JPH0617435Y2 - スピ−カ・システム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、２個のスピーカ・ユニットを近接配置してな
るスピーカ・システムに関するものである。

〔従来技術およびその問題点〕 従来、このようなスピーカ・システムとして、第４図〜
第６図に示すようなものがあった。

第４図においては、２個のスピーカ・ユニット１０およ
び２０が、円弧状に曲がったバッフル板３０に取付けら
れていて、水平方向に並んで近接配置されている。この
例では、特殊形状のバッフル板３０により聴取点Ｈから
各スピーカ・ユニット１０，２０への距離ｄ_１，ｄ_２は
等しい。

第５図においては、聴取点Ｈから各スピーカ・ユニット
１０，２０までの距離ｄ_１，ｄ_２は等しくないが、この
場合、距離の短い方のスピーカ・ユニット１０（ｄ_１＜
ｄ_２）には遅延回路４０が挿入され、等価的に距離を同
じにしている。

また、第６図においては、特殊形状のバッフル板３０も
遅延回路４０も使用していないため、聴取点Ｈから各ス
ピーカ・ユニット１０，２０までの距離ｄ_１，ｄ_２は等
しくないままである。

したがって、第７図に示すように、第６図のスピーカ・
システムの周波数特性は顕著なピーク・ディップが発生
する。

このように、聴取点Ｈからの距離ｄ_１，ｄ_２が等しくな
いスピーカ・システムにおいては、周波数特性上大きな
ピーク・ディップが発生してしまうし、またバッフル板
３０の形状を工夫したものでも各スピーカ・ユニット１
０，２０を聴取点Ｈの方に向けなければならないし、さ
らに遅延回路４０を挿入した場合にはその挿入ロスが生
じて効率が低下する。特に、遅延回路４０を挿入する場
合には、周波数範囲が限定されて周波数特性が不利にな
るという欠点があった。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上記従来のスピーカ・システムの欠点
を克服し、簡単な能動回路を使用して、聴取点Ｈでの周
波数特性を改善することのできる、改良されたスピーカ
・システムを提供することにある。

〔実施例〕

以下、図によって本考案を具体的に説明する。

第１図は、本考案の一実施例よりなるスピーカ・システ
ムの要部回路図である。

同図において、１と２はそれぞれほぼ等しい再生帯域を
有し互いに近接配置されたスピーカ・ユニットである。

スピーカ・ユニット１には並列共振回路３（コイル
Ｌ_１、コンデンサＣ_１からなる）が直列接続され、また
スピーカ・ユニット２には直列共振回路４（コイル
Ｌ_２、コンデンサＣ_２からなる）が直列接続され、か
つ、これら二つの共振回路３，４が並列接続されてい
る。

なお、並列共振回路３に並列接続された抵抗ｒ_１および
直列共振回路４に並列接続された抵抗ｒ_２は、それぞれ
共振を制動するためのものである。

並列共振回路３の反共振周波数_１と直列共振回路４の
共振周波数_２とが等しくなるように、各共振回路のコ
イルＬ_１，Ｌ_２とコンデンサＣ_１，Ｃ_２の値が選定され
ている。

聴取点Ｈから各スピーカ・ユニット１，２までの距離ｄ
_１，ｄ_２の差をＤとすると、 Ｄ＝λ／２（λ：波長） のとき、_１ ＝_２＝Ｃ／λ＝Ｃ／２Ｄ となる。ここで、Ｃは音速である。

第２図は、各スピーカ・ユニット１，２の周波数特性Ｆ
_１，Ｆ_２を示している。

すなわち、スピーカ・ユニット１には反共振周波数_１
において急激に減衰し、その他の周波数では制動抵抗ｒ
_１によって定まる減衰レベルの電圧が印加される。

また、スピーカ・ユニット２には共振周波数_２におい
て急峻に立ち上って減衰が０となり、それ以外の周波数
では制動抵抗ｒ_２によって定まる減衰（ｄが設計減衰
量）レベルの電圧が印加される。

したがって、距離差Ｄによって生じるディップ周波数で
は、ほとんど片側のスピーカ・ユニット２のみが作動す
ることになり、急峻なディップは発生しなくなる（スピ
ーカ・ユニット１の音は最低となる）。

しかし、このように並列共振のみでは第３図の破線に示
すように、エネルギーが低下する。そこで、スピーカ・
ユニット２に直列共振回路４を挿入して上記エネルギー
の低下分を補正し、エネルギーの周波数特性が平坦にな
るようにしている。

なお、_１（＝_２）以外にも二つのスピーカ・ユニッ
ト１，２の干渉によるディップはより高い周波数で発生
するが、タンク回路の位相遅れによって目立たなくな
る。

上記実施例では２個のスピーカ・ユニットの場合につい
て述べたが、より多くのスピーカ・ユニットを使用する
場合にも、本考案に適用できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案では並列共振回路と直列共
振回路の各共振周波数を同一にして各スピーカ・ユニッ
トに接続するので、聴取点からの距離差による周波数特
性上のディップが改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例よりなるスピーカ・システム
の要部回路図、第２図は電圧レベルの周波数特性図、第
３図はエネルギーの周波数特性図、第４図〜第６図は従
来例よりなるスピーカ・システムの概略構成図および第
７図は第６図のスピーカ・システムの周波数特性図であ
る。 １，２…スピーカ・ユニット、３…並列共振回路、４…
直列共振回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ほぼ等しい再生領域を有する２個のスピー
   カ・システムを互いに近接配置したスピーカ・システム
   において、 所定の周波数を共振周波数とする直列共振回路をいずれ
   か一方のスピーカ・ユニットに直列接続するとともに、
   前記所定の周波数を反共振周波数とする並列共振回路を
   残りの他方のスピーカ・ユニットに直列接続し、かつ、
   これら２個のスピーカ・ユニットの各共振回路を並列接
   続してなることを特徴とするスピーカ・システム。