JPH06165886A - ミシンのヒッチ防止制御方法 - Google Patents

ミシンのヒッチ防止制御方法

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JPH06165886A
JPH06165886A JP31957592A JP31957592A JPH06165886A JP H06165886 A JPH06165886 A JP H06165886A JP 31957592 A JP31957592 A JP 31957592A JP 31957592 A JP31957592 A JP 31957592A JP H06165886 A JPH06165886 A JP H06165886A
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JP
Japan
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sewing
rotary frame
sewing machine
rotation
point
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Application number
JP31957592A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Kato
俊幸 加藤
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Juki Corp
Original Assignee
Juki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 模様縫いに際してヒッチステッチが形成され
ないようにすると共に、下糸が必要以上に引き出されて
縫い目しまりが悪くなるようなこともなくす。 【構成】 縫製物を縫いパターンに応じて同一平面内で
直交するX,Y方向に移動させるXYテーブル5上に、
縫製物を保持してその縫い方向を常に一定方向又はその
許容範囲内にするように上記平面上で回転する回転枠6
を備えたミシンにおいて、XYテーブル5のX,Y方向
への移動と回転枠6の回転とを協調して制御し、縫い方
向が変化する針落ち点Sを中心として縫製物を回転させ
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、縫い針の昇降に同期
して縫製物を前後左右(X,Y方向)へ搬送して、例え
ば所望の模様等を形成するようにしたミシンにおいて、
糸目の連続性が損なわれるヒッチステッチが生じないよ
うにするためのヒッチ防止制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】布等の縫製物を縫い針の昇降に同期して
同一平面内で直交するX方向及びY方向へ搬送すること
によって種々の模様を形成する模様縫いミシンによれ
ば、縫い方向を常に一方向にすることによって、図16
の(a)に示すようなパーフェクトステッチPSが形成
されるが、縫い方向が一針毎に変化すると、その方向に
より同図の(b)に示すようなヒッチステッチHSが形
成されることがある。なお、図16における1,2は縫
製物である上布と下布、3,4はそれを縫製する上糸と
下糸である。
【0003】そして、パーフェクトステッチPSの場合
は、図17の(b)に示すように縫い目が連続するので
模様の見栄えがよいが、ヒッチステッチHSになると同
図の(a)に示すように縫い目の連続性が著しく損なわ
れたものとなり、模様の見栄えが悪くなって縫製品の商
品価値が大幅に低下するという問題が生じる。
【0004】そこで、例えば特開昭54−126157
号公報に見られるように、先端部に縫い針を装着する針
棒を針棒抱きに対して回動自在に保持すると共に、針棒
サポータに固設した案内ピンを針棒の長手方向に形成し
たカム溝に係合させて、針棒の上下動すなわち縫い針の
上下動に連動して針棒を所定角度往復回動させることに
より、ヒッチステッチの発生を防止するようにしたもの
が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のミシンは、針棒昇降機構等が設けられた狭小
なスペースにさらに針棒回動機構を設けなければならな
いため、その実施には設計上の困難を伴うという問題が
あった。しかも、このように針棒を回動させてパーフェ
クトステッチを形成したとしても、常に縫い方向を一定
方向若しくはその許容範囲内に保つことはできないた
