JPH06192121A - オーレオバシジンaの非吸湿性結晶及びその製造法 - Google Patents

オーレオバシジンaの非吸湿性結晶及びその製造法

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JPH06192121A
JPH06192121A JP5170851A JP17085193A JPH06192121A JP H06192121 A JPH06192121 A JP H06192121A JP 5170851 A JP5170851 A JP 5170851A JP 17085193 A JP17085193 A JP 17085193A JP H06192121 A JPH06192121 A JP H06192121A
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JP
Japan
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sample
crystal
powder
amorphous
aureobasidin
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Application number
JP5170851A
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English (en)
Inventor
Takaaki Okuma
高明 大熊
Hironobu Hiraga
浩信 平賀
Hisae Igarashi
久枝 五十嵐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】オーレオバシジンA(抗生物質R106−I)
の非吸湿性結晶を得ること。 【構成】無晶形のオーレオバシジンAを中性油脂または
ポリエチレングリコール類に溶解後、該溶液より析出さ
せることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗真菌剤として有用なオ
ーレオバシジンAの非吸湿性結晶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーレオバシジンA(新規抗生物質R1
06−Iと同じ:以下R106−Iと略記)はオーレオ
バシジウム族に属する菌株(FERM−BP1938)
が生産する抗生物質であり、抗真菌剤としての有用性が
期待されている(特開平2−138296、同3−22
995)。R106−Iは分子量1101の環状ペプチ
ドであり、従来は無晶形の白色粉末として得られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来得られている無晶
形の白色粉末は吸湿性を有している。一般に医薬製剤
は、製剤中の有効成分含量を一定にする必要があること
から、有効成分が吸湿性を有する場合、水分含量が常に
一定になるよう管理する必要があるなど、製剤製造上の
管理がむずかしいため、非吸湿性の原体が要望される。
しかしながら、R106−Iは環状ポリペプチドで、結
晶化することはむずかしく、無晶形の吸湿性粉末しか得
られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、R106
−Iの物理化学的性質を検討するなかで、一般には結晶
化法に使用されない天然の中性油脂(植物油)や合成の
中性油脂並びに常温で液状のポリエチレングリコール類
はR106−Iの無晶形に対して良好な溶媒であるが、
室温約10℃以上で攪拌することにより容易に純度の良
好な結晶が析出すること及び得られた結晶が、従来の無
晶形粉末と異なり非吸湿性であることを見出し、本発明
を完成した。
【0005】ち、本発明の第1の発明はR106−I
の非吸湿性結晶に関するものである。この結晶粉末は純
度により多少異なるが通常示差熱分析で約200℃〜約
206℃の間に急激な融解に基づく吸熱ピークを示す。
本発明の第2発明は、上記R106−Iの非吸湿性結晶
の製造法に関するものであり、中性油脂又はポリエチレ
ングリコール類にR106−Iを溶解し、該溶液からR
106−Iの結晶を析出させることを特徴とするもので
ある。
【0006】本法において溶媒として使用する中性油脂
には、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、ヤシ油やオリ
ーブ油などの天然由来の植物油や炭素数6〜12位の中
鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成、半合成の中性油脂
を用いることができる。これらの中性油脂はR106−
Iの粗製物の溶解並びに結晶化を行う温度において液状
であることが好ましい。これらの例として天然由来の中
性油脂としてトウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、ヤシ
油、オリーブ油、ラッカセイ油、ヒマシ油などを用いる
