室26内の空気圧変動が生じても、ブラ
ダー30に形成した通気孔31とプラスチック基板41
のオリフイス46との協働作用により大気圧より低い圧
力で略一定に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
関連出願に対するクロス・リファレンス 本出願は、1992年5月20日に出願された米国特許
出願第07/886,577号の一部継続出願である。
【0002】本特許出願の譲受人に譲渡された下記の関
連特許出願、すなわち、「インク・ジェット・ペン用方
位検知バルブ(Orientation Sensit
ive Valve For Ink Jet Pe
n)」について、1991年8月29日にCowger
によって出願された特許出願第07/752,107
号、及び、1992年4月2日に提出された、「プリン
ト・ヘッドおよびその製造方法(Printhead
and a Method for the Manu
facture Thereof)」と題する特許出願
第07/868,355号についても、クロス・リファ
レンスが行われる。
【0003】本発明は、熱式インク・ジェット・プリン
タに関するものであり、とりわけ、可撓性プラスチック
基板上に製作される熱式インク・ジェット・プリント・
ヘッドに関するものである。
【0004】
【従来の技術】モノリシック熱式インク・ジェット・プ
リント・ヘッドは、一般に、その主要構成部材として
は、可撓性プラスチック基板を利用する。薄膜、バリ
ヤ、オリフィス板、及び、電気相互接続部から構成され
るインク小滴発生器は、プラスチック基板に組み込まれ
ている。モノリシック・プリント・ヘッドを組み込ん
だ、「高温融解」(または相変化)インクを用いるプリ
ント・カートリッジは、圧力調整、インク濾過、即時応
答融解、及び、迅速作動ヒータの利用を必要とする。従
って、こうした要件は、インク・ジェット・プリント・
カートリッジのアセンブリ・コスト、及び、全体的な機
械的複雑性を増すことになり、モノリシック・プリント
・ヘッドを備えた追加独立コンポーネントを用いること
によって満たされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】気泡発生器を用いる圧
力調整器は、液体インクを用いる熱式インク・ジェット
・カートリッジのために開発され、1991年8月29
日に出願された米国特許出願第07/752,107号
に開示されている。液体インク・システムの気泡発生器
の実用的な態様では、通常、精巧なマニホールド化及び
圧力補償を用いて、熱または高度サイクリングによるイ
ンクの損失、及び、ペンの取扱い時(気泡発生器が、液
体層によってカバーされなくなる可能性のある時)にお
ける内部真空の損失を阻止する。気泡発生器は、プラス
チックに成形された穴、金属にドリル加工された、また
は、押し抜きされた穴、及び、プラスチック・フィルム
に形成された穴によって製作された。プラスチック・フ
ィルム気泡発生器は、液体熱式インク・ジェット・プリ
ント・カートリッジにおける独立したコンポーネントと
して用いられ、ノズル・プレートまたは基板構造とは一
体化されない。
【0006】カートリッジ・ヒータ及びその他の電気抵
抗手段を用いて、熱エネルギーを発生し、相変化インク
を用いるインク・ジェット・プリンタに対する相変化及
び温度制御を可能にするのが一般的である。相変化イン
クのためのインク・プリント・メカニズムは、小滴噴射
オリフィス内におけるインクの凝固を利用して、待機モ
ード時における揮発による損失またはインクの他の劣化
を阻止し、プリンタからのプリント・ヘッドの取り外し
時における高温液体インクの放出を阻止するものであっ
た。
【0007】インク濾過に関して、多くの従来の熱式イ
ンク・ジェット・プリント・カートリッジの場合、イン
クは、噴射のため、小滴発生器に入る前に、シリコンま
たはガラス基板におけるフィルタ、インク・パイプ、及
び、スロット(または穴)を通過する。フィルタは、通
常、直径が一般に10〜20ミクロンを超える粒子を除
去する織り金網である。フィルタは、シート材料から打
ち抜き加工され、熱ステーキングまたはスエージングに
よって所定位置に固定する形で、プリント・カートリッ
ジ本体に挿入される。
【0008】上述の熱式インク・ジェット・プリント・
カートリッジ・システムの複雑性に関して、本発明の目
的は、圧力調整、インク濾過、即時応答融解、及び、迅
速作動ヒータをモノリシック・プリント・ヘッドに組み
込むことによって、該システムを改良し、さらに、コス
トを低下させ、そのアセンブリを単純化することにあ
る。本発明のもう1つの目的は、他の処理ステップと同
時に、インクの収容、機械的アライメント、及び、熱伝
達機能を構成し、従って、最小限の追加プロセスで追加
機能性を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の及びその他の目的
は、熱式インク・ジェット・プリント・カートリッジの
機能統合レベルを高めることによって達成される。本発
明の熱式インク・ジェット・プリント・カートリッジ
は、固体インクを収容し、供給するための手段と、正確
なインク処理のために、インク・ジェット・カートリッ
ジのアライメントをとる機械的アライメント機構と、熱
放散機構とが含まれている。インク収容及びアライメン
トが、プラスチックまたは他の適合する材料からなる密
封ペン本体を用いることによって達成する。熱放散は、
ペン本体内に設けられた熱伝導性の部材によって実現す
る。圧力調整は、可撓性ブラダーと協働する気泡発生器
によって実現する。圧力調整及びインク濾過要素は、プ
リント・エンジンを納めた基板に組み込まれる。
【0010】
【作用】本発明の熱式インク・ジエット・プリント・ヘ
ッドは、凍結機構を用いて、気泡発生器を固定し、密封
して、インク・カートリッジ内における大気中より低い
内圧を維持する。ブラダーには、ペン本体が、加熱また
は冷却のために膨張または収縮する際、比較的一定した
部分真空を維持するため、外部に通気孔が設けられてい
る。さらに、本発明は、小滴発生器の中間構造と一体化
し、同じ材料から、同じプロセスによって作製されるヒ
