JPH06184072A - α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法 - Google Patents
α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法Info
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- JPH06184072A JPH06184072A JP4337317A JP33731792A JPH06184072A JP H06184072 A JPH06184072 A JP H06184072A JP 4337317 A JP4337317 A JP 4337317A JP 33731792 A JP33731792 A JP 33731792A JP H06184072 A JPH06184072 A JP H06184072A
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- reactor
- ach
- exchange resin
- aqueous solution
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 アセトンシアンヒドリン(略称名ACH)の
接触水和反応によるα−ヒドロキシイソ酪酸アミド(略
称名HAM)生成液を熱分解・蒸留し、更に、HAM水
溶液をイオン交換処理する。熱分解・蒸留条件として、
温度は 80〜100℃、圧力は 100〜760 Torr、及び、滞留
時間は2〜30時間である。イオン交換処理条件として、
HAM水溶液の濃度は 10〜40重量%、及び、SVは2
〜60 hr-1である。 【効果】 水和反応器でのACH転化率やHAM収率を
自由に設定でき、HAM生成液中、未反応のACHを分
解率90〜99%で分解除去でき、しかも、MAA合成触媒
の活性を長期間維持させるに充分な高純度のHAM水溶
液を製造できるので、工業的に有利である。
接触水和反応によるα−ヒドロキシイソ酪酸アミド(略
称名HAM)生成液を熱分解・蒸留し、更に、HAM水
溶液をイオン交換処理する。熱分解・蒸留条件として、
温度は 80〜100℃、圧力は 100〜760 Torr、及び、滞留
時間は2〜30時間である。イオン交換処理条件として、
HAM水溶液の濃度は 10〜40重量%、及び、SVは2
〜60 hr-1である。 【効果】 水和反応器でのACH転化率やHAM収率を
自由に設定でき、HAM生成液中、未反応のACHを分
解率90〜99%で分解除去でき、しかも、MAA合成触媒
の活性を長期間維持させるに充分な高純度のHAM水溶
液を製造できるので、工業的に有利である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−ヒドロキシイソ酪
酸アミド(以下、HAMと略する。)の精製方法、更に
詳しくは、アセトンシアンヒドリン(以下、ACHと略
する。)と水とを液相で連続的に反応させて得られるH
AM生成液の精製方法に関するものである。該HAMか
らは、メチルアルコールの共存又は不存在下、固体酸触
媒を用いる気相反応によって、有機合成用中間体や高分
子用モノマーとして、大量にかつ幅広く使用されるメタ
クリル酸メチル(以下、MMAと略する。)又はメタク
リル酸(以下、MAAと略する。)を製造できる(特公
昭63-10940号公報及び特公昭63-63537号公報)。
酸アミド(以下、HAMと略する。)の精製方法、更に
詳しくは、アセトンシアンヒドリン(以下、ACHと略
する。)と水とを液相で連続的に反応させて得られるH
AM生成液の精製方法に関するものである。該HAMか
らは、メチルアルコールの共存又は不存在下、固体酸触
媒を用いる気相反応によって、有機合成用中間体や高分
子用モノマーとして、大量にかつ幅広く使用されるメタ
クリル酸メチル(以下、MMAと略する。)又はメタク
リル酸(以下、MAAと略する。)を製造できる(特公
昭63-10940号公報及び特公昭63-63537号公報)。
【0002】
【従来の技術とその問題点】従来、HAMのようなアミ
ド化合物は、英国特許第1,351,530号に開示されている
ように、二酸化マンガン触媒の固定床型反応器にニトリ
ル化合物と水とを連続的に供給し、水和反応によって得
られるアミド化合物を濃縮器により適当な濃度まで濃縮
し、結晶槽で結晶化した後、遠心分離機でアミド化合物
の結晶を採取することにより製造される。更に、特公昭
63-63537号公報に開示されているように、固体酸触媒を
用いて反応式(1)(化1)によりHAMからMAAを
合成することが可能である。
ド化合物は、英国特許第1,351,530号に開示されている
ように、二酸化マンガン触媒の固定床型反応器にニトリ
ル化合物と水とを連続的に供給し、水和反応によって得
られるアミド化合物を濃縮器により適当な濃度まで濃縮
し、結晶槽で結晶化した後、遠心分離機でアミド化合物
の結晶を採取することにより製造される。更に、特公昭
63-63537号公報に開示されているように、固体酸触媒を
用いて反応式(1)(化1)によりHAMからMAAを
合成することが可能である。
【0003】
【化1】( CH3)2C(OH)CONH2 → CH2=C(CH3)COOH+NH3 (1) ところで、まず、ACHの水和によるHAMの連続製造
方法においても、英国特許第1,351,530号開示されてい
る製造法は基本的な工程としては有意義なものである
が、この方法におけるアミド化合物溶液の濃縮からその
結晶の分離までが一般的である反面、アミド化合物の一
つであるHAMの精製法としては不十分である。すなわ