ことができる。合成、半合成の中性油脂としてはカプリ
ル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリドなどを
用いることができる。これらの溶媒を用いた結晶化は、
以下のように行うことができる。即ち、R106−Iの
無晶形の粗精製物を液状中性油脂に攪拌して溶解したの
ち、放置すると溶媒中にR106−Iの結晶が生成す
る。R106−Iの中性油脂への溶解は通常常温(約1
0℃〜約35℃)で行うのが好ましいが、場合により加
温や冷却下でもよい。
【0007】性油脂へのR106−Iの溶解量は使用
する中性油脂の種類、溶解温度などにより異なるが、通
常飽和もしくは過飽和状態になるまで溶解させるのが好
ましく、一般には中性油脂に対して約1%W/W〜約3
0%W/W程度であり、好ましくは5%W/W以上溶解
するように、溶媒及び溶解条件を選択するのが好まし
い。
【0008】溶媒からの結晶の析出は、R106−Iの
溶解液をそのまま放置してもよいし、また常温で溶解し
たときには例えば約30〜約70℃程度に加温してその
まま保持すると、結晶の析出を早めることもできる。ま
た、R106−Iの貧溶媒であり、中性油脂を良く溶解
するヘキサンなどの炭化水素系有機溶媒(例えば炭素数
〜10程度のもの)を少量づつ添加することも速い結
晶化には有効である。得られた結晶をろ過し、ヘキサン
などのR106−Iの貧溶媒でかつ中性油脂の良溶媒で
結晶を洗浄後、乾燥すれば、目的の非吸湿性結晶が得ら
れる。
【0009】また、本法に用いるポリエチレングリコー
ル類はポリエチレングリコール300、ポリエチレング
リコール400やポリエチレングリコール600など作
業を行う常温で液状のものであれば構わない。これらの
溶媒を用いた場合の結晶化法による精製法も、中性油脂
を用いた場合と同様に以下のようにして行うことができ
る。即ち、R106−Iの無晶形の粉末をポリエチレン
グリコールに攪拌して溶解したのち、放置すると溶媒中
にR106−Iの結晶が生成する。ポリエチレングリコ
ールへの溶解は通常常温で行えばよいが場合により冷却
下もしくは加熱下で行ってもよい。ポリエチレングリコ
ールへのR106−Iの溶解量は使用するポリエチレン
グリコールの種類や溶解温度により異なるので一概には
いえないが、一般には3%W/W〜30%W/W程度で
ある。
【0010】ポリエチレングリコール溶液からのR10
6−Iの結晶の析出は溶解液をそのまま放置するか、結
晶の生成が遅い時はR106−Iの貧溶媒であり、ポリ
エチレングリコールに良く溶解する水などの溶媒を少量
づつ添加することも速い結晶化には有効である。得られ
た結晶をろ過し、水などのR106−Iの貧溶媒でかつ
ポリエチレングリコールの良溶媒で結晶を洗浄後、乾燥
することにより、R106−Iの非吸湿性結晶を得るこ
とができる。
【0011】た本発明の第2の発明において、結晶化
に用いるR106−Iは通常80〜90%以上に精製さ
れた無晶形の粉末が使用されるが、場合によってはより
低純度のもの例えば含量が約50%内外のものでも使用
できる。
【0012】
【実施例】
実施例1 カラム精製法(特開平2−138296参照)によって
得られたR106−Iの無晶形粗精製物(不純物含量
5.2%)500mgをトウモロコシ油10gに溶解し
澄明な液を得た。この溶液を攪拌下50℃に保存すると
数時間後、結晶生成による溶液の濁りが認められ、溶液
を更に50℃にて一昼夜保存したところ、結晶が容器の
底に沈澱として得られた。この溶液をガラスフィルター
によりろ取し、n−ヘキサン、15mlで洗浄した。ガ
ラスフィルター上で風乾後、真空乾燥(室温)し白色結
晶粉末を得た。(収量398mg:収率79.6%
度96%、不純物含量4%、mp.200.6℃)
【0013】実施例2 カラム精製法によって得られたR106−Iの無晶形粉
末(不純物含量3.6%)5.0gをカプリル酸トリグ
リセリド(パナセート800、日本油脂(株))25g
に溶解し澄明な液を得た。この溶液を攪拌下50℃に保
存すると数時間後、結晶生成による溶液の濁りが認めら
れ、溶液を更に50℃にて一昼夜保存しところ、溶液
全体に析出した結晶が得られた。この溶液をガラスフィ
ルターによりろ取し、n−ヘキサン、50mlで洗浄し
た。ガラスフィルター上で風乾後、真空乾燥(室温)し
白色結晶粉末を得た。(収量3.78g:収率75.6
%、純度97.4%、不純物含量2.6%、mp.2
2.2℃)
【0014】実施例3 カラム精製法によって得られたR106−Iの無晶形粉
末500mg(不純物含量5.2%)をポリエチレング
リコール400 2gに溶解し澄明な液を得た。この溶
液を攪拌下50℃に保存すると数時間後、結晶生成によ
る溶液の濁りが認められ、溶液を更に50℃にて一昼夜
保存したところ、溶液全体に析出した結晶が得られた。
この溶液をガラスフィルターによりろ取し、精製水15
mlで洗浄した。ガラスフィルター上で風乾後、真空乾
燥(室温)し白色結晶粉末を得た。(収量0.442
g:収率88.4%、純度95.5%mp.197.
