JPH06192794A - 優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼 - Google Patents
優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼Info
- Publication number
- JPH06192794A JPH06192794A JP4344864A JP34486492A JPH06192794A JP H06192794 A JPH06192794 A JP H06192794A JP 4344864 A JP4344864 A JP 4344864A JP 34486492 A JP34486492 A JP 34486492A JP H06192794 A JPH06192794 A JP H06192794A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- strength
- steel
- creep rupture
- creep strength
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明の目的は、優れたクリープ強度を有す
る高Crフェライト鋼を提供することにある。 【構成】 重量%にて、C:0.05〜0.15%、S
i:0.01〜0.5%、Mn:0.02〜0.2%、
Cr:8〜13%、W:0.9%超3.2%以下、M
o:0.05〜0.35%未満、V:0.05〜0.2
5%、Nb:0.005〜0.12%、Al:0.00
5〜0.05%、S:0.005%以下、P:0.00
05〜0.01%、N:0.005〜0.1%を含み、
Mn(%)×P(%)が0.001以下であり、残部F
eおよび不可避的不純物からなる、優れたクリープ強度
を有する高Crフェライト鋼。 【効果】 本発明による高Cr耐熱鋼は適切な引張強さ
でありながら、優れたクリープ強度を有しており、高温
高圧で使用される火力発電や化学プラント用として極め
て有用なものであり、工業上価値が大きい。
る高Crフェライト鋼を提供することにある。 【構成】 重量%にて、C:0.05〜0.15%、S
i:0.01〜0.5%、Mn:0.02〜0.2%、
Cr:8〜13%、W:0.9%超3.2%以下、M
o:0.05〜0.35%未満、V:0.05〜0.2
5%、Nb:0.005〜0.12%、Al:0.00
5〜0.05%、S:0.005%以下、P:0.00
05〜0.01%、N:0.005〜0.1%を含み、
Mn(%)×P(%)が0.001以下であり、残部F
eおよび不可避的不純物からなる、優れたクリープ強度
を有する高Crフェライト鋼。 【効果】 本発明による高Cr耐熱鋼は適切な引張強さ
でありながら、優れたクリープ強度を有しており、高温
高圧で使用される火力発電や化学プラント用として極め
て有用なものであり、工業上価値が大きい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電、化学プラン
ト等に用いられる高Cr耐熱鋼において、優れたクリー
プ強度を有する高Crフェライト鋼に関する。
ト等に用いられる高Cr耐熱鋼において、優れたクリー
プ強度を有する高Crフェライト鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】9〜12%Crを含有する高Cr耐熱鋼
では、適用されるプラントの高温高圧化への対応から、
クリープ破断強度の改善が強く求められている。また、
プラントの安全性確保の点から、靭性の劣化抑制、溶接
性の向上も望まれている。このため、数多くの成分改良
が進められてきた。例えば、特開昭62−297436
号公報に開示される如く、従来のCr−Mo−V−Nb
系の基本成分に対し、WやBを添加する技術がある。ま
た、特開昭63−238244号公報で開示されたCo
添加、特開昭63−65059号公報でのCu、Ni添
加等の技術が開発されてきた。
では、適用されるプラントの高温高圧化への対応から、
クリープ破断強度の改善が強く求められている。また、
プラントの安全性確保の点から、靭性の劣化抑制、溶接
性の向上も望まれている。このため、数多くの成分改良
が進められてきた。例えば、特開昭62−297436
号公報に開示される如く、従来のCr−Mo−V−Nb
系の基本成分に対し、WやBを添加する技術がある。ま
