JPH06171692A - 梱包品用緩衝体及び梱包製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 積み重ねられる梱包品の梱包外装材に作用す
る、摩擦抵抗による引っ掛け力を小さくすることを技術
的課題とし、もって積み重ねられる梱包品の梱包外装材
に破損を発生させないことにある。 【構成】 梱包品５の接触相手との接触部分の静止摩擦
係数を０．１０以下とすることにより、梱包品５の積み
重ねの際に、梱包品５と接触相手との間を滑り易くし、
もって摩擦抵抗に伴って梱包品５の梱包外装材６に作用
する引っ掛け力を充分に弱くし、梱包外装材６の破損発
生を確実に防止して、商品としての梱包品５の品質を保
つ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、積み重ねられる梱包品
に適用される梱包品用緩衝体及び、積み重ねられる梱包
製品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、圧延製品コイルなどを梱包外装
材で梱包した梱包品、あるいは梱包外装材上からさらに
締結バンドで締結した梱包品、保管および搬送する際に
発生し易い梱包外装材の破損を防止するためにハンドリ
ング上、いろいろな工夫を行っている。

【０００３】例えば、圧延製品コイルを梱包外装材で梱
包した円筒状梱包品をダウンエンド状に二段積み以上に
重ねるに際して、上位の梱包品を下位の梱包品間に置く
場合に、図８に示すように、上位の梱包品５を位置ずれ
ｔが生じたままの状態で降下させると、下位の梱包品５
に接触した後、滑りながら下位の両梱包品５間に位置す
るため、上位の梱包品５または下位の梱包品５、あるい
は両方の梱包品５の梱包外装材６が破損することがある
が、この梱包外装材６の破損を防止するため、緩衝材９
を梱包外装材６上に設ける手段（実開平４−６２６８２
号公報、参照）が考えられている。こうした緩衝材９を
設けることによって、梱包品５の梱包外装材６同士が直
接接触しないため、梱包外装材６の破損を多少防止する
ことができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、緩衝材９は、
通常衝撃力を緩和させる目的からゴムや樹脂等の弾材を
利用するため、その表面の静止摩擦係数が高く、このた
め上位の梱包品５が下位の梱包品５に緩衝材９を介して
強く接触して滑ると、この時の摩擦抵抗によって緩衝材
９が引っ掛けられ、この引っ掛かりにより下位の梱包品
５の緩衝材９と密着したところから梱包外装材６に破損
部分１０が生じる（図９の破損部分１０参照）と云う問
題があった。

【０００５】同様に、下位の梱包品５に取付けられた緩
衝材９と上位の梱包品５の梱包外装材６との引っ掛かり
により、上位の梱包品５の梱包外装材６に破損部分１０
が生じる（図１０の破損部分１０参照）と云う問題があ
った。

【０００６】上位の梱包品５を正確に位置合わせした状
態で下降させ、下位の梱包品５間の中心に上載できれば
上記した問題は生じないが、現実には、船への荷積み、
荷物の振れ、荷物の形状寸法の多種多様性などから位置
ずれを完全になくした状態で降下させることは困難であ
る。

【０００７】そこで、本発明は、上記した従来技術にお
ける問題点を解消すべく創案されたもので、積み重ねら
れる梱包品の梱包外装材に作用する、摩擦抵抗による引
っ掛かり力を小さくすることを技術的課題とし、もって
積み重ねられる梱包品の梱包外装材に破損を発生させな
いことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
る本発明の手段は、積み重ねられる梱包品に適用される
梱包品用緩衝体であること、少なくとも表裏いずれかの
面の、梱包品外面の接触部分に対する静止摩擦係数μが
０．１０以下であること、にある。

【０００９】梱包品用緩衝体の具体的な構成としては、
帯形状をした緩衝体本体の、少なくとも表裏いずれかの
面に、長手方向に沿って、梱包品外面の接触部分に対し
て、静止摩擦係数μが０．１０以下である滑り面を設け
たものとするのが良い。

