JPH06192728A - 表面性状に優れたSi添加熱延鋼板の製造法 - Google Patents

表面性状に優れたSi添加熱延鋼板の製造法

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JPH06192728A
JPH06192728A JP34667892A JP34667892A JPH06192728A JP H06192728 A JPH06192728 A JP H06192728A JP 34667892 A JP34667892 A JP 34667892A JP 34667892 A JP34667892 A JP 34667892A JP H06192728 A JPH06192728 A JP H06192728A
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JP
Japan
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steel sheet
temperature
scale
present
rolled steel
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JP34667892A
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Kenji Kikuchi
健司 菊池
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車、産業機械さらには建造物等に適用可
能な表面性状に優れたSi添加熱延鋼板を製造する。 【構成】 C:0.05 〜0.15%、Si:0.1〜2.0 %、Mn:0.8
〜2.0 %、P:0.05 %以下、S:0.005%以下、Al:0.01
〜0.05%を有する鋼片に、加熱炉において、均熱温度が
1200〜1240℃であって均熱中の温度変動幅が15℃以内と
なるようにして30〜90分間均熱を行い、加熱炉からの抽
出およびデスケーリングを行った後に熱間圧延および脱
スケールを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車、産業機械
さらには建造物等に適用可能な表面性状に優れたSi添加
熱延鋼板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば自動車では車体重量を軽減
して燃料消費量を低減するため、乗用車を始めとした各
種自動車の車体に、高強度鋼板が広く採用されるように
なってきた。これにともなって、より一層高強度であっ
て成形性が良好な鋼板への要求がますます高まりつつあ
る。
【0003】ところが、従来の高強度鋼板では高強度を
確保することに主眼が置かれており、その成形性はそれ
程良好ではなかった。そこで、高強度鋼板の成形性を改
善するために様々な手段が提案されている。
【0004】例えば、高強度鋼板の成形性を改善するこ
とができる手段として、高Si添加型高張力鋼板が知られ
ている。これは、強度を上昇させる割りには成形性をそ
れ程低下させないというSiの特徴を生かしたものであ
る。
【0005】しかし、高Si添加型高張力鋼板にはSiスケ
ール(ファヤライト:2FeO・SiO2)に起因する縞状スケ
ール疵が発生し易いという問題があった。これは、多量
に添加されているSiが熱間圧延の前に行われるスラブ加
熱時に溶融酸化物であるファヤライトとなって熱間圧延
の際に鋼板表面から不均一に除去されるため、残ったフ
ァヤライトおよびスケールが押込まれて押込疵となり、
これが酸洗後にも凹凸面となって残存して縞状スケール
疵を形成するためである。この縞状スケール疵は塗装後
の高Si添加型高張力鋼板の表面にも現れるため、自動車
車体用鋼板等のように良好な表面性状が要求される場合
には適用が困難となる。そのため、良好な表面性状が要
求される場合にはSi含有量を低減することが一般的であ
った (特開昭58−6937号公報参照)が、これでは加工性
が不足してしまう。
【0006】このような高Si添加型高張力鋼板に縞状ス
ケール疵を発生させない方法も種々検討されている。例
えば、特開昭53−140219号公報には、C:0.05 〜0.60%
(以下、本明細書においては特にことわりがない限り
「%」は「重量%」を意味するものとする) 、Mn:0.5〜
2.0 %、Si:0.25 〜0.60%、Al:0.05 %以下、P:0.03
%以下、S:0.03 %以下、残部Feおよび不可避的不純物
からなるキルド鋼材を、加熱炉の均熱帯において、酸素