ータから構成される。本発明は、メッシュ・フィルタを
除去することによって従来技術のプリント・ヘッドの設
計を改良し、また、各小滴発生器毎に、または、小滴発
生器のグループのために、プラスチック基板に個々のフ
ィルタを設けることによってアセンブリ作業を改良して
いる。アレイをなす穴は、従来の熱式インク・ジェット
・プリンタにおける単一供給穴に取って代わるので、こ
れによって、インク濾過及びインク供給機能が統合され
る。
【0011】本発明のもう1つの特徴は、プリント・カ
ートリッジが待機モードにあるか、あるいは、プリンタ
から取り除かれる場合、高温融解インクの相変化を利用
して、気泡発生器を密封することである。プリンタから
の能動プリント・カートリッジの除去は、気泡発生器の
オリフィスが凍結するまで、遅延する。これは、気泡発
生器の近くのインクを液体状態に保つ局所熱源を除去
し、十分な液体インクの融解熱を散逸させて、気泡発生
器内に、または、気泡発生器の上に固体栓または被膜を
形成することによって、即時応答で達成される。この単
純な機構は、従来の設計の場合のように、複数の余分な
コンポーネント及び機能を必要とせずに、インクの収
容、及び、部分真空の維持を達成する。
【0012】本発明のもう1つの特徴は、熱エネルギー
を発生して、結合し、相変化インクを即時応答で融解さ
せ、迅速に作動する、複数のヒータ及び熱放散器を提供
するものである。これら2つのヒータは、基板に組み込
まれ、小滴発生器または熱式インク・ジエット・プリン
ト・エンジンの一部を形成する。しかし、所望の場合、
通常は、プリント・カートリッジに必須の部材とみなさ
れるが、独立した即時応答融解ヒータなしですますこと
が可能である。所望の場合、ペン設計は液相のインクが
あるインク供給室に固体インクを即時応答供給すること
により簡略化できる。液体インクは、その融解点におけ
る温度で熱式インク・ジエット・プリント・エンジンに
送られ、粘性に制御が加えられる。融解点を超える過剰
温度を利用することによって、必要に応じて、インクを
融解させ、これによって、独立した即時応答ヒータの必
要をなくすものであるが、これには、インクに融解熱を
供給するための二重機能即時作動及び温度調整ヒータが
必要になる。
【0013】
【実施例】次に図面を参照すると、図1には、ガイド・
レール12、13に載って、第1の矢印14で示すよう
に、水平方向において機械的に走査されるキャリッジ1
1から構成される熱式インク・ジェット・プリンタ10
の透視図が示されている。水平走査動作は、モータの制
御ループを閉じるために用いられる単一チャネル線形エ
ンコーダ(不図示)に連係した、コンピュータ制御式直
流モータ(不図示)によって従来のやり方で制御され
る。用紙15のようなプリント媒体が、供給されるが、
これは、蛇腹式折り畳み用紙または切断されたシート用
紙とすることができる。用紙供給機構(不図示)は、第
2の矢印16で示すように、用紙15を水平走査方向に
対して横断するように移動させる。キャリッジ11が、
用紙15を横切る際、複数のインク小滴が噴射されて、
個々のドットの行からなるプリント・バンド17が用紙
15上に形成される。
【0014】図2は、図1に示す熱式インク・ジエット
・プリンタ10のキャリッジ11に用いることが可能
な、改良された熱式インク・ジエット・プリント・カー
トリッジ24の断面の拡大側面図である。熱式インク・
ジエット・プリント・カートリッジ24は、例えば、プ
リナム室26、インク収容リザーバ27、及び、インク
供給室28を備えた、プラスチックで製造可能な中空の
気密容器またはペン本体25から構成される。可撓性ブ
ラダー30は、プリナム室26内に配置され、ペン本体
25の上壁内に取り付けられている。通気孔31によっ
て、ブラダー30の内部からペン本体25の外部への通
路が形成される。上述のように、ペン本体25は、気密
容器から構成される。プリナム室26内の空気は、1イ
ンチ〜4インチ間の水柱の部分真空が普通である。後述
のように、プリナム室26内の空気は、熱式インク・ジ
エット・プリンタ10の動作時に、加熱されることにな
る。プリナム室26内の空気は、加熱されると、膨張す
る。ブラダー30は、プリナム室26の部分真空を維持
するのに必要な剛性を備え、空気が膨張する量だけ収縮
するので、ペン本体25内の圧力がほぼ一定に保たれ、
プリナム室26内に閉じ込められた空気を大幅に膨張さ
せることが可能になる。
【0015】インク収容リサーバ27には、ある量の固
体のインク32が含まれている。インク32は、固体ブ
ロックの形で貯蔵される相変化インクである。インク3
2のブロックは、上部熱放散器33に支持されており、
放散器は、加熱されると、高温のフライパンがバターの
ブロックを溶かすのと同じように、それに接触したイン
ク・ブロック32の底面の一部を液化させる。上部熱放
散器33は、良好な熱伝導体である、アルミニウムまた
は銅のような金属で作られている。断熱器34は、上部
熱放散器33の下方、及び、上部熱放散器33と下部熱
放散器35の間に配置されている。下部熱放散器35
も、アルミニウムで作られており、インク供給室28内
のインク32の液化を維持するため、断熱器34の下方
に配置されている。断熱器34は、従来の熱的に非伝導
性の材料によって製造することができる。上部及び下部
熱放散器33、35及び断熱器34は、適合する接着剤
または他の機械的手段によってペン本体25の内壁に固
定される。即時応答融解ヒータ45は、上部熱放散器3
3の端部と物理的にしっかり接触するように配置され
る。迅速作動及び供給温度制御ヒータ44(以下、クイ
ック・オン・ヒータ44という)は、下部熱放散器35
と熱的にしっかりと接触している。即時応答融解ヒータ
45は、その融解点を超える温度までインク32を加熱
して、インク供給室28に流入可能にする。クイック・
オン・ヒータ44は、噴射に必要な低粘度を得るため、
融解点を10〜40゜C超えるまで、インク供給室28
内のインクに加熱する。
【0016】相変化インクの利用には、一般に、二つの
独立した熱源、すなわち、即時応答融解熱源と、迅速作
動熱源が必要である。相変化インクは、過剰な融解/凝