め、縫い目が図17の(c)に示すように形成されて連
続性が損なわれ、模様の見栄えが悪くなることもあっ
た。
【0006】そのため、本出願人は先に、XYテーブル
上で縫製物を保持してその縫い方向を常に一定方向又は
その許容範囲内にするようにXY平面上で回転する回転
枠を備えた模様縫いミシンの布搬送装置を提案してい
る。
【0007】このような布搬送装置を備えた模様縫いミ
シンを使用すれば、縫製物を一針毎にその縫い方向(針
落ち点から次の針落ち予定点へ向かう方向)が常に一方
向あるいはその許容範囲内になるように回転させること
ができ、それによって常に図17の(b)に示したよう
な良好なパーフェクトステッチが形成され、縫い目の連
続性が保たれるようになる。
【0008】しかしながら、この布搬送装置において
は、縫いデータに応じたXYテーブルによるX,Y方向
の移動と縫い方向を一定方向にするための回転枠の回転
とが個別に決定されて記憶されたデータに基づいて制御
され、回転枠はその回転軸を中心に回転するので、針位
置と縫製物の回転中心とは一致しないから、次の針落ち
点を所定の縫い方向上に移動させるために縫製物を回転
させると、下糸を必要以上に引き出して縫い目しまりが
悪くなることがあるという問題があった。
【0009】この発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、上記のような模様縫いミシン等を含むミシンに
おいて、縫い方向が常に一方向の許容範囲内になるよう
にしてヒッチステッチが形成されないようにすると共
に、そのための縫製物の回転によって、下糸が必要以上
に引き出されて縫い目しまりが悪くなるようなこともな
いようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、縫製物を縫いパターンに応じて同一平面
内で直交するX,Y方向に移動させるXYテーブルと、
そのXYテーブル上に設けられ、縫製物を保持してその
縫い方向を常に一定方向又はその許容範囲内にするよう
に上記平面上で回転する回転枠とを備えたミシンにおい
て、上記XYテーブルのX,Y方向への移動と上記回転
枠の回転とを協調して制御し、縫い方向の変化する針落
ち点を中心として縫製物を回転させるヒッチ防止制御方
法を提供する。
【0011】そのXYテーブルの移動と回転枠の回転と
を協調して制御するには、上記回転枠の回転中心から縫
い方向の変化する針落ち点までの距離をr,該回転枠の
回転角度をθとしたとき、上記XYテーブルをX方向に
r・cosθ,Y方向にr・sinθだけそれぞれ上記回転枠の
回転に伴って移動させるようにするとよい。
【0012】
【作用】この発明によるミシンのヒッチ防止制御方法を
実施すれば、縫製する模様等のパターンに係わらず、縫
い方向を常に一定方向あるいはその許容範囲内に制御す
ることができるので、ヒッチステッチが形成されること
はなく、常に縫目が連続したパーフェクトステッチが形
成される。しかも縫製物は縫い方向の変化する針落ち点
を中心として回転されるので、下糸が必要以上に引き出
されて縫い目しまりが悪くなるようなこともない。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して具
体的に説明する。まず、この発明によるヒッチ防止制御
方法を実施するミシンの布搬送部の概略構成とこの発明
の基本構成を、図1に示す模式図によって説明する。
【0014】図1において、5は枠状のXYテーブルで
あり、後述するXY移動手段によって図示しないX駆動
台(X軸)がX方向へ移動され、Y駆動台(Y軸)がY
方向へ移動され、全体として同一平面内で直交するX,
Y方向に二次元移動する。
【0015】6はそのXYテーブル5上に設けられ、縫
製物である布を保持してXY平面上で回転する回転枠
(布保持枠)であり、XYテーブル5に取り付けられた
回転用モータ7によって、回転中心Oの回りに矢示Θで
示すように回転される。8はミシンの頭部であり、9は
その前端部に設けらてミシン主軸の回転によって上下動
する針棒(図示せず)の先端部に取付けた縫い針の位置
を示している。上糸を挿通した縫い針9と図示しない下
糸供給機構との協動、及び上記XYテーブル5と回転枠
6による布送り動作によって、回転枠6に保持された布
を縫製して所望のパターンの縫い模様等を形成すること
ができる。
【0016】この発明によれば、その縫製時に前述した
ヒッチステッチが形成されることなく、縫い目が確実に
連続したパーフェクトステッチを形成するように、一針
ごとに回転枠6を回転させて、それに保持された布の縫
