JPH06172393A - 宿主炭水化物含量が減少したHBsAgエスケープ変異体ワクチン - Google Patents

宿主炭水化物含量が減少したHBsAgエスケープ変異体ワクチン

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JPH06172393A
JPH06172393A JP4155565A JP15556592A JPH06172393A JP H06172393 A JPH06172393 A JP H06172393A JP 4155565 A JP4155565 A JP 4155565A JP 15556592 A JP15556592 A JP 15556592A JP H06172393 A JPH06172393 A JP H06172393A
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Peter J Kniskern
ジェー.クニスカーン ピーター
Arpi Hagopian
ハゴピアン アーピ
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】取り込まれた炭水化物含量を実質的に減少させ
る粒子を形成する変異体HBV表面タンパク質の提供。 【構成】エントラップされた炭水化物又は糖タンパク質
含量が実質的に減少した、免疫的に活性な粒子を形成す
るB型肝炎ウイルス表面タンパク質の免疫aエピトープ
変異体、当該B型肝炎ウイルス表面タンパク質の免疫a
エピトープ変異体を包含しているB型肝炎ウイルスに対
するワクチン、タンパク質グリコシル化が遺伝的に欠落
している組替え体酵母細胞を利用する当該ワクチンの生
産ならびに、上記免疫変異体aエピトープB型肝炎ウイ
ルスタンパク質を包含する免疫診断用試薬。 【効果】HBV関連感染の治療及び/又は予防用ワクチ
ンとして、免疫診断用抗原として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】B型肝炎ウイルス(HBV)は、幾種類か
のヒトの肝疾患の原因となる感染性の作因である。HB
Vに感染した多くの人は、急性疾患をおこし、その後回
復する。しかし、少数の感染者は、感染から浄化するこ
となく、感染の慢性保菌者となる。HBV感染は、世界
の多くの場所での風土病であり、慢性感染した母体か
ら、自らもしばしば慢性感染する新生児へと周生期に感
染が起こるひん度が高い。その数は、世界中で3億人以
上と見積もられている。この保菌者のうちから、長期に
わたって慢性B型肝炎をわずらった結果(硬変症、及び
/又は肝細胞ガンで)毎年何十万人が死亡する。
【0002】B型肝炎δウイルスは、HBVとともに感
染した場合には、一般に致命的となる急性で深刻な疾患
をひきおこす作因である。δウイルスは、(自分自身の
遺伝物質からは)ヴィリオンエンベロープとして働くタ
ンパク質をエンコードせずに、ともに感染したHBVが
エンコードしたエンベロープタンパク質を包膜して、後
述するHBVタンパク質(及びたぶんその変異体)と密
接な構造的、免疫学的関係を共有する。現在まで、他の
感染性作因が同様な関係をHBVと共有するかどうかわ
かっていない。しかし、幅広い血情学的反応性又は高い
免疫能力を持つタンパク質が、たとえわずかであるか部
分的であってもHBVとの抗原交差反応性を有する一群
の作因によってひきおこされる疾患(又は感染)の診断
又は予防(又は治療)法において有効なのは明らかであ
る。
【0003】更に変異体HBVはワクチン誘発免疫の存
在下で複製してワクチン接種した個体に病気を引き起こ
すことが報告されている。これらの変異体HBVはHB
sAg又は他のエンベロープポリペプチドの主要な抗原
及び防御エピトープに変化が生じる変異を有している。
このような変化はエピトープを変性するのでワクチン誘
発中和抗体はもはや結合することができない。〔カーマ
ン(Carman)W.等、1990年、ランセット、第336
巻、325〜329頁〕。
【0004】HBヴィリオンは、コアタンパク質、及び
エンベロープ又は表面タンパク質の2種の構造タンパク
質から成る。この主要な表面タンパク質又はヴィリオ
ン、つまりデーン粒子(Dane particle) であるだけでな
く、エンベロープタンパク質はまた、オーストラリア抗
原又は22nm粒子の主要成分でもある。これらのエンベ
ロープタンパク質は、少なくとも389アミノ酸(a
a)をエンコードする大きなウイルスオープン・リーデ
ィング・フレーム(ORF)の翻訳生成物である。この
ORFは3つの部分に区分されるが、いずれもインヴィ
ヴォで翻訳開始部位として働らき得るATGコドンから
始まる。これらの部分を、それらの遺伝子内の5’−
3’順序によって、preS1(108aa)、pre
S2(55aa)及びS(226aa)と呼ぶ。つま
り、これらの部分は、S又はHBsAg(226a
a)、preS2+S(281aa)及びpreS1+
preS2+S(389aa)と呼ばれる3つのポリペ
プチドを定義するが、これらは又、それぞれp24/g
p27、p30/gp33/gp36及びp39/gp
42と呼ばれる(又、主要(major) 、中型(middle)及び
大型(large) タンパク質とも呼ばれる)。
【0005】HBVのエンベロープタンパク質は、N−
グリコシド結合によって限定されたペプチド認識部位と
結合する炭水化物側鎖を有する糖タンパク質である〔He
ermannら、J.Virol.52、396(1984)及びStib
beら、J.Virol.46、626(1983〕。したがっ
て、自然感染において生産されるHBVポリペプチド
は、p24/gp27(Sポリペプチドとそのグリコシ
ル化誘導体)、gp33/gp36(preS2部分だ
けがグリコシル化したpreS2+Sポリペプチドと、
preS2部位だけでなくS部位もグリコシル化した該
ポリペプチド)及びp39/gp42(preS1+p
reS2+SペプチドとそのpreS1部分がグリコシ
ル化した誘導体)の各種から成る。市販の血しょう由来
ワクチンは、実質的に(p24モノマーとそのグリコシ
ル化誘導体gp27から成る)S部分だけを含むタンパ
ク質から成り、一方、現在までにうまく開発された酵母
由来ワクチンは、(もっぱらグリコシル化していないp
24種から成る)Sポリペプチドだけから成る。
【0006】22nmHBsAg粒子は、慢性保菌者の血
しょうから精製されている。血しょうが粒子に陽性であ
ることから、これらの慢性保菌者をHBs+ と呼ぶ。感
染した人が十分な免疫反応を得れば、感染を浄化してH
Bs- となることができる。HBsに対する抗体を形成
したので、これらの人々を抗HBs+ と呼ぶ。このよう
に、抗HBs+ は、疾患からの回復と疾患の再感染に対
する免疫性、そしてHBV再感染に対する免疫性に関係
している。したがって、HBワクチンによる抗HBs誘
導又は形成は、HBV感染に対する防御をもたらすと考
えられる。
【0007】この仮説は、実験的にテスト可能である。
ヒト以外では、HBs+ 等の定量可能なマーカーや肝酵
素の高い血清中レベルが示すように、チンパンジーが完
全にHBV感染をおこす数少ない種の1つである。チン
パンジーを、精製HBsAg粒子の3回の投与でワクチ
ン注射した後、感染性HBVを静脈注射して対抗させ
る。擬薬のワクチンを接種をした動物が急性HBV感染
の兆候を示したのに対して、HBsAg−ワクチン注射
した動物は感染の兆候を全く示さない。したがって、こ
の実験で、p24(又はp24とp27)から成るHB
sAg粒子は、防御免疫性の誘導に十分である。この結
果にうながされて、HBsAg粒子から成るHBワクチ
ンを生産した製造者がある。
【0008】抗HBsの生産をもたらす適当なエピトー
プ表示は酵母由来肝炎Bワクチンの優れた免疫原性と関
連がある重要な特性である。これらの中でaエピトープ
が最も重要であり、これはHBVの全てのサブタイプ
(ayr、ayw、adr、adw)に存在する配座決
定基であり、Sポリペプチドの124〜147アミノ酸
に位置する。1つの特異“a”エピトープに部位指定さ
れるモノクローナル抗体(MAb)はチンパンジーのH
BV感染性を中和することが示されている〔タボー(Tab
or).E.等、1983年、J.Infect.Dis. 第147巻、5
31頁〕。抗a抗体はHBsAgによって最も多量にも
たらされ、これらの誘発は全てのサブタイプに起因する
病気の防御に関係している。
【0009】HBVの抗原サブタイプは血清学的に規定
され、HBsAgをコードするゲノム領域の1個の塩基
変化によることが知られている。従って主要な抗原変化
はゲノムに対する小さな変化から生じる。これらのサブ
タイプは天然に存在し、特定の地理分布を有する。この
領域の合成環状ペプチドは線状ペプチドより抗原性が高
く、HBsAg抗原性は洗浄剤(detergent) で処理した
場合に失われ〔バイアス(Vyas).G. 等、1972年、サ
イエンス、第178巻、1300〜1頁〕、これらの知
見はエピトープがコンホメーションであることを意味す
る。1個のアミノ酸変化をHBsAg分子に導入するこ
とができるインビトロ変異誘発によって147位のシス
テインと142位のプロリンがこの領域の完全な抗原性
表示に非常に重要であることが知られている〔アッシュ
トン−リチャート(Ashton-Richardt).P.等、1989
