JPH0618030Y2 - 排気浄化装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車等に搭載された内燃機関、特にディー
ゼルエンジンの排気に含まれるカーボン等の未燃焼微粒
子（パーティキュレート）を捕集して再燃焼させて排気
を浄化する排気浄化装置に関する。

［従来の技術］ 従来の排気浄化装置は、排気路中に触媒機能を有するフ
ィルタを設け、フィルタに対して上流側にシーズヒータ
を配して、フィルタを通過する排気を予め加熱してお
き、フィルタの触媒作用によって未燃焼微粒子を再燃焼
させていた。

しかし、フィルタの手前で排気を一旦加熱しても、フィ
ルタを通過する際に排気の温度が低下してしまうため、
フィルタ全体の温度を十分に高めることができないた
め、触媒が十分に機能せず、未燃焼微粒子を十分に再燃
焼させることができない場合があった。

この結果、フィルタの排気浄化能力が低下し排気を十分
に浄化することができなかった。

この考案者は、上記問題点を克服するために、フィルタ
の外側周を取り囲む複数のシーズヒータを配して、フィ
ルタを外側全体から加熱する排気浄化装置を提案した。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、フィルタ前後部の温度が中心より低くなるた
め、未燃焼微粒子（パーティキュレート）が前後端の一
部分で燃焼せず、フィルタ全体を浄化できなかった。

本考案は、排気浄化装置において、フィルタにおける未
燃焼微粒子の再燃焼能力を高めることにより、排気の浄
化性能をさらに向上させることができる排気浄化装置を
提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案の排気浄化装置は、（１）内燃機関から排出され
る排気を外部へ導く排気路内に前記排気中の未燃焼微粒
子を捕集するために設けられた略円柱形状のフィルタ
と、前記略円柱形状のフィルタの外周全体を取り囲んで
配された複数のシーズヒータとからなり、 前記複数のシーズヒータは、フィルタの直径の約半分の
内径の円弧部を有する略馬蹄形状のシーズヒータがフィ
ルタの吸入部前方と排気部後方に配され、かつフィルタ
の直径より若干大きな内径の円弧部を有する略馬蹄形状
の複数のシーズヒータがフィルタの外側周に等間隔に配
列されていることを第一の技術的手段とする。

さらに本考案の排気浄化装置は、（２）前記複数の略馬
蹄形状のシーズヒータは、各端部をいずれも同一方向に
して配され、該各端部がフィルタの外側部に設置された
支持板に嵌合され、一体物を形成してなることを第一の
技術的手段の実施態様とする。

また本考案の排気浄化装置は、（３）内燃機関から排出
される排気を外部へ導く排気路内に前記排気中の未燃焼
微粒子を捕集するために設けられた略円柱形状のフィル
タと、前記略円柱形状のフィルタの外周全体を取り囲ん
で配された複数のシーズヒータとからなり、前記複数の
シーズヒータは、フィルタの直径の約半分の内径の円弧
部を有する略馬蹄形状のシーズヒータがフィルタの吸入
部前方と排気部後方に近接して配置され、複数の棒状の
シーズヒータがフィルタの軸方向を有し、フィルタの外
側周を等間隔で囲んで配されていることを第二の技術的
手段とする。

さらに本考案の排気浄化装置は、（４）前記棒状のシー
ズヒータは、略円柱形状のフィルタの吸入部前方に設置
された環状支持枠と、排気部後方に設置された環状支持
枠に両端を嵌合され、また前方および後方に配される二
つの略馬蹄形状のシーズヒータも、それぞれ前後の環状
支持枠に両端を嵌合され、一体物を形成してなることを
第二の術的手段の実施態様とする。

［作用および考案の効果］ 本考案の排気浄化装置では、上記（１）および（３）の
構成により（作用）シーズヒータが通電されると、フィ
ルタは前後および外側周において隈なく加熱されるた
め、先端から後端までフィルタ全体の温度が均一的に上
昇し、温度の低い部分がなくなり、 したがって、（効果ａ）フィルタ内の捕集された未燃焼
粒子を十分に再燃焼させることができ、また付着した未
燃焼粒子も十分に再燃焼させることができ、従って、排
気浄化装置としての浄化性能が向上する。

