JPH0616702B2 - 高分子化セレン含有菌体の製造法 - Google Patents

高分子化セレン含有菌体の製造法

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JPH0616702B2
JPH0616702B2 JP2149318A JP14931890A JPH0616702B2 JP H0616702 B2 JPH0616702 B2 JP H0616702B2 JP 2149318 A JP2149318 A JP 2149318A JP 14931890 A JP14931890 A JP 14931890A JP H0616702 B2 JPH0616702 B2 JP H0616702B2
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栄孝 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、高分子化セレン含有菌体の製造法に関し、本
発明で得られる高分子化セレン含有菌体は動物用飼料、
餌料または食品等に添加せしめることによりヒトまたは
動物のセレン欠乏症の予防等に利用できる。
<従来の技術> セレンは原子番号34、原子量79の元素であり、以前
は元素としては単に生体に有害なものとしてのみ知られ
ていたが、1957年にSchwarzらが初めてセレ
ン(以下、セレンとは元素セレンを示す)に生理的な役
割があることを発表し(J.Am.Chem.Soc.,79:3292,195
7)、有毒であるとともに使用法によっては生体内の有
効成分になることが判明した。それ以来セレンの生体内
における有用性が注目されてきており、その後Scot
tらの研究によりビタミンEの欠乏による家畜の障害で
ある子牛等の白筋症、豚の肝臓ネフローゼ、筋肉の発育
異常等の防止にセレンが有効であることが認められ(Fe
edstuffs.29,41,20(1957))、1969年にはThomp
sonとScottらによりセレンそのものが動物にと
って必須の元素であることが証明され(J.Nutr.,97:33
5,1969)、ヒトでも必須元素であることは間違いないと
された。
現在までに多くの種でセレン欠乏症が知られておりオー
ストラリアやニュージーランドではセレンを鉱物塩また
は肥料に加えるか配合飼料の補助剤として用いている。
また、セレン単独またはセレンとビタミン混合物として
世界中のセレン欠乏地域において広範に使用されてお
り、その後も1972年にはセレンがグルタチオンパー
オキシダーゼの構成成分であることが発表され、197
4年米国FDAでセレンの飼料添加が認可される等、セ
レンの生理学的な研究がより活発になされてきている。
一方、供給源を無機セレンとしてではなく有機化したセ
レンとする報告としては、セレンとアミノ酸の結合体に
関する報告やセレンを含有する微生物の供給に関する報
告がされている。例えば米国特許第4530846号の
セレン酵母の製造法等が挙げられ、また、日本国内では
安全性の面から飼料,食品等へ無機セレンのまま添加す
ることは認可されていない状況下、いくつかの有機化セ
レンに関する報告がされている。例えば特公昭55−3
6314号は、予め微生物の生育を著しく阻害しない水
溶性無機セレン化合物を添加した培地で、セレンを菌体
内に蓄積することのできる微生物を培養・増殖させるこ
とにより有機化されたセレン含有微生物菌体を得る製造
法であり、さらに特開昭57−174098号はセレン
化合物を添加した培地で培養して得たセレン含有酵母菌
体から生理活性含セレン蛋白多糖体を得る方法であり、
特開昭60−180582号はセレン化合物を含有する
培地で培養することによりL−セレノシステインを蓄積
できる細菌を報告している。また、その他にも合成法に
よるセレン結合蛋白質の製造法等も報告されている。さ
らに特開昭60−224451号は、予め無機セレンを
添加した培地で微生物を培養・増殖させることにより得
た有機化セレン含有微生物菌体を家畜・家禽用飼料に添
加した飼料組成物を報告している。
<発明が解決しようとする問題点> 上述の、無機セレンを有機化セレンとする方法は、いづ
れも予め無機セレンを添加させた培地で微生物を培養・
増殖せしめることにより有機化セレン含有菌体を得てい
る。この場合、菌体にセレンを取込ませるに当たって無
機セレンの存在下に微生物の増殖をも行わせてセレンを
有機化するが、添加するセレンが無機セレンであること
から微生物の生育が無機セレンの毒性により生育阻害を
受けるため、無機セレン濃度は該微生物の生育を著しく
阻害しない最低限度量に当然制限されなければならな
い。また、添加するセレン濃度を微生物の生育を著しく
阻害しない最低限度量にしても、やはり何らセレンを添
加しない通常の培地で培養・増殖させる場合に比べると
菌体増殖に長時間を要し増殖率も極めて悪く、また菌体
のセレン取込み効率も悪く、したがって有機化セレン含
有菌体の収率は極めて低くなる。さらに、微生物の生育
を阻害しない最低限度量である低濃度のセレン添加に制
限されることにより、培地中のセレン濃度を常に測定し
つつ目的濃度まで複数回に渡って添加しなければならな
いという繁雑な培養工程を行う必要性もあり、そのよう
に培養を行っても、菌体濃度に限界があることから菌体
内に取込まれずに培養上清に残存する無機セレン濃度が
高くなり、廃液処理時に培養上清に残存する無機セレン
を除去する作業が必要となる。また、培養上清中には他
にも種々成分が混在することから、無機セレンを除去す
るためには極めて煩雑な操作が必要であり、したがって
コストアップにもつながっていた。
<問題点を解決するための手段> 本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意研究を行
ったところ、有機化されたセレン、即ち高分子化セレン
を菌体内に蓄積することのできる微生物を、予め実質的
にセレンを添加しない培地で適宜培養・増殖させ、その
後菌体を集菌し、必要に応じて水洗して培養培地成分を
除去した後、菌体の培養・増殖を必要としない条件、好
ましくは菌体濃度をバイロジカルスペース以上になるよ
うに、該菌体をセレンの高分子化基質となり得る有機化
合物である糖および/またはアミノ酸と必要に応じリン
酸塩ならびに水溶性無機セレン化合物を含有する水溶液
に分散せしめることにより、意外にも実質的に菌体の培