ち、英国特許第1,351,530号には、アミド化合物溶液か
ら熱安定性の良好な未反応ニトリル化合物を分解しない
まま回収し、水和反応器に循環使用することが開示され
ている。しかし、高沸点でかつ熱安定性の悪いニトリル
化合物であるACHでは、上記の方法のように分解せず
回収することは不可能である。ACHは、一般にその液
性が弱酸性からアルカリ性になるに伴ない、安定性が悪
くなり分解しやすくなるということはよく知られてい
る。しかし、ACHを数%含むHAM水溶液中、ACH
の安定性、その分解条件、それを回収するための適切な
条件等は全く知られていない。ACHの水和反応におい
て、HAM生成液中の未反応ACHを分離除去しない場
合や分離不十分である場合には、後続するHAMの晶析
工程で、有毒なACHが水とともにHAM結晶に残存
し、保安上非常に危険である。
方法においても、英国特許第1,351,530号開示されてい
る製造法は基本的な工程としては有意義なものである
が、この方法におけるアミド化合物溶液の濃縮からその
結晶の分離までが一般的である反面、アミド化合物の一
つであるHAMの精製法としては不十分である。すなわ
ち、英国特許第1,351,530号には、アミド化合物溶液か
ら熱安定性の良好な未反応ニトリル化合物を分解しない
まま回収し、水和反応器に循環使用することが開示され
ている。しかし、高沸点でかつ熱安定性の悪いニトリル
化合物であるACHでは、上記の方法のように分解せず
回収することは不可能である。ACHは、一般にその液
性が弱酸性からアルカリ性になるに伴ない、安定性が悪
くなり分解しやすくなるということはよく知られてい
る。しかし、ACHを数%含むHAM水溶液中、ACH
の安定性、その分解条件、それを回収するための適切な
条件等は全く知られていない。ACHの水和反応におい
て、HAM生成液中の未反応ACHを分離除去しない場
合や分離不十分である場合には、後続するHAMの晶析
工程で、有毒なACHが水とともにHAM結晶に残存
し、保安上非常に危険である。
【0004】また、一般的に、所望の反応を転化率100
モル%で完結させる場合には、未反応原料の回収は不要
であるが、実際に反応を100モル%完結させる時間は転
化率50〜60モル%までの時間のおよそ2〜3倍必要とな
る。したがって、転化率100モル%における反応器の生
産性は転化率50〜60モル%の半分以下となり、反応器の
生産性が最も高い中位転化率での未反応原料の回収が非
常に重要となる。したがって、ACHからHAMを経由
してMAAを工業的に連続製造するに際して、第一に、
HAM生成液中、未反応ACHの分離除去とその回収が
大きな課題となっている。
モル%で完結させる場合には、未反応原料の回収は不要
であるが、実際に反応を100モル%完結させる時間は転
化率50〜60モル%までの時間のおよそ2〜3倍必要とな
る。したがって、転化率100モル%における反応器の生
産性は転化率50〜60モル%の半分以下となり、反応器の
生産性が最も高い中位転化率での未反応原料の回収が非
常に重要となる。したがって、ACHからHAMを経由
してMAAを工業的に連続製造するに際して、第一に、
HAM生成液中、未反応ACHの分離除去とその回収が
大きな課題となっている。
【0005】次に、本発明者らは、二酸化マンガン触媒
の存在下、アセトンと水の混合溶媒を用い、液相下回分
式でACHの水和によりHAMを収率100 %で合成し、
HAM生成液中のアセトン溶媒を蒸発し、HAMを濃縮
し、晶析によりHAMを得た。このHAMを用いて、水
を同伴させ、気相にて固体酸触媒によりMAAを長期間
合成した所、HAMの転化率が急速に経日低下し、同時
にMAA収率も低下するという問題に遭遇した。そこ
で、本発明者らは失活した触媒を分析した所、その中に
多量の金属種及び硫黄分が存在することを見つけた。従
来、ACHの水和によるHAMの精製法や、そのとき得
られるHAMの純度とMAA合成触媒の寿命の関係につ
いては、何ら知られていない。したがって、第二に、M
AA合成触媒の活性を長期間維持させるためには、HA
M中の陽・陰イオン性の不純物除去が課題となった。本
発明は、ACHからHAM、更にはMAAを工業的に連
続製造するに際して、MAA合成触媒の活性を長期間維
持させるに十分な高純度のHAMを得ることができる精
製方法を提供するものである。
の存在下、アセトンと水の混合溶媒を用い、液相下回分
式でACHの水和によりHAMを収率100 %で合成し、
HAM生成液中のアセトン溶媒を蒸発し、HAMを濃縮
し、晶析によりHAMを得た。このHAMを用いて、水
を同伴させ、気相にて固体酸触媒によりMAAを長期間
合成した所、HAMの転化率が急速に経日低下し、同時
にMAA収率も低下するという問題に遭遇した。そこ
で、本発明者らは失活した触媒を分析した所、その中に
多量の金属種及び硫黄分が存在することを見つけた。従
来、ACHの水和によるHAMの精製法や、そのとき得
られるHAMの純度とMAA合成触媒の寿命の関係につ
いては、何ら知られていない。したがって、第二に、M
AA合成触媒の活性を長期間維持させるためには、HA
M中の陽・陰イオン性の不純物除去が課題となった。本
発明は、ACHからHAM、更にはMAAを工業的に連
続製造するに際して、MAA合成触媒の活性を長期間維
持させるに十分な高純度のHAMを得ることができる精
製方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず、上
記の第一の課題を解決するためには、水和反応器から流
出するHAM生成液中の未反応ACHを高温で熱分解
し、それによる副生物をアセトンとともに蒸留分離する
方法が有効であることを見出した。次に、この方法によ