た、特開昭63−238244号公報で開示されたCo
添加、特開昭63−65059号公報でのCu、Ni添
加等の技術が開発されてきた。
【0003】これらは何れも合金元素の添加量を増加す
る方向の技術であり、クリープ破断強度が向上する反
面、合金コストの上昇、製造性の低下、靭性の低下、溶
接性の低下、を随伴することとなる。一方、少数ではあ
るが、成分組合せを適正化して、高価な合金元素の添加
量を抑制しようとする試みもある。特開平2−1335
46号公報では、Mn添加量を低下させることによりク
リープ破断強度を向上することが述べられている。
る方向の技術であり、クリープ破断強度が向上する反
面、合金コストの上昇、製造性の低下、靭性の低下、溶
接性の低下、を随伴することとなる。一方、少数ではあ
るが、成分組合せを適正化して、高価な合金元素の添加
量を抑制しようとする試みもある。特開平2−1335
46号公報では、Mn添加量を低下させることによりク
リープ破断強度を向上することが述べられている。
【0004】しかしながら、特開平2−133546号
公報ではクリープ破断強度が不十分なため、工業的に広
く利用されるに至っていない。
公報ではクリープ破断強度が不十分なため、工業的に広
く利用されるに至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、徒に合金元
素を多量添加することなく、優れたクリープ強度を得る
ことのできる高Crフェライト鋼を提供するを目的とす
る。
素を多量添加することなく、優れたクリープ強度を得る
ことのできる高Crフェライト鋼を提供するを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、クリープ破断強度への合金元素の効
果について種々調査研究した結果、MnとPが相乗効果
を示し、両者の積を一定値以下とすることによりクリー
プ破断強度を向上できることを見出した。本発明はこの
知見に基づきなされたものであり、重量%にて、C:
0.05〜0.15%、Si:0.01〜0.5%、M
n:0.02〜0.2%、Cr:8〜13%、W:0.
9%超3.2%以下、Mo:0.05〜0.35%未
満、V:0.05〜0.25%、Nb:0.005〜
0.12%、Al:0.005〜0.05%、S:0.
005%以下、P:0.0005〜0.01%、N:
0.005〜0.1%、を含み、Mn(%)×P(%)
が0.001以下であり、残部Feおよび不可避的不純
物からなる優れたクリープ強度を有する高Crフェライ
ト鋼を要旨とする。
題を解決するため、クリープ破断強度への合金元素の効
果について種々調査研究した結果、MnとPが相乗効果
を示し、両者の積を一定値以下とすることによりクリー
プ破断強度を向上できることを見出した。本発明はこの
知見に基づきなされたものであり、重量%にて、C:
0.05〜0.15%、Si:0.01〜0.5%、M
n:0.02〜0.2%、Cr:8〜13%、W:0.
9%超3.2%以下、Mo:0.05〜0.35%未
満、V:0.05〜0.25%、Nb:0.005〜
0.12%、Al:0.005〜0.05%、S:0.
005%以下、P:0.0005〜0.01%、N:
0.005〜0.1%、を含み、Mn(%)×P(%)
が0.001以下であり、残部Feおよび不可避的不純
物からなる優れたクリープ強度を有する高Crフェライ
ト鋼を要旨とする。
【0007】
【作用】以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
0.10%C−0.1%Si−0.01〜0.2%Mn
−0.0001〜0.02%P−0.001%S−9%
Cr−0.2%Mo−1.2%W−0.18%V−0.
05%Nb−0.015%Al−0.055%Nを合金
成分とする真空溶解鋼塊を用い、1250℃で加熱の
後、25mm厚に熱間圧延した。1050℃で1時間の
加熱保持から空冷により焼ならしを行った後、760℃
で3時間の焼もどしを行った。この後、圧延方向に直角
(C方向)にクリープ破断試験片を採取し、600℃、
21kgf/mm2 の条件でクリープ破断試験を行い、
クリープ破断時間を求めた。図1にMn(%)×P
(%)がクリープ破断強度におよぼす影響を示す。
0.10%C−0.1%Si−0.01〜0.2%Mn
−0.0001〜0.02%P−0.001%S−9%
Cr−0.2%Mo−1.2%W−0.18%V−0.
