JPH06160890A - 光変調素子 - Google Patents

光変調素子

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JPH06160890A
JPH06160890A JP33816192A JP33816192A JPH06160890A JP H06160890 A JPH06160890 A JP H06160890A JP 33816192 A JP33816192 A JP 33816192A JP 33816192 A JP33816192 A JP 33816192A JP H06160890 A JPH06160890 A JP H06160890A
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Japan
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light
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range
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JP33816192A
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English (en)
Inventor
Toshiyasu Eguchi
稔康 江口
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極めて優れた高速応答特性を有する光変調素
子を提供する。 【構成】 基板2aには透明電極3a,液晶分子配向層
6aが積層され、基板2bには透明電極3b,光導電層
4,光反射層5,液晶配向層6bが積層され、基板2
a,2bの間にはスペーサ8a,8bによって液晶層7
が封入されている。液晶層7は、厚さd(μm)と屈折
率異方性Δnとの積Δn.dが0.45μm〜0.75
μmの範囲内であり、液晶分子配向層6a上の液晶分子
のティルト角が80度〜90度の範囲内であり、かつ液
晶配向層6b上の液晶分子のティルト角が0度〜10度
の範囲内であり、さらに、その厚さ方向に40度〜50
度の範囲内で捩れた螺旋構造を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、投写型表示装置等に用
いられる応答特性の極めて優れた光変調素子に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置には直視型の装置と投写型の装
置とがあり、投写型の装置としては液晶を使った光変調
素子を用いるものが既に実用化されている。図9は光変
調素子を用いた投写型表示装置の原理図である。図9に
おいて、光変調素子1には書込み光学系から発せられる
書込み光9によって像が書込まれる。一方、光源10よ
り発せられた光はコンデンサレンズ11により平行光と
された後、ポラライザ12に入射し、その入射光の内の
P偏光成分はダイクロイックミラー13をそのまま透過
することにより、読出し光18として光変調素子1に入
射する。
【0003】ここで、光変調素子1の液晶層に像が描か
れていると、光変調素子1で反射された反射光中には液
晶層の像の濃淡に応じて局部的にS偏光成分が含まれる
ようになる。この反射光中のS偏光成分のがダイクロイ
ックミラー13で進行方向が直角に曲げられてアナライ
ザ14を通過し、投写レンズ15を介してスクリーン1
6上に像が投写されるのである。
【0004】図8はこの投写型表示装置に用いられる従
来の光変調素子1の一例の構造を示す図である。図8に
おいて、液晶層7の周りにはスペーサ8a,8bが配さ
れ、液晶層7の両面には液晶配向層6a,6bが設けら
れている。液晶配向層6b上には誘電体からなる光反射
層5が積層され、この光反射層5上には例えばアモルフ
ァスシリコン(a−Si:H)からなる光導電層4が積
層されている。そして、液晶配向層6a及び光導電層4
の外側には酸化スズ(SnO2 )や酸化インジウム(I
2 3 )からなる透明電極3a,3bが配され、基板
2a,2bによって封止された構造となっている。
【0005】このような構造の光変調素子1において、
透明電極3a,3b間には矩形波の交流駆動電圧が印加
され、書込み側から書込み光9が照射されていない状態
での光導電層4の内部インピーダンスを液晶層7のそれ
よりも十分大きい値に設定しておくことにより、駆動電
圧は主に光導電層4に印加されることになる。そして、
書込み光9が照射され、その書込み光9によって光導電
層4上に像を描くときには、光導電層4の内部インピー
ダンスが像の濃淡に応じて局部的に低下するため、その
低下部分に隣接する液晶層7には透明電極3a,3b間
の駆動電圧が像の濃淡に応じて空間変調されて印加され
るようになって像が書込まれることになる。
【0006】ここで、従来の光変調素子1に用いられる
液晶層7の液晶分子の配列方向,偏光軸方向について、
米国特許第4019807号明細書には、45度ツイス
ト配向の液晶層によるハイブリッド電界効果モードを用
いた光変調素子が開示されている。液晶層7の液晶分子
はその分子長軸が基板2a,2bに平行になるよう配列
している。さらに、液晶層7の液晶分子は液晶配向層6
a,6b上でそれぞれが平行に配向されている。45度
ツイスト配向状態を実現するには、液晶配向層6a,6
b上での液晶配向方向が互いに45度をなすようにすれ
ば、液晶層7の内部では液晶分子軸は連続的に捩れる。
このツイスト配向と液晶の複屈折により直線偏光の光が
入射したとき、その偏光方向はツイスト角だけ回転す
る。
【0007】このような45度ツイスト配向の液晶層7
を有する光変調素子1を図9に示す投写型表示装置に用
い、光変調素子1と読出し光源10との間のポラライザ
