JPH0618632U - 機械式過給機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 プラネタリーギヤ式増速機構のピニオンギヤ
のベアリングを充分に潤滑することができる機械式過給
機の提供。 【構成】 機械式過給機１は、遠心式の過給機７と、過
給機７のインペラシャフト６１を支承するベアリング７
５と、固定側部材３７に対してベアリング側をフローテ
ィングに支持すると共にベアリングにオイルを供給する
オイルフィルムダンパ７９と、ベアリングやオイルフィ
ルムダンパからの排出オイルを遠心力でその壁面５５に
沿って径方向外側へ移動させる壁部材４９と、入力軸２
５と一体のインターナルギヤ４７と、固定側部材に支持
されたピニオンシャフト６７と、ピニオンシャフトにベ
アリング６５を介して支承されたピニオンギヤ６３と、
インペラシャフトに形成されたサンギヤ５９とを有する
プラネタリーギヤ式増速機構５とを備え、壁部材には遠
心力で移動するオイルをピニオンギヤのベアリング６５
へ導く環状の一部をなす突部５７が形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車両などに用いられる機械式過給機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

特表平３−５００３１７号公報に図３のような機械式過給機２０１が記載され ている。これは、プラネタリーギヤ式の増速機構２０３によりエンジンの駆動力 を増速し遠心式の過給機２０５を駆動するように構成されている。過給機２０５ のインペラシャフト２０７はベアリング２０９に支承され、このベアリング２０ ９はオイルフィルムダンパ２１１を介してハウジング２１３に支承されている。

【０００３】 又、増速機構２０３のピニオンギヤ２１５はベアリング２１７を介してピニオン シャフト２１９に支承されている。又、インターナルギヤ２２１はフランジ状の 壁部２２３を介してエンジン側の入力軸２２５に連結されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このように、増速機構２０３はハウジング２１３と壁部２２３とに挟まれてい るからピニオンギヤ２１５のベアリング２１７の潤滑が困難であり、耐久性に劣 ると共に焼付きが生じ易い。又、オイルフィルムダンパ２１１にオイルを供給す る油路２２７からベアリング２１７にオイルを与えるとオイルフィルムダンパ２ １１に悪影響がある。

【０００５】 そこで、この考案は、プラネタリーギヤ式の増速機構を備え、そのピニオンギ ヤのベアリングを充分に潤滑することができる機械式過給機の提供を目的とする 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案の機械式過給機は、遠心式の過給機と、この過給機のインペラシャフ トを支承するベアリングと、固定側部材に対してこのベアリング側をフローティ ングに支持すると共にベアリングにオイルを供給するオイルフィルムダンパと、 これらのベアリングやオイルフィルムダンパからの排出オイルを遠心力でその壁 面に沿って径方向外側へ移動させる壁部材と、この壁部材を介して入力軸と一体 に連結されたインターナルギヤと、前記固定側部材に支持されたピニオンシャフ トと、このピニオンシャフトにベアリングを介して支承されたピニオンギヤと、 前記インペラシャフトに形成されたサンギヤとを有するプラネタリーギヤ式の増 速機構とを備え、前記壁部材には遠心力で移動するオイルをピニオンギヤのベア リングへ導く少くとも環状の一部をなす突部が形成されていることを特徴とする 。

【０００７】

【作用】

インペラシャフトのベアリングやオイルフィルムダンパから排出されインター ナルギヤの壁部材の回転により壁部材の壁面に沿って径方向外側へ移動するオイ ルは、壁部材に設けられた環状の突部に当ってピニオンギヤのベアリングに導び かれる。こうして、このベアリングは充分に潤滑されて耐久性が向上し、焼付き が防止される。

【０００８】 又、環状の突部を設けたことにより壁部材の強度が上がるから、強度を保ちな がら壁部材を薄くすることが可能になり、小型化と軽量化とが可能になる。又、 この軽量化により入力軸と壁部材とインターナルギヤとを支承するベアリングの 負担が軽減される。