05%Nb−0.015%Al−0.055%Nを合金
成分とする真空溶解鋼塊を用い、1250℃で加熱の
後、25mm厚に熱間圧延した。1050℃で1時間の
加熱保持から空冷により焼ならしを行った後、760℃
で3時間の焼もどしを行った。この後、圧延方向に直角
(C方向)にクリープ破断試験片を採取し、600℃、
21kgf/mm2 の条件でクリープ破断試験を行い、
クリープ破断時間を求めた。図1にMn(%)×P
(%)がクリープ破断強度におよぼす影響を示す。
【0008】Mn(%)×P(%)が0.001まで低
下してもクリープ破断時間は余り変化しないが、0.0
01未満に低下するとクリープ破断時間、即ちクリープ
破断強度が顕著に向上することを発見した。これは次の
ような理由による。Mnは極めて偏析し易い元素であ
る。一方、クリープ破断強度向上に有効なMo、W、
V、Nb等は、所謂フェライト生成元素であり、Mnの
非濃化部に濃縮する性質を有する。このため、Mnの偏
析により、Mo、W、V、Nb等の偏析が助長される。
従って、Mnの濃化部では、Mo、W、V、Nb等の濃
度が低下するばかりでなく、Mnの濃縮自体が炭窒化物
の安定性を阻害し、クリープ破断強度が低下する。逆に
Mnの非濃化部では、Mo、W、V、Nb等が濃化し、
δフェライトの生成を促進する。このため、クリープ破
断強度を改善する目的でMo、W、V、Nb等を多量添
加するとδフェライトが生成し、Mnの非濃化部でもク
リープ破断強度が低下する原因となる。
下してもクリープ破断時間は余り変化しないが、0.0
01未満に低下するとクリープ破断時間、即ちクリープ
破断強度が顕著に向上することを発見した。これは次の
ような理由による。Mnは極めて偏析し易い元素であ
る。一方、クリープ破断強度向上に有効なMo、W、
V、Nb等は、所謂フェライト生成元素であり、Mnの
非濃化部に濃縮する性質を有する。このため、Mnの偏
析により、Mo、W、V、Nb等の偏析が助長される。
従って、Mnの濃化部では、Mo、W、V、Nb等の濃
度が低下するばかりでなく、Mnの濃縮自体が炭窒化物
の安定性を阻害し、クリープ破断強度が低下する。逆に
Mnの非濃化部では、Mo、W、V、Nb等が濃化し、
δフェライトの生成を促進する。このため、クリープ破
断強度を改善する目的でMo、W、V、Nb等を多量添
加するとδフェライトが生成し、Mnの非濃化部でもク
リープ破断強度が低下する原因となる。
【0009】Mnの偏析度はP添加の増量により相乗的
に上昇し、P量の増加はMnの偏析を通してクリープ破
断強度低下を招く。このため、Mn(%)×P(%)を
0.001以下に抑制することがクリープ破断強度向上
に極めて有効な手段となる。また、0.2%超のMn添
加ではMn(%)×P(%)を0.001%以下とする
ことが困難になるため、Mn量を0.2%以下とする。
Mn量が0.02%未満では、MnSとしてのSの固定
が出来なくなるため、下限を0.02%とする。
に上昇し、P量の増加はMnの偏析を通してクリープ破
断強度低下を招く。このため、Mn(%)×P(%)を
0.001以下に抑制することがクリープ破断強度向上
に極めて有効な手段となる。また、0.2%超のMn添
加ではMn(%)×P(%)を0.001%以下とする
ことが困難になるため、Mn量を0.2%以下とする。
Mn量が0.02%未満では、MnSとしてのSの固定
が出来なくなるため、下限を0.02%とする。
【0010】Pについても、Mn(%)×P(%)を
0.001以下を達成するため、上限を0.01%とす
る。また、下限については可及的に低いことが望ましい
が、工業的な達成限界から下限を0.0005%とす
る。以下にその他の成分元素の限定理由について述べ
る。Cは常温および高温の強度を高めるのに有効な元素
であり、高Cr耐熱鋼として要求される強度レベルか
ら、少なくても0.05%を必要とする。しかし、C量
の増加とともに、鋼材の靭性が低下し、溶接性も悪くな
るため、上限を0.15%とする。
0.001以下を達成するため、上限を0.01%とす
る。また、下限については可及的に低いことが望ましい
が、工業的な達成限界から下限を0.0005%とす
る。以下にその他の成分元素の限定理由について述べ
る。Cは常温および高温の強度を高めるのに有効な元素
であり、高Cr耐熱鋼として要求される強度レベルか
ら、少なくても0.05%を必要とする。しかし、C量
の増加とともに、鋼材の靭性が低下し、溶接性も悪くな
るため、上限を0.15%とする。
【0011】Siは脱酸および強度上昇のため0.01
%以上添加するが、添加量が多いと靭性を低下するため
上限を0.5%とする。Crは焼入れ性を増すととも
