JPH06173866A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低コストで簡単にスクロール型圧縮機の耐久
性を高める。 【構成】 駆動軸５と一体の円板部分５ａに複数個の駆
動ピン（突起）６ａ及び６ｂを設けると共に、それに対
応しているバランスウエイト８に複数個の長穴７ａ及び
７ｂを、駆動軸５の中心と可動スクロール部材３の中心
とを結ぶ平面に対して所定の角度をなす方向に形成す
る。角度を選ぶことにより、二つの渦巻き形の羽根３ｃ
及び４ｃの間に形成される三日月形の作動空間において
流体が圧縮されたとき、その圧縮反力が複数個の駆動ピ
ン６ａ及び６ｂと、長穴７ａ及び７ｂとの係合部分に作
用し、渦巻き形の羽根の間の作動空間２５をシールする
のに必要な適度の大きさの半径方向の圧接力が自動的に
発生する。本発明によれば、駆動ピン６ａ及び６ｂの偏
心量を自由に大きくとることができるので、駆動ピンと
長穴の荷重を減じ、摩耗を防止して容易に耐久性を高め
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車用の空調
装置において冷媒圧縮機として使用するのに適したスク
ロール型圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】特公昭５９−１９８７５号公報に、本発
明と一部共通する目的を有するスクロール型圧縮機の従
来例が記載されている。このスクロール型圧縮機におい
ては、可動スクロール部材のボスの中心にバランスウエ
イトと一体のブッシュが回転可能に嵌合されており、ブ
ッシュに設けられた偏心穴には、主軸に対して偏心して
設けられた駆動ピンが嵌合されている。そして駆動ピン
の中心がブッシュの中心と主軸の中心とを結ぶ線よりも
主軸の回転方向に進んだ位置にあるように構成すること
によって、主軸が回転するときに、流体圧縮の反作用力
によって二つのスクロール部材の渦巻き形の羽根の間の
線接触部における押し付け力が自動的に得られ、三日月
形の作動空間のシールが確保されるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術におい
ては、駆動ピンを受け入れるブッシュの偏心穴の偏心量
をブッシュの半径よりも大きくすることはできないし、
ブッシュの半径を非常に大きくすることは設計上困難で
あるから、偏心穴と駆動ピンの偏心量がブッシュの大き
さによって制約を受けて小さくなる結果、駆動ピンと偏
心穴の接触面には大きな荷重が作用し、摩耗によってそ
れらの間にガタが生じて高い耐久性が得られないばかり
か、ガタによって騒音を発生し易いという問題がある。

【０００４】そこで、駆動ピンとブッシュの偏心穴との
係合に代えて、ブッシュに直径方向のスリット又はキー
を形成すると共に、それに係合するように主軸の端部に
キー又はスリットを形成するという対策も考えられては
いるが、この場合はスリットとキーとの間に高度の平行
性が要求されるので、それが満たされないときは面荒れ
などが起こりやすく、耐久性に問題がある。また、スリ
ットとキーとが高度の平行性を保つように製作するに
は、一般に多くの加工時間を要するので、それがコスト
アップの原因になるなど、実施上の問題もある。本発明
はこれらの従来技術が有する問題を解消し、スクロール
型圧縮機において、低コストのきわめて簡単な構成によ
って、二つのスクロール部材の渦巻き形の羽根の間に自
動的に必要な大きさの圧接力を発生させることができ、
しかも、高い耐久性が得られるようにすることを、発明
の解決課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するための手段として、端部をハウジング内に臨ま
せている一本の駆動軸と、端板上に軸方向へ突出する渦
巻き形の羽根を有し、前記ハウジング内に固定されてい
る固定スクロール部材と、端板上に軸方向へ突出する渦
巻き形の羽根を有し、それによって前記固定スクロール
部材の渦巻き形の羽根に対して中心をずらして噛み合う
可動スクロール部材と、一側において前記駆動軸の端部
と一体の部分に連結されると共に、他側において前記可
動スクロール部材の中心を回転自在に軸承しており、前
記駆動軸の中心に対して偏心している前記可動スクロー
ル部材に作用する遠心力を減少するような偏心重量を有
するバランスウエイトと、前記可動スクロール部材の自
転を阻止すると共に公転を許容する自転防止機構とを備
えており、前記駆動軸の端部と前記バランスウエイトと
の連結のために、前記駆動軸の端部と一体の部分及び前
記バランスウエイトと一体の部分のいずれか一方におい
て、軸方向に突出するように複数個の突起が設けられて
いると共に、同じく他方において、前記複数個の突起を
摺動自在に受入れるように、前記駆動軸の中心と前記可
動スクロール部材の中心とを結ぶ平面に対して所定の角
度をなす方向に、複数個の長穴が形成されていることを
特徴とするスクロール型圧縮機を提供する。