12の偏光軸を入射側の液晶層7の液晶分子長軸と平行
になるように配置すると、直線偏光された入射光は液晶
層7を通過することによりその偏光方向が45度回転す
るが、光反射層5により反射して再び液晶層7を通過す
る際には逆方向に45度回転して入射光と同方向の偏光
に戻るので、ポラライザ12の偏光軸と直交する偏光軸
を有するアナライザ14により遮光される。これに対
し、光変調素子1の透明電極3a,3b間に電界を印加
していくと、正の誘電率異方性を持つ液晶分子は基板2
a,2bに垂直に近づくような傾斜した配列になる。こ
のような基板2a,2bに対して傾斜する分子軸方向で
は、分子の複屈折性により光の偏光に影響を及ぼすこと
になり、光反射層5で反射した後に光変調素子1から出
射する光は入射時の直線偏光でなくなり、アナライザ1
4を透過する光となり、スクリーン16上に像が投写さ
れることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の光変調
素子1の一例の条件を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】表1に示す条件の従来の光変調素子1に電
界を印加した際の応答特性を図10に示す。図10にお
いて、横軸は電界印加後の経過時間、縦軸は入射光量
(図9中のポラライザ12に入射する光)と出射光量
(図9中のアナライザ14を出射する光)との比である
出射光量/入射光量(Rと記す)を示している。前述の
ように、光変調素子1に電界を印加すると、液晶層7の
液晶分子は基板2a,2bとのなす角を増大してある傾
斜に達するが、電界の印加からコントラスト比を最大に
とれる所望の傾斜に至る時間、即ち書込み時間が図10
に示すように32ms程度かかり、動画等を表示させる
場合に追従できなくなるという問題点があった。そこで
本発明はこのような問題点に鑑み、従来の光変調素子と
は異なった液晶分子の配列方向をとることによって極め
て優れた高速応答特性を有する光変調素子を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
の技術の課題を解決するため、第1及び第2の液晶配向
層に挟装された液晶層と前記第2の液晶配向層上に光反
射層を介して積層された光導電層とを対向する1対の透
明電極間に挟装してなり、前記光導電層側より書込み光
を照射して像を書込み、前記第1の液晶配向層側より読
出し光を照射して前記書込まれた像を読出す光変調素子
において、前記液晶層は、前記読出し光の偏光軸あるい
は吸収軸が前記液晶層における前記第1の液晶配向層上
の液晶分子の配列方向に対して0度〜±5度の範囲内の
角度にあるとき、正の誘電率異方性を有するネマティッ
ク液晶が前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δ
nとの積Δn・dが0.45μm〜0.75μmの範囲
内にあるものであり、前記液晶層における前記第1及び
第2の液晶配向層の内の一方の液晶配向層上の液晶分子
のティルト角が80度〜90度の範囲内であり、かつ他
方の液晶配向層上の液晶分子のティルト角が0度〜10
度の範囲内であり、前記液晶層の厚さ方向に40度〜5
0度の範囲内で捩れた螺旋構造を有するものであること
を特徴とする光変調素子を提供するものである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の光変調素子について、添付図
面を参照して説明する。図1は本発明の光変調素子の一
実施例の構造を示す図、図2は本発明の光変調素子にお
ける液晶分子の配列方向を説明するための図、図3は液
晶分子のティルト角と出射光量/入射光量との関係を示
す図、図4は液晶分子の捩れ角と出射光量/入射光量と
の関係を示す図、図5は入射光の偏光軸,吸収軸と出射
光量/入射光量との関係を示す図、図6は液晶層の厚さ
dと屈折率異方性Δnとの積Δn・dと出射光量/入射
光量との関係を示す図、図7は本発明の光変調素子の応
答特性を示す図である。なお、図1において、図8と同
一部分には同一符号が付してある。
【0013】本発明の光変調素子1は従来の光変調素子
1と基本的構造は同一であるが、液晶層における液晶分
子の配列方向が異なっている。液晶分子の配列方向につ
いては後に詳述することとする。本発明の光変調素子1
は、図1に示すように、透明な基板2a,2bが略均等
な間隔で平行に対向しており、この基板2aの基板2b
に対向する側には透明電極3aが、基板2bの基板2a
に対向する側には透明電極3bが設けられている。そし
て、この透明電極3b上には、書込み光9の光強度で比
抵抗が変化する光導電層4が積層形成され、さらに、光
導電層4上には光反射層5が積層形成されている。ま
た、透明電極3a上には液晶配向層6aが、光反射層5
上には液晶配向層6bが設けられている。このように、
基板2aには透明電極3a,液晶分子配向層6aが積層
して設けられ、基板2bには透明電極3b,光導電層
4,光反射層5,液晶配向層6bが積層して設けられ、
これら基板2a,2bの間には、従来の液晶層7とは異
なる液晶分子の配列方向を有する液晶層17が挟装され
ている。なお、8a及び8bは上記と同様、基板2a,
2bの間に所定間隔を保って液晶を封入させるためのス
ペーサである。
【0014】ここで、基板2a,2bは本実施例では例
えば透明なガラス板を用いているが、透明な樹脂板を用
いることもできる。また、透明電極3a,3bは、一般
に酸化インジウム膜または酸化スズ膜等で形成する。透
明電極3b上に形成される光導電層4は、アモルファシ
リコン等の各種の光導電物質を単独に、または複合化し
て用いることができる。光導電層4上に積層される光反
射層5はZnS(硫化亜鉛):MgF2 (フッ化マグネ
シウム)多層膜,SiO(酸化ケイ素):SiO2 (二
酸化ケイ素)多層膜等の誘電体多層膜を用いる。
