JPH06174431A - 油膜厚さ計測装置 - Google Patents

油膜厚さ計測装置

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JPH06174431A
JPH06174431A JP32335692A JP32335692A JPH06174431A JP H06174431 A JPH06174431 A JP H06174431A JP 32335692 A JP32335692 A JP 32335692A JP 32335692 A JP32335692 A JP 32335692A JP H06174431 A JPH06174431 A JP H06174431A
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敏明 許斐
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は油膜中に含有される蛍光物質にレー
ザ光を照射した際に励起された蛍光強度に基づいて油膜
厚さを計測する油膜厚さ計測装置に関し、2次元的な計
測を可能とすることを目的とする。 【構成】 線状光用プローブ11はレーザ光源10で発
生したレーザ光を線状光として照射する。ガルバノミラ
ー13はシリンダ14の所定の位置に向けてレーザ光を
反射すると共に左右に往復回動する。シリンダ14とピ
ストン15との間に介在する潤滑油には、レーザ光に励
起されて蛍光を発する蛍光物質を混入する。ダイクロイ
ックミラー12はレーザ光を透過して蛍光を反射する。
リニアイメージセンサ20は蛍光強度を検出する。油膜
算出回路23は検出された蛍光強度とガルバノミラー1
3の回動状態とに基づいて油膜厚さを2次元的に算出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油膜厚さ計測装置に係
り、特に油膜中に含有される蛍光物質にレーザ光を照射
し、これにより励起された蛍光物質から発せられる蛍光
の強度に基づいて油膜の厚さを計測する油膜厚さ計測装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】レシプロ型内燃機関の摩擦損失及びオイ
ル消費量の低減には、実働運転時におけるピストン周辺
の油膜挙動を把握することが重要である。近年、このよ
うな油膜挙動を把握する一方法として、レーザ蛍光油膜
厚さ計測方法が着目されている。レーザ蛍光油膜厚さ計
測方法は、蛍光物質を含有させた潤滑油膜に短波長のレ
ーザ光を照射したとき、励起される蛍光の強度が油膜厚
さに比例することを利用した計測方法である。
【0003】このレーザ蛍光油膜厚さ計測方法によれ
ば、レーザ光のビーム径に相当する局所的な油膜厚さを
測定でき、SAEペーパ(米国自動車技術会技術論文)
912388号,920651号は、レーザ光の照射及
び蛍光の検出に光ファイバを導入して、容易な操作及び
高い精度の下にレーザ蛍光油膜厚さ計測方法を実施し得
る装置を開示している。
【0004】例えばSAEペーパ920641号によれ
ば、レーザ光源として用いたHe−Cdレーザから発せ
られる波長442nmのレーザ光は光ファイバケーブル
を伝播し、シリンダライナに設けた孔からシリンダ内
部、即ち蛍光物質が混入された油膜に照射される。シリ
ンダ内部ではレーザ光が照射された部分に存在する蛍光
物質が励起されて油膜厚さに比例した強度の蛍光が発せ
られる。
【0005】この蛍光及び油膜自体またはピストン等で
反射したレーザ光は、シリンダ内部から光ファイバを照
射し、光ファイバ内を逆行する。逆行する光は光源に通
じる光ファイバから分岐して光センサに通じる光ファイ
バ内を伝播する。そして光センサ直前に設けられたフィ
ルタでレーザ光が遮断され、蛍光のみが光センサに到達
する。
【0006】従って、光センサにはシリンダライナに設
けられた孔の位置における油膜厚さに相当する強度の光
が入射されることになり、この強度を検出すれば油膜厚
さが計測できることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置は、上記したようにシリンダライナの特定位置に入射
光を固定した計測、即ち点の計測しか行うことができ
ず、従って、ピストンの一定点については特定のクラン
