JPH06197786A - アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法 - Google Patents
アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法Info
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Abstract
ンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法であっ
て、乳酸菌又は、乳酸菌及び酵母を、Ile-Pro-Pro及び
/又はVal-Pro-Proを構成成分とするペプチドを含む培
地にて培養し、精製処理したアンジオテンシン変換酵素
阻害ペプチドの製造法。 【効果】 本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプ
チドの製造法は、微量の経口投与により優れたアンジオ
テンシン変換酵素阻害活性を示す特定のアンジオテンシ
ン変換酵素阻害ペプチドを、安価に且つ容易に製造する
ことができ、工業的にも極めて有効である。
Description
酵素阻害活性を示す、Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-P
roを含有するアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの
製造法に関する。
n Converting Enzyme、以下ACEと称す)は、主に肺
や血管内皮細胞に存在し、レニンにより分解されたアン
ジオテンシンI(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-His
-Leu)に作用してC末端よりジペプチド(His-Leu)を遊離
させ、血管壁平滑筋収縮作用を有し、強力な血圧上昇作
用を有するアンジオテンシンIIを産生する。また、この
酵素は、降圧作用を有するブラジキニンを分解し、不活
性化する作用を合せもつ。このようにACEは、昇圧ペ
プチド(アシジオテンシンII)を産生すると共に、一方
では降圧ペプチド(ブラジキニン)を分解、不活化する
ので、結果として血圧を上昇させる作用を示す。従っ
て、この酵素活性を阻害することにより、血圧上昇を抑
制させる物質が種々開発されている。
はじめとして、天然物、合成物が多数報告されており、
カプトプリル(D−2−メチル−3−メルカプトプロパ
ノイル−L−プロリン)等の合成物質は既に経口降圧剤
として実用化されている。しかし、これら医薬品は、多
くの場合、副作用等を有し常に安全性の問題に注意を払
わなければならない。そこで低毒性で安全性の高い降圧
剤を期待し、天然物由来のACE阻害物質が各方面で研
究されており、例えばカゼイン[Susumu MARU-YAMA et
al. A.B.C., 51(9), 2557〜2561 (1987)]、魚肉蛋白質
[受田浩之,日本農芸化学会誌,66(1),25〜29(1992)]
等の酵素分解物から得られるACE阻害ペプチド等が報
告されている。
CE阻害活性を有するペプチドの含有量は微量であり、
現実に経口投与により有効なデータを得るには、通常の
摂取量では効果が期待できず、比活性の強い有効ペプチ
ドをより簡便に、大量濃縮、精製する方法の開発が望ま
れている。
ro又はIle-Pro-Proが、降圧作用を有するペプチドとし
て提案されている(特開平3−120225号公報)。
しかしながら、このような降圧作用を有するペプチドの
製造法としては、単に化学合成法が提案されているに過
ぎず、このような化学合成法では、所望のペプチドを工
業的に生産するのが困難であるという欠点がある。
性が高く、有効なACE阻害活性を有し、医薬品、機能
性食品として使用できるペプチドを大量に且つ容易に製
造することができる方法を提供することにある。
o-Pro及び/又はVal-Pro-Proを含むアンジオテンシン変
換酵素阻害ペプチドの製造法であって、乳酸菌又は、乳
酸菌及び酵母を、Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを
構成成分とするペプチド及び/又は蛋白質を含む培地に
て培養し、精製処理することを特徴とするアンジオテン
シン変換酵素阻害ペプチドの製造法が提供される。
は、まず乳酸菌又は、乳酸菌及び酵母を、Ile-Pro-Pro
及び/又はVal-Pro-Proを構成成分とする培地において
培養する。
例えばラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus
helveticus)、ラクトバチルス・デルブルィキィ・サブ
スペシィーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbruek
ii subsp. bulgaricus)等のラクトバチルス属に属する
乳酸菌;ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcuslact
is)等のラクトコッカス属に属する乳酸菌;ストレプト
コッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilu
s)等のストレプトコッカス属に属する乳酸菌;ロイコノ
ストック・ラクテス(Leuconostoc lactis)等のロイコノ
ストック属に属する乳酸菌;ビフィドバクテリウム・ロ
ンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウ
ム・ブレベ(Bifidobacterium breve)等のビフィドバク
テリウム属に属する乳酸菌又はこれらの混合物等を好ま
しく挙げることができ、使用に際しては、酵母等との混
合物として用いることもできる。この際前記酵母として
は、例えば、サッカロマイセス・セレビシェ(Saccharom
yces cerevisiae)等のサッカロマイセス属に属する酵母
菌;カンディダ・ウチリス(Candida utilis)等のカンデ
ィダ属に属する酵母菌;クルイベロマイセス・マルキサ
ナス・バー・ラクティス(Kluyveromyces marxianus var
lactis)等のクルイベロマイセス属に属する酵母又はこ
れらの混合物等を好ましく挙げることができる。該酵母
を用いる際の酵母の接種比率は、乳酸菌数約1000に
対して、酵母数1〜10であるのが好ましい。
るための前記Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを構成
成分とする培地としては、例えばIle-Pro-Pro及び/又
はVal-Pro-Proを構成成分として含むペプチド及び/又
は蛋白質を有する食品素材、具体的には獣乳の全乳、脱
脂乳、カゼイン等の乳タンパク質成分;とうもろこし、
コーンタンパク、小麦、小麦タンパク、大豆、脱脂大
豆、大豆タンパク等の食品素材を、例えばブリッグス・
リバー・ブロス(Briggs Liver Broth)、MRSブロス
等の公知の乳酸菌発酵培地に添加した培地等を好ましく
挙げることができる。
Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを構成成分とする培地に
おいて培養する際の条件は、乳酸菌、酵母の種類又はそ
の組合わせ等により異なるが、好ましくは、前記Ile-Pr
o-Pro及び/又はVal-Pro-Proを構成成分として含むペプ
チド及び/又は蛋白質を有する食品素材を、例えば水等
により溶液状として培地に添加し殺菌した後、乳酸菌又
は、乳酸菌及び酵母を添加して培養することにより行う
ことができる。この際培養温度は25〜45℃、培養時
間は3〜72時間の範囲で行うのが好ましく、特に乳酸
菌を効果的に作用させるために、培養開始時のpHを6
〜7に調整するのが望ましい。培養の終了点は、例えば
乳酸菌数が、107個/ml以上またはPH5.5以下
になった時点で判断することができる。また該培養を行
う際の乳酸菌又は、乳酸菌及び酵母の接種量は、前記Il
e-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを構成成分とする培地
に対して、乳酸菌数で約5×105〜5×107個/ml
とするのが好ましい。更に前記培養は、複数回に分けて
行うこともできる。また培養中に水酸化ナトリウム等の
アルカリ剤を添加して培地のpHを5〜7に調整するこ
ともできる。
Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを構成成分とするペ
プチド及び/又は蛋白質のほとんどが、Ile-Pro-Pro及
び/又はVal-Pro-Proであるトリペプチドに分解されて
存在するが、Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを含む
10残基程度までのオリゴペプチドが存在していても良
い。
養物を培養液として精製処理することにより目的とする
ACE阻害ペプチドを得ることができる。この際前記培
養液を遠心分離した後の上清を、次の精製処理に供する
こともできる。前記培養液の遠心分離は、例えば高速遠
心分離機等により、好ましくは回転数5000〜200
00rpmにおいて、1〜10分間遠心分離することに
より得ることができる。
E阻害ペプチドを、飲食品等にそのまま供給することが
できる程度まで乳酸酸度を低下させるため等に行なう処
理であって、この際乳酸酸度は、精製後1.5以下、特
に1.2〜0.1程度に低下させるのが好ましい。この
