JPH06179230A - 射出成形金型およびその金型を使用した合成樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

射出成形金型およびその金型を使用した合成樹脂成形体の製造方法

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JPH06179230A
JPH06179230A JP35337392A JP35337392A JPH06179230A JP H06179230 A JPH06179230 A JP H06179230A JP 35337392 A JP35337392 A JP 35337392A JP 35337392 A JP35337392 A JP 35337392A JP H06179230 A JPH06179230 A JP H06179230A
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porous elastic
elastic body
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die
sprue bush
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成夫 檜垣
Yasunaga Miyazaki
安長 宮崎
Shigeru Kondo
滋 近藤
Seiichi Ueda
誠一 上田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着強度が大きく、接着信頼性にすぐれた状
態で多孔質弾性体を両面に一体接着した樹脂成形体を得
る。 【構成】 多孔質弾性体2,2’を保持し、前後に摺動
可能にした保持ガイド3および先端に鍔部14を有し、
前後に摺動可能にしたスプルーブッシュ5をそなえる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】例えば冷暖房装置、送風機などに
おける通風路用開閉ダンパー、ダクトの振動、音、熱を
吸収させる目的で、またはダンパー、ダクトの気密性を
保持させる目的で、ダンパー、ダクト素材の表面に多孔
質弾性体の層を一体に接着させている。本発明は、上記
のような合成樹脂成形品の両面に、多孔質弾性体を一体
に熱溶着させた合成樹脂成形体を、歩留りよく、しかも
短時間に一体成形できる射出成形金型、およびその金型
を用いた合成樹脂成形体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】軟質の多孔質弾性体を、硬質の合成樹脂
成形品に一体に接着する場合、一般には接着剤、粘着剤
による接合した場合に比べて、熱溶融による接合した方
が接着強度、信頼性が高い。熱溶融により接合するに
は、合成樹脂成形品の射出成形時に同時に接合する方法
がとられ、特公平3−60297公報、特開平2−61
13公報、特開平2−160519公報などに開示され
ている。
【0003】特公平3−60297公報においては、金
型のキャビティ内に多孔質弾性体を当接させ、これを型
締圧により圧縮させて保持し、この型の内壁面に突設し
た射出成形用ゲートの先端部を、前記型内の2つの多孔
質弾性体の一方を貫通して他方の表面に幾分埋没させる
ように、パーティング面より突出して押し当て、多孔質
弾性体の位置ずれ、トンネル形成、捲き込みなどを防止
するため、射出圧は30〜250kg/cm2の範囲で、射
出圧を少なくとも2段階以上に微調整しながら溶融した
合成樹脂を前記2つの多孔質弾性体の対向面に沿って流
展させた一体成形体の製造方法が開示されている。
【0004】特開平2−6113公報には、多孔質弾性
体の巻き込み、およびトンネル形成防止の目的で、一方
の金型の突出ゲートに対応する位置に型締状態で突出ゲ
ートと干渉しない径および深さを有する凹部を設けるこ
とが開示されている。
【0005】特開平2−160519公報においては多
孔質弾性体の巻き込みおよびトンネル形成防止ならびに
射出合成樹脂のウエルドラインが発生する位置を制御す
る目的で突出ゲートを分割して多点ゲートとし、さらに
これの一部に閉止弁をつけることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で示され
ている特公平3−60297公報に開示の技術は、射出
