JPH06160755A - 光偏向器の回転バランス修正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転多面鏡を含む回転体の回転バランスの修
正を容易にする。 【構成】 回転スリーブ３に形成したミラー台座３−１
と共に回転多面鏡４を挟持固定し、外周に前記回転多面
鏡４の回転面と直角な方向に突出する複数の短冊状部６
−２を形成したリング状部６−１をもつ上部バランス調
整部材６を設け、複数の短冊状部６−２の１部を回転面
方向に塑性変形で折り曲げることにより当該短冊状部６
−２の質量の回転半径を変化させて、回転多面鏡４を含
む回転体の回転バランスを修正する。 【効果】 高精度のバランス調整を短時間に行うことが
でき、高速回転時に振動が少なく反射鏡面の面倒れ等の
ない光学性能の優れた光走査装置を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数の反射鏡面を外周
面にもつ回転多面鏡を有し、その回転による当該反射鏡
面で反射偏向される光ビームで画像担体あるいは記録部
材を走査する光偏向器に係り、特に回転多面鏡を含む回
転体の部分の回転バランスを容易に修正することのでき
る構造を備えた光偏向器の回転バランス修正装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、レーザ等の光源から出射された
光ビームで画像担体を走査してその画像を読み取る画像
読取装置、あるいは画像信号や文字信号（以下、画像信
号等という）で変調された光ビームで記録媒体を走査し
て画像の記録を行う画像記録装置では、上記光ビームを
走査するための手段として多数の反射鏡面を外周側に有
する回転多面鏡が用いられる。

【０００３】図１２は従来のこの種の光偏向器を用いた
画像記録装置の概略構成の説明図であって、１は駆動モ
ータ、２はその回転軸、４は回転多面鏡、４−１は回転
多面鏡を構成する複数の反射鏡面、１０はレーザ、１１
はコリメータレンズ、１２は集光光学系、１３は記録媒
体である感光体、２０は防塵カバー、２１はガラス窓、
２２は空気流入口、２３は空気流出溝である。

【０００４】同図において、回転多面鏡４は駆動モータ
１の回転軸と連接する回転軸２に固定されており、駆動
モータ１の回転により回転軸２を中心に矢印Ａ方向に回
転される。半導体レーザあるいはガスレーザ等のレーザ
１０から出射される光ビームは、図示しない変調手段に
よって画像信号等で変調され、防塵カバー２０の開口２
１から回転多面鏡４の反射鏡面４−１に入射する。反射
鏡面４−１で反射された光ビーム（反射光ビーム）は集
光光学系１２を通して感光体１３に投射される。

【０００５】この反射光ビームは回転多面鏡４の矢印Ａ
方向の回転に伴って矢印Ｂ方向に偏向されて感光体１３
上を主走査する。これと共に感光体１３の矢印Ｃ方向の
回転により副走査が行われて当該感光体１３上に２次元
の画像（潜像）が形成される。感光体１３に形成された
２次元の潜像は図示しない現像手段によって顕像化さ
れ、記録紙等の記録媒体に転写されて再生画像が得られ
るようになっている。

【０００６】上記したように、レーザ１０から回転多面
鏡４に入射した光ビームは反射鏡面４−１で反射され
る。回転多面鏡４が回転すると、該反射光ビームは徐々
にその進行方向が偏向され、感光体１３上を主走査す
る。回転多面鏡４の回転が進んで、次の第２の反射鏡面
が回転して来ると、今度は光ビームはこの第２の反射鏡
面に入射する、この反射鏡面でも、第１の鏡面と同様に
して偏向が行われる。従って、反射光ビームは、一定の
角度範囲で感光体１３を走査することになる。そして、
この走査速度は回転多面鏡４の回転速度に依存する。

【０００７】図１３は上記従来の光偏向器の多面鏡取付
け部分の概略構造を説明する上面図であって、図１２の
防塵カバーに上部を取り去って示したものである。同図
において、２は回転軸、３はミラー支持部材、４は回転
多面鏡、４−１は反射鏡面、５はネジ、６はキャップフ
ランジ、６−１はリング状部、６’は釣合い重り、２０
は防塵カバー、２１は開口、２１−１は透明ガラス、２
２は空気細口である。