【0015】さらに、液晶配向層6a,6bは、これま
でに知られている液晶表示素子の液晶配向層を用いるこ
とができ、どのような液晶分子をどうのように配列させ
るかにより適宜選択して用いればよく、本実施例では上
側基板2aの液晶配向層6aには予めSiO,SiO2
の斜方蒸着やスパッタによりプレティルト角を付与した
後、液晶分子が垂直配列となる長鎖アルコールやシラン
カップリング剤やクロム錯体等を用い、下側基板2bの
液晶配向層6bには液晶分子が水平配列となるポリイミ
ドやポリビニル等の高分子膜を用いて形成している。
【0016】次に、本発明の光変調素子1における液晶
層17について詳細に説明する。液晶層17の液晶材料
は、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用い
る。これは、フッソ系,シッフ系,アゾ系,アゾキシ
系,エステル系,ビフェニル系,ターフェニル系,シク
ロヘキサン系,ピリミジン系,ジオキサン系等の各種の
液晶物質を単独に、または混合して用いることができ
る。
【0017】さらに、液晶層17における液晶分子の配
列方向について図2を用いて説明する。図2(A)にお
いて、液晶層17における液晶配向層6aに接した部分
の液晶分子を液晶配向層6a上の液晶分子17aと表現
し、液晶層17における液晶配向層6bに接した部分の
液晶分子を液晶配向層6b上の液晶分子17bと表現す
ると、液晶配向層6a上の液晶分子17aの長軸と基板
2a(液晶配向層6a)の基板面とがなすティルト角θ
1は80度〜90度の範囲内で配列しており、液晶配向
層6b上の液晶分子17bの長軸と基板2b(液晶配向
層6b)の基板面とがなすティルト角θ2は0度〜10
度の範囲内で配列し、液晶分子17a,17bは液晶配
向層6a,6b上でそれぞれが平行に配向されている。
なお、図2中のXは入射光の偏光軸方向、Yは出射光の
偏光軸方向である。
【0018】図3(A)はティルト角θ1と前述の出射
光量/入射光量(R)との関係を、図3(B)はティル
ト角θ2と前述の出射光量/入射光量(R)との関係
を、それぞれ電界を印加したとき(オン)と印加してい
ないとき(オフ)について示している。これより、一方
の基板面に対するティルト角θ1は80度〜90度の範
囲内で、他方の基板面に対するティルト角θ2は0度〜
10度の範囲内であるとき、コントラスト比を十分大き
くとれることが分かる。なお、ティルト角θ1が0度〜
10度の範囲内で、ティルト角θ2が80度〜90度の
範囲内としても同様の結果が得られる。また、一方の基
板面に対するティルト角θ1が90度に近付くほど、他
方の基板面に対するティルト角θ2が0度に近付くほど
コントラスト比は大きくなるが、応答速度の低下や、液
晶分子の配列のディスクリネーション(反転)が生じや
すくなるのという問題点がある。
【0019】図2(B)には、液晶配向層6a上の液晶
分子17aと液晶配向層6b上の液晶分子17bとの捩
れ角φを示している。また、図4には捩れ角φと前述の
出射光量/入射光量(R)との関係を電界がオンとオフ
の場合について示している。この図4より、捩れ角φは
40度〜50度の範囲内でコントラスト比を最も大きく
とれることが分かる。液晶分子の捩れ角φを40度〜5
0度とするためには、液晶配向層6a(基板2a)と液
晶配向層6b(基板2b)とを液晶配向層6a,6b上
での液晶配向方向が互いに40度〜50度をなすように
すれば、液晶層17の内部では液晶分子軸は連続的に捩
れる。液晶分子の捩れ角φは液晶に添加される旋光性物
質の種類と量によって安定な状態とすることができる。
なお、液晶分子の捩れ角φは光の散乱及びコントラスト
等によって制限され、上限が50度、下限が40度程度
である。
【0020】また、本発明の光変調素子1に入射する光
の偏光軸あるいは吸収軸は、読出し光18が入射する上
側基板2a側の液晶配向層6a上の液晶分子17aに対
し、明るさ及び色等を考慮すると、平行であることが望
ましく、0度〜±5度の範囲内に設定する。図5には偏
光軸あるいは吸収軸と前述の出射光量/入射光量(R)
との関係を電界がオンとオフの場合について示してい
る。この図5より、光変調素子1に入射する光の偏光軸
あるいは吸収軸は0度〜±5度の範囲内でコントラスト
比を最も大きくとれることが分かる。さらに、図6には
液晶層17の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積
Δn・dと、前述の出射光量/入射光量(R)との関係
を電界がオンとオフの場合について示している。この図
6より、本発明の光変調素子1は液晶層17の厚さd
(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dに顕著な依
存性を示しており、コントラスト比,明るさ,色の点か
ら、0.45μm〜0.75μmの範囲内で良好な結果
を示すことが分かる。
【0021】このように、入射光(読出し光18)の偏
光軸あるいは吸収軸が液晶層17における液晶配向層6
a上の液晶分子17aの配列方向に対して0度〜±5度
の範囲内の角度にあるとき、正の誘電率異方性を有する
ネマティック液晶が液晶層17の厚さd(μm)と屈折
率異方性Δnとの積Δn・dが0.45μm〜0.75
μmの範囲内であり、液晶層17における液晶配向層6
a,6bの内の一方の液晶配向層上の液晶分子17a
(17b)のティルト角θ1が80度〜90度の範囲内
であり、かつ他方の液晶配向層上の液晶分子17b(1
7a)のティルト角θ2が0度〜10度の範囲内であ
り、液晶層17の厚さ方向に40度〜50度の範囲内で
捩れた螺旋構造を有する液晶層17を備えた本発明の光
変調素子1は、図9に示すような投写型表示装置の画像
作成要素として利用される。
【0022】この投写型表示装置においては、例えばC
RT画面から発せられる光を書込み光9として光変調素