い方向が常に一定方向(図示の例では一点鎖線矢印Pで
示す方向)又はその許容範囲内になるようにする。その
際、XYテーブル5のX,Y方向への移動と回転枠6の
Θ方向への回転とを協調して制御し、縫い方向の変化す
る針落ち点Sを中心として縫製物である布を回転させる
ことにより、下糸が必要以上に引き出されて縫い目しま
りが悪くなるようなこともなくす。
【0017】そのため、回転枠6の回転中心Oから縫い
方向の変化する針落ち点Sまでの距離をr,回転枠6の
回転角度をθとしたとき、XYテーブル5をX方向にr
・cosθ,Y方向にr・sinθだけそれぞれ回転枠6の回転
に伴って移動させるように制御して、XYテーブル5の
移動と回転枠6の回転とを協調させることができる。
【0018】次に、図2乃至図7を参照しながら、上述
したこの発明によるミシンのヒッチ防止制御方法の詳細
を説明する。まず図2を参照して、この発明による回転
縫製の目的は、“次に縫う点(次の針落ち予定点)”を
矢印付き1点鎖線Pで示す縫い方向上に移動させ、ヒッ
チステッチが形成されるのを防止して、縫い目の連続性
を良好に保つことである。
【0019】このときの制約条件は、下糸を縫いピッチ
以上に出さないようにすることである。すなわち“今縫
った点(縫い方向の変化する最後の針落ち点であって、
以下「最後の針落ち点という)”Sがその点Sを中心と
して半径が縫いピッチの円の外に出ないように回転枠6
を回転移動させなければならない。なぜならば、下糸が
縫いピッチ以上に繰り出されると、縫い目しまりが悪く
なるからである。
【0020】そこで、図2において回転枠6をその回転
中心Oの回りにα度左回転させるとすると、“今縫った
点”S(黒丸で示す)はOを中心とする半径r(回転枠
の回転中心Oから今縫った点Sまでの距離)の円C2上
をS′まで移動する。この回転により生じた点SとS′
のX,Y方向の位置の変化はΔx,Δyである。この変
化分を相殺するためには、回転枠6をその変化と逆方向
に同じ量だけ移動させれば良いことになる。
【0021】すなわち、図2に示すように回転枠6の回
転中心Oを、点Sを中心とした半径rの円C1上を点S
の回転と逆方向にα度回転させるとO′まで移動し、回
転中心OのO′への位置の変化はΔx,Δyとなり、
X,Y方向の位置の変化分は相殺される。このように、
点Sと回転中心Oの回転移動を同時に行なえば、恰も
“今縫った点”Sを中心として回転しながら“次に縫う
点”T(白丸で示す)が矢示Qで示すように縫い方向P
上に移動するように見える。
【0022】すなわち、“今縫った点”Sに対する“次
に縫う点”Tの位置はどんな位置も取り得るが、回転枠
6をその回転中心Oを中心として回転させた場合、図3
に示すように“今縫った点”Sと“次に縫う点”Tを結
ぶ直線S−Tを縫い方向P(この例ではY方向と平行)
と平行にする回転角度αは必ず存在する。
【0023】したがって、“今縫った点”Sと“次に縫
う点”Tを結ぶ直線は必ず縫い方向と平行となるように
回転させることが出来るから、“今縫った点”Sを疑似
的に固定できるならば、“次に縫う点”Tを恰も“今縫
った点”Sを中心として回転しているようにすることが
できる。
【0024】図2において、点Sの軌跡を直交座標で表
現すると、Y成分はY=r・sinθ,X成分はX=r・cos
θである。同様に、円C1上を移動する回転中心Oの軌
跡もY成分はY=r・sinθ,X成分はX=r・cosθであ
る。点Sの軌跡は点Oを中心として回転させれば上述の
ようになる。しかし、円C1上の点Oの軌跡はX/Y軸
の動きで作り出さなければならない。すなわち、r・sin
θから得られる値でY軸を駆動し、r・cosθから得られ
る値でX軸を駆動しなければならない。
【0025】そこで、図4に示す例では、回転枠6を反
時計方向にθ2 度回転させると共に、XYテーブル5を
X方向及びY方向にそれぞれ図7に示すB領域のサイン
(sin),コサイン(cos)波形となるように駆動する。ま
た、図5及び図6に示す例では、回転枠6を時計方向に
θ2 度回転させると共に、XYテーブル5をX方向及び
Y方向にそれぞれ図7に示すA領域のサイン,コサイン
波形となるように駆動する。
【0026】これらの例において、点Sを通りX,Y軸
の交点すなわち回転枠6の回転中心Oを結ぶ線を直線R
(その長さをrとする)とし、点Sを通りX軸と平行な
直線を直線Bとする。この直線Bを基準として直線Bか
ら直線Rまでの角度θ1 がX,Y軸それぞれの移動開始
点r・cosθ1,r・sinθ1を与える。また、縫製方向Pと
今縫った点Sと次に縫う点Tを結ぶ直線D(破線で示
