JPH06172699A - 金属被覆用水性樹脂組成物およびその製法 - Google Patents

金属被覆用水性樹脂組成物およびその製法

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JPH06172699A
JPH06172699A JP32680392A JP32680392A JPH06172699A JP H06172699 A JPH06172699 A JP H06172699A JP 32680392 A JP32680392 A JP 32680392A JP 32680392 A JP32680392 A JP 32680392A JP H06172699 A JPH06172699 A JP H06172699A
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JP
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resin
epoxy resin
resin composition
polyphenol
aqueous
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JP32680392A
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Hiroshi Hasegawa
洋 長谷川
Takeshi Noro
健 野呂
Hiroshi Hara
広志 原
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Sakuranomiya Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sakuranomiya Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属缶、金属容器などにすぐれた耐食性を付
与しうる金属被覆用水性樹脂組成物およびその製法を提
供すること。 【構成】 ポリフェノールにアルデヒド、アミノ酸およ
びアルカノールアミンを反応させてえられたポリフェノ
ール誘導体とエポキシ樹脂とからなるアニオン型水分散
性エポキシ樹脂を主成分とする金属被覆用水性樹脂組成
物、ならびにその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属被覆用水性樹脂組
成物およびその製法に関する。さらに詳しくは、たとえ
ば金属缶、金属容器などにすぐれた耐食性を付与しうる
金属被覆用水性樹脂組成物およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、防食用塗料などには、エポキシ系
樹脂を有機溶剤に溶解させたものが主として用いられて
いたが、近年、有機溶剤による環境汚染問題がクローズ
アップされ、水系の防食用塗料の開発が望まれている。
【0003】その一環として、たとえば、カルボキシル
基を有するアクリル樹脂をエポキシ樹脂の分子中に導入
した自己乳化型のエポキシ樹脂を主成分とした塗料が提
案されている(特開昭53−1228号公報、特公昭5
9−37287号公報)。
【0004】しかしながら、かかる塗料は、エポキシ樹
脂からなる溶剤型防食塗料と比べて防食性が劣るという
欠点がある。
【0005】防食性を低下させない化合物を用いてアニ
オン性自己乳化型エポキシ樹脂を製造する方法として
は、たとえば末端にビスフェノールを有するエポキシ樹
脂にマンニッヒ反応を行なって塗料を製造する方法が知
られているが(特公昭57−100124号公報)、か
かる方法によってえられた塗料は、該アニオン性自己乳
化型樹脂1分子中に導入されうるアルカノールアミン量
に限度があるため、高度な加工性などが要求されない低
分子量のものであれば使用しうるが、缶用塗料などのよ
うに加工性や食品衛生上、平均分子量が3000以上の
ものであるばあい、該樹脂の水分散性がきわめてわる
く、金属用塗料には適さないという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、前記従来技術に鑑みて、水分散性および耐食性にす
ぐれ、好適な耐熱性、耐衝撃性および金属に対する密着
性を呈する金属被覆用水性樹脂組成物をうるべく鋭意研
究を重ねた結果、かかる物性をいずれも満足する水性樹
脂組成物をようやく見出し、本発明を完成するにいたっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
ポリフェノールにアルデヒド、アミノ酸およびアルカノ
ールアミンを反応させてえられたポリフェノール誘導体
とエポキシ樹脂とからなるアニオン型水分散性エポキシ
樹脂を主成分とする金属被覆用水性樹脂組成物、ポリ
フェノールにアルデヒド、アミノ酸およびアルカノール
アミンを反応させてポリフェノール誘導体をえたのち、
該ポリフェノール誘導体とエポキシ樹脂とを縮合反応さ
せ、えられたアニオン型水分散性エポキシ樹脂を配合す
ることを特徴とする金属被覆用水性樹脂組成物の製法、
ならびに有機溶媒にエポキシ樹脂を溶解させたのち、
ポリフェノール、アルデヒド、アミノ酸およびアルカノ
ールアミンを添加し、反応させてえられたアニオン型水
分散性エポキシ樹脂を配合することを特徴とする金属被
覆用水性樹脂組成物の製法に関する。
【0008】
【作用および実施例】本発明の金属被覆用水性樹脂組成
物は、前記したように、ポリフェノールにアルデヒド、
アミノ酸およびアルカノールアミンを反応させてえられ
たポリフェノール誘導体とエポキシ樹脂とからなるアニ
オン型水分散性エポキシ樹脂を主成分とするものであ
り、かかるポリフェノール誘導体そのものが良好な金属
に対する密着性および耐食性を有することから、えられ
る水性樹脂組成物は、金属に対する密着性および耐食性
にすぐれたものである。
【0009】本発明に用いられるポリフェノール誘導体
は、ポリフェノールにアルデヒド、アミノ酸およびアル
カノールアミンを反応させることによってえられる。
【0010】前記ポリフェノールは、主としてフェノー
ルホルムアルデヒド縮合樹脂およびポリビニルフェノー
ルがあげられる。
【0011】前記フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
