JPH06187579A - 水酸化アルカリ溶液の漏洩検知方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】誤動作等が生じることがなく、簡単な操作で安
定して水酸化アルカリ溶液の漏洩を検知する方法を開発
することが望まれていた。 【構成】水酸化ナトリウム溶液の貯留槽等の水酸化アル
カリ溶液の収容容器から漏洩した水酸化アルカリ溶液と
アルミニウムとの接触により発生した水素ガスを検知す
ることを特徴とする水酸化アルカリ溶液の漏洩検知方
法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】本発明は、水酸化アルカリ溶液の収容容器
からの該水酸化アルカリ溶液の漏洩検知方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】水酸化ナトリウム溶液が収容された貯留
槽等の水酸化アルカリ溶液の収容容器を保守管理する上
で、該容器からの水酸化アルカリ溶液の漏洩を検知する
ことが必要になる。従来、こうした水酸化アルカリ溶液
の漏洩は、上記水酸化アルカリ溶液の収容容器の周囲に
ＰＨ計や電導度計を設置し、この周囲の水分のＰＨ変化
や電導度変化を検知することにより行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た方法は、特に上記水酸化アルカリ溶液の収容容器の設
置場所が屋外等の汚れた環境の場合、該ＰＨ計や電導度
計の電極に汚れが付着し、それにより誤動作が生じ易
い。

【０００４】また、別の方法として、水酸化アルカリ溶
液の収容容器の周囲に液面計を設置し、漏洩した液によ
る液面上昇を検知する方法も考えられる。しかし、この
方法も雨水等の他の液体の流入により誤動作が生じ易
い。

【０００５】こうした背景から、誤動作等が生じること
がなく、簡単な操作で安定して水酸化アルカリ溶液の漏
洩を検知する方法を開発することが望まれていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、鋭意研究を続けてきた。その結果、水酸化アル
カリとアルミニウムとが反応した際に発生する水素ガス
を検知することにより上記課題が解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。

【０００７】即ち、本発明は、水酸化アルカリ溶液の収
容容器から漏洩した水酸化アルカリ溶液とアルミニウム
との接触により発生した水素ガスを検知することを特徴
とする水酸化アルカリ溶液の漏洩検知方法である。

【０００８】本発明の方法により検知される水酸化アル
カリ溶液は、アルカリ金属水酸化物の溶液である限り何
等制限されるものではない。好適には、水酸化ナトリウ
ム溶液および水酸化カリウム溶液が挙げられ、このうち
特に水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。こうした水
酸化アルカリ溶液の収容容器としては、何等制限される
ものではなく、例えば水酸化アルカリ溶液の貯留槽等は
無論、該水酸化アルカリ溶液が流通する配管等であって
も良い。

【０００９】本発明の漏洩検知方法では、上記のような
水酸化アルカリ溶液の収容容器から水酸化アルカリ溶液
の漏洩が生じると、該漏洩液はアルミニウムと接触す
る。その場合、該漏洩液とアルミニウムとの接触面で
は、下記式の反応が生じ水素ガスが発生する。

【００１０】

【数１】

【００１１】本発明では、この水素ガスを検知すること
により、水酸化アルカリ溶液の漏洩を検知するものであ
る。

【００１２】本発明において、漏洩液を接触させるアル
ミニウムの形状は、特に制限されるものではない。好適
には、複数の薄板として漏洩液と接触させるのが良い。
この場合、水素ガスの発生量からみて、上記薄板の総表
面積が３０ｃｍ² 以上あるのが好ましい。アルミニウム
の表面に汚れが付着している場合、水素ガスの発生速度
が低下するため、表面が清浄なアルミニウムを用いるの
が好ましい。アルミニウムの設置場所は、漏洩液と可及
的速やかに接する場所であることが好ましい。例えば、
水酸化アルカリ溶液の収容容器が水酸化ナトリウム溶液
等の貯留槽の場合、該貯留槽の周囲には、通常、安全面
から周囲に防液堤が形成されているが、この場合におい
ては、該防液堤内にアルミニウムを設置するのが良い。
その際、該防液堤内のできるだけ貯留槽に近い任意の箇
所に溝を設け、この溝内に設けても良い。