り得られるHAM水溶液を分析した所、その中にはMA
A合成時の失活触媒の場合とほぼ同様な不純物、すなわ
ち、アルカリ金属イオン、硫酸、マンガンイオン等が見
られた。アルカリ金属イオンや硫酸は、原料のACH中
に含まれ、また、マンガンイオンは二酸化マンガン触媒
の変化や劣化に因すると想定される。この内、硫酸を水
和反応前に除去する方法(特開平2-196763号公報)で
は、ACHの安定性が悪くなり、水和反応器前でACH
の重合が起こり、また、二酸化マンガン触媒の活性は硫
酸を除去しない場合と同等以下になり、その効果はほと
んど見られなかった。そこで、原料のACHではなく、
HAM水溶液をイオン交換処理する方法が有効であるこ
とを見出し、本発明に至った。
記の第一の課題を解決するためには、水和反応器から流
出するHAM生成液中の未反応ACHを高温で熱分解
し、それによる副生物をアセトンとともに蒸留分離する
方法が有効であることを見出した。次に、この方法によ
り得られるHAM水溶液を分析した所、その中にはMA
A合成時の失活触媒の場合とほぼ同様な不純物、すなわ
ち、アルカリ金属イオン、硫酸、マンガンイオン等が見
られた。アルカリ金属イオンや硫酸は、原料のACH中
に含まれ、また、マンガンイオンは二酸化マンガン触媒
の変化や劣化に因すると想定される。この内、硫酸を水
和反応前に除去する方法(特開平2-196763号公報)で
は、ACHの安定性が悪くなり、水和反応器前でACH
の重合が起こり、また、二酸化マンガン触媒の活性は硫
酸を除去しない場合と同等以下になり、その効果はほと
んど見られなかった。そこで、原料のACHではなく、
HAM水溶液をイオン交換処理する方法が有効であるこ
とを見出し、本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は、マンガン酸化物触媒
の反応器にアセトンシアンヒドリンと水とを連続的に供
給し水和反応させ、反応器から流出するα−ヒドロキシ
イソ酪酸アミド生成液を熱分解反応器に導入し、未反応
のアセトンシアンヒドリンを熱分解・留去させた後、更
に、α−ヒドロキシイソ酪酸アミド水溶液を陽イオン交
換樹脂塔及び陰イオン交換樹脂塔に通液することを特徴
とするα−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法であ
る。
の反応器にアセトンシアンヒドリンと水とを連続的に供
給し水和反応させ、反応器から流出するα−ヒドロキシ
イソ酪酸アミド生成液を熱分解反応器に導入し、未反応
のアセトンシアンヒドリンを熱分解・留去させた後、更
に、α−ヒドロキシイソ酪酸アミド水溶液を陽イオン交
換樹脂塔及び陰イオン交換樹脂塔に通液することを特徴
とするα−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法であ
る。
【0008】本発明に使用されるマンガン酸化物は、無
水又は水和された物のどちらでもよい。マンガン酸化物
は、公知の方法、例えば、中性ないしアルカリ性の領域
で7価マンガン化合物を 20〜100℃で還元する方法( Z
eit. Anorg. Allg. Chem.,309, p.1〜32及びp.121〜15
0 (1961))、酸性で過マンガン酸カリウムと硫酸マンガ
ンを処理する方法(Biochem. J.,50, p.43,(1951)、
及び、J. Chem.Soc.,1953 ,p.2189,(1953))、7価
マンガン塩をハロゲン化水素酸で還元する方法(特開昭
63-57535号公報)、及び、硫酸マンガン水溶液を電解酸
化する方法などによって得られる二酸化マンガンが用い
られる。特に、硫酸存在下、過マンガン酸塩と硫酸マン
ガンより調製される二酸化マンガン、及び、電解二酸化
マンガンが好ましい。触媒は、通常適当な粒度の粉末と
して使用される。
水又は水和された物のどちらでもよい。マンガン酸化物
は、公知の方法、例えば、中性ないしアルカリ性の領域
で7価マンガン化合物を 20〜100℃で還元する方法( Z
eit. Anorg. Allg. Chem.,309, p.1〜32及びp.121〜15
0 (1961))、酸性で過マンガン酸カリウムと硫酸マンガ
ンを処理する方法(Biochem. J.,50, p.43,(1951)、
及び、J. Chem.Soc.,1953 ,p.2189,(1953))、7価
マンガン塩をハロゲン化水素酸で還元する方法(特開昭
63-57535号公報)、及び、硫酸マンガン水溶液を電解酸
化する方法などによって得られる二酸化マンガンが用い
られる。特に、硫酸存在下、過マンガン酸塩と硫酸マン
ガンより調製される二酸化マンガン、及び、電解二酸化
マンガンが好ましい。触媒は、通常適当な粒度の粉末と
して使用される。
【0009】本発明において使用される水の量は、AC
Hの1モルに対し、通常1モル以上、好ましくは 2〜20
モル、特に好ましくは 4〜10モルである。反応溶媒とし
て水のほかに、新たに反応に不活性な溶媒を用いること
ができる。例えば、特開昭52-222号公報(米国特許第4,
018,829号)に開示されているアセトンなどが好適に用
いられる。アセトンの量は、ACHの1モルに対し通常
0.1〜6.0モルの範囲で用いるのがよい。
Hの1モルに対し、通常1モル以上、好ましくは 2〜20
モル、特に好ましくは 4〜10モルである。反応溶媒とし
て水のほかに、新たに反応に不活性な溶媒を用いること
ができる。例えば、特開昭52-222号公報(米国特許第4,
018,829号)に開示されているアセトンなどが好適に用
いられる。アセトンの量は、ACHの1モルに対し通常
0.1〜6.0モルの範囲で用いるのがよい。