圧力を多段に微調整するために、成形サイクルが長くな
る問題点を有する。またこの様に射出圧力を微調整して
も多孔質弾性体の突出ゲート貫通部分は、金型の型締動
作による比較的弱い圧力のみで保持されているため、そ
れ以上の圧力で射出される溶融樹脂によって押し流され
て、多孔質弾性体を巻き込んだり、押しつけて片寄らせ
てトンネルを作ったり、位置ずれを起こしたりして一体
成形体の歩留りや寸法精度を低下させる問題点を有して
いる。
【0007】さらに金型内に当接する多孔質弾性体の厚
さは、キャビティの深さよりも遙るかに大きいので、型
締時には圧縮されて大きく拡がり、外形寸法がキャビテ
ィの大きさよりも大きくなり、多孔質弾性体を正確に設
置し、保持することは極めて困難である。
【0008】さらに型締時の振動などにより位置ずれを
起こしやすく、一体成形品の精度、歩留りを低下させ、
とりわけ汎用的に使用されている横型射出成形機におい
ては、多孔質弾性体が落下する確率も非常に高いので、
金型を水平に設置した専用の縦型射出成形機を使用せざ
るを得なくなる問題点を有している。
【0009】さらにゲート先端部が、対向する多孔質弾
性体に突出させて樹脂の流展路を作らせているために、
この部分の射出合成樹脂の厚さが薄くなり、それにより
この部分の流動抵抗が大きくなり、そのために樹脂の射
出圧力、射出速度も大きくなることにより、多孔質弾性
体の位置づれ、捲き込みなどの原因となって量産上での
数多くの問題点を有している。
【0010】次に、特開平2−6113公報に開示の技
術は、従来技術の欠点である多孔質弾性体の位置ずれ、
捲き込み、トンネル形成などによる歩留り低下を解決す
ることを目的としており、対向する多孔質弾性体内に幾
分埋没する突出ゲートと、これに対応する対向金型に凹
部を設けることにより、射出突出ゲート部の流動抵抗が
大きくなることを避けている。
【0011】すなわち凹部を通して射出溶融樹脂が流入
するようにしているので、多孔質弾性体が溶融合成樹脂
の流れに捲き込まれて変形したり、内部にトンネルを作
って流れたりすることは防止できるが、貫通孔部の捲き
込み、変形防止に対しては完全ではなく、さらに凹部に
射出された合成樹脂面が突出し平面でなくなる欠点があ
り、対向金型に凹部の加工を必要とする等の問題を有し
ている。
【0012】次に特開平2−160519公報に開示の
技術は、分割多点ゲートにし、その中の少なくとも1つ
のゲートに射出開始のタイミングを調整する閉止弁を設
けることによりウエルドラインの発生位置を制御した
り、多孔質弾性体の捲き込みを防止しているが、金型が
極めて高価になるばかりでなく、成形サイクルも長いも
のとなる問題点を有している。
【0013】さらに多点ゲートによる方法を採用したと
しても、ゲート貫通部の多孔質弾性体の捲き込み、位置
ずれの防止に関しては、特開平2−6113公報に開示
の技術と同様に解決されていない。
【0014】本発明は、上記従来技術がもつ数多くの問
題点を解決し、両面に多孔質弾性体を有する合成樹脂成
形体を、確実容易に歩留り良く、しかも短時間に、精度
にすぐれ、接着強度が大きく信頼性にすぐれたものとし
て製造することができる射出成形金型と、それを使用し
た製造方法を提供することを目的としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の射出成形金型は、先端に鍔部を形成したス
プルーブッシュをそなえ、しかもそれを前後に摺動可能
としたものである。さらに、多孔質弾性体を保持し、か
つ前後に摺動可能とした手段を、前記先端に鍔部を形成
したスプルーブッシュと同時にそなえるようにすればよ
り効果的である。
【0016】また、上記多孔質弾性体を保持する手段
は、金型が開いた状態では、固定側金型のパーテング面
より先端を突出させ、金型が閉じた状態では、そのパー
テング面と同一面に位置させる摺動手段により前後に摺
動させることが好ましい。
【0017】また、上記スプルーブッシュも、金型が開
いた状態では固定側金型のパーテング面より鍔部を突出
させ、金型が閉じた状態ではそのパーテング面と同一面
に鍔部を位置させる摺動手段により前後に摺動させるこ
とが好ましい。
【0018】その上、金型が閉じた状態では、固定側金
型と鍔部とによって、多孔質弾性体の一部すなわちスプ
ルーブッシュが貫通される部分を挟持できる様な大きさ