【００１３】発生した水素ガスの検知は、通常使用され
る水素ガスの検知器が何等制限されることなく使用でき
る。こうした水素ガスの検知器としては、例えば熱伝導
度法および密度、反応熱などの測定により水素ガスの存
在を検知するものがある。

【００１４】本発明においては、漏洩液と接触させるア
ルミニウムの設置場所の周囲に、上部が錐体状の覆いを
設け、該錐体状部の頂点付近に水素ガス検知器を設置
し、アルミニウムから発生した水素ガスを、周囲に放散
することなく上記覆いの錐体状部の頂点に蓄積されるの
が好適である。それにより、水素ガス検知器は、高感度
でアルミニウムからの水素ガスの発生を検知することが
できる。

【００１５】以下、本発明の方法の代表的態様を図１に
より説明する。

【００１６】図１において、本発明の方法の実施に使用
される水酸化アルカリ溶液の漏洩検知器１の底部には、
複数のアルミニウムの薄板２が、地面と接するように設
置されている。そして、漏洩検知器１において、上記複
数のアルミニウムの薄板２の設置場所の周囲には、底部
に水酸化アルカリ溶液の漏洩液が流入するための隙間３
が形成され、上部が錐体状の覆い４が設置されている。
この覆い４の錐体状部の頂点付近には、水素ガス検知器
５のガス検知部６が配備されている。なお、この覆い４
は、底部に網状物を張り、この網状物の上に上記アルミ
ニウムの薄板２を設置し、該網状物の網目から流入した
漏洩液とアルミニウムの薄板とを接触させても良い。

【００１７】かかる構造の漏洩検知器１によれば、水酸
化アルカリ溶液の収容容器から漏洩した液は、アルミニ
ウムの薄板２と接触し、その結果、該検知器内に水素ガ
スが発生する。この水素ガスは、上記覆い４内を上昇
し、上部錐体状部の頂点付近に蓄積される。そうして、
この蓄積された水素ガスは、水素ガス検知器５のガス検
知部６に吸引され、水素ガスの発生が検知される。この
水素ガス発生の検知により、水酸化アルカリ溶液の収容
容器から水酸化アルカリ溶液が漏洩したことが検知され
る。

【００１８】

【発明の効果】本発明の方法によれば、簡単な操作で感
度良く水酸化アルカリ溶液の漏洩を検知することができ
る。特に、水酸化アルカリ溶液とアルミニウムとの反応
生成物である水素ガスを検知するため、誤動作等がなく
安定して上記水酸化アルカリ溶液の漏洩が検知できる。
従って、本発明の方法は、例えば水酸化ナトリウム溶液
の貯留槽を保守管理する場合等において、極めて有効で
ある。

【００１９】

【実施例】以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００２０】実施例１ 前記図１において使用されている水酸化アルカリ溶液の
漏洩検知器１を用い、該漏洩検知器が設置された地面
に、各種濃度（１、２、４、１０、２２、４５重量％）
の水酸化ナトリウムの水溶液を流出させ、水素ガスの発
生を検知した。漏洩検知器内に設置するアルミニウムの
薄板は、縦および横が各１ｃｍで厚みが０．７ｍｍのも
のを、２枚または１５枚用い、それぞれの板がすべて上
記流出させた水酸化ナトリウムの水溶液に浸るようにし
た。また、水素ガス検知器５としては、新コスモス電器
（株）製の可燃性ガス検知器型式ＸＰ−３０６ＩＤを使
用した。水酸化ナトリウムの水溶液を流出させてから、
水素ガス検知器により５００ｐｐｍの濃度の水素ガスが
検知されるまでの時間を測定した結果を、表１に示し
た。表１に示したとおり、本発明の方法によれば、流出
させた水酸化ナトリウムの水溶液が感度良く検知でき
た。

【００２１】

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の漏洩検知方法の代表的態様の
実施を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 漏洩検知器 ２ アルミニウムの薄板 ３ 隙間 ４ 漏洩検知器の覆い ５ 水素ガス検知器 ６ 水素ガス検知部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水酸化アルカリ溶液の収容容器から漏洩し
   た水酸化アルカリ溶液とアルミニウムとの接触により発
   生した水素ガスを検知することを特徴とする水酸化アル
   カリ溶液の漏洩検知方法。