としては、レゾール型フェノールホルムアルデヒド縮合
樹脂およびノボラック型フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂があげられるが、本発明においては、いずれのも
のを用いてもよい。
【0012】前記フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
は、フェノール類とホルムアルデヒドとを触媒の存在下
で縮合反応させることによってえられる。
【0013】前記フェノール類の具体例としては、たと
えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−
シクロヘキシルフェノール、p−ノニルフェノール、p
−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、キシ
レノール、4,4´−メチレンジフェノール、4,4´
−sec−ブチリデンジフェノール、4,4´−イソプ
ロピリデンジフェノールなどがあげられ、これらは単独
でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0014】前記触媒としては、塩基性触媒または酸触
媒が用いられ、塩基性触媒を用いたばあいには、レゾー
ル型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂が、また酸触
媒を用いたばあいには、ノボラック型フェノールホルム
アルデヒド縮合樹脂がえられる。
【0015】前記塩基性触媒としては、たとえば水酸化
カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化
物、アミン類、アンモニアなどが代表例としてあげられ
る。また、前記酸触媒としては、たとえば塩酸、シュウ
酸、スルホン酸類、リン酸などが代表例としてあげられ
る。
【0016】なお、えられるポリフェノール誘導体に水
溶性を付与せしめるために、レゾール型フェノールホル
ムアルデヒド縮合樹脂をうるばあいには、前記フェノー
ル類とホルムアルデヒドとのモル比(フェノール類/ホ
ルムアルデヒド)は、たとえばフェノールおよびm−置
換フェノールでは、1/1〜1/3、o−置換フェノー
ルまたはp−置換フェノールでは、1/1〜1/2、ビ
スフェノールでは、1/1〜1/4とすることが好まし
い。また、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂をうるばあいには、前記フェノール類とホルムア
ルデヒドとのモル比(フェノール類/ホルムアルデヒ
ド)は、1/0.5〜1/1、なかんづく1/0.7〜
1/0.9とすることが好ましい。
【0017】前記フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
の数平均分子量は、とくに限定がないが、水分散性、合
成の容易さなどを考慮すれば、200〜6000、なか
んづく200〜2000であることが好ましい。
【0018】前記ポリビニルフェノールとしては、たと
えばp−ビニルフェノールを重合してえられたポリp−
ビニルフェノール、p−ビニルフェノールとアクリル酸
エステルとの共重合体、イソプロペニルフェノールなど
の重合性不飽和二重結合を有する不飽和フェノール類の
重合体などがあげられる。
【0019】前記ポリビニルフェノールの代表例として
は、たとえば式(I):
【0020】
【化1】
【0021】で表わされる繰返し単位を有するものなど
があげられ、その代表的なものとしては、ポリp−ビニ
ルフェノールがあげられる。前記ポリp−ビニルフェノ
ールとしては、たとえば丸善石油化学(株)製、マルカ
リンカー(商品名)などが市販されている。
【0022】前記ポリビニルフェノールの数平均分子量
は、とくに限定がないが、合成反応時の粘度などを考慮
すれば、200〜8000、なかんづく200〜600
0であることが好ましい。
【0023】前記アルデヒドとしては、たとえばホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、ピロピオンアルデヒド
などがあげられるが、これらのなかではホルムアルデヒ
ド、とくにパラホルムアルデヒドが好ましい。
【0024】前記アミノ酸としては、たとえばサルコシ
ン、イミノニ酢酸、アントラニル酸、グリシン、グルタ
ミン酸、アスパラギン酸、p−アミノ安息香酸などがあ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用い
られるが、これらのなかでは、本発明の水性樹脂組成物
をたとえば食用の金属缶、金属容器などの内面の被覆に
用いるばあいには、食品衛生上、グリシン、グルタミン
酸およびアスパラギン酸が好ましい。
【0025】前記アルカノールアミンとしては、たとえ
ばN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミ
ン、N−メチルエタノールアミン、アミノエチル、エタ
ノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミ
ンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混
合して用いられるが、これらのなかでは、食品衛生上、
N,N−ジメチルエタノールアミンなどが好ましい。
【0026】前記アミノ酸の配合量は、ポリフェノール
の水酸基1モルあたり0.3〜2モル、なかんづく0.
5〜1.5モルであることが好ましい。かかるアミノ酸
の配合量が前記範囲よりも少ないばあいには、えられる
アニオン型水分散性エポキシ樹脂の水分散性がわるくな
り、また前記範囲をこえるばあいには、未反応のアミノ
酸が残留する傾向がある。
【0027】また、前記アルデヒドの配合量は、アミノ
酸をポリフェノールに導入するためには、基本的には化
学量論量、すなわち、アルデヒドとアミノ酸とが等モル
となるように調整すればよいが、該アルデヒドに基づく
たとえばメチロール(−CH2 −OH)基などのヒドロ
キシアルキル基がポリフェノールに同時に導入されるた
め、通常アミノ酸1モルに対して1モル以上、なかんづ
く1.1〜2モルとすることが好ましい。