年、J.Med.Virol.第29巻、196〜203頁〕。
【0010】未変性又は組換え体のHBsAgからなる
HBVワクチンが非常に有効であることは知られてい
る。ワクチン接種を受けた人の約5%に十分な抗HBs
応答が現われないが、このような応答を有する人は防御
されたとみなされる。十分な抗HBsレベルを有する人
の場合、その後の感染でHBV感染は生じない。従って
全員がワクチンに対して十分に応答したとみなされる南
イタリア(及び恐らく世界の他の地域)の若干のワクチ
ン接種を受けた人がその後HBV複製のマーカーを有す
ることは興味深いことである。
【0011】ウイルスは感染の過程で絶えず変化してい
る。慢性HBV感染にかかっている患者は血清中に種々
の遺伝子型を有する。免疫応答が多くのウイルスエピト
ープ(いくつかは中和している)に特定される事実はウ
イルス集団を絶えず変化しているものから選択される変
異体を生じる。しかしながらそのような変異体は全て複
製することができないであろう。エピトープがウイルス
生存にも必要である場合、例えば細胞侵入に必要である
場合、この位置で変異したウイルスは生存することがで
きない。中和免疫を受けないように変異した複製感染性
ウイルスはエスケープ変異体と呼ばれるがそのような変
異体は抗体による選択がないために検出頻度が低いにも
かかわらずワクチン接種しない個体に生じることは自明
のことである。このような変異は例えばインフルエンザ
ウイルスの流行に定期的に見られる抗原変動の原因であ
る。
【0012】エスケープ変異体は確認されており〔カー
マン(Carman). W.等、前出)、HBsAgの145位の
グリシンをアルギニンにアミノ酸置換され、この領域に
特異的なモノクローナル抗体の結合は非常に減少する。
アミノ酸領域124〜137に対する抗体の結合の減少
は変異がa決定基の領域のいくつかのエピトープに影響
するコンホメーション変化を生じたことを示す。これら
の変異の程度及び類似しているが同一ではない他の変異
体が存在しているかどうかは現在知られていない。
【0013】HBワクチンの市販の供給を拡大するため
に、製造者は組み換えDNA技術を用いて、ウイルスエ
ンベロープタンパク質の発現を媒介した。微生物系のう
ちで、大腸菌(Eschevichia coli)と酵母(S.cerevisiae)
が多くの組み換え由来タンパク質の発現に最も広く用い
られる。大腸菌(E.coli)中に免疫学的に活性なHBsA
g粒子を発現させる多くの試みは成功していない。しか
し、酵母(S.cerevisiae) は、免疫学的に活性なHBs
Ag粒子を発現させる能力において大きな有用性を示
す。これらの(もっぱらp24から成る)粒子は、ワク
チンに処方されると、多様な血清型の活動性のHBVの
対抗からチンパンジーを完全に防御することがわかって
いる。さらに、酵母由来S粒子もまた免疫学的に活性で
あり、血しょう由来HBsAgと同じくらいヒトの臨床
試験において疾患又は感染の予防に効果がある。〔Stev
ens ら、JAMA、257:2612〜2616(198
7)〕。したがって、組み換えHBsAg合成をうなが
すホスト種としての酵母(S.cerevisiae)の有用性は、確
立している。さらに、酵母中でのヒトの治療剤とワクチ
ンの発現は、生産物の開発に非常に有用である。なぜな
ら、酵母は内毒素を持たず、人間に対して病源性がない
ので工業的規模での発酵が行なえるし、連続継代性ホ乳
類細胞系統(その多くはウイルス的に形質転換されて、
マウスに腫瘍発生性があり、又、すべて原始腫瘍遺伝子
を持つ)の使用にまつわる多くの安全性を考えなくてよ
いからである。
【0014】パン酵母(S.cerevisiae)は、糖タンパク質
を合成できる真核生物である。酵母中のタンパク質グリ
コシル化は、最近の多くの文献がとりあげている〔とく
に、Kukuruzinskaら、Ann.Rev.Biochem., (1987)
56、915〜44;Tannenら、BBA.(1987)90
6、81〜99〕。このグリコシル化、又はポリペプチ
ド上の適当な受容体アミノ酸(aa)へのグリカンの付
加は、特定のセリン(Ser)かスレオニン(Thr)
残基(O−結合の場合)、又は特定のアスパラギン(A
sn)残基(N−結合の場合)のどちらでも起こる。S
er又はThr残基でのO結合付加の特異性はよくわか
っておらず、ケースバイケースで経験的に決定してい
る。
【0015】N結合グリコシル化のシグナル配列は、ア
ミノ酸配列Asn−X−Thr又はAsn−X−Ser
(式中Xはどのアミノ酸でもよい)のいずれかとして十
分に定義されている。多くのオートロガス固有のグリコ
シル化タンパク質(この中にはマンノプロテイン、又は
マンノペプチドと呼ばれるタンパク質を含む)を合成す
るだけでなく、酵母は、(異種、又は外来のタンパク質
がN又はO結合グリコシル化のいずれかに対する適当な
グリコシル化シグナル配列を持てば)、組み換え技術で
発現させた異種のタンパク質のグリコシル化もできる。
【0016】自然感染中に生成するpreS2+Sポリ
ペプチドは、ちょうど2つの“コア”〔約3キロダルト
ン(KD)のサイズの〕N−結合グリカンを、1つはS
領域に、2つ目はpreS2領域のアミノ酸残基4のA
snに持つ。このS領域中の認識部位は、RecombivaxH
B(登録商標)でも酵素の合成する組み換えpreS2
+Sでもグリコシル化しない。しかし、このpreS2
領域のアミノ酸残基4の部位は、酵母によって認識され
てグリコシル化する。
【0017】preS1領域は、preS1領域のアミ
ノ酸残基4にN結合グリコシル化部位を、そして血清型
adwのアミノ酸残基26に潜在的部位を有する。この
分野に通じる者には、preS2グリコシル化に関して
示す議論が、preS1及びS領域の各種の配列と同様
にpreS2領域の各種配列にもあてはまることは明ら
かである。
【0018】組み換えpreS2+Sを合成する酵母
は、ウイルス感染時に固有ポリペプチドに加えられるも
のに似た“コア”グリカンを加える。しかし、酵母ホス
ト細胞がグリコシル化に対して“野性型”である場合
(すなわち、ほとんどすべての広く用いられる酵母株が
そうであるように、固有なグリコシル化に必要な酵素の
完全な補体を持つ場合)、かなりの数のこれらのグリカ
ンは、酵母が自らの構造マンノプロテインを作るのに用
いるのと同じ方法で、多数の付加的マンノース残基で伸
長する。このグリカンの付加的伸長が、preS2+S
ポリペプチド等の外来遺伝子生成物上で起こると、過グ
リコシル化と呼ばれる。この分野に通じる者には、酵母
について示す議論が多種なグリコシル化パターンの対象
となり得る他のホスト細胞(たとえば、昆虫、菌類な
ど)にもあてはまることは明らかである。
【0019】さらに、野性型酵母ホスト細胞が発現した
HBV表面タンパク質の22nm粒子の組み換え形態が、
22nm粒子内にかなりの量の酵母細胞炭水化物(少なく
とも一部は酵母ホスト細胞の構造マンノペプチドに由来
するもの)を取り込んでることが示されている。この取
り込んだ炭水化物は、グリコシル化タンパク質上の酵母
炭水化物部分に対する抗体を発生させて、取り込んだ酵
母炭水化物を含むワクチン免疫源がほとんどのホ乳類の
種に存在する抗酵母抗体と反応し、そうして、免疫源及
びワクチンとしての有効性を減じる可能性があるという
問題が生じる。
【0020】過グリコシル化及び完全なマンノプロテイ
ンとマンノペプチドの取り込みは、以下のどの方法によ
っても、ふせぐことができて、HBVpreSとSポリ
ペプチド、及びこれに対応する粒子においてグリコシル
化を制限することができる。
【0021】第1に、N結合過グリコシル化は、外因性
物質(たとえばツニカマイシン)が成長培地中に存在す
ることによって、組み換えホスト成長時に防止又は制限
できる。第2に、組み換え、又は固有な起源のポリペプ
チドを化学的に(たとえば無水トリフルオロメタン−ス
ルホン酸、又は無水フッ化水素)、あるいは酵素的に
(たとえばN−グリカナーゼ、Endo−F又はEnd
o−Hを用いて)、あるいは物理的に(たとえば音波処
理)、脱グリコシル化できる。第3に、グリコシル化の
認識部位をDNAレベルの突然変異誘発で変化させたり
欠失させたりして、コアグリコシル化、及び同時に過グ
リコシル化をふせぐことができる。グリコシル化認識配
列を(酵母中で活性の適当なプロモーターによって)変
えた修飾preS+SORFは、酵母ホスト細胞内に形
質転換する。得られたpreS+Sポリペプチドはグリ
コシル化していない。第4に、グリコシル化に必要な決
定的酵素を欠くホスト細胞が同定され得る。これは、本
発明を説明するものであるが、しかし本発明をこれに限
定するものではない。このような酵母の1つ(mnn9
突然変異体)が同定されているが〔Ballou.L. ら(19
80)J.Biol.Chem.255、pp5986〜5991〕、
これは、N結合グリカンの伸長(過グリコシル化)に必
要なグリコシル化経路の決定的酵素を欠いており、化学
分析によって、この突然変異体は外部鎖(outer chain)
のマンノース残基がなく“コア”炭水化物だけを有する
マンノプロテインを作ることが示されている〔Ballou.
C.E. ら、(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,8
3、pp3081〜3085;Tsai.P. ら(1984)J.