ク角における油膜厚さしか計測することができなかっ
た。
【0008】また、仮に入射高のビーム径を広げて計測
可能な領域を広く確保しようとすれば、非常に高出力の
レーザ光を出力できる光源が必要となると共に、蛍光強
度の検出を行う光センサについても広い計測領域に対応
して、広い範囲を高い分解能の下に蛍光強度を検出でき
るものが必要となり実現が困難であった。
【0009】このため従来の油膜厚さ計測装置ではレシ
プロ型内燃機関における実働時における油膜挙動を把握
することが困難であり、内燃機関の設計にあたり摩耗損
失及びオイル消費の低減について十分な検討を行うこと
ができなかった。
【0010】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、光源から発せられるレーザ光を線状化すると共
に、線状レーザ光で計測面を走査することにより2次元
的な計測、すなわち面としての計測を可能とする油膜厚
さ計測装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の課題を解
決する油膜厚さ計測装置の原理図を示す。
【0012】図1において符号1は、線状のレーザ光を
照射する光源を示す。線状光源1は線状レーザ光を可動
ミラー2に向けて照射する。可動ミラー2は、内燃機関
のシリンダの所定の位置に設けられ、光透過性素材で構
成される透光部に向けて線状レーザ光を反射すると共に
線状レーザ光の線長方向を軸方向として回動し、透光部
において線状レーザ光を走査させる。
【0013】シリンダとシリンダ内に配設されるピスト
ンとの間に介在する潤滑油には、線状レーザ光付近の波
長の光が照射されると線状レーザ光の波長と異なる波長
の蛍光を発する蛍光物質3を混入する。光センサ4は蛍
光物質3が線状レーザ光に照射されて逐次発する蛍光の
強度を検出する。油膜算出手段5は光センサ4で検出さ
れた蛍光強度と可動ミラー2の回動に関する信号とに基
づいて、透光部付近における油膜厚さを2次元的に算出
する。
【0014】
【作用】本発明に係る油膜厚さ計測装置においては、可
動ミラー2の回動に伴って、線状光源1から発せられた
線状レーザ光が、シリンダに設けられた透光部を2次元
的に走査する。この際、透光部内部の蛍光物質3は、線
状レーザ光による走査に伴って、逐次油膜厚さに対応し
た蛍光強度を発する。油膜算出手段5は光センサ4によ
り逐次検出される蛍光強度を可動ミラー2の回動と同期
して認識することにより2次元的な蛍光強度分布を算出
する。
【0015】
【実施例】図2は本発明に係る油膜厚さ計測装置の一実
施例の構成を表す斜視図を示す。図2において符号10
及び11は、前記した線状光源1に相当するレーザ光源
及び線状光用プローブを示す。本実施例においては、波
長442nm付近をピークとする光を発生するHe−C
dレーザをレーザ光源10として使用している。また、
線状光源用プローブ11は、レーザ光源10から供給さ
れる光を光学的に処理することにより線状光とするプロ
ーブである。
【0016】線状光用プローブ11から発せられるレー
ザ光の光路上にはダイクロイックミラー12が設けられ
ている。このダイクロイックミラー12は後述するよう
に所定の波長帯の光を通過させ、それ以外の領域の波長
を有する光を反射するミラーである。本実施例に使用す
るダイクロイックミラー12はレーザ光源10から発せ
られるHe−Cdレーザ光を通過させる特性を有してい
る。このため、線状光用プローブ11から発せられたレ
ーザ光はほぼ完全にダイクロイックミラー12を通過
し、その延長線上に設けられた可動ミラー2に相当する
ガルバノミラー13に到達する。
【0017】ガルバノミラー13には、線状光の線長方
向(図2における上下方向)を軸方向として回動するス
テップモータ13aが連結されており、ミラー駆動回路
13bの指令に従って所定の角度を往復回動する。一
方、入射光であるレーザ光が発せられる線状光用プロー
ブ11の位置は固定されている。このため、ガルバノミ
ラー13で反射されたレーザ光の光路は、ガルバノミラ
ー13の往復回動運動に伴って左右に振れることにな
る。尚、ここで駆動モータとしてステップモータ13a
を使用するのは、ガルバノミラー13の回動角度や回動
の際の角速度等を高精度に制御する必要があるからであ
る。
