JPH0617611Y2 - 自動車のサンルーフ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ルーフ開口をスライドルーフで開閉するよう
にした自動車のサンルーフ装置に関し、特に、スライド
ルーフを案内支持するルーフガイドレールによってルー
フ開口の有効面積が損なわれるのを抑制できるようにし
たルーフガイドレールの配置位置の改善に関する。

〔従来の技術〕

自動車用サンルーフ装置として、従来、スライドルーフ
を前後方向にスライドさせることによりルーフ開口を開
閉できるようにしたものがある。このようなサンルーフ
装置としては、実開昭62-86224号公報に記載された構造
のものが一般的である。これはルーフパネルの左，右側
縁とサイドパネルの上縁との境界部分を構成するルーフ
サイドレール内にルーフガイドレールを配設し、該ルー
フガイドレールによりスライドルーフに固定されたガイ
ドローラを案内支持するようにした構造のサンルーフ装
置である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ことろで上記従来構造では、ルーフサイドレール内にル
ーフガイドレールの配置スペースを確保するようにして
いるので、該ルーフガイドレールの寸法が大きくなる
と、それだけルーフサイドレールが室内側に張り出すこ
ととなり、室内の有効スペースあるいはルーフ開口の有
効面積が犠牲にされる恐れがある。また、車体側部にス
ライドドアを設けた自動車の場合、該ドア用ガイドレー
ルをルーフガイドレールの車外側に形成することとなる
が、このドアガイドレールの前端部は、その構造上車内
側に折り曲げられている。従ってスライドドア付きの自
動車では、ルーフサイドレール内にルーフガイドレール
の配置スペースを確保するのは困難であり、結局上述の
従来構造は採用できない。

本考案は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ス
ライドドアを備えた自動車においてもルーフ開口の有効
面積を犠牲にすることのないサンルーフ装置を提供する
ことを目的としている。

本考案者等は、上述の有効ルーフ開口面積の確保の観点
から、ルーフガイドレールの配置位置について検討した
ところ、スライドドアを備えた車両では、ルーフサイド
レールの上側に従来利用されていないデッドスペースが
あることに着目した。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本考案は、ルーフパネルの車両側方縁の下側に、
車体前後方向に延び、車外側に向かって開口する凹溝を
有するルーフサイドレールを配設し、上記凹溝内にドア
ガイドレールを配設し、該ドアガイドレールで案内支持
されたスライドドアにより車体側部のドア開口を開閉す
るようにした自動車の、上記ルーフパネルに形成された
ルーフ開口をスライドルーフで開閉するようにしたサン
ルーフ装置において、上記ルーフ開口の車両側方縁を上
記ルーフサイドレール直近上方に位置させ、サイドルー
フガイドレールを上記ルーフサイドレールより上側でか
つ上記ルーフ開口の上記車両側方縁近傍の空間に配置固
定し、上記ルーフ開口を開閉するスライドルーフを上記
サイドルーフガイドレールで案内支持したことを特徴と
している。

〔作用〕

上述のように、本考案が対象とするスライドドアを備え
た自動車では、該ドア用ガイドレールを設ける都合上、
ルーフサイドレールの上側にデッドスペースができてい
る。本考案に係るサンルーフ装置では、サイドルーフガ
イドレールを上記デッドスペースとなっているルーフサ
イドレールの上側空間に配置したので、サイドルーフガ
イドレールによる車内幅の減少が抑制され、ルーフ開口
の有効面積を確保できる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図について説明する。