養・増殖を必要とせずにセレンが効率的に菌体内に取り
込まれ蛋白質等と結合されて高分子化セレンとなり、菌
体内に安定に多量の高分子化セレンを蓄積せしめること
が可能であることを見出し、以上から新規な高分子化セ
レン含有菌体の製造法を確立するに至った。
本発明は上記の知見に基づいて完成されたもので、即
ち、高分子化セレンを菌体内に蓄積することのできる微
生物を培養して得た菌体を、バイオロジカルスペース以
上の菌体濃度となるようにセレンの高分子化基質である
有機化合物および水溶性無機セレン化合物を含有する水
溶液に分散せしめることにより、該菌体に高分子化セレ
ンを蓄積せしめることを特徴とする高分子化セレン含有
菌体の製造法である。
本発明において、菌体をセレンの高分子化基質となり得
る有機化合物および水溶性無機セレン化合物を含有する
水溶液(以下、反応液ということがある)に分散せしめ
ることにより菌体に高分子化セレンが蓄積される過程を
推定すれば、まずセレンの高分子化基質となり得るとし
た有機化合物である糖および/またはアミノ酸等が、菌
体の培養・増殖を必要としない状態、好ましくはバイオ
ロジカルスペース濃度以上に調製されて分散された菌体
に接触して菌体内でエネルギーを発生させる基質とな
り、水溶性無機セレン化合物中のセレンを菌体内に取込
む現象を活性化させるためのエネルギー源を与えると推
測される。言い換えれば、菌体が反応液に分散されて反
応液中の糖やアミノ酸等のエネルギー基質を基に菌体内
反応機構である高エネルギーリン酸化合物合成機構が働
くことにより生成されるエネルギーを利用して、菌体内
にセレンを取込ませる反応を触発せしめると推測され
る。高エネルギーリン酸化合物にはアデノシン三リン酸
(ATP),ウリジン三リン酸(UTP),グアノシン
三リン酸(GTP),シチジン三リン酸(CTP)があ
るが、本発明で利用されているエネルギーは上記のいづ
れであってもよい。主に糖および/またはアミノ酸を基
質として菌体内で合成されたそれらは、まずセレンが菌
体細胞膜を透過するために利用され、さらに細胞膜を透
過したセレンが菌体内に取り込まれて菌体内蛋白質と結
合して高分子化セレンに変換される迄の反応を通して有
効に利用されると推測するが、本発明は何らこれらによ
って限定されるものではない。
本発明の製造法の目的は、予めセレンを添加しない実質
的にセレンを含有しない培地で菌体を培養・増殖させる
ため、培養時にセレンによる生育阻害が無く、従来技術
にある予めセレンを添加させた培地で培養・増殖させる
場合に比すと菌体の増殖速度が早く、また増殖率も優れ
ている方法を提供する。
また、本発明は菌体を培地で充分培養・増殖させ、集菌
後に反応液へ該菌体を分散させるため、菌体を濃縮化す
ることが可能であることから反応系を小さくでき、した
がって反応後の廃液を少量化することができ、また、反
応液中にセレン以外の金属を含まないため廃液処理を簡
便にする方法を提供する。
さらに、本発明は菌体を適宜増殖させ、集菌後に水洗し
て培養培地成分を除去した後菌体濃度を好ましくはバイ
オロジカルスペース以上となるように調製して培養・増
殖を停止させるため、当然反応せしめる際には菌体増殖
の必要は無く、菌体増殖阻害を生ずるセレンを反応液中
で高濃度にすることが可能であり、かつ菌体内に取込ま
せ蓄積できる高分子化セレン濃度も高く、高濃度の高分
子化セレンを含有した菌体を製造することを提供する。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、使用する微生物菌体に関しては、菌体内にセレン
を透過・吸収して高分子化セレンを蓄積し、高分子化セ
レン含有菌体となりうることが可能な微生物菌体であれ
ば広く対象とすることができる。このような菌体は、セ
レンの高分子化基質である有機化合物および水溶性セレ
ン化合物を含有する水溶液の条件下にてセレンを菌体内
に取込み蛋白質等と結合させ、菌体内反応機構により無
機セレンを高分子セレンに変換し得るものと推測され
る。また、特に本発明で得られるセレン含有菌体は、動
物用飼料や餌料に添加して動物に給与したり、食品へ添
加することが主に期待されるため、使用する微生物菌体
は可食性であることが好ましい。
上記の微生物に該当するものとしては、酵母,細菌,カ
ビ,単細胞緑藻等が挙げられる。酵母では各種の食品製
造に用いられ安全性が認められているものとしてビール
酵母,日本酒用酵母,パン酵母,アルコール酵母,ワイ
ン酵母等で知られている例えばサッカロミセス属に属す
る酵母が挙げられ、特に好ましくはサッカロミセス・セ
レビシェ(Saccharomyces cerevisiae)に属する酵母で
あり、また、みそ・醤油等に用いられるものして例えば
サッカロミセス・ロキシ(Saccharomycesrouxii)やチ
ゴサッカロミセス・エスピー(Zygosaccharomyces s
p.)に属する酵母等、その他にもハンセヌラ(Hansenul
a)属、キャンディダ(Candida)属、トルラスポラ(To
rulaspora)属、トルロプシス(Torulopsis)属、ミコ
トルラ(Mycotorula)属に属する幅広い範囲の可食性酵
母が本発明に使用できる。
細菌としては、乳酸菌として知られるラクトバチルス・
カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ア
シドフィラス(Lactobacillus acidophilus)等、また
納豆菌として知られるバチルス・ナット(Bacillus nat
to)等広範囲の可食性の細菌、カビとしてはアスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger)やアスペルギルス
・アワモリ(Aspergillus awamori)に属するものがご
く一部として例示され、他にも広範囲の可食性のカビが
使用できる。
また、可食性の単細胞緑藻であるクロレラとしてクロレ
ラ・ブルガリスやスピルリナも本発明に有効に使用でき
る。
このような高分子化セレンを蓄積することのできる微生
物菌体は、予め適当な方法に従って調製された培地また
は媒体で適宜培養・増殖したものを用いればよい。培養
に当たっては、上記に例示した対象とする微生物菌体の
それぞれを、通常培養する場合に使用されている培養培
地組成例えば炭素源,窒素源,無機等または培養媒体組
成を用い、好適培養温度にて培養すればよく、必要に応