固サイクルにさらされると、あるいは、液体状態での貯
蔵が長引くと、劣化する可能性がある。このため、小滴
噴射で消費されるのと同じ速さで、液相で補給する必要
がある場合に限って、融解するのが望ましい。例えば、
室温から、50%の衝撃係数により、4KHzで150
ピコリットルの小滴を噴射する、50のノズルを備えた
プリント・ヘッドにおいて、相変化を生じる放出温度ま
で加熱するには、約5ワットの時間平均入力が必要にな
る。
【0017】熱式インク・ジェット・プリンタ10を冷
温始動から迅速に稼働させることができるのは、ユーザ
にとって重要な利点である。これを実現するため、イン
ク供給室28内に納められたインクを融解させるクイッ
ク・オン・ヒータ44が設けられている。後で明らかに
なるように、気泡発生器46(以下、オリフイスとい
う)、または、気泡発生器のオリフィス46から構成さ
れる圧力調整器、及び、ブラダー30を利用して、プリ
ナム室26が部分真空を維持した状態に保たれる。オリ
フイス46は、クイック・オン・ヒータ44の近くに配
置するのが有利である。室温から開始して、10秒で、
動作温度に達し、圧力を調整するには、一般に、1ミリ
リットルの融解インク毎に少なくとも33ワットが必要
になる。通常、インク供給室28内には、温度センサー
122(図3及び9)が配置され、図9に示す温度制御
ループに接続されている。
【0018】プラスチック基板41を構成する、可撓性
で、一般に、L字形の折り曲げられた熱式インク・ジエ
ット・プリント・エンジン40が、ペン本体25の1つ
の面と底面を包囲している。接着剤(不図示)によっ
て、熱式インク・ジエット・プリント・エンジン40と
ペン本体25の間において構造的付着及び密封が行われ
る。即時応答融解と迅速作動の両方の機能を果たすた
め、プラスチック基板41の内表面(ペン本体25に隣
接した)に、クイック・オン・ヒータ44及び即時応答
融解ヒータ45が、配置されている。これらのクイック
・オン・ヒータ44、即時応答融解ヒータ45には、パ
ッシベーションを施していない熱式インク・ジェット・
ヒータ及び導電体に用いられるのと同じ材料及びプロセ
ス・ステップを利用することが可能である。
【0019】本発明の新規の特徴は、小滴発生器または
熱式インク・ジエット・プリント・エンジン40を形成
するプラスチック基板41に、相変化インクを即時応答
で融解し、かつ、迅速作動させるための熱エネルギーを
供給する手段を組み込むことによって、コンポーネント
の追加、及び、熱式インク・ジェット・プリント・カー
トリッジ24の製作におけるアセンブリ・ステップが排
除されるという点にある。
【0020】所望の場合、通常は、熱式インク・ジエッ
ト・プリント・カートリッジ24に必須の部材とみなさ
れるが、独立した即時応答融解ヒータ45なしですます
ことが可能である。所望であれば、液相のインクが納め
られるインク供給室28に、固体インクを即時応答で供
給することによって、ペンの設計を単純化することが可
能である。粘性を制御するため、その融解点(10〜3
0゜C)を大幅に超える温度の液体インクが、熱式イン
ク・ジエット・プリント・エンジン40に送られる。融
解点を超える過剰な温度は、必要に応じて、インクを融
解させるために用いることができるので、独立した即時
応答融解ヒータ45は排除されるが、溶融熱を供給する
ため、クイック・オン・ヒータ44は必要である。
【0021】即時応答ヒータ45が、電力を供給するこ
とによって作動すると、上部熱放散器33は、高温にな
る。その温度が、上昇して、固体のインク32のブロッ
クの融解点を超えると、インク32の相変化が、上部熱
放散器33と接触している部分で生じる。液体は、重力
によって、それぞれ、上部熱放散器33、断熱器34、
及び、下部熱放散器35の穴36、37、38(図3に
はより明確に示されている)を通って流れる。液体は、
その温度がクイック・オン・ヒータ44及び下部熱放散
器35によって制御されている、インク供給室28に入
る。
【0022】ペン本体25には、即時融解ヒータ45に
隣接して、その側面に大きい開口部43が設けられてい
る。ペン本体25には、インク供給室28から熱式イン
ク・ジエット・プリント・エンジン40にインクを送り
込む、少なくとも1つの小さな開口部42が設けられて
いる。可撓性の折り曲げたプリント・エンジン40は、
完全な、高一体化モノリシック熱式噴射インク小滴発生
機構である。可撓性の折り曲げた熱式インク・ジエット
・プリント・エンジン40は、ポリイミド等のようなプ
ラスチックで製造可能な可撓性のプリント基板41上に
組み立てられる。ブラダー30に関連したオリフイス4
6によって、インクの送り出し圧が調整される。オリフ
イス46は、プラスチック基板41にレーザ融除による
オリフィス46(または1組のオリフィス46)を設け
ることによって形成される。オリフィス46は、送り出
し温度における液体の表面張力に応じて、150〜25
0ミクロンになるのが一般的である。1992年4月2
日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された、「プリン
トヘッド及びその製造方法(Printheadand
a Method for the Manufac
ture Thereof)」と題する米国特許出願第
07/868,355号には、レーザ融除によるオリフ
ィスを設ける技法が開示されている。
【0023】オリフイス46は、下記のように動作す
る。既知の直径のオリフィス46を通る液体に気泡を生
じさせ始めることになる圧力の測定は、その蒸気にさら
される液体の表面張力を測定する技術において、周知の
ところである。本発明では、この原理を利用することに
よって、インクの送り出し圧が調整される。気泡発生器
のオリフィス46のメニスカスが、大気中より低い圧力
によってインク収容リザーバ27に吸い込まれる。イン
クが、インク収容リザーバ27から取り出され、小滴発
生器または熱式インク・プリント・エンジン40によっ
て噴射されると、部分真空が生じる。メニスカスの破壊
によって、気泡がインク供給室28に入ることが可能に
なる。こうして導入された空気の追加量によって、圧力