ような精製処理としては、例えば電気透析処理、イオン
交換樹脂処理、中空糸膜透析処理、逆浸透圧処理、又は
弱疎水性クロマトグラフィーで処理し、次いで強疎水性
クロマトグラフィーで処理した後、吸着画分を極性溶媒
で溶出して行なう処理等を好ましく挙げることができ、
またこれらの処理を任意に選択して組み合わせて行なう
こともできる。
析槽内に陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜又は膜種の
異なるものを組合せた陰イオン交換膜を有する公知の電
気透析装置等を用いて行なうことができ、好ましくは電
気透析槽における陰極と陽極間の全有効膜面積当たりの
加電圧を1〜10V/m2、また電流密度(A/cm2)
と培養液の比電導率(S/cm)の比が約3となるよう
に調整するのが好ましい。更に処理液の液温は4〜70
℃とするのが好ましく、処理時間は10〜60分間行な
うのが望ましい。
市販品等の公知のイオン交換樹脂を、処理液中に添加
し、0.5〜5時間撹拌する方法等により行なうことが
できる。この際処理液の液温は4〜95℃が好ましい。
ルロースアセテート系、ポリエチレンアルコール系、ポ
リスルホン系、ポリアクリロニトリル系、ポリイミド系
等の合成高分子樹脂を材質とするホロー・ファイバー型
等の公知の中空糸膜透析装置等を用いて行なうことがで
きる。この際好ましくは処理条件として、液温を4〜9
5℃、処理時間を30〜600分間とするのが望まし
く、また処理する培養液は、内液側又は外液側のいずれ
でも良いが、好ましくは外液側へ循環させるのが望まし
い。
としては、セルロースアセテート系、ポリイミド系、ポ
リビニルアルコール系、ポリベンツイミダゾリン系等の
合成高分子膜を用い、公知の逆浸透圧装置を用いて行な
うことができる。この際好ましくは液温4〜80℃、処
理液流量0.5〜2.0m3/h.、操作圧5〜50k
g/cm2に調整するのが好ましい。
し、次いで強疎水性クロマトグラフィーで処理した後、
吸着画分を極性溶媒で溶出して行なう処理(以下処理工
程Aと称す)において、まず処理液を弱疎水性クロマト
グラフィーで処理するには、例えば、CN(プロピオニ
トリル等)基、炭素数1〜3個のアルキル基を結合した
シリカ系樹脂、更に具体的には商品名「アンバーライト
XAD-7」(オルガノ株式会社製)等の樹脂を用いて、カ
ラム法又はバッチ法により処理することにより、疎水性
の強いペプチドを吸着除去して、疎水性の弱いペプチド
を含む通過液画分を回収することができる。次に強疎水
性クロマトグラフィーで処理するには、例えば、フェニ
ル基、炭素数8〜18のアルキル基を結合したシリカ系
樹脂、更に具体的には商品名「アンバーライト XAD-2」
(オルガノ株式会社製)等の樹脂を用いてカラム法又は
バッチ法により処理することにより、ACE阻害ペプチ
ドを含む疎水性の弱いペプチド画分を吸着することがで
きる。
エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ア
セトニトリル等の極性溶媒、特に好ましくは50容量%
メタノール又は50容量%エタノール溶液等により溶出
することにより目的のACE阻害ペプチドを得ることが
できる。
ペプチドは、Ile-Pro-Pro又はVal-Pro-Proを含有し、ま
た該ペプチドは、通常塩酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、ク
エン酸塩、酒石酸塩等の製薬工業上許容される塩を付加
したペプチド等であっても良い。
ペプチドは、通常前記ペプチドの混合物として得られ、
他の成分を含有するが、飲食品等に添加する場合には、
前記精製処理後の処理液をそのまま使用することができ
る。またACE阻害剤として用いる場合には、ペプチド
混合物をそのまま有効成分として用いることができる
他、更にHPLC等により有効ペプチドを分画精製して
純度を向上させることもできる。
ペプチドを、ACE阻害剤として用いるには、例えば医
薬上許容される他の添加物又は飲食品等に添加して用い
ることができ、その剤型は、固形状、液状等として、経
口投与等により摂取することができる。またその投与量
は、予防あるいは、治療目的により異り、また症状の進
行課程によっても変化するが、成人の治療又は予防のた
めに投与する場合には、前記ACE阻害ペプチド量換算
で、一日当り、好ましくは0.1mg〜100mg、好
ましくは1〜30mgの範囲である。
は、微量の経口投与により優れたACE阻害活性を示す
特定のACE阻害ペプチドを、安価に且つ容易に製造す
ることができ、工業的にも極めて有効である。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
分間殺菌した後、室温まで冷却してラクトバチルス・ヘ