また本考案の排気浄化装置では、上記（２）または
（４）の構成により（作用）複数のシーズヒータを配設
した複雑な構造にもかかわらず、複数のシーズヒータを
一体物とて形成することができ、 したがって、（効果ｂ）製造時の組付けが容易になる。

以上の効果を奏する。

［実施例１］ 次に本考案にかかる排気浄化装置を第１図に示す第一実
施例に基づいて説明する。

排気浄化装置１は、ディーゼルエンジンからの排気路中
に設けられるもので、ケーシング２内に、フィルタ３と
複数のシーズヒータ４ａ、４ｂとが配設されてなる。

ケーシング２は、先端部（吸入部）２１と後端部（排気
部）２２が窄まった略円環状を呈し、例えば鋳鉄、ステ
ンレス、チタン合金等の耐熱性材料によって形成され
る。

フィルタ３は、円筒形状で内部に四角格子を有するセラ
ミックス製で、その表面には捕集されるカーボン等の未
燃焼微粒子（パーティキュレート）を再燃焼させるため
の白金が触媒としてコーティングされている。

複数のシーズヒータ４ａ、４ｂは、略馬蹄形状を呈し、
それぞれ酸化マグネシウム等の絶縁粉末を充填した耐熱
性の金属製チューブ内に発熱線を設けた周知の電気発熱
素子である。

つぎにケーシング２内における、フィルタ３と複数のシ
ーズヒータ４ａ、４ｂの配置と支持構造を説明する。

フィルタ３は、ケーシング２の中間大径部２３の中央
に、ケーシング２の内壁２４と一定間隔を保って配置さ
れる。

複数のシーズヒータ４ａ、４ｂは略馬蹄形状を呈し、フ
ィルタの直径の約半分の内径の円弧部を有する略馬蹄形
状のシーズヒータ４ａがフィルタ３の吸入部前方と排気
部後方に設置され、フィルタ３の直径より若干大きな内
部の円弧部を有する略馬蹄形状の複数のシーズヒータ４
ｂがフィルタ３と間隙を有して一定間隔で配されてい
る。

複数のシーズヒータ４ａ、４ｂは、各端部をいずれも同
一方向にして配され、各端部は支持板５に設けた貫通穴
５１に嵌込まれ、ろう付け溶接などにより固定されて、
一体物を形成している。

ケーシング２内には、フィルタ３を振動から保護するた
めに金網あるいはばねによる図示しない緩衝部材が設け
られ、さらに、シーズヒータ４ｂをフィルタ３と直接接
触させいないようにするとともに、シーズヒータ４の熱
をフィルタ３へ緩やかにかつ確実に伝達するために図示
しない熱伝導性部材が充填されている。

各シーズヒータ４ａ、４ｂの端部は、通電用の電極とな
っており、図示しない通電装置と接続されている。

通電装置としては、車両に搭載されたバッテリを電源と
するものと、車両の外部の電源部、例えば電灯線を利用
した電源装置と接続することにより通電を行うもの等が
あるが、いずれの通電装置による場合にも、エンジンが
停止している場合にのみ通電される。

［燃焼試験の温度測定］ シーズヒータをフィルタの前後と外側周に配した第一実
施例の排気浄化装置１と、シーズヒータをフィルタの外
側周にだけ配した比較例の排気浄化装置とを用い、それ
ぞれのシーズヒータに通電して燃焼試験を実施し、フィ
ルタの六箇所で温度測定した結果を第２図のグラフに示
す。

比較例は、前後部の温度上昇が十分ではなく、前後部に
未燃焼部分が若干残ったが、本考案の排気浄化装置１
は、ほぼ完全に燃焼し、フィルタ３の壁面に付着した未
燃焼微粒子（パーティキュレート）も十分に再燃焼させ
ることができ、フィルタが浄化された。

［実施例２］ 次に本考案の排気浄化装置の第２実施例を第３図に基づ
いて説明する。

第２実施例の排気浄化装置１Ａは、フィルタ３の形状と
支持構造が第一実施例と相異するものであり、第一実施
例と同等物は同一符号で表す。

排気浄化装置１Ａでは、フィルタ３の直径の約半分の内
径の円弧部を有する略馬蹄形状のシーズヒータ４ｃが、
フィルタ３の吸入部前方と排気部後方に設置されてい
る。また、複数の棒状のシーズヒータ４ｄが、フィルタ
３の外側周に近接して、フィルタ３の軸方向に並列して
等間隔に配置されている。