じ予備培地または媒体で種菌培養した後各培養培地また
は媒体で適宜培養・増殖せしめればよい。培養を停止し
培養菌体を集菌する時期としては、単に菌体増殖曲線に
おける対数増殖期後期から定常期後期までの適宜な培養
を行って通常の遠心分離等の手段により集菌すればよ
い。例えば水溶性無機セレン化合物として亜セレン酸を
用いる場合、好ましくは一般に菌体増殖曲線における亜
セレン酸還元酵素が生成される前段階である対数増殖期
後期から定常期初期の段階まで適宜培養して集菌すれ
ば、増殖菌体数が多く好適であるとともに、該菌体を用
いて実質的に菌体増殖を必要としない条件、好ましくは
バイオロジカルスペース以上の菌体濃度に調製して亜セ
レン酸と反応せしめた場合、セレンが菌体に取込まれて
も亜セレン酸還元酵素の作用を受けないことから実質的
に無機セレンの生成を防止でき、良好な高分子化セレン
含有菌体を得ることができる。
例えば菌体として酵母を用いた場合は、例えばYPG培
地等で種菌培養した後糖蜜培地で通常25℃〜35℃で
8時間〜28時間特に好ましくは8時間〜20時間培養
・増殖させた後培養菌体を集菌するのが好ましい。細菌
として乳酸菌を用いた場合は例えばロイコノストック培
地等で通常25℃〜35℃で15時間〜30時間特に好
ましくは20時間〜24時間培養・増殖させて集菌すれ
ばよく、カビを用いた場合は例えばYM培地で通常20
℃〜30℃で30時間〜50時間特に好ましくは35時
間〜40時間培養・増殖させて集菌すればよく、単細胞
緑藻を用いた場合は例えば水を媒体とするかもしくは実
施例22に示した培地で通常25℃〜33℃で24時間
〜48時間特に好ましくは30時間〜40時間培養・増
殖させて集菌すればよい。
次いで、該集菌した菌体から培養・増殖に用いた培養培
地または媒体を水等で数回洗浄して洗い流して除去し、
さらに、該菌体をセレンの高分子化基質および/または
水溶性無機セレン化合物を含有する水溶液に分散せしめ
て無機セレンを高分子化セレンとして菌体内に蓄積せし
めるが、この反応をせしめる際、該菌体をバイオロジカ
ルスペース以上の菌体濃度に調製して菌体増殖によるセ
レンの高分子化基質の消費を完全に停止させ、セレンの
高分子化基質の消費を専ら高分子化の反応用に向けさせ
ることが必要である。このバイオロジカルスペース以上
の菌体濃度に調製するとは、菌体懸濁液(反応液)が本
質的には該菌体の増殖を許す成分を含んでいても、懸濁
液の一定容積中に菌体が実質的にそれ以上増殖すること
のできない状態、菌体増殖曲線における定常状態の菌体
濃度以上の濃度の状況下に調製することを意味する。通
常、例えば、酵母では10コ/ml以上、乳酸菌では
10コ/ml以上、クロレラでは10コ/ml以上
であるので、反応に際しては酵母では1〜5×10
/ml、乳酸菌では1〜5×10コ/ml、クロレラ
では1〜5×10コ/mlの菌体濃度で行うことが好
ましく、実用上はこれら微生物の懸濁液における菌体濃
度の測定は分光光度計によるOD値で行うことから、対
象菌体の増殖曲線の定常期状態におけるOD値の±10
%とすればよい。また、カビの場合はODによる測定が
不可能であるので培養液量より少ない反応液に菌体を懸
濁して使用すればよい。
次いで、該菌体をセレンの高分子化基質となり得る有機
化合物および/または水溶性無機セレン化合物を含有す
る水溶液に分散せしめて、菌体内に高分子化セレンを蓄
積せしめる。
反応液中でセレンの高分子化基質となり得る有機化合物
および水溶性無機セレン化合物を含有する水溶液は、両
方を混合した水溶液にした後、バイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように菌体を該水溶液に分散させ
ても、または高分子化基質となり得る有機化合物、水溶
性無機セレン化合物および菌体を逐次分散させても、ま
たは分散する順序を逆としてもいずれでもかまわない。
まず、セレンの高分子化基質となり得る有機化合物と
は、菌体内反応機構である高エネルギーリン酸化合物合
成機構、例えば解糖系反応機構やTCA回路反応機構を
作動させるに不可欠な成分であり、即ち菌体にとってエ
ネルギー基質となり得る有機化合物であればよく、糖お
よび/またはアミノ酸が挙げられる。糖としては、例え
ば、グルコース,フルクトース,ガラクトース,シュク
ロース,マルトース,トレハロースが挙げられ、特に好
ましくはグルコースである。アミノ酸としては、例えば
ロイシン,イソロイシン,セリン等のグルコゲニックア
ミノ酸系であればよく、特に好ましくはロイシンまたは
イソロイシンである。反応液である該有機反応水溶液に
は少なくとも上記糖および/またはアミノ酸と、必要に
応じ緩衝液としてリン酸塩等を含有する水溶液であるの
が好ましい。
さらに、必要に応じ高エネルギーリン酸化合物の補給源
となりうるものとして、アデニン,アデノシンを上記系
に添加すると、より有効に高分子化セレンが菌体内に蓄
積される。
上記、有機化合物水溶液の反応に用いる際、該水溶液の
pHはpH3〜7特にpH4〜6に調製するのが好まし
い。リン酸塩等緩衝液を用いた場合には該緩衝液を好ま
しいpHに調製すればよい。
有機化合物水溶液の各々の成分の量的関係については、
有機化合物水溶液全量に対し、糖とアミノ酸は単独かま
たは併用してもよく、糖は0.3%〜2%を含有させるの
が好ましく、アミノ酸は0.3%〜2%、また必要に応じ
緩衝液であるリン酸塩は0.01M〜0.3M用いればよく、
また、アデニン,アデノシンを加える場合には、0.001
%〜0.02%を用いればよい。
次いで、本発明に使用できるセレンの供給源である水溶
性無機セレン化合物は、対象菌体の細胞膜を透過し、菌
体内で蛋白質と結合して高分子化セレンに変換されうる
適当な水溶性の無機セレン化合物であればよく、例えば
亜セレン酸(H2SeO3),二酸化セレン(SeO2),セレン
酸(H2SeO4)等の無機セレンが挙げられるが、特に亜セ
レン酸を用いるのが好ましい。反応に用いる量としては
反応液中のセレン濃度が2ppm以上、好ましくは10
〜100ppmとなるように水溶性セレン化合物の添加
量を調製すればよい。
上述のとうり、反応液へ菌体を同時または逐次に分散
し、振盪させて反応せしめるが、反応における反応温度
は20℃〜40℃特に好ましくは25℃〜35℃で、反
応時間は4時間以上特に8〜2時間反応せしめるのが
好ましい。
反応後、遠心分離等の手段で集菌し、さらに回収菌体を
水で数回洗浄することにより高分子化されたセレンを含