の鍔部を形成すればより効果的である。
【0019】また、この射出成形金型を用いて合成樹脂
成形体を製造するには、成形部に二層の多孔質弾性体を
位置させ、スプルーブッシュの先端に設けた鍔部は、多
孔質弾性体の一方を貫通させて他方の多孔質弾性体と当
接させた上で、二層の多孔質弾性体の間にスプルーブッ
シュより樹脂を流展させる方法がある。
【0020】
【作用】上記のような構成の射出成形金型であると、多
孔質弾性体の保持手段、もしくはスプルーブッシュが前
後に摺動可能となっているので、横型成形機でもキャビ
ティ内の所定の位置に多孔質弾性体を精度よく保持で
き、樹脂射出時に射出圧力に応じてスプルーブッシュな
どが摺動でき、溶融樹脂の射出圧力や射出速度を調整す
ることなく、相接する二層の多孔質弾性体の間に樹脂を
流展することができ、また多孔質弾性体の位置ずれや捲
込み、トンネルを作ることもなくなる。
【0021】さらに、スプルーブッシュの先端に形成し
た鍔部により、二層の多孔質弾性体は、夫々固定側金型
および可動側金型に押圧されるので、多孔質弾性体と、
これらの間に流展した合成樹脂との接着も良好となる。
【0022】
【実施例】本発明の一実施例を図面により説明する。固
定側金型1には、多孔質弾性体2,2’を保持する保持
ガイド3がスプリング4により、可動側金型8の方向に
賦勢された状態で弾着されて前後に摺動可能に装着され
ている。
【0023】樹脂を射出するスプルーブッシュ5は、ス
プリング6および摺動用スライドコア7によって、可動
側金型8の方向に賦勢された状態で固定側金型1に摺動
可能に装着されている。固定側金型1は、可動側金型8
と対をなして射出用成形金型9を構成している。
【0024】保持ガイド3およびスプルーブッシュ5
を、固定側金型1に摺動可能に装着する手段としては、
スプリング4,6以外に油圧装置、螺子手段などでも良
い。金型9を開いた状態では、図1のように保持ガイド
3およびスプルーブッシュ5の先端部は、スプリング
4,6の弾力により固定側金型1のパーテング面10よ
りも突出している。
【0025】保持ガイド3に保持する二層の多孔質弾性
体2,2’の外径は、固定側金型1のキャビティ11、
可動側金型8のキャビティ12の径よりも小さくし、ま
た厚みはそれぞれのキャビティ11,12の深さよりも
大きく形成している。
【0026】一方の多孔質弾性体2には、貫通穴13を
形成し、この貫通穴13にスプルーブッシュ5の先端に
設けた鍔部14を、多孔質弾性体2を傷つけないように
して挿入している。スプルーブッシュ5の鍔部14を多
孔質弾性体2の貫通穴13に挿入することにより、多孔
質弾性体2は、スプルーブッシュ5に保持され、また保
持ガイド3によりやや圧縮された状態で固定側金型1の
キャビティ11内に保持されている。
【0027】他方の多孔質弾性体2’は、多孔質弾性体
2と対向させ、かつやや圧縮された状態で保持ガイド3
に保持されている。したがって、たとえ金型9が下向き
の状態で設置されても脱落したり、ずれたりすることが
なくなる。
【0028】以上のように、多孔質弾性体2,2’が、
保持ガイド3などにより保持されて金型9内に装填され
ると図2に示す状態となる。
【0029】なお、図2では、金型9が横開きのものを
用いた場合を示したが、多孔質弾性体2,2’が水平に
保持される縦開き金型の場合には、多孔質弾性体2はス
プルーブッシュ5により固定側金型1のキャビティ11
に保持されるので、保持ガイド3を省略して、多孔質弾
性体2’は、可動側金型8のキャビティ12内に保持す
るようにしても良い。
【0030】つぎに、金型9を、図3に示すように型締
圧を加えて閉じると、保持ガイド3は、型締圧によって
スプリング4を圧縮しながら後退し、先端がパーテング
面10まで後退して固定側金型1のキャビティ11の側
面を構成する。
【0031】一方多孔質弾性体2’は、保持ガイド3が
後退しても可動側金型8のキャビティ12内の所定位置
に圧縮固定されているため、振動などが加わっても位置
精度が正しく保たれる。
【0032】またスプルーブッシュ5は、スプリング6
によりパーテング面10より鍔部14が突出していたも
のが、型締めと同期したスライドコア7の作動によりス
プリング6を圧縮しながらその先端部に設けた鍔部14
がパーテング面10と同一面に位置するように後退す
る。
【0033】同時に、鍔部14は、図4に示すように、
多孔質弾性体2の貫通穴13の周縁部を、鍔部14の後