【０００８】また、図１４は図１３のＡ−Ａ線で切断し
た縦断面図であって、３は回転スリーブ、３−１はミラ
ー台座、７は下部バランス修正部、７−１はリング状
部、７−２は釣合い重り、８はマグネット、９は軸フラ
ンジ、図１１と図１２と同一符号は同一部分に対応す
る。なお、駆動モータ部分は省略してある。図１３と図
１４において、軸フランジ９に植立固定された回転軸２
には、回転スリーブ３が回転可能に挿着されている。こ
の回転スリーブ３には回転多面鏡４を固定するミラー台
座３ー１が形成されており、回転多面鏡４はキャップフ
ランジ６とミラー台座３−１で挟持され、ネジ５にて締
結固定されている。

【０００９】回転スリーブ３の下部には図示しない駆動
モータのステータコイルと対向して駆動力を発生するた
めのマグネット８が固定されている。キャップフランジ
６の外縁にはリング状部６−１が形成されており、ま
た、回転スリーブ３の下端に設けた下部バランス修正部
７の外縁にもリング状部７−１が形成されている。

【００１０】回転多面鏡４は、その軸方向の上方から見
た上面形状が図１３に示したように正多角形を成してお
り、その周側面（すなわち、外周）には多数の反射鏡面
４−１を有している。このときのネジ５の締め付け力は
回転多面鏡の反射鏡面４−１の平面度を維持するため
に、回転多面鏡が回転によってずれない範囲で最小の値
が選択されている。

【００１１】上記のキャップフランジ６および下部バラ
ンス修正部７のリング状部６−１，７−１の適宜の位置
に、適宜の重さの釣合い重り６’，７’を固着して回転
多面鏡４を含む回転部分の回転バランスを調整してい
る。すなわち、回転体を所定の回転数で回転させた時の
アンバランス量とその方向を測定し、その量と方向に見
合った量の釣合い重り６’，７’をキャップフランジ
６、下部バランス修正部７のリング状部６−１、７−１
に固着させることで回転体のバランスを修正する。

【００１２】この種の回転多面鏡の回転バランス修正に
関する従来技術を開示したものとしては、特開昭６２−
６４９１４号公報が知られている。なお、回転体の回転
バランス修正技術の他の従来技術は、実開平２−６４９
１４号公報に開示されたように、バランス修正用重りを
回転多面鏡に取付けるものが一般的である。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の釣合い重りを附加するバランス修正方法において
は、接着剤を使用して釣合い重りを取り付けるか、釣合
い重り自体を接着剤に金属紛を混ぜたものとして回転体
に固着させる方法を採るが、釣合い重りを固着する際
に、当該釣合い重りの取付位置に誤差が生じたり、重り
の重量に誤差があったり、更に、金属粉を混ぜた接着剤
を使用する場合には適用重量に誤差があるため、バラン
ス修正とアンバランス量測定を２〜５回以上繰り返して
行う必要があった。また、接着剤が固化するまでに時間
がかかるため、上記の繰り返しごとに手待ち時間がかか
るなどの問題点があった。

【００１４】また、特開昭６２−１７７３３４号公報に
開示されたように回転体（回転多面鏡）の平坦部分にシ
ート状の回転体用バランサーを張り付ける方法がある
が、広い平坦部分が必要なため回転体が大きくなった
り、取付位置が正確でないので高精度にバランスを修正
することができない等の問題があった。本発明の目的
は、上記した従来技術の諸問題を解消し、回転バランス
修正を容易にした構成をもつ光偏向器の回転バランス修
正装置を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、接着剤や釣合重りを使わずに、回転体の
一部を変形させて微小質量部分の回転半径を変化させる
ことによりバランスを修正するものである。すなわち、
請求項１の発明は、回転スリーブ３の一端に形成したミ
ラー台座３−１に回転多面鏡４を載置固定した回転体を
有し、この回転多面鏡４の周面に形成した反射鏡面４−
１で反射した光ビームにより読取部材あるいは記録部材
を走査する光偏向器の回転バランス修正装置において、
前記ミラー台座３−１と共に前記回転多面鏡４を挟持固
定し、外周に前記回転多面鏡４の回転面と直角な方向に
突出する複数の短冊状部６−２を形成したリング状部６
−１をもつ上部バランス調整部材６を設け、前記複数の
短冊状部６−２の１部を前記回転面方向に塑性変形で折
り曲げることにより当該短冊状部６−２の質量の回転半
径を変化させて、前記回転多面鏡４を含む回転体の回転
バランスを修正することを特徴とする。