【0010】本発明における水和反応の温度は、通常 1
0〜150℃、好ましくは 20〜100℃、特に好ましくは 30
〜80℃の範囲である。この温度が 10℃未満では、触媒
の活性が低くなり実用的でない。また、150℃を越える
と、触媒活性は高いもののHAMの収率が急激に低くな
るため、好ましくない。本発明に使用される水和反応器
としては、固定床型触媒反応器又は懸濁型触媒反応器で
ある。固定床型反応器は、適当な大きさと形状に成型さ
れた二酸化マンガン触媒を円筒容器に充填したものであ
る。懸濁型反応器を用いる場合、触媒溶液中の触媒濃度
は特に限定されないが、通常2重量%以上、好ましくは
5〜50重量%にするのがよい。懸濁型反応器への原料液
の供給速度は、触媒1重量部及び1時間当り、ACHを
0.05〜1.0重量部の割合にするのがよい。この懸濁型反
応器は触媒活性を最大限に発揮するように運転され、懸
濁する触媒の粒度の小さいものを系外に流出しないよう
に、HAM生成液の反応器からの出口には、金属製やガ
ラス製等のフィルターを備える。
0〜150℃、好ましくは 20〜100℃、特に好ましくは 30
〜80℃の範囲である。この温度が 10℃未満では、触媒
の活性が低くなり実用的でない。また、150℃を越える
と、触媒活性は高いもののHAMの収率が急激に低くな
るため、好ましくない。本発明に使用される水和反応器
としては、固定床型触媒反応器又は懸濁型触媒反応器で
ある。固定床型反応器は、適当な大きさと形状に成型さ
れた二酸化マンガン触媒を円筒容器に充填したものであ
る。懸濁型反応器を用いる場合、触媒溶液中の触媒濃度
は特に限定されないが、通常2重量%以上、好ましくは
5〜50重量%にするのがよい。懸濁型反応器への原料液
の供給速度は、触媒1重量部及び1時間当り、ACHを
0.05〜1.0重量部の割合にするのがよい。この懸濁型反
応器は触媒活性を最大限に発揮するように運転され、懸
濁する触媒の粒度の小さいものを系外に流出しないよう
に、HAM生成液の反応器からの出口には、金属製やガ
ラス製等のフィルターを備える。
【0011】本発明における水和反応器は、ACHの転
化率を最高にするため、通常1基だけでなく、2 ,3基
直列に連結される。しかし、本発明においては、水和反
応器からのHAM生成液は後続する下記の熱分解反応器
に導入され、未反応のACHはほぼ全量熱分解され分解
副生物として回収することができるため、水和反応器で
のACHの転化率は自由に設定することが可能である。
ただ、水和反応器におけるHAM生産性の面からする
と、ACHの転化率は通常 10〜90モル%、好ましくは
20〜80モル%の範囲に設定するのがよい。
化率を最高にするため、通常1基だけでなく、2 ,3基
直列に連結される。しかし、本発明においては、水和反
応器からのHAM生成液は後続する下記の熱分解反応器
に導入され、未反応のACHはほぼ全量熱分解され分解
副生物として回収することができるため、水和反応器で
のACHの転化率は自由に設定することが可能である。
ただ、水和反応器におけるHAM生産性の面からする
と、ACHの転化率は通常 10〜90モル%、好ましくは
20〜80モル%の範囲に設定するのがよい。
【0012】水和反応器から流出するHAM生成液に
は、未反応のACHと反応溶媒のアセトンのほかに微量
の青酸が含有している。従来、このHAM生成液は、そ
の中のアセトンや青酸のような低沸点物を除去し回収す
るため、蒸留塔で処理される。蒸留塔の操作条件は、塔
頂で圧力200〜760 Torr及び温度20〜57℃の範囲がよ
く、この操作により蒸留塔の缶出からHAM水溶液が得
られる。しかし、この蒸留操作では、HAM生成液中、
未反応のACHは分解されず、その大部分が缶出からの
HAM水溶液に残存する。そこで、この問題を解決する
ために、本発明では、未反応のACHをアセトンと青酸
に分解させる熱分解反応操作を新たに加え、これと蒸留
操作を組み合わせ、熱分解・蒸留操作として最適化させ
た。本発明においては、従来の蒸留操作で得られる缶出
液を下記の熱分解反応器に導入することもできるが、水
和反応器から流出するHAM生成液を熱分解反応器に直
接導入し、アセトンの留去と未反応ACHの分解・留去
を同時に行なう方が装置的に好ましい。
は、未反応のACHと反応溶媒のアセトンのほかに微量
の青酸が含有している。従来、このHAM生成液は、そ
の中のアセトンや青酸のような低沸点物を除去し回収す
るため、蒸留塔で処理される。蒸留塔の操作条件は、塔
頂で圧力200〜760 Torr及び温度20〜57℃の範囲がよ
く、この操作により蒸留塔の缶出からHAM水溶液が得
られる。しかし、この蒸留操作では、HAM生成液中、
未反応のACHは分解されず、その大部分が缶出からの
HAM水溶液に残存する。そこで、この問題を解決する
ために、本発明では、未反応のACHをアセトンと青酸
に分解させる熱分解反応操作を新たに加え、これと蒸留
操作を組み合わせ、熱分解・蒸留操作として最適化させ
た。本発明においては、従来の蒸留操作で得られる缶出
液を下記の熱分解反応器に導入することもできるが、水
和反応器から流出するHAM生成液を熱分解反応器に直
接導入し、アセトンの留去と未反応ACHの分解・留去
を同時に行なう方が装置的に好ましい。
【0013】本発明の熱分解・蒸留操作に用いられる装
置としては、HAM生成液中に含有するACHを熱分解
するための熱分解反応器と、アセトン及びACH分解副
生物と水を蒸留分離するための蒸留塔から構成される。
これらは別々に設けてもよいし、一体物であってもよ
い。熱分解反応器は、内容液が均一になるように攪拌さ
れ、また、熱分解中に副生するアセトンと青酸が速やか
に系外に除去されるように、その系内を常圧、好ましく