【0028】なお、ポリフェノールにアルデヒドに基づ
くヒドロキシアルキル基を導入したばあいには、該ヒド
ロキシアルキル基は親水性基であるので水分散性を向上
させるとともに、エポキシ樹脂との予備縮合時にエポキ
シ樹脂中の水酸基と反応してえられるアニオン型水分散
性エポキシ樹脂の水分散性を向上させ、さらに該アニオ
ン型水分散性エポキシ樹脂は、加熱時に該ヒドロキシア
ルキル基とエポキシ樹脂とのあいだで架橋反応が進行す
るため、あえて熱硬化樹脂を配合しなくても、えられる
水性樹脂組成物を用いて熱硬化型塗膜を形成することが
できる。
【0029】このように、えられるアニオン型水分散性
エポキシ樹脂に自己硬化性を付与せしめるためには、ポ
リフェノール中のフェノール核100モルに対してアル
デヒドに基づくヒドロキシアルキル基が10〜100モ
ル、なかんづく20〜60モルの割合でポリフェノール
に導入されるように、該ホルムアルデヒドの配合量を調
整することが好ましい。
【0030】前記アルカノールアミンの配合量は、アミ
ノ酸のカルボキシル基1モルあたり0.5〜1モル、な
かんづく0.8〜1モルであることが好ましい。かかる
アルカノールアミンの配合量が前記範囲よりも少ないば
あいには、良好な水分散性がえられがたくなり、また前
記範囲よりも多いばあいには、過乗のアミンが塗膜に残
留したり、反応時にエポキシの開環反応を誘発し、反応
系がゲル化するおそれが生じる傾向がある。
【0031】本発明に用いられるアニオン型水分散性エ
ポキシ樹脂を調製する方法としては、たとえばポリフェ
ノール、アルデヒド、アミノ酸およびアルカノールアミ
ンからポリフェノール誘導体を調製し、該ポリフェノー
ル誘導体とエポキシ樹脂とを縮合反応させる方法(以
下、製法Iという)、有機溶媒にエポキシ樹脂を溶解さ
せたのち、これにポリフェノール、アルデヒド、アミノ
酸およびアルカノールアミンを添加して反応させる方法
(以下、製法IIという)などがあげられる。
【0032】前記エポキシ樹脂としては、たとえば4,
4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(ビ
スフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン(ビスフェノールS)、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニルメタン(ビスフェノールF)などのビスフェ
ノール型エポキシ樹脂などがあげられ、これらのエポキ
シ樹脂は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0033】前記エポキシ樹脂の数平均分子量は、水分
散性、入手の容易さなどを考慮すれば、350〜200
00、なかんづく2000〜15000であることが好
ましく、さらに本発明の水性樹脂組成物を塗装後に種々
の成形加工を受ける缶用の内面塗料に用いるばあいに
は、3000〜15000であることが好ましい。
【0034】まず、前記製法Iについて説明する。
【0035】前記製法Iにおいては、まずポリフェノー
ル、アルデヒド、アミノ酸およびアルカノールアミンか
らポリフェノール誘導体を調製する。その製法の一例を
以下に示す。
【0036】ポリフェノールを溶媒に溶解させたのち、
これにアルデヒドおよびアミノ酸を添加する。
【0037】前記溶媒としては、たとえば炭化水素系溶
媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶
媒などの有機溶媒などがあげられるが、ケトン系溶媒
は、ポリフェノール誘導体を調製する際に、それ自身が
アルデヒドと反応し、ケトン−マンニッヒ化合物を生成
するので、好ましくないものである。なお、これらの溶
媒のなかでは、後述する水を添加した際の水分散性を考
慮すれば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなどの1価の低級アルコール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノヘキシ
ルエーテルなどのセロソルブ系溶媒が好ましい。
【0038】前記溶媒の使用量は、とくに限定がない
が、反応操作を容易に行なうためには、ポリフェノール
100重量部に対して溶媒50〜150重量部程度とす
ることが好ましい。
【0039】前記アルデヒドおよびアミノ酸の添加後、
水を有機溶剤と同量程度添加し、液温を80〜100℃
程度に加熱する。
【0040】つぎに、水の添加後にアルカノールアミン
を添加することにより、ポリフェノール、アルデヒド、
アミノ酸およびアルカノールアミンのあいだでマンニッ
ヒ反応が進行する。
【0041】なお、マンニッヒ反応時には発熱をともな
った急速な温度上昇がおこる。そのため、加熱、冷却を
繰り返し、反応温度を80〜100℃に保つことが好ま
しい。反応時の雰囲気にはとくに限定がなく、通常空気
中で常圧下で容易に行なうことができる。
【0042】つぎに、かくしてえられたポリフェノール
誘導体と、エポキシ樹脂とを反応させる。
【0043】反応に際しては、ポリフェノール誘導体の
反応液にエポキシ樹脂を溶媒に溶解させた溶液を添加す
ればよい。
【0044】このばあい、ポリフェノール誘導体とエポ
キシ樹脂との配合割合は、エポキシ樹脂100重量部に
対してポリフェノール誘導体の固形分が3〜50重量
部、なかんづく5〜20重量部となるように調整するこ
とが好ましい。エポキシ樹脂に対するポリフェノール誘
導体の割合が前記範囲よりも大きいばあいには、反応時
にゲル化をおこしやすく、また前記範囲よりも小さいば
あいには、充分な水分散性がえられがたくなる傾向があ
る。
【0045】前記溶媒としては、ポリフェノール誘導体
を調製する際に用いられたのと同じ有機溶媒が例示され
る。
【0046】なお、エポキシ樹脂溶液の添加時には、反
応系を80〜120℃程度に加熱し、水を共沸により除
去することが好ましい。反応に要する時間は、仕込量な
どによって異なるが、通常30分〜1時間であり、反応
終了後には、反応系を100℃以下に冷却したのち、容
易に水分散体をうるために沸騰水を全反応系100重量
部に対して100〜200重量部程度添加することが好
ましい。
【0047】かくして本発明の水性樹脂組成物に用いら
れるアニオン型水分散性エポキシ樹脂がえられる。