濃度を2〜8体積%とするとともに、1250℃超1320℃未
満、一般的には1300℃の高温に10〜80分間均熱し、かく
して得られる鋼片を高圧水スケール除去装置に供給して
スケールの除去を行って表面のファヤライトを除去して
から熱間圧延を行う方法が、特開昭54−116321号公報に
は、C:0.10 〜0.8 %、Si:0.10 〜1.0 %、、Mn:0.20
〜2.0 %、P:0.050%以下、S:0.015%以下さらにAl、
Ti、Cu、Cr、Nb、VおよびMoからなる一種または二種以
上、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、ファ
ヤライトが生成しない1100〜1200℃の低温で加熱した後
粗圧延を行い、その後仕上圧延入側温度850 〜930 ℃、
仕上圧延出側温度700 〜780 ℃の温度下で仕上圧延を行
う熱間圧延方法が、特公昭57−6493号公報には、鋼板表
面にスケール抑制剤や剥離剤等の試薬を塗布しておき、
加熱および熱間圧延を行う方法が、それぞれ提案されて
いる。
【0007】さらに、特開平3−72031 号公報には、
C:0.03 〜0.25%、Si:1.1〜2.0 %、Mn:0.3〜1.5 %、
Al:0.005〜0.1 %、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼組成のスラブを、加熱炉にてスラブ表面温度1100℃
以上に加熱し、その際のスラブ最高表面温度をT (℃)
としT−60 (℃) 以上になる在炉時間をt (分) とした
場合にT≦−2.75t+1420となるようにし、その後の熱
間圧延において1回以上のデスケーリングを行った後、
Ar3 −30℃以上で圧延を終了し、700 ℃以下350℃以上
で巻取ることにより、ファヤライトの密着性を上げるこ
とにより、熱間でのファヤライトの剥離を防止し、仕上
圧延後にもファヤライトを鋼板全面に均一に残存させ、
縞状スケール疵を低減するのではなく、むしろSiスケー
ルを鋼板全面に均一に発生させることにより縞状スケー
ル疵の発生を抑制する方法が、さらに、特開平3−7971
8 号公報には、C:0.03 〜0.15%、Si:1.1〜2.0 %、M
n:0.5〜2.0 %、P:0.025%以下、S:0.01 %以下、H:
0.0005 %以下、Al:0.005〜0.1 %、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼を溶製し、特定の鋳造温度で連続
鋳造してスラブとした後、加熱炉にてスラブ表面温度11
00℃以上に加熱し、その際のスラブ最高表面温度をT
(℃) としT−60 (℃) 以上の温度となる在炉時間をt
(分) とするとT≦−2.75+1420となるようにし、その
後の熱間圧延において1回以上のデスケーリングを行っ
た後、800 〜900 ℃で圧延を終了し、250 ℃以下で巻取
ることにより、特開平3−72031 号公報により提案され
た方法と同様に、ファヤライトの密着性を上げることに
より熱間でのファヤライトの剥離を防止し、仕上圧延後
にもファヤライトを鋼板全面に均一に残存させることに
より、縞状スケール疵を低減するのではなく、むしろSi
スケールを鋼板全面に均一に発生させることにより縞状
スケール疵の発生を抑制する方法が、それぞれ提案され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術に
は、以下に列記するような問題がある。特開昭53−1402
19号公報により提案された方法では、高温加熱を行うこ
とに起因する燃料費の増加、鋼片スケール損失量の増大
さらには加熱炉の損傷早期化といった問題があり、しか
も、高温加熱を行うために鋼材には局所的かつ部分的な
温度低下が極めて生じ易く、かなりうまくコントロール
しないと縞状スケール疵の発生は避けられない。
【0009】特開昭54−116321号公報により提案された
方法では、低温加熱を行うため、Si添加鋼で縞状スケー
ル疵を皆無にするにはかなり低い加熱温度に管理する必
要があり、仕上温度の確保が困難となって材質劣化や形
状不良を招くとともに、変形抵抗が高まって圧延荷重が
増大し熱間圧延の作業性が著しく悪化してしまう。この
ため、低温加熱および仕上温度をともに規定の範囲に確
保することが難しく、操業上、縞状スケール疵の散発は
免れない。
【0010】特公昭57−6493号公報により提案された方
法では、スケール抑制剤や剥離防止剤といった試薬を使
用するため、製造原単位の上昇、塗布装置や乾燥機等の
付設に伴う設備費の増大さらにはこれらのメンテナンス
によるランニングコストの増加といった問題がある。