は減圧にする。
置としては、HAM生成液中に含有するACHを熱分解
するための熱分解反応器と、アセトン及びACH分解副
生物と水を蒸留分離するための蒸留塔から構成される。
これらは別々に設けてもよいし、一体物であってもよ
い。熱分解反応器は、内容液が均一になるように攪拌さ
れ、また、熱分解中に副生するアセトンと青酸が速やか
に系外に除去されるように、その系内を常圧、好ましく
は減圧にする。
【0014】熱分解・蒸留の操作条件として、熱分解反
応器内は温度60〜110℃で圧力100〜1200 Torr、好まし
くは 80〜100℃で 100〜760 Torrに維持されるのがよ
い。この温度が 80℃未満では、100 Torr程度の低圧で
もACHを分解・留去するのに非常に長時間を要する。
また、100℃を越えると、ACHの分解と分解副生物の
留去は短時間で完結するため、操作的には何ら問題はな
いが、留出又は還流する水の量が多くなるため、熱効率
の面で望ましいとは言えない。HAM生成液は熱分解反
応器に連続的に導入されるが、その流量は熱分解反応器
の内容量、実際には液の滞留時間に依存する。この滞留
時間は熱分解反応器内の温度と圧力によって変わるが、
通常1時間以上、好ましくは2〜30時間である。これが
1時間未満では、ACHの分解率が低くて好ましくな
く、また、30時間を越えても時間の増加に比しACH分
解率の顕著な向上は見られない。
応器内は温度60〜110℃で圧力100〜1200 Torr、好まし
くは 80〜100℃で 100〜760 Torrに維持されるのがよ
い。この温度が 80℃未満では、100 Torr程度の低圧で
もACHを分解・留去するのに非常に長時間を要する。
また、100℃を越えると、ACHの分解と分解副生物の
留去は短時間で完結するため、操作的には何ら問題はな
いが、留出又は還流する水の量が多くなるため、熱効率
の面で望ましいとは言えない。HAM生成液は熱分解反
応器に連続的に導入されるが、その流量は熱分解反応器
の内容量、実際には液の滞留時間に依存する。この滞留
時間は熱分解反応器内の温度と圧力によって変わるが、
通常1時間以上、好ましくは2〜30時間である。これが
1時間未満では、ACHの分解率が低くて好ましくな
く、また、30時間を越えても時間の増加に比しACH分
解率の顕著な向上は見られない。
【0015】さて、熱分解反応器から流出するHAM水
溶液(以下、第一次精HAM水溶液と略する。)には、
アルカリ金属、マンガン、硫酸等の陽・陰イオンが含有
している。本発明においては、これらの陽・陰イオンを
除去するために、第一次精HAM水溶液をイオン交換処
理する。陽イオンを除去するイオン交換樹脂として、酸
性陽イオン交換樹脂及びキレート樹脂が用いられる。酸
性陽イオン交換樹脂としては、例えば、スチレン・ジビ
ニルベンゼン共重合体等をスルホン化した強酸性陽イオ
ン交換樹脂、メタクリレート・ジビニルベンゼン共重合
体、アクリレート・ジビニルベンゼン共重合体等の弱酸
性陽イオン交換樹脂が好ましく用いられる。また、キレ
ート樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン系共重
合体にイミノジ酢酸若しくはエチレンジアミンやジエチ
レントリアミン等のエチレンアミン類を導入したキレー
ト型樹脂、及び、エチレンイミン系キレート樹脂等が好
ましく用いられる。
溶液(以下、第一次精HAM水溶液と略する。)には、
アルカリ金属、マンガン、硫酸等の陽・陰イオンが含有
している。本発明においては、これらの陽・陰イオンを
除去するために、第一次精HAM水溶液をイオン交換処
理する。陽イオンを除去するイオン交換樹脂として、酸
性陽イオン交換樹脂及びキレート樹脂が用いられる。酸
性陽イオン交換樹脂としては、例えば、スチレン・ジビ
ニルベンゼン共重合体等をスルホン化した強酸性陽イオ
ン交換樹脂、メタクリレート・ジビニルベンゼン共重合
体、アクリレート・ジビニルベンゼン共重合体等の弱酸
性陽イオン交換樹脂が好ましく用いられる。また、キレ
ート樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン系共重
合体にイミノジ酢酸若しくはエチレンジアミンやジエチ
レントリアミン等のエチレンアミン類を導入したキレー
ト型樹脂、及び、エチレンイミン系キレート樹脂等が好
ましく用いられる。
【0016】また、陰イオンを除去するイオン交換樹脂
としては、塩基性陰イオン交換樹脂が用いられる。これ
には、例えば、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の
第四級アンモニウム型等の強塩基性陰イオン交換樹脂、
及び、アクリレート・ジビニルベンゼン共重合体とジメ
チルアミノアルキルアミン等を反応させた酸アミド型の
弱塩基性陰イオン交換樹脂が好ましく用いられる。酸性
並びにキレート型の陽イオン交換樹脂及び塩基性陰イオ
ン交換樹脂は塔に充填され、第一次精HAM水溶液を通
液する。この際、液の流速はイオン交換樹脂層に偏流等
が起こらないような量で流す。1時間当りの体積流量を
イオン交換樹脂の体積で除した空間速度(SV)は通常
2〜60 hr-1が好ましい。イオン交換樹脂塔内、液の温
度は通常0〜80℃の範囲に設定される。第一次精HAM
水溶液の濃度は通常 60重量%以下、好ましくは 10〜40
重量%の範囲がよい。この濃度が 60重量%を越えると
イオン交換樹脂性能が低下する傾向があり、イオン交換
樹脂の再生頻度が高くなり余り望ましくない。
としては、塩基性陰イオン交換樹脂が用いられる。これ
には、例えば、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体の