【0048】つぎに前記製法IIについて説明する。
【0049】前記製法IIは、エポキシ樹脂を溶媒に溶
解させた溶液と、ポリフェノール、アルデヒド、アミノ
酸およびアルカノールアミンを溶媒に溶解させた溶液と
を混合して反応させる方法であり、前記製法Iによって
えられるアニオン型水分散性エポキシ樹脂と実質的に同
一のものがえられる。
【0050】反応に際しては、エポキシ樹脂をあらかじ
め溶媒に溶解させる。かかる溶媒としては、ポリフェノ
ール誘導体を調製する際に用いられるものと同様のもの
が例示される。溶媒の使用量は、水分散体中の有機溶剤
の割合をできるだけ少なくするため、通常エポキシ樹脂
100重量部に対して10〜70重量部となるように調
整することが好ましい。なお、エポキシ樹脂を充分に溶
解させるために、エポキシ樹脂溶液を80〜120℃程
度に加熱することが好ましい。
【0051】つぎに、エポキシ樹脂溶液に80〜120
℃程度の温度でポリフェノール、アルデヒドおよびアミ
ノ酸を順に添加し、均一な組成となるように充分に撹拌
したのち、アルカノールアミンを添加する。アルカノー
ルアミンを添加した直後から、ポリフェノール、アルデ
ヒド、アミノ酸およびアルカノールアミンのマンニッヒ
反応が開始する。反応系内は、とくに限定がなく、通常
空気中で常圧であってもよい。反応終了後、反応溶液に
水を容易に添加しやすくするため、いったん100℃以
下に冷却し、該反応溶液を撹拌しながら90℃以上の水
を反応溶液100重量部に対して100〜200重量部
程度添加することが好ましい。
【0052】かくしてえられる樹脂には、アミノ酸に基
づくカルボキシル基が存在しているため、前記したよう
に塩基により中和され、アニオン型水分散性エポキシ樹
脂がえられる。
【0053】かくしてえられる本発明の金属被覆用水性
樹脂組成物は、アニオン型水分散性エポキシ樹脂が均一
に分散したものであり、金属に対してすぐれた耐食性を
付与し、しかも好適な耐熱性、耐衝撃性および金属に対
する密着性を呈するものである。
【0054】また、前記アニオン型水分散性エポキシ樹
脂にメチロール基などのヒドロキシアルキル基が含まれ
ているばあいには、該アニオン型水分散性エポキシ樹脂
は、自己架橋性を有し、たとえば焼付などを行なったと
きに硬化塗膜を形成するという利点がある。
【0055】なお、本発明においては、さらに強靭な硬
化塗膜を形成することができるようにするために、熱硬
化性樹脂を配合することができる。
【0056】前記熱硬化性樹脂の具体例としては、たと
えばフェノールホルムアルデヒド樹脂などのフェノール
樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂などのメラミン樹
脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などの尿素樹脂、アミノ
プラスト樹脂、ブロックイソシアネート樹脂などがあげ
られるが、本発明はかかる例示のみに限定されるもので
はない。
【0057】なお、前記熱硬化性樹脂の配合量は、あま
りにも多すぎるばあいには、熱硬化性樹脂そのものが水
分散性が劣るばあい、分離などの原因となるため、水分
散性エポキシ樹脂の固形分100重量部に対して100
重量部以下とすることが好ましい。
【0058】また、本発明の水性樹脂組成物には、必要
により、たとえば表面状態調整剤、スリップ剤、染料、
顔料などの着色剤などを配合してもよい。
【0059】なお、本発明の水性樹脂組成物を焼付用塗
料として用いるばあいには、たとえばリン酸、スルホン
酸、これらのアミン中和物などを硬化触媒を適宜配合し
てもよい。
【0060】本発明の水性樹脂組成物を金属用焼付塗料
として用いるばあいには、該水性樹脂組成物を金属に塗
布し、たとえば100〜300℃、15秒間〜30秒間
の条件で焼付を行なうことができる。また、本発明の水
性樹脂組成物を、たとえば金属製缶用塗料として用いる
ばあいには、たとえば200〜290℃で5〜30分間
程度加熱すればよい。
【0061】前記金属としては、たとえば、鉄、アルミ
ニウム、銅、錫、またはこれらに表面処理を施した金属
板などがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限定
されるものではない。
【0062】本発明の水性樹脂組成物の塗装法について
は、とくに限定がなく、たとえばロールコーティング
法、スプレーコーティング法、ハケ塗り法、ヘラ塗り
法、浸漬塗装法、電着塗装法などがあげられる。
【0063】本発明の水性樹脂組成物を用いて塗膜を形
成するばあいの該組成物塗布量は、その用途などによっ
て異なるので一概には決定することができないが、通
常、該組成物の乾燥後の重量が3〜10g/m2 、好ま
しくは4〜7g/m2 となるように調整することが望ま
しい。
【0064】かくして本発明の水性樹脂組成物を金属表
面上に塗布してえられた塗膜は、すぐれた耐食性、耐熱
性、耐衝撃性、金属に対する密着性などを有するもので
ある。
【0065】つぎに本発明の金属被覆用水性樹脂組成物
およびその製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0066】製造例1(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 1000ml容の4つ口フラスコ内に、フェノール94
g(1モル)を添加し、これに37%ホルムアルデヒド
水溶液161g(1.5モル)を添加し、ついで触媒と
して25%水酸化ナトリウム水溶液32g(0.2モ
ル)を加えて50℃で1時間反応させた。こののち、反
応溶液を70℃まで昇温し、さらに2時間反応させた。
【0067】反応終了後、15%塩酸水溶液48gを添
加して反応生成物を中和し、ブタノール250gおよび
キシレン50gで溶解させて水洗しやすくしたのち、水
洗を3回行なった。こののち共沸脱水を行ない、120
℃まで昇温して樹脂固形分濃度が50重量%のレゾール
型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂溶液をえた。え
られたレゾール型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