8℃)
【0015】試験例1 従来の無晶形粉末及び本発明の結晶粉末の吸湿性の比
較。 (1)サンプル 無晶形試料:実施例1で使用したものと同様にして得た
R106−Iの無晶形粉末 結晶形試料:実施例2と同様にして得たR106−Iの
結晶粉末
【0016】(2)吸湿実験: 試験前乾燥:無晶形粉末試料及び結晶形粉末試料を1
00℃で4時間乾燥した。 吸湿条件 :温度25℃ 相対湿度93%(KNO飽和溶液) 実験操作 :秤量びんに正確に秤量した無晶形粉末及
び結晶形粉末試料を試験前の乾燥を行った後、上記の吸
湿条件のデシケータ中で保存し、定期的に重量を秤量
し、吸湿による重量増加が平衡になることを確認して平
衡吸湿重量を算出した。 計 算 :平衡吸湿重量%は以下の式で算出した。 平衡吸湿重量%=(平衡後の試料重量−試験前乾燥後の
試料重量)×100/試験前乾燥後の試料重量 (3)結果 無晶形試料 :平衡吸湿重量 3.0% 結晶形試料 :平衡吸湿重量 0.0% 無晶形試料は相対湿度93%RHで吸湿量が3%認めら
れたが、結晶形試料では吸湿性が全く認められなかっ
た。
【0017】試験例2 示差走査熱量分析(D
SC分析) (1)サンプル 試料(a):無晶形試料 試料(b):実施例3で得られた結晶粉末(ポリエチ
レングリコール400を用いて結晶化) 試料(c):実施例2で得られた結晶粉末(カプリル
酸トリグリセリドを用いて結晶化) (2)測定条件 測定機器:島津熱分析装置TA−50、DSC−50 測定条件:昇温速度 10℃/min 測定温度範囲 室温〜350℃ 試料量 :約5〜6mg (3)結果 結果を図1に示す。DSC曲線は上から試料(a)、
(b)、(c)の順に示した。横軸は温度(℃)、縦軸
は熱量(mw)である。無晶形試料は明らかなピークを
認めないが、結晶形試料は結晶の融解に基づく吸熱ピー
クが約200℃〜206℃に認められた。また結晶形試
料は偏光顕微鏡観察で、偏光を示し、一方無晶形試料は
偏光を示さなかった。結晶の示す偏光及び示差走査熱量
分析で認められる吸熱ピークより、(b)及び(c)の
試料は結晶であることが確認できた。このほか、トウモ
ロコシ油から再結晶試料も同様のDSC分析曲線であっ
た。
【0018】試験例3 粉末結晶X線回折 (1)サンプル 試料(a):無晶形試料 試料(b):実施例3で得られた結晶形粉末(ポリエチ
レンレグリコール400を用いて結晶化) 試料(c):実施例2で得られた結晶形粉末(カプリル
酸トリグリセリドを用いて結晶化) (2)測定条件 測定機器:粉末結晶X線回折計 RAD−IIC(理学
電気) 測定条件:X線発生;銅ターゲット,ニッケルフィルタ
ー,電圧30KV,電流10mA X線検出;シンチレーション計数管、走査速度2°/分
【0019】(3)結果 結果を図2、図3及び図4に示す。図2、図3、及び図
4は、それぞれ試料(a)(b)(c)の回折パターン
を示し、横軸は回折角(゜)縦軸は強度(CPS)であ
る。無晶形試料(a)の回折パターン(図2)とは異な
り、結晶形試料(b)および(c)の回折パターン(図
3および図4)では、以下の各回折角において主要なピ
ークが観察された。 回折角(゜):7.4,8.5,8.9,10.6,1
1.6,12.2,13.5,16.0,16.7,1
7.9,18.4,18.9,19.5
【0020】
【発明の効果】本発明のR106−Iの非吸湿性結晶は
全く吸湿性を示さず、製剤化に適するものである。また
本発明方法により、R106−Iを初めて結晶化するこ
とができ、かつ結晶化により不純物低下も認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】無晶形粉末及び実施例3と2で得られた結晶の
DSC曲線
【図2】無晶形粉末の粉末結晶X線回折パターン
【図3】実施例で得られた結晶粉末の粉末結晶X線
回折パターン(ポリエチレングリコール400を用いて
結晶化)
【図4】実施例2で得られた結晶形粉末の粉末結晶X線
回折パターン(カプリル酸トリグリセリドを用いて結晶
化)
【符号の説明】
(a):無晶形試料のDSC曲線 (b):実施例3で得られた結晶粉末のDSC曲線 (c):実施例2で得られた結晶粉末のDSC曲線