す)とが成す角度θ2 が、X,Y軸それぞれの移動終了
点r・cos(θ1±θ2),r・sin(θ1±θ2)を与える。
【0027】回転枠6を回転させる方向は、今縫った点
SをX,Y軸の中心として、次に縫う点Tが第1,第4
象限にあるときには時計方向に回転させ、第2,第3象
限にあるときには反時計方向へ回転させる。回転枠6が
時計方向に回転するときには、X,Y軸はそれぞれr・c
os(θ1−θ2),r・sin(θ1−θ2)から得られる値で動
き、反時計方向に回転する場合はそれぞれr・cos(θ1+
θ2),r・sin(θ1+θ2)から得られる値で動く。
【0028】次に、この発明を適用するミシンにおける
XYテーブル及び回転枠の駆動機構の構成例を図8及び
図9によって説明する。図8において、8は縫い針9を
昇降させる縫い針昇降機構を収納してなるミシン頭部、
18は縫い針9を貫通させる針板などを備えたミシンベ
ッドであり、このミシンベッド18内にはミシン釜が収
納されている。また、19はミシンテーブルである。
【0029】ミシンベッド18上にはXY移動手段11
が取り付けられており、それは次のような構成を有す
る。すなわち、ミシンベッド18上に固定されたY駆動
モータ12によって、水平面における一方向(Y方向)
へ延びるY駆動ねじ13を回動させるようになってい
る。そして、図示しない適宜のガイドによってミシンベ
ッド18の上部あるいは上面に沿ってY方向へ移動可能
に支持されたY駆動台14がそのY駆動ねじ13に螺合
しており、Y駆動ねじ13が回動することによりY方向
に沿って進退する。
【0030】また、X駆動台15が適宜のガイドによっ
てミシンベッド18の上部あるいは上面に沿ってX方向
へ移動可能に支持されて、水平面におけるY方向と直交
するX方向に沿って移動し得るようになっている。そし
て、このX移動台15に螺合するX駆動ねじ16がX方
向に沿って延設している。このX駆動ねじ16はY駆動
台14に回動可能に挿通され、Y駆動台14と共にY方
向に沿って進退するようになっている。そして、Y移動
台14に固定されたX駆動モータ17によってX駆動ね
じ16を回動させることにより、X駆動台15がX方向
へと進退する。
【0031】このように、このXY移動手段11では、
X駆動台15が、Y駆動モータ12の駆動によってX駆
動ねじ16と共にY方向へ移動し、X駆動モータ17の
駆動によってX方向へ移動する。
【0032】このX駆動台15の側面に、前述したXY
テーブル5が固定されている。このXYテーブル5は矩
形の底板部5aの周囲に上方へ立上る枠部5bを取り付
けた構造となっている。また、底板部5aの中央には図
示しない円形の開口部が形成されている。
【0033】このXYテーブル5上に、前述した回転枠
(布保持枠)6が図示しない針板上面に沿って回転可能
に装着されている。この回転枠6は、図9の(a)に明
示するように円環状の下布挾持枠6A及び上布保持枠6
Bとからなり、下布保持枠6AはXYテーブル5の底板
部5aの円形の開口部に遊嵌する段差部6A1と外周面
に歯車を持つ従動車6A2とからなり、また上布保持枠
6Bには円環状の外壁部6B1が形成されるている。
【0034】そして、XYテーブル5の底板部5aの開
口部に下布保持枠6Aの段差部6A1を遊嵌した後、図
9の(b)に示すように縫製物である布10を載置し、
その上方から上布保持枠6Bの外壁部6B1を嵌合させ
るか、または上布保持枠6Bの外壁部6B1と底部とに
布10を張った状態で下布保持枠6Aの円環状の内壁に
嵌合させることにより、布10を両布保持枠6A,6B
の間に接触圧で保持し得るようになっている。
【0035】なお、図示しないが、上布保持枠6Bの外
壁部6B1の上方外周に鍔部を設け、このこ鍔部の下面
にゴム等の摩擦部材を取り付けると、摩擦部材と下布保
持枠6Aの上面との間で布10の端部を保持することが
可能となり、より布の保持が確実になる。
【0036】さらに、図8に示すように、XYテーブル
5の枠部5bに回転用モータ7が取り付けられており、
そのモータシャフトには、回転枠6の下布保持枠6Aの
従動車6A2に噛み合う駆動ギア7aが固定されてお
り、回転用モータ7を駆動して駆動ギア7aを回動させ
ることにより、回転枠6をその前述した回転中心を中心
として回動させ得るようになっている。
【0037】23,24は回転枠6の周面(従動車6A
2)に接合する案内ローラであり、一方の案内ローラ2
4はXYテーブル5の底板部5aに回動自在に支持さ
れ、他方の案内ローラ23は底板部5aに回動自在に取