【００１６】また、請求項２の発明は、回転スリーブ３
の一端に形成したミラー台座３−１に回転多面鏡４を載
置固定した回転体を有し、この回転多面鏡４の周面に形
成した反射鏡面４−１で反射した光ビームにより読取部
材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回転バランス
修正装置において、前記ミラー台座３−１と共に前記回
転多面鏡４を挟持固定し、外周に前記回転多面鏡４の回
転面と直角な方向に突出する複数の短冊状部６−２を形
成したリング状部６−１をもつ上部バランス調整部材６
と、前記回転スリーブ３の他端に前記回転面と直角な方
向に突出する複数の短冊状部７−２を形成したリング状
部７−１をもつ下部バランス調整部材７とを設け、前記
複数の短冊状部６−２と７−２の１部を前記回転面方向
に塑性変形で折り曲げることにより前記上部バランス調
整部材６と前記下部バランス調整部材７の質量の回転半
径を変化させて、前記回転多面鏡４を含む回転体の回転
バランスを修正することを特徴とする。

【００１７】さらに、請求項３の発明は、回転スリーブ
３の一端に形成したミラー台座３−１に回転多面鏡４を
載置固定した回転体を有し、この回転多面鏡４の周面に
形成した反射鏡面４−１で反射した光ビームにより読取
部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回転バラン
ス修正装置において、前記回転多面鏡４の回転面と平行
な面に同心円状に配列した複数の穴６３と、この穴の少
なくとも１つに挿入固定したバランス調整ピン６３−１
とを備え、当該バランス調整ピン６３−１の姿勢により
回転多面鏡４を含む回転体の回転バランスを修正するこ
とを特徴とする。

【００１８】さらにまた、請求項４の発明は、回転スリ
ーブ３の一端に形成したミラー台座３−１に回転多面鏡
４を載置固定した回転体を有し、この回転多面鏡４の周
面に形成した反射鏡面４−１で反射した光ビームにより
読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回転バ
ランス修正装置において、前記回転スリーブ３に固定さ
れ、外周近傍に複数の穴６４−１を同心円状に有するバ
ランス調整リング６４と、上記複数の穴６４−１の一部
に挿入固定したバランス調整ピン６４−２とを備え、上
記バランス調整ピンの姿勢により前記バランス調整リン
グ６４の質量の回転半径を変化させて、前記回転多面鏡
を含む回転体の回転バランスを修正することを特徴とす
る。

【００１９】そして、請求項５の発明は、回転スリーブ
３の一端に形成したミラー台座３−１に回転多面鏡４を
載置固定した回転体を有し、この回転多面鏡４の周面に
形成した反射鏡面４−１で反射した光ビームにより読取
部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回転バラン
ス修正装置において、前記回転スリーブ３に固定され、
少なくとも一方の面に同心円状に配置した複数の微小突
起６５−１を有する円盤状のバランス修正リング６５を
備え、上記複数の微小突起の一部を塑性変形で折り曲げ
ることにより前記バランス修正リングの質量の回転半径
を変化させて、前記回転多面鏡を含む回転体の回転バラ
ンスを修正することを特徴とする。

【００２０】なお、本発明は、上記のような回転スリー
ブを固定軸に回転可能に挿着した形式の回転体に限ら
ず、回転軸に回転スリーブを固定してなる形式の回転体
を備える光偏向器にも適用できることはいうまでもな
い。また、光偏向器のみならず、他の回転体一般の回転
バランスの修正に本発明を適用できる。

【００２１】

【作用】上記請求項１の発明の構成において、上部バラ
ンス調整部材６に形成した複数の短冊状部６−２の１部
を前記回転面方向に塑性変形で折り曲げることにより当
該短冊状部６−２の質量の回転半径が変化する。これに
より、前記回転多面鏡４を含む回転体の回転バランスが
修正される。