有する微生物菌体が得られる。また得られた高分子化セ
レン含有菌体は必要に応じ凍結乾燥等をして保存すれば
よい。
本発明は、以上のようにして効率的で安定な高分子化セ
レン含有微生物菌体を得る方法を提供する。
<実施例> 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例1 酵母の培養と増殖曲線の作成 pH5に調製したYPG培地(グルコース4%、ペプト
ン1%、イーストエキス0.5%、リン酸カリウム0.5%、
硫酸マグネシウム0.2%)100mlを500ml容三角フラ
スコに分注し121℃で15分殺菌した後、サッカロミセ
ス・セレビシェFTY−3(FERM BP−232
6)を1白金耳植付け、30℃で24時間振盪培養し、
種菌とした。その後、pH5に調製した糖蜜培地(糖蜜
10%(蔗糖として4%含有)、尿素0.5%、75%リ
ン酸0.1%、硫酸亜鉛0.0003%)100mlに種菌5mlを
植え付け、30℃で30時間培養して増殖速度を求め、
増殖曲線を第1図に示した。
このように、培地中に実質的にセレンを含有しないこと
から菌体増殖は極めて良好であった。
実施例2 培養時間と反応(振盪)時間によるセレン取
込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3の菌体を、培養時間8,12,16,20,2
4,28時間毎に各々遠心分離して(3000rpm,15分
間)集菌し、100mlの水で3回洗浄した後、菌体濃度
が1〜1.6×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グルコース
を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6)50mlに懸濁
し、亜セレン酸5mg(セレン濃度として60ppm)を
加えて30℃で振盪して反応せしめた。振盪(反応)時
間2,14,16,24時間目毎に各々菌体濃度を測定
して遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの水で
2回洗浄した後凍結乾燥し、菌体内に取込まれたセレン
濃度を測定した。その結果を第1表に示す。
尚、菌体濃度の測定は反応液を水で適宜希釈し、660n
mで吸光度を測定したものであり、また菌体内に取込ま
れたセレン濃度の測定は、乾燥菌体約100mgを秤量し湿
式灰化した後原子吸光法にて測定したものであり、以下
の実施例における菌体濃度および菌体内に取込まれたセ
レン濃度の測定はすべて同様の方法にて行った。
以上から、反応時間経過における菌体増殖はほとんど認
められないものの、各培養時間における菌体ともセレン
取込み濃度は反応時間とともに増加し、サッカロミセス
・セレビシェを用いた場合、培養8〜20時間程度の培
養菌体を用いて反応せしめることが最も好適であった。
参考例 予め亜セレン酸を添加した培地で培養した場合
のセレン取込みへの影響 糖蜜培地100mlに予め亜セレン酸5mg(セレン濃度
として30ppm)を加え、実施例1のYPG培地で培養
したサッカロミセス・セレビシェFTY−3の種菌5m
lを植付け、30℃で30時間培養し、16,20,2
4,30時間目毎に菌体濃度を測定し、遠心分離にて集
菌し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結
乾燥し、菌体内に取込まれたセレン濃度を測定した。そ
の結果を第2表に示す。尚、30時間培養後の乾燥菌体
量は690mgであった。
以上から、予め亜セレン酸を添加した培地で培養しなが
らセレンを菌体に取込ませた場合は、本発明よりも菌体
のセレン取込み率が極めて低いことがわかった。
実施例3 二酸化セレンを用いた場合のセレン取込みへ
の影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養し、培養液100mlよ
り得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.5×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グルコース
を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6)50mlに懸濁
し、水に溶解した二酸化セレン酸4.15mg(セレン濃度
として50ppm)を加えて30℃で20時間振盪して反
応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100ml
の水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体1.19g(菌
体内セレン濃度1420ppm)を得た(取込み率51.2
%)。
実施例4 セレン酸を用いた場合のセレン取込みへの影
響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養し、培養液100mlよ
り得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.5×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グルコース
を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50mlに懸濁
し、水に溶解したセレン酸3.7mg(セレン濃度として4
0ppm)を加えて30℃で20時間振盪して反応せし
め、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの水で
2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体1.11g(菌体内セ
レン濃度1440ppm)を得た(取込み率80%)。
実施例5 リン酸無添加によるセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養し、培養液100mlよ
り得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.5×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を0.5%,1%,
2%の各々の濃度のグルコース50mlに懸濁し、亜セレ
