JPH0618589B2 - 紙おむつ等の表面材 - Google Patents

紙おむつ等の表面材

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JPH0618589B2
JPH0618589B2 JP60023561A JP2356185A JPH0618589B2 JP H0618589 B2 JPH0618589 B2 JP H0618589B2 JP 60023561 A JP60023561 A JP 60023561A JP 2356185 A JP2356185 A JP 2356185A JP H0618589 B2 JPH0618589 B2 JP H0618589B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は紙おむつ、布おむつ、生理用ナプキン等に用い
られる表面材(以下紙おむつ等の表面材と称す)に関す
る。
(従来の技術) 紙おむつ等の表面材としては、一般に乾式不織布が使用
されているが、近年欧米はもとより、国内においても、
合成繊維例えばポリエステル、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリオレフィン系複合繊維等の繊維自身の熱接着性
を利用して熱エンボス、熱風など何らかの熱的手段によ
つてのみ繊維間を結合させるサーマルボンド不織布が主
流となりつつある。
紙おむつ等の表面材としては (1)低コストであること (2)皮膚刺激性がないこと (3)尿を速やかに透過させ、綿状パルプを主体とした吸
収体へ吸収させること(以下透過性とする) (4)一度吸収体へ吸収させた尿を逆戻りさせないバリヤ
ー性に優れること(以下バリヤー性とする) 等が要求され、特に上記(3),(4)の相反する性能をいか
に付与させるかが、ひいては紙おむつ自体の性能を決定
するといつても過言ではない。
サーマルボンド不織布に使用される合成繊維は、いずれ
も疏水性であるため、繊維製造工程、不織布製造工程等
において、親水性付与薬剤処理により透過性を改善する
のが一般的である。しかし、このため不織布のバリヤー
性は低下し、紙おむつ等の着用者に不快感を与え、更に
は着用者自身の排尿により皮膚の炎症を起こす場合もあ
り得る。
(4)のバリヤー性の改良方法としては、 (i)不織布の目付けを増やす (ii)繊維もしくは不織布を特定の薬剤で処理する(特開
昭56−58001号公報参照) (iii)不織布に凹凸を物理的につける(特開昭52−1
23745号公報参照) などが知られている。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、(i)の不織布の目付けを増やすことは、コスト
の増加を招き好ましくない。紙おむつ等の表面材に使用
される不織布の目付けは15〜40g/m2が一般的であ
り、コスト的理由により欧米では25g/m2以下が主流で
ある。
(ii)の繊維もしくは不織布を特定の薬剤で処理する方法
は、比較的有効な方法の一つであるが、透過性とバリヤ
ー性を同時に付与する薬剤は限定されており、新規に開
発することは費用と時間がかかる。またその薬剤の皮膚
刺激性についても確認しなければならない。
(iii)の不織布に凹凸を物理的につけることは、工程が
増え繁雑となるばかりか、不織布そのものの風合を損う
欠点があつた。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は尿の透過性を阻害させず、かつ優れたバリ
ヤー性を有する不織布を開発すべく鋭意研究した結果、
不織布に使用する合成繊維の長さを表層と中層とで変
え、これを3層構造とし、そのほか表層、中層の合成繊
維の配合率、中層の目付けなどの範囲を限定することに
より、透過性とバリヤー性を同時に解決できることを見
出し、本発明を完成した。
従来の紙おむつ表面材用の不織布は、合成繊維を使用し
ているものの、多層の不織ウエツブから形成されている
ものでも、繊維長はすべて25mm以上の長繊維のみを使
用しているのが普通であり、本発明者等はこれが尿の透
過性は良いのに、その逆戻りを吸収できない要因と考
え、不織布を表層、中層、裏層の3層に分け、表層、裏
層には長さ25mm以上の長繊維を用い、中層に長さ15
mm以下の短繊維を用いることを基本にした紙おむつ等の
表面材を提供するものである。
すなわち、本発明は疎水性の合成繊維を主体として構成
された目付け15〜40g/m2のサーマルボンド不織布
で、その不織布が表層、中層、裏層の3層構造からな