の平均分子量をゲルパーミエイションクロマトグラフィ
(以下、GPCという)により測定したところ、数平均
分子量は470、重量平均分子量は1090であった。
【0068】製造例2(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 製造例1において、フェノール94g(1モル)をビス
フェノールA225g(1モル)に、37%ホルムアル
デヒド水溶液161g(1.5モル)を215g(2モ
ル)に、ブタノール250gを400gに、またキシレ
ン50gを70gにそれぞれ変更したほかは、製造例1
と同様にして樹脂固形分濃度が50重量%のレゾール型
フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂溶液をえた。えら
れたレゾール型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂の
平均分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子
量は630、重量平均分子量は1580であった。
【0069】製造例3(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 500ml容の4つ口フラスコ内に、フェノール75g
(0.8モル)およびビスフェノールA45g(0.2
モル)を添加し、ついでこれに37%ホルムアルデヒド
水溶液97g(0.9モル)を添加し、さらに15%塩
酸水溶液5mlを添加した。こののち、反応溶液を85
℃まで昇温し、水の還流を行ないながら80分間加熱し
た。
【0070】反応終了後、反応生成物を時計皿に移し、
加熱して水および未反応物を除去し、ノボラック型フェ
ノールホルムアルデヒド縮合樹脂溶液をえた。
【0071】えられたノボラック型フェノールホルムア
ルデヒド縮合樹脂の平均分子量をGPCにより測定した
ところ、数平均分子量は790、重量平均分子量は、3
450であった。
【0072】つぎに、この縮合樹脂をブタノールに溶解
し、樹脂固形分濃度が50重量%となるように調製し
た。
【0073】製造例4(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 1000ml容の4つ口フラスコ内に、ビスフェノール
A228g(1モル)を添加し、これに86%パラホル
ムアルデヒド水溶液69g(2モル)を添加し、ついで
触媒として10%水酸化ナトリウム水溶液22.5g
(0.06モル)を加えたのち反応溶液を80℃まで昇
温し、2時間反応させた。
【0074】反応終了後、ブタノール200gおよびキ
シレン92gを反応系に加えたのち、15%塩酸水溶液
13.7gを用いて反応生成物を中和した。反応溶液を
分液ロートに移して水洗を3回行ない、中和で生じた塩
化ナトリウムを取り除いた。そののち、反応溶液をフラ
スコにもどし、共沸脱水を行ないながら、120℃まで
昇温して樹脂固形分濃度が50重量%のレゾール型フェ
ノールホルムアルデヒド縮合樹脂溶液(ブチルエーテル
化されたビスフェノールAのレゾール溶液)をえた。え
られたレゾール型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
の平均分子量をGPCにより測定したところ、数平均分
子量は680、重量平均分子量は1680であった。
【0075】製造例5(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 1000ml容の4つ口フラスコ内に、m−クレゾール
100g(1モル)を添加し、これに86%パラホルム
アルデヒド水溶液51g(1.5モル)を添加し、つい
で触媒として10%水酸化ナトリウム水溶液22.5g
(0.06モル)を加えて50℃で30分間反応させ
た。こののち、反応溶液を80℃まで昇温し、さらに2
時間反応させた。
【0076】反応終了後、ブタノール150gおよびキ
シレン30gを反応系に加えたのち、製造例4と同様に
して樹脂固形分濃度が50重量%のレゾール型フェノー
ルホルムアルデヒド縮合樹脂溶液(m−クレゾールのレ
ゾール溶液)をえた。えられたレゾール型フェノールホ
ルムアルデヒド縮合樹脂の平均分子量をGPCにより測
定したところ、数平均分子量は380、重量平均分子量
は940であった。
【0077】製造例6(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 製造例5において、m−クレゾール100gをキシレノ
ール122g(1モル)に変更したほかは、製造例5と
同様にして樹脂固形分濃度が50重量%のレゾール型フ
ェノールホルムアルデヒド縮合樹脂溶液(キシレノール
のレゾール溶液)をえた。えられたレゾール型フェノー
ルホルムアルデヒド縮合樹脂の平均分子量をGPCによ
り測定したところ、数平均分子量は830、重量平均分
子量は2900であった。
【0078】製造例7(フェノールホルムアルデヒド縮
合樹脂の合成) 1000ml容の4つ口フラスコ内にビスフェノールA
225g(1モル)を添加し、ついで37%ホルムアル
デヒド水溶液430g(4モル)を添加し、さらに触媒
として25%水酸化ナトリウム水溶液64g(0.4モ
ル)を加えて50℃で1時間反応させた。こののち、反
応溶液を80℃まで昇温し、さらに2時間反応させた。
【0079】反応終了後、15%塩酸水溶液96gを用
いて反応生成物を中和し、ブタノール400gおよびキ
シレン70gで溶解させたのち、水洗を3回行なった。
そののち、共沸脱水を行ない、125℃まで昇温して樹
脂固形分濃度が63重量%のレゾール型フェノールホル
ムアルデヒド縮合樹脂溶液をえた。えられたレゾール型
フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂の平均分子量をG
PCにより測定したところ、数平均分子量は690、重
量平均分子量は2600であった。
【0080】実施例1 1000ml容のフラスコ内にブチルセロソルブ135
gを添加したのち、ポリp−ビニルフェノール(数平均
分子量:1200)24g、グリシン18g、86%パ
ラホルムアルデヒド水溶液10gを順に添加し、80℃
まで加温したのち、90℃に加温した水135gを添加
した。
【0081】つぎに、ジメチルエタノールアミン19.