【０００６】

【作用】駆動軸が回転すると、駆動軸の端部と一体の部
分に設けられた複数個の突起或いは長穴が、それと係合
する長穴或いは突起を備えているバランスウエイトと一
体の部分を回転駆動するので、バランスウエイトによっ
て回転自在に軸承されると共に駆動軸に対して偏心して
いる可動スクロール部材も回転しようとするが、その自
転は自転防止機構によって阻止されるので、可動スクロ
ール部材は公転のみをするようになり、それによって可
動スクロール部材の渦巻き形の羽根と、固定スクロール
部材の渦巻き形の羽根との間には、周辺から中心に向か
って移動して容積が縮小する三日月形の作動空間が形成
され、その作動空間に閉じ込められた流体が圧縮され
る。そのようにして高圧になった流体が、固定スクロー
ル部材の中心部から外部へ取り出される。

【０００７】本発明によれば、駆動軸の端部と一体の部
分と、それに対応しているバランスウエイトと一体の部
分とのいずれか一方に複数個の突起が設けられると共
に、他方において突起を受け入れるために、駆動軸の中
心と可動スクロール部材の中心とを結ぶ平面に対して所
定の角度をなす方向に複数個の長穴が形成されているの
で、その角度を選ぶことにより、駆動軸の回転によって
三日月形の作動空間において流体が圧縮されると、その
圧縮反力が複数個の突起と長穴との係合部分に作用し、
それによって二つの渦巻き形の羽根の間に、三日月形の
作動空間をシールするのに必要な適度の大きさの半径方
向の圧接力が自動的に発生する。

【０００８】本発明のスクロール型圧縮機においては、
駆動軸の端部と一体の部分と、それに対応しているバラ
ンスウエイトと一体の部分に、それぞれ複数個の突起或
いは長穴が設けられるが、バランスウエイトと一体の部
分の外形と、それに対応している駆動軸の端部と一体の
部分の外形とを、いずれも何の支障もなく容易に大きく
することができるので、駆動軸の中心に対する複数個の
突起の偏心量を十分に大きくとることにより、複数個の
突起及びそれに係合する長穴に作用する力を小さくする
ことが可能になり、複数個の突起及び長穴の摩耗を防止
して容易に耐久性を高めることができる。

【０００９】

【実施例】本発明を自動車用空調装置の冷媒圧縮機に適
用した場合の第１実施例を図１及び図２に示す。例えば
アルミニウム合金からなるフロントハウジング１に保持
された軸受１１及び１２に、駆動軸として、焼き入れ鋼
からなるクランクシャフト５が回転自在に支持されてお
り、このクランクシャフト５は図示しない電磁クラッチ
を介して自動車のエンジンによって駆動される。また、
クランクシャフト５と一体の円板部分５ａには、クラン
クシャフト５の中心の回転軸線Ｃｓから所定の距離だけ
半径方向に偏心した位置に、一対の駆動ピン６ａ及び６
ｂが突起として一体的に形成され、或いは取り付けられ
ている。

【００１０】後述のような構成によって円板部分５ａに
対して平行に、且つ、クランクシャフト５の回転軸線Ｃ
ｓに対して、例えば焼き入れ鋼からなる図２に示すよう
な形状のバランスウエイト８が垂直に支持される。図３
（ｂ）に示すように、バランスウエイト８には半径方向
の一対のスリット状の長穴７ａ及び７ｂが穿設されてお
り、長穴７ａ及び７ｂの中心線は重なっていて、クラン
クシャフト５の回転軸線Ｃｓと交わっている。長穴７ａ
及び７ｂには前述の駆動ピン６ａ及び６ｂがそれぞれ摺
動自在に嵌合することによって、バランスウエイト８は
クランクシャフト５に対して半径方向に移動可能となっ
ている。図１に示すように、長穴７ａ及び７ｂに挿入さ
れた駆動ピン６ａ及び６ｂの先端には周溝が形成されて
おり、それにサークリップ１３が嵌められて抜け止めと
なっている。