Biol.Chem.259、pp3805〜3811〕。S又はp
reS+Sポリペプチドに対するORF(酵母中で活性
な適当なプロモーターによる転写)を用いて、このよう
なmnn9突然変異酵母を形質転換する。得られたpr
eS+Sポリペプチドは“コア”グリコシル化のみで過
グリコシル化していない。
【0022】酵母中で発現した場合、Sポリペプチドは
グリコシル化も過グリコシル化もしていないが、それら
から成る粒子は酵母マンノペプチド由来の取り込んだ炭
水化物を高いレベルで有している。したがって、過グリ
コシル化しない酵母細胞中で、preSを含むポリペプ
チドと同様にSポリペプチドの発現は、発現した22nm
粒子内の炭水化物が低いレベルになっている。
【0023】酵母(S.cerevisiae)は、免疫学的に活性な
22nm粒子を発現する能力で大いに有用性を示す。これ
らの粒子はワクチンに処方されると、活動性のHBVに
よる対抗からチンパンジーを完全に防御できることがわ
かっている。さらに、酵母由来のHBsAgは、血清由
来のHBsAgのようにヒトの臨床試験において免疫学
的に効果がある。したがって、組み換えHBsAgの合
成を指示するホスト種としての酵母(S.cerevisiae) の
有用性は十分に確立している。
【0024】多様な組み換え微生物発現システムにおい
て、多くの異なったポリペプチドの合成がホスト細胞に
有害であることがわかっている。その結果、このような
ポリペプチドの発現に対する選択的圧力があり、そのた
め大規模にこのような組み換え培養を行なって蓄積する
唯一の細胞は、外来ポリペプチドの発現をしないか又は
ごく少量の外来ポリペプチドしか発現しないので培養が
そのポリペプチドの源泉として不経済になってしまうよ
うな細胞である。場合によっては、悪影響が大きいため
に、発現が強力な構成プロモーターによって行なわれる
場合には、新たに形質転換した細胞は選択プレート上で
は増殖したりコロニーを形成したりしない。これらの悪
影響は、誘導プロモーターを用いてこのようなポリペプ
チドの合成を行なうことにより、ふせぐことができる。
多くの誘導可能な遺伝子が酵母(S.cerevisiae)には存
在する。4つのよく特徴づけられた誘導可能な遺伝子系
は、ガラクトース(GAL)利用遺伝子、アルコール・
デヒドロゲナーゼ2(ADH2)遺伝子、α交配因子遺
伝子、及びpho5遺伝子である。
【0025】酵母(S.cerevisiae)は、成長のための炭
素源としてガラクトースを利用するための要因となる酵
素をエンコードする5遺伝子を持つ。GAL1、GAL
2、GAL5、GAL7及びGAL10遺伝子は、それ
ぞれ、ガラクトキナーゼ、ガラクトース、パーミアー
ゼ、ホスホグルコムターゼの主要イソ酵素、ウリジルト
ランスフェラーゼ及びウリジン、ジホスホガラクトース
−4−エピメラーゼをエンコードする。ガラクトースが
存在しない場合、これらの酵素の発現はほとんど検出さ
れない。細胞がグルコースで成長した後にガラクトース
が培養に加えられると、(GAL5が約5倍誘導される
他は)これらの3つの酵素はRNA転写のレベルで同調
的に少なくとも1000倍誘導される。GAL1、GA
L2、GAL5、GAL7及びGAL10遺伝子は分子
レベルでクローニングされて配列決定されている。それ
ぞれの解読領域の5’側に対する調節及びプロモーター
配列は、IacZ遺伝子の解読領域に隣接して位置す
る。これらの実験は、ガラクトース誘導に必要かつ十分
なこれらのプロモーター及び調節配列を定義した。
【0026】酵母(S.cerevisiae)はまた3’遺伝子を
持つが、これらはそれぞれアルコール・デヒドロゲナー
ゼ(ADH)のイソ酵素をエンコードする。これら酵素
のひとつADHIIは、酸化的成長時に炭素源としてエタ
ノールを酵母(S.cerevisiae)が利用する
能力を与える。ADHIIイソ酵素をエンコードするA
DH2遺伝子の発現は、グルコースによって異化産物抑
制されるので、グルコースが0.1%(w/v) のレベルで
存在する発酵成長時にはほとんどADH2の転写はな
い。グルコースが消耗されて抑制を行なわない炭素源が
存在すると、ADH2遺伝子の転写は100ないし10
00倍に誘導される。この遺伝子は分子レベルでクロー
ニングされて配列決定しており、転写の脱抑制に必要か
つ十分な抑制及びプロモーター配列が定義されている。
【0027】α交配因子は、MATαとMATa細胞の
交配に必要な酵母(S.cerevisiae)の性フェロモンであ
る。このトリデカペプチドは、粗面小胞体内に導びかれ
て、グリコシル化されてタンパク質分解的に処理されて
から最終的な完全な形態で細胞から分泌されるプレプロ
フェロモンとして発現する。この生化学的終路は、外来
ポリペプチドの発現方法として利用される。α交配因子
遺伝子は、分子レベルでクローニングされていて、その
プレプロリーダー配列は多様なポリペプチドの発現と分
泌に利用されている。同様に、pho5遺伝子が低リン
酸濃度で誘導可能なことがわかっており、これはまた、
酵母内で外来タンパク質を生理的に制御して発現するの
に有用である。
【0028】粗面小胞体とゴルジ体の断面から予想され
るように、外来タンパク質はN,Oどちらの結合のグリ
コシル化も受けることができる。α交配因子プロモータ
ーは、表現型αの細胞内でのみ活性である。酵母には
(SIRとして知られる)4つの遺伝部位があり、a及
びα情報の他の通常はサイレントなコピーの抑制に必要
なタンパク質を合成する。この抑制作用をさまたげる温
度感受性(ts)突然変異が、これらの部位の少なくと
も1つの遺伝子生成物に存在する。この突然変異体では
35℃での成長は抑制を無効にするため、α交配因子プ
ロモーターが不活性の表現型a/αの細胞が生じる。温
度を23℃に変えると、細胞の表現型がαに戻って、プ
ロモーターは活性となる。tsSIR突然変異を有する
株の使用が、数種の外来ポリペプチドの抑制発現のため
に行なわれている。
【0029】本発明の目的はエントラップされた(取り
込まれた)炭水化物含量が実質的に減少した粒子を形成
する変異体HBV表面タンパク質を提供することであ
る。本発明のもう1つの目的は粒子を形成しまたエント
ラップされた炭水化物含量を実質的に減少することがで
きる変異体HBV表面タンパク質を酵母宿主中で生産す
る方法を提供することである。また本発明の目的は変異
体HBV又はHBVと血清学的に関係のある他の薬剤に
よる病気及び/又は感染の防御の能動的及び受動的両治
療のためのエントラップされた炭水化物含量が実質的に
減少した変異体HBV表面タンパク質粒子を包含してい
る変異体HBVに対するワクチンを提供し、そのような
病気及び/又は感染の診断用試薬の開発のための抗原及
び免疫原を提供することである。更に本発明の目的は組
換え体宿主細胞の大規模な生育条件及び組換え変異体H
BV表面タンパク質の精製を提供することである。本発
明のこれら及び他の目的は以下の記載から明らかになろ
う。
【0030】変異体HBV表面タンパク質は野生型又は
タンパク質をグリコシル化する能力が遺伝的に欠落して
いる組換え体酵母宿主中で高収率で発現されている。酵
母細胞中の変異体HBV表面タンパク質の発現は特徴的
なHBsAg粒子の形成を生じる。酵母細胞中のこれら
の粒子の形成は粒子内で酵母細胞物質のエントラップメ
ント(取り込み)を生じる。“野生型”酵母細胞を用い
ると実質量の酵母細胞炭水化物がHBsAg粒子内でエ
ントラップされるようになる。実質量の炭水化物を含有
する粒子からなるHBVワクチンの生産を妨げるために
タンパク質をグリコシル化する能力が遺伝的に欠落して
いる組換え体酵母細胞から産生し精製した。このような
宿主によって産生した変異体HBV表面タンパク質は野
生型酵母細胞中で産生した粒子より実質的に少ない炭水
化物を含有する粒子を形成する。これらの変異体HBV
表面タンパク質はHBV関連の感染の治療及び/又は予
防用ワクチンとしてまた天然の抗酵母抗体との反応性の
低下及び変異体ウイルスに対する反応性の改良による免
疫診断用抗原として有用である。
【0031】本発明はHBVに対するワクチン又は診断
用として有用な実質的に減少した量のエントラップされ
た炭水化物を含有することができる抗原性変異体HBV
表面タンパク質粒子の製造方法に関する。
【0032】デーン粒子(血清型adw)をウイルスO
RF単離のためのHBV核酸源に利用した。この分野に
通じる者には明らかなように、本発明は、HBV株又は
ウイルスの遺伝的多様性による他の血清学的反応性を持
ったウイルスの核酸の使用も含む。もともとHBヴィリ
オン中に存在する切れ目を持ち(nicked)ギャップのある
(gapped)形態の核酸からHBVゲノムの共有結合して閉
じた環状二重鎖DNAを生成するために、生体内起源の
ポリメラーゼ反応を用いた。DNAを単離して、Eco
RIで完全に切断し、pBR322のEcoRI部位内
へクローニングすることによって、pHBV/ADW−
1を作った。preS領域のEcoRI部位に環状順列
形態のHBVゲノムを持つ組み換えプラスミドを選択し
た。preS2領域の55のアミノ酸、及びS領域の2
26のアミノ酸をエンコードする完全なORFを、Ec
oRIとAccIでpHBV/ADW−1を切断した後
に、まず得られた0.8キロベース対(kbp)フラグメン
トを精製して構成した。このフラグメントは、開始コド
ン、アミノ末端の3つのアミノ酸、カルボキシ末端の3
つのアミノ酸、及び翻訳ターミネーターコドンだけを欠
失しているpreS2+Sポリペプチドをエンコードす
る。
【0033】オリゴヌクレオチドを合成してこのフラグ
メントと結合させて、酵母由来の10bpの非翻訳5’隣
接配列を含むHindIII フラグメントに変えて、完全
なpreS2+SORFを選択してターミネーションコ
ドンを直接にADH1転写ターミネーター中の固有Hi
ndIII 部位に結合させた。こうして全く付加的な介在
塩基のない完全な固有の酵母由来の接合体を作った。
【0034】 伝子GAP63(GAP)の非翻訳リーダー(NTL)
に対する配列に対応するように選んだ〔Holland.J.Bio
l.Chem., 225、2596(1980)〕が、これは
またGAP遺伝子ファミリーに対する共通配列である。
全く付加的な塩基の介在がないpreS2+SORFの
開始コドンにNTLを直接に結合するように構成を行な
った。したがってこの分野に通じる者には明らかなよう
に、HBV表面タンパク質の発現のためのNTL配列の
選択には適当な発現レベルをもたらす他の配列も含まれ
る。
【0035】DNA配列分析で、pHBpreSGAP
347/19TのDNAがエンコードするpreS2+
S配列とはちがったアミノ酸をもたらす2つの塩基の置
換がわかった〔Valenzuelaら、Biotechnology 、3
(4)、317〜320(1985)〕。両方の構成に
ついて同一のポリペプチドを評価するために、これらの
ヌクレオチド置換基、すなわち、(LeuでなくPhe
をエンコードする)HBVpreS2+Sの846bpO
RFの塩基64におけるCにかわるT、及び(Glnで
なくHisをエンコードする)塩基352におけるAの
かわりのCを、部位特異的突然変異誘発で変化させた
〔Zollerら、Nucleic Acids Research10:6487〜
6500(1982)〕。このエンコードされた最適な
構成に対するアミノ酸配列を、今度は検定した。この分
野に通じる者には明らかなように、本発明はこの配列に
限られるものではなく、HBV関連抗原性のあるポリペ
プチドをDNAがエンコードするようなすべての配列を
含む。
【0036】pUC19及びHBsAg解読領域を含む