子1に入射し画像を書き込む。一方、光源10より発せ
られた光はコンデンサレンズ11により平行光とされた
後、ポラライザ12及びダイクロイックミラー13を介
して光変調素子1に照射される。光変調素子1の光反射
層5で反射される空間変調された光はダイクロイックミ
ラー13で反射され、アナライザ14及び投写レンズ1
5を介してスクリーン16上に結像する。
【0023】さらに、本発明の光変調素子1の動作につ
いて説明する。透明電極3a,3b間には図示せぬ外部
電源が接続され、電圧が1〜5V程度で、周波数が20
〜100Hz程度の間で最適に設定されたに矩形波の交
流駆動電圧が印加される。ここで、書込み側から書込み
光9が照射されていない状態での光導電層4の内部イン
ピーダンスは液晶層7のそれよりも十分大きい値に設定
してあるので、駆動電圧は主に光導電層4に印加される
ことになる。そして、書込み光9が照射され、その書込
み光9によって光導電層4上に像を描くときには、光導
電層4の内部インピーダンスが像の濃淡に応じて局部的
に低下するため、その低下部分に隣接する液晶層17に
は透明電極3a,3b間の駆動電圧が像の濃淡に応じて
空間変調されて印加され、液晶層17における印加され
る電圧が増大した部分の液晶分子は配列状態を変える。
【0024】印加される電圧が増大すると、正の誘電率
異方性を有する液晶分子の捩れ角φは、予め与えられた
40度〜50度の角度を維持しながら液晶分子の長軸方
向は基板に垂直に近付くような傾斜した配列となる。即
ち、液晶配向層6a上の液晶分子17aの長軸方向は予
め与えられたティルト角θ1が80度〜90度と大きい
ので電圧が印加されてもティルト角θ1の変化は小さい
が、液晶配向層6b上の液晶分子17bの長軸方向は予
め与えられたティルト角θ2が0度〜10度と小さいの
で、電圧が印加されたときのティルト角θ2の変化は大
きい。このような状態での光変調素子1は、初期の旋光
能を著しく弱め、液晶分子の複屈折性による影響が増大
することにより、光反射層5で反射した後に出射する光
は、もはや入射時の直線偏光にはならず、アナライザ1
4を透過する光が得られるようになる。
【0025】そして、この光変調素子1は、入射される
書込み光9による光導電層4の内部インピーダンスの変
化に対応して液晶層17の液晶分子の配列状態が可逆的
に遷移することを利用しているため、書込み光9が照射
されなくなれば自動的に初期の配向状態に戻ることか
ら、蓄積された像は時間遅れを伴って消去される。
【0026】表1には従来の光変調素子1の一例の条件
と併せて、本発明の光変調素子1の一例の条件をに示し
ている。そして、表1に示す条件の本発明の光変調素子
1に電界を印加した際の応答特性を図7に示す。図7は
図10と同様、横軸は電界印加後の経過時間、縦軸は出
射光量/入射光量(R)である。この図7より、電界の
印加からコントラスト比を最大にとれる所望の傾斜に至
る時間、即ち書込み時間は11ms程度であり、本発明
の光変調素子1は著しく高速の応答特性を有しているこ
とが分かる。
【0027】以上説明した本実施例では、液晶層17に
おける液晶分子の螺旋構造の捩れ方向を反時計回りとし
て説明したが、時計回りの捩れ方向の場合でも全く同じ
効果が得られることは勿論である。このように、本発明
の光変調素子1は本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々変更可能である。
【0028】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の光
変調素子は、入射光(読出し光)の偏光軸あるいは吸収
軸が液晶層における液晶配向層上の液晶分子の配列方向
に対して0度〜±5度の範囲内の角度にあるとき、正の
誘電率異方性を有するネマティック液晶が液晶層の厚さ
d(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.4
5μm〜0.75μmの範囲内であり、液晶層における
液晶配向層の内の一方の液晶配向層上の液晶分子のティ
ルト角θ1が80度〜90度の範囲内であり、かつ他方
の液晶配向層上の液晶分子のティルト角θ2が0度〜1
0度の範囲内であり、液晶層の厚さ方向に40度〜50
度の範囲内で捩れた螺旋構造を有する液晶層を備えて構
成したので、極めて優れた高速応答特性を有し、これに
より像の書込み時間を短くすることができるので動画等
を表示する際に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光変調素子の一実施例の構造を示す図
である。
【図2】本発明の光変調素子における液晶分子の配列方
向を説明するための図である。
【図3】液晶分子のティルト角と出射光量/入射光量と
の関係を示す図である。
【図4】液晶分子の捩れ角と出射光量/入射光量との関
係を示す図である。
【図5】入射光の偏光軸,吸収軸と出射光量/入射光量
との関係を示す図
【図6】液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δn
・dと出射光量/入射光量との関係を示す図である。
【図7】本発明の光変調素子の応答特性を示す図であ
る。
【図8】従来の光変調素子の一例の構造を示す図であ
る。
【図9】光変調素子を用いた投写型表示装置の原理図で
ある。
【図10】従来の光変調素子の応答特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 光変調素子 2a,2b 基板 3a,3b 透明電極 4 光導電層 5 光反射層 6a,6b 液晶配向層 7 液晶層 8a,8b スペーサ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 光変調素子
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、投写型表示装置等に用