ン酸5mg(セレン濃度として60ppm)を各々加え、
30℃で18時間振盪して反応せしめ、菌体濃度を測定
して遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの水で
2回洗浄した後凍結乾燥し、菌体内に取込まれたセレン
濃度を測定した。その結果を第3表に示す。
以上から、リン酸を添加しなくとも、良好にセレンが菌
体内に取り込まれた。
実施例6 アデニン,アデノシンの添加によるセレン取
込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で20時間培養し、培養液100mlよ
り得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.6×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グルコース
を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50mlに懸濁
し、アデノシン、アデニンを各々0.02%および無添加の
ものを調製し、亜セレン酸5mg(セレン濃度として60
ppm)を各々加え、30℃で20時間振盪して反応せ
しめ、菌体濃度を測定して遠心分離にて集菌し、さらに
菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、菌体
内に取込まれたセレン濃度を測定した。その結果を第4
表に示す。
以上の通り、アデニン,アデノシンの添加によりセレン
の菌体内への取込みはより有効であった。
実施例7 セレン濃度によるセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で20時間培養し、培養液100mlよ
り得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.7×10コ/mlのバイオロジカルスペース
の菌体濃度となるように、該菌体を1%グルコースを含
む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50mlに懸濁し、亜
セレン酸0g(セレン濃度として0ppm),1mg
(セレン濃度として12.5ppm),2mg(セレン濃度と
して25ppm),4mg(セレン濃度として50ppm),6m
g(セレン濃度として75ppm),8mg(セレン濃度と
して100ppm)を各々加えて調製し、30℃で16時間振
盪して反応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を
100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体量
と菌体内に取り込まれたセレン濃度を測定した。その結
果を第5表に示す。
以上から、反応液へ添加する亜セレン酸は、1mg〜8
mg(セレン濃度として12ppm〜100ppmを使用す
ることにより良好に菌体にセレンが取り込まれた。
実施例8 反応液のpHによるセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3について6本のフラスコ培養を行い、培養液10
0mlより得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した
後、菌体濃度が1.8×10コ/mlのバイオロジカル
スペース以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グ
ルコースを含むpH3,4,5,6,7,8の範囲の各
々に調製した0.1Mリン酸緩衝液50mlに懸濁し、亜
セレン酸5mg(セレン濃度として60ppm)を加え、
30℃で20時間振盪し反応せしめ、遠心分離にて集菌
し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾
燥し、菌体内に取り込まれたセレン濃度を各々測定し
た。その結果を第6表に示す。
以上から、反応液のpHは、pH4〜6に調製すること
により、良好に菌体内にセレンが取込まれた。
実施例9 反応(振盪)温度によるセレン取込みへの影
響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3について5本のフラスコ培養を行い、培養液10
0mlより得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した
後、菌体濃度が1.5×10コ/mlのバイオロジカル
スペース以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グ
ルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50ml
に懸濁し、亜セレン酸5mg(セレン濃度として60pp
m)を加え、20℃,25℃,30℃,35℃,40℃の各々の温
度範囲で20時間振盪して反応せしめ、遠心分離にて集
菌し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結
乾燥し、菌体内に取り込まれたセレン濃度を各々測定し
た。その結果を第7表に示す。
以上から、反応せしめる際の反応(振盪)温度は、25℃
〜35℃であることにより良好に菌体内にセレンが取込ま
れた。
実施例10 アデニン添加濃度によるセレン取込みへの
影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3について6本のフラスコ培養を行い、培養液10
0mlより得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した
後、菌体濃度が1.5×10コ/mlのバイオロジカル
スペース以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グ
ルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50ml
に懸濁し、アデニンを0%,0.001%,0.003%,0.01
%,0.03%,0.1%の範囲の各々に調製して添加し、亜
セレン酸6mg(セレン濃度として72ppm)を加え、
30℃で20時間振盪して反応せしめ、遠心分離にて集