り付けられたアーム23aに軸着されており、このアー
ム23aは常には図示しないスプリング等の弾性部材に
よって付勢され、案内ローラ23を回転枠6に圧接させ
るようになっている。
【0038】次に、この実施例のミシンにおける制御回
路の構成を図10に示すブロック図によって説明する。
図10において、31はCPU32,ROM33,RA
M34等からなるマイクロコンピュータである。
【0039】35は種々の指令及びデータを入力するた
めのキーボードなどからなる入力装置、36はミシン主
軸の回転に同期してパルス信号を出力するパルス信号発
生器、37はミシンの始動スイッチや縫製開始時の原点
検出を行うスイッチなどからなるスイッチ装置、38は
種々の縫製パターンデータを格納したデータ格納手段と
しての磁気ディスクであり、これらの35〜38の出力
はCPU32へ入力されるようになっている。
【0040】なお、縫製パターンデータを格納するため
に、磁気ディスク38の代わりにRAM34を用いても
よい。また、CPU32の出力側には、ミシン主軸を回
転させるミシンモータ20をはじめ、前述したX駆動モ
ータ17,Y駆動モータ12,及び回転用モータ7など
がそれぞれモータドライバ20D,17D,12D,7
Dを介して接続されており、CPU32はこれらのモー
タの駆動を制御する。
【0041】この実施例の動作を簡単に説明すると、電
源をONにすると、XYテーブル5を原点位置へ復帰さ
せる。これは、スイッチ装置37に設けられているX原
点スイッチとY原点スイッチとが共にONとなるまで、
X駆動モータ17とY駆動モータ12をCPU32が駆
動させることにより行う。その原点位置は、例えば図8
において、Y駆動台14がY方向に最大移動、X駆動台
1がX方向に最小移動できる点にストッパを設ける関係
上、この点より少し手前のXYテーブル5の位置とす
る。
【0042】その後、CPU32はさらにXY移動手段
11の両駆動モータ12,17を駆動して予め設定した
布着脱位置(原点位置の近傍)へXYテーブル5を移動
させる。そして、布着脱位置へ移動したXYテーブル5
上の回転枠6に前述のようにして布10を保持させた
後、縫製開始スイッチをONにすると、CPU32は、
まず布の縫製開始位置と縫い針9の位置とが一致するよ
うXYテーブル5を移動させる。
【0043】次いでミシンモータ20を駆動させると共
に、磁気ディスク38又はRAM34に格納されている
た縫製パターンデータを一針毎に読み出し、そのデータ
に従って、パルス信号発生器36のパルス信号を受けた
CPU32の指令に基づいてXY移動手段11の両駆動
モータ12,17及び回転用モータ7を駆動する。その
際の縫製パターンデータには、回転枠6の回転中心を座
標原点とする一針毎の各針落ち点のXY座標値(x,
y)のデータと縫いピッチデータとが含まれている。
【0044】ここで、この実施例による一針ごとのヒッ
チ防止制御の処理を図11乃至図13に示すフローチャ
ートと図14及び図15によって説明する。これらの図
において、最後の針落ち点S(図14,15に黒丸で示
す)の座標値をx1,y1とし、次の針落ち点T(図15
に白丸で示す)の座標値をx2,y2で表わしている。一
針の縫いが終わって縫い針9が上り始めると図11乃至
図13の処理を開始する。
【0045】先ず、図11に示すステップ1〜3の判断
で最後の針落ち点SがXY座標面の第1〜第4象限のい
ずれにあるかを判別する。図14から明らかなように、
点Sが第3象限にあるときは、x1<0,y1<0であ
り、点Sを通りX軸に平行な直線Bから点Sと座標原点
(回転中心)Oを結ぶ直線Rまでの角度θ1 をステップ
4でθ1 =arctan(y1/x1)の演算によって算出する。
【0046】また、点Sが第4象限にあるときは、x1
>0,y1<0であり、角度θ1 をステップ5でθ1 =a
rctan(x1/y1)+90°の演算によって算出する。点
Sが第1象限にあるときは、x1>0,y1>0であり、
角度θ1 をステップ6でθ1 =arctan(y1/x1)+18
0°の演算によって算出する。点Sが第2象限にあると
きは、x1<0,y1>0であり、角度θ1 をステップ7
でθ1 =arctan(x1/y1)+270°の演算によって算
出する。
【0047】このようにして図14における直線Bから
直線Rまでの角度θ1 を求めた後、ステップ8で直線R
の長さr(回転中心から最後の針落ち点までの距離)
を、r=√(x12+y12)の演算によって求める。
【0048】そして、図12のステツプ9へ進み、x1
=x2(次の針落ち点Tが図15にY軸に平行な一点鎖