いられる応答特性の極めて優れた光変調素子に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置には直視型の装置と投写型の装
置とがあり、投写型の装置としては液晶を使った光変調
素子を用いるものが既に実用化されている。図9は光変
調素子を用いた投写型表示装置の原理図である。図9に
おいて、光変調素子10には書込み光学系から発せられ
る書込み光11によって像が書込まれる。一方、光源1
3より発せられた光はコンデンサレンズ14により平行
光とされた後、偏光ビームスプリッタ15に入射し、そ
の入射光の内のS偏光成分は進行方向が接合面で反射し
直角に曲げられることにより、読出し光12として光変
調素子10に入射する。
【0003】ここで、光変調素子10の液晶層に像が描
かれていると、光変調素子10で反射された反射光中に
は液晶層の像の濃淡に応じて変調を受け、P偏光成分が
含まれるようになる。この反射光中のP偏光成分は偏光
ビームスプリッタ15をそのまま通過し、投写レンズ1
6を介してスクリーン17上に像が投写される。従っ
て、光変調素子10に書込まれている像がスクリーン1
7へ投写されることになる。
【0004】図8はこの投写型表示装置に用いられる従
来の光変調素子10の一例の構造を示す図である。図8
において、液晶層9の周りにはスペーサ8a,8bが配
され、液晶層9の両面には液晶配向層6a,6bが設け
られている。液晶配向層6bの外側には誘電体からなる
光反射層5が積層され、この光反射層5の外側には例え
ば非晶質水素化シリコン(a−Si:H)からなる光導
電層4が積層されている。そして、液晶配向層6a及び
光導電層4の外側には酸化スズ(SnO)や酸化イン
ジウム(In)からなる透明電極3a,3bが配
され、透明基板2a,2bによって封止された構造とな
っている。
【0005】このような構造の光変調素子10におい
て、透明電極3a,3b間には交流駆動電圧が印加さ
れ、書込み側から書込み光11が照射されていない状態
での光導電層4の内部インピーダンスを液晶層9のそれ
よりも十分大きい値に設定しておくことにより、駆動電
圧は主に光導電層4に印加されることになる。そして、
書込み光11が照射され、その書込み光11によって光
導電層4上に像を描くときには、光導電層4の内部イン
ピーダンスが像の濃淡に応じて局部的に低下するため、
その低下部分に隣接する液晶層9には透明電極3a,3
b間の駆動電圧が像の濃淡に応じて空間変調されて印加
されるようになって像が書込まれることになる。
【0006】ここで、従来の光変調素子10に用いられ
る液晶層9の液晶分子の配列方向,読出し光の偏光方向
について、米国特許第4019807号明細書には、4
5度ツイスト配向の液晶層によるハイブリッド電界効果
モードを用いた光変調素子が開示されている。液晶層9
の液晶分子はその分子長軸が基板2a,2bにわずかな
プレティルト角を有し、略平行になるよう配列してい
る。さらに、液晶層9の液晶分子は液晶配向層6a,6
b上でそれぞれが平行に配向されている。45度ツイス
ト配向状態を実現するには、液晶配向層6a,6b上で
の液晶配向方向が互いに45度をなすようにすれば、液
晶層9の内部では液晶分子軸は連続的に捩れる。このツ
イスト配向が有する旋光能により直線偏光の光が入射し
たとき、その偏光方向はツイスト角だけ回転する。
【0007】このような45度ツイスト配向の液晶層9
を有する光変調素子10を図9に示す投写型表示装置に
用い、光変調素子10と読出し光源13との間の偏光ビ
ームスプリッタ15の偏光軸を入射側の液晶層9の液晶
分子軸と平行になるように配置すると、直線偏光された
入射光は液晶層9を通過することによりその偏光方向が
45度回転するが、光反射層5により反射して再び液晶
層9を通過する際には逆方向に45度回転して入射光と
同方向の偏光に戻るので、偏光ビームスプリッタ15に
より進行方向が接合面で反射し直角に曲げられることに
より、光源13に戻る。これに対し、光変調素子10の
透明電極3a,3b間に電界を印加していくと、正の誘
電率異方性を持つ液晶分子は基板2a,2bに垂直に近
づくような傾斜した配列になる。このように、基板2
a,2bに対して分子軸方向が変化すると共に実効的な
屈折率異方性は変化するので、複屈折性により光の偏光
に影響を及ぼすことになり、光反射層5で反射した後に
光変調素子10から出射する光は入射時の直線偏光でな
くなり、偏光ビームスプリッタ15を透過する光の強度
が変化し、スクリーン17上に像が投写されることとな
る。
【0008】上述した従来の光変調素子10の一例の条
件を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】表1に示す条件の従来の光変調素子10に
電界を印加した際の応答特性を図10に示す。図10に
おいて、横軸は電界印加後の経過時間、縦軸は入射光量
(図9中の偏光ビームスプリッタ15に入射する光)と
出射光量(図9中の偏光ビームスプリッタ15を出射す
る光)との比である出射光量/入射光量を示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、光変調
素子10に電界を印加すると、液晶層9の液晶分子は基
板2a,2bとのなす角を増大してある傾斜に達する
が、電界の印加からコントラスト比を最大にとれる所望
の傾斜に至る時間、即ち書込み時間が図10に示すよう
に32ms程度かかり、動画等を表示させる場合に追従
できなくなるという問題点があった。そこで本発明はこ
のような問題点に鑑み、従来の光変調素子とは異なった
液晶分子の配列方向をとることによって極めて優れた高
速応答特性を有する光変調素子を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