第四級アンモニウム型等の強塩基性陰イオン交換樹脂、
及び、アクリレート・ジビニルベンゼン共重合体とジメ
チルアミノアルキルアミン等を反応させた酸アミド型の
弱塩基性陰イオン交換樹脂が好ましく用いられる。酸性
並びにキレート型の陽イオン交換樹脂及び塩基性陰イオ
ン交換樹脂は塔に充填され、第一次精HAM水溶液を通
液する。この際、液の流速はイオン交換樹脂層に偏流等
が起こらないような量で流す。1時間当りの体積流量を
イオン交換樹脂の体積で除した空間速度(SV)は通常
2〜60 hr-1が好ましい。イオン交換樹脂塔内、液の温
度は通常0〜80℃の範囲に設定される。第一次精HAM
水溶液の濃度は通常 60重量%以下、好ましくは 10〜40
重量%の範囲がよい。この濃度が 60重量%を越えると
イオン交換樹脂性能が低下する傾向があり、イオン交換
樹脂の再生頻度が高くなり余り望ましくない。
【0017】本発明において、イオン交換処理されたH
AM水溶液(以下、第二次精HAM水溶液と略する。)
は、MAA製造用の原料として、そのまま使用すること
ができる。また、常法にしたがって、このHAM水溶液
を濃縮し、結晶析出、遠心分離することにより高純度H
AMの結晶を得ることもできる。
AM水溶液(以下、第二次精HAM水溶液と略する。)
は、MAA製造用の原料として、そのまま使用すること
ができる。また、常法にしたがって、このHAM水溶液
を濃縮し、結晶析出、遠心分離することにより高純度H
AMの結晶を得ることもできる。
【0018】以下、本発明について、代表的な工程を図
1により説明する。水和反応の原料のACH1と水2、
及び、反応溶媒のアセトン3が水和反応器4に連続的に
供給される。HAM生成液5は水和反応器4の内部フィ
ルターを通って、熱分解反応器6に導入される。水和反
応で共存するアセトン、ACHの分解で副生するアセト
ンと青酸、及び、水からなる混合ガス7は、熱分解反応
器6から蒸留塔8に入る。蒸留塔8で水は分離され、残
りのアセトンと青酸はガス状で上昇し、凝縮器9で液に
凝縮され、アセトン・青酸混合液10として回収される。
アセトン・青酸混合液10は元のACH製造工程に戻され
る。一方、熱分解反応器6からは、未反応ACHを除去
された第一次精HAM水溶液11が得られる。第一次精H
AM水溶液11中の陽・陰イオンを除去するため、第一次
精HAM水溶液11は、直列に連結された陽イオン交換樹
脂塔12及び陰イオン交換樹脂塔13に通液され、目的物で
ある第二次精HAM水溶液14が得られる。
1により説明する。水和反応の原料のACH1と水2、
及び、反応溶媒のアセトン3が水和反応器4に連続的に
供給される。HAM生成液5は水和反応器4の内部フィ
ルターを通って、熱分解反応器6に導入される。水和反
応で共存するアセトン、ACHの分解で副生するアセト
ンと青酸、及び、水からなる混合ガス7は、熱分解反応
器6から蒸留塔8に入る。蒸留塔8で水は分離され、残
りのアセトンと青酸はガス状で上昇し、凝縮器9で液に
凝縮され、アセトン・青酸混合液10として回収される。
アセトン・青酸混合液10は元のACH製造工程に戻され
る。一方、熱分解反応器6からは、未反応ACHを除去
された第一次精HAM水溶液11が得られる。第一次精H
AM水溶液11中の陽・陰イオンを除去するため、第一次
精HAM水溶液11は、直列に連結された陽イオン交換樹
脂塔12及び陰イオン交換樹脂塔13に通液され、目的物で
ある第二次精HAM水溶液14が得られる。
【0019】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例により本発
明を詳細に説明する。ここで、「%」は特記する以外は
重量基準である。ACH、アセトン及びHAMの液中濃
度は液体クロマトグラフィー、青酸の液中濃度は硝酸銀
法滴定により測定した。製造例中、HAMの生成は、本
発明の効果をより迅速に評価するために、触媒に対し供
給するACHの量を多くする、いわゆる触媒の高負荷で
行なった。また、実施例中、得られるHAM水溶液を評
価するために、固体酸触媒を充填した固定床型反応器で
MAA合成反応を行なった。この際、HAMの脱水によ
るMAAの他、MAAとアンモニアの反応によるメタク
リルアミド(以下、MAMと略する。)も副生する。こ
のMAMはMAAと同様に気相で固体酸触媒の存在下、
メタノールと反応させることによりMMAを合成できる
ので、有用である。
明を詳細に説明する。ここで、「%」は特記する以外は
重量基準である。ACH、アセトン及びHAMの液中濃
度は液体クロマトグラフィー、青酸の液中濃度は硝酸銀
法滴定により測定した。製造例中、HAMの生成は、本
発明の効果をより迅速に評価するために、触媒に対し供
給するACHの量を多くする、いわゆる触媒の高負荷で
行なった。また、実施例中、得られるHAM水溶液を評
価するために、固体酸触媒を充填した固定床型反応器で
MAA合成反応を行なった。この際、HAMの脱水によ
るMAAの他、MAAとアンモニアの反応によるメタク
リルアミド(以下、MAMと略する。)も副生する。こ
のMAMはMAAと同様に気相で固体酸触媒の存在下、
メタノールと反応させることによりMMAを合成できる
ので、有用である。
【0020】製造例 ・ACHの調製 反応器(ガラス製丸底フラスコ、内容量2lit;還流冷
却器、攪拌機、温度計及び液導入部付き)にアセトン 5
80gと2%水酸化ナトリウム水溶液 10gを仕込み、20
℃を維持しながら液体青酸 284gを注入した。反応後、
硫酸を添加し液のpHを 3.0に調製した。次に、未反応
の青酸とアセトンを減圧留去し、99.8%ACH 843gを
得た。
却器、攪拌機、温度計及び液導入部付き)にアセトン 5