【００２２】また、請求項２の発明において、上部バラ
ンス調整部材６と下部バランス調整部材７の短冊状部６
−２と７−２の１部を前記回転面方向に塑性変形で折り
曲げることにより前記上部バランス調整部材６と前記下
部バランス調整部材７の質量の回転半径を変化させて、
前記回転多面鏡４を含む回転体の回転バランスがさらに
精密に修正される。

【００２３】さらに、請求項３の発明において、回転多
面鏡４の回転面と平行な面に同心円状に配列した複数の
穴６３にバランス調整ピン６３−１を挿入固定し、この
バランス調整ピン６３−１の姿勢（塑性変形での折り曲
げ）により回転多面鏡４を含む回転体の回転バランスが
修正される。さらにまた、請求項４の発明において、前
記回転スリーブ３に固定され、外周近傍に複数の穴６４
−１を同心円状に有するバランス調整リング６４の穴６
４−１の一部に挿入固定したバランス調整ピン６４−２
の姿勢（塑性変形での折り曲げ）により前記バランス調
整リング６４の質量の回転半径を変化させることで、前
記回転多面鏡を含む回転体の回転バランスが修正され
る。

【００２４】そして、請求項５の発明において、回転ス
リーブ３に固定され、少なくとも一方の面に同心円状に
配置した複数の微小突起６５−１を有する円盤状のバラ
ンス修正リング６５の微小突起の一部を塑性変形で折り
曲げることにより前記バランス修正リングの質量の回転
半径を変化させることで、前記回転多面鏡を含む回転体
の回転バランスが修正される。

【００２５】なお、上記請求項３，４において、バラン
ス調整ピン６３−１，６４−１は、その設置個数や設置
位置を選択するのみでも、すなわち塑性変形をしない状
態でもバランス修正を施すことばできることは言うまで
もない。

【００２６】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図１は本発明による光偏向器の回転
バランス修正装置の第１実施例を説明する回転部の断面
図であって、２は固定軸、３は回転スリーブ、３−１は
ミラー台座、４は回転多面鏡、４−１は反射鏡面、５は
ネジ、６は上部バランス調整部材、６−１はリング状の
バランス調整部、６−２は短冊状部、７は下部バランス
調整部材、７−１はリング状のバランス調整部、７−２
は短冊状部、８はマグネツト、９は軸フランジである。

【００２７】同図において、回転多面鏡４は回転フラン
ジ３のミラー台座３−１上に載置され、所謂キャップフ
ランジとしての上部バランス調整部材６を介してネジ５
により締結固定される。回転スリーブ３にはミラー台座
３−１が形成されており、ミラー台座３−１の回転多面
鏡４に対向する面は回転多面鏡４に傷や変形を起こさな
いように十分に滑らかで、反射鏡面４−１の倒れをなく
すために、この面と回転スリーブ３の回転軸との直角度
を十分に精度良くしてある。

【００２８】キャップフランジとしての機能も有する上
部バランス調整部材６と回転多面鏡４はネジ５で当該回
転スリーブ３の一端すなわち回転体上部に形成されたミ
ラー台座３−１に取付けられている。また、回転スリー
ブ３の他端すなわち回転体下部に設けた下部バランス調
整部材７は回転スリーブの下部に固着されている。図２
は上部バランス調整部材の構造を説明する斜視図、図３
は上部バランス調整部材の要部断面図であり、ｒはリン
グ状部分の半径、ｔはリング状部分の肉圧、θ₁ は折り
曲げの角度、ｂは短冊状の部分６−２の周方向幅、ｈは
短冊状の部分の軸方向高さである。

【００２９】また、図４は下部バランス調整部材の構造
を説明する斜視図、図５は下部バランス調整部材の要部
断面図であり、ｒ’はリング状部分の半径、ｔ’はリン
グ状部分の肉圧、θ₂ は折り曲げの角度、ｂ’は短冊状
の部分７−２の周方向幅、ｈ’は短冊状の部分の軸方向
高さである。図２および図３において、上部バランス調
整部材６の円周上にはリング状にバランス調整部６−１
が形成されていて、このリング状部分には一定間隔です
り割りが入れてある。すり割りの間の短冊状の部分６−
２はリング状部分の内側もしくは外側に塑性変形で折り
曲げることが出来る。このときのリング状部分の半径を
ｒ、リング状部分の肉圧をｔ，リング状部分の密度を
ρ、折り曲げの角度をθ、短冊状の部分６−２の周方向
幅をｂ、短冊状の部分の軸方向高さをｈ，バランス修正
量をｕとすると、 ｕ＝（１／２）×ｈ×ｓｉｎθ×（ｔ×ｂ×ｈ×ρ）・・・・式（１） だけ修正されることになる（以下、これをｕ₁ とす
る）。