第１図ないし第７図は本考案の一実施例による自動車の
サンルーフ装置を説明するための図である。

図において、１は本実施例装置が採用されたワンボック
ス型自動車であり、該自動車１のサイドパネル２７の略
中央に形成されたドア開口２７ａにはスライドドア２８
が前後方向にスライド自在に配設されている。このスラ
イドドア２８の上縁に配設されたガイドローラ（図示せ
ず）はドアガイドレール２９で案内支持されている。こ
のドアガイドレール２９はルーフサイドレール１７のア
ッパ１７ｃ内に配置固定されており、該ルーフサイドレ
ール１７はルーフパネル２とサイドパネル２７の境界部
に位置し、車両前後方向に延びている。またこのドアガ
イドレール２９の前端部２９ａは車内方向に折り曲げ形
成されており、スライドドアを閉時にドア開口に圧着さ
せるようになっている。また、上記ルーフサイドレール
１７は、アウタ１７ａ，インナ１７ｂとからなる筒状体
に上記アッパ１７ｃを、凹溝をなすように固定してな
り、該凹溝内に上記スライドドア２８の上縁が挿入配置
されている。そして該ルーフサイドレール１７の、上記
ドアガイドレール２９の前端部２９ａを収容する部分
は、第１図に示すように、該前端部２９ａの折り曲げ形
状に沿うよう車内側に膨出成形されて膨出部１７ｅとな
っている。なお、１７ｄは上記スライドドア２８の内面
をシールするためのウェザーストリップである。

また上記ルーフパネル２の前部には副開口３が、その後
側には主開口４が形成されており、該主開口４の車両側
方縁４ａは上記ルーフサイドレール１７の直近上方に位
置している。副開口３は、前端が蝶番５ａでルーフパネ
ル２の開口縁部に軸支されたガラス製の揺動ルーフ５で
開閉可能になっており、主開口４はガラス製のスライド
ルーフ６で開閉可能になっている。

上記スライドルーフ６の後縁の左寄り部分にはリヤブラ
ケット１０が固定されており、これはリヤアーム１１を
介してリヤルーフガイドレール１２で案内支持されてい
る。このリヤルーフガイドレール１２は、ルーフパネル
２に凹設された取付溝２ａ内に配置固定されている。

また、上記スライドルーフ６の、前側の左，右側部には
それぞれサイドブラケット７が固定されており、これは
サイドアーム８を介してサイドルーフガイドレール９で
案内支持されている。

このサイドルーフガイドレール９は、ベースプレート１
３、前，後リテーナ１４，１５、ブラケット１６を介し
て上記ルーフサイドレール１７の上側で、かつ上記主開
口４の車両側方縁４ａの近傍の空間に配置されている。
また上記サイドルーフガイドレール９の下側は天井パネ
ル３１で覆われている。上記ベースプレート１３は、車
幅方向に架け渡された額縁状のもので、その車内側部分
は上記ルーフパネル２の下面に固定されたリィンフォー
スメント１３ａに、またその左，右側縁部は上記前，後
リテーナ１４，１５にそれぞれボルト締め固定されてい
る。そして上記前リテーナ１４は、上記ルーフサイドレ
ール１７の車内側に配置された上記ブラケット１６の上
記膨出部１７ｅを覆う部分１６ａにボルト締め固定され
ている。また上記後リテーナ１５は上記ブラケット１６
の後方部分１６ｂに固定されている。

なお、ここで上記ベースプレート１３は、全車幅に渡る
大型部品であり、しかも上向きで組み立てることとなる
ので、その組立作業が困難になる恐れがある。そこで本
実施例では、先ず、上記左，右の前リテーナ１４をブラ
ケット１６に固定し、ベースプレート１３を車室内の後
側から該前リテーナ１４と上記リィンフォースメント１
３ａとの間に差し込んで仮保持し、この状態で後リテー
ナ１５を装着し、これによりベースプレート１３を組み
付けるようにしている。

そして上記サイドルーフガイドレール９は、アルミニュ
ームの押し出し成形材からなり、シュー溝９ａ，駆動ケ
ーブル溝９ｂ，リターンケーブル溝９ｃ，及び駆動溝９
ｄを有する。なお、１８はサンシェードガイドレールで
あり、これは上記サイドルーフガイドレール９のベース
部分に固定され、サンシェード１９の両側縁を案内支持
している。