6gをフラスコ内に添加し、90℃に30分間保ったの
ち、ガスクロマトグラムにて、すべてのパラホルムアル
デヒドが消費されたことを確認した。
【0082】なお、ポリp−ビニルフェノール中のフェ
ノール核とホルムアルデヒドとグリシンとジメチルアミ
ノエタノールとのモル比は、1:1.2:1:1であっ
た。
【0083】つぎに、フラスコ内に、エポキシ樹脂(東
都化成(株)製、YD−020N、数平均分子量:43
00)216gをブチルセロソルブ100gに溶解させ
た溶液を添加し、共沸脱水を行ないながら110℃まで
昇温し、予備縮合を行なった。110℃で1時間予備縮
合を行なったのち、反応系を100℃まで冷却し、撹拌
しながら沸騰水400gを添加してアニオン型水分散性
エポキシ樹脂エマルジョンをえた。
【0084】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンは、水分散性エポキシ樹脂の固形分濃度が31重量
%、有機溶媒含有率が25%であり、乳白色のエマルジ
ョンであった。
【0085】つぎにえられた水分散性エポキシ樹脂エマ
ルジョンの粘度および安定性を以下の方法にしたがって
調べた。その結果を表1に示す。
【0086】(粘度)25℃における水分散性エポキシ
樹脂エマルジョンの粘度(cP)をB型粘度計を用いて
測定した。
【0087】(安定性)水分散性エポキシ樹脂エマルジ
ョンを40℃の雰囲気下で30日間放置したのち、その
状態の変化を目視にて観察し、以下の評価基準に基づい
て評価した。
【0088】(評価基準) A:変化が認められない。 B:ほんのわずかに分離している。 C:わずかに分離している。 D:少し分離している。 E:明らかに分離している。
【0089】実施例2 1000ml容のフラスコ内にブチルセロソルブ135
gを添加したのち、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、
YD−020N、数平均分子量:4300)216gを
添加し、120℃まで昇温しながら加熱、撹拌してエポ
キシ樹脂を溶解させた。
【0090】つぎに、ポリp−ビニルフェノール(数平
均分子量:1100〜1500)24g、グリシン18
g、86%パラホルムアルデヒド水溶液10gを順にフ
ラスコ内に添加し、充分に撹拌した。
【0091】そののち、ジメチルエタノールアミン1
9.6gをフラスコ内に添加し、反応を開始させた。こ
のときの反応系内におけるポリp−ビニルフェノールの
フェノール核をパラホルムアルデヒドとグリシンとジメ
チルエタノールアミンとのモル比は、1:1.2:1:
1であった。
【0092】なお、ジメチルエタノールアミンを添加し
た直後から反応が開始し、反応系の温度が120℃から
10℃程度の急速な昇温を伴なった。急激な発熱反応が
おさまったのち、加熱を再開し、反応系を120℃の温
度に保った。最初の発熱反応から30分間経過した時点
ですべてのパラホルムアルデヒドが消費されたことをガ
スクロマトグラフにて確認したのち、反応系を100℃
まで冷却し、撹拌しながら沸騰水480gを添加してア
ニオン型水分散性エポキシ樹脂エマルジョン900gを
えた。
【0093】えられた水分散性樹脂エマルジョンは、樹
脂固形分濃度が30重量%、有機溶剤含有率が15重量
%であり、乳白色のエマルジョンであった。
【0094】えられた水分散性樹脂のエマルジョン粘度
および安定性を実施例1と同様にして調べた。その結果
を表1に示す。
【0095】つぎに、実施例1および実施例2でえられ
たアニオン型水分散性エポキシ樹脂エマルジョンに含有
された該アニオン型水分散性エポキシ樹脂をそれぞれゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィおよび赤外分光光
度計によって調べたところ、両者とも同一の化合物であ
ることが確認された。
【0096】実施例3および4 実施例1において、すべてのパラホルムアルデヒドが消
費されたことをガスクロマトグラフにて確認したのち、
さらに120℃で2時間予備縮合を行なう(実施例3)
か、またはすべてのパラホルムアルデヒドが消費された
ことをガスクロマトグラフにて確認したのち、140℃
まで昇温し、さらに140℃で2時間予備縮合を行なっ
た(実施例4)ほかは、実施例1と同様にして樹脂固形
分濃度が30重量%のアニオン型水分散性エポキシ樹脂
エマルジョンをえた。
【0097】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンの粘度および安定性を実施例1と同様にして調べた。
その結果を表1に示す。
【0098】実施例5 実施例3において、グリシンをサルコシン21gに、ま
た86%パラホルムアルデヒド水溶液10gを86%パ
ラホルムアルデヒド水溶液17gにそれぞれ変更したほ
かは実施例3と同様にして樹脂固形分濃度が31重量%
のアニオン型水分散性エポキシ樹脂エマルジョンをえ
た。
【0099】なお、ポリフェノール中のフェノール核と
パラホルムアルデヒドとサルコシンとジメチルアミノエ
タノールとのモル比は、1:2:1:1であった。
【0100】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンの粘度および安定性を実施例1と同様にして調べた。
その結果を表1に示す。
【0101】なお、実施例1〜5でえられた樹脂溶液
は、かかる樹脂溶液と同量の水を添加したばあいであっ
ても、その外観に変化が認められず、安定していた。
【0102】実施例6〜10 実施例4で用いたポリp−ビニルフェノールのかわり
に、ポリp−ビニルフェノール(数平均分子量:210
0〜3100)(実施例6)、ポリp−ビニルフェノー
ル(数平均分子量:4200〜5200)(実施例
7)、ポリp−ビニルフェノール(数平均分子量:36
00〜4400)(実施例8)、p−ビニルフェノール
−メチルメタクリレート(モル比1:1)共重合体(数
平均分子量:3000〜5000)(実施例9)または
p−ビニルフェノール−2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート(モル比1:1)共重合体(数平均分子量:30
00〜5000)(実施例10)を用いたほかは、実施
例4と同様にしてアニオン型水分散性エポキシ樹脂エマ
ルジョンをえた。
【0103】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンの粘度と安定性を実施例1と同様にして調べた。その
結果を表1に示す。
【0104】実施例11 1000ml容のフラスコ内にブチルセロソルブ100
gを添加したのち、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、
YD−020N、数平均分子量:4300)216gを
添加し、120℃まで昇温しながら加熱、撹拌して溶解
させた。
【0105】エポキシ樹脂が完全に溶解したのち、加熱
を停止し、製造例1でえられたフェノールホルムアルデ
ヒド縮合樹脂48g、グリシン18g、86%パラホル
ムアルデヒド水溶液13gを順に添加し、充分に撹拌し
た。
【0106】つぎに、ジメチルアミノエタノール19.
