JPH06162965A - 偏平型陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エアリークのない偏平型陰極線管を簡便な手
段で実現する。 【構成】 ファンネル１、フロントパネル２及びスクリ
ーンパネル３からなる偏平型陰極線菅において、少くと
もファンネル１とフロントパネル２とのコーナー部の接
合面におけるフロントパネル１の厚みをファンネルの厚
みよりも薄くするか、あるいは少くともファンネル１と
フロントパネル２とのコーナー部の接合面近傍のフロン
トパネル２の外表面を平滑化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ブラウン管の一種で
ある偏平型陰極線管に関する。さらに詳しくは、エアリ
ークのない偏平型陰極線管に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドアホーンのモニター等に、図４
に示すような、ファンネル１とフロントパネル２とスク
リーンパネル３とが、互いにガラスフリット４で溶着さ
れた構造を有する偏平型陰極線管が使用されるようにな
っている。

【０００３】このような偏平型陰極線管においては、図
４におけるフロントパネル２とスクリーンパネル３の断
面を示す図５のように、内側のスクリーンパネル３の有
効画面領域５に電子ビーム６を照射することにより画像
が形成される。この画像をＡの方向から見る場合、即ち
フロントパネル２側から見る場合には反射型偏平型陰極
線管となり、Ｂの方向から見る場合、即ちスクリーンパ
ネル３側から見る場合には透過型偏平型陰極線管とな
る。なお、この場合には、フロントパネル２はバックパ
ネルとも称される。

【０００４】ところで、図４に示すような偏平型陰極線
管のファンネル１とフロントパネル２及びスクリーンパ
ネル３との接合は、前述したとおりガラスフリット４で
行うが、この場合、ファンネル１の接合面にガラスフリ
ット４を塗布し、そのうえからフロントパネル２とスク
リーンパネル３とを重ね、スクリーンパネル３の外表面
側を基準として治具につきあてて接合の位置決めを行っ
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな偏平型陰極線管は、従来の一般的な二体構造の陰極
線管に比べ、大きさの割りにガラスフリットで接合すべ
き面積が大きいために、ファンネルに塗布したガラスフ
リットへフロントパネルやスクリーンパネルを重ねて接
合する際の加圧バランスをコントロールすることが非常
に難しく、そのため接合が不完全となり、エアリークが
発生し、また密着性も低下するという問題があった。特
に、以下に説明するように、ファンネルとフロントパネ
ルとのコーナー部分の接合部でリークが生じやすいとい
う問題があった。

【０００６】即ち、強度等の観点から、一般にファンネ
ルは数ｍｍ程度の厚みを有し、スクリーンパネルはファ
ンネルよりも約１ｍｍ程度薄いものであり、また、フロ
ントパネルはファンネルの約１０％程度厚いものであ
り、このような厚みの部材を、スクリーンパネルの外表
面を基準として接合するので、図６に示すようにガラス
４がファンネル１の内側に十分にかぶることとなる（同
図中、４ａ）。従って、スクリーンパネル３側ではリー
クを防止することが容易となる。

【０００７】一方、フロントパネル２については、部材
の厚みの公差や組み立て公差などがあり、コーナー部に
向かってズレが大きくなる傾向がある。従って、図７に
示すようにフロントパネル２とファンネル１の接合部で
のガラスフリット４による内側かぶり４ｂが不十分とな
りやすいためフロントパネル２側のリークを防止するこ
とが困難となる。この傾向は、フロントパネルのコーナ
ー部において特に顕著になる。これは、フロントパネル
を溶融ガラスから金型で成型する際に、そのコーナー部
が厚くなる傾向にあるため、ガラスフリットの内側かぶ
りがいっそう不良となりやすいからである。

【０００８】また、フロントパネル２とファンネル１の
接合面から外側にはみ出したガラスフリット４は、焼成
の際に熔融してファンネル１とフロントシール２との接
合面近傍Ａの外表面を濡らして図８のように両者を融着
させる。ところが、フロントパネル自身が金型成型より
製造されているので、成型回数の増大に伴い金型内側表
面が荒れ、そのためにフロントパネル２の外表面の平滑
性は低下する。従って、そのようなフロントパネル表面
に対しては、溶融ガラスフリットが濡れにくくなって、
外側かぶりが不良となり、そのためにフロントパネルと
ファンネルとの密着性が低下してリークが生じやすくな
る。特に、内側かぶりが不良の場合に外側かぶりも不良
であるとエアリークを避け得ないという問題がある。

