JPH0617723U - 粘着性シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 屈曲部分及び凹凸部分においても適度な引張
り加重を付加することができ、かつこれにより効果的か
つ良好な貼着状態を保持することができる。 【構成】 一方の面上に粘着剤層を有するポリウレタン
膜、上記粘着剤層上に付着された剥離層（１）、及び上
記ポリウレタン膜の粘着剤層と反対側の面上に付着され
た剥離層（２）からなる粘着性シートにおいて、前記剥
離層（２）が一方向に向けて切込形成された複数の切込
み線を有し、上記ポリウレタン膜を伸縮自在に貼着可能
としたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は粘着性シートに関し、特にその一方の面上に設けられた粘着剤層によ り人間又は動物等の身体に固着されうる医療用粘着性シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、医療技術において、接着剤が塗布されている薄い重合体フィルムが傷の 手当用品及び手術用滅菌布として使われている。特に、一方の表面に接着剤が塗 布されているポリウレタンフィルムが身体にカテーテルを取り付けるため、又は 傷の手当用品として市販されている。このような市販されているフィルムは剥離 材に付着されているため、特に寸法の大きいものは、それらを剥離材から取り除 くときブロッキングを生じ、それら自身に弾性的に粘着する傾向があり、扱いに くい製品である。また、上記ポリウレタンフィルムはわずかな引張り荷重で伸展 する性質を有しており、必ずしも平坦な面ではない身体表面への貼付が可能であ る一方、過度の引張り荷重を加えることは、患部への不必要な圧迫や貼付後の位 置ズレにもつながるという欠点も有している。

【０００３】 このような問題を防ぐため、特公昭62-28994号公報にはフィルムの下側表面に 付着している剥離可能層に外周部を中心部と区画する切込み線を入れ、予め、上 記切込み線により中心部を剥離して取り除き剥離可能層を枠状に残しておき、こ の状態で皮膚等に貼りつけた後枠状の剥離可能層を剥離除去する技術が開示され ている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記技術においては、不必要な引張り加重の付加を防止するこ とは可能であるが、例えば患部が指、四肢等の屈曲性部分である場合、適度な引 張り加重を付加すること、及びこれにより効果的かつ良好な貼着状態を保持する ことは困難であった。

【０００５】 引張り加重を加えることを可能とする技術として例えば特開平3-7153号公報等 に開示される構成があるが、このようなものは製造工程が複雑で、必要部材数も 多く、また適度な引張り加重に制御することが困難なものであった。

【０００６】 従って本考案の目的は、屈曲部分及び凹凸部分においても適度な引張り加重を 付加することができ、かつこれにより効果的かつ良好な貼着状態を保持すること ができる粘着性シートを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の上記目的は、一方の面上に粘着剤層を有するポリウレタン膜、上記粘 着剤層上に付着された剥離層（１）、及び上記ポリウレタン膜の粘着剤層と反対 側の面上に付着された剥離層（２）からなる粘着性シートにおいて、前記剥離層 （２）が一方向に向けて切込形成された複数の切込み線を有し、上記ポリウレタ ン膜を伸縮自在に貼着可能としたことを特徴とする粘着性シート、を提供するこ とにより達成される。

【０００８】 以下に本考案を更に具体的に説明する。

【０００９】 本考案における「一方向に向けて切込形成された複数の切込み線」とは、例え ば図１にその平面図を示すように、四角形の粘着シートの１辺に平行な方向に任 意の長さの直線状の切込み線を多数形成したものが挙げられる。このような切込 み線の形状、方向、長さ、数及び密度等については、例えばその形状及び方向は 直線が一般的であるが、全体として平均して一方向に向かうものであれば、一部 に曲線を有するもの、例えば波線等であってもよく、またいかなる方向でも可能 である。また、その長さは、所望の伸展量に応じて、その数及び密度と相関して 適宜決定しうる。すなわち、一般に切込み線を密に設ければ伸展量は大きくなり 、疎に設ければ伸展量は小さくなる。

