JPH06192247A - 環状ジアミド化合物及び該化合物を使用する貴金属回収方法 - Google Patents

環状ジアミド化合物及び該化合物を使用する貴金属回収方法

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JPH06192247A
JPH06192247A JP33626891A JP33626891A JPH06192247A JP H06192247 A JPH06192247 A JP H06192247A JP 33626891 A JP33626891 A JP 33626891A JP 33626891 A JP33626891 A JP 33626891A JP H06192247 A JPH06192247 A JP H06192247A
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Eiichi Kimura
榮一 木村
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
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  • Nitrogen- Or Sulfur-Containing Heterocyclic Ring Compounds With Rings Of Six Or More Members (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の金属錯体の配位子である環状ジアミド
化合物は、貴金属イオンと卑金属イオンに対する選択性
がなく、全ての金属イオンに配位して錯体を形成する。
本発明は、貴金属イオンに選択的に配位し該貴金属イオ
ンを回収することができる環状ジアミド化合物を提供す
ることを目的とする。 【構成】 式 【化1】 (ここでn=0又は1である)で表される環状ジアミド
化合物。この環状ジアミド化合物は従来のような4個の
窒素原子による配位でなく2個の窒素原子と2個の硫黄
原子による配位になり、この配位の相違により貴金属イ
オンへの選択的配位が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、貴金属類の回収に有用
な環状ジアミド化合物及び該化合物を使用する貴金属類
の回収方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】本発明者らは金属や貴金属と
配位して錯体を形成する(化2)及び(化3)の化学構
造を有するアミド含有大環状化合物を既に提案した。こ
れらの化合物は配位子として数種の遷移金属イオン例え
ばCuII、NiII、CoII、PdII、PtII等の金属イオンと反応
して錯体を形成する。(化2)及び(化3)の化合物
は、オリゴペプチド例えば(化4)のトリグリシンや
(化5)及び(化6)のボリアミンが混成された性質を
有する配位子である。(化4)の化合物を配位子とする
とこの大環状化合物がアミドプロトンの解離を伴って前
記金属イオンと反応し(化7)の錯体を形成する。(化
2)及び(化3)から生成する錯体(化8)及び(化
9)の配位場は例えば(化6)の脱プロトンペプチドの
場合に類似し、従って金属イオンは同様の挙動を示す。
通常は不安定な酸化状態にあるCuIII 及びNiIII が(化
7)、(化8)及び(化9)の中心原子として安定化す
る。従ってCuII、NiII、CoII、PdII、PtII等の金属イオ
ンの混合物と(化2)及び(化3)のような配位子を反
応させても該配位子は金属イオンに対する選択性がな
く、全ての金属イオンと反応し、これらの配位子を使用
しても貴金属と卑金属との混合物から貴金属のみを回収
することはできない。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0003】
【発明の目的】本発明は、貴金属イオンと選択的に反応
して錯体を形成することができ該貴金属を単離し回収す
るために有用な環状ジアミド化合物及び該化合物を使用
して前記貴金属を回収するための方法を提供することを
目的とする。
【問題点を解決するための手段】本発明は、(化1)の
式で示されn=0又は1の環状ジアミド化合物、及び白