【０００９】更に、エアリークがあるとガラスフリット
を再塗布しなければならず製造工程数が増え、製造コス
トも増大してしまうという問題もあった。

【００１０】この発明は、以上のような従来技術の問題
点を解決し、簡便な手段でエアリークのない偏平型陰極
線管を提供できるようにすることを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この発明者は、少くとも
フロントパネルのコーナー部の厚みをファンネルの厚み
より薄くするか、あるいは少くともファンネルとフロン
トパネルとのコーナー部の接合面近傍のフロントパネル
の外表面を平滑化することにより上述の目的が達成でき
ることを見出し、この発明を完成させるに至った。

【００１２】即ち、第一のこの発明は、ファンネル、フ
ロントパネル及びスクリーンパネルからなる偏平型陰極
線菅において、少くともファンネルとフロントパネルと
のコーナー部の接合面におけるフロントパネルの厚みが
ファンネルの厚みよりも薄いことを特徴とする偏平型陰
極線管を提供する。

【００１３】また、第二のこの発明は、ファンネル、フ
ロントパネル及びスクリーンパネルからなる偏平型陰極
線菅において、少くともファンネルとフロントパネルと
のコーナー部の接合面近傍のフロントパネルの外表面が
平滑化されていることを特徴とする偏平型陰極線管を提
供する。

【００１４】更に、上述の第一の発明と第二のこの発明
とを組み合わせた第三のこの発明は、ファンネル、フロ
ントパネル及びスクリーンパネルからなる偏平型陰極線
菅において、少くともファンネルとフロントパネルとの
コーナー部の接合面におけるフロントパネルの厚みがフ
ァンネルの厚みよりも薄く、且つ少くともファンネルと
フロントパネルとのコーナー部の接合面近傍のフロント
パネルの外表面が平滑化されていることを特徴とする偏
平型陰極線管を提供する。

【００１５】

【作用】第一のこの発明の偏平型陰極線管によれば、少
くともファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接
合面におけるフロントパネルの厚みをファンネルの厚み
よりも薄くするので、ガラスフリットのコーナー部での
良好な内側かぶりが実現可能となる。また、第二のこの
発明の偏平型陰極線管によれば、少くともファンネルと
フロントパネルとのコーナー部の接合面近傍のフロント
パネルの外表面を平滑化するので、その部分に対する熔
融ガラスフリットの濡れ性を向上させることが可能とな
る。従って、第一及び第二のこの発明、並びにこれらを
組み合わせた第三のこの発明によれば、エアリークの発
生を確実に防止し、またガラスフリットの密着性を向上
させることが可能となる。

【００１６】

【実施例】以下、この発明を図面に基づいて具体的に説
明する。

【００１７】図１は、第三のこの発明の偏平型陰極線管
の斜視図であり、ファンネル１とフロントパネル２とス
クリーンパネル３とが、互いにガラスフリット４で溶着
された構造を有する。図２に、ファンネル１とフロント
パネル２とのコーナー部の部分断面図を示す。同図にあ
るように、この偏平型陰極線管は、フロントパネル２の
厚みをファンネル１の厚みより薄している。これによ
り、フロントパネル２のコーナー部での、ガラスフリッ
ト４の内側かぶり４ａを良好なものとすることができ
る。この場合、フロントパネル２の厚みをファンネル１
の厚みの約９０％とすることが好ましい。

【００１８】また、この偏平型陰極線管においては、最
もエアリークが発生しやすい部位である、ファンネル１
とフロントパネル２とのコーナ部分でフロントパネル２
の厚みをファンネル１の厚みよりも薄くするだけでな
く、図１の破線Ｘ−Ｘでの切断面を表す図３に示すよう
に、フロントパネル２とスクリーンパネル３とファンネ
ル１との全接合部分で、フロントパネル２やスクリーン
パネル３よりもファンネル１の厚みを薄くすることによ
り、良好なガラスフリットの内側かぶり４ａを実現する
ことがより好ましい。

【００１９】また、この偏平型陰極線管は、図１のＡ部
分、即ち、少くともファンネルとフロントパネルとのコ
ーナー部の接合面近傍のフロントパネルの外表面を平滑
化しているので、その部分に対する熔融ガラスフリット
の濡れ性が向上したものとなり、内側かぶりが不十分な
場合でもエアリークを防止することが可能となる。この
場合、コーナー部近傍に限らず、すべての接合面近傍
（図中で点を付した部分）を平滑化することがより好ま
しい。