に、焼もどしおよび溶接後熱処理で炭窒化物を析出し、
高温強度を向上させる。またCrは密着性の良い酸化皮
膜を形成し、耐酸化性を向上させるため、8%以上添加
する。しかし、13%超の添加は不必要なため、上限を
13%とする。
%以上添加するが、添加量が多いと靭性を低下するため
上限を0.5%とする。Crは焼入れ性を増すととも
に、焼もどしおよび溶接後熱処理で炭窒化物を析出し、
高温強度を向上させる。またCrは密着性の良い酸化皮
膜を形成し、耐酸化性を向上させるため、8%以上添加
する。しかし、13%超の添加は不必要なため、上限を
13%とする。
【0012】Wは高温強度、特にクリープ破断強度を増
す効果を有する元素であり、0.9%超添加する。しか
し、3.2%超を添加するとδフェライトの生成等によ
りクリープ破断強度が却って低下し、また靭性にも悪影
響を与えるため、上限を3.2%とする。MoはWとの
複合添加により高温強度、特にクリープ破断強度を増す
ために添加する。しかし、添加量が0.05%未満では
効果が認められず、0.35%以上では複合添加効果が
飽和する傾向を示すため、添加範囲を0.05〜0.3
5%未満とする。
す効果を有する元素であり、0.9%超添加する。しか
し、3.2%超を添加するとδフェライトの生成等によ
りクリープ破断強度が却って低下し、また靭性にも悪影
響を与えるため、上限を3.2%とする。MoはWとの
複合添加により高温強度、特にクリープ破断強度を増す
ために添加する。しかし、添加量が0.05%未満では
効果が認められず、0.35%以上では複合添加効果が
飽和する傾向を示すため、添加範囲を0.05〜0.3
5%未満とする。
【0013】Vはそれ自体炭窒化物を形成し、強度を上
昇するとともに、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化
物をさらに安定化する効果がある。しかし、0.05%
未満では効果が認められず、0.25%超では効果が飽
和し、添加量に応じた効果が得られないため、0.05
〜0.25%とする。Nbは焼もどしあるいは溶接後熱
処理時に安定な炭窒化物を形成し、またVの炭窒化物と
複合析出し、鋼のクリープ破断強度を向上させる効果を
有する。このため、0.005%以上を添加するが、
0.12%超では添加量に見合った効果が得られないた
め、経済的な理由で0.12%以下に抑制する。
昇するとともに、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化
物をさらに安定化する効果がある。しかし、0.05%
未満では効果が認められず、0.25%超では効果が飽
和し、添加量に応じた効果が得られないため、0.05
〜0.25%とする。Nbは焼もどしあるいは溶接後熱
処理時に安定な炭窒化物を形成し、またVの炭窒化物と
複合析出し、鋼のクリープ破断強度を向上させる効果を
有する。このため、0.005%以上を添加するが、
0.12%超では添加量に見合った効果が得られないた
め、経済的な理由で0.12%以下に抑制する。
【0014】Alは鋼の脱酸に不可欠な元素であり、こ
の目的から0.005%以上を添加する。しかし、Al
添加量が高くなるとクリープ破断強度を害するため添加
量の上限を0.05%とする。SはMnS介在物を形成
し、クリープ破断強度を低下させる。このため、低い程
鋼の特性に望ましく、0.005%以下に限定する。
の目的から0.005%以上を添加する。しかし、Al
添加量が高くなるとクリープ破断強度を害するため添加
量の上限を0.05%とする。SはMnS介在物を形成
し、クリープ破断強度を低下させる。このため、低い程
鋼の特性に望ましく、0.005%以下に限定する。
【0015】NはCと同様、鋼の強度を上昇させるが、
通常の溶製方法では0.1%超の添加で鋼塊内に気孔を
形成する。気孔が圧延によっても未圧着であると、延性
および靭性を低下させるため、添加量を0.1%以下と
する。次に、素材の製造条件について述べる。前記のよ
うな化学成分を有する鋼は転炉、電気炉で溶製した後、
必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施して得ら
れ、通常鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊した後、分
塊でスラブとされる。スラブあるいはビレットは連続鋳
造法により溶鋼から直接製造しても良い。分塊での均熱
・圧下はいかなるものであっても構わない。即ち、スラ
ブを冷却した後均熱してもよく、分塊のまま熱片で均熱
炉に装入しても良い。1000〜1300℃で均熱の