【００３０】同様に、図４および図５において、下部バ
ランス調整部材８の円周上にはリング状にバランス調整
部７−１が形成されていて、このリング状の部分８−１
には一定間隔ですり割りが入れてある。すり割りの間の
短冊状の部分７−２はリング上部分の内側もしくは外側
に折り曲げることが出来る。このときのバランスの修正
量も前記上部バランス調整部材と同様に式（１）で求め
られる（以下、これをｕ₂ とする）。

【００３１】実際のバランス調整では、まず、図１の回
転体を所定回転数で回転させ、上部バランス調整部材６
側と下部バランス調整部材７側でのそれぞれのアンバラ
ンス量ｕ₁ ，ｕ₂ と基準位置からのアンバランスの方向
α₁ 、α₂ を測定する。その時のそれぞれのアンバラン
ス量を式（１）に代入して、それぞれの曲げ角度θ₁ 、
θ₂ を求める。キャップフランジ６では基準位置から回
転角度α₁ の位置の短冊状の部分６−２をθ₁ だけ折り
曲げる。このとき、アンバランス量測定が重りを附加す
る方向を示している場合には、短冊状の部分６−２は外
側に、逆の場合には内側に折り曲げることはいうまでも
ない。これによってキャップフランジ側のバランス修正
は完了する。次に、回転体の下部バランス調整部材７で
も基準位置から回転角度α₂ の位置の短冊状の部分７−
２をθ₂ だけ折り曲げる。これで、回転体下部のバラン
ス調整も完了する。

【００３２】なお、上記実施例では、バランス修正を上
部バランス調整部材６と下部バランス調整部材７の両者
で行うものとして説明したが、これに代えて上部バラン
ス調整部材のみでも所要のバランス調整が可能である。
図６は本発明による光偏向器の回転バランス修正装置の
第２実施例を説明する回転部の断面図であって、２０は
回転軸、３１は回転スリーブ、３１−１はミラー台座、
４は回転多面鏡、４−１は反射鏡面、５はネジ、６１は
上部バランス調整部材、６１−１はリング状のバランス
調整部、６１−２は短冊状部、７１は下部バランス調整
部材、７１−１はリング状のバランス調整部、７１−２
は短冊状部である。

【００３３】同図において、この実施例は、図示しない
軸受けに支持されて回転する回転軸２０に固定した回転
スリーブ３１のミラー台座３１−１に回転多面鏡を取り
付けて回転させる回転体を備える光偏向器に本発明を適
用したものであり、回転多面鏡４を挟持して固定する上
部バランス調整部材６１と回転スリーブ３１の裏側（下
部）で上記回転軸２０に固定した下部バランス調整部材
に、前記実施例と同様のバランス調整部６１−１，７１
−１を形成し、その短冊状部６１−２，７１−２を塑性
変形して折り曲げ、回転多面鏡４を含む回転体の回転バ
ランスを修正する構成としたものである。

【００３４】なお、この実施例においては上部バランス
調整部材６１と下部バランス調整部材７１とを用いてい
るが、上部バランス調整部材のみでも所要のバランス調
整が可能である。図７は本発明による光偏向器の回転バ
ランス修正装置の第３実施例を説明する回転部の断面図
であって、上記各実施例における上部または下部バラン
ス調整部材に形成した１つのリング状のバランス調整部
に代えて２つのリング状のバランス調整部を同軸に形成
したものである。

【００３５】同図においては、バランス修正部材６２に
複数の短冊状部６２−２を形成した第１のリング状のバ
ランス調整部６２−１と、複数の短冊状部６２−２’を
形成した第２のリング状のバランス調整部６２−１’と
を同心円上に配置したものである。この実施例によれ
ば、短冊状部６２−２，６２−２’によるバランス調整
の自由度が増し、バランス修正量を大きくすることがで
きる。