80gと2%水酸化ナトリウム水溶液 10gを仕込み、20
℃を維持しながら液体青酸 284gを注入した。反応後、
硫酸を添加し液のpHを 3.0に調製した。次に、未反応
の青酸とアセトンを減圧留去し、99.8%ACH 843gを
得た。
【0021】・HAMの生成(連続水和反応) 懸濁型反応器(ガラス製丸底フラスコ、内容量 500 m
l;ガラス攪拌棒、水銀温度計、原料供給口、及び、ガ
ラスボールフィルター付きの液出口を備える)に、電解
二酸化マンガンの粉末触媒 50gと水 300gを充填した
後、内温を 60℃まで上げ、この温度に撹拌下保持し
た。次に、上記で得たACHを用い、17.1%ACHのア
セトン水溶液(ACH:アセトン:水=1:1.5:18モ
ル比)を定量ポンプによって 37g/hr の流量で反応器
に連続的に供給した。反応器内は 58〜62℃に維持し、
また、反応器内の液量は 290〜310 mlの範囲に調整し、
1週間連続運転した。得られるHAM生成液中、各成分
の濃度は、1週間の平均値では次のとおりである。 ACH・・11.5% ,アセトン・・18.4% ,HAM・・5.
3 % ,青酸・・0.4 % 水・・64.4% したがって、ACH転化率は 33モル%、HAM選択率
は 78モル%、及び、青酸選択率は 22モル%であった。
l;ガラス攪拌棒、水銀温度計、原料供給口、及び、ガ
ラスボールフィルター付きの液出口を備える)に、電解
二酸化マンガンの粉末触媒 50gと水 300gを充填した
後、内温を 60℃まで上げ、この温度に撹拌下保持し
た。次に、上記で得たACHを用い、17.1%ACHのア
セトン水溶液(ACH:アセトン:水=1:1.5:18モ
ル比)を定量ポンプによって 37g/hr の流量で反応器
に連続的に供給した。反応器内は 58〜62℃に維持し、
また、反応器内の液量は 290〜310 mlの範囲に調整し、
1週間連続運転した。得られるHAM生成液中、各成分
の濃度は、1週間の平均値では次のとおりである。 ACH・・11.5% ,アセトン・・18.4% ,HAM・・5.
3 % ,青酸・・0.4 % 水・・64.4% したがって、ACH転化率は 33モル%、HAM選択率
は 78モル%、及び、青酸選択率は 22モル%であった。
【0022】実施例 ・HAM生成液の熱分解・蒸留 蒸留カラム(理論段数=3)を備えた熱分解反応器(容
量 500ml)に、上記で得たHAM生成液を 25〜500 ml/
hr の流量で供給した。熱分解反応器の圧力、温度及び
液滞留時間と出口液のACH濃度及びACH分解率の関
係を表1に示した。なお、液の滞留時間は反応器内の液
量と入口液流量により、また、ACH分解率は次の式に
より求めた。 ACH分解率(%)={(入口ACH流量−出口ACH
流量)/(入口ACH流量)}×100
量 500ml)に、上記で得たHAM生成液を 25〜500 ml/
hr の流量で供給した。熱分解反応器の圧力、温度及び
液滞留時間と出口液のACH濃度及びACH分解率の関
係を表1に示した。なお、液の滞留時間は反応器内の液
量と入口液流量により、また、ACH分解率は次の式に
より求めた。 ACH分解率(%)={(入口ACH流量−出口ACH
流量)/(入口ACH流量)}×100
【0023】
【表1】
【0024】・イオン交換処理 スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂(商品名;レバチ
ットS100 、ダウケミカル社製)100 ml、及び、第四級
アミン型強塩基性陰イオン交換樹脂(商品名;レバチッ
トM500 、ダウケミカル社製)100 mlを、それぞれ、カ
ラム(ガラス製、内径25mm×長さ500mm )に充填し、そ
れらを陽イオン交換樹脂塔及び陰イオン交換樹脂塔とし
て直列に連結した。一方、上記の操作において、熱分解
反応器を大気圧、100℃及び滞留時間20hrs の条件で運
転し、HAM水溶液を得た。このHAM水溶液(第一次
精HAM水溶液)の組成を表2に示す。このHAM水溶
液をSV=10 hr-1で陽イオン交換樹脂塔及び陰イオン
交換樹脂塔に通液した。得られたHAM水溶液(第二次
精HAM水溶液)の組成を表2に示す。このHAM水溶
液を 4.7倍に濃縮し、HAM濃度36%(HAM:水=
1:10モル比)の水溶液を得た。
ットS100 、ダウケミカル社製)100 ml、及び、第四級
アミン型強塩基性陰イオン交換樹脂(商品名;レバチッ
トM500 、ダウケミカル社製)100 mlを、それぞれ、カ
ラム(ガラス製、内径25mm×長さ500mm )に充填し、そ
れらを陽イオン交換樹脂塔及び陰イオン交換樹脂塔とし
て直列に連結した。一方、上記の操作において、熱分解
反応器を大気圧、100℃及び滞留時間20hrs の条件で運
転し、HAM水溶液を得た。このHAM水溶液(第一次
精HAM水溶液)の組成を表2に示す。このHAM水溶
液をSV=10 hr-1で陽イオン交換樹脂塔及び陰イオン
交換樹脂塔に通液した。得られたHAM水溶液(第二次
精HAM水溶液)の組成を表2に示す。このHAM水溶
液を 4.7倍に濃縮し、HAM濃度36%(HAM:水=
1:10モル比)の水溶液を得た。
【0025】
【表2】
【0026】・MAA合成反応 市販のリン酸アルミニウム(AlPO4)をペレット状に
成型し、空気中500℃で5時間焼成した後、10〜16 メッシュ
の粒状にしたものを触媒とした。この触媒5mlをガラ
ス管(内径20 mm)に充填し、その上部に原料の蒸発部
として、アルミナボール30 ml を積み固定床型反応器と
した。これを電気炉内に設置し280℃に保持した。上記
で得た36%HAM水溶液を、HAM基準のLHSV=0.