後、圧延または鍛造によりスラブあるいはビレットとす
る。これらの寸法は製品寸法の2倍以上が好ましい。
通常の溶製方法では0.1%超の添加で鋼塊内に気孔を
形成する。気孔が圧延によっても未圧着であると、延性
および靭性を低下させるため、添加量を0.1%以下と
する。次に、素材の製造条件について述べる。前記のよ
うな化学成分を有する鋼は転炉、電気炉で溶製した後、
必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施して得ら
れ、通常鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊した後、分
塊でスラブとされる。スラブあるいはビレットは連続鋳
造法により溶鋼から直接製造しても良い。分塊での均熱
・圧下はいかなるものであっても構わない。即ち、スラ
ブを冷却した後均熱してもよく、分塊のまま熱片で均熱
炉に装入しても良い。1000〜1300℃で均熱の
後、圧延または鍛造によりスラブあるいはビレットとす
る。これらの寸法は製品寸法の2倍以上が好ましい。
【0016】スラブあるいはビレットは鋼に含有される
Nbの一部あるいは全部が固溶する温度で加熱されるこ
とが望ましい。したがって、1100℃以上の加熱温度
で加熱する。しかし、1280℃を超えると、オーステ
ナイト粒が粗大化しすぎ、圧延あるいは鍛造によっても
微細化できなくなることがあるため、1280℃以下が
好ましい。
Nbの一部あるいは全部が固溶する温度で加熱されるこ
とが望ましい。したがって、1100℃以上の加熱温度
で加熱する。しかし、1280℃を超えると、オーステ
ナイト粒が粗大化しすぎ、圧延あるいは鍛造によっても
微細化できなくなることがあるため、1280℃以下が
好ましい。
【0017】加熱されたスラブあるいはビレットは、複
数パスの圧延、鍛造、押出、引抜あるいは穴拡げにより
所定の形状寸法とされる。成形の終了後はマルテンサイ
ト変態温度である約300℃以下まで冷却するのが望ま
しい。冷却は空冷でもよく、水冷等の加速冷却を採用し
てもよい。冷却した素材は焼もどしにより所定の強度に
調整する。本発明の高Cr耐熱鋼のAc1温度は概ね8
30〜850℃であり、焼もどしはこの温度以下とす
る。
数パスの圧延、鍛造、押出、引抜あるいは穴拡げにより
所定の形状寸法とされる。成形の終了後はマルテンサイ
ト変態温度である約300℃以下まで冷却するのが望ま
しい。冷却は空冷でもよく、水冷等の加速冷却を採用し
てもよい。冷却した素材は焼もどしにより所定の強度に
調整する。本発明の高Cr耐熱鋼のAc1温度は概ね8
30〜850℃であり、焼もどしはこの温度以下とす
る。
【0018】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を用い、表2
に示す条件で熱処理を施し、同表中に示す形状の製品と
した。得られた製品からサンプルを切り出し、引張強さ
を求めるとともに、クリープ破断試験を実施した。結果
を併せて表2に示す。
に示す条件で熱処理を施し、同表中に示す形状の製品と
した。得られた製品からサンプルを切り出し、引張強さ
を求めるとともに、クリープ破断試験を実施した。結果
を併せて表2に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】鋼材1A〜9AのAシリーズは本発明によ
るものであり、引張強さが70〜75kgf/mm2 と
加工性および靭性の確保に適切な値であり、650℃−
10、000時間のクリープ破断強度も9kgf/mm
2 を超えており、優れた値を示している。これに対し、
鋼材2Bおよび8BではP含有量が本発明範囲を超えて
おり、鋼材5BではMn量が本発明範囲より高く、Mn
(%)×P(%)が0.001を超えており、引張強さ
が70〜75kgf/mm2 と妥当な値であるにも拘ら
ず、650℃−10、000時間のクリープ破断強度が
9kgf/mm2 未満と低く、クリープ破断強度が劣
る。
るものであり、引張強さが70〜75kgf/mm2 と
加工性および靭性の確保に適切な値であり、650℃−
10、000時間のクリープ破断強度も9kgf/mm
2 を超えており、優れた値を示している。これに対し、
鋼材2Bおよび8BではP含有量が本発明範囲を超えて
おり、鋼材5BではMn量が本発明範囲より高く、Mn
(%)×P(%)が0.001を超えており、引張強さ
が70〜75kgf/mm2 と妥当な値であるにも拘ら
ず、650℃−10、000時間のクリープ破断強度が
9kgf/mm2 未満と低く、クリープ破断強度が劣
る。
【0022】
【発明の効果】本発明による高Cr耐熱鋼は適切な引張