【００１０】また、本発明の梱包製品としての手段は、
積み重ねられる梱包製品であること、積み重ねる際に、
梱包品外面の接触部分の接触相手との静止摩擦係数μを
０．１０以下としたこと、にある。

【００１１】梱包製品としては、ダウンエンド状に積み
重ねられる円筒状品でも良く、接触部分を、梱包品の梱
包外装材、締結バンド、梱包品に取付けられた緩衝材の
いずれかの外面上に設けられた滑りテープで形成して
も、または梱包品の外面に取付けられた梱包品用緩衝体
で形成しても良く、接触部分を梱包品用緩衝体で形成す
る場合には、必要に応じて、この梱包品用緩衝体を梱包
品の梱包外装材に対して摺動可能に取付けるのが望まし
い。

【００１２】

【作用】本発明における静止摩擦係数（０．１０以下）
は、以下の如く得た。積み重ねられる梱包品の梱包外装
材が破損する現象について、調査、研究した結果、梱包
品の梱包外装材と，積み重ねた際に、この梱包外装材に
強く接触する接触部分との摩擦抵抗にその問題解決の糸
口があると考え、梱包品の接触部分を各種材料で構成
し、この各種材料の梱包外装材との静止摩擦係数μと梱
包外装材の破損状況との関係について実験を行った結
果、以下の結果を得た。

【００１３】なお、この実験は、各種材料で構成した梱
包品の接触部分を、実際に梱包品を段積み状に積み重ね
る状態で、他の梱包品の梱包外装材に強く接触させて行
ったものである。

【００１４】この実験結果により、静止摩擦係数μが
０．１０以下のテフロンテープでは梱包外装材の破損が
零であり、同係数μが０．１０前後である梱包紙やポリ
プロピレンバンドでは一部破損が発生し、同係数μが
０．１０を大きく越えるフェルトやスチールバンドでは
全て破損することが判明した。この結果に基づき、本発
明の静止摩擦係数μを０．１０以下と設定したものであ
る。

【００１５】この実験で使用した梱包外装材は、内側の
クラフト紙に防錆剤を含浸し、外面に気密と防水のため
にビニルフィルムをラミネートしたもので、現在実際に
使用されているものの中で最も破損し易いものである。
従って、他の梱包外装材はこれより丈夫であるため、他
のいかなる梱包外装材を使用するときでも、本発明で明
らかにされた静止摩擦係数μを適用することによって、
梱包外装材の破損を確実に防止できる。

【００１６】すなわち、積み重ねられる梱包製品間に位
置ずれｔ（図８参照）があったとしても、上位の梱包製
品は吊り下げ降下時に、下位の一方の梱包製品に当接し
ながら降下して、この二つの下位の梱包製品間の中心に
位置するが、この際、当接する上位の梱包製品と下位の
梱包製品との接触部分の静止摩擦係数μが０．１０以下
であるので、両梱包製品の梱包外装材を破損することな
しに、上位の梱包製品は下位の梱包製品上を滑って、こ
の下位の両梱包製品間の中心に位置する。

【００１７】このように、本発明は、ハンドリングの際
の安全性追求の見地から、積み重ねられる梱包品の接触
相手との接触部分を、静止摩擦係数μを大きくして滑り
難くするのを常識としていた従来技術に対して、この従
来の常識を逆転させて、ハンドリングの内容を詳細に再
検討した結果、ハンドリングの安全性に支障の無い範囲
で、梱包品の接触部分と接触相手との間を滑り易くした
のである。

【００１８】

【実施例】図１および図２は、本発明の梱包品用緩衝体
１の一実施例を示すもので、弾力あるゴム、合成樹脂、
さらには紙ボード製の、厚さ２／１０mm、幅５０〜１５
０mm、長さ６００〜２０００mmの帯形状をした緩衝体本
体２の一方の面に、テフロン製で内部にガラスクロスを
有する厚さ０．２〜１．０mm、幅５〜２０mmの静止摩擦
係数μが０．１０以下の滑り面を形成する滑りテープ３
の１〜５条を、緩衝体本体２の幅に対応して、滑りテー
プ３の幅相当間隔を開けて長手方向に沿って貼着して構
成している。