菌し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結
乾燥し、菌体内に取り込まれたセレン濃度を各々測定し
た。その結果を第8表に示す。
以上から、反応液にアデニンを添加する場合、使用濃度
は、0.003%〜0.1%に調製することにより良好に菌体内
にセレンが取込まれた。
実施例11 リン酸添加濃度によるセレン取込みへの影
響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3について6本のフラスコ培養を行い、培養液10
0mlより得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した
後、菌体濃度が1.6×10コ/mlのバイオロジカル
スペース以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%グ
ルコースを含む0.1M,0.003M,0.01M,0.03M,0.1
M,0.3Mの各々に調製したリン酸緩衝液(pH5)5
0mlに懸濁し、各々亜セレン酸5mg(セレン濃度と
して60ppm)を加え、30℃で20時間振盪して反応
せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの
水で2回洗浄した後凍結乾燥し、菌体内に取り込まれた
セレン濃度を各々測定した。その結果を第9表に示す。
以上から、反応液にリン酸緩衝液を添加する場合、リン
酸の濃度は0.003M〜0.3Mに調製することにより良好に
菌体内にセレンが取り込まれた。
実施例12 実施例1と同様の条件でYPG培地で24時間フラスコ
培養したサッカロミセス・セレビシェFTY−3の種菌
各々500mlを30容ジャーファ−メンター4基を用
い、pH5に調製して120℃で30分加熱滅菌した糖蜜
培地20に植付け、32℃、通気量30/分、攪拌
速度300rpmで16時間培養した。連続遠心機を使用して
集菌し(120/時間)、約20の水を加えて菌体
を懸濁し、遠心分離して菌体を洗浄した。この操作を3
回繰り返した後、菌体濃度が2.5×10コ/mlのバ
イオロジカルスペース以上の菌体濃度となるように該菌
体を、0.5%グルコースを含む0.03Mリン酸緩衝液(p
H5)5に懸濁し、亜セレン酸0.4g(セレン濃度と
して48ppm)を加えて通気量10/分、攪拌速度20
0rpm、振盪(反応)温度30℃で反応せしめた。18時
間後、遠心分離して集菌し、さらに20の水で3回洗
浄し、湿菌体3.5Kgを得た。その後、7の水を加え
て攪拌、分散した後、90℃で15分加熱し、コチワ式
スプレードライヤーを用い、送風140℃,排風60
℃,送液4/時間の条件でスプレードライし、乾燥粉
末1.1Kgを得た(水分4.1%,菌体内セレン濃度191
0ppm)。
参考例 実施例12で得られた菌体5gを50mlの水に懸濁
し、1N苛性ソーダでpH7に調製した後、ポジトロン
破砕機で菌体を破砕し、さらに95℃で10分加熱した
後、10000rpmで15分間遠心分離し、上清38mlを得た
(セレン濃度174ppm)。上清10mlを凍結乾燥し
た後、2mlの水に溶解し、その内1mlを用いてセフ
ァデックスG50の100mlカラム(2×32cm)による
溶出パターンとセレンの分布を調べた。その結果、第2
図の如く、85%以上のセレンが高分子分画に存在した。
実施例13 グルコース濃度と、反応(振盪)時間によ
るセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養して得た培養液600m
lを遠心分離して集菌し(3000rpm,15分間)、500m
lの水で3回洗浄した後、菌体濃度が1.4×10コ/
mlのバイオロジカルスペース以上の菌体濃度となるよ
うに該菌体を、0.1Mリン酸緩衝液(pH5)に懸濁し
て300mlにメスアップし、その内50mlを500ml容
三角フラスコに分注し、亜セレン酸4.1mg(セレン濃
度として50ppm)とグルコース0%,0.1%,0.3%,
1%,2%,3%,5%の各々を加えて30℃で振盪し
反応せしめた。その後、4,16,24時間目の各々で
菌体濃度を測定し、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を
100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体内
に取込まれたセレン濃度を測定した。その結果を第10表
に示す。
以上から、セレンの高分子化基質である有機化合物とし
てグルコースを使用した場合、添加濃度は0.3%以上で
あることが好ましかった。
実施例14 糖源の種類によるセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養し、培養液100mlか
ら得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.8×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を1%のグルコー
ス,フラクトース,ガラクトース,シュークロース,マ
ルトース,トレハロースを各々含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH5)50mlに懸濁し、各々亜セレン酸5mg
(セレン濃度として60ppm)を加えて30℃で20時
間振盪して反応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌
体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌
体量と菌体内に取り込まれたセレン濃度を各々測定し
た。その結果を第11表に示す。
以上から、セレンの高分子化基質である有機化合物とし
てグルコース以外にもフラクトース,シュクロース,マ
ルトース,トレハロースを使用することにより良好に菌
体内にセレンを取込ませることができた。
実施例15 アミノ酸添加によるセレン取込みへの影響 実施例1と同様の条件でサッカロミセス・セレビシェF
TY−3を30℃で16時間培養し、培養液100mlか
ら得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体
濃度が1.8×10コ/mlのバイオロジカルスペース