面と固定側金型1との間で挟圧するように後退するとと
もに多孔質弾性体2を固定側金型1のキャビティ11内
の所定位置に圧縮固定させる。
【0034】以上のような作用により多孔質弾性体2,
2’の位置精度は正しく保たれ、また多孔質弾性体2,
2’の落下や位置ずれによる成形歩留りの低下も著しく
改善でき、数多くの汎用的に使用されている横型射出成
形装置への使用も可能となる。
【0035】また、多孔質弾性体2の貫通穴13の周縁
部は、鍔部14の後面によって樹脂射出圧力より大きく
金型締付圧力で固定側金型1に押圧されて圧縮されるの
で、さらに射出圧力を多段的に調整する必要もないの
で、図4に示すように、多孔質弾性体2,2’間に鍔部
14による空隙部15を形成する。
【0036】金型9が閉じられ、キャビティ11,12
内に、多孔質弾性体2,2’が保持されて図3に示す状
態になったのち、溶融樹脂を射出する工程が開始する。
【0037】加熱溶融された樹脂Pは、スプルーブッシ
ュ5の先端より、多孔質弾性体2,2’がキャビティ1
1,12内に圧縮保持されている圧力よりも大きな圧力
で射出される。
【0038】樹脂Pは、図5および図6に示すように、
先ずスプルーブッシュ5の前部に位置する多孔質弾性体
2’の表面を圧縮しながら多孔質弾性体2,2’間を流
れ、次いで鍔部14によって形成された空隙部15に流
れ込み、この空隙部15がフローガイドとなって樹脂P
は、図6に示すようにさらに多孔質弾性体2,2’を押
しわけ乍ら相接触する両者の界面を流展して、キャビテ
ィ11,12の側面に到達する。
【0039】この際、多孔質弾性体2’は、樹脂Pの射
出圧力により可動側金型8のキャビティ12内に押圧さ
れ、また多孔質弾性体2は、樹脂Pの射出圧力によって
固定側金型1に押圧されると同時に貫通穴13の周縁部
は、鍔部14によっても固定側金型1に押圧されている
ので、多孔質弾性体2,2’と固定側金型1、可動側金
型8との密着はよく、この部分に樹脂が流れ込んだり、
多孔質弾性体2が位置ずれしたり、トンネル形成を起こ
したり、捲き込まれることによる不良品の発生もなく、
多孔質弾性体2,2’の位置精度が良いものとなる。
【0040】また、鍔部14による多孔質弾性体2の固
定側金型1への押圧、空隙部15によるフローガイドの
形成によって多孔質弾性体2の位置精度が良くなるの
で、射出圧力、射出速度を多段に制御する必要もなくな
る。樹脂Pが多孔質弾性体2,2’の界面に流展して行
くことにより、多孔質弾性体2,2’は、キャビティ1
1,12内へ圧縮され、ついで流展する樹脂がキャビテ
ィの側壁まで到達して樹脂Pがキャビティ11,12内
に充填されると図7、および図8に示す状態となる。
【0041】多孔質弾性体2,2’は、樹脂Pの射出圧
力により圧縮された状態で樹脂Pと接触しているので、
多孔質弾性体2,2’の反撥力も加って多孔質弾性体
2,2’と樹脂Pとの熱溶着は強固なものとなり、また
多孔質弾性体2,2’は限界近くまで圧縮されて厚みが
薄くなっているので、熱伝導率は、溶融樹脂のそれとほ
ぼ近くなり冷却時間は通常の射出成形に比較して、特別
に長くなることはない。
【0042】充填された樹脂Pが冷却固化した後、可動
側金型8を後退させると、まづ図7におけるIの部分が
開き、フィンガーピン16の作用により、スライドコア
7が横に動き、スプルーブッシュ5が固定側金型1に押
しつけられていた力が開放されるが、まだこの状態では
スプルーブッシュ5は型締圧で固定側金型1に押しつけ
られている。
【0043】さらに可動側金型8が後退して、図7にお
けるIIのパーティング面が開くことにより、スプルーブ
ッシュ5はスプリング6の弾力により、また保持ガイド
3はスプリング4の弾力により押し出され、ゲートカッ
トされると同時に多孔質弾性体と一体になった樹脂成形
体が固定側金型1より押し出されて可動側金型8のキャ
ビティ12に残る。
【0044】さらに可動側金型8は、後退して図7にお
けるIIIが開くと固化したランナーを取り出すことがで
き、さらに可動側金型8が後退すると突出ピンの作用に
より、両面に多孔質弾性体を接合した樹脂成形体が可動
側金型8より自動的に取り出される。この状態になると
金型から取り出された樹脂成形体に溶着されている多孔
質弾性体2,2’は圧縮から開放され、樹脂と溶融一体
化した部分を除いてほぼもとの厚さに近いものに自然回
復して、図8に示す樹脂成形体となる。なお17は多孔