6gをフラスコ内に添加し、反応を開始させた。このと
きの反応系におけるレゾール型フェノールホルムアルデ
ヒド縮合樹脂中のフェノール核とパラホルムアルデヒド
とグリシンとジメチルアミノエタノールとのモル比は、
1:1.5:1:1であった。
【0107】つぎに、反応系の120℃から10℃程度
の急速な昇温がおさまったのち、加熱を再開し、反応系
を140℃まで昇温し、1時間の予備縮合を行なった。
【0108】反応終了後、反応系を100℃まで冷却
し、撹拌しながら沸騰水480gを添加して樹脂固形分
濃度が30重量%のアニオン型水分散性エポキシ樹脂エ
マルジョン900gをえた。
【0109】えられた水分散型樹脂エマルジョンの粘度
と安定性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表
1に示す。
【0110】実施例12〜16 実施例11で用いたレゾール型フェノールホルムアルデ
ヒド縮合樹脂のかわりに、製造例2でえられたレゾール
型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂(実施例1
2)、製造例3でえられたノボラック型フェノールホル
ムアルデヒド縮合樹脂(実施例13)、製造例4でえら
れたレゾール型フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂
(実施例14)、製造例5でえられたレゾール型フェノ
ールホルムアルデヒド縮合樹脂(実施例15)または製
造例6でえらえたレゾール型フェノールホルムアルデヒ
ド縮合樹脂(実施例16)を用いたほかは、実施例11
と同様にして樹脂固形分濃度が30重量%のアニオン型
水分散性エポキシ樹脂エマルジョンをえた。
【0111】えられた水分散性樹脂エマルジョンの粘度
と安定性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表
1に示す。
【0112】実施例17 1000ml容のフラスコ内にブチルセロソルブ135
gを添加したのち、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、エピコート1007、数平均分子量:320
0)216gを添加し、120℃まで昇温しながら加
熱、撹拌して溶解させた。
【0113】エポキシ樹脂が完全に溶解したのち、12
0℃の温度を保ちながら、ポリp−ビニルフェノール
(数平均分子量:1100〜1500)24g、グリシ
ン18g、86%パラホルムアルデヒド水溶液10gを
順に添加し、充分に撹拌した。
【0114】つぎに、ジメチルエタノールアミン19.
6gをフラスコ内に添加し、反応を開始させた。
【0115】つぎに、反応系を140℃まで昇温し、2
時間の予備縮合を行なった。
【0116】反応終了後、反応系を100℃まで冷却
し、沸騰水480gを撹拌しながら添加して樹脂固形分
濃度が30重量%のアニオン型水分散性エポキシ樹脂エ
マルジョン900gをえた。
【0117】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンの粘度と安定性を実施例1と同様にして調べた。その
結果を表1に示す。
【0118】実施例18 1000ml容のフラスコ内にブチルセロソルブ135
gを添加したのち、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、
YD−020H、数平均分子量:5500)216gを
添加し、140℃まで昇温しながら加熱、撹拌して溶解
させた。
【0119】エポキシ樹脂が完全に溶解したのち、12
0℃まで冷却し、ポリp−ビニルフェノール(数平均分
子量:2100〜3100)36g、グリシン27g、
86%パラホルムアルデヒド水溶液20gを順に添加
し、充分に撹拌した。
【0120】つぎに、ジメチルエタノールアミン29g
をフラスコ内に添加し、反応を開始させた。
【0121】つぎに、反応系を140℃まで昇温し、1
時間の予備縮合を行なった。
【0122】反応終了後、反応系を100℃まで冷却
し、沸騰水510gを撹拌しながら添加し、樹脂固形分
濃度が30重量%のアニオン型水分散性エポキシ樹脂エ
マルジョン930gをえた。
【0123】えられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョ
ンの粘度と分散性を実施例1と同様にして調べた。その
結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】実施例19〜30 実施例3〜8、10〜13および17〜18でえられた
アニオン型水分散性エポキシ樹脂と製造例7でえられた
熱硬化性樹脂であるフェノールホルムアルデヒド縮合樹
脂溶液とを、樹脂固形分の重量比が80:20となるよ
うにして混合し、フェノール変性の水分散性エポキシ樹
脂エマルジョンをえた。
【0126】えられた水分散性樹脂エマルジョンの粘度
と安定性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表
2に示す。
【0127】実施例31および32 実施例4または18でえられたアニオン型水分散性エポ
キシ樹脂とメラミンホルムアルデヒド樹脂(三井サイナ
ミッド(株)製、サイメル303)とを、樹脂固形分の
重量比で90:10となるようにして混合し、アミノ変
性の水分散性エポキシ樹脂エマルジョンをえた。
【0128】えられた水分散性樹脂エマルジョンの粘度
と安定性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表
2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】実験例 酸化ニッケルの表面処理が施された錫メッキ鋼板(新日
本製鉄(株)製、キャンライト)のテスト用ピース(た
て20cm、よこ12cm)に、実施例1〜32でえら
れた水分散性エポキシ樹脂を乾燥後の重量が70mg/
100cm2 となるように、バーコーターで塗布したの
ち、200℃で10分間加熱して焼付けてサンプルを作
製した。
【0131】えられたサンプルの物性として耐溶剤性、
耐レトルト性、耐衝撃性、金属に対する密着性、耐酸性
および耐食塩水性を以下の方法にしたがって調べた。そ
の結果を表3および表4に示す。
【0132】(イ)耐溶剤性 ガーゼを8枚重ねた先が丸い2ポンドハンマーにメチル
エチルケトンを充分に浸漬させたものをサンプル表面上
を往復させ、鋼板が見えるまでの回数で評価した。
【0133】(ロ)耐レトルト性 サンプルを5リットル容のステンレス製バットに入れ、
水2リットルを加えてこれを圧力釜中に入れ、125℃
で30分間加熱したのち、塗膜の状態を目視にて観察
し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0134】(評価基準) A:異状がまったく認められない。 B:白化がわずかに認められる。 C:白化が明らかに認められる。 D:小さいブリスターが認められる。 E:ブリスターが明らかに認められる。
【0135】(ハ)耐衝撃性 デュポン衝撃機を用い、500gの荷重で30cmの距
離から直径3/8インチのポンチをサンプル表面上に振
り降ろし、塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基
準に基づいて評価した。
【0136】(評価基準) A:異状が認められない。 B:ほんのわずかにひび割れが認められる。 C:少しひび割れが認められる。 D:塗膜の約半面にひび割れが認められる。 E:塗膜のほぼ全面にひび割れが認められる。
【0137】(ニ)金属に対する密着性 カッターナイフを用いてサンプル表面に2mm×2mm