以上の菌体濃度となるように、該菌体を0.5%のロイシ
ン,イソロイシン,セリン,グルタミン酸,アスパラギ
ンを各々含む0.1Mリン酸緩衝液(pH5)50mlに
懸濁し、各々亜セレン酸5mg(セレン濃度として60p
pm)を加えて30℃で20時間振盪して反応せしめ、
遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの水で2回
洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体量と菌体内に取り込ま
れたセレン濃度を各々測定した。その結果を第12表に示
す。
以上から、セレンの高分子化基質である有機化合物とし
てロイシン,イソロイシンを使用することにより良好に
菌体にセレンを取込ませることができた。
実施例16 微生物をキャンディダ・クルゼイとした場
合 キャンディダ・クルゼイ(Candida krusei)156−2
5A(IFO−0841)をYPG培地で30℃で20
時間培養し、培養液100mlから得られた菌体を100ml
の水で3回洗浄した後、菌体濃度が1.2×10コ/m
lのバイオロジカルスペース以上の菌体濃度となるよう
に、該菌体を1%グルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH6)25mlに懸濁し、亜セレン酸1.3mg(セ
レン濃度として30ppm)を加えて、30℃で20時間
振盪して反応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体
を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体
量と菌体内に取り込まれたセレン濃度を測定した。その
結果を第13表に示す。
以上から、キャンデイダ属の酵母を使用した場合も良好
に菌体にセレンを取込ませることができた。
実施例17 微生物をトルラスポラ・デルブレッキイと
した場合 トルラスポラ・デルブレッキイ(Torulasupora delbrue
ckii)154−CA(IFO−1129)をYPG培地
で30℃で20時間培養し、培養液100mlから得られ
た菌体を100mlの水で3回洗浄した後、菌体濃度が1.8
×10コ/mlのバイオロジカルスペース以上の菌体
濃度となるように、該菌体を1%グルコース含む0.1M
リン酸緩衝液(pH6)25mlに懸濁し、亜セレン酸
1.3mg(セレン濃度として30ppm)を加えて、30
℃で20時間振盪して反応せしめ、遠心分離にて集菌
し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾
燥し、乾燥菌体量と菌体内に取り込まれたセレン濃度を
測定した。その結果を第14表に示す。
以上から、トルラスポラ属の酵母を使用した場合も良好
に菌体にセレンを取込ませることができた。
実施例18 微生物をラクトバチルス・カゼイとした場
合 ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)B−
1045(IFO−3425)をpH7に調製したロイ
コノストック培地(2%グルコース,0.5%イーストエ
キス,0.5%ペプトン:120℃で15分殺菌)で30℃で
20時間培養し、培養液100mlから得られた菌体を100
mlの水で3回洗浄した後、菌体濃度が1.2×10
/mlのバイオロジカルスペース以上の菌体濃度となる
ように、該菌体を1%グルコース含む0.1Mリン酸緩衝
液(pH6)25mlに懸濁し、亜セレン酸1.3mg
(セレン濃度として30ppm)を加えて、30℃で20
時間振盪して反応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに
菌体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥
菌体量と菌体に取り込まれたセレン濃度を測定した。そ
の結果を第15表に示す。
以上から、微生物として乳酸菌を使用した場合も良好に
菌体内にセレンを取込ませることができた。
実施例19 微生物をラクトバチルス・アシドフィラス
とした場合 ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acid
ophilus)B−1051(IFO−3953)をpH7
に調製したロイコノストック培地で30℃で20時間培
養し、培養液100mlから得られた菌体を100mlの水で
3回洗浄した後、菌体濃度が1.1×10コ/mlのバ
イオロジカルスペース以上の菌体濃度となるように、該
菌体を1%グルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH
6)25mlに懸濁し、亜セレン酸1.3mg(セレン濃
度として30ppm)を加えて、30℃で20時間振盪し
て反応せしめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100
mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体量と菌
体内に取り込まれたセレン濃度を測定した。その結果を
第16表に示す。
実施例20 微生物をアスペルギルス・ニガーとした場
合 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)S−7
(IFO−6341)をpH7に調製したYM培地(1
%グルコース,0.5%ペプトン、0.3%イーストエキス、
0.3%マルトエキス:120℃で15分殺菌)で25℃で2
0時間培養し、培養液100mlから得られた菌体を100m
lの水で3回洗浄した後、該菌体を1%グルコースを含
む0.1Mリン酸緩衝液(pH6)15mlに懸濁し、亜
セレン酸1.25mg(セレン濃度として50ppm)を加え
て、30℃で18時間振盪して反応せしめ、遠心分離に
て集菌し、さらに菌体を100mlの水で2回洗浄した後
凍結乾燥し、乾燥菌体0.48gを得た。菌体内に取込まれ
たセレン濃度920ppm(取込み率46%)であっ
た。
実施例21 微生物をアスペルギルス・アワモリとした
場合 アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)N
04A(IFO−4033)をpH7に調製したYM培
地で25℃で30時間培養し、培養液100mlから得ら