複数の棒状のシーズヒータ４ｄは、フィルタ３の吸入部
の前方でケーシング２に内嵌する環状支持枠５Ａと、排
気部の後方でケーシング２に内嵌する環状支持枠５ｂに
等間隔に設けた貫通穴５１Ａ、５１Ｂに両端を嵌込ま
れ、ろう付けにより固定されている。また、前後に配さ
れた略馬蹄形状のシーズヒータ４ｃも、それぞれ環状支
持枠５Ａ、５Ｂに設けた貫通穴５１ｃ、５１Ｄに両端を
嵌込まれ、ろう付け溶接などにより固定されている。

略馬蹄形状のシーズヒータ４ｃと複数の棒状のシーズヒ
ータ４ｄと環状支持枠５Ａ、５Ｂは、一体物を形成して
いる。

ケーシング２内には、フィルタ３を振動から保護するた
めに金網あるいはばねによる図示しない緩衝部材が設け
られ、さらに、シーズヒータ４ｄをフイルタ３と直接接
触させないようにするとともに、シーズヒータ４ｄの熱
をフィルタ３へ緩やかにかつ確実に伝達するために図示
しない熱伝導性部材が充填されている。

［本考案の応用例］ また、車両における排気浄化能力を総合的に向上させる
ために、例えば、排気路を２つに分岐させて、各排気路
にそれぞれ排気浄化装置を設けるとともに、排気路を選
択するための排気路切替装置を備えて、エンジンの運転
時に、排気が通過しない方の排気浄化装置において通電
を行って、捕集された未燃焼微粒子（パーティキュレー
ト）を再燃焼させるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる排気浄化装置の第一実施例を示
す斜視図、第２図はその燃焼試験の結果を示すグラフで
ある。第３図は本考案にかかる排気浄化装置の第２実施
例を示す斜視図である。 図中、１、１Ａ…排気浄化装置、２…ケーシング、３…
フィルタ、４ａ、４ｂ、４ｃ…略馬蹄形状のシーズヒー
タ、４ｄ…棒状のシーズヒータ、５…支持板、５Ａ、５
Ｂ…環状支持枠

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内燃機関から排出される排気を外部へ導く
   排気路内に前記排気中の未燃焼微粒子を捕集するために
   設けられた略円柱形状のフィルタと、 前記略円柱形状のフィルタの外周全体を取り囲んで配さ
   れた複数のシーズヒータと からなる排気浄化装置において、 前記複数のシーズヒータは、フィルタの直径の約半分の
   内径の円弧部を有する略馬蹄形状のシーズヒータがフィ
   ルタの吸入部前方と排気部後方に配置され、かつフィル
   タの直径より若干大きな内径の円弧部を有する略馬蹄形
   状の複数のシーズヒータがフィルタの外側周に等間隔に
   配列されていることを特徴とする排気浄化装置。
2. 【請求項２】前記複数の略馬蹄形状のシーズヒータは、
   各端部をいずれも同一方向にして配され、該各端部がフ
   ィルタの外側部に設置された支持板に嵌合され、一体物
   を形成してなることを特徴とする請求項１記載の排気浄
   化装置。
3. 【請求項３】内燃機関から排出される排気を外部へ導く
   排気路内に前記排気中の未燃焼微粒子を捕集するために
   設けられた略円柱形状のフィルタと、 前記略円柱形状のフィルタの外周全体を取り囲んで配さ
   れた複数のシーズヒータと からなる排気浄化装置において、 前記複数のシーズヒータは、フィルタの直径の約半分の
   内径の円弧部を有する略馬蹄形状のシーズヒータがフィ
   ルタの吸入部前方と排気部後方に近接して配置され、複
   数の棒状のシーズヒータがフィルタの軸方向を有し、フ
   ィルタの外側周を等間隔で囲んで配されていることを特
   徴とする排気浄化装置。
4. 【請求項４】前記棒状のシーズヒータは、略円柱形状の
   フィルタの吸入部前方に設置された環状支持枠と、排気
   部後方に設置された環状支持枠に両端を嵌合され、また
   前方および後方に配される二つの略馬蹄形状のシーズヒ
   ータも、それぞれ前後の環状支持枠に両端を嵌合され、
   一体物を形成してなることを特徴とする請求項３記載の
   排気浄化装置。