JPH06189750A - ヒト単クローン性抗肺ガン細胞抗体を産生するハイブリドーマ - Google Patents

ヒト単クローン性抗肺ガン細胞抗体を産生するハイブリドーマ

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JPH06189750A
JPH06189750A JP3347889A JP34788991A JPH06189750A JP H06189750 A JPH06189750 A JP H06189750A JP 3347889 A JP3347889 A JP 3347889A JP 34788991 A JP34788991 A JP 34788991A JP H06189750 A JPH06189750 A JP H06189750A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒトの肺ガン細胞に特異的に反応するヒト単
クローン性抗体を産生するヒト−ヒトハイブリドーマを
得る。 【構成】 肺ガン患者からの抗体産生細胞と、ヒト腫瘍
細胞株からの細胞とを融合させたハイブリドーマからヒ
トの肺ガン細胞と特異的に反応する抗体を産生するハイ
ブリドーマを選択したヒト単クローン性抗肺ガン細胞抗
体を産生するハイブリドーマ。特に、ヒト腫瘍細胞株か
らの細胞としてヒトバーキットリンパ腫細胞であるナマ
ルバ細胞のヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシル
トランスフェラーゼ欠損突然変異細胞を用いたハイブリ
ドーマ。このハイブリドーマは、無血清培地にても継代
培養でき、しかも抗肺ガン細胞抗体を産生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明者らは、ヒト肺ガン細胞に
特異的なヒト単クローン性抗体を産生する新規のヒト−
ヒトハイブリドーマを作成し、更にその抗体を大量に、
かつ高純度で得ることができた。新規のハイブリドーマ
は、安定に継代培養され、肺ガン細胞に対して特異的な
抗体を産生した。この肺ガン特異的抗体は、ガンの免疫
学的研究、臨床診断および免疫治療等の医学的分野での
応用やガン特異抗原の精製手段としての利用ができる。
【0002】
【従来の技術】Kohler,G.およびMilstein,K.はマウス脾
細胞とマウス骨髄腫細胞との細胞融合によりマウスの単
クローン性抗体を産生した(Nature,256巻、495-497頁、1
975年及びEur.J.Immunol.6巻、511-519頁、1976年)。ハ
イブリドーマによる単クローン性抗体の産生法の特徴
は、単一の抗原決定基にのみ反応する抗体を生体外で大
量にかつ繰り返し得ることができることにある。従っ
て、この方法を用い腫瘍、ウイルス等の抗原に対する単
クローン性抗体を産生し、その抗体を生物・医学研究に
応用する試みがなされ、数多くの報告がなされている。
しかし、そのほとんどがマウスの単クローン性抗体につ
いてである。Steinity,M.は、Epstein-Barrウイルスの
形質転換によって得られる抗体産生ヒトB-リンパ球の
培養により抗体を産生した( Nature,269巻、420-422
頁、1977年)。
【0003】
【発明が解決しようとす課題】
A.Kohler及びMilsteinの基本的な細胞融合の技術の提
示以来、種々のハイブリドーマにより作成及びこれらの
ハイブリドーマにより産生される単クローン性抗体の基
礎的または応用的研究について多くの努力がなされてき
た(例えば AnnualRev.Biochem.,50巻、657-680頁、1981
年)。このような文献は、ハイブリドーマから単クロー
ン性抗体を産生することにより得られる多くの利点と同
時に、その操作及びその結果の複雑さも示している。
【0004】一般的技術は、概念的にはよく理解されて
いるが、特定の場合に多くの困難がある。従って、それ
を解決するための変更が要求されるとともに、不確定の
要素が存在する。事実、一定のハイブリドーマを作成す
る場合には、所望のハイブリドーマが得られるかどう
か、仮にそれが得られた場合抗体を産生するかどうか、
あるいはまたそのように産生された抗体が所望の特異性
をもつかどうかなどは、全く予測し難い。成功の程度
は、主としていかに多くの生きのよい抗体産生リンパ球
細胞を得るか、および融合に用いる親細胞としての腫瘍
細胞の選択とその細胞の生きのよさにより影響を受け
る。
【0005】しかし、それでも成功を左右する未知の不
確定の要素が多くあると考えられ、所望の特異性をもつ