れた菌体を100mlの水で3回洗浄した後、該菌体を1
%グルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6)25
mlに懸濁し、亜セレン酸2.5mg(セレン濃度として6
0ppm)を加えて、30℃で18時間振盪して反応せ
しめ、遠心分離にて集菌し、さらに菌体を100mlの水
で2回洗浄した後凍結乾燥し、乾燥菌体0.62gを得た。
菌体内に取込まれたセレン濃度は、230ppm(取込
み率70%)であった。
以上から、微生物としてカビを使用した場合も良好に菌
体にセレンを取込ませることができた。
実施例22 微生物をクロレラ・ブルガリスとした場合 クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)E−25
を2%グルコース、0.4%尿素、0.1%リン酸塩、0.1%
硫酸マグネシウム、0.03%硫酸第一鉄、0.1%塩化カル
シウムを含む培地で30℃で30時間培養し、培養液10
0mlから得られた菌体を100mlの水で3回洗浄した
後、菌体濃度が2×10コ/mlのバイオロジカルス
ペース以上の菌体濃度となるように、該菌体を0.5%グ
ルコースを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6)25ml
に懸濁し、亜セレン酸5mg(セレン濃度として120p
pm)を加えて、30℃で18時間振盪して反応せし
め、菌体濃度を測定して遠心分離にて集菌し、さらに菌
体を100mlの水で2回洗浄した後凍結乾燥し、菌体内
に取り込まれたセレン濃度を測定した。その結果を第17
表に示す。
以上から、微生物として単細胞緑藻を使用した場合も良
好に菌体にセレンを取込ませせることができた。
<発明の効果> 本発明の製造法の目的は、予めセレンを添加しない実質
的にセレンを含有しない培地で菌体を培養・増殖させる
ため、培養時にセレンによる生育阻害が無く、従来技術
にある予めセレンを添加させた培地で培養・増殖させる
場合に比すと菌体の増殖速度が早く、また増殖率も優れ
ている方法を提供する。
また、本発明は菌体を培地で充分培養・増殖させ、集菌
後に反応液へ該菌体を分散させるため、菌体を濃縮化す
ることが可能であることから反応系を小さくでき、した
がって反応後の廃液を少量化することができ、また、反
応液中にセレン以外の金属を含まないため廃液処理を簡
便にする方法を提供する。
さらに、本発明は菌体を適宜増殖させ、集菌後に水洗し
て培養培地成分を除去した後菌体濃度を好ましくはバイ
オロジカルスペース以上に調製して培養・増殖を停止さ
せるため、当然反応せしめる際には菌体増殖の必要は無
く、菌体増殖阻害を生ずるセレンを反応液中で高濃度に
することが可能であり、かつ、菌体内に取込ませ蓄積で
きる高分子化セレン濃度も高く、高濃度の高分子化セレ
ンを含有した菌体を製造することを提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で求めた菌体の増殖曲線を示し、第2
図は実施例12参考例で求めた溶出パターンとセレンの
分布を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/12 C 7236−4B 1/14 A 7236−4B 1/16 J 7236−4B 1/20 A 7236−4B (C12N 1/12 C12R 1:89) (C12N 1/14 C12R 1:665) (C12N 1/14 C12R 1:685) (C12N 1/16 C12R 1:865) (C12N 1/16 C12R 1:645) (C12N 1/16 C12R 1:72) (C12N 1/20 C12R 1:245) (C12N 1/20 C12R 1:23)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子化セレンを菌体内に蓄積することの
    できる微生物を培養して得た菌体を、バイオロジカルス
    ペース以上の菌体濃度となるようにセレンの高分子化基
    質である有機化合物および水溶性無機セレン化合物を含
    有する水溶液に分散せしめることにより、該菌体に高分
    子化セレンを蓄積せしめることを特徴とする高分子化セ
    レン含有菌体の製造法。
  2. 【請求項2】高分子化セレンを菌体内に蓄積することの
    できる微生物が可食性の酵母,細菌,カビまたは単細胞
    緑藻である請求項第1項記載の製造法。
  3. 【請求項3】可食性の酵母がサッカロミセス(Saccharom
    yces)属,トルラスポラ(Torulaspora)属,トルロプシ
    ス(Torulopsis)属,ミコトルラ(Mycotorula)属,キャン
    ディダ(Candida)属,ハンセヌラ(Hansenula)属に属する
    酵母である請求項第2項記載の製造法。
  4. 【請求項4】水溶性無機セレン化合物が亜セレン酸,二
    酸化セレンまたはセレン酸である請求項第1項記載の製
    造法。
  5. 【請求項5】セレンの高分子化基質である有機化合物が
    糖および/またはアミノ酸である請求項第1項記載の製
    造法。
  6. 【請求項6】糖がグルコース,フラクトース,シュクロ
    ース,マルトースまたはトレハロースであり、アミノ酸
    がロイシンまたはイソロイシンである請求項第5項記載
    の製造法。
  7. 【請求項7】セレンの高分子化基質である有機化合物水
    溶液が少なくとも糖および/またはアミノ酸およびリン
    酸塩を含有してなる請求項第5項記載の製造法。
  8. 【請求項8】高分子化セレンを菌体内に蓄積することの
    できる微生物を培養して得た菌体が、8〜20時間の培
    養時間で得られた菌体である請求項第1項記載の製造
    法。
  9. 【請求項9】高分子化セレンを菌体内に蓄積することの
    できる微生物を培養して得た菌体を、水溶性無機セレン
    化合物を含有する水溶液に分散せしめる時間が、8〜2
    4時間である請求項第1項記載の製造法。
  10. 【請求項10】水溶性無機セレン化合物のセレン濃度
    が、10〜100ppmである請求項第1項記載の製造
    法。
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