【００１１】更に、バランスウエイト８には、クランク
シャフト５の回転軸線Ｃｓから必要な距離だけ偏心し得
る位置に環状の短い筒軸８ａが一体に形成されており、
その内部にニードル軸受１０が設けられて、例えばアル
ミニウム合金からなる可動スクロール部材３の、端板部
分３ａの中心から軸方向に突出している短軸３ｂを回転
自在に支持している。可動スクロール部材３自体は、通
常のスクロール型圧縮機における可動スクロール部材と
同様のもので、端板部分３ａの短軸３ｂとは反対側の面
上に、軸方向に一定の幅を有する渦巻き形の羽根３ｃを
備えている。

【００１２】フロントハウジング１とその後部にボルト
１４によって連結される、例えばアルミニウム合金から
なるリアハウジング２との間には、リング状のミドルプ
レート９が挟着、固定されている。可動スクロール部材
３の端板部分３ａの周囲に形成された段部には硬質の金
属からなるリング１６及び１７が嵌合しており、それに
対応するミドルプレート９の一側の内周に形成された段
部にも硬質の金属からなるリング１８及び１９が嵌合し
ている。そして、リング１６及び１８には対応する複数
の位置にそれぞれ円形の穴が形成されており、対応する
円形の穴の周縁の各一部分に同時に係合する硬質金属か
らなる球体１５が、リング１７及び１９の表面の間に挟
持されることによって、それらの部材は、可動スクロー
ル部材３のためのスラスト支持機構を兼ねた自転防止機
構を構成している。なお、自転防止機構は、図示実施例
のような球体１５と円形穴を有するリング１６及び１８
からなるものに限らず、ピンと円形穴による機構や、交
差する溝とそれに摺動嵌合するオルダム継手形の機構
や、半径方向のピンとそれによって摺動案内される半径
方向の穴を有する部材からなる機構等、作用効果におい
て均等の自転防止機構によって置き換えることができ
る。

【００１３】リアハウジング２内には、可動スクロール
部材３と反対向きに同様な材質及び構造からなる固定ス
クロール部材４がボルト２１によって固定されており、
リアハウジング２内の空間を二つの部分に区画するその
端板部分４ａは、その中心部に吐出穴４ｂが穿孔されて
いる。固定スクロール部材４の渦巻き形の羽根４ｃが可
動スクロール部材３の渦巻き形の羽根３ｃに対して中心
をずらして噛み合うことにより、可動スクロール部材３
と固定スクロール部材４の間には、それぞれの渦巻き形
の羽根の半径方向及び軸方向の接触箇所においてシール
された、１個以上の三日月形の作動空間２５が形成され
る。

【００１４】なお、２６はリード状の吐出弁であって、
リアハウジング２内の空間の一部が固定スクロール部材
４の端板部分４ａによって区画されて形成される吐出室
２ａの側において、固定スクロール部材４の端板部分４
ａに弁止板２７と共にボルト２０によって取り付けられ
て、端板部分４ａの吐出穴４ｂを常時弾力的に閉塞して
いる。また、図示実施例ではリアハウジング２の一部に
吸入ポート２３が開口しており、図示しない冷凍サイク
ルの蒸発器に接続されて、低温低圧の冷媒ガスをフロン
トハウジング１及びリアハウジング２内の空間の一部と
して形成された吸入室１ａへ受入れる。このように吸入
室１ａは、吐出室２ａに対して固定スクロール部材４の
端板部分４ａによって区画されると共に、クランクシャ
フト５とフロントハウジング１との間はシャフトシール
２２によって軸封されており、冷媒ガス及び潤滑油を外
部へ漏洩させることがなく、吸入ポート２３以外に外部
への開口を持たない密閉された室となっている。そし
て、噛み合う二つの渦巻き形の羽根３ｃ及び４ｃの間に
形成される三日月形の作動空間２５が、周辺部において
吸入室１ａへ開口したときに、冷媒ガスを作動空間２５
内に吸入させる。２４は吐出ポートであって、吐出室２
ａの開口として、三日月形の作動空間２５において圧縮
された高温、高圧の冷媒ガスを、それに接続された図示
しない冷凍サイクルの凝縮器へ送り出す。