線Kで示す縫い方向の直線上にある)か否かを判断し、
そうであれば図13のステップ11へ進む。そして、y
1−y2<0(次の針落ち点Tが最後の針落ち点Sより縫
い方向の先にある)か否かを判断し、そうであれば回転
枠6を回転させる角度θ2 を180°としてステップ2
6へ進み、そうでなければそのままステップ13へ進ん
で、XYテーブル5のY軸のみを縫い方向へ縫いピッチ
分だけ駆動する。
【0049】図12におけるステップ9で x1=x2 で
なければ、ステップ10へ進んで、y1=y2(次の針落
ち点Tが図15にX軸に平行な一点鎖線Lで示す直線上
にある)か否かを判断し、そうであればステップ14へ
進み、そうでなければステップ16へ進んで、いずれも
θ2 を90°とする。そして、ステップ15からはステ
ップ24へ、ステツプ16からは図13のステツプ26
へそれぞれ進む。
【0050】ステップ10で y1=y2 でなければ、ス
テップ17〜19へ進んで、図15に示す最後の針落ち
点Sを座標原点としたときに、次の針落ち点Tが第1〜
第4象限のいずれにあるかを判別する。そして、x1−
x2<0で且つy1−y2<0であれば第1象限にあり、
その場合はステップ20へ進んで、回転枠6を回転させ
る角度θ2 を、 θ2=arctan{(y2−y1)/(x2−x1)}+90° の演算によって算出する。
【0051】x1−x2<0で且つy1−y2<0でなけれ
ば第4象限にあり、その場合はステツプ21へ進んで、
回転枠6を回転させる角度θ2 を、 θ2=arctan{(y1−y2)/(x2−x1)} の演算によって算出する。
【0052】x1−x2<0でなく且つy1−y2<0であ
れば第2象限にあり、その場合はステツプ22へ進ん
で、回転枠6を回転させる角度θ2 を、 θ2=arctan{(y2−y1)/(x1−x2)}+90° の演算によって算出する。
【0053】x1−x2<0でなく且つy1−y2<0でな
ければ第3象限にあり、その場合はステツプ23へ進ん
で、回転枠6を回転させる角度θ2 を、 θ2=arctan{(x1−x2)/(y1−y2)/} の演算によって算出する。
【0054】そして、ステツプ20,21からはステッ
プ16の場合と同じくステップ26へ進んで、θ2≧3
0°か否かを判別し、θ2≧30°でなければ次の針落
ち点の所定の縫い方向に対するずれ角度が、良好なパー
フェクトステッチを形成するための許容範囲内にあると
判断して、回転枠6を回転させずにステップ13へ進
み、XYテーブル5のY軸のみを縫い方向へ縫いピッチ
分だけ駆動する。
【0055】θ2≧30°であれば、回転枠6を時計方
向にθ2度回転させながら、XYテーブル5のX軸,Y
軸をそれぞれその回転に同期して、次の値で駆動する。 X=r・cos(θ1−θ2),Y=r・sin(θ1−θ2) その後ステップ13へ進み、XYテーブル5のY軸のみ
をさらに縫い方向へ縫いピッチ分だけ駆動する。
【0056】また、ステツプ22,23からはステップ
15の場合と同じくステップ24へ進んで、やはりθ2
≧30°か否かを判別し、θ2≧30°でなければ回転
枠6を回転させずにステップ13へ進み、XYテーブル
5のY軸のみを縫い方向へ縫いピッチ分だけ駆動する。
【0057】θ2≧30°であれば、回転枠6を反時計
方向にθ2度回転させながら、ステップ27の場合と同
様にXYテーブル5のX軸,Y軸をそれぞれその回転に
同期して、次の値で駆動する。 X=r・cos(θ1+θ2),Y=r・sin(θ1+θ2) その後ステップ13へ進み、XYテーブル5のY軸のみ
をさらに縫い方向へ縫いピッチ分だけ駆動する。
【0058】なお、この実施例で、回転枠を回転させな
い許容範囲を、θ2が ±30°未満としたが、この範囲
は任意に変更でき、狭くするほど縫い目の連続性は良好
になるが、回転枠とXYテーブルの協調動作による角度
補正をする回数が多くなるので、縫製速度が若干遅くな
る。そこでθ2が ±30°くらいまでは縫い目の外観に
問題が生じないので、角度補正を行なわないようにし
た。この許容範囲は、縫製物の材質や厚さ、糸の材質や
太さ,縫いピツチなどの縫製条件によっても多少異なっ
てくる。
【0059】
【発明の効果】この発明によれば、模様縫いミシンで縫
製する模様のパターンに係わらず、縫い方向を常に一定
方向あるいはその許容範囲内に制御することができるの
で、ヒッチステッチが形成されることはなく、常に縫目
が連続したパーフェクトステッチが形成される。しかも
縫製物は実質的に縫い方向の変化する針落ち点を中心と
して回転されるようになるので、下糸が必要以上に引き