3.3kbp の大型DNAフラグメントを、EcoRIと
StyIで切断した後にpreS2をエンコードするD
NAフラグメントから分離して、分取アガロースゲル電
気泳動で精製した。その後、合成DNAオリゴヌクレオ
チドをpUC19−HBsAgフラグメントに結合し
た。この合成DNAオリゴヌクレオチドは、5’Eco
RIと3’StyI粘着末端を持つと同時に5’Eco
RI部位につづいてすぐHindIII 部位を持つ。さら
に、この合成DNAオリゴヌクレオチドは、HBsAg
ATGコドンに加えて、StyI部位を含めた9つの上
流ヌクレオチドと21の下流ヌクレオチドを持つ。
【0037】このオリゴヌクレオチドはHBsAgの完
全な解読領域を再構成し、HindIII での切断による
pUC19ベースのベクターから、あとでそのままとり
のぞくことができる。
【0038】前述の結合した合成DNAオリゴヌクレオ
チドを持ったpUC19−HBsAgDNAフラグメン
トを用いて大腸菌(E.coli)を形質転換した。完全な再構
成HBsAg解読領域を持つ組み換えプラスミドを選択
した。この完全なHBsAgオープン・リーディング・
フレーム(ORF)を、HindIII で切断して組み換
えプラスミドからとりのぞいた後に、単離して、分取ア
ガロース・ゲル電気泳動で0.7kbp のHBsAgDN
Aを精製して、GAL10プロモーター発現ベクターの
中にクローニングした。
【0039】preS1又はpreS2をコードする領
域を含まず変異体“a”エピトープHBsAgORFを
含むpUC19ベースプラスミドは次の通り構築され
た。前述の完全HBsAgをコードする領域を含むpU
C19−HBsAgプラスミドをポリメラーゼ鎖反応
(PCR)の鋳型として用いて、HBsAgの145ア
ミノ酸にGlyからArgにアミノ酸置換が生じる58
7位(HBVゲノムのユニークなEcoRI部位から数
えた)に1個の塩基置換を含むDNAを合成した。変異
体HBsAgの完全コード領域はHindIII で切断し
てpUC19ベースベクターからそのまま取り出すこと
ができる。pUC19−変異体HBsAgプラスミドは
E.コリを形質転換するために用いた。完全変異体HB
sAgをコードする領域を有する組換え体プラスミドを
選択した。完全変異体HBsAgORFをHindIII
で切断してこの組換え体プラスミドから取り出した後、
GAL10プロモーター発現ベクターにクローン化する
ために分離用アガロースゲル電気泳動によって0.7kb
p の変異体HBsAgDNAを分離精製した。
【0040】発現カセット(pGAL10−tADH
1)は、ガラクトース誘導性GAL10プロモーターか
ら下流の唯一のHindIII 部位に挿入された外来遺伝
子の発現を行なう。前記の(HindIII 末端を持つ)
HBsAgORFを、ベクターのHindIII 部位に結
合した。この発現カセットを大腸菌(E.coli)のシャトル
・ベクターpC1/1(前出Beggs)のSphI部位の間
に挿入して、このベクターを酵母(S.cerevisiae)株C
F52又はCF54に導入して、形質転換したクローン
を選択した。
【0041】上述の変異体SORFをコードする断片は
前述のように〔クニスケルン(Kniskern)等、ジーン、第
46巻、135〜141頁(1986年)〕、(a)G
AP491プロモーターの約1.1kbp 、(b)酵母由
来フランキング配列10bp(c)SのウイルスORFの
681bp及び(d)酵母ADH1ターミネーターの約
0.4kbp からなる発現カセットを構築するために用い
た。
【0042】3種の異なる発現ベクターを用いて、HB
sAg発現カセットを構成した。前述のGAP491プ
ロモーター発現カセット〔Kniskernら、1986Gene4
6、pp135〜141〕は、pBR322骨格内の約
1.1kbp のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロ
ゲナーゼ(GAPDH)プロモーターと約350bpの酵
母アルコールデヒドロゲナーゼI(ADH1)ターミネ
イターから成り、プロモーターとターミネーターの間に
唯一のHindIII 部位を持つ。実施例2のHBsAg
ORFを唯一のHindIII 部位に結合して、その存在
と定位を制限エンドヌクレアーゼ分析とサザンブロット
法で確認した。
【0043】別の方法としては、前記構成中の1.1kb
p のGAPプロモーターを(0.5kbp の)GAL10
プロモーター(Schultzら、1987、Gene、54、pp1
13〜123)に代えるか、もしくはこのGAPプロモ
ーターを(1.25kbp の)ADH2プロモーター(Kn
iskernら、1988、Hepatology、8、82〜87)に
代えた(第1図参照)。
【0044】どちらの場合にも、特異的プロモーター、
HBsAgORF、及びADH1ターミネーターを含む
発現カセットをシャトルベクターpC1/1(Beggs 、
前出;Rosenberg ら、前出)にクローニングして、酵母
発現ベクターを作り、そしてこれを後述するように酵母
(S.cerevisiae)の形質転換に用いた。これらの形質転
換細胞を評価と後の実験のために凍結保存して確保し
た。親株CF52を以下のように作った:YEHD完全
培地プレート上で混合することにより、α交配型株CZ
5/LB347−1C(mnn9- 、SUCZ- )をa
型株2150−2−3(leu2- 、adel- )と交
配させた。倍数体を選択するために、唯一の炭素源とし
て2%スクロースを含むleu- 最小培地に交配した株
をレプリカ平板法で植えつけた。単一のコロニーを単離
した後、倍数体を胞子形成させて、標準的技術で子嚢を
切り取った。KHY−107株を単一胞子として単離し
て、cir+ 、adel+ 、leu2- 及びmnn9-
として特徴づけた(Shiff株技術)。
【0045】KHY107(cir0)をBroach〔“Me
thods in Enzymology ”101PartC、pp307〜32
5(1983)〕が述べるようにKHY107(cir
+ )株からとり出した。キュアーした株を切断したur
a3遺伝子のくみ込みによってura3- にした。こう
して得た株KHY−107ura3Δを濃厚な培地で成
長させて自発的突然変異を蓄積させて、カナバニン耐性
突然変異体を選択した。突然変異株CF55は、相補性
テストによってcan1- とわかった。GAL10pG
AL4発現カセットをCF55のHIS3遺伝子にくみ
こんで(“Method in Enzymology”、1990、185
pp297〜309)最終ホスト株CF52(Mata
leu2−2、112ura3Δ can1his3
Δ::GAL10pGAL4−URA3、cir゜)を
産する。形質転換細胞は、評価と後の実験のために凍結
保存して確保した。
【0046】凍結保存しておいた組み換え酵母をYEH
D培地で成長させた〔Carty ら、J.Industrial Micro.,
2、117〜121(1987)〕。定常期まで成長さ
せた後に、細胞を収穫した。リゼイトを調製して、ドデ
シル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)で分離して、HBsAgに対する
抗体を用いて免疫ブロッティングした。SORFの翻訳
生成物の予想される分子量と一致する約24KDの分子
量のポリペプチドが見つかった。さらに、親酵母ではな
く組み換え酵母のリゼイトは、ラジオイミュノアッセイ
(AusriaR)によってSに対して陽性だった。部分的に精
製した酵母リゼイトを電子顕微鏡で調べると、高密度の
典型的HBsAg粒子が見られた。
【0047】酵母由来プロモーターは、HBsAg及び
関連遺伝子の転写を開始させる。したがって、この分野
に通じる者には明らかであるが、どの酵母由来プロモー
ター配列も(たとえば、GAL1、GAL10、ADH
2、Pho5、等、ただしこれらに限定されない)GA
P491プロモーターで代用できる。又、この分野に通
じる者には明らかであるが、免疫学的、又はRIA、又
はエンザイムイミノアッセイ(EIA)等の適当なアッ
セイ方法を用いて、このシステムのHBsAg及び関連
ポリペプチドの発現をアッセイして、最大収量を得る培
養の収穫時期を最適化するべきである。
【0048】GAP491プロモーターは、HBsAg
を含む数種の外来タンパク質の酵母内での発現に有用で
ある〔Bitterら、Gene、32:263〜274、(19
84):Wampler ら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 、82:
6830〜6834、(1985)〕。可溶酵母タンパ
ク質の約40%までHBcAgを発現するという前述の
結果(Kniskernら、前出)に基づき、我々は、適当な酵
母ホスト細胞中のHBsAg及び関連タンパク質の発現
を行なうためにこのプロモーターを用いた。
【0049】この分野に通じる者には明らかなように、
HBV表面タンパク質発現に用いる適切な酵母株には多
様なものが含まれる。適当な酵母株には、プロテアーゼ
欠乏等の遺伝的及び表現型の特性を持ったものや異なっ
たグリコシル化能力のあるものなどが含まれるがこれに
限定されない。
【0050】組み換え酵母発現HBVタンパク質のグリ
コシル化を調整して定義するために、酵母株CF52
(Mata leu2−2、112Ura3Δcan1
his3Δ::GAL10pGAL4−ura3、c
ir゜)を前述のように構成した。
【0051】発現プラスミドpC1/1pGAL10H
BsAg−tADH−1を用いてCF52(Mata、
leu2−2、112ura3Δ can1 his3
Δ::GAL10pGAL4−ura3、cir゜、m
nn9−)を形質転換した。形質転換したクローンを、
1Mソルビトールを含む最少培地(leu- )上で選択
した。クローニングした形質転換細胞を、後の評価とあ
とにつづく実験のために17%グリセロール中に凍結保
存して確保した。
【0052】グリコシル化野性型コントロールを得るた
めに、発現プラスミドをまた用いて酵母株CF54を形
質転換して、これを確立している技術でCF52株から
単離したが、これはmnn9+に対する自発的復帰変異
体である(したがって、グリコシル化に対しては野性型
であり、他についてはCF52株と同一の遺伝子型であ
る)。形質転換してクローニングした単離物を、後の評
価やさらなる実験のために17%グリセロール中に凍結
保存して確保した。
【0053】発現プラスミドを含む形質転換酵母クロー
ンをleu- 選択寒天平板(mnn9- 変異体の場合1
Mソルビトールを含む)上に広げ、30℃で2〜3日間
インキュベートした。これらの酵母を複合YEHD(カ
ーチー等、前出)培地(0.1〜1Mソルビトールを含
む)の5〜7ml培養液に植えこの培養液を通気しながら
12〜18時間インキュベートした。0.1Mソルビト
ールを含む50mlの複合YEHD培地(以後YEHDS
と呼ぶ)とGAL10プロモータープラスミドに対する
2%ガラクトースを含有するフラスコに上記培養を植え
(初期A600 =0.1になるように)、最終A600 が1
0〜16になるまで30℃で振盪(350rpm )しなが
ら48〜72時間インキュベートした。10A600 単位
の試料を管中に分取し、酵母細胞を2000xg、10分
間遠心して沈降させた。試料を直接検定するか又は−7
0℃で凍結保存した。検定の際には、沈降物を2mMフェ
ニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含有す
るリン酸緩衝食塩水(PBS)0.4mlに懸濁し、1.