の技術の課題を解決するため、第1及び第2の液晶配向
層に挟装された液晶層と前記第2の液晶配向層上に光反
射層を介して積層された光導電層とを対向する1対の透
明電極間に挟装してなり、前記光導電層側より書込み光
を照射して像を書込み、前記第1の液晶配向層側より読
出し光を照射して前記書込まれた像を読出す光変調素子
において、前記液晶層は、前記読出し光の偏光方向が前
記液晶層における前記第1の液晶配向層上の液晶分子の
配列方向に対して0度〜±5度の範囲内の角度にあると
き、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶が前記
液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn
・dが0.45μm〜0.75μmの範囲内にあるもの
であり、前記液晶層における前記第1及び第2の液晶配
向層の内の一方の液晶配向層上の液晶分子のティルト角
が80度〜90度の範囲内であり、かつ他方の液晶配向
層上の液晶分子のティルト角が0度〜10度の範囲内で
あり、前記液晶層の厚さ方向に40度〜50度の範囲内
で捩れた螺旋構造を有するものであることを特徴とする
光変調素子を提供するものである。
【0013】
【実施例】以下、本発明の光変調素子について、添付図
面を参照して説明する。図1は本発明の光変調素子の一
実施例の構造を示す図、図2は本発明の光変調素子にお
ける液晶分子の配列方向を説明するための図、図3は液
晶分子のティルト角と出射光量/入射光量との関係を示
す図、図4は液晶分子の捩れ角と出射光量/入射光量と
の関係を示す図、図5は読出し光の偏光方向に対する読
出し光が入射される側の液晶配向層上の液晶分子の配列
方向と出射光量/入射光量との関係を示す図、図6は液
晶層の厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δn・dと出射
光量/入射光量との関係を示す図、図7は本発明の光変
調素子の応答特性を示す図である。なお、図1におい
て、図8と同一部分には同一符号が付してある。
【0014】本発明の光変調素子1は従来の光変調素子
10と基本的構造は同一であるが、液晶層における液晶
分子の配列方向が異なっている。液晶分子の配列方向に
ついては後に詳述することとする。本発明の光変調素子
1は、図1に示すように、透明な基板2a,2bが略均
等な間隔で平行に対向しており、この基板2aの基板2
bに対向する側には透明電極3aが、基板2bの基板2
aに対向する側には透明電極3bが設けられている。そ
して、この透明電極3b上には、書込み光11の光強度
で比抵抗が変化する光導電層4が積層形成され、さら
に、光導電層4上には光反射層5が積層形成されてい
る。また、透明電極3a上には液晶配向層6aが、光反
射層5上には液晶配向層6bが積層して設けられてい
る。このように、基板2aには透明電極3a,液晶配向
層6aが積層して設けられ、基板2bには透明電極3
b,光導電層4,光反射層5,液晶配向層6bが積層し
て設けられ、これら基板2a,2bの間には、従来の液
晶層9とは異なる液晶分子の配列方向を有する液晶層7
が挟装されている。なお、8a及び8bは上記と同様、
基板2a,2bの間に所定間隔を保って液晶を封入させ
るためのスペーサである。
【0015】ここで、基板2a,2bは本実施例では例
えば透明なガラス板を用いているが、透明な樹脂板を用
いることもできる。また、透明電極3a,3bは、一般
に酸化インジウム膜または酸化スズ膜等で形成する。透
明電極3b上に形成される光導電層4は、非晶質水素化
シリコン,セレン化カドミウム(CdSe),硫化鉛
(PbS)等の各種の光導電物質を単独に、または複合
化して用いることができる。光導電層4上に積層される
光反射層5は硫化亜鉛(ZnS):フッ化マグネシウム
(MgF)多層膜,酸化ケイ素(SiO):二酸化ケ
イ素(SiO)多層膜等の誘電体多層膜を用いる。
【0016】さらに、液晶配向層6a,6bは、これま
でに知られている液晶表示素子の液晶配向層を用いるこ
とができ、どのような液晶分子をどのように配列させる
かにより適宜選択して用いればよく、本実施例では上側
基板2aの液晶配向層6aには予めSiO,SiO
斜方蒸着やスパッタによりプレティルト角を付与した
後、液晶分子が垂直配列となる長鎖アルコールやシラン
カップリング剤やクロム錯体等を用い、下側基板2bの
液晶配向層6bには液晶分子が水平配列となるポリイミ
ド,ポリアミドやポリビニル等の高分子膜を用いて形成
している。
【0017】次に、本発明の光変調素子1における液晶
層7について詳細に説明する。液晶層7の液晶材料は、
正の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用いる。
これは、フッソ系,シッフ系,アゾ系,アゾキシ系,エ
ステル系,ビフェニル系,ターフェニル系,シクロヘキ
サン系,ピリミジン系,ジオキサン系等の各種の液晶物
質を単独に、または混合して用いることができる。
【0018】さらに、液晶層7における液晶分子の配列
方向について図2を用いて説明する。図2(A)におい
て、液晶層7における液晶配向層6aに接した部分の液
晶分子を液晶配向層6a上の液晶分子7aと表現し、液
晶層7における液晶配向層6bに接した部分の液晶分子
を液晶配向層6b上の液晶分子7bと表現すると、液晶
配向層6a上の液晶分子7aの長軸と基板2a(液晶配
向層6a)の基板面とがなすティルト角θ1は80度〜
90度の範囲内で配列しており、液晶配向層6b上の液
晶分子7bの長軸と基板2b(液晶配向層6b)の基板
面とがなすティルト角θ2は0度〜10度の範囲内で配
列し、液晶分子7a,7bは液晶配向層6a,6b上で
それぞれが平行に配向されている。なお、図2中のXは
偏光ビームスプリッタ15の偏光軸(または偏光軸と直
交する)方向、Yは偏光ビームスプリッタ15の偏光軸