出されて縫い目しまりが悪くなるようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するミシンの布搬送部の概略構
成を示す模式図である。
【図2】この発明によるヒッチ補正制御の詳細な説明に
供する説明図である。
【図3】同じくその説明図である。
【図4】同じく回転枠を反時計方向に回転させる場合の
例を示す説明図である。
【図5】同じく回転枠を時計方向に回転させる場合の例
を示す説明図である。
【図6】同じく回転枠を時計方向に回転させる場合の例
を示す説明図である。
【図7】同じく回転枠の回転角度θとその回転中心から
今縫った点までの距離rの関係を示す線図である。
【図8】この発明を適用するミシンにおけるXYテーブ
ル及び回転枠の駆動機構の構成れを示す斜視図である。
【図9】図9における回転枠6に布をを保持させる方法
の説明に供する断面図である。
【図10】同じくそのミシンにおける制御回路の構成例
を示すブロック図である。
【図11】図10に示したマイクロコンピユータ31等
によるこの発明によるヒッチ防止制御の処理を示すフロ
チャートである。
【図12】おなじくその続きのフローチャートである。
【図13】さらにその続きのフローチャートである。
【図14】図11のステップ1〜3の判断に関する説明
図である。
【図15】図12及び図13のステップ17〜19の判
断に関する説明図である。
【図16】パーフェクトステッチとヒッチステッチの説
明のための縫製部の模式的断面図である。
【図17】同じくその縫い目の連続性の相違を説明する
ための平面図である。
【符号の説明】
5 XYテーブル 6 回転枠(布保持枠)
6A 下布保持枠 6B 上布保持枠 7 回転用モータ 8 ミシン頭部 9 縫い針 10 布
(縫製物) 11 XY移動手段 12 Y駆動モータ 1
3 Y駆動ねじ 14 Y駆動台 15 X駆動台 16 X駆
動ねじ 17 X駆動モータ 18 ミシンベッド 1
9 ミシンテーブル 20 ミシンモータ 23,24 案内ローラ 31 マイクロコンピュータ 35 入力装置 36 パルス信号発生器 37 スイッチ装置
38 磁気ディスク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縫製物を縫いパターンに応じて同一平面
    内で直交するX,Y方向に移動させるXYテーブルと、
    該XYテーブル上に設けられ、前記縫製物を保持してそ
    の縫い方向を常に一定方向又はその許容範囲内にするよ
    うに前記平面上で回転する回転枠とを備えたミシンにお
    いて、 前記XYテーブルのX,Y方向への移動と前記回転枠の
    回転とを協調して制御し、縫い方向の変化する針落ち点
    を中心として前記縫製物を回転させることを特徴とする
    ミシンのヒッチ防止制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のミシンの防止制御方法に
    おいて、前記回転枠の回転中心から縫い方向の変化する
    針落ち点までの距離をr,該回転枠の回転角度をθとし
    たとき、前記XYテーブルをX方向にr・cosθ,Y方向
    にr・sinθだけそれぞれ前記回転枠の回転に伴って移動
    させるように、該XYテーブルの移動と前記回転枠の回
    転とを協調して制御することを特徴とするミシンのヒッ
    チ防止制御方法。
JP31957592A 1992-11-30 1992-11-30 ミシンのヒッチ防止制御方法 Pending JPH06165886A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003534075A (ja) * 2000-05-24 2003-11-18 ゲー エム パフ アクチエンゲゼルシャフト イン インゾルヴェンツ 縫製装置
KR20120079451A (ko) 2011-01-04 2012-07-12 쥬키 가부시키가이샤 재봉기

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EP2476789A2 (en) 2011-01-04 2012-07-18 JUKI Corporation Sewing Machine
EP2476789A3 (en) * 2011-01-04 2014-10-29 JUKI Corporation Sewing Machine

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