ルベティカス JCM-1003(Lactobacillus helv-eticus J
CM-1003)を2.0×107/ml、サッカロマイセス・
セレビシェ ATCC-9804(Saccharomyces cerevisiae ATCC
-9804)を2.0×105/ml接種し、37℃で24時
間培養を行なって、1次スターター(乳酸菌数5×10
8個/ml,酵母数5×106個/ml)を調製した。次
いで脱脂粉乳360gを水4Kgに溶解し、90℃達温
殺菌した後室温まで冷却して、前記1次スターターを接
種した。更に、37℃で24時間培養を行ない、これを
2次スターターとした。次に、脱脂粉乳9.0Kgを水
100Kgに溶解し、90℃達温殺菌した後室温まで冷
却して、前記2次スターターを接種し、37℃で24時
間培養を行ない、発酵乳a約112Kgを得た。
分間遠心し、得られた上清を、商品名「Amberlite XAD-
7」(オルガノ社製)1gで調製したカラムに供した。
蒸留水5mlで洗浄し、非吸着画分と合わせ、次いで商
品名「Sep-pakC18」(ウォーターズ社製)を2本連結させ
たカラムに供し、蒸留水5mlで洗浄した。その後メタ
ノール5mlで吸着画分を溶出し、減圧下、遠心濃縮
後、凍結乾燥した。得られた乾燥物を0.05M酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH6.89)に溶解後、同緩衝液
で平衡化したカラム(商品名「GS320HQ」、旭化
成社製)を用いてHPLCによる分離を行なった。この
分離は流速0.6ml/分で行ない、溶出時間14.5
〜15.5分のピークを分取し、下記条件により定量分
析を行なった。その結果を図1に示す。スタンダードサ
ンプルとして、化学合成した一定量のIle-Pro-Pro、Val
-Pro-Proを同条件でHPLCに供し、その面積を求め、
発酵乳aからのサンプルとの面積比からペプチド量を計
算した。また図1の結果より、発酵乳a112kg中に
は、Val-Pro-Proが3060mg、Ile-Pro-Proが196
0mg含有されていることが判った。
5μC18 溶出液:A液:0.1重量%TFA水溶液 B液:0.1重量%TFA入りアセトニトリル溶液 グラジェント溶出(B/(A+B))×100(%) 0%→40%(60分) 流速 :1ml/分、 検出 :215nmの紫外
部吸収ペプチドbの調製 次いで得られた発酵乳a中に含まれるペプチドを精製す
るために以下に示す精製工程を行った。
00rpmで遠心分離し、上清に硫酸アンモニウムを加
えpH3.5とし、予めpH3.5に調整した商品名
「Amb-erlite XAD-7」(オルガノ社製)樹脂約2リット
ルを加え室温にて約30分間撹拌後、晒布で濾液を回収
し、次いで該濾液に予めpH3.5に調整した商品名
「Amberlite XAD-2」(オルガノ社製)樹脂約2リット
ルを加え、室温にて約30分間撹拌し、晒布で樹脂を回
収した。回収した樹脂をPB5リットルで洗浄した後、
100容量%メタノール5リットルで活性画分を回収し
た。回収したペプチド量は7g、活性回収率は72%で
あり、HPLCによる分析から回収ペプチド画分の純度
は約26%であった。
7gを、更に当量のPBを加えpH3.5に調整後、予
め10容量%メタノールを含むPBで平衡化した商品名
「SP−セファデックスカラム」(ファルマシア社製)
500ml(8cmφ×10cm)に通した。5リット
ルの10容量%メタノールを含むPBで洗浄後、500
mM NaClを含むPB2リットルにて活性画分を得
た。得られた活性画分は、前記HPLCと同条件で定量
及び純度分析を行い、更に、後述するACE阻害活性を
測定した。回収ペプチド量は3.5gであり、Ile-Pro-
Pro、Val-Pro-Proは各々576mg及び1153mg含
まれており、純度49%であった。得られた活性画分2
リットルをエバポレーターを用いて約200mlまで減
圧濃縮した後に、真空凍結乾燥して乾燥粉末65.0g
(食塩及び塩類61.5gを含む)を得た。実施例1及
び2の結果を表1及び図2に示す。次いでHPLCによ
り得られたペプチドを下記方法に従って分析した。
し、真空下110℃にて24時間加水分解し、商品名
「日立L−8500型アミノ酸分析計」(日立製作所株
式会社製)によるニンヒドリン発色法にて組成分析を行
なったところ、Ile:Pro(モル比)は1.00:2.0
8であり、Val:Pro(モル比)は1.00:2.02で
あった。
型」(島津製作所株式会社製)によるN末端アミノ酸配
列分析を測定した結果、N末端はそれぞれIle-Pro-Pro
又はVal-Pro-Proであった。
ng, Biochem. Pharma-col., 20 1637(1971)]に準じて
行なった。
ホウ酸緩衝液(0.3M NaClを含む、pH8.