単クローン性抗体を産生するハイブリドーマの作成は非
常に難しい。特にヒト−ヒトハイブリドーマの場合に
は、ヒト抗体産生融合細胞を得ることすら難しく、所望
の特異性をもつ単クローン性抗体を産生するヒト−ヒト
ハイブリドーマの作成は、困難を極めるといってよい。
【0006】B.生体外でヒトのガンに対するヒト単ク
ローン性抗体を製造するためのアプローチがいくつか試
みられたが、それらは、現在のところ成功していない。
これらには、例えば、次のことが挙げられる。
【0007】(a) Epstein-Barr ウイルスによるガン患
者の抗体産生リンパ球の形質転換による方法 この形質転換細胞を確立するには長く冗長な過程を必要
とし、またクローン化が非常に困難であるので、この方
法はほとんど成功の例がない。
【0008】(b) マウス骨髄腫とガン患者の抗体産生リ
ンパ球細胞との細胞融合による方法 この方法は、マウス−マウスハイブリドーマと同様に優
れた増殖性を有するマウス−ヒトハイブリドーマを製造
するが、それはまた、この雑種細胞が固有の遺伝学的不
安定性を有するという大きな不利な点をも持ち合わせて
いる。すなわち、抗体にとって重要な意味を持つカッパ
ー鎖を形成するための遺伝子が位置するヒトの染色体を
マウス骨髄腫が融合細胞外へ放出してしまうということ
である。従って、ヒト単クローン性抗体を安定に産生す
るハイブリドーマのできる可能性は、非常に低い。
【0009】C.マウス−マウスのハイブリドーマによ
り産生されたヒトのガンに対するマウス単クローン性抗
体は数多く産生されているが、これらはヒトにとって異
物であるため、例えば、ヒトに反復注射した場合ショッ
クを起こす危険性がある。従って、ヒトの腫瘍細胞とヒ
トのガンに対する抗体を産生する細胞とを融合して形成
されたヒト−ヒトハイブリドーマを用いることは有効で
ある。すなわち、このハイブリドーマは、ショックの危
険の少ないヒトのガンに対する単クローン性抗体を産生
することができるからである。
【0010】D.ハイブリドーマを生体外で大量培養
し、単クローン性抗体を産生する場合、培地として牛胎
児血清(以下、FCSという)等の血清添加培地(以下、
血清培地という)を一般的に使用している。しかし、血
清は高価であること及びロット間のばらつきがあること
から、血清培地は大量培養に適さない。更に、血清は数
十以上の成分から成り、かつ多量に添加されるため、培
地中に分泌された抗体の精製は非常に困難である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、例えば肺ガン
患者のリンパ節から分離した細胞のような肺ガン患者の
抗体産生細胞と、抗体産生能のないヒト腫瘍細胞株から
の細胞との融合によって得られる抗体を産生するハイブ
リドーマに関するものである。詳しくは、このようにし
て得たハイブリドーマから、産生する抗体を間接蛍光抗
体法により測定したとき、次の(イ)〜(ハ)の特徴を有する
抗体を産生するものを選択したハイブリドーマに関する
ものである。
【0012】(イ) 肺ガン細胞に対し、特異的な蛍光が認
められる。 (ロ) 胃ガン、腎臓ガン、メラノーマおよび膀胱ガンの細
胞に対し、特異的な蛍光が認められない。 (ハ) 正常細胞に対し反応せず、特異的な蛍光が認められ
ない。 すなわち、前述した解決すべき課題に対し、各々次のよ
うに対応することにより本発明の実施を可能とした。
【0013】A.課題Aのヒト−ヒトハイブリドーマの
困難について (a) 多くの生きのよい所望のヒト抗体産生リンパ球細胞
を得るために、肺ガン患者から摘出したリンパ節の中で
特にガン細胞が混入しているものを選び、それからリン
パ球細胞を調製した。そのリンパ球細胞をすばやくその
患者のガン細胞及びリンパ球を幼若化因子等とともに培
養し、芽球化させた。
【0014】(b) 融合に用いる親細胞としての腫瘍細胞
として、融合効率の高いNAT−30(特願昭58-247772
号、「ヒトハイブリドーマ作成用親細胞株」)及びその
亜株を用いた。NAT−30及びその亜株とは、ヒトバ
ーキットリンパ腫細胞であるナマルバ細胞のヒポキサン
チン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ
(HGPRT)欠損突然変異株細胞である。また、その細
胞を生きのよい状態にするために、その継代培養用培地
(30μg/ml6-チオグアニン入り培地)から6-チオグア
ニンを除き10日間培養、そして融合2日前から毎日培地
を半分ずつ新しい培地と交換した。
【0015】(a)、(b)等により所望の肺ガン細胞に特異