5mlのエッペンドルフ管に移した。酵母細胞を1)20
0〜300mgの洗浄したガラスビーズ(0.45mm)を
加え、ボルテックスミキサー上で15分間攪拌する、
2)トリトンX−100を0.5%添加する、3)ボル
テックスミキサー上で2分間攪拌するそして4)4℃で
10分間インキュベートすることにより破砕した。細胞
破片及びガラスビーズを除去し、上清をタンパク質〔ロ
ーリー(Lowry) 等、J.Biol.Chem.第193巻、265頁
(1951年)〕及びS(AUSRIAR )について検
定した。
【0054】mnn9−表現型のホスト細胞内の前述の
すべての組み換えクローン由来のポリペプチドを免疫ブ
ロット分析すると、あきらかに約24KDの分子サイズ
の1つのバンドを示した。
【0055】組み換えタンパク質に関して、定性的及び
定量的グリコシル化パターンは、ホスト細胞種、そして
種内の細胞系統の関数であり、大部分それらに左右され
る。すなわち、この分野に通じる者には明らかなよう
に、ホスト株の選択はグリコシル化経路の酵素の突然変
異が同定できる酵母(S.cerevisiae)以外の種や細胞系統
が含まれる。又、この分野に通じる者には明らかなよう
に、酵母(S.cerevisiae)のホスト株の選択には、グリコ
シル化経路の酵素の突然変異が同定できるすべての株が
含まれる。
【0056】次いで形質転換クローンはpUC19−H
BsAgDNAの存在とp24HBsAgの発現に対し
てスクリーンした。細胞をGAL10プロモータープラ
スミドの場合にはガラクトースを含有するYEHDS培
地中で生育させて発現後のグルコースの消耗を誘発させ
た。溶菌液を調製し、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で展開
し、ニトロセルロースにウェスタンブロットした。p2
4産物は誘発形質転換体にのみ存在し、抗p24血清と
の反応性によってSタンパク質に特異的であることがわ
かった。これらの1つを更に分析に選択した。更にその
上親S.セレビシエではない形質転換体の溶菌液はラジ
オイムノアッセイによりHBsAgに陽性であった。
【0057】このことは、酵母(S.cerevisiae)内のHB
sAg及び関連表面タンパク質の発現を指示するために
GAL10プロモーターを利用する発現ベクターの有用
性をはっきり示している。この分野に通じる者には明ら
かなように、調節可能なGAL10プロモーター、ある
いは互いに区別できない機序で働くGAL1、GAL
2、GAL7又はMEL1プロモーターは、組み換えタ
ンパク質の合成を開始する前に組み換え酵母(S.cerevis
iae)培養の成長を生産規模の量までスケールアップする
ことを可能にして、ホスト細胞への悪影響を最小にす
る。さらに、この分野に通じる者には明らかなように、
別の調節プロモーター(ADH2とα交配因子を含むが
これに限定されない)を含む発現ベクターは他の方法で
生理学的に誘導又は脱抑制可能であり、S及びpreS
を含むペプチドの発現の指示に利用することができる。
さらにこの分野に通じる者には明らかなように、GAP
DHほど強力でない構成プロモーター(CYC1を含む
が、これに限定されない)は、S及びpreSを含むタ
ンパク質をより低い細胞タンパク質のパーセンテージで
発現させて、生理学的な悪影響である過剰発現をふせ
ぐ。この分野に通じる者には明らかなように、ウエスタ
ン−ブロット法又はラジオイミュノアッセイ等の適切な
アッセイ方法を用いて、このシステムでのS及びpre
Sを含むポリペプチドの発現をアッセイして、最大収量
を得る培養の収穫時間を最適化しなければならない。
【0058】粒子形態のHBsAgを認識するヤギ抗体
と結合した免疫アフィニティー・カラムを用いて、形質
転換酵母(S.cerevisiae)からのS及びS関連タンパク質
を精製する。溶出生成物はラジオイミノアッセイでHB
sAg陽性であり、電子顕微鏡では粒子形態であった。
HBsAgとpreS抗原の両方、又はHBsAgだけ
を含むこのような粒子形態は、HBVワクチン及び診断
用試薬として効果がある。
【0059】B型肝炎ウイルス表面タンパク質又はその
変異株を解読する発現ベクターで形質転換した酵母細胞
を成長させて収穫した。望ましければ、PBS等のバッ
ファー溶液で細胞を洗浄して細胞ペーストを形成し、通
常は−70℃で凍結して、細胞を保存できる。
【0060】HBsAg及び関連タンパク質の精製は、
通常以下のようにはじめる。形成した、又は凍結してお
いた細胞ペーストのバッチを、バッファーに、このまし
くはTRISに、約8.5ないし11.0の高い範囲の
pHで、好ましくは約10.5のpHで懸濁させる(バッフ
ァーは適当なプロテアーゼ阻害剤を含んでいてよい)。
その後、細胞を、好ましくは機械的手段で摩砕する。大
規模に用いるにはビーズによるおだやかな破砕方法は不
適当であることがわかっている。高圧ホモジナイザー(G
aulin 又はStanstedホモジナイザーを用いた約10,0
00ないし20,000psi)での摩砕は、操作が迅速で
十分であるために好ましい。
【0061】酵母細胞の摩砕で未精製抽出物を得る。次
に未精製抽出物のpHを調整する。pHは8.0ないし1
1.0の範囲、好ましくは10.5に調整する。
【0062】この時点で未精製抽出物に界面活性剤を加
えてもよい。界面活性剤を加えることによって、不要な
細胞片から酵母細胞膜を分離しやすくなる。preS2
+Sタンパク質は、他の形態の表面タンパク質と同様
に、酵母細胞膜といっしょになっていることがわかって
いる。多様な中性又は非イオン性界面活性剤を用いるこ
とができるが、これにはTRITON−N系、TRIT
ON−X系、BRIJ系、TWEEN系又はEMASO
L系の界面活性剤、デオキシコラート、オクチルグルコ
ピラノシド又はNONIDET−Np−40が含まれる
が、これらに限定されない。CHAPS又はCHAPS
O等の両性イオン界面活性剤も、適当な活性剤として利
用できる。
【0063】界面活性剤を用いる場合、好ましい界面活
性剤は、約0.5%の濃度のTRITONX−100で
ある。強張しておかなければならないが、本発明の方法
はこの工程での界面活性剤の使用を必要とするものでは
なく、界面活性剤の使用は任意である。
【0064】次に、プロテアーゼ阻害剤が溶菌中に存在
しないならば、抽出物を熱処理してよい。熱処理は、一
定範囲の温度と処理時間以上で有効である。通常、45
℃ないし60℃の温度範囲を用いるが、50℃が好まし
い温度である。熱処理の時間は通常20ないし40分で
あるが、好ましくは30分間である。抽出物を適当な容
器に入れて、この容器を熱浴に浸して熱処理するか、又
は熱交換器を用いる。次にこの物質を、好ましくは氷水
浴させるか熱交換器を用いるかして、約10℃まで冷却
する。この分野に通じる者には明らかなように、本発明
の方法によれば、熱処理と細胞片をとりのぞく工程の順
序をかえても、この方法の結果に大きな影響はない。別
の方法としては、全酵母細胞を中性pHバッファー中で加
熱して、前述のように摩砕して界面活性剤を加えてもよ
い。
【0065】熱処理した未精製抽出物から細胞片を取り
のぞくことは、後の精製工程での物理的吸収をふせぐた
めに必要である。遠心分離、マイクロフィルター濾過又
は透明な抽出物を与える濾過により細胞片を取りのぞく
ことができる。遠心分離は、いろいろな時間で、いろい
ろな遠心力で行なうことができる。4℃で3000xg、
15分間の遠心分離で十分なことがわかっている。ま
た、遠心分離の前に抽出物を希釈して未精製酵母細胞抽
出物が通常持つ粘性を減少させるのも好ましい。希釈に
よって、この方法の後の工程は全く変わらない。
【0066】マイクロフィルター濾過は、濾過と透析を
同時に行なえる利点がある。Microgen Inc. 製のKRO
SFLO又はAmiconあるいはA/GTechnology製のすべ
ての中空繊維カートリッジ等、いくつかのタイプのマイ
クロフィルター濾過キットがこの工程に適している。好
ましいマイクロ・フィルター濾過方法は、約0.1ない
し0.2ミクロンの孔径のプレートとフレームから成る
マイクロフィルター濾過キットであるProstak Durapore
膜(Millipore) に、注入圧約2ないし7psi で、約0.
