JPH0616389Y2 - 蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば低ないし中レベルの放射性廃棄物処理
用容器の蓋に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕 近年、原子力発電所等の原子力施設から排出される各種
放射性廃棄物の量は増大する一方であり、このような放
射性廃棄物の処理は、例えば中低レベルの放射性廃棄物
の処理は、ドラム缶等に投入密閉されて海洋投棄された
り地中埋設等される予定である。

そして、このような放射性廃棄物処理用の容器として、
軟鋼製ドラム缶に、あるいは特公昭56−12840号公報に
示されるように、あらかじめ容器の形状に成形した鋼繊
維補強コンクリートに重合性含浸剤を含浸させ、コンク
リート内で重合硬化させ強度、耐衝撃性、耐食性、水不
透性及び耐火性を改善した放射性廃棄物処理用容器、特
公昭57−34518号公報に示されるように、あらかじめ容
器の形状に成形した鋼繊維補強コンクリートに重合性含
浸剤を部分含浸させ、コンクリート内で重合硬化させ強
度、耐衝撃性、耐食性及び耐火性を改善した放射性廃棄
物処理用容器、又は特開昭59−85999号公報に示される
ように、外殻としての金属製容器、該金属製容器の内面
にライニングされ補強材で補強され更に含浸剤にて強化
されたコンクリートから構成される外殻及び内殻の二重
構造を有する多重型容器が提案されてきている。

そして、例えば粉状あるいは粒状の焼却灰等の微細な放
射性廃棄物を熔融アルファルト、熔融ポリエチレン等と
混練し、この混練物を前記放射性廃棄物処理用容器内に
充填したり、あるいは放射性廃棄物処理用容器内に放射
性廃棄物とセメントとを充填して混練固化した後、この
放射性廃棄物含有層上にセメントペーストを充填し、そ
してこのセメントペーストといった無機質上に中蓋を配
置すると共に、この中蓋の周端部を例えばエポキシ系接
着剤で放射性廃棄物処理用容器に接着し、その後外蓋を
放射性廃棄物処理用容器に配設し、これを海洋投棄ある
いは地中埋設するといったことが考えられている。

しかし、これまでの放射性廃棄物の処理の為の開発は放
射性廃棄物処理用容器本体の部分に主眼が注がれていた
ことより、つまり放射性廃棄物処理用容器本体に対する
蓋にはあまり開発の主眼点が置かれていなかったことよ
り、放射性廃棄物の処理が完全に満足できていない。

すなわち、放射性廃棄物処理用容器本体が充分に満足で
きるものではあっても、蓋の取付具合が不充分なもので
あるならば、この放射性廃棄物処理用容器は決して満足
できるものではないのである。

例えば、従来より提案されている中蓋をセメントペース
トあるいは水ガラス等の無機系接着剤で放射性廃棄物処
理用容器本体に接着するといった技術は、放射性廃棄物
処理用容器本体内に充填されているセメントペースト層
等からブリージングしてくる水によって中蓋とこのセメ
ント固化層等とは一体化しておらず、この為中蓋として
の機能が充分に発揮されてないことから接着力の高いエ
ポキシ系接着剤等で中蓋を接着するといった工程を要す
る為、それだけ作業性が悪く、特に放射性廃棄物の処理
に際しては接着面への固化剤の付着、濡れ等を防がねば
ならない等の面倒な作業を注意深く行なわなければなら
ない問題があり、又、自動作業化に特別な装置が要ると
いった欠点がある。

又、セメント固化などでは、ライニングコンクリート層
に鉄筋をだしておいて、上部にコールドのセメントを打
設してシールする際に鉄筋が機械的にロックするような
方法がとられている。

しかし、この場合にあっても、セメント、水ガラス等の
接着不足のため充分に一体化したシールが出来ていな
い。

〔問題点を解決する為の手段〕

本考案は上記の点に鑑みてなされたものであり、放射性
廃棄物及びセメント系ペーストが入れられ、容器内上部
にセメント系ペーストが存在する放射性廃棄物処理容器
を密閉する為の蓋であり、この蓋の内面側には、多数の
凹凸が表面部に形成され、かつ、多数の微細な空隙が内
部に形成されたポーラスコンクリート層が設けられてな
ることにより、この蓋の閉蓋時に前記セメント系ペース
トが前記ポーラスコンクリート層内部に進入して一体化
し、閉蓋力が向上するよう構成されてなることを特徴と
する蓋を提供するものである。