3)を用いて濃度12.5、25.0、50.0、10
0、200μg/mlに調整した後、夫々を試験管に
0.08ml入れ、これに基質として0.1Mホウ酸緩
衝液(0.3M Naclを含む、pH8.3)で5m
Mに調整したヒプリルヒスチジルロイシン(Hip-His-Le
u、シグマ社製)0.2mlを添加し、更に酵素水溶液
(0.1u/ml,シグマ社製)0.02mlを添加
し、37℃、30分間反応させた。その後、1N塩酸
0.25mlを添加して反応を停止させた後、1.7m
lの酢酸エチルを加え20秒間撹拌した。次いで300
0rpmで10分間遠心して酢酸エチル層1.4mlを
採取した後、120℃、40分間加熱し、溶媒を除去し
た。溶媒除去後、蒸留水1mlを加え、抽出されたヒプ
リル酸の吸収228nm値を測定し、これをACE阻害
活性とした。阻害率は下記式より算出した。その結果阻
害率50%の時の阻害剤濃度IC50を求めたところ、得
られたペプチドbは、20μMであった。またHPLC
により更に分画したIle-Pro-Proについては7μM、Val
-Pro-Proは14μMであった。またIC50の値を与える
阻害剤の力価を1ユニット(U)とする。
nmの吸光度 B:試料(ペプチドb又はc)を添加した場合の228
nmの吸光度 C:酵素及び試料(ペプチドb又はc)を添加しない場合
の228nmの吸光度ラット経口投与時の降圧作用の測定 次に得られた発酵乳a、ペプチドb及びペプチドcにつ
いて下記に示す方法に従って降圧作用を測定した。
ラット(日本チャールスリバー社、1群4匹)を温度2
3±2℃、湿度55±5%の動物室中、水及び飼料(日
本クレア製、商品名「CE−2」)は、自由摂取とし
て、馴化飼育したものを被験動物として用いた。試験前
日より1晩絶食させたSHRに、生理食塩水(2ml/
ラット)、発酵乳a(2ml/ラット)及び生理食塩水
2mlに溶解したペプチドb(150μg/ラット)及
びペプチドc(80μg/ラット)を胃ゾンデにより強
制経口投与した。投与直前、投与4時間後、投与8時間
後に、それぞれ最高血圧を測定した。血圧の測定には、
無加温、非観血値的ラット血圧計(シーエスアイ社製、
商品名「PE−300型」)を用いtail-cuff法にて測
定した。投与直前の最高血圧と4時間後及び8時間後の
最高血圧との差(血圧降下)の結果を表2に示す。
ルを、10000rpm、5分間遠心し、得られた上清
1リットルを電気透析装置(商品名「TS−1型」、徳
山曹達株式会社製)を用いて電気透析を行った。当該電
気透析装置による電気透析は、アニオン膜(商品名「A
FN−7」、1枚の膜有効面積=2dm2、徳山曹達株
式会社製)及びカチオン膜(商品名「CM−1」、1枚
の膜有効面積=2dm2、徳山曹達株式会社製)10対
からなるイオン交換膜を用い、初期電圧19.0V、電
流値1.60A、液温15〜30℃の運転条件で、脱酸
処理を行い、処理液を980ml得た。また5分毎の処
理液について乳酸酸度、ACE阻害活性等を測定し、処
理前の発酵乳aと比較した結果を表3に示す。更に実施
例1に示した定量方法により、60分処理液にはVal-Pr
o-Proが24.1mg、Ile-Pro-Proが16.0mg含ま
れていることが判った。
をホモゲナイザー(商品名「15M−8TA型」、AP
Vゴーリン株式会社製)を用いて、処理圧力160〜2
00Kg/cm2にて均質化した。次いで、均質化処理
した発酵乳100mlに、常法に従って水酸化ナトリウ
ム液で再生し、水洗した陰イオン交換樹脂(商品名「I
RA−93ZU」、ローム・アンド・ハース株式会社
製)15gを添加し、3時間程度撹拌した後、次いで樹
脂を分別して発酵乳90mlを得た。処理前と後の発酵
乳の乳酸酸度、ACE阻害活性等を測定し比較した。結
果を表4に示す。更に実施例1に示した定量方法によ