調整手段が得られる。オリフイス46を通って入る空気
の時間平均によって、プリントのために引き出されるイ
ンクの量のバランスがとられ、これによって、プリナム
室26がほぼ一定の圧力に維持される。オリフイス46
は、放出量を埋め合わせる空気の供給源を形成する。オ
リフイス46は、開口(または「クラッキング」)圧が
プリセットされた弁のような働きをし、プリナム真空が
メニスカスを破壊するのに十分な高さにならない限り、
空気がプリナム室26に入れないようにする。
【0024】メニスカスが崩壊し、気泡が吸い込まれる
ことになる圧力は、気泡発生器のオリフィス46の直
径、液体インクの表面張力、及び、オリフイス46を構
成する材料上における液体インクの湿潤角によって決ま
る。表面張力及び湿潤角が公称値の場合、調整角は、気
泡発生器のオリフィス46の直径を選択することによっ
てセットされる。オリフィス46が小さくなると、一般
に、真空が支持することのできる水柱の高さ(インチで
表す)によって測定される、部分真空が高まることにな
る。オリフィス46の直径が減少すると、調整の行われ
る部分真空が増大する(気泡を生じて、インク供給室2
8に送り込むことによって)。例えば、24ダイン/c
mの表面張力が相変化インクに加えられると、直径が1
60ミクロンのオリフィス46は、2.5インチの水柱
(オリフイス46の平面で測定される)に調整する。
【0025】本発明は、小滴発生器または熱式インク・
ジエット・プリント・エンジン40を形成する、プラス
チック基板41と一体化した圧力調整器を組み込むこと
によって、追加コンポーネント及び熱式インク・ジェッ
ト・プリント・カートリッジ24の製作時のアセンブリ
・ステップが排除される。さらに、この調整器は、局所
熱源(クイック・オン・ヒータ44)を用いて、インク
供給室28内における固化したインクを液化させること
によって、気泡が液相に入れるようにし、また、局所熱
源を除去する(クイック・オン・ヒータ44をオフにす
る)手段を用いて、取扱い時及び出荷時に気泡発生器の
オリフィス46を密封し、ペン本体25内における部分
真空を保持して、インクの放出を防止する。
【0026】プラスチック基板41に気泡発生器として
のオリフイス46を組み込む望ましい実施例は、プラス
チックまたは他の適合する材料から構成される単純な外
部ダスト・シールド(不図示)によって強化することが
できる。熱式インク・ジエット・プリント・カートリッ
ジ24の露出した平面上におけるオリフイス46の位置
によって、紙ぼこりや、外表面の湿潤性に影響する他の
汚染物が付着しやすくなる。このため、圧力調整が影響
を受け、最悪の場合、インクがオリフイス46から垂れ
て、オリフィス46から漏出する可能性がある。
【0027】クイック・オン・ヒータ44、即時応答融
解ヒータ45が作動すると、プリナム室26内の空気
は、かなりの温度変化を被るので、オリフイス46によ
る圧力調整は、ブラダー30と連係して行われる。オリ
フイス46によって調整される1〜4インチの水柱の部
分真空状態にあるプリナム室26の空気は、即時応答融
解ヒータ45によって加熱されると、膨張する。定圧の
場合、プリナム室26内の空気の体積は、室温から12
0゜Cに加熱されると、約1/3だけ膨張する。ブラダ
ー30は、プリナム室26内における部分真空を維持す
るのに必要な剛性を備えており、空気が膨張する量だけ
収縮するので、圧力はほぼ一定に保たれ、同時に、プリ
ナム室内に閉じ込められた空気のかなりの膨張が可能に
なる。本発明の場合、体積の変化は、ほぼ、内部で発生
する熱によるものであり、固体のインク32の・ブロッ
クをほとんど消費した時、空気の膨張を補償するため、
ブラダー30によって処理される体積は、プリナム室2
6の総体積の約40%である。ブラダー30の機能は、
ほぼ一定の予荷重を加える弾性ブラダーまたはピストン
のような、他の適合手段によって果たすことも可能であ
る。
【0028】本発明の譲受人に雇用されている他の発明
者によって、熱式インク・ジェット・プリント・ヘッド
の構造部材に対して可撓性プラスチック基板が発明され
ている。他の発明者は、可撓性プラスチック基板に薄
膜、バリヤ、オリフィス板、及び、電気接続部をさまざ
まに組み込んだ。本発明では、3つの追加機能、すなわ
ち、圧力調整、インク濾過、及び、迅速作動及び即時応
答融解ヒータを組み込むことによって、先行技術による
インク・ジェット・プリント・ヘッドの設計に改良を施
している。これらの機能を先行技術の構成要素に組み合
わせることによって、インクの収容、機械的アライメン
ト、熱伝達、及び、体積補償コンポーネントを除けば、
プラスチック基板41上に完全な熱式インク・ジェット
・プリント・エンジン40を製作することが可能であ
る。
【0029】図3は、本発明の原理に基づいて作られた
熱式インク・ジエット・プリント・カートリッジ24の
分解部分切り欠き図である。図3には、熱式インク・ジ
エット・プリント・カートリッジ24をアセンブルする
方法、及び、そのコンポーネントの相対位置及び関係が
示されている。特に、図3には、即時応答融解ヒータ4
5が上部熱放散器33の外端部にいかに接触し、クイッ
ク・オン・ヒータ44が、下部熱放散器35の下側にい
かに接触するかが示されている。こうして、クイック・
オン・ヒータ44、即時応答融解ヒータ45のそれぞれ
と上部熱放散器33、下部熱放散器35のうち対応する
放散器との間に、熱経路が形成される。穴36、37、
38及びインク供給室28がより明確に示されており、
これによって、液化インクが熱式インク・ジエット・プ
リント・エンジン40に向かう経路が明らかになる。
【0030】図4には、本発明の高一体化モノリシック
・熱式インク・ジエット・プリント・エンジン40の実
施例が示されている。図4は、折り曲げる前におけるプ
ラスチック基板41の正面の平面図である。プラスチッ
ク基板41は、例えば、引っ張り強度が大きく、寸法の
安定性が高く、インクに対する化学的不活性度の高いポ
リイミドのような、プラスチックで作られている。折り
曲げライン50は、レーザ融除による穿孔によって形成
され、折り曲げライン50の右に位置するプラスチック