と直交する(または偏光軸)方向である。
【0019】図3(A)はティルト角θ1と前述の出射
光量/入射光量との関係を、図3(B)はティルト角θ
2と前述の出射光量/入射光量との関係を、それぞれ電
界を印加したとき(オン)と印加していないとき(オ
フ)について示している。これより、一方の基板面に対
するティルト角θ1は80度〜90度の範囲内で、他方
の基板面に対するティルト角θ2は0度〜10度の範囲
内であるとき、コントラスト比を十分大きくとれること
が分かる。なお、ティルト角θ1が0度〜10度の範囲
内で、ティルト角θ2が80度〜90度の範囲内として
も同様の結果が得られる。また、一方の基板面に対する
ティルト角θ1が90度に近付くほど、他方の基板面に
対するティルト角θ2が0度に近付くほどコントラスト
比は大きくなるが、応答速度の低下や、液晶分子の配列
のディスクリネーション(反転)が生じやすくなるのと
いう問題点がある。
【0020】図2(B)には、液晶配向層6a上の液晶
分子7aと液晶配向層6b上の液晶分子7bとの捩れ角
φを示している。また、図4には捩れ角φと前述の出射
光量/入射光量との関係を電界がオンとオフの場合につ
いて示している。この図4より、捩れ角φは40度〜5
0度の範囲内でコントラスト比を大きくとれることが分
かる。液晶分子の捩れ角φを40度〜50度とするため
には、液晶配向層6a(基板2a)と液晶配向層6b
(基板2b)とを液晶配向層6a,6b上での液晶配向
方向が互いに40度〜50度をなすようにすれば、液晶
層7の内部では液晶分子軸は連続的に捩れる。液晶分子
の捩れ角φは液晶に添加される旋光性物質の種類と量に
よって安定な状態とすることができる。なお、液晶分子
の捩れ角φは光の散乱及びコントラスト等によって制限
され、上限が50度、下限が40度程度である。
【0021】また、本発明の光変調素子1に入射する光
の偏光方向は、読出し光12が入射する上側基板2a側
の液晶配向層6a上の液晶分子7aに対し、コントラス
ト比及び色等を考慮すると、平行であることが望まし
く、0度〜±5度の範囲内に設定する。図5には読出し
光12の偏光方向に対する液晶配向層6a上の液晶分子
7aの配列方向と前述の出射光量/入射光量との関係を
電界がオンとオフの場合について示している。なお、本
明細書中で用いている偏光方向とは、電界方向及び磁界
方向両方を言う。この図5より、光変調素子1に入射す
る読出し光12の偏光方向に対する液晶配向層6a上の
液晶分子7aの配列方向は0度〜±5度の範囲内でコン
トラスト比を大きくとれることが分かる。さらに、図6
には液晶層7の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの
積Δn.dと、前述の出射光量/入射光量との関係を電
界がオンとオフの場合について示している。この図6よ
り、本発明の光変調素子1は液晶層7の厚さd(μm)
と屈折率異方性Δnとの積Δn・dに顕著な依存性を示
しており、コントラスト比,明るさの点から、0.45
μm〜0.75μmの範囲内で良好な結果を示すことが
分かる。
【0022】このように、入射光(読出し光12)の偏
光方向が液晶層7における液晶配向層6a上の液晶分子
7aの配列方向に対して0度〜±5度の範囲内の角度に
あるとき、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶
が液晶層7の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積
Δn.dが0.45μm〜0.75μmの範囲内であ
り、液晶層7における液晶配向層6a,6bの内の一方
の液晶配向層上の液晶分子7a(7b)のティルト角θ
1が80度〜90度の範囲内であり、かつ他方の液晶配
向層上の液晶分子7b(7a)のティルト角θ2が0度
〜10度の範囲内であり、液晶層7の厚さ方向に40度
〜50度の範囲内で捩れた螺旋構造を有する液晶層7を
備えた本発明の光変調素子1は、図9に示すような投写
型表示装置の画像作成要素として利用される。
【0023】この投写型表示装置においては、例えばC
RT画面から発せられる光を書込み光11として光変調
素子1に入射し画像を書き込む。一方、光源13より発
せられた光はコンデンサレンズ14により平行光とされ
た後、偏光ビームスプリッタ15を介して光変調素子1
に照射される。光変調素子1の光反射層5で反射される
空間変調された光は偏光ビームスプリッタ15と透過
し、投写レンズ16を介してスクリーン17上に結像す
る。ここで、光変調素子1は、電界を印加し、液晶分子
の全体が一様に傾いた状態で、上側基板2a側の液晶配
向層6a上の液晶部分子7aの軸方向に対し偏光ビーム
スプリッタ15の偏光軸とのなす角を0度〜±5度の範
囲内になるように配置される。
【0024】さらに、本発明の光変調素子1の動作につ
いて説明する。図1において、透明電極3a,3b間に
は図示せぬ外部電源が接続され、最適に設定された交流
駆動電圧が印加される。ここで、書込み側から書込み光
11が照射されていない状態での光導電層4の内部イン
ピーダンスは液晶層7のそれよりも十分大きい値に設定
してあるので、駆動電圧は主に光導電層4に印加される
ことになる。そして、書込み光11が照射され、その書
込み光11によって光導電層4上に像を描くときには、
光導電層4の内部インピーダンスが像の濃淡に応じて局
部的に低下するため、その低下部分に隣接する液晶層7
には透明電極3a,3b間の駆動電圧が像の濃淡に応じ
て空間変調されて印加され、液晶層7における印加され
る電圧が増大した部分の液晶分子は配列状態を変える。
【0025】印加される電圧が増大すると、正の誘電率
異方性を有する液晶分子の捩れ角φは、予め与えられた
40度〜50度の角度を維持しながら液晶分子の長軸方
向は基板2a,2bに垂直に近付くような傾斜した配列