1M TRIS、(pH約10.4)と約0.1%TRI
TONX−100を含むバッファーを用いて抽出物を濾
過することである。
【0067】遠心分離の上澄み、又はマイクロ・フィル
ター濾過の濾過をこの方法の次の工程に入る前に濃縮し
てもよい。濃縮は、透析、濾過、凍結乾燥、限外濾過及
び透析濾過(diafiltration) を含むいくつかの方法で行
なうことができるが、これらに限定されない。本発明の
好ましい濃縮方法は、透明にした抽出物を105 分子量
カットオフ中空繊維限外濾過システムに通すことであ
る。透明化した抽出物の体積は、マイクロ・フィルター
濾過生成物に関しては約6.5倍、希釈、遠心分離生成
物に関しては約2倍の割合で減少して、濃縮した保持物
質を与える。濃縮後、保持物質を透析濾過してさらに低
分子量の混入物をとりのぞく。透析濾過は、105 分子
量カットオフ中空繊維システムを用いて行なう。
【0068】TRITONX−100を加えた場合、透
析、ある種の有機溶媒を加えること、凍結、クロマトグ
ラフィーによる分離、そしてExtractogel(Pierce) やX
AD樹脂(Romicon) 等の界面活性剤に特異的に結合する
ゲル又は樹脂との接触を含む、しかしこれらに限定され
ないいくつかの従来の方法でTRITONX−100を
とりのぞくことができる。本発明のTRITONX−1
00を取りのぞく好ましい方法は、TRITONX−1
00を含む熱処理した抽出物をXAD−2又はXAD−
4樹脂(ポリスチレンジビニルベンゼン)のカートリッ
ジ内を循還させることである。熱処理した抽出物を約1
0時間4℃でXADカートリッジ内を循還させた後、適
当な容器、たとえば密閉ガラスビンに回収する。
【0069】細胞が高pH緩衝液中で破壊した場合には抽
出液のpHをpH約7.0〜7.9、好ましくはpH約7.7
に調整する。pH約7.7に調整した後本発明に従って高
pHで熱処理すると次の工程で使用される幅広い孔のシリ
カに対するエンベロープタンパク質の吸着を非常に促進
する。熱処理抽出液のpH調整はトリトンX−100除去
工程前に手順の結果に影響せずに行なうことができる。
従って当業者には本発明の方法に従ってpH調整とトリト
ンX−100の除去工程を行なう順序をこの手順の結果
に著しく影響せずに逆にすることができることは明白で
あろう。
【0070】こうしてHBsAgを混入物から容易に分
離してほぼ純粋なHBsAgを得る。好ましい混入物の
除去方法は、HBsAgを大孔径シリカに吸着させるこ
とである。本発明のもっとも好ましい方法は、HBsA
gを孔径約1000ないし1500オングストローム、
シリカ粒子径約30ないし130ミクロンの範囲の大孔
径シリカ(Amicon)に吸着させることである。HBsAg
は容易にシリカの孔に入って保持される。したがって、
酵母細胞タンパク質混入物は容易に洗い流すことができ
る。
【0071】大孔径シリカへの表面タンパク質の吸着
は、クロマトグラフィー的やり方でも又、クロマトグラ
フィーを用いないバッチ単位のやり方でも行なえる。ク
ロマトグラフィーによる吸着は、pH調整した抽出物を、
カラムクロマトグラフィー装置内の大孔径シリカのベッ
ドに通して行なう。通常、約1リットルの熱処理した抽
出物を流速約200ml/時で、約300ml(乾燥重量約
100g)の大孔径シリカビーズを入れたジャケットカ
ラム装置にかける。
【0072】クロマトグラフィーを用いない大孔径シリ
カへの吸着は、熱処理した抽出物を適当な容器、たとえ
ば密閉ガラスびん中でシリカと混合して行なう。好まし
い方法は、ガラスビン中の熱処理抽出物約1リットルに
300mlの大孔径シリカを加えて、たえず混合しながら
インキュベートすることである。吸着はいろいろな時間
と温度で適切に行なえるが、好ましくは約4〜8℃で約
1.5時間行なう。
【0073】未吸着物のない表面タンパク質が吸着した
シリカの洗浄もまた、クロマトグラフィーを使わずに行
なうことができるが、前述のようにクロマトグラフィー
吸着用カラム装置にシリカを注入することができる。バ
ッチ単位の洗浄は、大孔径シリカから熱処理抽出物を排
出して、シリカに吸着したHBsAgの遊離をひき起こ
さない数倍体積のバッファーを加えて行なう。好ましい
バッファーはPBSである。シリカを排出して洗浄工程
を3ないし5回くりかえす。HBsAgが吸着したシリ
カのクロマトグラフィーによる洗浄は、280nmの消滅
が確実となるまでPBSを流速約200ml/時でシリカ
に通じて行なう。
【0074】pH約8.5ないし9.0のバッファー溶液
を用いて、HBsAgを洗浄した大孔径シリカから溶離
する。好ましくは、約0.05Mホウ酸塩から成るpH約
8.7のバッファー溶液を用いて表面タンパク質を脱着
する。HBsAgの脱着は、広範囲にわたる温度で容易
になる。約55℃での脱着が好ましい。
【0075】クロマトグラフィーを用いない脱着は、pH
8.7の0.05Mホウ酸塩バッファー1200mlと洗
浄したHBsAgが吸着した大孔径シリカ約700mlを
混合して行なう。脱着は約25分間つづける。その後溶
出液を集めて、この脱着工程を2回くりかえし、溶出液
を冷却する。
【0076】クロマトグラフィーによる脱着は、洗浄し
たシリカのジャケットカラムを約55℃にあたためて行
なう。pH8.7の0.05Mホウ酸塩バッファーを55
℃にあたためた後、流速500ml/時でカラムにかけ
る。次に溶出液を回収して冷却する。溶出液の体積は通
常だいたい大孔径シリカに通じた熱処理抽出物と同じで
ある。
【0077】溶出したHBsAgはたいてい濃縮するの
が好ましい。好ましい濃縮方法は、pH8.7の0.05
Mホウ酸塩バッファーを用いて、溶出液を105 分子量
カットオフ中空繊維透析濾過装置に通すことである。溶
出した表面タンパク質の体積は、一般にこの装置では1
6分の1に減少する。透析濾過保持物を、必要ならば、
マイクロ−フィルター濾過で滅菌できる。
【0078】HBsAgの炭水化物成分をDuboisら(An
al.Chem., 28、pp350、1956)の方法で決定す
る。この方法の一般的原理は、遊離した、又は遊離し得
る還元基を持つメチルエーテルを含む単糖、オリゴ糖、
多糖及びそれらの誘導体が、フェノールと濃硫酸で処理
するとオレンジイエローに発色するということである。
一定のフェノール濃度で生じる発色の度合は、存在する
糖の量に比例する。
【0079】HBV表面タンパク質の試料の炭水化物成
分を決定するために、10ないし70μg のタンパク質
を含む1mlの溶液を試験管に入れた。一連の炭水化物の
スタンダードとブランクの試薬を用意する。5%フェノ
ール溶液1mlを各試験管に入れて、試験管を混合し、9
6%硫酸溶液5mlを加えて混合する。試験管を室温で1
0分間インキュベートして混合し、25ないし30℃で
20分間インキュベートする。試料を(ヘキソースとメ
チル化ヘキソースについてはA490 、ペントース、ウロ
ン酸及びそれらのメチル化誘導体についてはA480 で)
分光光度計で読み、HBsAg試料中の炭水化物量を、
炭水化物スタンダードとの比較で決定する。
【0080】“野性型”組み換え酵母細胞(CF54)
が生成したHBsAgとCF52(mnn9−)組み換
え酵母細胞が生成したHBsAg両方の炭水化物成分を
前記のように分析した。この結果にもとづき、各試料中
に存在するタンパク質に対する炭水化物量の比を、炭水
化物のマイクログラム数を試料中のタンパク質のマイク
ログラム数で割って計算した。この比の計算で、mnn
- 組み換え酵母細胞で生成したHBsAgは、つねに
組み換え“野性型”酵母細胞で生成したHBsAgの炭
水化物成分の10分の1を含むことがわかった。これら
の結果、mnn9- 突然変異酵母細胞が生成するHBs
Agは、“野性型”酵母細胞が生成したHBsAgにく
らべて十分に減少した量の炭水化物を含むことがわか
る。
【0081】以下の実施例は本発明を説明するものであ
り、これに制限を加えるものではない。以下の実施例中
で触れる各参考文献の内容は、ここで引用例として組み
込む。
【0082】実施例1 pBR322におけるHBVDNAのクローニング HBVデーン粒子(血清型adw)をヒト(キャリア)
の血漿から単離精製し、二本鎖DNAをランダース(Lan
ders) ら〔ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virolog
y)、第23巻、第368−376頁、1977年〕及び
ルスカ(Hruska)ら(ジャーナル・オブ・バイロロジー、
第21巻、1977年)の方法に従いデーン粒子中の内
在ポリメラーゼにより合成した。そのDNAはSDS中
プロテイナーゼKで切断し、フェノール/クロロホルム
抽出及びエタノール沈降を行って単離した。HBVゲノ
ムDNAをEcoRIで切断して単一の3.2kbp 断片
を得、これをpBR322のEcoRI部位に組込んで
クローニングし、pHBV/ADW−1を形成する。H
BVDNAの存在はEcoRI切断、ニトロセルロース
へのサザンブロットトランスファー及び〔32P〕標識特
異的オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリッド形成
により確認した。
【0083】実施例2 pGAP−tADH−2発現ベクターにおけるpreS
2+S遺伝子のクローニング プラスミドpHBV/ADW−1(実施例1記載)をE
coRI及びAccIで切断し、0.8kbp 断片をプレ
パラティブアガロースゲル電気泳動で精製した。更にp
UCプラスミドをEcoRI及びBamHIで切断し、
直鎖ベクターをプレパラティブアガロースゲル電気泳動
で精製した。preS2+SORFの5’部分を再組立
てするため、EcoRI部位から上流へATG、10bp
NTL配列、HindIII 部位を経てEcoRI末端に
至るORFを再構成する一対のオリゴヌクレオチドを合
成した。これらオリゴヌクレオチドの配列は下記であ
る:
【化1】 preS2+SORFの3’部分を再組立てするため、
AccI部位から翻訳ターミネーター、HindIII 部
位を経てBamHI末端に至るORFを再構成する2番
目の1対のオリゴヌクレオチドを合成した。これらオリ
ゴヌクレオチドの配列は下記である:
【化2】 オリゴヌクレオチド対をアニーリングさせてからpUC
