JPH0616642Y2 - ベルト接合用テ−プ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、研磨ベルトの接合に用いるテープに関するも
ので、全芳香族ポリエステル繊維を抗張体に用いること
によって、屈曲疲労による耐久性を大幅に向上させるこ
とを目的とする。

〈従来の技術〉 従来、研磨ベルト接合用テープとしては、単にフイルム
からなるテープと繊維で補強されたテープとがあり、補
強用の繊維としてはポリエチレンテレフタレート繊維
（一般的にポリエステル繊維と呼ばれる）と高強度繊維
であるパラ系アラミド繊維（デユポン社製ケブラー）が
使われている。いずれのテープもベルト接合部の裏面に
貼られるために厚みが薄い事と、高強力であることを必
要とする。この点においてパラ系アラミド繊維の細デニ
ールフイラメントを使用したものは、ベルト接合用テー
プとして効果的である。パラ系アラミド繊維を用いたテ
ープはポリエステルフイルム（ポリエチレンテレフタレ
ートのフイルム）とパラ系アラミド繊維の複合構造より
出来ている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 研磨ベルト接合用テープとしての要求レベルは、近年増
々高くなり、特により強い繊維によるベルト強力向上、
より細いデニールフイラメント糸使用による厚み減少、
さらにベルト接合部による屈曲疲労に対する耐久性向上
が要望されており、パラ系アラミド繊維を用いたものよ
りも一層優れたものが望まれている。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は全芳香族ポリエステル繊維のフイラメント糸を
抗張体に用いることによって、パラ系アラミド繊維では
得られない高性能な研磨ベルト接合用テープを提供する
ものである。全芳香族ポリエステル繊維は、通常25g/d
以上の強度を有しており、ケブラーの21g/dを上まわ
る。しかも驚くべきことに全芳香族ポリエステル繊維の
屈曲耐久性はケブラーのそれと比較すると約２倍にな
る。

研磨ベルト接合用テープ構造は、その用途に応じてフイ
ラメント糸のデニールやフイルム厚さは異なるが、好ま
しくは抗張方向に50dから500dの全芳香族ポリエステル
フイラメント糸を使い、直角方向にポリエチレンテレフ
タレート繊維やナイロン繊維等からなる50d以下のフイ
ラメント糸を用いた織物と３milから10milまでの厚みの
ポリエチレンテレフタレートフイルムをウレタン系接着
剤等で貼り合わせたものである。

次に本考案を図面により説明する。第１図は研磨ベルト
の斜視図であり、図中１が研磨ベルト、２がベルト接合
用テープであり、該テープはバイアスに接合されてい
る。第２図は研磨ベルト接合用テープの正面図であり、
図中３が芳香族ポリエステル繊維のヤーン、４がナイロ
ンあるいはポリエチレンテレフタレート等のヤーンであ
る。３のヤーン方向がベルトの縦方向になる。第３図は
研磨ベルト接合用テープの断面図であり、図中５がフイ
ルム層、６が接着剤層、７が繊維織物層である。

ここで云う全芳香族ポリエステルとは一種以上の芳香族
ヒドロキシ酸の、場合によっては芳香族ジオール及び／
又は芳香族二酸との縮合による溶融加工可能な芳香族ポ
リエステルであって、存在する各成分の少くとも一個の
芳香環が重合体主鎖に寄与しているという意味において
全芳香族と称される全芳香族ポリエステルであって、異
方性溶融相を形成しうるいわゆるサーモトロピツク液晶
性全芳香族ポリエステルを意味する。

これらの全芳香族ポリエステルのうち、ヒドロキシ安息
香酸、特にｐ−ヒドロキシ安息香酸と６−ヒドロキシ−
２−ナフトエ酸とのポリエステル、又更にこれらにp,
p′−ビスフエノールを第３成分として共重合させたポ
リエステルの他、ｐ−ヒドロキシ安息香酸、p,p′−ビ
フエニール、テレフタール酸及び／又はイソフタル酸か
ら成るポリエステルが有用であるが、それらに限定され
るものではなく、本考案の目的を阻害しない限りにおい
て、他の成分のポリマーへの導入を妨げるものではな
い。

次に本考案を具体的に実施例と比較例で示す。

実施例１ ｐ−ヒドロキシ安息香酸と6,2−ヒドロキシナフトエ酸
との共重合体からなる溶融液晶ポリマーを用い、溶融紡
糸後不活性ガス中で熱処理を行なって150d/30fの全芳香
族ポリエステルフイラメント糸を作製した。該ヤーンの
性能は強度26g/d、切断伸度3.8％であった。

該ヤーンと30dのナイロンフイラメントから次の様な構
造の幅100cmの織物を製織した。

この織物に対し３mil厚のポリエチレンテレフタレート
フイルムをウレタン系接着剤を用いてラミネートし、ラ
ミネート布帛を作った。この布帛の強度は140kg/インチ幅
であった。この布帛を55°の角度でバイアスカツトを行
ない２cm幅のベルト接合用テープを得た。この接合用テ
ープの耐久性を調べるためにJIS-P-8115に記載のM.I.T.
屈曲テストを行なったところ、曲げ角度130°で切断に
まで用する屈曲回数はn=3の平均で75300回であった。

さらに１mm厚の研摩ベルトの55°バイアスカツト部分の
エンドレスベルトの接合に使用したところ、研摩終了ま
でベルトの切断等は起こらず問題はなかった。

比較例１ 米国アビロンダツク社の下記構造のベルト接合テープを
入手し、耐久性評価を行なった。

M.I.T.屈曲で切断する回数はn＝3の平均で39100回であ
った。さらに１mm厚の研摩ベルトの55°バイアスカツト
部での接合に、実施例１と同様に用いて、研摩を行なっ
たところ、研摩材の耐久性以前にベルト接合部での切損
を生じた。

【図面の簡単な説明】

第１図は研磨ベルトの斜視図、第２図は研磨ベルト接合
テープの正面図。第３図は研磨ベルト接合テープの断面
図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】全芳香族ポリエステル繊維を抗張体として
   用いることを特徴とする研磨ベルト接合用テープ。