【0018】ここで、ガルバノミラー13は、油膜厚さ
計測の対象であるシリンダ14の方向にレーザ光を反射
させるような位置に配設されている。シリンダ14は全
体が光透過性素材で構成され、その内部にピストン15
を備えている。そして、シリンダ14内壁とピストン1
5との隙間には潤滑油が介在せしめられている。
【0019】この潤滑油には、He−Cdレーザ光の波
長を含む特定の波長帯の光が照射されると別の波長帯の
蛍光を発する蛍光物質が混入されている。従って、ガル
バノミラー13で反射されたレーザ光がシリンダ14に
到達すると、そのレーザ光が光透過性素材で構成される
シリンダ14を透過して潤滑油中の蛍光物質を励起する
ため、シリンダ14内において所定波長の蛍光が発光す
る。
【0020】ここで、蛍光物質を含む潤滑油の油膜が、
シリンダ14とピストン15との間に形成される程度に
薄い油膜(およそ数百ミクロン以下)である場合、潤滑
油に短波長のレーザ光を照射した際に励起される蛍光の
強度は、潤滑油の油膜厚さに比例することが知られてい
る。本実施例は、蛍光物質のこのような特性を利用して
潤滑油の油膜厚さを計測しようとするものである。
【0021】また、上記したようにガルバノミラー13
を回動させるのは、線状光であるレーザ光でシリンダ1
4の表面を走査して油膜厚さについての情報を2次元的
に計測するためである。
【0022】すなわち、仮にガルバノミラー13を固定
とすると、潤滑油を照射する光が線状光であることに対
応して潤滑油中における蛍光も線状に発光するのみであ
る。これに対して、ガルバノミラー13を回動させる
と、その回動に伴ってレーザ光により照射位置が移動
し、当然に潤滑油における蛍光発光部位が移動する。従
って、本実施例において瞬間毎に移動する発光部位毎に
蛍光強度を把握すれば、潤滑油の油膜厚さを面情報とし
て得ることが可能となる。
【0023】ところで、本実施例におけるガルバノミラ
ー13とシリンダ14との間にはシリンドリカルレンズ
16,17が配設されている。これらのシリンドリカル
レンズ16,17は、ガルバノミラー13で反射された
レーザ光の光路を適切に調整して測定精度を高めるため
に配設されている。以下、図2における III矢指図であ
る図3を参照して、シリンドリカルレンズ16,17の
作用、及びこれらとガルバノミラー13,シリンダ14
等との位置関係について説明する。
【0024】本実施例においてミラー13とシリンダ1
4との間にシリンドリカルレンズ16,17が存在しな
いとすると、反射光の光路は図3中に二点鎖線で示すよ
うにガルバノミラー13とシリンダ14とを直線的に結
んだ経路となる。この場合において回動の軸を適切に設
定すれば、ガルバノミラー13上レーザ光が反射する部
位はガルバノミラー13の回動にかかわらずほぼ定位置
となる。
【0025】従って、ガルバノミラー13の回動に伴っ
てレーザ光がシリンダ14の表面を走査する場合、シリ
ンダ14に対するレーザ光の入射角はレーザ光の照射位
置により変動することになる。
【0026】ところが、シリンダ14の内壁とピストン
15との間に介在する油膜の厚さとは、シリンダ14及
びピストン15の直径方向の厚さを指す概念である。従
って油膜厚さを正確に計測するためには、レーザ光をシ
リンダ14及びピストン15の直径方向に、すなわち照
射する位置における接線方向に対して垂直に照射する必
要がある。
【0027】従って、図3における二点鎖線に示すよう
に、シリンドリカルレンズ16,17がないとした場合
には、レーザ光の照射位置によって、励起された蛍光強
度にその位置における入射角に基づいた補正を施す必要
が生ずる。シリンダ14表面における走査範囲の端部付
近において、レーザ光がその位置における接線方向に対
して斜めに照射されると、そのレーザ光は、蛍光物質1
8が混入された潤滑油19の実際の油膜厚さよりも長い
距離に渡って油膜中を進行し、実際の油膜厚さに対応す
る強度より強い強度の蛍光を励起するからである。
【0028】また、このような補正は、ガルバノミラー
13の回動に伴うレーザ光の入射角の変化率が大きくな
るほど大幅に行う必要が生じ、計測精度の低下を引き起
こす。従って、ガルバノミラー13からの直接光でシリ
ンダ14を照射する構成とする場合、レーザ光の入射角
の変化率はできる限り小さいことが望ましい。