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】オーレオバシジンAの非吸湿性結晶及び
その製造法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗真菌剤として有用なオ
ーレオバシジンAの非吸湿性結晶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーレオバシジンA(新規抗生物質R1
06−Iと同じ:以下R106−Iと略記)はオーレオ
バシジウム族に属する菌株(FERM−BP1938)
が生産する抗生物質であり、抗真菌剤としての有用性が
期待されている(特開平2−138296、同3−22
995)。R106−Iは分子量1101の環状ペプチ
ドであり、従来は無晶形の白色粉末として得られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来得られている無晶
形の白色粉末は吸湿性を有している。一般に医薬製剤
は、製剤中の有効成分含量を一定にする必要があること
から、有効成分が吸湿性を有する場合、水分含量が常に
一定になるよう管理する必要があるなど、製剤製造上の
管理がむずかしいため、非吸湿性の原体が要望される。
しかしながら、R106−Iは環状ポリペプチドで、結
晶化することはむずかしく、無晶形の吸湿性粉末しか得
られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、R106
−Iの物理化学的性質を検討するなかで、一般には結晶
化法に使用されない天然の中性油脂(植物油)や合成の
中性油脂並びに常温で液状のポリエチレングリコール類
はR106−Iの無晶形に対して良好な溶媒であるが、
室温約10℃以上で攪拌することにより容易に純度の良
好な結晶が析出すること及び得られた結晶が、従来の無
晶形粉末と異なり非吸湿性であることを見出し、本発明
を完成した。
【0005】ち、本発明の第1の発明はR106−I
の非吸湿性結晶に関するものである。この結晶粉末は純
度により多少異なるが通常示差熱分析で約200℃〜約
206℃の間に急激な融解に基づく吸熱ピークを示す。
本発明の第2発明は、上記R106−Iの非吸湿性結晶
の製造法に関するものであり、中性油脂又はポリエチレ
ングリコール類にR106−Iを溶解し、該溶液からR
106−Iの結晶を析出させることを特徴とするもので
ある。
【0006】本法において溶媒として使用する中性油脂
には、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、ヤシ油やオリ
ーブ油などの天然由来の植物油や炭素数6〜12位の中
鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成、半合成の中性油脂
を用いることができる。これらの中性油脂はR106−
Iの粗製物の溶解並びに結晶化を行う温度において液状
であることが好ましい。これらの例として天然由来の中
性油脂としてトウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、ヤシ
油、オリーブ油、ラッカセイ油、ヒマシ油などを用いる
ことができる。合成、半合成の中性油脂としてはカプリ
ル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリドなどを
用いることができる。これらの溶媒を用いた結晶化は、
以下のように行うことができる。即ち、R106−Iの
無晶形の粗精製物を液状中性油脂に攪拌して溶解したの
ち、放置すると溶媒中にR106−Iの結晶が生成す
る。R106−Iの中性油脂への溶解は通常常温(約1
0℃〜約35℃)で行うのが好ましいが、場合により加
温や冷却下でもよい。
【0007】性油脂へのR106−Iの溶解量は使用
する中性油脂の種類、溶解温度などにより異なるが、通
常飽和もしくは過飽和状態になるまで溶解させるのが好
ましく、一般には中性油脂に対して約1%W/W〜約3
0%W/W程度であり、好ましくは5%W/W以上溶解
するように、溶媒及び溶解条件を選択するのが好まし