強さでありながら、優れたクリープ強度を有しており、
高温高圧で使用される火力発電や化学プラント用として
極めて有用なものであり、工業上価値が大きい。
強さでありながら、優れたクリープ強度を有しており、
高温高圧で使用される火力発電や化学プラント用として
極めて有用なものであり、工業上価値が大きい。
【図1】Mn(%)×P(%)とクリープ破断時間の関
係を示す図である。
係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%にて、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:0.02〜0.2%、 Cr:8〜13%、 W:0.9%超3.2%以下、 Mo:0.05〜0.35%未満、 V:0.05〜0.25%、 Nb:0.005〜0.12%、 Al:0.005〜0.05%、 S:0.005%以下、 P:0.0005〜0.01%、 N:0.005〜0.1% を含み、Mn(%)×P(%)が0.001以下であ
り、残部Feおよび不可避的不純物からなる優れたクリ
ープ強度を有する高Crフェライト鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34486492A JP3172848B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | 優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34486492A JP3172848B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | 優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06192794A true JPH06192794A (ja) | 1994-07-12 |
JP3172848B2 JP3172848B2 (ja) | 2001-06-04 |
Family
ID=18372585
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34486492A Expired - Fee Related JP3172848B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | 優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3172848B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0493610A1 (en) * | 1990-07-23 | 1992-07-08 | Fanuc Ltd. | Laser beam guiding tube in laser robot |
CN100439551C (zh) * | 2006-06-28 | 2008-12-03 | 宝山钢铁股份有限公司 | 高钢级高抗二氧化碳、氯离子腐蚀油套管用钢及制造方法 |
WO2017180647A1 (en) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | Terrapower, Llc | High temperature, radiation-resistant, ferritic-martensitic steels |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101563537B1 (ko) * | 2015-06-23 | 2015-10-28 | 주식회사시니프 | 좌방석이 체형에 따라 조절이 가능한 의자 |
KR102405617B1 (ko) | 2015-10-20 | 2022-06-09 | 주식회사 나조산업 | 좌방석이 체형에 따라 조절이 가능한 의자 |
-
1992
- 1992-12-24 JP JP34486492A patent/JP3172848B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0493610A1 (en) * | 1990-07-23 | 1992-07-08 | Fanuc Ltd. | Laser beam guiding tube in laser robot |
EP0493610B1 (en) * | 1990-07-23 | 1994-06-22 | Fanuc Ltd. | Laser beam guiding tube in laser robot |