EcoRI−BamHI切断ベクターに結合させた。得
られたベクター(2.8kbp)をプレパラティブアガロー
スゲル電気泳動で精製した。上記の0.8kbp EcoR
I−AccI断片をこのベクターと結合させた。pre
S2+SORFの存在及び向きは制限エンドヌクレアー
ゼ分析及びサザンブロットにより確認した。DNA配列
分析(サンガーら、1977年)から、2つの塩基置換
があるためにプラスミドHBpreSGAP347/1
9TのDNAがコードする配列とアミノ酸が違ってくる
ことが判明した。両方の構築物において同一のポリペプ
チドを評価するため、塩基64がCでなくT(Leuで
はなくPheをコードする)となり塩基352がAでな
くC(GlnではなくHisをコードする)となったこ
れらの置換を部位特定変異誘発で変化させた〔ゾラー及
びスミス、1982年、ヌクレイック・アシッズ・リサ
ーチ、第10巻、第6487−6500頁(Zoller and
Smith、1982、Nucleic Acids Research、10、pp
6487−6500)〕。preS2コード領域を含ま
ないHBsAgコード領域含有プラスミドを下記のよう
に組立てた:pUCHBpreS2+Sプラスミド(前
記)をEcoRI及びStyI制限エンドヌクレアーゼ
で切断した。pUC及びHBsAgコード領域を含む大
DNA断片(3.3kbp)をpreS2コードDNA断片
から分離し、プレパラティブアガロースゲル電気泳動で
精製した。次いで下記合成DNAオリゴヌクレオチド
対:
【化3】 をpUCHBsAg断片を結合させた。この合成オリゴ
ヌクレオチド対は5’EcoRI及び3’StyI付着
末端を含み、5’EcoRI部位の直後にHindIII
部位を有する。加えて、合成DNAオリゴヌクレオチド
対はHBsAgATGコドン、それより上流10bpの非
翻訳リーダー配列及びそれより下流のStyI部位含有
21ヌクレオチドを含む。このオリゴヌクレオチド対は
HBsAgの完全コード領域を再構成し、HindIII
切断によりpUCベースベクターからその領域を無傷で
取り出すことを可能にする。この結合DNAオリゴヌク
レオチド対を有するpUC−HBsAgDNAを大腸菌
を形質転換するのに用いた。完全再組立てHBsAgコ
ード領域を有する組換えプラスミドを選択した。発現ベ
クターにクローニングするために完全HBsAgオープ
ンリーディングフレーム(ORF)は、HindIII 切
断した後プレパラティブアガロースゲル電気泳動により
(0.7kbp)HBsAgDNAを単離、精製して組換え
プラスミドから取り出した。
【0084】実施例3 HBsAgaエピトープ変異体のクローニング プレS1又はプレS2をコードする領域を含まず変異体
“a”エピトープHBsAgORFを含むpUC19ベ
ースプラスミドを以下のように構築した。前述の完全H
BsAgをコードする領域を含むpUC19−HBsA
gプラスミドをパーキンエルマー/セタスGeneAmp DN
A増幅試薬キットを用い製造業者の勧める手順に従って
ポリメラーゼ鎖反応(PCR)によるDNA合成を開始
させるために用いた。プライミングはStyI〜Bst
xI部位の2つのオリゴヌクレオチドで行なった。Bs
txI部位の第1オリゴヌクレオチドは配列番号8の配
列を有し1個の塩基変化(GをCに)を含み、HBsA
gをコードするDNAに導入したHBsAgのエピトー
プ領域中145アミノ酸のGlyをArgにアミノ酸置
換を生じる。第2DNAオリゴヌクレオチドはStyI
部位からの配列、配列番号9、で合成した。このオリゴ
ヌクレオチドはポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いて
HBsAgDNAのStyI部位からBstxI部位ま
でのDNA合成を開始するために用いDNAを製造業者
の手順に従ってGからCへの置換を含む第1オリゴヌク
レオチドプライマーから産生した。二本鎖DNA(約4
50bp長)を分離し、分離用アガロースゲル電気泳動で
精製し、StyIとBstxIで切断し、分離、精製し
たpUCHBsAgベクターに連結し上述のStyIと
BstxIで切断して“a”エピトープを取り出した。
得られたベクターは制限エンドヌクレアーゼマッピング
及びDNAシークエンシングにより修飾された“a”エ
ピトープを含むことを確認した。
【0085】実施例4 3種の異なる発現ベクターにおける変異体HBsAgO
RFのクローニング 3種の異なる発現ベクターを用いて変異体HBsAg発
現カセットを組立てた。すでに述べたGAP491プロ
モーター発現カセット〔ニスカーンら、1986年、ジ
ーン、第46巻、第135−141頁(Kniskern et a
l.,1986、Gene、46、pp135−141)〕はp
BR322を主体とし約1.1kbp のグリセルアルデヒ
ド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモ
ーター及び約350bpの酵母アルコールデヒドロゲナー
ゼI(ADH1)ターミネーターから構成され、プロモ
ーターとターミネーターとの間に唯一のHindIII 部
位を有する。実施例2で得たHBsAgORFを唯一の
HindIII 部位で結合させ、その存在及び向きを制限
エンドヌクレアーゼ分析及びサザンブロットで確認し
た。一方(0.5kbp)GAL10プロモーター〔シュル
ツ(Schultz) ら、1987年、ジーン、第54巻、第1
13−123頁〕を1.1kbp GAPプロモーターの代
わりに用いて上記の組立てを行った。また(1.25kb
p)ADH2プロモーター〔ニスカーンら、1988年、
ヘパトロジー(Hepatology)、第8巻、第82−87頁〕
をGAPプロモーターの代わりに用いて組立てを行った
(図1参照)。各ケースとも、特定プロモーター、HB
sAgORF及びADH1ターミネーター含有発現カセ
ットをシャトルベクターpC1/1(ベッグス、前掲;
ローゼンバーグら、前掲)に組込んでクローニングし、
酵母発現ベクターを得、これを用いて下記のようにS.
セレビシアエを形質転換させた。
【0086】実施例5 酵母S.セレビシアエCF52(mnn9- )変異酵母
株の作成 酵母S.セレビシアエ株KHY107(cir+ 、ad
e1+ 、leu2- 及びmnn9- )は下記のように作
成した:α接合型株CZ5/LB347−1C(mnn
- 、SUCZ- )をYEHD完全培地プレート上でa
型株2150−2−3(leu2- 、ade1- )と混
合してその株と接合させた。二倍体を選択するため、接
合株を唯一の炭素源として2%スクロースを含むleu
- 最少培地上にレプリカし培養した。シングルコロニー
を単離し、二倍体に胞子形成させ、子嚢を標準技術で切
開した。KHY−107株は単一胞子として単離され、
cir+ 、ade1+ 、leu2- 及びmnn9- と性
質が同定された(シッフ染色技術による)。KHY10
7(cir0)をブローチ(Broach)〔メソッズ・イン・
エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 、第101
巻、パートC、第307−325頁、1983年〕の記
載したように株KHY107(cir+ )から誘導し
た。修正された株は破壊されたura3遺伝子を組込む
ことでura3- とした。得られた株KHY−107u
ra3Δは自然変異を蓄積させるため栄養培地で増殖さ
せ、カナバニン耐性変異株を選択した。変異株CF55
は相補性試験によりcan1- であることが示された。
GAL10pGAL4発現カセットをCF55のHIS
3遺伝子に組込み、最終宿主株CF52(Mata、l
eu2−2、112ura3Δ、can1his3
Δ::GAL10pGAL4−URA3、cir゜)を
得た。
【0087】実施例6 CF52mnn9- 変異酵母におけるHBsAgの酵母
形質転換及び種菌確立 実施例4で記載されたpC1/1pGAL10HBsA
g−tADH−1プラスミドを用いてS.セレビシアエ
株CF52を形質転換させた。クローンを最少培地(1
Mソルビトール含有leu- )で選択し、凍結ストック
(17%グリセロール中)として確立し、下記のように
評価した。
【0088】実施例7 酵母CF52(mnn9- )におけるGAL10プロモ
ーターに続くHBsAg遺伝子の増殖及び発現 実施例6に記載された発現プラスミド含有酵母のクロー
ンを1Mソルビトール含有leu- 選択寒天プレート上
におき、30℃で2〜3日間インキュベートした。これ
らの酵母を複合YEHDS(YEHD+1Mソルビトー
ル)5〜7mlに接種し、培養物を通気下30℃で12〜
18時間インキュベートした。50mlYEHDS+2%
ガラクトース培地含有フラスコに初期A600 が0.1と
なるよう上記培養物を接種し、振盪下(350rpm)最終
600 =10〜16まで30℃で72時間インキュベー
トした。10A600 単位のサンプルを管内にいれ、酵母
細胞を2000xgで10分間遠心してペレットにした。
そのペレットは直接調べるか又は将来のアッセイのため
に−70℃で貯蔵した。アッセイ時には、そのペレット
を2mMPMSF含有リン酸緩衝液0.4mlに再懸濁し
た。酵母細胞は:1)洗浄されたガラスビーズ(0.4
5mm)200〜300mgを添加、2)渦巻式ミキサーで
15分間攪拌、3)0.5%(v/v) となるようトリトン
X−100を添加、4)渦巻式ミキサーで2分間攪拌及
び5)4℃で10〜15分間のインキュベートにより破
壊した。細胞砕片及びガラスビーズを13,000xgで
10分間の遠心により除去した。清澄化された上澄液を
とり、タンパク質〔ローリーら、ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・ケミストリー、第193巻、第265
頁、1951年(Lowry et al.,J.Biol.Chem., 193、
265(1951)の方法による〕及びHBsAgにつ
いては、AUSRIAR アッセイ〔アボット(Abbott)〕
により分析した。典型的なアッセイ結果を以下に示す。 表I 種記述 AUSRIA SP.ATC. P24 レベル UG/ML UG/MGタンパク質 イムノブロット pGAL10 2.0,1.3,0.6 0.34,0.20,0.11 +++ pADH2 1.7,1.0,1.0 0.25,0.18,0.16 +++ 非変異体S 4.5 0.61 + pGAL10(adw)