質弾性体2の貫通穴13およびスプルーブッシュ5の鍔
部14とにより樹脂成形体に形成された凹部を示す。
【0045】つぎに上述の射出成形金型9を使用して両
面にポリエステル系ウレタン多孔質弾性体を一体成形し
たポリプロピレン成形体からなる空調装置の気流切換用
制御弁を射出成形する場合について説明する。
【0046】多孔質弾性体2,2’として、低通気性ポ
リエステル系ウレタンスポンジであるブリジストン化成
品KK社製の軟質エバーライト品番SY〔密度0.03
6,伸び360%,発泡倍率30倍,平均セルサイズ5
00μm,通気性3.9ml/cm2/secのほぼ独立気泡か
ら出来ている〕を120×190×7mmの大きさに打抜
いたものを使用し、射出成形用樹脂Pとしては、住友化
学工業KK社製の40%のマイカを含有した曲げ強度の
すぐれたポリプロピレンであるノーブレンBP479−
1を使用した。
【0047】射出成形機は模型で一般に使用されている
三菱重工業KK製の240MSP−15に上述の射出成
形金型9を取りつけて使用した。ウレタンスポンジより
なる多孔質弾性体2,2’は、図2に示すように金型9
内にスプルーブッシュ5と保持ガイド3により保持し、
図3に示すように型締圧200tonで金型9を閉じた。
【0048】このときウレタンスポンジ弾性体2,2’
は、キャビティ深さが3mmに設定されているため型締圧
によりもとの厚さ7mmが1.5mmつまり21.4%に圧
縮されてキャビティ内に保持されている。ポリウレタン
スポンジ弾性体2の貫通穴13の周縁部は径方向に5m
m、厚さ方向に1.35mmの大きさをもった鍔部14に
よって固定側金型1に強く圧締され、この部分のポリウ
レタンスポンジ弾性体2の厚さは0.15mmの極限まで
すなわち約97.8%圧縮された状態になっている。
【0049】この状態で図7に示すように温度200℃
の溶融ポリプロピレンを、30℃に保持された金型9中
に射出圧力600kg/cm2で8秒間射出すると、図6に
示すように樹脂Pはスポンジ弾性体2,2’の相接触す
る界面のみを流れて、スポンジ弾性体2,2’を捲き込
んだり、位置ずれを起こしたりすることなく、図7に示
したように完全に充填することができる。
【0050】射出開始後約3秒で樹脂Pは完全に流展が
完了するが、スポンジ弾性体2,2’は射出溶融樹脂の
射出圧力でさらに0.20mmの厚さ(圧縮率97.1
%)に圧縮されて、金型9との熱伝導を良くし、急速に
射出樹脂を冷却固化することが出来る。
【0051】冷却時間18秒後には金型9を開いて図8
に示すような多孔質弾性体を一体にした樹脂成形体を取
り出すことができ、スポンジ弾性体を有しないポリプロ
ピレン単独の成形体を製造した場合の成形時間に比較し
て僅かに2秒間しか成形時間が変わらなかった。
【0052】得られた成形体は、スポンジの位置ずれや
捲き込みなどの精度不良を起こすものは全くなく、射出
樹脂層の厚さ2.6mm、スポンジ弾性体の厚さ5.0mm
となり、スポンジ弾性体の残り2mmの厚さの一部は接着
層として射出樹脂中に溶解して一体となり、ポリウレタ
ンスポンジの破断強度以上の接着力でポリプロピレンに
接着しており、スポンジの諸物性値も成形前のものとほ
ぼ同一の値を示し、劣化していないことが確認された。
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0054】多孔質弾性体を保持する手段、スプルーブ
ッシュがともに前後に摺動可能となっているので、型締
圧が多孔質弾性体に良好に伝達されて多孔質弾性体を確
実にキャビティ内に保持しておくことができ、またスプ
ルーブッシュの先端に設けた鍔部が、多孔質弾性体の要
部を押圧しており、射出する溶融樹脂によって多孔質弾
性体が動いて位置ずれしたり、スプルーブッシュと多孔
質弾性体との接触間隙から樹脂が侵入してトンネル形成
現象や捲き込み現象を惹起したりすることがなくなる。
【0055】またスプルーブッシュは、摺動可能になっ
ていることによりその先端は、パーテング面と同一面に
位置しているので樹脂層は均一な厚みとなり、さらに樹
脂の射出成形時は、多孔質弾性体を圧縮した状態で保持
したまま樹脂と接触させるので、多孔質弾性体と樹脂成
形品との接着強度が大きく接着信頼性もすぐれた樹脂成
形体が得られる。
【0056】さらに、多孔質弾性体を保持する手段、ス
プルーブッシュは、前後に摺動可能となっていることか