【００３６】図８は本発明による光偏向器の回転バラン
ス修正装置の第４実施例を説明する回転ミラーの上面図
であって、回転多面鏡４の回転面と平行な面に形成した
複数のバランス調整穴である。図９は図８のＢ−Ｂ線に
沿った回転部の断面図であって、６３−１はバランス調
整ピンである。

【００３７】図８と図９において、回転多面鏡４の回転
面と平行な面に形成した複数のバランス調整穴６３を設
け、このバランス調整穴６３の一部にバランス調整ピン
６３−１を軽圧入または接着剤で固定し、更にこのバラ
ンス調整ピン６３−１を塑性変形して折り曲げることで
回転多面鏡４を含む回転体の回転バランスを修正するも
のである。

【００３８】なお、バランス調整穴６３は回転多面鏡４
を貫通して設けたものとして図示したが、このバランス
調整穴６３は回転多面鏡４を貫通しない深さで形成して
もよいことは言うまでもない。図１０は本発明による光
偏向器の回転バランス修正装置の第５実施例を説明する
バランス調整部材の斜視図であって、６４は円板状のバ
ランス調整円板、６４−１は回転バランス調整円板６４
の外周部近傍に形成したバランス調整穴、６４−２はバ
ランス調整ピンである。

【００３９】同図に示したように、バランス調整円板６
４の外周部近傍に複数のバランス調整穴６４−１を設置
し、このバランス調整穴６４−１にバランス調整ピン６
４−２１を軽圧入または接着剤で固定し、更にピンを塑
性変形して折り曲げることで回転多面鏡４を含む回転体
の回転バランスを修正する構成としたものである。図１
１は本発明による光偏向器の回転バランス修正装置の第
６実施例を説明するバランス調整部材の斜視図であっ
て、６５は円板状のバランス調整円板、６５−１はバラ
ンス調整円板の外周部近傍に設けた複数の微小突起であ
る。

【００４０】このバランス調整円板は、固定軸形式の場
合は回転スリーブに固着し、回転軸方式の場合は回転軸
に固定され、上記微小突起を塑性変形で折り曲げてバラ
ンス修正を行うようにしたものである。これにより、回
転多面鏡４を含む回転体の回転バランスを容易に修正す
ることができる。なお、上記の微小突起６５−１は、図
示したようにバランス修正リングの両側面に設置するも
のに限るものではなく、何れか一方の面に設置してもよ
い。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
回転多面鏡を含む回転体のバランスを当該回転体と共に
回転する微小部分の質量の回転半径を変化させることに
より、修正するものであるため、高精度のバランス調整
を短時間に行うことができ、高速回転時に振動が少なく
反射鏡面の面倒れ等のない光学性能の優れた光走査装置
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第１実施例を説明する回転部の断面図である。

【図２】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第１実施例における上部バランス調整部材の構造を
説明する斜視図である。

【図３】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第１実施例における上部バランス調整部材の要部断
面図である。

【図４】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第１実施例における下部バランス調整部材の構造を
説明する斜視図である。

【図５】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第１実施例における下部バランス調整部材の要部断
面図である。