【0029】ところが、レーザ光の入射角の変化率を小
さくしようとすれば、ガルバノミラー13とシリンダ1
4との距離を離す必要が生ずる。ガルバノミラー13と
シリンダ14との距離が離れると、ガルバノミラー13
の僅かな回動がシリンダ14表面におけるレーザ照射位
置を大きく変えることとなる。
【0030】このため、ガルバノミラー13とシリンダ
14との距離を大きく離した状態でレーザ光を高精度に
走査させるためには、ガルバノミラー13の駆動モータ
として、ステップ幅が小さくかつ高精度に構成されてい
るステップモータ13aを使用せざるを得なくなり、上
記した入射角に対する補正と合わせて、精度の確保が困
難となると共にコストアップの原因となる。
【0031】そこで、本実施例においては、図3に示す
ようにガルバノミラー13とシリンダ14との間に、シ
リンドリカルレンズ16,17を設け、ガルバノミラー
13の回動にかかわらず、レーザ光が常にシリンダ14
の接線方向に対して垂直な方向から入射する構成として
いる。
【0032】ここで、2つのシリンドリカルレンズ1
6,17は共に凸レンズで構成され、シリンドリカルレ
ンズ17を通過したレーザ光が常にシリンダ14及びピ
ストン15の中心に向かって進行するように、それぞれ
のレンズ形状及び配設位置等を設定している。
【0033】尚、この場合、図3中に破線で示すよう
に、シリンドリカルレンズ16,17を設けることによ
り、レーザ光の走査範囲に対応するレーザ光の振れ角
は、シリンドリカルレンズがない場合に比べて大きくと
ることが可能となり、ステップモータ13aの能力に対
する走査位置精度の面でも有利である。
【0034】ところで、図4は本実施例に使用する蛍光
物質18の蛍光波長特性を示している。図4に示すよう
に、本実施例に使用する蛍光物質18(商品名:クマリ
ン−6;コダック社製)は、波長458nmを中心とす
る波長帯の光を吸収し、波長497nmをピークとする
蛍光を発する。従って、レーザ光源10から発せられる
波長442nmのHe−Cdレーザ光はほぼ蛍光物質1
8に吸収され、代わりにこのHe−Cdレーザ光により
波長497nmを中心とする波長帯の蛍光が励起され
る。
【0035】ここで、ある瞬間に照射されたレーザ光に
より励起された蛍光のうち、レーザ光の入射方向に向け
て進行する蛍光は、そのレーザ光が辿ってきた光路をそ
のまま逆行すると近似的に認めることができる。
【0036】すなわち、図3中に破線で示す光路に示す
ように、ガルバノミラー13からシリンダ14へ向かう
レーザ光の光路には、シリンダ14からガルバノミラー
13に向けて進行する蛍光が重畳した状態となってい
る。尚、厳密には、この光路にはピストン15で反射さ
れて進行方向を逆転させたレーザ光も重畳している。
【0037】つまり、図2中に破線で示す光路、すなわ
ちダイクロイックミラー12からガルバノミラー13及
びシリンドリカルレンズ16,17を経由してシリンダ
14に至る光路には、線状光用プローブ11から照射さ
れ、ダイクロイックミラー12を透過してシリンダ14
に向かうHe−Cdレーザ光と、シリンダ14からダイ
クロイックミラー12へ向けて逆行する蛍光及びHe−
Cdレーザ光の反射光が重畳していることになる。
【0038】図5は、ダイクロイックミラー12の透過
率特性を表す図を示し、ダイクロイックミラー12に、
照射角45°で照射される光の波長と、その光の透過率
との関係を表している。図5に示す関係によれば、照射
角45°でダイクロイックミラー12に照射された波長
442nmのHe−Cdレーザ光の透過率は約90%で
ある。また、蛍光のピーク波長497nm付近では透過
率がほぼ0%となり、ほとんど全反射となる。
【0039】従って、線状のレーザ光により励起されて
蛍光物質18から発せられた線状の蛍光は、ガルバノミ
ラー13で反射された後ダイクロイックミラー12に至
り、図6に示すように、ダイクロイックミラー12でほ
ぼ全反射されてリニアイメージセンサ20へと進行す
る。尚、図6に示すように、ダイクロイックミラー12
は線状光用プローブ11から発せられたレーザ光の光路
に対して45°の角度に配設されている。
【0040】リニアイメージセンサ20は、例えば線状
光としての蛍光が照射させる部位にフォトダイオード等
を連接してなり、入射された光の強度に対応した電気信