【００１９】この梱包品用緩衝体１は、積み重ね接触す
る梱包品５の接触部分間に配置されて使用されるが、実
用上からは、梱包品５の外面に適当な手段で取付けて梱
包製品８に構成するのが便利である。

【００２０】図３および図４の図示実施例は、梱包品用
緩衝体１を梱包品５の外面に取付けて構成された梱包製
品８の構成例を示すもので、図３の図示実施例は、圧延
製品コイルを梱包外装材６で梱包して構成された円筒状
梱包品５の外周面に、二本の梱包品用緩衝体１を巻付
け、各梱包品用緩衝体１の端部間を固定テープ４で連結
して組付けたものであり、図４の図示実施例は、梱包品
５外周面に、二本の梱包品用緩衝体１を周方向に沿って
配置し、この梱包品用緩衝体１の両端部を固定テープ４
で梱包品５の梱包外装材６に貼着固定して、この梱包製
品８の接触部分を構成したものである。

【００２１】図３および図４に示した両実施例共に、滑
り面を形成する滑りテープ３を、緩衝体本体２の梱包品
５表面に対向する裏面側または表面側のいずれに配置し
ても良いのであるが、滑りテープ３を緩衝体本体２の裏
面側に配置した場合には、梱包製品８が他の梱包品５と
積み重ね接触した際に、組付けられた梱包品用緩衝体１
が梱包品５に対して滑り変位する必要がある。

【００２２】図３図示実施例の場合は、梱包品用緩衝体
１が梱包品５に対して、単に巻付いているだけであるの
で、緩衝品用緩衝体１の梱包品５に対する組付きは、そ
のままで摺動変位可能となっているので問題はないが、
図４図示実施例の場合は、梱包品用緩衝体１を梱包品５
に組付けている固定テープ４の貼着力を弱いものとする
か、他の適当な組付け手段により、梱包品５に対する梱
包品用緩衝体１の組付けを仮止め的に達成するか、さら
には固定テープ４を伸び縮み自在なものとし、もって接
触相手に強く接触した際における、梱包品用緩衝体１と
梱包外装材６との間の滑り変位を自在とするのが良い。

【００２３】図５ないし図７は、梱包品用緩衝体１を使
用することなしに梱包製品８を構成した実施例を示すも
ので、図５は、梱包品５の梱包外装材６表面に直接複数
の滑りテープ３を周方向に沿って貼着して接触部分を構
成したものであり、図６は、梱包品５に巻回されること
により、この梱包品５の周面に突出した状態となる締結
バンド７の表面に、直接滑りテープ３を貼着して接触部
分を構成したものであり、そして図７は、梱包品５の表
面に取付け固定されることにより、この梱包品５の周面
に突出した状態となる緩衝材９の表面に、滑りテープ３
を貼着して接触部分を構成したものである。

【００２４】図５および図６の実施例は、梱包製品８に
緩衝機能部分がないので、積み重ねをする際には、緩衝
機能部分を有する梱包品５と積み重ねるか、積み重ね相
手との間に緩衝材９を介在させるのが実用的である。

【００２５】なお、上記した実施例においては、梱包品
用緩衝体１の滑り面、および梱包製品８の滑り面である
接触部分を、滑りテープ３で形成する場合を説明した
が、この梱包品用緩衝体１の滑り面、および梱包製品８
の接触部分を形成するのは、滑りテープ３に限定される
ことはなく、表面の静止摩擦係数μが０．１０以下とな
るシート状または膜状構造体、例えば塗膜等であっても
良い。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、上記した構成となっているの
で、以下に示す効果を奏する。本発明による梱包品用緩
衝体および梱包製品は、接触相手との接触部分の静止摩
擦係数を０．１０以下としたので、梱包製品の積み重ね
時に、接触相手との間が滑り易いので、接触相手との滑
り変位の際に、摩擦抵抗により梱包外装材が引っ掛かっ
て破損すると云うことがなく、これにより商品としての
梱包品の安全な取扱いを達成でき、もって商品としての
梱包品の品質を安全にかつ確実に保った状態で、顧客へ
の安心した納入を行うことができる。