となる。即ち、液晶配向層6a上の液晶分子7aの長軸
方向は予め与えられたティルト角〜θ1が80度〜90
度と大きいので電圧が印加されてもティルト角θ1の変
化は小さいが、液晶配向層6b上の液晶分子7bの長軸
方向は予め与えられたティルト角θ2が0度〜10度と
小さいので、電圧が印加されたときのティルト角θ2の
変化は大きい。このような状態での光変調素子1は、液
晶分子の軸方向が変化すると共に初期の旋光能を著しく
弱め、複屈折性による影響が増大することにより、光反
射層5で反射して再び液晶層7を透過した後に出射する
光は、もはや偏光ビームスプリッタ15で進行方向が直
角に曲げられて液晶層7に入射するときの直線偏光には
ならず、偏光ビームスプリッタ15を透過する光が得ら
れるようになる。
【0026】そして、この光変調素子1は、入射される
書込み光11による光導電層4の内部インピーダンスの
変化に対応して液晶層7の液晶分子の配列状態が可逆的
に遷移することを利用しているため、書込み光11が照
射されなくなれば自動的に初期の配向状態に戻ることか
ら、蓄積された像は時間遅れを伴って消去される。
【0027】表1には従来の光変調素子10の一例の条
件と併せて、本発明の光変調素子1の一例の条件を示し
ている。そして、表1に示す条件の本発明の光変調素子
1に電界を印加した際の応答特性を図7に示す。図7は
図10と同様、横軸は電界印加後の経過時間、縦軸は出
射光量/入射光量である。この図7より、電界の印加か
らコントラスト比を最大にとれる所望の傾斜に至る時
間、即ち書込み時間は11ms程度であり、本発明の光
変調素子1は著しく高速の応答特性を有していることが
分かる。
【0028】以上説明した本実施例では、液晶層7にお
ける液晶分子の螺旋構造の捩れ方向を反時計回りとして
説明したが、時計回りの捩れ方向の場合でも全く同じ効
果が得られることは勿論である。このように、本発明の
光変調素子1は本発明の要旨を逸脱しない範囲において
種々変更可能である。
【0029】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の光
変調素子は、入射光(読出し光)の偏光方向が液晶層に
おける液晶配向層上の液晶分子の配列方向に対して0度
〜±5度の範囲内の角度にあるとき、正の誘電率異方性
を有するネマティック液晶が液晶層の厚さd(μm)と
屈折率異方性Δnとの積Δn.dが0.45μm〜0.
75μmの範囲内であり、液晶層における液晶配向層の
内の一方の液晶配向層上の液晶分子のティルト角が80
度〜90度の範囲内であり、かつ他方の液晶配向層上の
液晶分子のティルト角が0度〜10度の範囲内であり、
液晶層の厚さ方向に40度〜50度の範囲内で捩れた螺
旋構造を有する液晶層を備えて構成したので、極めて優
れた高速応答特性を有し、これにより像の書込み時間を
短くすることができるので動画等を表示する際に有効で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光変調素子の一実施例の構造を示す図
である。
【図2】本発明の光変調素子における液晶分子の配列方
向を説明するための図である。
【図3】液晶分子のティルト角と出射光量/入射光量と
の関係を示す図である。
【図4】液晶分子の捩れ角と出射光量/入射光量との関
係を示す図である。
【図5】読出し光の偏光方向に対する読出し光が入射さ
れる側の液晶配向層上の液晶分子の配列方向と出射光量
/入射光量との関係を示す図である。
【図6】液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δn
・dと出射光量/入射光量との関係を示す図である。
【図7】本発明の光変調素子の応答特性を示す図であ
る。
【図8】従来の光変調素子の一例の構造を示す図であ
る。
【図9】光変調素子を用いた投写型表示装置の原理図で
ある。
【図10】従来の光変調素子の応答特性を示す図であ
る。
【符号の説明】 1,10 光変調素子 2a,2b 基板 3a,3b 透明電極 4 光導電層 5 光反射層 6a,6b 液晶配向層 7 液晶層 8a,8b スペーサ
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図3】
【図6】
【図8】
【図10】
【図9】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1及び第2の液晶配向層に挟装された液
    晶層と前記第2の液晶配向層上に光反射層を介して積層
    された光導電層とを対向する1対の透明電極間に挟装し
    てなり、前記光導電層側より書込み光を照射して像を書
    込み、前記第1の液晶配向層側より読出し光を照射して
    前記書込まれた像を読出す光変調素子において、 前記液晶層は、前記読出し光の偏光軸あるいは吸収軸が
    前記液晶層における前記第1の液晶配向層上の液晶分子
    の配列方向に対して0度〜±5度の範囲内の角度にある
    とき、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶が前
    記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δ
    n・dが0.45μm〜0.75μmの範囲内にあるも
    のであり、 前記液晶層における前記第1及び第2の液晶配向層の内
    の一方の液晶配向層上の液晶分子のティルト角が80度
    〜90度の範囲内であり、かつ他方の液晶配向層上の液
    晶分子のティルト角が0度〜10度の範囲内であり、 前記液晶層の厚さ方向に40度〜50度の範囲内で捩れ
    た螺旋構造を有するものであることを特徴とする光変調
    素子。
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