号を発生するように構成されている。従って、リニアイ
メージセンサ20は、ガルバノミラー13の回動に伴っ
て線状のレーザ光が照射されている部位における蛍光物
質18が発する蛍光の強度、すなわちレーザ光が照射さ
れている部位における潤滑油19の油膜厚さに対応した
電気信号を発生する。
【0041】尚、図2に示す構成においては、線状光用
プローブ11から発せられたレーザ光は直接ダイクロイ
ックミラー12へ到達し、またダイクロイイックミラー
12で反射された蛍光はその後直接リニアイメージセン
サ20へと到達する構成としているが、図6中に二点鎖
線で示すように、それぞれの光路中に適当なシャープカ
ットフィルタ21,22を設ける構成とてもよい。
【0042】この際例えば、シャープカットフィルタ2
1として442nmのシャープカットフィルタ、シャー
プカットフィルタ22として530nmのシャープカッ
トフィルタを用いると、より一層計測精度を向上させる
ことができる。
【0043】図2に示すように、リニアイメージセンサ
20には油膜算出回路23が接続されている。従って、
油膜算出回路23には、ガルバノミラー13の回動に伴
ってレーザ光により走査される部位における潤滑油19
の油膜厚さに対応した電気信号が、リニアイメージセン
サ20から時々刻々と供給される。また、油膜算出回路
23はミラー駆動回路13bとも接続されており、ガル
バノミラー13の回動に関する信号についても逐次供給
を受けている。
【0044】そして、油膜算出回路23はこれらの信号
に基づいて、リニアイメージセンサ20から1次元の情
報、すなわち線の情報として供給される油膜厚さに関す
る情報を経時的に整理し、2次元の情報、すなわち面の
情報に変換している。
【0045】このように、本実施例によれば、従来点で
しか把握することができなかったシリンダとピストンと
の間の油膜厚さの挙動を2次元、すなわち面として把握
することが可能となる。従って、従来の装置のようにピ
ストンの1定点についは特定のクランク角における油膜
厚さしか計測できないといった計測技術上の拘束が消滅
し、内燃機関の実働運転時を考慮した油膜厚さの計測が
可能となる。
【0046】また、シリンダ14に照射するレーザ光を
面光源とする必要がなく、レーザ光のビーム径を小さく
絞った状態で計測が行えるため、高出力のレーザ光源を
用いることなく十分に蛍光を励起させることができると
共に、蛍光強度の検出を行う光センサも線状光の検出が
できる構成であれば足り、上記したように簡単な構成で
高い分解能の確保が可能であり高精度な検出が実現でき
る。
【0047】尚、本実施例においてはビーム状のレーザ
光を線状の光に変換する際に、レーザ光源10で発生し
た光を光学的に線状光とする線状光用プローブ11を用
いているが、これに限るものではなく、ガルバノミラー
13の回動速度に対してレーザ光が線状光であると見な
せる構成であればよい。従って、例えばガルバノミラー
13の回動速度に比して十分に早い速度で、レーザ光源
10で発生したレーザ光を線状に走査させる構成として
もよい。
【0048】また、本実施例においては蛍光の強度を検
出する光センサとして、リニアイメージセンサ20を用
いているが、蛍光強度の絶対値が検出できる構成であれ
ばよく、例えば較正機能を備えたCCD(Charge Coupl
ed Device )カメラ等で構成してもよい。
【0049】さらに、上記実施例においてはガルバノミ
ラー13とシリンダ14との間にシリンドリカルレンズ
16,17を配設し、走査時におけるレーザ光の照射角
の変動をなくし、それに対する補正を排除する構成とし
たが、油膜算出回路23においてこの補正を行いシリン
ドリカルレンズ16,17を用いない構成としてもよ
い。
【0050】また、上記実施例におけるシリンダ14は
全体を光透過性素材で構成しているが、油膜厚さの計測
を行いたい部位だけが光透過性であれば足り、その部分
だけを光透過性素材で構成される透光部として構成して
もよい。
【0051】図7は、本発明に係る油膜厚さ計測装置の
他の実施例の構成を表す斜視図を示す。図7に示す実施
例は、上記実施例におけるガルバノミラー13に代えて
ポリゴンミラー24を使用している点に特徴がある。こ
の構成によれば、ポリゴンミラー24を所定の方向に回
転させるだけでレーザ光による走査が実現され、上記実