なヒト単クローン性抗体を産生するヒト−ヒトハイブリ
ドーマが作成された。
【0016】B.課題Bの安定なハイブリドーマが得ら
れる親細胞株について 本発明者らは、HGPRT欠損の安定なヒトの腫瘍細胞
株からの細胞で特に融合効率の高い、NAT−30及び
その亜株を用いヒト−ヒトハイブリドーマを作成し、そ
の課題を解決した。
【0017】C.課題Cのマウスハイブリドーマによる
危険回避について 本発明者らは、ヒト−ヒトハイブリドーマを作成するこ
ととし、(a)肺ガン患者の抗体産生細胞と (b)HGPRT
欠損の安定なヒトの腫瘍細胞株からの細胞との融合によ
り、ヒトの肺ガンに対するヒト単クローン性抗体を安定
に産生するヒト−ヒトハイブリドーマを作成し、その問
題点を解決した。
【0018】D.課題Dの大量生産について 本発明者らは血清を添加しない培地(以下、無血清培地
という)でもハイブリドーマが増殖し、かつそれが単ク
ローン性抗体を産生する系を作成するために、無血清培
地でも増殖するヒトの腫瘍細胞NAT−30およびその
亜株を親細胞として用いた。この親細胞を用いたハイブ
リドーマは、試験例1にその例を示すように、親細胞と
同様に無血清培地で増殖した。しかも、このハイブリド
ーマは、無血清培地中で単クローン性抗体を産生し、そ
の上産生した抗体はヒト肺ガン細胞にのみ反応した。
【0019】なお、無血清培地としては、例えば、(a)
インシュリン、ラクトフェリン、エタノールアミン及び
セレニウムの4成分を含むDulbecco改質培地(以下、D
MEという)、(b)ラクトフェリンをトランスフェリンに
置き換えたもの、(c)(a)(b)に更にECGSを加えたも
のなどが用いられる。無血清培地を用いることにより、
ハイブリドーマの培養が安価にできるようになり、更に
試験例2に示すように精製も非常に簡単にできるように
なった。
【0020】以上に説明したように、本発明のハイブリ
ドーマは、肺ガン患者のリンパ節から得た生きのよいヒ
ト抗体産生リンパ球細胞と、融合効率の高いヒト腫瘍由
来の細胞であるNAT−30及びその亜株とを融合させ
たものである。このハイブリドーマは、血清培地の場合
のみならず、無血清培地の場合においても増殖し、しか
もいずれの場合でも抗肺ガン細胞抗体を安定に産生し続
けた。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 ヒト抗体産生リンパ球細胞の調製 ヒトリンパ球細胞は、肺ガン患者から摘出したリンパ節
のうち、特にガン細胞の混入しているリンパ節を選び、
すみやかにこれを10%FCS添加DME中で細切し、更
に2枚のスライドグラスでこの細切した組織をはさみ押
しつけることによりリンパ球細胞およびガン細胞等を浮
遊させた。
【0022】このようにして浮遊させた細胞を、10%F
CS添加培地1ml当たり1〜2×106個リンパ球細胞にな
るように調整し、これに10μg/mlのpokeweed mitoge
nを添加した。これをシャーレ中で2〜3日間、37℃の5%
炭酸ガスインキュベーター内で培養した。培養後、2回
DMEで洗浄し、これをヒト抗体産生リンパ球細胞画分
とした。
【0023】NAT−30細胞およびその亜株の調製 NAT−30細胞を調製するには、以下のようにした。
先ず、ナマルバ細胞(大日本製薬)を45℃で、0.25%寒天
を含むDME+10%FCS添加血清培地に1×103個/m
lの細胞密度で浮遊させ、5cmシャーレにその5mlを
取り、37℃で5%炭酸ガス及び95%空気のインキュベー
ター内で3週間培養した。次いで、生育したクローン90
個を1つずつ96ウエルプレート(ヌンク社)(1ウエルにつ
き200μlの培地)に取り出し、寒天を含まない上記血清
培地中で、同様にして2週間培養した。抗体産生能のな
い株を選択する目的から、各ウエルの培養上清をとりエ
ンザイムイムノアッセイ(カッペル社)によりその上清中
の抗体量の測定を行った。
【0024】その結果抗体の全く検出されなかった細胞
株7株を選び、96ウエル中で十分に増殖させた。増殖し
た細胞株をそれぞれ24ウエル(1ウエルにつき1.5mlの
培地)、5cmシャーレ(1枚につき5mlの培地)の順に用
いて培養液量を増加しつつ培養し、約5×106細胞ずつを
得た。それぞれの株について3×104細胞を残し、他の細
胞を、新しく調製した上記血清培地15mlに浮遊させ、
−5℃で凍結後室温で融解するという凍結・融解操作を
2回繰り返し細胞を死滅させた。この死滅細胞を含む培
地5mlを3枚の5cmシャーレに移し、死滅させずに残
しておいた細胞をそれぞれ1×104細胞ずつ移植した。
【0025】上記と同様に5日間培養すると大部分の細