CN100439551C (zh) * | 2006-06-28 | 2008-12-03 | 宝山钢铁股份有限公司 | 高钢级高抗二氧化碳、氯离子腐蚀油套管用钢及制造方法 |
WO2017180647A1 (en) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | Terrapower, Llc | High temperature, radiation-resistant, ferritic-martensitic steels |
CN108779535A (zh) * | 2016-04-11 | 2018-11-09 | 泰拉能源公司 | 高温、耐辐射铁素体-马氏体钢 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3172848B2 (ja) | 2001-06-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107208212B (zh) | 厚壁高韧性高强度钢板及其制造方法 | |
KR102037086B1 (ko) | 지열 발전 터빈 로터용 저합금강 및 지열 발전 터빈 로터용 저합금 물질, 및 이들의 제조 방법 | |
KR20190134704A (ko) | 고Mn강 및 그의 제조 방법 | |
JPH0647694B2 (ja) | 加工性に優れ溶接軟化のない高強度ステンレス鋼材の製造方法 | |
EP0703301B1 (en) | High chromium ferritic heat-resistant steel | |
US20040238075A1 (en) | Non-heat treated seamless steel tube | |
JP2567150B2 (ja) | 低温用高強度低降伏比ラインパイプ材の製造法 | |
JP4207334B2 (ja) | 溶接性と耐応力腐食割れ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 | |
CN114959442A (zh) | 一种冷挤压用万向节十字轴用钢及其制造方法 | |
JP5194572B2 (ja) | 耐溶接割れ性が優れた高張力鋼材の製造方法 | |
JP3483493B2 (ja) | 圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いる圧力容器の製造方法 | |
JP2009228051A (ja) | 非調質鋼材の製造方法 | |
JP3172848B2 (ja) | 優れたクリープ強度を有する高Crフェライト鋼 | |
JP3422864B2 (ja) | 加工性の優れたステンレス鋼およびその製造方法 | |
JPH0759740B2 (ja) | 靭性およびクリープ強度に優れたフェライト系耐熱鋼 | |
JPH06128631A (ja) | 低温靱性の優れた高マンガン超高張力鋼の製造方法 | |
JPH0920961A (ja) | 低温用シームレス鋼管の製造法 | |
JPH05186848A (ja) | 溶接熱影響部靭性の優れた大入熱溶接用鋼 | |
RU2385350C1 (ru) | Способ производства штрипса для труб магистральных трубопроводов | |
JP3591486B2 (ja) | 高Crフェライト系耐熱鋼 | |
WO2022145063A1 (ja) | 鋼材 | |
JP3504835B2 (ja) | 低合金耐熱鋳鋼及び蒸気タービン用鋳鋼部品 | |
JPH05156408A (ja) | 溶接性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼とその製造方法 | |
JP2533935B2 (ja) | 耐SR脆化特性が優れ、且つ高強度、高靭性を有する高Mn非磁性鋼の製造方法 | |
RU2249626C1 (ru) | Сортовой прокат, круглый, из среднеуглеродистой борсодержащей стали для холодной объемной штамповки высокопрочных крепежных деталей |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20010206 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |