JPH06157374A - メタノール精製方法および装置 - Google Patents

メタノール精製方法および装置

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JPH06157374A
JPH06157374A JP31718392A JP31718392A JPH06157374A JP H06157374 A JPH06157374 A JP H06157374A JP 31718392 A JP31718392 A JP 31718392A JP 31718392 A JP31718392 A JP 31718392A JP H06157374 A JPH06157374 A JP H06157374A
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JP
Japan
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methanol
exchange resin
ion
ion exchange
lsv
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JP31718392A
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English (en)
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Mikio Yoneoka
幹男 米岡
Kenji Nakamura
賢司 中村
Gen Matsuda
現 松田
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】メタノール輸送手段又は貯蔵装置の受入れ又は
出口配管中にイオン交換樹脂筒を設置し、海上輸送等に
より汚染されたメタノール中の塩素イオン等を除去す
る。 【効果】汚染されたメタノール中の不純物、特に海水に
起因する塩素イオンを極めて容易に、且つ安価で、安全
に除去することができる。これにより化学装置や燃焼装
置の腐食、伝熱効率の低下及び触媒への悪影響などのト
ラブルを解消することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海上輸送などの輸送また
は貯蔵中に汚染されたメタノールを精製する方法および
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年メタノールは化学工業原料としてだ
けでなく、自動車や発電用エネルギー源として、その利
用価値が期待されている。このメタノールは海外の産油
国、産ガス国で大量に製造され、メタノールの消費地が
製造地域から遠距離のケースが多く、実際にはタンカー
で海上輸送される。この場合、輸送距離が長いほど、ま
た天候等の影響を受け、主に海水に起因すると考えられ
るメタノールの汚染が起こり易い。このように海水に起
因する汚染を受けたメタノールには塩素イオン等が多く
含まれているが、その精製方法としては適切なものが無
く、汚染のひどい場合には、受入れ先で再蒸留して精製
せざるを得ない。またローリー等を用いて陸上輸送する
場合や貯蔵中にも大気中の微量物質等により汚染される
おそれがある。一方、メタノールを使用する側では不純
物質ができるだけ少ないことが望ましく、受入れメタノ
ールの厳密な品質検査が行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年メタノールの需要
はますます増大し、その用途も広くなりつつあるが、使
用範囲拡大に伴って一般的傾向として高純度のメタノー
ルが要求されている。上述の如くもしメタノールが海上
輸送等により汚染された場合には再蒸留して精製せざる
を得ないが、このために多大なエネルギーを必要とする
ばかりか、蒸留装置の設備費が大きいので大量の処理が
困難である。またもし汚染されたメタノールをそのまま
各装置に利用した場合には、汚染物質が反応装置や燃焼
装置内に濃縮蓄積し装置自体の腐食を招き、また汚染物
質がスケール状付着物質となり伝熱低下等の障害を起こ
す。更に反応装置においては触媒性能等に悪影響を及ぼ
し、製品の収率や品質低下などをもたらすことが懸念さ
れる。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記のごとき
課題を有する輸送中に汚染されたメタノールの精製方法
について鋭意検討した結果、メタノールの輸送手段又は
貯蔵装置の配管部にイオン交換筒を設置することによ
り、メタノール中の塩素イオン等が極めて効率良く除去
され、高品質のメタノールが供給できるようになること
を見い出し、本発明に到達した。即ち本発明は、メタノ
ール輸送手段又は貯蔵装置の受入れ又は出口配管部にイ
オン交換樹脂筒を設置し、メタノールを通液させること
を特徴とするメタノール精製方法および精製装置であ
る。
【0005】本発明におけるメタノール輸送手段として
は、海上輸送の場合にはメタノール運搬船(タンカー)
が挙げられ、陸上輸送の場合にはローリー車などが挙げ
られる。また貯蔵装置としては各種の貯槽(メタノール
タンク)があり、特に大量のメタノールを取り扱うこと
から開放式の大型貯槽が用いられることが多く、貯蔵中
の気温の変動により大気中の微量成分からメタノールが
汚染され易い。
【0006】本発明に使用されるイオン交換樹脂は特に
制限されないが、耐有機物性能を有するイオン交換樹脂
が用いられ、マクロポアーを有するポーラス型イオン交
換樹脂は、耐有機性だけでなく、機械的、物理的強度も
備えているので好適に用いられる。ポーラス型イオン交
換樹脂としては、例えばスチレン系スルホン酸型強酸性
陽イオン交換樹脂やスチレン系4級アンモニウム型強塩
基性陰イオン交換樹脂が特に好適に用いられる。
【0007】海上輸送などにより汚染されたメタノール
には塩素イオンのみでなく各種の陰イオンと陽イオンが
含まれるので、双方のイオンを除去する目的で陰イオン
交換樹脂および陽イオン交換樹脂を通液を通過させるこ
とが望ましい。これらのイオン交換樹脂はそれぞれの樹
脂を別々の筒に分けて充填し使用することもできるが、
両樹脂を混合して一筒式の混合床として使用でき、この
一筒式混合床は特に設備軽減の面から好適に用いられ
る。これらのイオン交換樹脂は、陰イオン又は陽イオン
を含む水溶液で再生、活性化した後、メタノールを通液
することにより精製される。
【0008】イオン交換樹脂を通したメタノール中の塩
素イオン濃度はその用途により決定されるが、一般にそ
の濃度が極力少ない方が望ましく、通常は塩素イオン濃
度が0.1ppm以下、或いは0.02ppm以下に設
定される。本発明の方法により塩素イオン濃度を上記の
値に達成するためにはイオン交換樹脂を通液するメタノ
ールの速度をイオン交換樹脂容量基準のLSV(液空間
速度)をできるだけ小さくすることが好ましいが、特に
輸送手段の配管部に取付ける場合には短時間で処理する
必要があり、また大型貯蔵装置では大量のメタノールを
取り扱うのでイオン交換樹脂筒が大きくなることから、
LSVを大きくすることが望ましい。
【0009】発明者等の実験の結果、メタノール中のイ
オンを除去する場合には、通常の純水装置に用いる場合
のLSV(通常1hr-1以下)に比較して相当LSVを
大きくできることが確認された。従って本発明における
イオン交換樹脂筒のLSVは導入されるメタノール中の
イオン濃度(特に塩素イオン)によるが、一般に50〜
500hr-1の範囲、好ましくは100〜300hr-1
の範囲で通液される。メタノールLSVが低い場合に
は、精製メタノール中の塩素イオン濃度が低下するが、
使用する樹脂量が多くなるので設備費がかさみ効率が悪
い。一方LSVが高過ぎる場合には、樹脂内で差圧が生
ずると共にイオンの漏出率が高くなり、精製効率の低下
を招く。
【0010】イオン交換樹脂筒の高さ(L)と径(D)
の比率(L/D)が小さすぎる場合にはイオン成分が漏
洩し易く、逆に大きすぎる場合には流速が大きくなるこ
とから差圧が大きくなり、また樹脂が流動し磨耗し易く
なるので、好適なL/Dが選定される。後述の実施例か
ら明らかなように、望ましいL/Dは1〜10の範囲で
ある。
【0011】塩素イオンがイオン交換樹脂により除去さ
れているかどうかは、連続的に比伝導度或いは塩素イオ
ン濃度を測定することにより監視することができる。濃
度が限界値に達したときはイオン交換樹脂の再生処理操
作を行う。なおイオン交換樹脂筒の前後にフィルターを
取り付けることにより、汚染されたメタノール中の固形
物質(微粉)が除去されるのでイオン交換樹脂の寿命を
高めることができ、またイオン交換樹脂の微粉がメタノ
ールに流入するのを防止することができる。別法として
このイオン交換樹脂をフィルターの代わりに用いること
もできる。即ちメタノールがイオン交換樹脂により濾過
され、イオン交換樹脂の再生時にメタノール中の固形物
質(微粉)を分離されることになるので、煩雑なフィル
ターの操作が不要となる。
【0012】イオン交換樹脂筒の設置方法は立地、条件
等によるが、例えばメタノール運搬船の出口配管部にイ
オン交換樹脂筒を設置する方法、メタノール貯蔵タンク
受け入れ前あるいはタンクからの出荷時にイオン交換樹
脂筒を通す方法、タンクローリー等の輸送車にイオン交
換樹脂筒を取付け、ローリーへの積み込み時あるいは荷
下ろし時にイオン交換樹脂筒を通す方法などがある。ま
たメタノール貯蔵タンクから以後の用途工程にパイプ等
で連結されているときは、タンク出口もしくは用途設備
前にイオン交換樹脂筒を通すこともできる。なおこれら
のイオン交換樹脂筒は配管の途中の好適な場所に設置さ
れるが、簡単に配管内部の好適部にイオン交換樹脂層を
設置することもできる。
【0013】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。但し本発明はこれらの具体例により制限されるも
のではない。なお各実施例および比較例の結果の表にお
いて、NDは塩素イオンが検出されなかったもの、また−
は塩素イオン濃度を分析しなかったものを示す
【0014】実施例1 内径の異なる5個のイオン交換樹脂筒(カラム)を用い
てメタノールの精製実験を行った。原料のメタノールに
は工業用メタノールに塩化ナトリウムを溶解し、メタノ
ール中の塩素イオン濃度が0.20ppmの溶液を調製
した。各カラムにはスチレン系スルホン酸型強酸性陽イ
オン交換樹脂(日本錬水(株)製、ダイヤイオンRA−
418)30ml及びスチレン系4級アンモニウム型強
塩基性陰イオン交換樹脂(同、PK−220)20ml
を混合して充填した。イオン交換樹脂量一定で、各々の
カラムでメタノールのLSVを10〜300hr-1の条
件で通過させ、出口メタノール中の塩素イオン濃度を測
定した結果を表1に示す。
【0015】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メタノールLSV 樹脂充填層L/D hr -1 2/6 4.5/4 8/3 18/2 ───────────────────────────── 300 0.008 ppm 0.005 ND ND 200 0.004 ─ ND ND 100 0.003 0.004 ─ ND 10 0.002 0.003 0.005 ND ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0016】実施例2 実施例1と同じイオン交換樹脂30mlと20mlを混
合床として充填したカラムおよび6mlと4mlを充填
したカラムを用いて実験を行った。原料液には塩素イオ
ン濃度0.53ppmを含むメタノールを用い、各々の
カラムに対してLSV30〜180hr-1およびLSV
100〜1000hr-1の割合で通液した。それぞれの
条件での通過メタノ−ル中の塩素イオン濃度を測定し、
結果を表2に示す。
【0017】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LSV 50 100 150 180 250 300 380 500 1000 1/hr ─────────────────────────────────── Cl- ND ND ND 0.001 0.014 0.020 0.027 0.033 0.055ppm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0018】実施例3 実施例1と同様のイオン交換樹脂(PA−418)6m
lと同(PK−220)4mlを混合し合計10mlを
充填した1筒式イオン交換筒に、塩素イオン濃度0.5
0ppmのメタノールをLSV250hr-1で通液し
た。メタノール通液積算量と通過メタノール中の塩素イ
オン濃度を測定し、結果を表3に示す。
【0019】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メタノール通液積算量(リットル) 塩素イオン濃度(ppm) ──────────────────────────── 48 0.018 51 0.019 69 0.021 107 0.025 157 0.030 204 0.037 250 0.046 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、メタノール輸送手段又
は貯蔵装置の配管中にイオン交換樹脂筒を設置すること
により、メタノールの輸送中等で汚染されたメタノール
中の不純物、特に海水に起因する塩素イオンを極めて容
易に、且つ安価で、安全に除去することができる。なお
イオン交換筒においては輸送中に汚染された塩素イオン
等のみでなく、例えばメタノール合成装置の起動時や原
料の天然ガス中に窒素が相当量含まれる場合などにおい
ては、窒素ガスから微量のアンモニアやアミンが生成し
その臭気が問題となることがあるが、アミン類もイオン
交換樹脂筒において除去されるので、このような臭気問
題も本発明により解決される。本発明により、高品質の
メタノールが供給され、化学装置や燃焼装置の腐食、伝
熱効率の低下及び触媒への悪影響などのトラブルが解消
されることになるので、本発明の工業的意義は極めて大
きい。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は海上輸送などの輸送また
は貯蔵中に汚染されたメタノールを精製する方法および
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年メタノールは化学工業原料としてだ
けでなく、自動車や発電用エネルギー源として、その利
用価値が期待されている。このメタノールは海外の産油
国、産ガス国で大量に製造され、メタノールの消費地が
製造地域から遠距離のケースが多く、実際にはタンカー
で海上輸送される。この場合、輸送距離が長いほど、ま
た天候等の影響を受け、主に海水に起因すると考えられ
るメタノールの汚染が起こり易い。このように海水に起
因する汚染を受けたメタノールには塩素イオン等が多く
含まれているが、その精製方法としては適切なものが無
く、汚染のひどい場合には、受入れ先で再蒸留して精製
せざるを得ない。またローリー等を用いて陸上輸送する
場合や貯蔵中にも大気中の微量物質等により汚染される
おそれがある。一方、メタノールを使用する側では不純
物質ができるだけ少ないことが望ましく、受入れメタノ
ールの厳密な品質検査が行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年メタノールの需要
はますます増大し、その用途も広くなりつつあるが、使
用範囲拡大に伴って一般的傾向として高純度のメタノー
ルが要求されている。上述の如くもしメタノールが海上
輸送等により汚染された場合には再蒸留して精製せざる
を得ないが、このために多大なエネルギーを必要とする
ばかりか、蒸留装置の設備費が大きいので大量の処理が
困難である。またもし汚染されたメタノールをそのまま
各装置に利用した場合には、汚染物質が反応装置や燃焼
装置内に濃縮蓄積し装置自体の腐食を招き、また汚染物
質がスケール状付着物質となり伝熱低下等の障害を起こ
す。更に反応装置においては触媒性能等に悪影響を及ぼ
し、製品の収率や品質低下などをもたらすことが懸念さ
れる。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記のごとき
課題を有する輸送中に汚染されたメタノールの精製方法
について鋭意検討した結果、メタノールの輸送手段又は
貯蔵装置の配管部にイオン交換筒を設置することによ
り、メタノール中の塩素イオン等が極めて効率良く除去
され、高品質のメタノールが供給できるようになること
を見い出し、本発明に到達した。即ち本発明は、メタノ
ール輸送手段又は貯蔵装置の受入れ又は出口配管部にイ
オン交換樹脂筒を設置し、メタノールを通液させること
を特徴とするメタノール精製方法および精製装置であ
る。
【0005】本発明におけるメタノール輸送手段として
は、海上輸送の場合にはメタノール運搬船(タンカー)
が挙げられ、陸上輸送の場合にはローリー車などが挙げ
られる。また貯蔵装置としては各種の貯槽(メタノール
タンク)があり、特に大量のメタノールを取り扱うこと
から開放式の大型貯槽が用いられることが多く、貯蔵中
の気温の変動により大気中の微量成分からメタノールが
汚染され易い。
【0006】本発明に使用されるイオン交換樹脂は、耐
有機物性能を有するイオン交換樹脂が用いられ、ポーラ
ス型およびゲル型のいずれでも使用できる。マクロポア
ーを有するポーラス型イオン交換樹脂は、耐有機性だけ
でなく、機械的、物理的強度も備えているので好適に用
いられる。ポーラス型イオン交換樹脂としては、例えば
スチレン系スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂やスチ
レン系4級アンモニウム型強塩基性陰イオン交換樹脂が
特に好適に用いられる。またゲル型イオン交換樹脂は一
般に、H型およびOH型で樹脂の供給が容易であり、再
生の必要が無くそのまま使用できる利点を有する。また
超純水製造のように樹脂からの溶出を嫌う場合にはこれ
を極力少なくすることができる。
【0007】海上輸送などにより汚染されたメタノール
には塩素イオンのみでなく各種の陰イオンと陽イオンが
含まれるので、双方のイオンを除去する目的で陰イオン
交換樹脂および陽イオン交換樹脂を通液を通過させるこ
とが望ましい。これらのイオン交換樹脂はそれぞれの樹
脂を別々の筒に分けて充填し使用することもできるが、
両樹脂を混合して一筒式の混合床として使用でき、この
一筒式混合床は特に設備軽減の面から好適に用いられ
る。これらのイオン交換樹脂は、必要に応じて陰イオン
又は陽イオンを含む水溶液で再生、活性化した後、メタ
ノールを通液することにより精製される。
【0008】イオン交換樹脂を通したメタノール中の塩
素イオン濃度はその用途により決定されるが、一般にそ
の濃度が極力少ない方が望ましく、通常は塩素イオン濃
度が0.1ppm以下、或いは0.02ppm以下に設
定される。本発明の方法により塩素イオン濃度を上記の
値に達成するためにはイオン交換樹脂を通液するメタノ
ールの速度をイオン交換樹脂容量基準のLSV(液空間
速度)をできるだけ小さくすることが好ましいが、特に
輸送手段の配管部に取付ける場合には短時間で処理する
必要があり、また大型貯蔵装置では大量のメタノールを
取り扱うのでイオン交換樹脂筒が大きくなることから、
LSVを大きくすることが望ましい。
【0009】発明者等の実験の結果、メタノール中のイ
オンを除去する場合には、通常の純水装置に用いる場合
のLSV(通常1hr-1以下)に比較して相当LSVを
大きくできることが確認された。従って本発明における
イオン交換樹脂筒のLSVは導入されるメタノール中の
イオン濃度(特に塩素イオン)によるが、一般に5〜5
00hr-1の範囲、好ましくは10〜300hr-1の範
囲で通液される。メタノールLSVが低い場合には、精
製メタノール中の塩素イオン濃度が低下するが、使用す
る樹脂量が多くなるので設備費がかさみ効率が悪い。一
方LSVが高過ぎる場合には、樹脂内で差圧が生ずると
共にイオンの漏出率が高くなり、精製効率の低下を招
く。
【0010】イオン交換樹脂筒の高さ(L)と径(D)
の比率(L/D)が小さすぎる場合にはイオン成分が漏
洩し易く、逆に大きすぎる場合には流速が大きくなるこ
とから差圧が大きくなり、また樹脂が流動し磨耗し易く
なるので、好適なL/Dが選定される。後述の実施例か
ら明らかなように、望ましいL/Dは1〜10の範囲で
ある。
【0011】塩素イオンがイオン交換樹脂により除去さ
れているかどうかは、連続的に比伝導度或いは塩素イオ
ン濃度を測定することにより監視することができる。濃
度が限界値に達したときはイオン交換樹脂の再生処理操
作を行う。なおイオン交換樹脂筒の前後にフィルターを
取り付けることにより、汚染されたメタノール中の固形
物質(微粉)が除去されるのでイオン交換樹脂の寿命を
高めることができ、またイオン交換樹脂の微粉がメタノ
ールに流入するのを防止することができる。別法として
このイオン交換樹脂をフィルターの代わりに用いること
もできる。即ちメタノールがイオン交換樹脂により濾過
され、イオン交換樹脂の再生時にメタノール中の固形物
質(微粉)を分離されることになるので、煩雑なフィル
ターの操作が不要となる。
【0012】イオン交換樹脂筒の設置方法は立地、条件
等によるが、例えばメタノール運搬船の出口配管部にイ
オン交換樹脂筒を設置する方法、メタノール貯蔵タンク
受け入れ前あるいはタンクからの出荷時にイオン交換樹
脂筒を通す方法、タンクローリー等の輸送車にイオン交
換樹脂筒を取付け、ローリーへの積み込み時あるいは荷
下ろし時にイオン交換樹脂筒を通す方法などがある。ま
たメタノール貯蔵タンクから以後の用途工程にパイプ等
で連結されているときは、タンク出口もしくは用途設備
前にイオン交換樹脂筒を通すこともできる。なおこれら
のイオン交換樹脂筒は配管の途中の好適な場所に設置さ
れるが、簡単に配管内部の好適部にイオン交換樹脂層を
設置することもできる。
【0013】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。但し本発明はこれらの具体例により制限されるも
のではない。なお各実施例および比較例の結果の表にお
いて、NDは塩素イオンが検出されなかったもの、また−
は塩素イオン濃度を分析しなかったものを示す
【0014】実施例1 内径の異なる5個のイオン交換樹脂筒(カラム)を用い