【００１５】図示実施例のスクロール型圧縮機の基本的
な作動は、従来から知られているスクロール型圧縮機の
それと同様であって、クランクシャフト５が図示しない
電磁クラッチを介して自動車のエンジンによって回転駆
動されると、クランクシャフト５の回転軸線Ｃｓに対し
て偏心している可動スクロール部材３は、その短軸３ｂ
に係合しているバランスウエイト８のボス部８ａによっ
て駆動されるが、その端板部分３ａにおいて、円形穴を
有するリング１６及び１８と球体１５からなる自転防止
機構によって自転を拘束されているので、クランクシャ
フト５の回転軸線Ｃｓを中心とする平行運動である公転
だけをすることになる。このとき、偏心している可動ス
クロール部材３の公転による遠心力は、バランスウエイ
ト８の一部に図２のように形成されている偏心重量によ
って相殺される。なお、偏心重量として、可動スクロー
ル部材３に作用する遠心力よりも少し大きな遠心力が作
用するようなものを使用して、高回転時に固定スクロー
ル部材４との間に作用する荷重を減少させることによ
り、耐久性の向上を図ることもできる。

【００１６】可動スクロール部材３が回転軸線Ｃｓの周
りに公転する際に、その渦巻き形の羽根３ｃは固定スク
ロール部材４の渦巻き形の羽根４ｃに対して後述のよう
にして発生する半径方向の力によって押し付けられるた
め、二つの渦巻き形の羽根３ｃ及び４ｃの間に形成さ
れ、移動することによって容積を変化させる三日月形の
作動空間２５は密閉空間となり、クランクシャフト５の
回転方向を選ぶことによって、三日月形の作動空間２５
は、二つの渦巻き形の羽根３ｃ及び４ｃの周辺部におい
て吸入室１ａ内に開いたときに低圧の冷媒ガスを吸入
し、可動スクロール部材３の自転によって閉じて、次第
に中心に向かって移動しながら冷媒ガスを圧縮する。中
心において高圧となった冷媒ガスは、吐出穴４ｂの吐出
弁２６を押し開いて吐出室２ａへ押し出され、前述のよ
うに吐出ポート２４から冷凍サイクルの凝縮器へ送られ
る。

【００１７】次に図示実施例のスクロール型圧縮機にお
いて、本発明独特の構成に対応する部分についての作動
を図３〜図５を用いて説明する。前述のようにクランク
シャフト５の回転に伴って可動スクロール部材３が公転
して冷媒が圧縮されると、可動スクロール部材３の中心
Ｃｒには圧縮反力Ｆｐが作用する。クランクシャフト５
の中心（回転軸線Ｃｓ）と可動スクロール部材３の中心
Ｃｒとを結ぶ直線或いは平面の方向と、長穴７ａ及び７
ｂの長手方向の中心線とのなす角度をθとすれば、設計
上の公転半径Ｒ０において、可動スクロール部材３の渦
巻き形の羽根３ｃと、固定スクロール部材４の渦巻き形
の羽根４ｃとの間に、図４（ａ）に示すように隙間が生
じる場合には、可動スクロール部材３は、冷媒ガスを圧
縮することにより発生する圧縮反力Ｆｐのθ方向の成
分、 Ｆｐ＊ｓｉｎθ という半径方向の力によって、図３や図５の（ａ）に示
すように、渦巻き形の羽根３ｃが渦巻き形の羽根４ｃに
当接するまで押し上げられる。

【００１８】図５に示す状態において、可動スクロール
部材３がクランクシャフト５の駆動ピン６ａ及び６ｂか
らバランスウエイト８を介して受ける力は、長穴７ａ及
び７ｂの長手方向の中心線に対して垂直の方向に作用
し、その大きさは、 Ｆｐ／ｃｏｓθ となり、その力の、クランクシャフト５の回転軸線Ｃｓ
と可動スクロール部材３の中心Ｃｒとを結ぶ方向の成分
である Ｆｐ＊ｔａｎθ という力が、可動スクロール部材３が固定スクロール部
材４から受ける力Ｆｗと釣り合うことになる。