金イオン及びパラジウムイオン等の貴金属イオンと(化
1)の化合物とを反応させて(化1)の化合物と前記貴
金属イオンとの錯体を形成して前記貴金属を回収するこ
とを特徴とする貴金属回収方法であり、この方法を応用
することによりシスプラチン中の白金を回収することが
できる。
【0004】以下本発明を詳細に説明する。2価の貴金
属イオンであるPdII及びPtII等は硬い酸及び軟らかい酸
の混合した性質を有することが知られている。(化7)
のような正方形平面状錯体を形成するペプチド配位子に
対するPdIIやPdIIの硬さはCuIIやNiIIの硬さよりも大き
く、従ってPdII及びPtIIはCuIIやNiIIよりも低いpHで
アミドプロトンを置換する。例えば硫黄供与体のような
軟らかい配位子に対してはこれらの貴金属イオンは軟ら
かい酸になってCuIIやNiIIより高い親和性を有し良好に
適合する。
【0005】本発明者らはこの事実を基づいて新規な大
環状配位子を検討し本発明に到達したものである。本発
明の環状ジアミド化合物には(化10)の化合物つまり
6,6−ジメチル−5,7−ジオキソ−1,11−ジチア
−4,8−ジアザシクロテトラデカン、及び(化11)つ
まり12,12−ジメチル−11,13−ジオキソ−1,4,7
−トリチア−10,14−ジアザシクロヘキサデカンが含ま
れる。
【化10】
【化11】
【化12】 この(化10)及び(化11)の化合物つまりn=0又は1
である(化1)の化合物は、(化12)に示す式に従って
合成することができる。つまりジメチルマロニルジグロ
ライドを1,9−ジアミノ−3,7−ジチアノナン(n
=0)又は1,13−ジアミノ−4,7,10−トリチアド
デカン(n=1)と例えば0℃で1時間クロロフォルム
中で1.7 当量の炭酸セシウムの存在下で反応させて(化
10)又は(化11)の化合物を合成することができる。こ
の反応は副反応を生じさせることなく起こり薄層クロマ
トグラフィー(TLC)上に(化10)の化合物はRf値
0.5 (溶出液:塩化メチレン/メタノール=20/1)
に、(化11)の化合物はRf値0.6 に現れ、それととも
に出発物質(Rf値0.3 、溶出液:塩化メチレン/メタ
ノール/28%アンモニア=5/2/0.1 )は消失する。
この環化反応にはセシウムイオンが必須である。
【0006】非置換又はモノ置換マロニルジクロライド
を使用して類似の反応を行ったが環化は起こらなかっ
た。ジメチルマロニルジクロライドではメチル基間の立
体的な反発が環化に有利に働くものと思われる。(化1
0)及び(化11)のそれぞれを水性メタノール中室温下
で塩化白金酸カリウム(K2PtIICl4)で処理しPtIIを包含
する錯体である(化13)の化合物(M=Pt、収率86%)
及び(化14)の化合物(M=Pt、収率84%)をそれぞれ
得ることができる。PdIIの錯体化はアセトニトリル中室
温下でより速く生じ、(化13)の化合物(M=Pd、収率
90%)及び(化14)の化合物(M=Pd、収率85%)がそ
れぞれ得られる。
【化13】
【化14】 この錯体化反応はアミド基の脱プロトンを伴い、アミド
基のνC=O が遊離の配位子の〜1660cm-1から錯体の〜
1600cm-1に減少することから確認される。
【0007】(化10)及び(化11)の化合物に関して最
も興味深いことは、これらが貴金属とのみ選択的に反応
して錯体を形成し、銅、ニッケル及びコバルトのような
卑金属とは錯体を形成しないことである。一方従来化合
物である(化2)及び(化3)は同じ条件下で銅、ニッ
ケル及びコバルトを容易に取り込んで錯体を形成する。
銅、ニッケル及びコバルト等の卑金属に対して白金やパ
ラジウム等の貴金属をこのような高い選択性で取り込む
アミド含有大環状化合物の先例はない。このユニークな
特性は本発明の大環状化合物骨格中の硫黄供与体及びア
ミド供与体の組み合わせ作用により生ずると推測でき
る。反応の第1ステップでは、S2 キレート供与体がよ
り軟らかいPtII及びPdIIイオンをより硬いCuII、NiII
CoIIイオンより良好に受け入れる。第2のステップでは
受け入れられた強酸のPtII及びPdIIイオンが弱酸のC
uII、NiII、CoIIイオンより良好にアミドプロトンを除
去してMII−N- 結合を形成する。(化10)及び(化1
1)のアミド基の付随的な供与機能(チア基の配位後に