い。
【0008】溶媒からの結晶の析出は、R106−Iの
溶解液をそのまま放置してもよいし、また常温で溶解し
たときには例えば約30〜約70℃程度に加温してその
まま保持すると、結晶の析出を早めることもできる。ま
た、R106−Iの貧溶媒であり、中性油脂を良く溶解
するヘキサンなどの炭化水素系有機溶媒(例えば炭素数
〜10程度のもの)を少量づつ添加することも速い結
晶化には有効である。得られた結晶をろ過し、ヘキサン
などのR106−Iの貧溶媒でかつ中性油脂の良溶媒で
結晶を洗浄後、乾燥すれば、目的の非吸湿性結晶が得ら
れる。
【0009】また、本法に用いるポリエチレングリコー
ル類はポリエチレングリコール300、ポリエチレング
リコール400やポリエチレングリコール600など作
業を行う常温で液状のものであれば構わない。これらの
溶媒を用いた場合の結晶化法による精製法も、中性油脂
を用いた場合と同様に以下のようにして行うことができ
る。即ち、R106−Iの無晶形の粉末をポリエチレン
グリコールに攪拌して溶解したのち、放置すると溶媒中
にR106−Iの結晶が生成する。ポリエチレングリコ
ールへの溶解は通常常温で行えばよいが場合により冷却
下もしくは加熱下で行ってもよい。ポリエチレングリコ
ールへのR106−Iの溶解量は使用するポリエチレン
グリコールの種類や溶解温度により異なるので一概には
いえないが、一般には3%W/W〜30%W/W程度で
ある。
【0010】ポリエチレングリコール溶液からのR10
6−Iの結晶の析出は溶解液をそのまま放置するか、結
晶の生成が遅い時はR106−Iの貧溶媒であり、ポリ
エチレングリコールに良く溶解する水などの溶媒を少量
づつ添加することも速い結晶化には有効である。得られ
た結晶をろ過し、水などのR106−Iの貧溶媒でかつ
ポリエチレングリコールの良溶媒で結晶を洗浄後、乾燥
することにより、R106−Iの非吸湿性結晶を得るこ
とができる。
【0011】た本発明の第2の発明において、結晶化
に用いるR106−Iは通常80〜90%以上に精製さ
れた無晶形の粉末が使用されるが、場合によってはより
低純度のもの例えば含量が約50%内外のものでも使用
できる。
【0012】
【実施例】 実施例1 カラム精製法(特開平2−138296参照)によって
得られたR106−Iの無晶形粗精製物(不純物含量
5.2%)500mgをトウモロコシ油10gに溶解し
澄明な液を得た。この溶液を攪拌下50℃に保存すると
数時間後、結晶生成による溶液の濁りが認められ、溶液
を更に50℃にて一昼夜保存したところ、結晶が容器の
底に沈澱として得られた。この溶液をガラスフィルター
によりろ取し、n−ヘキサン、15mlで洗浄した。ガ
ラスフィルター上で風乾後、真空乾燥(室温)し白色結
晶粉末を得た。(収量398mg:収率79.6%
度96%、不純物含量4%、mp.200.6℃)
【0013】実施例2 カラム精製法によって得られたR106−Iの無晶形粉
末(不純物含量3.6%)5.0gをカプリル酸トリグ
リセリド(パナセート800、日本油脂(株))25g
に溶解し澄明な液を得た。この溶液を攪拌下50℃に保
存すると数時間後、結晶生成による溶液の濁りが認めら
れ、溶液を更に50℃にて一昼夜保存しところ、溶液
全体に析出した結晶が得られた。この溶液をガラスフィ
ルターによりろ取し、n−ヘキサン、50mlで洗浄し
た。ガラスフィルター上で風乾後、真空乾燥(室温)し
白色結晶粉末を得た。(収量3.78g:収率75.6
%、純度97.4%、不純物含量2.6%、mp.2
2.2℃)
【0014】実施例3 カラム精製法によって得られたR106−Iの無晶形粉
末500mg(不純物含量5.2%)をポリエチレング
リコール400 2gに溶解し澄明な液を得た。この溶
液を攪拌下50℃に保存すると数時間後、結晶生成によ
る溶液の濁りが認められ、溶液を更に50℃にて一昼夜
保存したところ、溶液全体に析出した結晶が得られた。
この溶液をガラスフィルターによりろ取し、精製水15
mlで洗浄した。ガラスフィルター上で風乾後、真空乾
燥(室温)し白色結晶粉末を得た。(収量0.442
g:収率88.4%、純度95.5%mp.197.