り、表層、裏層の疎水性の合成繊維の比率が50%以上
で構成され、かつ繊維長が25mm以上の繊維で構成され
ており、中層は繊維長15mm以下好ましくは10mm以下
の疎水性の合成繊維のみより構成されており、この中層
の目付けが5g/m2以上で、更に不織布全体の目付けに対
する中層の目付けの比率が75%以下であることを特徴
とする。
本発明に用いられる疎水性の合成繊維は、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ナイロン等の公知の合成繊維、ポリ
オレフィン系の熱接着性複合繊維などが使用できる。
本発明の3層構造の表面材は、表層、中層、裏層の不織
ウエツブを何らかの熱的手段により一体化させた不織布
からなり、目付けは特に制限はないが、先にも述べたよ
うに、表面材に使用される不織布は15〜40g/m2が一
般的であり、本発明においても目付けの範囲はこの程度
がよく、特に本発明では繊維長15mm以下により構成さ
れた中層を有する3層構造としているので、前記目付け
範囲の中でも低目付けになるほど、従来の長繊維のみを
用いた表面材に比べて優位性が発揮される。
また従来の表面材に対して、長さ25mm以上の繊維より
構成された表層と長さ15mm以下の繊維により構成され
た裏層の2層構造が考えられるが、本発明者等の実験に
よれば、後記実施例1に説明しているように、不織ウエ
ブを熱ロール間で加圧接着する際に、裏層を構成する長
さ15mm以下の繊維が熱ロールに付着しやすいという製
造上の問題がある。
本発明の3層構造の表面材に用いる繊維について説明す
る。表層、裏層には疎水性の合成繊維を50重量%以上
使用し、残余はレイヨン、アセテート等の化学繊維など
の繊維を用いることができるが、特に限定されない。
表層、裏層に疎水性の合成繊維を50重量%以上使用す
るのは、50重量%未満になるとバリヤー性が悪化する
ためである。
また表層、裏層に用いる疎水性合成繊維の繊維長を25
mm以上としたのは、これより繊維長が短いと不織ウエブ
の強度が低下し熱エンボス等への供給が困難になるため
である。繊維長の上限は特に限定されない。
中層は繊維長15mm以下、好ましくは10mm以下の疎水
性の合成繊維100%を用いているが、中層に繊維長の
長いものを用いると、不織布のバリヤー性が悪化し中層
に合成繊維以外の繊維を配合しても同様にバリヤー性が
悪くなる。
また中層の目付けを5g/m2以上とし、3層不織布全体の
目付けに対する中層の比率を75%以下としたのは、目
付けが5g/m2未満だとバリヤー性が悪化し、中層の比率
が75%を越えると不織布の強度が低下し、前記のよう
に不織布の製造が困難となる。
一般に紙おむつ表面材に用いるサーマルボンド不織布
は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成
繊維を、単独もしくは2種以上を配合して、公知の不織
布製造装置を用いて、不織ウエツブとした後、使用した
繊維の軟化点以上の温度の熱風または熱エンボスによる
加熱接着で繊維間を接着する。
本発明では紙おむつ等の表面材を3層構造としたため、
不織布製造装置を用いて、表層、中層、裏層を別々に不
織ウエブを形成して、これを逐次積層して3層とする
か、もしくは表層の不織ウエブ上に中層の不織ウエブを
形成し、更にこの上に裏層を形成して3層構造とする。
この3層不織ウエブを常法により熱風または熱エンボス
により加熱接着して本発明の3層構造の紙おむつ等の表
面材を得る。熱風または熱エンボスによる加熱接着を行
う温度は、使用する合成繊維によつて異なるが、用いた
合成繊維の軟化点以上の温度で行うのが普通である。2
種以上の軟化点の異なる複合繊維を用いる場合は、低軟
化点繊維の軟化点より高く、高軟化点繊維の軟化点より
低い温度で加熱するのが一般的である。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明
の紙おむつ表面材は、紙おむつの表面材以外にも布おむ
つ用の使い捨てライナー、生理用ナプキンの表面材等に
も使用でき、尿や経血に対する優れたバリヤー性と透過
性を同時に有し、しかも表面材としての強度、肌触り、
風合を兼ね備えたものである。
実施例1. 各層の繊維長が表1に示すごとくであるポリプロピレン
繊維を使用して、各層の目付けが共に8g/m2、全体の目
付けが24g/m2の三層構造の不織ウエブを形成し、この
不織ウエブを、1本がエンボスロールであり、他の1本
が無地ロールである2本の熱ロール間にて加圧接着し