のみ有効)が選択的なPtII及びPdIIの取込みに非常に重
要であることが強調されるべきである。
【0008】錯体形成におけるアミド基の役割を調べる
ために(化10)のアミドカルボニル基を硼化水素で還元
し、これを2塩化水素塩として精製した。このカルボニ
ル基が還元された環状ジアミド化合物では、金属イオン
に対する選択性はなく、銅、ニッケル、白金及びパラジ
ウムの全ての錯体が形成された。更に(化10)及び(化
11)はシス−〔PtII(NH3)2CL2] (シスプラチン)から
のPtIIの取込みに非常に有用である。本発明者は(化
2)が低いpHでチオ硫酸の存在下、シスプラチンから
PtIIを除去することを見出した。しかし本発明の(化1
0)及び(化11)は(化2)より遙に効果的にかつ迅速
にシスプラチンからPtIIを除去して外部から添加物を加
えることなく(化13)及び(化14)であるPtII−イン−
錯体を生成する。PtII−イン−錯体の分離収率は(化1
3)については40%前後、(化14)については38%前後
である。
【0009】(化10)又は(化11)はシスプラチンと反
応して(化15)の中間体を生成し、一方(化2)はシス
プラチンと反応して(化16)の中間体を生成する。この
反応ではシスプラチン中の反応し易い塩素イオンが(化
10)又は(化11)のチア供与体あるいは(化2)の2級
アミンにより置換されてそれぞれ(化15)及び(化16)
を生成する。(化16)のテトラアミン錯体は不活性であ
るためPtII−NH3 結合を開裂させて(化8)への反応は
進行しにくい。一方(化15)のPtII−NH3 結合は2個の
チア供与体のトランス効果により活性化され容易に(化
13)又は(化14)への反応が進行する。(化15)から
(化13)又は(化14)への独立した反応の収率は〜40%
である。シスプラチンと(化10)又は(化11)との反応
による(化15)の生成はより迅速で定量的である。
【化15】
【化16】 このように本発明の環状ジアミド化合物は貴金属イオン
との錯体形成に高い選択性を示し、上述の純度の高い貴
金属イオンとの反応による貴金属イオンの回収やシスプ
ラチン中の白金イオンの回収だけでなく、貴金属イオン
と卑金属イオンの混合物からの貴金属イオンの回収ある
いは他の貴金属錯体からの貴金属イオンの回収にも使用
することができる。
【0010】
【実施例】本発明に係わる環状ジアミド化合物の製造方
法及び該化合物の錯体への変換方法の実施例を記載する
が、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
全ての実施例において使用した試薬は市販の分析用試薬
級で更に精製を行うことなく使用した。 1H及び13C−
NMRスペクトルはJEOL GX−400 スペクトロメ
ータ(400 MHz、35℃、テトラメチルシラン又は3−
(トリメチルシリル)−1−プロパン−スルフォン酸ナ
トリウム塩を標準とした)で得た。IR及びUVスペク
トルは島津製作所製FTIR−4200及び日立製作所製U
−3200に記録した。フラッシュクロマトグラフィー及び
TLCは、それぞれワコーゲルC−300 上及びメルク・
アート5554TLCプレート(シリカゲル60F254)上で行
った。
【表1】
【0011】
【実施例1】まず(化10)及び(化11)を合成した。炭
酸セシウム(550 mg、1.7 ミリモル)の存在する100
ミリリットルのクロロフォルム中にジメチルマロニルジ
グロライド(170 mg、1.0 ミリモル)と1,9−ジア
ミノ−3,7−ジチアノナン(200 mg、1.0 ミリモ
ル)を溶解させて、0℃で1時間両者を反応させた。そ
の後反応混合物を濾過して炭酸セシウム及び塩化セシウ
ムを除去し濾液を50ミリリットルの水で3回洗浄して未
反応の長鎖アミノチオエーテルを回収した。クロロフォ
ルム層を更に飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。
【0012】1,9−ジアミノ−3,7−ジチアノナン
(200 mg、1.0 ミリモル)の代わりに1,13−ジアミ
ノ−4,7,10−トリチアドデカン(240 mg、1.0 ミ
リモル)を使用したこと以外は同様にして環化反応を行
い、洗浄及び濃縮を行った。両濃縮液をシリカゲルカラ