胞は死滅するが、その中の生き残った細胞を遠心により
集めそれぞれの株について、96ウエルプレート30ウエル
に移植した。4〜6日ごとに培地を交換しつつ3週間培
養した結果、増殖のみられた株は上記7株中2株につて
であった。2株について、増殖速度の速い5個ずつのウ
エルの細胞を上記の順に培養液量を増加しつつ培養し、
それぞれ約1×106細胞を得た。
【0026】それぞれの細胞を別々に遠沈により集め、
1回DMEで洗い、無血清培地(ITES培地、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,79巻,1158-1162頁、1982年)5mlにそ
れぞれ浮遊させた。上記と同様に4週間、4〜6日ごと
に培地を換え培養した。この無血清培地での培養で増殖
速度の早いものから3種類の細胞を選び、十分に増殖さ
せて約1×107個ずつの細胞を得た。
【0027】これらをそれぞれ3μg/mlの6-チオグ
アニンを含む上記血清培地10mlに浮遊させ、4日ごと
に培地を交換しつつ4週間培養した。その後生存細胞を
取り出し、30μg/mlの6-チオグアニンを含む同一培
地に1×105個/ml濃度となるように浮遊させ、上記と
同様に4週間培養した。このようにして6-チオグアニン
耐性株を得た。この株をNAT−30と命名した。
【0028】NAT−30細胞の亜株は、NAT−30
細胞を0.25%寒天を含む培地(30μg/mlの6-チオグ
アニンおよび10%FCS添加DME)に103個/mlの細胞
密度で浮遊させ、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター
内で3週間培養した。その間に増殖したクローンのうち
生育の一番よかったクローンを選びこれをNAT30−
8と命名した。NAT−30およびNAT30−8は30
μl/mlの6-チオグアニンを含む上記血清培地で継代
培養した。融合に用いる10日前から培地を6-チオグアニ
ン無添加の血清培地に換え培養し、更に融合2日前から
毎日培地の半分を新しい培地と交換して培養した。
【0029】ハイブリドーマの作成 上記NAT−30またはNAT30−8細胞の3×107
と、上記ヒト抗体産生リンパ球細胞3〜10×107個とを細
胞融合に用いた。各細胞をDMEで2回洗浄し、50ml
の遠心管中で混合し、1,200rpmで7分間遠沈した。上清
を完全に除去し、得られた細胞ペレットに、あらかじめ
37℃に加温した42.5%ポリエチレングリコール(平均分
子量1,500)及び15%ジメチルスルホキシド添加DMEの
1mlを1分間かけ少しずつ加えた。
【0030】更に、1分間37℃で放置した後、あらかじ
め37℃に加温しておいたDMEを5分間かけ徐々に9ml
加えた。1,500rpmで10分間遠沈し、上清を除去した。得
られた細胞ペレットに15%FCS添加DME100mlを
加えて、96ウエルプレートに夫々100μlずつ分注し
た。24時間後、2倍濃度のHAT培地(上記15%FCS
培地にヒポキサンチン2×10-4M、アミノプテリン2×10
-7M及びチミジン3.2×10-5Mを添加した培地)100μl
を各ウエルに加えた。
【0031】以後4日ごとに培地の半分を捨て、HAT
培地100μlを各ウエルに加える操作を繰り返し、4〜
6週間7%酸素、5%炭酸ガスを含むインキュベーター内
で37℃で培養した。この間に増殖したハイブリドーマに
ついては、更に1週間HT培地(HAT培地からアミノ
プテリンを除いた培地)で培養した後、無血清培地及び
血清培地で培養した。
【0032】間接蛍光抗体法 特異性の判定は以下のような方法を用いた。96ウエルプ
レート又は組織培養用チェンバー(ラブーテック社)にガ
ン細胞及び正常2倍体細胞を1〜5日間37℃の5%炭酸ガ
スインキュベーター中で培養し付着させた。培養後、0.0
5%グルタルアルデヒド又は4%ホルムアルデヒドで固定
する。固定後、リン酸緩衝化生理食塩水(以下、PBS
という)で3回洗浄し、3%牛血清アルブミンを含むPB
Sを加え室温で30分間放置する。
【0033】放置後、PBSで5回洗浄し、前記のハイ
ブリドーマが増殖しているウエルの培地にHyb-10-7、Hy
b-4-7、Hyb-S60、Hyb-7、Hyb-9などの記号を付し、その
100μlずつを加え、37℃、5%炭酸ガスインキュベータ
ー中で30分間放置する。この後、PBSで5回洗浄し、
蛍光標識(FITC)したヤギのヒト抗体に対する抗体
(例えば和光純薬社、タゴ社)を20〜50倍にPBSで希釈
して加え、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター中で30