上記シュー溝９ａにはガイドシュー２０が挿入されてお
り、該ガイドシュー２０は上記サイドアーム８に軸支さ
れている。該ガイドシュー２０の支持軸２０ａの他端に
は駆動レバー２１の一端が固定されており、該レバー２
１の他端に固定された駆動部材２２は上記駆動ケーブル
溝９ｂ内に挿入配置された駆動ケーブル２３ａに固定さ
れている。なお、この駆動ケーブル２３ａの他端側は右
側のサイドルーフガイドレール９のリターンケーブル溝
９ｃ内に挿入されてリターンケーブル２３ｂとなってお
り、また、３０（第５図参照）は上記駆動ケーブル２３
ａ，及びリターンケーブル２３ｂを駆動する駆動装置で
ある。

次に本実施例の作用効果について説明する。

本実施例装置では、駆動装置３０を作動させると、駆動
ケーブル２３ａ，駆動部材２２，駆動レバー２１，サイ
ドアーム８，サイドブラケット７を介してスライドルー
フ６が後方に移動される。するとこの後方移動に伴っ
て、スライドルーフ６の前側部分については、サイドガ
イドレール９の落とし込み部９ｅの高さだけガイドシュ
ー２０が上昇し、該高さだけスライドルーフ６の前部が
上昇する。またスライドルーフ６の後側部分について
は、リヤアーム１１のガイドシューがリヤルーフガイド
レール１２に沿って移動することにより上昇し、後方に
スライドすることとなる。

上述のようにスライドルーフを備えたサンルーフ装置で
は、サイドルーフガイドレール９の配置如何によって
は、有効室内スペース，有効開口面積が該ガイドレール
によって損なわれる懸念がある。本実施例では、ルーフ
サイドレール１７の上側に比較的大きい空間があること
に着目して、該空間にサイドルーフガイドレール９を配
置したので、該ガイドレール９の室内側への張り出し幅
が狭くて済み、有効開口面積を確保できる。

また、本実施例では、ベースプレート１３の組付けに当
たっては、先ず前リテーナ１４のみを取り付け、これと
リィンフォースメント１３ａとの間にベースプレート１
３の前部を挿入して仮保持し、しかる後、後リテーナ１
５を装着するようにしたので、比較的大型の部品をしか
も上向きに容易に組み付けることができ、作業性を改善
できる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案に係る自動車のサンルーフ装置によ
れば、ルーフサイドレールの上側の空き空間にルーフガ
イドレールを配置したので、デッドスペースの有効利用
ができ、ルーフの有効開口面積をルーフガイドレールで
阻害することがなく、スライドルーフ開時の開放感を増
大できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本考案の一実施例による自動車の
サンルーフ装置を説明するための図であり、第１図，第
２図はそれぞれの断面正面図、第３図はサイドアーム部
分の側面図、第４図はその平面図、第５図はその分解斜
視図、第６図(a),(b)は該実施例装置が採用された自動
車の斜視図である。 図において、１は自動車、４はルーフ開口，４ａは車両
側方縁，６はスライドルーフ、９はサイドルーフガイド
レール、１７はルーフサイドレール、２７はサイドパネ
ル（車体側部）、２７ａはドア開口、２８はスライドド
ア、２９はドアガイドレールである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ルーフパネルの車両側方縁の下側に、車体
   前後方向に延び、車外側に向かって開口する凹溝を有す
   るルーフサイドレールを配設し、上記凹溝内にドアガイ
   ドレールを配設し、該ドアガイドレールで案内支持され
   たスライドドアにより車体側部のドア開口を開閉するよ
   うにした自動車の、上記ルーフパネルに形成されたルー
   フ開口をスライドルーフで開閉するようにしたサンルー
   フ装置において、上記ルーフ開口の車両側方縁を上記ル
   ーフサイドレール直近上方に位置させ、サイドルーフガ
   イドレールを上記ルーフサイドレールより上側でかつ上
   記ルーフ開口の上記車両側方縁近傍の空間に配置固定
   し、上記ルーフ開口を開閉するスライドルーフを上記サ
   イドルーフガイドレールで案内支持したことを特徴とす
   る自動車のサンルーフ装置。