て、不織布を製造した。この時の熱ロールの温度は2本
とも145°Cであり、加圧は50kg/cm、不織布製造
ライン速度は50m/分であつた。
これらの不織布を下記の方法にて排尿の透過性及びバリ
ヤー性を測定し、表1に示すごとき結果を得た。
(測定方法) クラフトパルプ(ウエアハウザー社製SAM-NBKP)を綿状
に粉砕した後、目付け300g/m2の綿状パルプシートを形
成する。このシートを密度が0.10g/cm3となるように
プレスしたのち、1辺が10cmの正方形に切断し、これ
を吸収体とする。
この吸収体の上に、上記不織布を吸収体が完全に隠れる
ように置き、この不織布の上より5ccの人工尿を瞬間的
に注ぎ、この人工尿が不織布を透過して吸収体に完全に
吸収され、不織布表面上に人工尿が完全に存在しなくな
るまでの時間を測定し、これを透過性とする。(人工尿
は生理食塩水に、非イオン活性剤を添加し、30℃にお
いて50±3dyne/cmに調整したものを使用した。) さらに、8.5ccの人工尿を滴下して(人工尿の全体の重
量が吸収体の重量の4.5倍となる)吸収体に完全に吸収
させた後、不織布上に、吸収体と同寸法の、目付け40
0g/m2の紙を、吸収体と同じ垂直位置に置き、さらに
その上から、36g/cm2の荷重を掛け、2分間放置した
後、紙が不織布を介して吸収した人工尿の重量を測定
し、これをバリヤー性とする。
表1で明らかなように、中層の繊維長が15mm以下の繊
維によつて構成された不織布は、極めて優れたバリヤー
性を有し、このバリヤー性は表層及び裏層を構成する繊
維の繊維長には、ほとんど影響されない。
ここで表層及び裏層を構成する繊維の繊維長が20mm以
下になると、上記のごとき不織布製造方法においては、
満足な状態の不織布を安定して得ることができなかつ
た。この理由は、熱ロール間にて加圧接着される以前の
不織ウエブは、繊維に物理的に成型された捲縮によつて
生ずる繊維間の弱い摩擦力によつてのみ結合されてお
り、従つて、繊維長が短くなるとそれだけ不織ウエブの
強度が低下し、安定して不織ウエブを熱ロール間へ導入
することが困難となるためである。
さらに、25mm以上の繊維長の繊維からなる表層と、1
5mm以下の繊維長の繊維からなる裏層とにより構成され
た、二層構造の不織布においても、本発明と同等の効果
が期待される。しかしながら、このような二層構造の不
織ウエブを熱ロール間で加圧接着する際に、裏層を構成
する繊維長が15mm以下の繊維は熱ロールへ付着し易
く、この付着繊維が次第に堆積して不織ウエブがロール
に巻き付くトラブルを発生させるばかりか、堆積した繊
維が固い粕状となつて、ロールを損傷させる恐れもあ
り、長時間安定して不織布を製造することが困難であ
る。
実施例2. 表2.に示すごとき繊維長のポリプロピレン繊維を使用
し、各層の目付けを種々変化させて、実施例1.と同様の
不織布製造方法にて、目付け24g/m2の不織布を製造し
た。
これらの不織布について透過性及びバリヤー性の測定を
し、表2.の結果を得た。
表2.で明らかなように、中層の目付けが5g/m2以上であ
れば優れたバリヤー性を有しているが、中層の目付けが
不織布全体の目付けの75%を超えると、実施例1.にお
いて述べたのと同様の理由により、不織ウエブの強度が
低下してしまい、安定した不織布製造が困難となる。
実施例3. 実施例2.と同様の繊維長のポリプロピレン繊維を使用
し、中層の目付けを5g/m2に固定して、不織布全体の目
付けを種々変化させて、実施例1.と同様の不織布製造方
法にて不織布を製造した。
これらの不織布について透過性及びバリヤー性を測定
し、表3.の結果を得た。
表3.に示すごとく低目付けの不織布になるほど、三層構
造の優位性が発揮されており、40g/m2を超える不織布
においては、三層構造にする必然性はない。
また、15g/m2未満の不織布では強度的に、紙おむつ等
の表面材には不適当である。
実施例4. 表層及び裏層は繊維長が38mmのポリプロピレン繊維と
レーヨン繊維とを種々の割合で混合し、中層は5mmのポ
リプロピレン繊維のみを使用して、各層共、目付けを8
g/m2、全体の不織布の目付けを24g/m2として、実施例
1.に示す、不織布製造方法において、三層構造の不織布
を製造した。
また、表層及び裏層は繊維長が38mmのポリプロピレン
繊維のみを使用し、中層は繊維長が5mmのポリプロピレ
ン繊維と、レーヨン繊維とを種々の割合で混合したもの
を使用して、上記と同様に三層構造の不織布を製造し
た。
これらの不織布の透過性及びバリヤー性を測定し、表4.