の碁盤目状の切目を100個入れたのち、セロハン粘着
テープを貼付し、ついで該テープを剥離して塗膜の状態
を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0138】(評価基準) A:残存している碁盤目上の塗膜の個数が100個であ
る。 B:残存している碁盤目上の塗膜の個数が80〜99個
である。 C:残存している碁盤目上の塗膜の個数が60〜79個
である。 D:残存している碁盤目上の塗膜の個数が40〜59個
である。 E:残存している碁盤目上の塗膜の個数が39個以下で
ある。
【0139】(ホ)耐酸性 サンプルを1リットル容のガラスビーカーに入れ、2%
酢酸水溶液500mlを加えて3時間ボイルしたのち、
塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づい
て評価した。
【0140】(評価基準) A:異状がまったく認められない。 B:白化がわずかに認められる。 C:白化が明らかに認められる。 D:小さいブリスターが認められる。 E:ブリスターが明らかに認められる。
【0141】(ヘ)耐食塩水性 1リットル容のガラスビーカーに1%食塩水500ml
を入れ、そこへサンプルを浸漬させたものを60℃の温
度に保ち、2週間放置したのち、塗膜の状態を目視にて
観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0142】(評価基準) A:異状がまったく認められない。 B:白化またはブリスターが認められる。 C:白化およびブリスターが認められる。 D:塗膜の浮きが認められる。 E:塗膜の浮きが全面に認められる。
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】表3および表4に示した結果から、実施例
1〜32でえられた水分散性エポキシ樹脂エマルジョン
は、いずれも安定性にすぐれており、また該樹脂を含有
した樹脂組成物を用いて形成された塗膜は、いずれも耐
溶剤性、耐レトルト性、耐衝撃性、金属に対する密着
性、耐酸性、耐食塩水性などの物性にすぐれたものであ
ることがわかる。
【0146】また、表3に示された結果と表4に示され
た結果とを比較すると、実施例1〜18でえられた樹脂
エマルジョンからなる樹脂組成物を用いて形成された塗
膜と比べて実施例19〜32でえられた熱硬化性樹脂が
配合された樹脂組成物を用いて形成された塗膜は、とく
に耐溶剤性、耐レトルト性、耐酸性、耐食塩水性などの
物性にすぐれていることがわかる。
【0147】
【発明の効果】本発明の製法によれば、ポリフェノール
からえられたポリフェノール誘導体とエポキシ樹脂とを
縮合させることにより、水分散性にすぐれたアニオン型
エポキシ樹脂を容易にうることができる。
【0148】また該アニオン型エポキシ樹脂は、ヒドロ
キシアルキル基またはアルキルエーテル化されたヒドロ
キシアルキル基が含有されているばあいには、自己硬化
性を呈し、かかる樹脂を主成分とする本発明の金属被覆
用水性樹脂組成物を用いて形成された塗膜は、耐食性
(耐酸性、耐食塩水性)、耐熱性(耐レトルト性)、耐
衝撃性、金属に対する密着性、耐溶剤性などの物性にす
ぐれるという効果が奏される。
【0149】また、本発明の樹脂組成物に熱硬化性樹脂
が含有されているばあいには、とくに耐熱性(耐レトル
ト性)、耐食性(耐酸性、耐食塩水性)、耐溶剤性など
の物性にすぐれた塗膜を形成することができるという効
果が奏される。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェノールにアルデヒド、アミノ酸
    およびアルカノールアミンを反応させてえられたポリフ
    ェノール誘導体とエポキシ樹脂とからなるアニオン型水
    分散性エポキシ樹脂を主成分とする金属被覆用水性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 ポリフェノールがフェノールホルムアル
    デヒド縮合樹脂である請求項1記載の金属被覆用水性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 フェノールホルムアルデヒド縮合樹脂が
    数平均分子量200〜6000を有するものである請求
    項2記載の金属被覆用水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリフェノールがポリビニルフェノール
    である請求項1記載の金属被覆用水性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリビニルフェノールが数平均分子量2
    00〜8000を有するものである請求項4記載の金属
    被覆用水性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキ
    シ樹脂である請求項1記載の金属被覆用水性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 エポキシ樹脂が数平均分子量350〜2
    0000を有するものである請求項1または6記載の金
    属被覆用水性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 熱硬化性樹脂を含有してなる請求項1、
    2、3、4、5、6または7記載の金属被覆用水性樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂、アミノ
    プラスト樹脂またはブロックイソシアネート樹脂である
    請求項8記載の金属被覆用水性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 ポリフェノールにアルデヒド、アミノ
    酸およびアルカノールアミンを反応させてポリフェノー
    ル誘導体をえたのち、該ポリフェノール誘導体とエポキ
    シ樹脂とを縮合反応させ、えられたアニオン型水分散性
    エポキシ樹脂を配合することを特徴とする金属被覆用水
    性樹脂組成物の製法。
  11. 【請求項11】 有機溶媒にエポキシ樹脂を溶解させた
    のち、ポリフェノール、アルデヒド、アミノ酸およびア
    ルカノールアミンを添加し、反応させてえられたアニオ
    ン型水分散性エポキシ樹脂を配合することを特徴とする
    金属被覆用水性樹脂組成物の製法。
JP32680392A 1992-12-07 1992-12-07 金属被覆用水性樹脂組成物およびその製法 Pending JPH06172699A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0780455A3 (en) * 1995-12-20 1998-03-11 Basf Corporation Coating composition for improving physical characteristics of cured coatings subjected to steam processing
JP2006291211A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Chevron Oronite Co Llc 金属イオン封鎖剤として有用なマンニッヒ縮合物
JP2013087158A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Kansai Paint Co Ltd アミン系硬化剤及びそれを含む水性塗料組成物

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