〔実施例〕

第１図は本考案に係る蓋の１実施例を示す側面図、第２
図は第１図に示される蓋のものが放射性廃棄物処理用容
器の蓋として応用されている場合の断面説明図である。

同図中、Ａは本考案になる蓋、１はコンクリート製の蓋
体であり、２は蓋体１の内面側に設けられた、例えば表
面に凹凸部及び内部に空隙部が構成されたポーラスコン
クリート層である。

尚、このような構造の蓋Ａは、例えばスチルファイバー
コンクリートを打設して所定時間放置して蓋体１を得た
後、この蓋体１の内面側に、例えば最大骨材寸法10mm、
水：セメント：骨材＝92：305：1601の割合からなるポ
ーラスコンクリートを打設してポーラスコンクリート層
２を設け、そして養生することによって得られる。

尚、コンクリート打設後ポーラスコンクリートを設ける
までの時間は、ポーラスコンクリートがコンクリート中
に埋設してしまうほど早い時間ではなく、又、ポーラス
コンクリートが付着しないほどコンクリートが硬化して
いない状態の時間であり、ポーラスコンクリートがコン
クリートに確実に密着し、かつ所定の空隙を持つように
成形する為に適したものであればよい。

Ｂは放射性廃棄物処理用容器本体であり、この放射性放
棄物処理用容器本体Ｂの構造は特別には限定されること
なく、例えば軟鋼製ドラム缶３の内面側にポリマー含浸
コンクリート層４が設けられたものとして構成されてい
る。

５は、放射性廃棄物処理用容器本体Ｂ内に充填されてい
る放射性廃棄物含有セメント層、６は、放射性廃棄物含
有セメント層５上に充填されているセメントペースト層
である。

上記のように放射性廃棄物処理用容器が構成されている
と、放射性廃棄物処理用容器本体Ｂ内に放射性廃棄物と
セメントとを充填して固化した後、セメントペーストを
充填してセメントペースト層６を設け、蓋Ａを配し、そ
して外蓋７を配設するのみで、放射性廃棄物の処理の為
の一連の作業は終了し、その後これを貯蔵、海洋投棄あ
るいは地中埋設すればよく、極めて作業性良く行なえる
ものであり、放射性廃棄物の処理に際して従来のような
面倒な作業はなく、しかも自動作業化できるといった特
長がある。

又、蓋Ａとセメントペースト層６との一体化の力も大き
く、すなわちセメントペースト層６上に水がブリージン
グしてきてもこのブリージングしてきた水は蓋Ａのポー
ラスコンクリート層２に吸収され、かつセメントペース
ト層６とポーラスコンクリート層２とが密接にかみあう
ので、両者の一体化力は大きく、剥離しにくいものであ
り、そして放射性廃棄物処理用容器に対して行なわれる
外圧強度試験、漏水試験、促進耐久性試験、輸送試験、
水吹付試験、落下試験、貫通試験、振動試験、火災試験
を行なっても蓋の剥離等はなく、良好な成績が示された
ものである。

〔効果〕

本考案に係る蓋は、放射性廃棄物及びセメント系ペース
トが入れられ、容器内上部にセメント系ペーストが存在
する放射性廃棄物処理容器を密封する為の蓋であり、こ
の蓋の内面側には、多数の凹凸が表面部に形成され、か
つ、多数の微細な空隙が内部に形成されたポーラスコン
クリート層が設けられてなることにより、この蓋の閉蓋
時に前記セメント系ペーストが前記ポーラスコンクリー
ト層内部に進入して一体化し、閉蓋力が向上するよう構
成されてなるので、例えば放射性廃棄物の処理に際して
の作業が著しく容易になり、特に従来のようなエポキシ
系接着剤による接着作業工程を不要なものとでき、それ
だけ作業工程数が少なくなり、自動作業化が容易なもの
であって、放射性廃棄物の処理作業をし易くなり、又、
収納廃棄物上面と蓋の下面に空間が出来ない為蓋の一体
化度が大きく、９ｍ落下試験、火災試験といった試験成
績も良いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案に係る蓋の１実施例の説明
図である。 Ａ……蓋、１……蓋体、２……ポーラスコンクリート
層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 串田 志津子 東京都杉並区上高井戸１−７―16 (56)参考文献 特開 昭59−126298（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】放射性廃棄物及びセメント系ペーストが入
   れられ、容器内上部にセメント系ペーストが存在する放
   射性廃棄物処理容器を密封する為の蓋であり、この蓋の
   内面側には、多数の凹凸が表面部に形成され、かつ、多
   数の微細な空隙が内部に形成されたポーラスコンクリー
   ト層が設けられてなることにより、この蓋の閉蓋時に前
   記セメント系ペーストが前記ポーラスコンクリート層内
   部に進入して一体化し、閉蓋力が向上するよう構成され
   てなることを特徴とする蓋。