り、処理液にはVal-Pro-Proが1.5mg、Ile-Pro-Pro
が1.0mg含まれていることが判った。
lをホロー・ファイバー型・透析装置(商品名「KL−
2−30」、有効膜面積0.12m2、株式会社クラレ
製)を用いてクロス・フロー濾過方式により透析処理を
行った。該透析処理は、モジュール内にポンプでイオン
交換水(10.5リットル/m2・h)を送り込み、モ
ジュール外側にポンプで前記発酵乳a(30リットル/
m2・h)を循環させ、発酵乳aの外圧濾過を行うこと
により透析処理を4時間行った。また経時的にサンプリ
ングし、乳酸酸度、ACE阻害活性等を測定し、処理前
と比較した。結果を表5に示す。更に実施例1に示した
定量方法により、4時間処理液にはVal-Pro-Proが6.
14mg、Ile-Pro-Proが4.10mg含まれているこ
とが判った。
トルを電気透析装置(商品名「TS−1型」、徳山曹達
株式会社製)を用いて電気透析を行なった。電気透析装
置による電気透析は、アニオン膜(商品名「AFN−
7」、1枚の膜有効面積=2dm2、徳山曹達株式会社
製)及びアニオン膜(商品名「ACS」、1枚の膜有効
面積=2dm2、徳山曹達株式会社製)10対からなる
イオン交換膜を用い、初期電圧19.0V、電流値1.
76A、液温20〜35℃の運転条件で、30分間処理
を行ない処理液1.0リットルを得た。5分毎の処理液
について乳酸酸度、ACE阻害活性等を測定し、処理前
の発酵乳aと比較した。結果を表6に示す。更に実施例
1に示した定量方法により、30分処理液にはVal-Pro-
Proが24.7mg、Ile-Pro-Proが16.5mg含まれ
ていることが判った。
Pro-ProとIle-Pro-Proの各々の面積ピークを示すグラフ
である。
Pro-ProとIle-Pro-Proの各々の面積ピークを示すグラフ
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 Ile-Pro-Pro及び/又はVal-Pro-Proを含
むアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法であ
って、 乳酸菌又は、乳酸菌及び酵母を、Ile-Pro-Pro及び/又
はVal-Pro-Proを構成成分とするペプチド及び/又は蛋
白質を含む培地にて培養し、精製処理することを特徴と
するアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法。 - 【請求項2】 前記培養後、得られた培養液を遠心分離
し、遠心分離後の上清を精製処理することを特徴とする
請求項1記載のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド
の製造法。 - 【請求項3】 前記精製処理を、電気透析処理、イオン
交換樹脂処理、中空糸膜透析処理、逆浸透圧処理、及び
弱疎水性クロマトグラフィーで処理し、次いで強疎水性
クロマトグラフィーで処理した後、吸着画分を極性溶媒
で溶出して行なう処理から成る群より選択される1種又
は2種以上の処理により行うことを特徴とする請求項1
記載のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5275790A JP2782153B2 (ja) | 1992-11-09 | 1993-11-04 | アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドの製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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