【0011】特開平3−72031 号公報または特開平3−
79718 号公報により提案された方法は、上述の技術に比
較すると、コスト増加は少なく実施するに際しての設備
への直接の負荷もない。
【0012】しかし、これらの方法は低温加熱および高
温加熱を行う方法を含んでいて、さらに、縞状スケール
疵が発生し易い加熱温度帯において在炉時間を制限した
方法と考えることができる。したがって、高温加熱側で
は燃料費の増加、鋼片スケール損失量の増大さらには加
熱炉の損傷早期化といった問題があり、一方低温加熱側
では低温加熱および仕上温度をともに規定の範囲に確保
することが難しいため縞状スケール疵の散発は免れない
という問題がある。さらに、本発明者の知見によれば、
最も縞状スケール疵が発生し易い加熱温度帯 (1200〜12
40℃) で加熱を行う場合、在炉時間のみを制限するだけ
ではファヤライトの部分剥離を防止することができず、
縞状スケール疵の散発は避けられない。ここに、本発明
の目的は、表面性状に優れたSi添加熱延鋼板を製造する
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高温加熱や
低温加熱の温度範囲ではない最も縞状スケール疵が発生
し易い温度帯で加熱のパターンを正確に制御することに
より、鋼片にSiスケールを全面的、均一かつ強固に生成
させることができ、ファヤライトの部分剥離を抑制して
縞状スケール疵の発生を抑制できることを知り、本発明
を完成した。
【0014】ここに、本発明の要旨とするところは、
C:0.05 〜0.15%、Si:0.1〜2.0 %、Mn:0.8〜2.0 %、
P:0.05 %以下、S:0.005%以下、Al:0.01 〜0.05%、
望ましくは、 I. Cr:0.05 〜1.0 %、Ti:0.01 〜0.3 %、Nb:0.005〜
0.10%、Mo:0.03 〜0.5%、V:0.001〜0.10%およびB:
0.0005 〜0.005 %からなる群から選ばれた1種または
2種以上、 II. Cu:0.1〜0.5 %および/またはNi:0.1〜0.5 %、 III. Ca:0.0005〜0.005 %および/またはREM:0.005 〜
0.015 %、 の少なくとも1種以上、残部Feおよび不可避的不純物よ
りなる鋼片に、例えば加熱炉において、均熱温度が1200
〜1240℃であって均熱中の温度変動幅が15℃以内となる
ようにして30〜90分間均熱を行い、その後、例えば加熱
炉からの抽出およびデスケーリングを行った後に、熱間
圧延および脱スケールを行うことを特徴とする表面性状
に優れたSi添加熱延鋼板の製造法である。
【0015】図1は、本発明にかかる製造法による加熱
パターンの一例を示すグラフである。なお、本発明にお
ける均熱時間は、鋼片の温度が目標の均熱温度で安定し
た時点から計測する。図2は、本発明にかかる製造法を
満足しない加熱パターンの一例を示すグラフであり、均
熱温度の変動幅が15℃を超えた例である。
【0016】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。ま
ず、本発明において、用いる鋼片の組成および製造条件
を限定する理由を説明する。
【0017】C:0.05 〜0.15% Cは高張力鋼板を製造するには必要とする強度を確保す
るのに不可欠かつ安価な元素である。C含有量が0.05%
未満であると強度の確保を他の強化元素を多量に添加す
ることにより補わねばならず極めて不経済である。一
方、C含有量を0.15%超として鋼板の強度の確保をCに
頼り過ぎるとパーライト部分が増加し延性の劣化が大き
くなるとともに、靱性さらに溶接性も劣化する。そこ
で、本発明では、C含有量は0.05%以上0.15%以下と限
定する。望ましくは、0.05%以上0.10%以下である。
【0018】Si:0.1〜2.0 % SiにはCと同様に鋼板の強度を高くする作用があり、し
かも、他の強化元素と比較すると、鋼板強度を高める割
りには延性等の成形性を低下させない傾向がある。さら
に、Siは比較的安価であるため、ある程度の高強度と成
形性とが必要であって表面性状が問題にならない用途の
鋼板では従来より多用されている元素である。また、本
発明では、鋼板表面の全面に均一に縞状スケール疵を生
成することを目的とするが、このためには最も重要な元
素である。Si量が0.1 %未満では加熱中のSiスケールの
生成が不十分・不均一となり易く、そのために熱間圧延
中にSiスケールの一部が剥離してスケール均一性が低下
し縞状スケール疵が発生し易くなる。さらに、ある程度
成形性を阻害することなく高張力を得るためにも適量の
添加が必要である。そこで、本発明ではSi量の下限は0.