【００１９】従って、角度θの大きさを適当に選択すれ
ば、二つのスクロール部材３及び４の加工のばらつき等
によって、それらの渦巻き形の羽根３ｃと４ｃとの間に
図４（ａ）に示すような隙間が生じる場合でも、可動ス
クロール部材３は公転半径を自動的に変化させて、渦巻
き形の羽根３ｃを固定スクロール部材４の渦巻き形の羽
根４ｃに対して、そのときの圧力条件に応じた適当な大
きさの力で押しつけるので、二つのスクロール部材の間
に形成される個々の三日月形の作動空間２５を仕切る、
各シール線における必要な強さの接触力が常に確保さ
れ、三日月形の作動空間２５から冷媒が漏洩するのを防
止し、圧縮機としての効率を従来以上に向上させること
ができる。

【００２０】また、駆動ピン６ａ及び６ｂに作用する力
をＦａ及びＦｂとし、クランクシャフト５の回転軸線Ｃ
ｓから駆動ピン６ａ及び６ｂまでの距離をＬａ及びＬｂ
とすれば、可動スクロール部材３に作用する力及びモー
メントの釣り合いにより、 Ｆａ＋Ｆｂ＝Ｆｐ／ｃｏｓθ Ｆａ＊Ｌａ−Ｆｂ＊Ｌｂ＝Ｆｐ＊Ｒ１ となり、力Ｆａ及びＦｂは、 Ｆａ＝Ｆｐ（Ｌｂ／ｃｏｓθ＋Ｒ１）／（Ｌａ＋Ｌｂ） Ｆｂ＝Ｆｐ（Ｌａ／ｃｏｓθ＋Ｒ１）／（Ｌａ＋Ｌｂ） として表され、力Ｆａ及びＦｂの大きさは、ＬａとＬｂ
の和、即ち駆動ピン６ａと駆動ピン６ｂとの間の距離に
反比例することになる。この実施例では、長穴７ａ及び
７ｂをバランスウエイト８に形成しているために、駆動
ピン６ａ及び６ｂ間の距離を十分大きく設定することが
可能になるので、駆動ピン６ａ及び６ｂに作用する荷重
を小さくすることができ、それによって駆動ピン６ａ及
び６ｂや長穴７ａ及び７ｂの耐久性を高めることができ
る。

【００２１】更に、圧縮機の運転を停止したときなど
に、バランスウエイト８及び可動スクロール部材３が慣
性力によって長穴７ａ及び７ｂの長手方向に沿って逆に
滑り降りることになるが、その移動量は長穴７ａ及び７
ｂの長手方向の長さによって制限することができるた
め、特別の係止機構等を設けなくても、可動スクロール
部材３の渦巻き形の羽根３ｃと、固定スクロール部材４
の渦巻き形の羽根４ｃとの衝突を防止することが可能に
なる。

【００２２】次に、本発明の第２の実施例を図６に示
す。この実施例では、長穴７ａの長手方向と長穴７ｂの
長手方向とが同一直線上になく、それらの方向が若干の
間隔をおいて平行になっている。この場合でも、第１実
施例と実質的に同様な作用によって、略同様な効果が得
られる。

【００２３】本発明の第３の実施例を図７に示す。この
実施例における駆動ピン６ａ及び６ｂはいずれも角柱形
のものが使用されており、個々の駆動ピン６ａ及び６ｂ
と、それらが摺動嵌合する長穴７ａ及び７ｂとの各組の
一方のみによっても、駆動ピン６ａ及び６ｂ、即ちクラ
ンクシャフト５と、長穴７ａ及び７ｂ、即ちバランスウ
エイト８との相対的回転が阻止される。従って、極端な
場合には駆動ピン６ａ又は駆動ピン６ｂのいずれか一方
だけでも動力伝達が可能になる。しかしながらその場合
には、駆動ピン６ａ又は６ｂと長穴７ａ又は７ｂとの間
に好ましくない摩擦力が発生する。

【００２４】本発明の第４の実施例としての圧縮機を図
８に示す。特に説明しない部分は図１などに示された前
述の第１実施例と同様である。この実施例では、バラン
スウエイト８の側に、突起としての駆動ピン６ａ及び６
ｂが形成されており、それに対してクランクシャフト５
の円板部分５ａの側に長穴７ａ及び７ｂが穿設されてい
る。つまり、駆動ピン６ａ及び６ｂと長穴７ａ及び７ｂ
との関係が以上の実施例とは反対になっているが、作用
及び効果は実質的に同じである。