ら、射出圧力、射出速度を多段に調整しなくとも多孔質
弾性体は的確に金型に保持、押圧され、位置ずれ、トン
ネル形成、捲き込みなどの弊害が発生しないので、汎用
の横型射出成形機にそのまま使用でき有利であるととも
に成形サイクルも短縮される。
【0057】従来のように、多点ゲートやゲート閉止弁
を設けたり金型に凹部などの加工をする必要もなく、ま
た射出圧を調整する手段も不要となり安価な金型を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における射出成形金型を開い
た状態の断面図である。
【図2】開いた状態で多孔質弾性体を保持した射出成形
金型の断面図である。
【図3】図2の射出成形金型を閉じた状態の断面図であ
る。
【図4】図3のA部の拡大説明図である。
【図5】図3の射出成形金型において、樹脂を射出し始
めた状態の説明断面図である。
【図6】図5のB部の拡大説明図である。
【図7】図3の射出成形金型において、樹脂の射出が終
了した状態の説明断面図である。
【図8】得られた合成樹脂成形体の断面図である。
【符号の説明】
1 固定側金型 2,2’ 多孔質弾性体 3 保持ガイド 4,6 スプリング 5 スプルーブッシュ 7 スライドコア 8 可動側金型 9 金型 10 パーティング面 11 固定側金型のキャビティ 12 可動側金型のキャビティ 13 多孔質弾性体2の貫通孔 14 鍔部 15 空隙部 P 樹脂 I,II,III は金型の型開き位置および順序を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 誠一 大阪府交野市神宮寺2丁目31番1号 大宝 工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端に鍔部を形成し、かつ摺動可能なスプ
    ルーブッシュを備えることを特徴とする射出成形金型。
  2. 【請求項2】多孔質弾性体を保持し、かつ摺動可能な保
    持手段を同時に備えてなる請求項1記載の射出成形金
    型。
  3. 【請求項3】保持手段は、金型が開いた状態では、固定
    側金型のパーティング面より先端を突出させ、金型が閉
    じた状態では、上記パーティング面と同一面に先端を位
    置させる摺動手段を有する請求項1又は2記載の射出成
    形金型。
  4. 【請求項4】スプルーブッシュは、金型が開いた状態で
    は固定側金型のパーティング面より鍔部を突出させ、金
    型が閉じた状態では上記パーティング面と同一面に鍔部
    を位置させる摺動手段を有する請求項1又は2記載の射
    出成形金型。
  5. 【請求項5】スプルーブッシュは、金型が閉じた状態で
    は、固定側金型との協働で多孔質弾性体の一部を挟持で
    きる鍔部を備えてなる請求項1又は4記載の射出成形金
    型。
  6. 【請求項6】固定側金型および可動側金型からなり、こ
    の固定側金型には、成形キャビティ内に位置させる二層
    の多孔質弾性体を保持する保持手段ならびにスプルーブ
    ッシュをそれぞれ可動側金型の方向に賦勢し、かつ摺動
    可能に装着し、このスプルーブッシュの先端には、前記
    固定側金型と接する側に位置させた多孔質弾性体に形成
    した透孔に嵌入させる鍔部を設けてなる射出成形金型。
  7. 【請求項7】成形部に二層の多孔質弾性体を位置させ、
    スプルーブッシュの先端に設けた鍔部は、この多孔質弾
    性体の一方を貫通して他方の多孔質弾性体と当接させ、
    これら二層の多孔質弾性体の間にスプルーブッシュを通
    じて樹脂を流展することを特徴とする合成樹脂成形体の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009292081A (ja) * 2008-06-06 2009-12-17 Calsonic Kansei Corp 射出発泡成形用金型
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CN113710453A (zh) * 2019-04-20 2021-11-26 井上株式会社 复合构件的制造方法及其中使用的成形模具

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