施例の構成に比べてステップモータ13aの制御を簡単
化することができる。
【0052】また、図8は、本発明に係る油膜厚さ計測
装置の別の実施例の構成を表す斜視図を示す。本実施例
は、図2に示す実施例の構成におけるシリンドリカルレ
ンザ16,17に代えて曲面ミラー25を用いている点
に特徴を有している。
【0053】本実施例によれば、ガルバノミラー13で
反射されたレーザ光は曲面ミラー25で反射されてシリ
ンダ14に至る。この際、曲面ミラー25におけるレー
ザ光の反射位置は、ガルバノミラー13の回動に伴って
移動する。ここで、曲面ミラー25上のレーザ光反射位
置に該当する部位の曲率を適当に設定すれば、曲面ミラ
ー24からシリンダ14へ反射する光を、常にシリンダ
14及びピストン15の中心に向かう光とすることがで
きる。従って、この場合も常に実際の油膜厚さに対応し
た蛍光強度が励起されることとなり、上記実施例の場合
と同様に、レーザ光の照射角に起因する補正を行う必要
がない。
【0054】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、線状のレ
ーザ光を走査することにより、光源として高出力のレー
ザ光源を、蛍光強度を検出する光センサとして2次元に
渡って高分解能が要求される光センサを用いることな
く、従来点でしか把握することができなかった油膜厚さ
の挙動を、2次元の挙動として計測することが可能とな
るという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油膜厚さ計測装置の原理図であ
る。
【図2】本発明に係る油膜厚さ計測装置の一実施例の構
成を表す斜視図である。
【図3】本実施例のレーザ光の光路を説明するための図
である。
【図4】本実施例に使用する蛍光物質の蛍光特性を表す
図である。
【図5】本実施例に使用するダイクロイックミラーの光
透過率特性を表す図である。
【図6】本実施例におけるダイクロイックミラーの作用
を説明するための図である。
【図7】本発明に係る油膜厚さ計測装置の他の実施例の
構成を表す斜視図である。
【図8】本発明に係る油膜厚さ計測装置の別の実施例の
構成を表す斜視図である。
【符号の説明】
1 線状光源 2 可動ミラー 3,18 蛍光物質 4 光センサ 5 油膜算出手段 10 レーザ光源 11 線状光用プローブ 12 ダイクロイックミラー 13 ガルバノミラー 13b ミラー駆動回路 14 シリンダ 15 ピストン 19 潤滑油 20 リニアイメージセンサ 23 油膜算出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 許斐 敏明 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 斎藤 昭則 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲垣 英人 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の位置に光透過性素材で構成される
    透光部を備えたシリンダと該シリンダ内に配設されるピ
    ストンとの間に介在する潤滑油に、所定波長の光が照射
    されると照射光の波長と異なる波長の蛍光を発する蛍光
    物質を混入し、該蛍光を励起し得る波長のレーザ光を前
    記透光部から前記シリンダの内部に入射すると共に該レ
    ーザ光により励起された蛍光強度を光センサで検出し、
    検出された蛍光強度に基づいて前記レーザ光が入射され
    た部位における前記潤滑油の厚さを計測する油膜厚さ計
    測装置であって、 線状のレーザ光を発する線状光源と、 該線状光源から発せられたレーザ光を前記透光部方向に
    反射して前記シリンダ内に入射させると共に、線状のレ
    ーザ光の線長方向を軸として回動することにより前記シ
    リンダ内における線状レーザ光の入射位置を変更する可
    動ミラーと、 該可動ミラーの回動に伴って変動する前記光センサの検
    出値に基づいて、前記潤滑油の油膜厚さを2次元的に算
    出する算出手段とを備えることを特徴とする油膜厚さ計
    測装置。
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