【００２５】本発明の第５の実施例を図９に示す。説明
しない部分は、やはり図１などに示した第１実施例と同
じである。この実施例では、バランスウエイト８の側
の、クランクシャフト５の中心から必要な距離だけ偏心
し得る位置に短軸３０が形成されており、ニードル軸受
１０を介してそれを受け入れる短い筒軸３１が可動スク
ロール部材３の側に設けられている。つまり短軸３０と
筒軸３１との関係が以上の実施例とは反対になっている
が、作用及び効果は実質的に同じである。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、きわめて簡単な構成に
よって、スクロール型圧縮機における二つのスクロール
部材の渦巻き形の羽根の間に、自動的に必要な大きさの
圧接力を発生させることができるので、スクロール部材
の製作精度が多少低くても、渦巻き形の羽根の間のシー
ル線に生じる隙間が消滅し、シール性が高くなって効率
の高い圧縮機が得られる。しかも、駆動軸とバランスウ
エイトとの係合部分の耐久性が高くなり、それによって
コストが上昇することもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の基本的な実施例の構成を示す縦断正面
図である。

【図２】図１の要部の構成を示す分解斜視図である。

【図３】実施例の要部の作動状態を説明するもので、
（ａ）は図１に示す羽根の部分の横断側面図、（ｂ）は
図２に示す部分の側面図である。

【図４】実施例の要部の作動状態を説明するもので、
（ａ）は図１に示す羽根の部分の横断側面図、（ｂ）は
図２に示す部分の側面図である。

【図５】実施例の要部の作動状態を説明するもので、
（ａ）は図１に示す羽根の部分の横断側面図、（ｂ）は
図２に示す部分の側面図である。

【図６】本発明の第２実施例の要部を示す側面図であ
る。

【図７】本発明の第３実施例の要部を示す側面図であ
る。

【図８】本発明の第４実施例の構成を示す縦断正面図で
ある。

【図９】本発明の第５実施例の構成を示す縦断正面図で
ある。

【符号の説明】

３…可動スクロール部材 ３ａ…端板部分 ３ｂ…短軸 ３ｃ…渦巻き形の羽根 ４…固定スクロール部材 ４ａ…端板部分 ４ｂ…吐出穴 ４ｃ…渦巻き形の羽根 ５…クランクシャフト ５ａ…円板部分 ６ａ，６ｂ…駆動ピン ７ａ，７ｂ…長穴 ８…バランスウエイト ８ａ…短い筒軸 ９…ミドルプレート １０…ニードル軸受 １５…球体 ２３…吸入ポート ２４…吐出ポート ２５…三日月形の作動空間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 端部をハウジング内に臨ませている一本
   の駆動軸と、端板上に軸方向へ突出する渦巻き形の羽根
   を有し、前記ハウジング内に固定されている固定スクロ
   ール部材と、端板上に軸方向へ突出する渦巻き形の羽根
   を有し、それによって前記固定スクロール部材の渦巻き
   形の羽根に対して中心をずらして噛み合う可動スクロー
   ル部材と、一側において前記駆動軸の端部と一体の部分
   に連結されると共に、他側において前記可動スクロール
   部材の中心を回転自在に軸承しており、前記駆動軸の中
   心に対して偏心している前記可動スクロール部材に作用
   する遠心力を減少するような偏心重量を有するバランス
   ウエイトと、前記可動スクロール部材の自転を阻止する
   と共に公転を許容する自転防止機構とを備えており、前
   記駆動軸の端部と前記バランスウエイトとの連結のため
   に、前記駆動軸の端部と一体の部分及び前記バランスウ
   エイトと一体の部分のいずれか一方において、軸方向に
   突出するように複数個の突起が設けられていると共に、
   同じく他方において、前記複数個の突起を摺動自在に受
   入れるように、前記駆動軸の中心と前記可動スクロール
   部材の中心とを結ぶ平面に対して所定の角度をなす方向
   に、複数個の長穴が形成されていることを特徴とするス
   クロール型圧縮機。