【図６】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第２実施例を説明する回転部の断面図である。

【図７】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第３実施例を説明する回転部の断面図である。

【図８】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第４実施例を説明する回転部の断面図である。

【図９】 本発明による光偏向器の回転バランス修正装
置の第４実施例を説明する図８のＢ−Ｂ線に沿った回転
部の断面図である。

【図１０】 本発明による光偏向器の回転バランス修正
装置の第５実施例を説明するバランス調整部材の斜視図
である。

【図１１】 本発明による光偏向器の回転バランス修正
装置の第６実施例を説明するバランス調整部材の斜視図
である。

【図１２】 従来のこの種の光偏向器を用いた画像記録
装置の概略構成の説明図である。

【図１３】 従来の光偏向器の多面鏡取付け部分の概略
構造を説明する上面図である。

【図１４】 従来の光偏向器の多面鏡取付け部分の概略
構造を説明する図１３のＡ−Ａ線で切断した縦断面図で
ある。

【符号の説明】

２・・・・固定軸、３・・・・回転スリーブ、３−１・
・・・ミラー台座、４・・・・回転多面鏡、４−１・・
・・反射鏡面、５・・・・ネジ、６・・・・上部バラン
ス調整部材、６−１・・・・リング状のバランス調整
部、６−２・・・・短冊状部、７・・・・下部バランス
調整部材、７−１・・・・リング状のバランス調整部、
７−２・・・・短冊状部、８・・・・マグネツト、９・
・・・軸フランジ。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転スリーブの一端に形成したミラー台
   座に回転多面鏡を載置固定した回転体を有し、この回転
   多面鏡の周面に形成した反射鏡面で反射した光ビームに
   より読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回
   転バランス修正装置において、 前記ミラー台座と共に前記回転多面鏡を挟持固定し、外
   周に前記回転多面鏡の回転面と直角な方向に突出する複
   数の短冊状部を形成したリング状部をもつ上部バランス
   調整部材を設け、 前記複数の短冊状部の１部を前記回転面方向に塑性変形
   で折り曲げることにより当該短冊状部の質量の回転半径
   を変化させて、前記回転多面鏡を含む回転体の回転バラ
   ンスを修正することを特徴とする光偏向器の回転バラン
   ス修正装置。
2. 【請求項２】 回転スリーブの一端に形成したミラー台
   座に回転多面鏡を載置固定した回転体を有し、この回転
   多面鏡の周面に形成した反射鏡面で反射した光ビームに
   より読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回
   転バランス修正装置において、 前記ミラー台座と共に前記回転多面鏡を挟持固定し、外
   周に前記回転多面鏡の回転面と直角な方向に突出する複
   数の短冊状部を形成したリング状部をもつ上部バランス
   調整部材と、前記回転スリーブの他端に前記回転面と直
   角な方向に突出する複数の短冊状部を形成したリング状
   部をもつ下部バランス調整部材とを設け、 前記複数の短冊状部との１部を前記回転面方向に塑性変
   形で折り曲げることにより前記上部バランス調整部材と
   前記下部バランス調整部材の質量の回転半径を変化させ
   て、前記回転多面鏡を含む回転体の回転バランスを修正
   することを特徴とする光偏向器の回転バランス修正装
   置。
3. 【請求項３】 回転スリーブの一端に形成したミラー台
   座に回転多面鏡を載置固定した回転体を有し、この回転
   多面鏡の周面に形成した反射鏡面で反射した光ビームに
   より読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回
   転バランス修正装置において、 前記回転多面鏡の回転面と平行な面に同心円状に配列し
   た複数の穴と、この穴の少なくとも１つに挿入固定した
   バランス調整ピンとを備え、 当該バランス調整ピンの姿勢により回転多面鏡を含む回
   転体の回転バランスを修正することを特徴とする光偏向
   器の回転バランス修正装置。
4. 【請求項４】 回転スリーブの一端に形成したミラー台
   座に回転多面鏡を載置固定した回転体を有し、この回転
   多面鏡の周面に形成した反射鏡面で反射した光ビームに
   より読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の回
   転バランス修正装置において、 前記回転スリーブに固定され、外周近傍に複数の穴を同
   心円状に有するバランス調整リングと、上記複数の穴の
   一部に挿入固定したバランス調整ピンとを備え、上記バ
   ランス調整ピンの姿勢により前記バランス調整リングの
   質量の回転半径を変化させて、前記回転多面鏡を含む回
   転体の回転バランスを修正することを特徴とする光偏向
   器の回転バランス修正装置。
5. 【請求項５】 回転スリーブの一端に形成したミラー台
   座に回転多面鏡を載置固定した回転体を有し、この回転
   多面鏡４の周面に形成した反射鏡面で反射した光ビーム
   により読取部材あるいは記録部材を走査する光偏向器の
   回転バランス修正装置において、 前記回転スリーブに固定され、少なくとも一方の面に同
   心円状に配置した複数の微小突起を有する円盤状のバラ
   ンス修正リングを備え、上記複数の微小突起の一部を塑
   性変形で折り曲げることにより前記バランス修正リング
   の質量の回転半径を変化させて、前記回転多面鏡を含む
   回転体の回転バランスを修正することを特徴とする光偏
   向器の回転バランス修正装置。