分間放置する。
【0034】放置後、PBSで5回洗浄し、直に蛍光顕
微鏡で観察した。判定は、特異的な蛍光が50%以上の細
胞に認められる場合を+++、25〜50%の場合を++、25%
以下の場合を+とし、特異的蛍光が認められない場合及
びほとんど見当たらない場合が−とした。
【0035】表1及び表2はハイブリドーマを血清培地
中で培養し、産生された単クローン性抗体の特異性を調
べたものである。
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1及び表2に示したようにHyb-10-7及び
Hyb-4-7は、肺ガン細胞株であるPC-8と特に強く反応
し、他の肺ガン細胞株であるQG-56及びQG-90とも反応し
た。しかし、その他のガン細胞株であるMKN-28、MKN-7
4、KPK-1、Bowes、KU-1などとはほとんど反応しなかっ
た。また、正常2倍体細胞とも反応しなかった。なお、
肺ガン患者から得た細胞の初代培養細胞とは反応した。
Hyb-S60、Hyb-7及びHyb-9は、すべての細胞と全く反応
しなかった。
【0038】従って、得られたハイブリドーマからHyb-
10-7及びHyb-4-7を選択し、単クローン性抗肺ガン細胞
抗体を産生するハイブリドーマを得た。このようにして
得た単クローン性抗肺ガン細胞抗体を産生するハイブリ
ドーマは、前記血清培地及び無血清培地で培養している
が、現在7か月を経て依然として安定に抗体を産生して
いる。
【0039】試験例1 実施例のハイブリドーマを無血清培地で培養し、その培
地について実施例に記載した間接蛍光抗体法で特異性の
判定を行った。なお、無血清培地の組成は、インシュリ
ン10μg/ml、ラクトフェリン25μg/ml、エタノ
ールアミン10μM及びセレニウム2.5×10-8Mの4成分
を含むDMEである。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】 表3及び表4から明らかなように無血清培地で培養して
もそれぞれの単クローン性抗体の特異性は何ら変化しな
い。
【0042】試験例2 Hyb-10-7を血清及び無血清培地でそれぞれ1lずつ培養
し、その単クローン性抗体の精製を行った。表5に示し
たように、無血清培地で培養した場合には0〜50%飽和
硫安分画及びSepharoseCL-4B(ファルマシア社)によるゲ
ルろ過のみにより高純度の単クローン性抗体が製造でき
た。
【0043】
【表5】
【0044】発明の効果 肺ガン細胞に特異的に反応するヒト単クローン性抗体を
産生するヒト−ヒトハイブリドーマを作成することがで
きた。また、このハイブリドーマは、無血清培地中でも
抗体を産生し得ることから、容易に安価で高純度の抗体
を得ることができた。このような肺ガン特異的ヒト単ク
ローン性抗体の製造は、ガンの免疫学的研究、臨床診
断、免疫治療等の医学的分野での応用やガン特異抗原の
精製手段としての利用に役立つものと思われる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 39/395 ADU T 9284−4C C12P 21/08 8214−4B G01N 33/533 8310−2J 33/577 B 9015−2J (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肺ガン患者の抗体産生細胞と、ヒト腫瘍
    細胞株からの細胞との融合によって形成されたハイブリ
    ドーマであって、間接蛍光抗体法により測定したとき次
    の(イ)〜(ハ)の性質を有する抗体を産生することを特徴と
    するヒト単クローン性抗肺ガン細胞抗体を産生するハイ
    ブリドーマ。 (イ) 肺ガン細胞に対し、特異的な蛍光が認められる。 (ロ) 胃ガン、腎臓ガン、メラノーマおよび膀胱ガンの細
    胞に対し、特異的な蛍光が認められない。 (ハ) 正常細胞に対し反応せず、特異的な蛍光が認められ
    ない。
  2. 【請求項2】 ヒト腫瘍細胞株からの細胞が、ヒトバー
    キットリンパ腫細胞であるナマルバ細胞のヒポキサンチ
    ン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損
    突然変異細胞である特許請求の範囲第1項記載のヒト単
    クローン性抗肺ガン細胞抗体を産生するハイブリドー
    マ。
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