【０００９】

【実施例】

図１と図２とにより一実施例の説明をする。以下、左右の方向は図１と図２で の左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。

【００１０】 図１はこの実施例の機械式過給機１を示しており、この機械式過給機１はベル ト式無段変速機３と、プラネタリーギヤ式の増速機構５と、遠心式の過給機７と を備えている。

【００１１】 ベルト式無段変速機３はドライブプーリ９とドリブンプーリ１１とを備え、こ れらはケーシング１３上に支承され、それぞれ可動フランジ１５，１７と固定フ ランジ１９，２１とを備え、これらの間に装着されたベルト２３を介して連結さ れている。ドライブプーリ９はエンジンのクランクシャフトからの駆動力により 回転駆動される。又、ドリブンプーリ１１は固定フランジ２１に連結された入力 軸２５を介して増速機構５に駆動力を伝達する。

【００１２】 ドライブプーリ９では、皿ばね２７により可動フランジ１５が固定フランジ１ ９側に押圧されてベルト２３に張力が与えられている。又、ドリブンプーリ１１ にはフライウェート２９とカム面３１，３１とからなる遠心カム３３が形成され ており、エンジン回転数が上昇すると遠心カム３３のカムスラスト力により可動 フランジ１７が固定フランジ２１側に押圧されてドリブンプーリ１１のプーリピ ッチ径Ｒ₂ が大きくなると共に、ベルト張力によりドライブプーリ９のプーリピ ッチ径Ｒ₁ が小さくなり、ベルト式無段変速機３の増速比を下げる。又、エンジ ン回転数が下がると遠心カム３３のカムスラスト力が小さくなり、皿ばね２７の 付勢力によってプーリピッチ径Ｒ₁ が大きくＲ₂ が小さくなって増速比が上がる 。

【００１３】 こうして、エンジンの駆動力はベルト式無段変速機３により回転数の変動幅を 小さく抑えられ、入力軸２５を介して増速機構５へ伝達される。

【００１４】 ケーシング１３は本体３５とフランジ３７（固定側部材）とから構成されてお り、フランジ３７は本体３５の円周溝３９に係合した連結部材４１とボルト４３ とによって、過給機７のコンプレッサハウジング４５と共に、本体３５に固定さ れている。本体３５とフランジ３７との間にはＯリング４６が配置されている。

【００１５】 増速機構５はケーシング１３に収納されている。インターナルギヤ４７はフラ ンジ状の壁部４９（壁部材）を介して入力軸２５と一体に形成されている。入力 軸２５はベアリング５１，５３を介して本体３５に支承されており、この壁部４ ９の右側の壁面５５には環状の突部５７が形成されている。入力軸２５と本体３ ５との間にはシール５８が配置されている。サンギヤ５９は過給機７のインペラ シャフト６１の左端に形成されている。又、ピニオンギヤ６３はベアリング６５ を介してピニオンシャフト６７に支承されており、ピニオンシャフト６７はフラ ンジ３７に支持されボールとねじとからなる脱落防止手段６９が施されている。

【００１６】 入力軸２５の回転はインターナルギヤ４７とピニオンギヤ６３とサンギヤ５９と を介して増速されてインペラシャフト６１を回転させる。

【００１７】 過給機７のインペラ７１はインペラシャフト６１の右端に圧入され、ナット７ ３でロックされている。インペラシャフト６１を介してインペラ７１が回転駆動 されると過給機７は吸気を加圧してエンジンに供給する。

【００１８】 インペラシャフト６１はユニットベアリング７５（ベアリング）に支承されて おり、ユニットベアリング７５のアウターレース７７とフランジ３７との間には オイルフィルムダンパ７９が設けられている。このアウターレース７７に対して フランジ３７との間にはＯリング８１が又インペラシャフト６１上のブッシュ８ ３との間にはシール８５がそれぞれ配置されている。