基板41の部分は、オリフィス板51を形成する。液体
インク噴射室としての複数の小滴噴射室52が、レーザ
融除によって、プラスチック基板41の厚さの約1/2
の深さになるように形成される。小滴噴射室52は、一
体インク・バリヤを形成するプラスチック基板41の非
融除部分によって互いに分離される。各小滴噴射室52
には、融除によってプラスチック基板41を完全に突き
抜けた小滴噴射オリフイスとしてのノズル53が設けら
れている。これらのノズル53は、所定の直径を備えて
おり、熱式インク・ジエット・プリント・カートリッジ
24から用紙15に液体インク39の小滴を噴射する。
便宜上、図4には、5つの噴射室52とノズル53が示
されているが、その数は、実際に用いられる場合、約7
00ほどになるのが普通である。小滴噴射室52は、本
発明の主機能に影響を及ぼすことなく、プラスチック基
板41及びオリフィス板51に積層されるハンダ・マス
ク材料のような、厚いフィルム材料に、フォトリソグラ
グラフィ処理によって形成することが可能である。
【0031】折り曲げライン50の左には、小滴噴射室
52内のインクを気化するための複数の気化ヒータ54
が設けられている。気化ヒータ54は、周知の薄膜また
は圧膜プロセスによって形成することができる。オリフ
ィス板51を折り曲げライン50で折り曲げると、小滴
噴射室52が、気化ヒータ54に重なることになる。イ
ンク供給室28から小滴噴射室52にインク32を供給
する小さな開口部42が、気化ヒータ54の近くに配置
されている。可撓性回路を形成する複数の導電性トレー
ス55のそれぞれによって、気化ヒータ54が、それぞ
れ、プラスチック基板41の左端に配置された電気的相
互接続端子56に接続される。共通の戻り回路トレース
64によって、気化ヒータの全てまたはグループが、共
通の戻り回路端子65に接続される。気泡発生器のオリ
フィス46は、融除によって、気化ヒータ54に近いプ
ラスチック基板41を完全に突き抜けている。
【0032】図5は、プラスチック基板41の背面側の
平面図である。熱式インク・ジエット・プリント・エン
ジン40が、図2に示すように、ペン本体25の一方の
側面及び底面を包むように折り曲げられると、図5に示
すプラスチック基板41の背面は、熱式インク・ジエッ
ト・プリント・カートリッジ24の内側に位置する。図
5の場合、第1のダッシュ・ラインは、オリフィス板5
1を形成する折り曲げライン50に沿って延びている。
第2のダッシュ・ライン59は、プラスチック基板41
の側面57を底面から分離するL字形の折り曲げライン
を形成している。オリフィス板51には、ノズル53を
見ることができ、プラスチック基板41の底面58の近
くには、融除によるインク供給開口部42を見ることが
できる。プラスチック基板41の底面58には、オリフ
イス46を見ることができる。プラスチック基板41の
底面58には、クイック・オン・ヒータ44が配置され
ており、経路61bまで延びる導電性トレース60を備
えている。プラスチック基板41の側面57には、即時
応答融解ヒータ45が配置されており、ブァイア(Vi
a)63bまで延びる独立した導電性トレース62を備
えている。共通の戻り回路トレース66によって、クイ
ック・オン・ヒータ44及び即時応答融解ヒータ45が
共通の戻り回路ヴァイア67bに接続される。
【0033】図6は、L字形に折り曲げられた熱式イン
ク・ジエット・プリント・エンジン40の透視図であ
る。この図では、第1と第2の折り曲げライン50、5
9に沿ってオリフィス板51を折り曲げて、小滴噴射室
52を気化ヒータ54に重ねることによって、小滴発生
器が形成されている。
【0034】クイック・オン・ヒータ44及び即時応答
融解ヒータ45は、図5に示すプラスチック基板41の
背面の金属層によって形成される薄膜ヒータとすること
もできるし、あるいは、代替案として、既に、プラスチ
ック基板41の所定位置にヒータが配置された第2のプ
ラスチック・フィルムを積層することによって形成する
ことも可能である。クイック・オン・ヒータ44及び即
時応答融解ヒータ45の設計には、いくつかのオプショ
ンが存在する。クイック・オン・ヒータ44、即時応答
融解ヒータ45は、一般に、各端部に導体を備えた、
0.5〜3平方の抵抗器材料から成る薄膜抵抗器によっ
て構成することが可能である。もう1つの実施例では、
抵抗器材料の開口部に同じ構成を用いている。これによ
って、ヒータと、メッキした通し穴によって前面の導体
を接続するジャンパとの間が、電気的に絶縁される。こ
れらの部材のまわりに集まる電流によって、不均一な加
熱が生じる。これは、無視することもできるし、あるい
は、経路の空間的配置によって、影響を最小限にとどめ
ることも可能である。もう1つの実施例では、エッジ導
体間に抵抗ストリップが配置される。ストリップ間のス
ペースを利用して、クイック・オン・ヒータ44、即時
応答融解ヒータ45が、前面導体間のジャンパから電気
的に絶縁される。この構成を利用して、ヒータの全抵抗
を調整するため、抵抗材料の平方数を増すことが可能で
ある。
【0035】クイック・オン・ヒータ44に関しては、
さらにオプションがある。クイック・オン・ヒータ44
内にオリフイス46を配置することによって、気泡発生
器46上において、また、熱式インク・ジエット・プリ
ント・エンジン40とプリナム室26の間のインク供給
室28内において、インクを急速に融解させる必要性を
満たすことが可能である。介在する層の熱抵抗を伴わな
い、効率の良い熱伝達のために、ヒータ材料を直接層変
化インクにさらすことも可能である。オプションによ
り、オリフイス46の近くにおける湿潤角の制御のため
に、ヒータ材料を除去しなければならない場合もあり得
る。もう1つの実施例では、シルク・スクリーン印刷ま
たは他の適合する手段によって被着させることの可能な
厚膜から、クイック・オン・ヒータ44が形成される。
このクイック・オン・ヒータ44は、前述の薄膜のクイ
ック・オン・ヒータ44のように、導電性トレース6
0、66、及び、62を電気的に接続する。
【0036】もう1つの実施例では、図4に示すよう
に、前面の薄膜のクイック・オン・ヒータ44、即時応