【００２０】なお、平滑化の程度は、必要とする熔溶ガ
ラスフリットの濡れ性やその後の密着性などに応じて適
宜選択することができる。

【００２１】平滑化の方法としては、特に限定されず、
例えばフロントパネル２を成型するための金型を研磨す
ることにより行ってもよく、また成型後に研磨剤を用い
てバフ研磨してもよい。

【００２２】図１に示した偏平型陰極線管は、上述のよ
うにファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接合
面におけるフロントパネルの厚みをファンネルの厚みよ
りも薄くしてガラスフリットの内側かぶりを向上させ、
且つファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接合
面近傍のフロントパネルの外表面を平滑化しているの
で、ほぼ完全にエアリークを防止することができる。

【００２３】この発明は上述した特徴を有するが、それ
以外の発明の構成については、従来と同様とすることが
できる。

【００２４】

【発明の効果】この発明によれば、エアリークのない偏
平型陰極線管が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の偏平型陰極線管の斜視図である。

【図２】ファンネルとフロントパネルとのコーナー部の
接合面近傍の部分断面図である。

【図３】この発明の偏平型陰極線管の横断面図である。

【図４】従来の偏平型陰極線管の斜視図である。

【図５】フロントパネルとスクリーンパネルとの断面図
である。

【図６】スクリーンパネルとファンネルとを接合する際
の位置決めの説明図である。

【図７】従来の偏平型陰極線管のファンネルとフロント
パネルとコーナ部の接合面近傍の断面図である。

【図８】ファンネルとフロントパネルとの接合面近傍の
外表面の部分拡大図である。

【符号の説明】

１ ファンネル ２ フロントパネル ３ スクリーンパネル ４ ガラスフリット

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成５年２月５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】 即ち、強度等の観点から、一般にファン
ネルは数ｍｍ程度の厚みを有し、スクリーンパネルはフ
ァンネルよりも約１ｍｍ程度薄いものであり、また、フ
ロントパネルはファンネルの約１０％程度厚いものであ
り、このような厚みの部材を、スクリーンパネルの外表
面を基準として接合するので、図６に示すようにガラス
フリット４がファンネル１の内側に十分にかぶることと
なる（同図中、４ａ）。従って、スクリーンパネル３側
ではリークを防止することが容易となる。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００８

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００８】 また、フロントパネル２とファンネル１
の接合面から外側にはみ出したガラスフリット４は、焼
成の際に熔融してファンネル１とフロントパネル２との
接合面近傍Ａの外表面を濡らして図８のように両者を融
着させる。ところが、フロントパネル自身が金型成型よ
り製造されているので、成型回数の増大に伴い金型内側
表面が荒れ、そのためにフロントパネル２の外表面の平
滑性は低下する。従って、そのようなフロントパネル表
面に対しては、溶融ガラスフリットが濡れにくくなっ
て、外側かぶりが不良となり、そのためにフロントパネ
ルとファンネルとの密着性が低下してリークが生じやす
くなる。特に、内側かぶりが不良の場合に外側かぶりも
不良であるとエアリークを避け得ないという問題があ
る。

【手続補正３】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図５

【補正方法】変更

【補正内容】

【図５】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 登志雄 福島県安達郡本宮町字樋ノ口２ ソニー本 宮株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ファンネル、フロントパネル及びスクリ
   ーンパネルからなる偏平型陰極線菅において、少くとも
   ファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接合面に
   おけるフロントパネルの厚みがファンネルの厚みよりも
   薄いことを特徴とする偏平型陰極線管。
2. 【請求項２】 ファンネル、フロントパネル及びスクリ
   ーンパネルからなる偏平型陰極線菅において、少くとも
   ファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接合面近
   傍のフロントパネルの外表面が平滑化されていることを
   特徴とする偏平型陰極線管。
3. 【請求項３】 ファンネル、フロントパネル及びスクリ
   ーンパネルからなる偏平型陰極線菅において、少くとも
   ファンネルとフロントパネルとのコーナー部の接合面に
   おけるフロントパネルの厚みがファンネルの厚みよりも
   薄く、且つ少くともファンネルとフロントパネルとのコ
   ーナー部の接合面近傍のフロントパネルの外表面が平滑
   化されていることを特徴とする偏平型陰極線管。