【００１０】 本考案においては、上記切込み線パターンを適宜選択することにより患部の形 状に応じて伸展量を決定することができる。

【００１１】 図２は本考案の粘着性シートの概略断面図である。図２によれば本考案の粘着 性シートは、一方の面上に粘着剤層３を有するポリウレタン膜４、粘着剤層３上 に付着された剥離層（１）５、及びポリウレタン膜４の粘着剤層と反対側の面上 に付着された剥離層（２）６からなる。

【００１２】 上記ポリウレタン膜は水蒸気透過性であること、また半透明又は透明であるこ とが好ましい。また、その厚みが一般に10〜60μｍの比較的薄いものが用いられ る。また、粘着剤層３に用いられる接着剤としては、例えばアクリル系粘着剤が 挙げられる。剥離層（１）としては、例えばシリコーンを塗工したクラフト紙が 用いられ、剥離層（２）としては、例えばシリコーンを塗工したクラフト紙、ポ リエチレンテレフタレートフィルム（10〜50μｍ）が用いられる。剥離層（２） としては貼着の際、目的部位を確認するため透明性のものを用いることが好まし い。

【００１３】 本考案においては、上記ポリウレタン膜と剥離層（２）間の接着力は粘着剤層 と剥離層（１）間の接着力よりも強く設定され、本考案の粘着性シートの使用の 際の取扱いを容易にしている。更に図２における剥離紙（２）の両端を他の層、 特にポリウレタン膜４よりやや長めに設けることにより、剥離を容易にすること ができる。

【００１４】 上記本考案の粘着性シートは前記切込み線を設けることにより伸展量を調整し うるのみならず、例えば凸状患部への貼付に対しても有効に用いることができる 。

【００１５】 図３は凸状の患部に本考案の粘着性シートを貼着する場合を示す断面説明図で ある。すなわち、図３によれば、貼付前に剥離紙（２）を左右に一度引張ること で切込み線部が伸び、変形する。このことにより、剥離紙（２）の切込み線部分 がポリウレタン膜から剥れる。このため、ポリウレタン膜は剥離紙（２）の剛性 に何ら規制されることなく、ポリウレタン膜本来の柔軟性を保持したまま貼付さ れる。従って、患部表面の凹凸面にも対応でき、また貼付面の状態に関係なく、 必要以上の強い力で貼着されてしまうこともない。

【００１６】 本考案の粘着性シートは瘢痕等に発生するケロイド、ひきつれ（瘢痕拘縮）、 しわその他の皮膚障害等の発生の予防、治療に使用する皮膚軟部組織固定保持（ 圧迫、伸展あるいは減張、安静）用、手術縫合創に対する被覆用等に使用する医 療用貼付材として主に用いることができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案の如く、剥離層（２）に、一方向に向けて 切込形成された複数の切込み線を設けることにより、患部の屈曲部分及び凹凸部 分においても適度な引張り加重を付加することができ、かつこれにより効果的で 良好な貼着状態を保持することができる粘着性シートが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の粘着性シートの実施例を示す平面図で
ある。

【図２】本考案の粘着性シートの一実施例の概略断面図
である。

【図３】本考案の粘着性シートの一実施例を皮膚の凸状
部位に貼着する際の状態を示す断面説明図であり、
（イ）は貼着前の伸展した状態を示し、（ロ）は貼着時
の状態を示す。

【符号の説明】

１ 切込み線 ３ 粘着剤層 ４ ポリウレタン膜 ５ 剥離層（１） ６ 剥離層（２）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の面上に粘着剤層を有するポリウレ
   タン膜、上記粘着剤層上に付着された剥離層（１）、及
   び上記ポリウレタン膜の粘着剤層と反対側の面上に付着
   された剥離層（２）からなる粘着性シートにおいて、前
   記剥離層（２）が一方向に向けて切込形成された複数の
   切込み線を有し、上記ポリウレタン膜を伸縮自在に貼着
   可能としたことを特徴とする粘着性シート。