答融解ヒータ45、及び、導体に用いられるものとは異
なるプロセスを利用して、独立したプラスチック基板上
にクイック・オン・ヒータ44、即時応答融解ヒータ4
5が形成される。これらのクイック・オン・ヒータ4
4、即時応答融解ヒータ45、及び、導体は、リソグラ
フィ精度の前面メタライゼーションを必要とせず、背面
ヒータ及び導体プロセスを本発明の折り曲げ基板41に
用いられるステップから分離するほうが、コスト的に有
利になる可能性がある。次に、クイック・オン・ヒータ
44、即時応答融解ヒータ45、及び、導電性トレース
60、66、62を含むプラスチック基板は、気化ヒー
タ54、小滴噴射室52、オリフィス46等を含むプラ
スチック基板に積層させることができる。前述のよう
に、第2のフィルム及びヒータに開口された窓によっ
て、レーザ融除プロセスで外側プラスチック層にオリフ
イス46を形成し、積層に気泡を通すことが可能にな
る。積層ヒータは、前述のように、導電性トレース6
0、62、及び、66と電気的に接続する。接続は、ハ
ンダ付け、導電性エポキシ、または、他の適合手段によ
って行うことができる。
【0037】従来の熱式インク・ジェット・プリント・
カートリッジには、織り金網から成るインク・フィルタ
が用いられている。小滴噴射オリフィスが詰まらないよ
うにするため、直径10〜20ミクロンの粒子を除去す
るには、この織り金網を選択するのが普通である。本発
明では、図7に示すように、レーザ融除を利用して、プ
ラスチック基板41にフィルタ穴70のアレイが形成さ
れる。これは、小滴噴射室52、ノズル53、及び、気
泡発生器のオリフィス46を含む、他の構造的機構の融
除形成と同時に行われる。
【0038】図7は、プラスチック基板41の部分拡大
切り欠き図である。この図には、それぞれ、通常は、直
径が10〜20ミクロンの範囲の、フィルタ穴70のア
レイによって形成される一体インクフィルタの細部が示
されている。フィルタ穴70のアレイのまわりに、折り
曲げた後における小滴噴射室52の足跡71をドット・
ラインで見ることができる。丸いフイルタ穴70が示さ
れているが、オブラウンド、楕円、及び、スロットとい
った、他の構造も有効と思われる。フイルタ穴70のい
くつかが詰まるようになるので、一体フィルタを通る流
量インピーダンスが、許容可能な限界内にとどまるよう
に、十分な数のフイルタ穴70が必要になる。フイルタ
穴70の数、直径、及び、形状は、小滴噴射室52の流
体調整に関する公称再充填インピーダンスが得られるよ
うに選択することが可能である。理解しておくべきは、
これらのフィルタ穴70は、図2、4、及び、5に示す
小インク供給の開口部42の代わりに用いられる点であ
る。また、理解しておくべきは、フィルタ穴70のアレ
イは、相変化インク・ペンだけでなく、液体インク・ペ
ンにも用いることが可能であるという点である。従っ
て、本発明のもう1つの新規性は、プラスチック基板4
1と一体化され、小滴発生器を形成することによって、
コンポーネントの追加、及び、熱式インク・ジェット・
プリント・カートリッジ24の製造におけるアセンブリ
・ステップを排除する、インク濾過システムにある。
【0039】図8を参照すると、小滴発生器としての熱
式インク・ジエット・プリント・エンジン40の切り欠
き断面図が示されている。インク・リザーバ91は、固
体粒子93を含む液体のインク32を収容した壁92を
備えている。プラスチック基板41の折り曲げ部分94
は、小滴噴射室52と噴射ノズル97から液体のインク
32を分離するフィルタ穴70のアレイを備えている。
動作時、フィルタ穴70のアレイは、固体粒子93が小
滴噴射室52に侵入するのを阻止する。液体のインク3
2は、液相の相変化インクとすることも可能である。次
に、図9を参照すると、図8の小滴発生器としての熱式
インクジエット・プリント・エンジン40の断面図が示
されている。基板41の折り曲げ部分94には、小滴噴
射室52に通じるフィルタ穴70が設けられている。図
9に示すように、プラスチック基板41を構成する小滴
噴射室52の壁面の1つには、気化ヒータ98が設けら
れ、その反対側の壁面には、噴射ノズル97が設けられ
ている。
【0040】次に、図10を参照すると、熱式インク・
ジェット・プリント・カートリッジ24の温度及びイン
ク・レベルを調整するための制御システム110の概略
図が示されている。相変化インクの固体のインク32の
ブロックが、インク収容リザーバ27に納められてお
り、インク供給室28には、液体インク115が入って
いる。相変化インクの固体のインク32のブロックは、
上部熱放散器33に支持されている。即時応答融解ヒー
タ45は、略図で抵抗器として示されており、電源12
1に接続されて、電力を得る即時応答融解及びインク・
レベル調整器120に接続されている。インク供給室2
8に近いペン本体の壁面には、熱式インク・ジエット・
プリント・エンジン40に対して送り出される液相イン
クのレベルを適正に保つため、インク・レベル・センサ
ー122が設けられている。インク・レベル・センサー
122は、即時応答融解及びインク・レベル調整器12
0に電気的に接続されており、この組み合わせによっ
て、即時応答融解ヒータ45によって生じる加熱量が制
御される。即時応答融解及びインク・レベル調整器12
0は、インク・レベル・センサー122からの信号と公
称インク・レベルを表すプリセット値の比較を行う。イ
ンク供給室28におけるインク・レベルが公称値未満で
あることを表した信号を受信すると、即時応答融解ヒー
タ45に電力が供給され、固体のインク32が融解す
る。インク供給室28に液相インクが入り込むと、イン
ク・レベルが上昇し、インク・レベル・センサー122
によって、レベルが公称値以上であることが表示される
と、即時応答融解ヒータ45に対する電力供給が停止さ
れる。インク・レベル・センサー122は、当該技術に
おいて既知の任意の数の手段を用いることが可能であ
る。これは、自己加熱モードで動作するサーミスタを含
んでおり、この結果、液相インクの存在によって、装置
から熱が吸収されるので、液相インクがない場合に観測
される温度未満にまで、温度が低下することになる。