【0089】実施例8 発酵槽におけるHBsAg産生S.セレビシアエ(mn
n9- )の大規模培養 凍結された組換え酵母培養物を1Mソルビトール含有l
eu- プレート上に接種した。プレートを28℃で2〜
3日間にわたり下を向けてインキュベートした。プレー
ト上の増殖物をYEHDSに再懸濁し、再懸濁された増
殖物を500mlYEHDS及び2%ガラクトース含有2
リットルエーレンマイヤーフラスコ中に移した。フラス
コを制御環境振とうインキュベーター中28℃及び35
0rpm で18〜22時間インキュベートした。次いでこ
れらの種培養物を用いて、産生段階容器に接種した。1
以上のフラスコからの接種原(1〜5%v/v)を各々YE
HDS10リットル又は200リットル含有の16又は
250リットル発酵槽中に移した。16リットル発酵槽
は500rpm 、空気5リットル/min 、28℃で操作し
た。250リットル発酵槽は160rpm 、空気60リッ
トル/min 、28℃で操作した。種培養物を接種後40
〜46時間目に発酵槽から回収した。通常15.0A
660 単位の光学密度値が得られた。中空繊維濾過装置を
用いて細胞を濃縮した後緩衝塩溶液により細胞を洗浄し
て回収した。細胞スラリーは下記のように調べるか又は
次の処理及び分析のために−70℃で凍結貯蔵した。2
0%洗浄細胞スラリーの少量サンプル(0.6ml)を
1.5mlエッペンドルフ管中でガラスビーズ(0.45
〜0.52mm)を用いて破壊した。PMSF(200mM
ストック6.5μl)をプロテアーゼ阻害剤として加え
た。破壊後に一部を管から取出し、免疫ブロット分析用
に−70℃で凍結した。管内の残留サンプルにトリトン
X−100を最終濃度0.5%まで加え、サンプルをし
ばらく混ぜ、4℃で20〜40分間インキュベートし
た。細胞砕片を遠心により除去し、清澄化された細胞抽
出物の
【0090】実施例9 組換えHBsAgの大規模精製 凍結細胞ペースト(組換えSタンパク質産生細胞)約2
50gをリン酸緩衝液(PBS)で17%湿重量/容量
(約1500ml)に再懸濁した。細胞を水浴に浸して4
5℃に加熱した。細胞を45℃で15分間保ち、しかる
後氷で約10℃に冷却した。次いで細胞をゴーリン(Gau
lin)ホモジナイザーに2回通して破壊した。ホモジナイ
ズ後、10%トリトンX−100を最終濃度0.3%ま
で加え、約15分間混ぜた。次いで細胞抽出物を360
0xg、4℃で20分間遠心し、上清を集めた。次いで上
清をXAD−2樹脂約200g含有カラムに通してトリ
トンX−100を除去した。次いで流出液を孔径約15
00Å及び粒径約50ミクロンの広孔シリカ約150g
含有のカラムに直接通過させた。用いたカラムは5cm径
〔ファルマシア(Pharmacia) 〕であり、流速約200ml
/hrで行った。シリカカラムはA280 がベースラインに
戻るまでPBSで洗浄した。Sタンパク質を溶出させる
にはまずA280 の上昇が観察されるまで、流速約500
ml/hrで冷ホウ酸緩衝液(50mM、pH8.7、4℃)を
流した。A280 が上昇し始めたら、カラムを55℃に加
熱し、55℃緩衝液をカラムに約500ml/hrで流し
た。Sタンパク質含有溶出液(約1リットル)を氷上で
集めた。次いで溶出液を分子分画量105 の中空糸膜透
析濾過ユニットを用いてpH8.7の50mMホウ酸緩衝液
に対して透析濾過し約200mlまで濃縮した。次いでS
タンパク質を0.2ミクロンフィルターで濾過し、貯蔵
した。生成物は安定であることがわかり、ウェスターン
ブロット分析で観察される有意の分解はなかった。
【0091】
【配列表】
【0092】配列番号:1 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:ACAAAACAAA
【0093】配列番号:2 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:AATTCAAGCT TACAAAACAA AATGCAGTGG
【0094】配列番号:3 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:GTTCGAATGT TTTGTTTTAC GTCACCTTAA
【0095】配列番号:4 配列の長さ:16 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:ATACATTTAA AGCTTG
【0096】配列番号:5 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:TGTAAATTTC GAACCTAG
【0097】配列番号:6 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:AATTCAAGCT TACAAAACAA AATGGAGAAC ATCACATCAG
GATTC
【0098】配列番号:7 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:GTTCGAATGT TTTGTTTTAC CTCTTGTAGT GTAGTCCTAA
GGATC
【0099】配列番号:8 配列の長さ:40 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:CCAGGACGAT GGGATGGGAA TACAGGTGCA ATTTCGATCC
【0100】配列番号:9 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:GenomicDNA 配列:AGGATTCCTA GGACCCCTGC TCGTGTT
【図面の簡単な説明】
【図1】GAL10プロモーター、変異体HBsAgを
コードする領域のクローニングにユニークなHindII
I 部位及びtADH−1ターミネーターを含むプラスミ
ドpGAL10−vHBsAg−tADH1の図式であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月26日
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 L 9015−2J 33/576 B 9015−2J //(C12N 1/19 C12R 1:865) (72)発明者 アーピ ハゴピアン アメリカ合衆国,19446 ペンシルヴァニ ア,ランスデール,ハートレイ ドライヴ 771

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫的に活性な粒子を形成するB型肝炎
    ウイルス表面タンパク質の免疫aエピトープ変異体。
  2. 【請求項2】 エントラップされた炭水化物又は糖タン
    パク質含量が実質的に減少した請求項1記載のB型肝炎
    ウイルス表面タンパク質。
  3. 【請求項3】 タンパク質グリコシル化が遺伝的に欠落
    している組換え体酵母細胞中で生産される請求項2記載
    のB型肝炎ウイルス表面タンパク質。
  4. 【請求項4】 酵母細胞の遺伝欠落がmnn9遺伝子に
    ある請求項3記載のB型肝炎ウイルス表面タンパク質。
  5. 【請求項5】 精製表面タンパク質のタンパク質に対す
    る炭水化物比が0.5未満である請求項2記載のB型肝
    炎ウイルス表面タンパク質。
  6. 【請求項6】 免疫変異体aエピトープがB型肝炎ウイ
    ルス表面タンパク質の124と147アミノ酸間のアミ
    ノ酸変性、置換、欠失又は付加から生じる請求項1記載
    のB型肝炎ウイルス表面タンパク質。
  7. 【請求項7】 B型肝炎ウイルス表面抗原の145位に
    アミノ酸置換を有する請求項6記載のB型肝炎ウイルス
    表面タンパク質。
  8. 【請求項8】 145位のアミノ酸がグリシンからアル
    ギニンに置換される請求項7記載のB型肝炎ウイルス表
    面タンパク質。
  9. 【請求項9】 実質的に減少しエントラップされた炭水
    化物又は糖タンパク質含量が実質的に減少した粒子を形
    成するB型肝炎ウイルス表面タンパク質の免疫aエピト
    ープ変異体を包含しているヒトに有用なB型肝炎ウイル
    スに対するワクチン。
  10. 【請求項10】 免疫変異体aエピトープがB型肝炎ウ
    イルス表面タンパク質の124と147アミノ酸間のア
    ミノ酸変性、置換、欠失又は付加から生じる請求項9記
    載のワクチン。
  11. 【請求項11】 B型肝炎ウイルス表面タンパク質の1
    45位にアミノ酸置換を有する請求項10記載のワクチ
    ン。
  12. 【請求項12】 145位のアミノ酸がグリシンからア
    ルギニンに置換される請求項11記載のワクチン。
  13. 【請求項13】 タンパク質グリコシル化が遺伝的に欠
    落している組換え体酵母細胞中で生産される請求項9記
    載のワクチン。
  14. 【請求項14】 遺伝欠落がmnn9遺伝子にある請求
    項13記載のワクチン。
  15. 【請求項15】 表面タンパク質のタンパク質に対する
    炭水化物比が0.5未満である請求項9記載のワクチ
    ン。
  16. 【請求項16】 実質的に減少しエントラップされた宿
    主細胞炭水化物又は糖タンパク質含量が実質的に減少し
    た粒子を形成する免疫変異体aエピトープB型肝炎ウイ
    ルスタンパク質を包含し、天然の抗酵母抗体との反応性
    が低下する免疫診断用試薬。
  17. 【請求項17】 精製表面タンパク質のタンパク質に対
    する炭水化物比が0.5未満である請求項16記載の免
    疫診断用試薬。
  18. 【請求項18】 B型肝炎ウイルス表面タンパク質がグ
    リシンからアルギニンに145位のアミノ酸置換を含む
    請求項17記載の免疫診断用試薬。
JP4155565A 1991-04-29 1992-04-30 宿主炭水化物含量が減少したHBsAgエスケープ変異体ワクチン Pending JPH06172393A (ja)

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