1 %とする。好ましくは0.5 %である。一方、Si量の上
限は、Siスケールの均一化や高張力化の観点からはとく
に限定する必要はないが、スケール増加による歩留まり
の低下やコストアップを勘案して2.0 %とする。そこ
で、本発明では、Si含有量は0.1 %以上2.0 %以下と限
定する。
【0019】Mn:0.8〜2.0 % Mnは、一般に溶鋼中に不可避的不純物として含まれるS
を固定してその有害作用を低減するとともに、Cと同様
に鋼板の強度を確保するために必要な元素であり、例え
ば45kgf/mm2 以上の引張強度を得るために0.8 %以上添
加する。一方、2.0 %を超えて添加すると強度確保効果
は極めて大きくなるが、延性低下作用も大きくなり、さ
らには成形性や溶接性の劣化も無視できなくなる。した
がって、Mn含有量の上限は2.0 %とする。好ましくは1.
8 %である。そこで、本発明では、Mn含有量は0.8 %以
上2.0 %以下、望ましくは0.8 %以上1.8 %以下と限定
する。
【0020】P:0.05 %以下 Pは、一般的な高張力鋼板を製造する際には、比較的延
性を低下させずに強度を上昇できる重要な元素である
が、0.05%超添加すると、凝固の際に中心偏析や粒界偏
析を生じて脆化を引き起こし易くなる。さらに、鋼板の
二次加工脆性 (鋼板を加工した後の強さ) が低下して、
エネルギー遷移温度が上昇する。そこで、本発明では、
P含有量は0.05%以下と限定する。
【0021】S:0.005%以下 Sは、製造工程でのヘゲ疵や成形中の割れの原因となる
介在物であるMnS を増大させる不可避的不純物である。
したがって、鋼板中のS量はなるべく少ないほうが望ま
しい。通常の鋼板では、S含有量を0.01%以下に規制す
れば特に問題は生じないが、本発明で求める成形加工性
を得るために、0.005 %以下に低減する。そこで、本発
明では、S含有量は0.005 %以下と限定する。
【0022】Al:0.01 〜0.05% Alは、鋼の脱酸のために添加され、特にTi添加鋼の場合
にはTiが酸化されて添加歩留りの低下を抑制したり、ま
た、延性を悪化させる鋼中非金属介在物 (酸化物) が生
成するのを抑制する働きがある。したがって、Alは0.01
%の添加は必要であるが、0.05%超の添加量では合金コ
ストが上昇するとともに、Al2O3 等の介在物が増加して
鋼の清浄度が低下し、延性の劣化やヘゲと呼ばれる表面
欠陥の原因となる。そこで、本発明では、Al含有量は0.
01%以上0.05%以下と限定する。
【0023】さらに、本発明では、上記以外に下記I群
ないしIII 群 I. Cr:0.05 〜1.0 %、Ti:0.01 〜0.3 %、Nb:0.005〜
0.10%、Mo:0.03 〜0.5%、V:0.001〜0.10%およびB:
0.0005 〜0.005 %からなる群から選ばれた1種または
2種以上、 II. Cu:0.1〜0.5 %および/またはNi:0.1〜0.5 %、 III. Ca:0.0005〜0.005 %および/またはREM:0.005 〜
0.015 %、 の少なくとも1種以上を必要に応じて添加されていても
よい。以下、これらの任意添加元素についても詳述す
る。
【0024】I. Cr、Ti、Nb、Mo、VおよびBの少なく
とも一種:これらの任意添加元素は、いずれも鋼の強度
を向上させるという均等的作用を奏するため、成品に要
求される強度の程度に応じて適宜含有させれば良い。強
度上昇の効果を明確にするには、それぞれの含有量の下
限値をCr:0.05 %、Ti:0.01 %、Nb:0.005%、Mo:0.03
%、V:0.001%、B:0.0005 %と規定する必要がある。
しかし、それぞれの上限値であるCr:1.0%、Ti:0.3%、
Nb:0.10 %、Mo:0.5%、V:0.10 %、B:0.005%を越え
て含有させても効果が飽和して単にコストアップを招く
だけとなったり、逆にその作用効果が低下したり、さら
には延性等が異常に低下して加工性の大幅な低下を招く
ようになる。そこで、本発明では、これらの元素を添加
する場合には、それぞれの元素の含有量を上記のように
規定した。
【0025】II. Cu、Ni:Cu、Niは、Pとともに単独あ
るいは複合して添加することにより耐食性を向上させ得
る元素である。耐食性を向上させるためにはCu:0.1%以
上、Ni:0.1%以上が必要であるが、Cuは0.5 %、Niは0.