【0041】クイツク・オン・ヒータ44が、概略図で
抵抗器として示されているが、熱式インク・ジエット・
プリント・エンジン40に組み込まれており、供給温度
調整器124に電気的に接続されている。供給温度調整
器124は、また、電源121から電力を引き出す。イ
ンク供給室28には、温度センサー125が配置されて
おり、液体インク115の温度をモニターできるように
なっている。温度センサー125は、供給温度調整器1
24に電気的に接続されており、この組み合わせによっ
て、クイック・オン・ヒータ44によって生じる加熱量
が制御される。供給温度調整器124は、温度センサー
125からの温度に関する信号と内部プリセット基準と
の比較を行う。温度センサー125が検知した温度が、
プリセット値未満であれば、即座に、クイック・オン・
ヒータ44に電力が供給される。温度センサー125に
は、サーミスタ、熱電対、及び、温度検知抵抗器といっ
た、当該技術において周知の温度検知手段を用いること
が可能である。即時応答融解及びインク・レベル調整器
120と供給温度調整器124の両方に関して、比例、
積分、及び、微分補償、または、これらの任意の組み合
わせを用いた単純な制御アルゴリズムを利用することも
可能である。
【0042】次に図11を参照すると、熱式インク・ジ
ェット・プリント・カートリッジ24aにおける温度及
びインク・レベルを調整するための、本発明による第2
の制御システム110aの概略図が示されている。この
実施例は、即時応答融解ヒータ45及び一体化モノリシ
ック熱式インク・ジエット・プリント・エンジン40
が、修正を受け、熱式インク・ジエット・プリント・エ
ンジン40aとして識別される点を除けば、図2の実施
例とほぼ同じである。相変化インクの固体のインク32
のブロックが、インク収容リザーバ27に収容されてお
り、インク供給室28には、液体インク115が入って
いる。相変化インクの固体のインク32のブロックは、
上部熱放散器33に支持されている。即時応答融解ヒー
タ45aは、略図で、上部熱放散器33の一部をなす抵
抗器として示されており、電源121から電力を得る即
時応答融解及びインク・レベル調整器120に接続され
ている。この実施例の場合、即時応答融解ヒータ45a
が、上述の即時応答融解ヒータ45に取って代わってい
る。インク供給室28に近いペン本体25の壁面には、
熱式インク・ジエット・プリント・エンジン40に対し
て送り出される液相インクのレベルを適正に保つため、
インク・レベル・センサー122が設けられている。イ
ンク・レベル・センサー122は、即時応答融解及びイ
ンク・レベル調整器120に電気的に接続されており、
この組み合わせによって、即時応答融解ヒータ45aに
よって生じる加熱量が制御される。即時応答融解及びイ
ンク・レベル調整器120は、インク・レベル・センサ
ー122からの信号と公称インク・レベルを表すプリセ
ット値の比較を行う。インク供給室28におけるインク
・レベルが公称値未満であることを表した信号を受信す
ると、即時応答融解ヒータ45aに電力が供給され、固
体のインク32が融解する。インク供給室28に液相イ
ンクが入り込むと、インク・レベルが上昇し、インク・
レベル・センサー122によって、レベルが公称値以上
であることが表示されると、即時応答融解ヒータ45a
に対する電力供給が停止される。
【0043】図12には、図11の熱式インク・ジエッ
ト・プリント・カートリッジ24aに用いられた一体化
モノリシック・熱式インク・ジエット・プリント・エン
ジン40aが示されている。この熱式インク・ジエット
・プリント・エンジン40aは、代替の即時応答融解ヒ
ータ45aがその一部として形成されている点を除け
ば、図4〜6を参照して解説した熱式インク・ジエット
・プリント・エンジン40とほぼ同じである。前述の熱
式インク・ジエット・プリント・エンジン40と同様で
あるため、熱式インク・ジエット・プリント・エンジン
40aの細部の一部についてしか言及しない。即時応答
融解ヒータ45aは、上述のようにL字形部材として形
成することができ、この場合、即時応答融解ヒータ45
aは、例えば、薄膜として、形成可能であり、インク供
給室28に対する液体インク115の流入を可能にする
開口部130が配置される。即時応答融解ヒータ45a
が形成されたL字形部材は、従来のやり方で、接着剤を
用いて、あるいは、例えば、メタライゼーション領域を
互いにハンダ付けすることによって、熱式インク・ジエ
ット・プリント・エンジン40aの垂直壁面に取り付け
ることが可能である。
【0044】上述の一体化モノリシック・熱式インク・
ジエット・プリント・エンジン40aのもう一つの改良
形には、前述のプラスチック基板41の代わりに、プリ
ント回路基板41aを組み込むことが可能である。プリ
ント回路基板41aは、図11に示すように、熱式イン
ク・ジエット・プリント・エンジン40aの垂直部分を
構成している。迅速作動及びクイック・オン・ヒータ4
4を構成する熱式インク・ジエット・プリント・エンジ
ン40aの下方L字形部分は、導電性エポキシまたは他
の接着剤を用いてプリント回路基板41aに結合するこ
ともできるし、あるいは、例えば、リフロー・ハンダ付
けを施すことも可能である。即時応答融解ヒータ45a
を構成する熱式インク・ジエット・プリント・エンジン
40aの上部L字形部分は、やはり、導電性エポキシを
用いてプリント回路基板41aに結合することもできる
し、あるいは、例えば、リフロー・ハンダ付けを施すこ
とも可能である。当該技術の熟練者であれば、周知のプ
リント回路書き込み技法を利用して、簡単に、クイック
・オン・ヒータ44、即時応答融解ヒータ45とプリン
ト・回路基板41aを結合することが可能である。
【0045】上述の熱式インク・ジエット・プリント・
エンジン40aに対する修正では、熱式インク・ジエッ
ト・プリント・エンジン40aの垂直部分における比較
的高価な可撓性回路材料の代わりに、比較的安価なプリ
ント回路材料を用いられるので、この修正は、極めて望
ましい。製造コストの観点に立つと、修正された設計の
場合、一体化モノリシック・熱式インク・ジエット・プ
リント・エンジン40aにとってコスト的に有効なアプ
ローチが得られることになる。
【0046】圧力調整、インク濾過、即時応答融解、及
び、迅速作動ヒータを組み込んだ、新規の、改良形一体
化モノリシック熱式インク・ジェット・プリント・ヘッ
ドについての解説は、以上の通りである。ヒータの配置
されたいくつかの基板を用いることが可能である。開示
のこの特徴は、固体相変化インク・プリント・ヘッドに
は有効であるが、フィルタ穴のアレイは、液体インク・
プリント・カートリッジにも有効である。局所熱源の利
用により、固体インクを液化して、気泡発生器の圧力調
整器からの気泡が、液相に入ることができるようにし、
また、局所熱源を除去して、取扱い時及び出荷時に、気
泡発生器のオリフィスを密封し、圧力調整器内の部分真
空を保持して、インクの放出を阻止するのが、本発明の
特徴である。もう1つの特徴は、内部に発生する熱によ
るプリナム室内の空気の膨張が、外部への通気孔が設け
られたベローによって補償されることである。理解すべ
きは、上述の実施例は、本発明の原理の適用例を表し
た、多くの特定の実施例のいくつかを例示したものにす
ぎないという点である。当該技術の熟練者であれば、本
発明の範囲を逸脱することなく、簡単に、多くの、他の
構成を考案することが可能である。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、プリナム室を形成するエンクロージャー内に相変
化インクと可撓性部材を収容し、可撓性部材に大気圧に
連通する通気孔を形成するとともに、エンクロージャー
に固定した基板にオリフイスによる気泡発生器を形成
し、相変化インクの体積とエンクロージャーの温度が変
化しても可撓性部材とそののオリフイス及び気泡発生器
とによる協働作用により、エンクロージャー内の圧力を
大気圧より低くほぼ一定に調整できるように構成したの
で、構成を簡略にでき、コストダウンが可能になるとと
もに、最小限の追加プロセスで追加機能を実現できる効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリントバンド、例えば、用紙を横切る1行ま
たは複数行のピクセルをプリントする熱式インク・ジエ
ット・プリンタの透視図である。
【図2】本発明を実施し、かつ図1のプリンタに用いら
れる熱式インク・ジエット・プリント・カートリッジの
側断面図である。
【図3】本発明の原理を組み込んだ熱式インク・ジエッ
ト・プリント・カートリッジの分解部分切り欠き図であ
る。
【図4】図2の熱式インク・ジエット・プリント・カー
トリッジに用いられている一体化モノリシック・熱式イ
ンク・ジエット・プリント・エンジンを折り曲げる前の
正面の平面図である。
【図5】図4の熱式インク・ジエット・プリント・エン
ジンを折り曲げる前の背面の平面図である。
【図6】図3及び図4の一体化モノリシック熱式インク
・ジエット・プリント・エンジンを折り曲げた後の透視
図である。
【図7】フイルタ穴のアレイからなる一体化インクフイ
ルタの詳細を示す図3の一体化モノリシック熱式インク
・ジエット・プリント・エンジン正面の拡大部分図であ
る。
【図8】折り曲げた基板及びフイルタ穴のアレイを示す
小滴発生器の断面図である。
【図9】図8の小滴発生器の断面図である。
【図10】インクレベルの調整及びインク温度の調整を
示す固体インク・プリント・カートリッジのための制御
システムの概略図である。
【図11】二重即時応答融解ヒータ及び制御システムを
実施する本発明に基づく熱式インク・ジエット・プリン
ト・カートリッジの第2の実施例の概略図である。
【図12】図11の熱式インク・ジエット・プリント・
カートリッジに実施される一体化モノリシック・熱式イ
ンク・ジエット・プリント・エンジン示す図である。
【符号の説明】
10 熱式インク・ジエット・プリンタ 11 キャリッジ 15 用紙 24,24a 熱式インク・ジエット・プリント・カー
トリッジ 25 ペン本体 26 プリナム本体 27 インク収容リザーバ 28 インク供給器 30 ブラダー 31 通気孔 32 インク 33 上部熱放散器 35 下部熱放散器 39,115 液体インク 40,40a 熱式インク・ジエット・プリント・エン
ジン 41 プラスチック基板 41a プリント回路基板 44 供給温度制御ヒータ(クイック・オン・ヒータ) 45,45a 即時応答融解ヒータ 46 気泡発生器(オリフイス) 51 オリフイス板 52 小滴発生器 53,97 ノズル 70 フイルタ穴 91 インクリザーバ 97 噴射ノズル 110 制御システム 110a 第2の制御システム 120 即時応答融解及びインクレベル調整器 141a 印刷回路基板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリナム室を形成するエンクロージャー
    と、エンクロージャーに取り付けられた液体インク噴射
    室を形成する部材を有する基板と、基板に形成された基
    板に配置されている小滴噴射オリフイスを有するオリフ
    イス板と、オリフイスを通してインク小滴を噴射するた
    めの気泡を得るインクを気化するために基板上に配置さ
    れた複数の加熱部材と、複数の加熱部材に加熱電流を供
    給するために基板に配置された導電体とから構成された
    熱式インク・ジェット・プリント・ヘッドにおいて、エ
    ンクロージャー内に配置された相変化インクの体積とエ
    ンクロージャーの温度の関数としてその体積を変化する
    ために適応されるエンクロージャー内に配置された可撓
    性部材を含み、かつエンクロージャー内の大気圧より低
    い圧力を実質的に維持するために可撓性部材の内部を大
    気圧に通じさせる通気孔を含む圧力調整手段と、圧力調
    整手段と協動してエンクロージャー内の圧力を調整する
    ように適用される所定の直径を備えた少なくとも一つの
    オリフイスから構成される基板に配置された気泡発生器
    とからなる熱式インク・ジェツト・プリント・ヘッド。
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