ムでフラッシュクロマトグラフィーを行い(溶出液は塩
化メチレン/メタノール=20:1)、アセトニトリルか
ら再結晶させたところ(化10)及び(化11)の無色結晶
が得られた。TLC(溶出液は塩化メチレン/メタノー
ル=20:1)による単離を行ったところ、(化10)のR
f値は0.5 、(化11)のRf値は0.6 であった。
【0013】得られた(化10)は無色プリズム状結晶で
収率は27%、融点は130.0 〜130.5℃で、m/zは290
(M+ ) であった。元素分析を行ったところ、組成式C
12222 2 2 に対する計算値(カッコ内は測定
値)はそれぞれC:49.62 (49.64 )、H:7.63(7.7
8)、N:9.65(9.70)であった。同様に得られた(化1
1)は無色針状結晶で収率は42%、融点は180.0 〜181.0
℃で、m/zは337 (M+ ) であった。元素分析を行
ったところ、組成式C13242 3 2 に対する理論
値(カッコ内は測定値)はそれぞれC:46.40 (46.50
)、H:7.19(7.25)、N:8.33(8.32)であった。
IR及びUVのデータは表1に纏めた。なお表1中のH
の位置は添字で示し、該添字は(化18)中の対応水素を
示す。
【0014】
【実施例2】次いで(化10)からM=Ptである(化13)
の錯体を調製した。10ミリリットルの炭酸カリウム水溶
液(190 mg、1.4 ミリモル)を、(化10)(410 m
g、1.4 ミリモル)及びK2PtIICl4 (580 mg、1.4 ミ
リモル)を溶解したメタノール/水の5:1混合溶液12
0 ミリリットルに滴下し、この混合物を室温下で12時間
攪拌した。減圧下で濃縮しシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶出液:塩化メチレン/メタノールの10:1
混合液)、次いで水/アセトニトリルからの再結晶によ
り無色針状結晶である(化13)が収率86%(収量580 m
g)で得られた。TLCのRf値は0.5 (溶出液メタノ
ール)であった。元素分析を行ったところ、組成式C12
202 2 2 Pt・H2O に対する理論値(カッコ内は
測定値)はそれぞれC:28.74 (28.55 )、H:4.42
(4.37)、N:5.59(5.52)であった。
【0015】
【実施例3】(化11)からM=Ptである(化14)の錯体
を調製した。5ミリリットルの炭酸カリウム水溶液(69
mg、0.5 ミリモル)を、(化11)(170 mg、0.5 ミ
リモル)及びK2PtIICl4 (210 mg、0.5 ミリモル)を
溶解したアセトニトリル/水の1:1混合溶液50ミリリ
ットルに滴下し、この混合物を50℃で1時間攪拌した。
減圧下で濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出液:塩化メチレン/メタノールの10:1混合
液)、次いでアセトニトリルからの再結晶により無色プ
リズム状結晶である(化14)が収率84%(収量220 m
g)で得られた。TLCのRf値は0.5 (溶出液メタノ
ール)であった。元素分析を行ったところ、組成式C13
222 3 2 Ptに対する理論値(カッコ内は測定
値)はそれぞれC:29.48 (29.46 )、H:4.19(4.0
8)、N:5.29(5.27)であった。メタノールからの再
結晶によりX線分析に適した単一結晶が得られた。この
結晶は(化17)に示す立体構造を有し、X線分析による
原子間距離及び結合角は表2に示す通りであった。
【化17】
【化18】
【表2】
【0016】
【実施例4】(化10)からM=Pdである(化13)の錯体
を調製した。100 ミリリットルのアセトニトリルに溶解
した(化10)の溶液(290 mg、1.0 ミリモル)をPdII
(CH3CO2)2 (220 mg、1.0 ミリモル)と混合し室温で
1時間攪拌した。10ミリリットルに濃縮した後、沈澱し
たPdII−イン−錯体を集め真空乾燥した。アセトニトリ
ル水溶液からの再結晶により黄色針状結晶のM=Pdであ
る(化13)が収率90%(収量360 mg)で得られた。T
LCのRf値は0.3 (溶出液メタノール)であった。元
素分析を行ったところ、組成式C12202 2 2 Pd
に対する理論値(カッコ内は測定値)はそれぞれC:3