5 %を越えて添加しても効果が飽和し、コストアップを
招くだけである。そこで、本発明では、Cu、Niを添加す
る場合にはそれぞれの添加量は0.1 〜0.5 %とする。
【0026】III. Ca、REM:Ca、REM は、硫化物系介在
物を球状化して無害化し、加工性、特に伸びフランジ性
を向上させるため添加する元素であり、かかる観点から
本発明においても若干添加しても良い。それぞれ添加量
が0.0005%、0.005 %未満では上記の効果が小さく、一
方それぞれ0.005 %、0.015 %を越えて添加してもその
効果は飽和する上に、かえって酸化物系介在物が増加し
て鋼の清浄度が悪くなり延性や加工性が劣化する。そこ
で、本発明では、Ca、REM の添加を行う場合には、その
添加範囲をそれぞれ0.0005〜0.005 %、0.005 〜0.015
%とする。
【0027】上記以外の組成は、Feおよび不可避的不純
物である。本発明では、上記組成を有する鋼片を用い
る。鋼片の製造履歴は特に限定を要さない。例えば造塊
法や連続鋳造法等如何なる方法であってもよい。
【0028】かかる鋼片に、熱間圧延を行う前に加熱炉
において均熱を行う。本発明では、熱間圧延を行う前の
均熱条件が、最も重要なポイントである。本発明では、
鋼片の表面に、Siスケールを全面的、均一かつ強固に形
成することにより縞状スケール疵の発生を防止する。
【0029】そこで、均熱温度はファヤライトが最も生
成し易い温度域である1200℃以上1240℃以下とする。均
熱温度が1200℃未満であると部分的にファヤライトの生
成が低下したり、生成しない部分が生じることがあり、
そのためにスケールの均一性が低下して縞状スケール疵
となり易く、一方均熱温度が1240℃超であると今度はフ
ァヤライトおよび他のスケールの生成、成長速度が増大
し、やはりファヤライトの生成・成長にムラが生じてス
ケールの均一性が低下して縞状スケール疵を生じ易いか
らである。
【0030】さらに、本発明では、均熱中の均熱温度の
変動幅は15℃以内とする。これは、均熱温度の変動幅が
大きいと、鋼片および生成したスケールの間の熱膨張の
差により、密着性の弱い部分からのスケールの剥離や割
れが生じ、スケールの均一性が低下して縞状スケール疵
が生じ易くなるためである。
【0031】したがって、均熱温度の変動は極力少ない
ことが望ましく、またスケールの剥離・割れの発生のし
易さを考えると、均熱温度が単調に増加したり減少した
りする場合よりも増加および減少が複合された変化を生
じる場合のほうが縞状スケール疵の発生には不利であ
る。均熱温度の変動幅を15℃以内にするのは、特定の手
段には限定されない。例えば、炉温を確認しながら加熱
をコントロールすればよい。
【0032】なお、特開平3−72031 号公報または特開
平3−79718 号公報により提案された方法では、加熱温
度の変動幅は、60℃であるため本発明とは根本的に異な
っており、本発明のように縞状スケール疵の発生を防止
できない。本発明では、均熱時間は30分間以上90分間以
下である。
【0033】均熱時間が90分間を越える長時間均熱を行
うと、ファヤライトや他のスケールが成長し過ぎてガス
発生や割れ発生によりスケールの密着性が低下し、部分
剥離を生じて縞状スケール疵を生じ易くなるためであ
る。一方、スケールの均一化の観点からは特に均熱時間
の下限を設ける必要はないが、後続する圧延工程での作
業性および鋼片の均熱度を加味して、30分間とする。
【0034】このようにして均熱を行った後は、加熱炉
から抽出し、通常の工程と全く同様にして、例えば高圧
水噴射による一次デスケーリング、粗圧延、例えば酸洗
等の二次デスケーリング、仕上圧延および巻取等を行っ
て、所望の板厚の熱延鋼板とすればよい。このようにし
て得られる熱延鋼板はSi添加型高張力熱延鋼板である
が、成品に要求する特性に応じて、前述のように任意添
加元素を適宜添加したり、さらには仕上圧延温度や巻取
温度を適宜調整すればよい。
【0035】このようにして、本発明によれば、表面性
状に優れたSi添加熱延鋼板を製造できる。本発明により
得られる熱延鋼板は、例えば、YP:40〜70kgf/mm2 、T
S:55〜85kgf/mm2 、El:15〜30%であって、例えば自
動車、産業機械さらには建造物等に適用可能な高強度を
備えている。なお、必要であればこの特性範囲外の鋼板
の製造も可能であり、本発明が上記特性に限定されるも
のではない。本発明の主旨は、含Si鋼板について表面性
状が良好な鋼板を製造することである。さらに、本発明
を実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例
示でありこれにより本発明が限定されるものではない。
【0036】
【実施例】表1に示す組成の鋼片1ないし19 (250 mm×
1000〜1250mm×6000〜8000mm) を電気炉→インゴット→
分塊圧延法または転炉→CC鋳込法により溶製し、熱間
圧延前に加熱炉で、同じく表1に示す条件で均熱してか
ら抽出し、鋼片表面に高圧水を噴射して1次デスケーリ
ングを行った後に粗圧延を行い、酸洗を行って二次デス
ケーリングを行ってから仕上温度を850 〜950 ℃として
熱間圧延を終了して、板厚が2.6 〜3.2 mmの熱延鋼板を
製造した。
【0037】その後、400 〜700 ℃の温度で巻取った
後、0.5 〜1.5 %の圧下率で平坦調整のための調質圧延
を行い、通常の塩酸酸洗処理を施して成品とした。この
ようにして製造された熱延鋼板について以下の評価を行
った。
【0038】表面性状評価 成品の先端部 (先端から約30mの位置) 、中央部 (全長
さの約半分の長さの位置) および後端部 (後端から約30
mの位置) から、500 mm長さの試験片を採取し、その表
側について全幅を目視観察し、シマスケ率 (全幅を横切
る線分中のシマスケ部の占める長さ率) が90%以上と全
幅にわたって均一であると認められるものを合格○と
し、シマスケ率90%未満のまだら状となっているものを
不合格×とした。表1からわかるように、本発明にかか
る製造法によれば、表面性状に優れた高Si添加熱延鋼板
を容易に製造できた。
【0039】機械的特性評価 酸洗コイルの先端部、中央部、後端部より採取した試験
片の板幅位置で1/4 幅の所よりJIS 5 号試験片を採取
し、引張試験を行った。試験結果を表1にまとめて示
す。表1からわかるように、本発明にかかる製造法によ
り製造された高Si添加熱延鋼板は、高強度を有すること
がわかる。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高Si添加型であるにもかかわらず、表面性状に優れ、か
つ高張力を有する高Si添加熱延鋼板を新たな設備を必要
とせずにエネルギーコストをアップさせることなく製造
することができる。したがって、成品の表面性状が問題
となるような用途、例えば自動車、産業機械さらには建
造物等に高Si添加のメリットを生かすことができるため
高強度化を図ることが可能となる用途が拡大し、産業上
極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造法の加熱パターンを示すグ
ラフである。
【図2】本発明にかかる製造法を満足しない加熱パター
ンを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/38 38/58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.05 〜0.15%、Si:0.1〜2.0 %、Mn:0.8〜2.0 %、
    P:0.05 %以下、 S:0.005%以下、Al:0.01 〜0.05%、 残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼片に、均熱温度
    が1200〜1240℃であって均熱中の温度変動幅が15℃以内
    となるようにして30〜90分間均熱を行ってから、熱間圧
    延を行うことを特徴とする表面性状に優れたSi添加熱延
    鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 さらに、前記鋼片は、重量%で、 Cr:0.05 〜1.0 %、Ti:0.01 〜0.3 %、Nb:0.005〜0.10
    %、 Mo:0.03 〜0.5 %、V:0.001〜0.10%およびB:0.0005
    〜0.005 %からなる群から選ばれた1種または2種以上
    を含有することを特徴とする請求項1記載の表面性状に
    優れたSi添加熱延鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】 さらに、前記鋼片は、重量%で、 Cu:0.1〜0.5 %および/またはNi:0.1〜0.5 %を含有す
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の表面
    性状に優れたSi添加熱延鋼板の製造法。
  4. 【請求項4】 さらに、重量%で、Ca:0.0005 〜0.005
    %および/またはREM:0.005 〜0.015 %を含有すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    の表面性状に優れたSi添加熱延鋼板の製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007039774A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れた熱延鋼板
JP2011202231A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Nisshin Steel Co Ltd 酸洗性および加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
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KR101505289B1 (ko) * 2013-05-31 2015-03-30 현대제철 주식회사 열연 코일 및 그 제조 방법

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