25 hr -1で連続的に反応器に供給した。このHAM水溶
液を供給してから1〜7日間、経日的に反応物をガスク
ロマトグラフ法で分析し、反応成績(HAM転化率、M
AA収率及びMAM収率)を求めた。その結果を表3に
示す。
成型し、空気中500℃で5時間焼成した後、10〜16 メッシュ
の粒状にしたものを触媒とした。この触媒5mlをガラ
ス管(内径20 mm)に充填し、その上部に原料の蒸発部
として、アルミナボール30 ml を積み固定床型反応器と
した。これを電気炉内に設置し280℃に保持した。上記
で得た36%HAM水溶液を、HAM基準のLHSV=0.
25 hr -1で連続的に反応器に供給した。このHAM水溶
液を供給してから1〜7日間、経日的に反応物をガスク
ロマトグラフ法で分析し、反応成績(HAM転化率、M
AA収率及びMAM収率)を求めた。その結果を表3に
示す。
【0027】比較例 製造例で得られたHAM生成液に対し、実施例中の操作
でイオン交換処理を行なわないことを除いて実施例と全
く同様に操作し、MAA合成の反応物を得た。その反応
成績(HAM転化率、MAA収率及びMAM収率)を表
3に示す。
でイオン交換処理を行なわないことを除いて実施例と全
く同様に操作し、MAA合成の反応物を得た。その反応
成績(HAM転化率、MAA収率及びMAM収率)を表
3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明では、従来のマンガン酸化物触媒
を用いたACHの水和反応により合成されるHAMの工
業的連続精製法において、水和反応器からのHAM生成
液を熱分解反応器に導入し、更に、熱分解反応器からの
HAM水溶液をイオン交換処理することによって、水
和反応器でのACH転化率やHAM収率を自由に設定で
き、高純度HAM水溶液を製造でき、しかも、MA
A合成触媒の活性を長期間維持させるに充分な高純度の
HAM水溶液を製造できる。
を用いたACHの水和反応により合成されるHAMの工
業的連続精製法において、水和反応器からのHAM生成
液を熱分解反応器に導入し、更に、熱分解反応器からの
HAM水溶液をイオン交換処理することによって、水
和反応器でのACH転化率やHAM収率を自由に設定で
き、高純度HAM水溶液を製造でき、しかも、MA
A合成触媒の活性を長期間維持させるに充分な高純度の
HAM水溶液を製造できる。
【図1】本発明を説明する代表的なHAMの製造工程図
である。
である。
【符号の説明】 1;ACH 2;水 3;アセトン 4;水和反応器 5;HAM生成液 6;熱分解反応器 7;混合ガス 8;蒸留塔 9;凝縮器 10;アセトン・青酸混合液 11;第一次精HAM水溶液 12;陽イオン交換樹脂塔 13;陰イオン交換樹脂塔 14;第二次精HAM水溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深山 兼光 千葉県茂原市東郷1900番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 得能 伸司 千葉県茂原市東郷1900番地 三井東圧化学 株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 マンガン酸化物触媒の反応器にアセトン
シアンヒドリンと水とを連続的に供給し水和反応させ、
反応器から流出するα−ヒドロキシイソ酪酸アミド生成
液を熱分解反応器に導入し、未反応のアセトンシアンヒ
ドリンを熱分解・留去させた後、更に、α−ヒドロキシ
イソ酪酸アミド水溶液を陽イオン交換樹脂塔及び陰イオ
ン交換樹脂塔に通液することを特徴とするα−ヒドロキ
シイソ酪酸アミドの精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4337317A JPH06184072A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4337317A JPH06184072A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06184072A true JPH06184072A (ja) | 1994-07-05 |
Family
ID=18307495
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4337317A Pending JPH06184072A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | α−ヒドロキシイソ酪酸アミドの精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06184072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015008740A1 (ja) | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 三菱瓦斯化学株式会社 | α-ヒドロキシイソ酪酸アミドの製造方法及び反応装置 |
-
1992
- 1992-12-17 JP JP4337317A patent/JPH06184072A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015008740A1 (ja) | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 三菱瓦斯化学株式会社 | α-ヒドロキシイソ酪酸アミドの製造方法及び反応装置 |
KR20160032094A (ko) | 2013-07-16 | 2016-03-23 | 미츠비시 가스 가가쿠 가부시키가이샤 | α-하이드록시아이소뷰티르산 아마이드의 제조 방법 및 반응 장치 |
US9718761B2 (en) | 2013-07-16 | 2017-08-01 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc | Method for producing A-hydroxyisobutyric acid amide and reactor |
US10364213B2 (en) | 2013-07-16 | 2019-07-30 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Method for producing α-hydroxyisobutyric acid amide and reactor |
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