4.91 (35.16 )、H:5.37(5.50)、N:6.79(6.9
4)であった。
【0017】
【実施例5】(化10)の代わりに(化11)(340 mg、
1.0 ミリモル)を使用したこと以外は実施例4と同じ条
件でM=Pdである(化14)を調製したところ、収率85%
(収量380 mg)で(化11)が得られた。TLCのRf
値は0.5 (溶出液メタノール)であった。元素分析を行
ったところ、組成式C13222 3 2 Pdに対する理
論値(カッコ内は測定値)はそれぞれC:35.41 (35.3
7 )、H:5.03(4.78)、N:6.35(6.43)であった。
【0018】
【実施例6】(化10)のメタノール溶液10ミリリットル
とシスプラチン(30mg、1.0 ミリモル)を溶解した
〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタ
ンスルフォン酸〕緩衝液(pH=7)10ミリリットルを
混合し、室温で24時間攪拌した。TLCによりM=Ptで
ある(化13)が生成していることが確認された。濃縮後
短カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:塩
化メチレン/メタノールの10:1混合液)で分離し、収
率40%(収量19mg)で(化13)が得られた。この錯体
はTLC、IR及び 1HNMRスペクトルで同定した。
なおこの反応の間、シスプラチンは一部が加水分解され
て(化10)と反応しないハイドロオキソ配位子を含む錯
体に変換された。
【0019】
【実施例7】(化10)の代わりに(化11)を使用したこ
と以外は実施例6と同一条件で反応を行ったところM=
Ptである(化14)が収率38%(収量20mg)で生成し
た。
【0020】
【発明の効果】本発明は、(化1)で示される環状ジア
ミド化合物であり(請求項1)、この化合物は2個の窒
素原子及び2個又は3個の硫黄原子を含む14員環又は16
員環を含んでいる。この環状ジアミド化合物は2個の窒
素原子と2個の硫黄原子による正方形平面配位構造をと
ることができ、(化2)等の従来の4個の窒素原子によ
る配位と異なり、貴金属イオンに対する選択的配位を可
能にする。
【0021】この特異な配位能を利用して、該環状ジア
ミド化合物は貴金属イオンの回収に利用することができ
(請求項2)、例えば該環状ジアミド化合物は貴金属イ
オンと卑金属イオンの混合物中の貴金属イオンに選択的
に配位して該貴金属イオンのみの選択的回収を可能にす
る。又該環状ジアミド化合物はシスプラチン中の白金イ
オンと反応して該化合物と白金イオンとの錯体を形成
し、前記シスプラチン中の白金を回収する(請求項3)
ことに利用することができ、本発明の環状ジアミド化合
物はシスプラチン以外の化合物中の貴金属イオンの回収
にも利用することもできる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 (ここでn=0又は1である)で表される環状ジアミド
    化合物。
  2. 【請求項2】 貴金属イオンと(化1)の化合物とを反
    応させて(化1)の化合物と前記貴金属イオンとの錯体
    を形成して前記貴金属を回収することを特徴とする貴金
    属回収方法。
  3. 【請求項3】 シスプラチンと(化1)の化合物との反
    応により、(化1)の化合物の白金錯体を形成し、前記
    シスプラチン中の白金を回収することを特徴とする貴金
    属回収方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001516808A (ja) * 1997-09-17 2001-10-02 アングロ アメリカン プラティナム コーポレイション リミティド 白金族金属の分離
WO2011021696A1 (ja) * 2009-08-21 2011-02-24 東ソー株式会社 パラジウムイオン吸着剤、及びそれを用いたパラジウムの分離回収方法
JP2011041919A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Tosoh Corp 溶存パラジウムの除去方法
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