【００１９】 本体３５にはオイルプラグ８７が取付けられており、オイルフィルムダンパ７ ９にはオイルポンプからオイルプラグ８７とノズル８９と油路９１とを介して油 圧が供給されてオイルフィルムが形成される。このオイルフィルムはユニットベ アリング７５からインペラ７１までの回転側部材をフローティング支持して回転 側の振動を吸収し、インペラ７１の破損などを防止する。アウターレース７７と フランジ３７との間にはストッパ部９３が設けられている。又、アウターレース ７７にはフランジ３７に突き当たるシム９５が装着され、その厚さ調整によりイ ンペラ７１のコンプレッサハウジング４５に対する位置を調節している。

【００２０】 オイルフィルムダンパ７９のオイルはアウターレース７７に設けられた各油路 ９７からユニットベアリング７５に供給されてこれを潤滑した後、増速機構５側 へ排出されると共に、一部は直接シム９５の装着部から増速機構５側へ排出され る。排出されたオイルは増速機構５の各ギヤ噛合い部を潤滑した後左側へ抜けて 、図２の矢印９９のように壁部４９の壁面５５上を遠心力で径方向外側に移動し 環状の突部５７に当ってピニオンギヤ６３のベアリング６５に供給される。

【００２１】 こうして、壁部４９とフランジ３７とに挟まれて従来は潤滑が困難であったベ アリング６５の潤滑は突部５７に導びかれたオイルによって充分に潤滑されて耐 久性が向上し、焼付きが防止される。これに加えて、環状の突部５７を設けたこ とにより壁部４９の強度が上がり、それだけ壁部４９を薄くすることが可能にな る。従って、増速機構５と機械式過給機１を軽量化し軸方向に小型化できる。又 、壁部４９を軽量にすることによりベアリング５１，５３の負担が軽くなる。

【００２２】 なお、突部は完全な環状でなく、環の一部であってもよい。

【００２３】

【考案の効果】

この考案は、エンジンの駆動力を増速してインペラシャフトを回転させるプラ ネタリーギヤ式の増速機構及びインペラシャフト側を支承するオイルフィルムダ ンパとを備え、入力軸と増速機構のインターナルギヤとを連結する壁部材にオイ ルフィルムダンパを経て排出されたオイルをピニオンギヤのベアリングに導く環 状の突部を設けたことにより、このベアリングが充分に潤滑されて耐久性が向上 し、焼付きが防止される。又、環状の突部を設けた強度増強効果により壁部材を 薄くすることが可能になり、装置の小型化、軽量化と壁部材のベアリングの負担 軽減とが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例を示す断面図である。

【図２】図１の要部拡大図である。

【図３】従来例の断面図である。

【符号の説明】

１ 機械式過給機 ７ 過給機 ２５ 入力軸 ３７ フランジ（固定側部材） ４７ インターナルギヤ ４９ 壁部（壁部材） ５５ 壁面 ５７ 突部 ５９ サンギヤ ６１ インペラシャフト ６３ ピニオンギヤ ６５ ベアリング（ピニオンギヤのベアリング） ６７ ピニオンシャフト ７５ ユニットベアリング（ベアリング） ７９ オイルフィルムダンパ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 遠心式の過給機と、この過給機のインペ
   ラシャフトを支承するベアリングと、固定側部材に対し
   てこのベアリング側をフローティングに支持すると共に
   ベアリングにオイルを供給するオイルフィルムダンパ
   と、これらのベアリングやオイルフィルムダンパからの
   排出オイルを遠心力でその壁面に沿って径方向外側へ移
   動させる壁部材と、この壁部材を介して入力軸と一体に
   連結されたインターナルギヤと、前記固定側部材に支持
   されたピニオンシャフトと、このピニオンシャフトにベ
   アリングを介して支承されたピニオンギヤと、前記イン
   ペラシャフトに形成されたサンギヤとを有するプラネタ
   リーギヤ式の増速機構とを備え、前記壁部材には遠心力
   で移動するオイルをピニオンギヤのベアリングへ導く少
   くとも環状の一部をなす突部が形成されていることを特
   徴とする機械式過給機。