【００２７】積み重ね時等の接触相手と接触する取扱い
時に、梱包品の梱包外装材の接触に伴う摩擦抵抗による
破損発生を皆無とすることができるので、梱包品の格
納、積み込み、積み卸し等の取扱いを梱包品の品質を保
った状態で安全に達成でき、もって梱包品の取扱いの自
動化、無人化を支障なく安全に実施することができる。

【００２８】本発明の梱包品用緩衝体は、弾性材製の緩
衝体本体の少なくとも表裏いずれかの面を滑り面とした
簡単な構成であるので、その製作が容易であると共に、
安価に製造することができ、また手軽に単品として取り
扱うことができるので、必要に応じた梱包品に対する取
付け実施が容易に達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の梱包品用緩衝体の一実施例を示す全体
斜視図。

【図２】図１に示した実施例の縦断面図。

【図３】図１に示した梱包品用緩衝体を梱包品に取付け
て構成した本発明による梱包製品の一実施例を示す全体
斜視図。

【図４】図１に示した梱包品用緩衝体を梱包品に取付け
て構成した本発明による梱包製の他の実施例を示す全体
斜視図。

【図５】本発明による梱包製品の一実施例を示す全体斜
視図。

【図６】本発明による梱包製品の他の実施例を示す全体
斜視図。

【図７】本発明による梱包製品のさらに他の実施例を示
す全体斜視図。

【図８】円筒状梱包品を段積みしている状態を示す説明
図。

【図９】取付けた緩衝材と梱包外装材との引っ掛かりに
より、梱包外装材に破損部分が発生した状態を示す従来
技術の説明図。

【図１０】他の梱包品に取付けた緩衝材との引っ掛かり
により、梱包外装材に破損部分が発生した状態を示す従
来技術の説明図。

【符号の説明】

１ ； 梱包品用緩衝体 ２ ； 緩衝体本体 ３ ； 滑りテープ ４ ； 固定テープ ５ ； 梱包品 ６ ； 梱包外装材 ７ ； 締結バンド ８ ； 梱包製品 ９ ； 緩衝材 １０； 破損部分 ｔ ； 位置ずれ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積み重ねられる梱包品(5) に適用される
   緩衝体であって、少なくとも表裏いずれかの面を、前記
   梱包品(5) 外面の接触部分に対する静止摩擦係数μが
   ０．１０以下である滑り面とした梱包品用緩衝体。
2. 【請求項２】 帯形状をした緩衝体本体(2) の、少なく
   とも表裏いずれかの面に、長手方向に沿って、梱包品
   (5) 外面の接触部分に対して、静止摩擦係数μが０．１
   ０以下である滑り面を設けた請求項１に記載の梱包品用
   緩衝体。
3. 【請求項３】 梱包製品であって、積み重ねる際に、梱
   包品(5) 外面の接触部分の接触相手との静止摩擦係数μ
   を０．１０以下とした梱包製品。
4. 【請求項４】 ダウンエンド状に積み重ねられる円筒状
   梱包製品であって、積み重ねる際に、円筒状梱包品(5)
   外面の接触部分の接触相手との静止摩擦係数μを０．１
   ０以下とした請求項３に記載の梱包製品。
5. 【請求項５】 接触部分を、梱包外装材(6) 、締結バン
   ド(7) 、緩衝材(9)のいずれかの外面上に設けられた滑
   りテープ(3) で形成した請求項４に記載の梱包製品。
6. 【請求項６】 接触部分を、梱包品(5) の外面に取付け
   られた梱包品用緩衝体(1) で形成した請求項４に記載の
   梱包製品。
7. 【請求項７】 梱包品(5) に対して梱包品用緩衝体(1)
   を摺動可能に取付けた請求項６に記載の梱包製品。