JPH0617502Y2 - 玩具用オイルダンパ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、玩具用のオイルダンパに関する。

（従来の技術） 玩具車と云えども高速走行するものには、オイルダンパ
を設置する。このオイルダンパは、玩具車の走行すると
きの上下振動を抑えるだけでなく、車の接地性、操縦性
及び安全性を確保する上で重要な部品となっている。

玩具車用のオイルダンパは、シリンダ内にピストンを摺
動自在に配して対向するオイル室を作り、両オイル室を
ピストンに設けたバルブで連通自在とし、且つ該ピスト
ンをロッドに結合させ、シリンダを車輪側に且つロッド
を車体側に支持させる構成を有する。

このような構成のオイルダンパを有する玩具車の車輪が
突起物に乗りあげた瞬間や、穴に落ちたときに車輪が地
面に着地した後に、ピストンロッドがシリンダ内に入る
縮み運動をするが、この際、ピストンに設けたバルブの
一定の大きさの孔を介してオイルが一方のオイル室から
他方のオイル室に流入する。しかし、この例では、縮み
運動の前半と後半とで、バルブ孔が同じであるから、そ
の減衰力はほゞ一定である。

さらに、玩具車の車輪が突起物を乗り越えた瞬間から着
地するまでの間や、穴に落ち込む瞬間から着地までの間
にピストンロッドが伸び運動をする。この場合には、ピ
ストンロッドの縮み運動時と逆に他方の室から一方の室
にピストンのバルブの一定の大きさの孔を介してオイル
が流入するが、これも一定の大きさのバルブ孔を用いる
ので、その減衰力が伸び運動の前後半でほゞ同じとな
る。

（本考案が解決しようとする課題） 従来のようなオイルダンパでは、縮み及び伸び時のピス
トンロッドの前後半でその減衰力がほゞ同じであるか
ら、たとえば、ピストンロッドの縮み運動時において、
その前半部から後半部にかけてダンピング効果を漸進的
に強くし、又、ピストンロッドの伸び運動時において、
その前半部から後半部にかけてダンピング効果を漸進的
に弱くすることが不可能となっている。

それ故に、本考案は、前述した従来技術の不具合を解消
させることを解決すべき課題とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、前述した課題を解決するために、基本的に
は、シリンダ内周壁面にその長手方向に亘ってその断面
積を変化させているえぐりを入れる技術的手段を採用す
る。

（作用） ピストンロッドの縮み運動時にピストンが上昇すると、
ピストンの外周面が、えぐりの巾の小さい方へと移り、
そのオイル孔の流路面積を小さくし、ダンピング効果を
漸進的に大きくする。又、ピストンロッドの伸び運動時
にピストンが下降すると、ピストンの外周面が、えぐり
の巾の大きい方へと移り、そのオイル孔の流路面積を大
きくし、ピストンの抵抗を小さくさせてピストンロッド
の伸びを早くさせ得る。

（実施例） オイルダンパ１は、その底部が絞られたシリンダ２内に
ピストン３を摺動自在に配す。シリンダ２の開口にキャ
ップ４を着脱自在に配す。ピストン３にその一端が結合
されたロッド５を、シリンダ２外い延出させる。キャッ
プ４とロッド５の端部とに、車体及び車輪側への取付部
在を設ける。

シリンダ２の内周壁に、その下部が巾広く且つ上部が巾
狭いテーパ状のえぐり６を入れる。えぐり６に代えて、
同巾のテーパ状の溝でもよい。えぐり６や溝は、複数個
であってもよい。

シリンダ２内には、ピストン３により対向するオイル室
７、８が画定され、両室７、８は、えぐり６を介して連
通自在となっている。このえぐり６は、ドリルを斜めに
シリンダ内周壁に差込むことで形成可能である。

ピストンロッド５に縮み方向に外力が作用すると、ピス
トン３が、第１図において上昇するので、一方のオイル
室７のオイルは、えぐり６を介して他方のオイル室８
に、ピストン３に抵抗を与えながら流入するが、えぐり
６により決められる流路面積はピストン３の上昇に伴い
小さくなり、オイル流入の減少によってダンピング効果
が漸進的に強くなる。一方、ピストンロッド５に伸び方
向に外力が作用すると、ピストン３が第１図において、
えぐり６により決められる流路面積を漸進的に大きくし
ながら下降する。かくして、一方のオイル室８から他方
のオイル室７へのオイル流入量が漸進的に増加し、ロッ
ド５の伸びスピードを早め得る。これは車輪の接地を早
く回復できる。

尚、えぐりは、その巾と深さを全長に亘って同一とする
ものの長さの違うものを複数個設けてそれらの合計の断
面積を変えているえぐりでもよい。

（効果） 本考案では、ピストンに逆向きの一方向弁を少くとも２
個設けるという作業が不必要となり、製作・組立が容易
となる。又、えぐりは、ドリルにより簡単に形成でき、
巾及びテーパによって流路面積も容易に調整できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例の断面図、第２図はえぐりの正面
図である。 図中：２……シリンダ、３……ピストン、５……ロッ
ド、６……えぐり、７、８……オイル室。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダ内に摺動自在に配されたピスト
   ン、該ピストンに一端が固定され且つ他端がシリンダ外
   に延出するロッドとを有し、シリンダの内周壁面にその
   長手方向に延在し且つその長手方向に亘って断面積を変
   化させているえぐりを設けていることを特徴とする玩具
   用オイルダンパ。
2. 【請求項２】えぐりがその下部で巾広く且つ上部で巾狭
   くなっている請求項(1)の玩具用オイルダンパ。
3. 【請求項３】えぐりがその深さを上部に行くに従って浅
   くしている請求項(1)の玩具用オイルダンパ。