に示す結果を得た。
表4で明らかなように、中層がポリプロピレン繊維のみ
で構成されている場合には、表層及び裏層は、レーヨン
繊維のような親水性繊維が50%以下の比率であれば優
れたバリヤー性を有しているが、中層に親水性繊維が少
量でも存在する場合はバリヤー性が極端に低下してしま
う。
実施例5. (1)ポリエステル繊維及びナイロン繊維を使用し、各層
の目付けが共に8g/m2、全体の目付けが24g/m2の三層
構造の不織布を実施例1.と同様の製造方法にて製造し
た。
使用した繊維の繊維長は、ポリエステル繊維、ナイロン
繊維いずれも、表層及び裏層は38mm、中層は5mmであ
る。
また、熱ロールの温度は、ポリエステル繊維の場合は2
35℃、ナイロン繊維の場合は200℃に調整した。
(2)ES繊維(チッソ社製、ポリオレフィン複合繊維)
とポリプロピレン繊維とを比率50/50に混合した繊
維を使用して、上記(1)と同様の各層の目付けの三層構
造の不織ウエブを形成し、この不織ウエブを下方より5
0メッシュの金網をキャリヤーとして140℃に調整し
た長さ5mの熱風ドライヤー中を50m/分の速度にて
通過させて不織布を製造した。
なお、各層に使用した繊維の繊維長は、上記(1)の場合
と同様である。
(1),(2)により製造した不織布の透過性及びバリヤー性
を測定し、表5.に示す結果を得た。
また、市販品の紙おむつに使用されている表面材につい
ても同様に測定し、比較例として表5.に併記する。
表5.に示すごとく、本発明による不織布は、市販品のい
ずれよりも極めて優れたバリヤー性を有している。
ここでポリエステル、ナイロンを使用したものが、ポリ
プロピレンを使用したものよりバリヤー性が若干劣るの
は、繊維そのものの疎水性の度合いに起因するものと考
えられる。
(発明の効果) 本発明は従来の紙おむつ等に用いる表面材の不織布で
は、バリヤー性が悪く、一旦吸収させた尿等を逆戻りさ
せるという問題があつたのを、表面材を長さ15mm以下
の繊維より構成された中層を有する表、中、裏各層の3
層構造とし、合成繊維の繊維長、配合、目付け等の条件
を選択することにより、紙おむつの表面材はもとより、
布おむつ用の使い捨てライナー、生理用ナプキンの表面
材等に用いて尿、経血に対する透過性とバリヤー性を同
時に解決することができ、しかもすぐれた強度を有し、
従来の着用者の不快さを解消できたものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維を主体とする不織ウエブを熱的手
    段により接着させてなる不織布を用いた紙おむつ等の表
    面材において、表面材となる不織布は表層、中層、裏層
    の3層構造であり、表層、裏層の繊維は繊維長25mm以
    上の疎水性合成繊維を50%以上含有し、中層は繊維長
    15mm以下の疎水性合成繊維100%からなり、且つ目
    付け5g/m2以上で表層、中層、裏層全体の目付けの75
    %以下であることを特徴とする紙おむつ等の表面材。
JP60023561A 1985-02-12 1985-02-12 紙おむつ等の表面材 Expired - Lifetime JPH0618589B2 (ja)

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JPS61186504A JPS61186504A (ja) 1986-08-20
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