8℃)
【0015】試験例1 従来の無晶形粉末及び本発明の結晶粉末の吸湿性の比
較。 (1)サンプル 無晶形試料:実施例1で使用したものと同様にして得た
R106−Iの無晶形粉末 結晶形試料:実施例2と同様にして得たR106−Iの
結晶粉末
【0016】(2)吸湿実験: 試験前乾燥:無晶形粉末試料及び結晶形粉末試料を1
00℃で4時間乾燥した。 吸湿条件 :温度25℃ 相対湿度93%(KNO飽和溶液) 実験操作 :秤量びんに正確に秤量した無晶形粉末及
び結晶形粉末試料を試験前の乾燥を行った後、上記の吸
湿条件のデシケータ中で保存し、定期的に重量を秤量
し、吸湿による重量増加が平衡になることを確認して平
衡吸湿重量を算出した。 計 算 :平衡吸湿重量%は以下の式で算出した。 平衡吸湿重量%=(平衡後の試料重量−試験前乾燥後の
試料重量)×100/試験前乾燥後の試料重量 (3)結果 無晶形試料 :平衡吸湿重量 3.0% 結晶形試料 :平衡吸湿重量 0.0% 無晶形試料は相対湿度93%RHで吸湿量が3%認めら
れたが、結晶形試料では吸湿性が全く認められなかっ
た。
【0017】試験例2 示差走査熱量分析(D
SC分析) (1)サンプル 試料(a):無晶形試料 試料(b):実施例3で得られた結晶粉末(ポリエチ
レングリコール400を用いて結晶化) 試料(c):実施例2で得られた結晶粉末(カプリル
酸トリグリセリドを用いて結晶化) (2)測定条件 測定機器:島津熱分析装置TA−50、DSC−50 測定条件:昇温速度 10℃/min 測定温度範囲 室温〜350℃ 試料量 :約5〜6mg (3)結果 結果を図1に示す。DSC曲線は上から試料(a)、
(b)、(c)の順に示した。横軸は温度(℃)、縦軸
は熱量(mw)である。無晶形試料は明らかなピークを
認めないが、結晶形試料は結晶の融解に基づく吸熱ピー
クが約200℃〜206℃に認められた。また結晶形試
料は偏光顕微鏡観察で、偏光を示し、一方無晶形試料は
偏光を示さなかった。結晶の示す偏光及び示差走査熱量
分析で認められる吸熱ピークより、(b)及び(c)の
試料は結晶であることが確認できた。このほか、トウモ
ロコシ油から再結晶試料も同様のDSC分析曲線であっ
た。
【0018】試験例3 粉末結晶X線回折 (1)サンプル 試料(a):無晶形試料 試料(b):実施例3で得られた結晶形粉末(ポリエチ
レンレグリコール400を用いて結晶化) 試料(c):実施例2で得られた結晶形粉末(カプリル
酸トリグリセリドを用いて結晶化) (2)測定条件 測定機器:粉末結晶X線回折計 RAD−IIC(理学
電気) 測定条件:X線発生;銅ターゲット,ニッケルフィルタ
ー,電圧30KV,電流10mA X線検出;シンチレーション計数管、走査速度2°/分
【0019】(3)結果 結果を図2、図3及び図4に示す。図2、図3、及び図
4は、それぞれ試料(a)(b)(c)の回折パターン
を示し、横軸は回折角(°)縦軸は強度(CPS)であ
る。無晶形試料(a)の回折パターン(図2)とは異な
り、結晶形試料(b)および(c)の回折パターン(図
3および図4)では、以下の各回折角において主要なピ
ークが観察された。 回折角(°):7.4,8.5,8.9,10.6,1
1.6,12.2,13.5,16.0,16.7,1
7.9,18.4,18.9,19.5
【0020】
【発明の効果】本発明のR106−Iの非吸湿性結晶は
全く吸湿性を示さず、製剤化に適するものである。また
本発明方法により、R106−Iを初めて結晶化するこ
とができ、かつ結晶化により不純物低下も認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】無晶形粉末及び実施例3と2で得られた結晶の
DSC曲線
【図2】無晶形粉末の粉末結晶X線回折パターン
【図3】実施例で得られた結晶粉末の粉末結晶X線
回折パターン(ポリエチレングリコール400を用いて
結晶化)
【図4】実施例2で得られた結晶形粉末の粉末結晶X線
回折パターン(カプリル酸トリグリセリドを用いて結晶
化)
【符号の説明】 (a):無晶形試料のDSC曲線 (b):実施例3で得られた結晶粉末のDSC曲線 (c):実施例2で得られた結晶粉末のDSC曲線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オーレオバシジンAの非吸湿性結晶
  2. 【請求項2】約200℃〜約206℃の間で融解による
    吸熱ピークを示し、回折角:7.4°,8.5°,8.
    9°,10.6°,11.6°,12.2°,13.5
    °,16.0°,16.7°,17.9°,18.4
    °,18.9°,19.5°において主要なピークを示
    す回折パターンを有する請求項1記載のオーレオバシジ
    ンAの非吸湿性結晶。
  3. 【請求項3】無晶形オーレオバシジンAを中性油脂また
    はポリエチレングリコール類に溶解後、該溶液より結晶
    を析出させることを特徴とするオーレオバシジンAの非
    吸湿性結晶の製造法
JP5170851A 1992-06-23 1993-06-18 オーレオバシジンaの非吸湿性結晶及びその製造法 Pending JPH06192121A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3631138A1 (de) * 1985-09-14 1987-03-26 Sony Corp Spannungsquelle mit gleichspannungsumformer

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