てメタノールの精製実験を行った。原料のメタノールに
は工業用メタノールに塩化ナトリウムを溶解し、メタノ
ール中の塩素イオン濃度が0.20ppmの溶液を調製
した。各カラムにはスチレン系スルホン酸型強酸性陽イ
オン交換樹脂(日本錬水(株)製、ダイヤイオンPK−
220)20ml及びスチレン系4級アンモニウム型強
塩基性陰イオン交換樹脂(同、PA−418)30ml
を混合して充填した。イオン交換樹脂量一定で、各々の
カラムでメタノールのLSVを10〜300hr-1の条
件で通過させ、出口メタノール中の塩素イオン濃度を測
定した結果を表1に示す。
【0015】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メタノールLSV 樹脂充填層L/D hr-1 2/6 4.5/4 8/3 18/2 ───────────────────────────── 300 0.008 ppm 0.005 ND ND 200 0.004 ─ ND ND 100 0.003 0.004 ─ ND 10 0.002 0.003 0.005 ND ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0016】実施例2 実施例1と同様の陽イオン交換樹脂20mlと陰イオン
交換樹脂30mlを混合床として充填したカラムおよび
4mlと6mlを充填したカラムを用いて実験を行っ
た。原料液には塩素イオン濃度0.53ppmを含むメ
タノールを用い、各々のカラムに対してLSV30〜1
80hr-1およびLSV100〜1000hr-1の割合
で通液した。それぞれの条件での通過メタノ−ル中の塩
素イオン濃度を測定し、結果を表2に示す。
【0017】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LSV 30 100 150 180 250 300 380 500 1000 1/hr ─────────────────────────────────── Cl- ND ND ND 0.001 0.014 0.020 0.027 0.033 0.055ppm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0018】実施例3 実施例1と同様の陽イオン交換樹脂(PK−220)4
mlと陰イオン交換樹脂同(PA−418)6mlを混
合し合計10mlを充填した1筒式イオン交換筒に、塩
素イオン濃度0.50ppmのメタノールをLSV25
0hr-1で通液した。メタノール通液積算量と通過メタ
ノール中の塩素イオン濃度を測定し、結果を表3に示
す。
【0019】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メタノール通液積算量(リットル) 塩素イオン濃度(ppm) ──────────────────────────── 48 0.018 51 0.019 69 0.021 107 0.025 157 0.030 204 0.037 250 0.046 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0020】実施例4 日本錬水(株)製ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂SKT
10と、ゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂SAT10を
交換容量比で1:1に混合した樹脂10mlを充填した
カラムを用いて実験を行った。原料液には塩素イオン濃
度0.30ppmのメタノールを用い、LSV10〜1
50hr-1の割合で通液し、通過メタノ−ル中の塩素イ
オン濃度を測定した。結果を表4に示す。実施例2と比
較して通過メタノール中の塩素イオン濃度が高いが、本
実施例に用いたゲル型強酸性陽イオン交換樹脂は再生の
必要が無くそのまま使用できるので有利である。
【0021】
【表4】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LSV 10 30 50 80 100 150 1/hr ───────────────────────────── Cl- 0.005 0.010 0.012 0.015 0.017 0.019 ppm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、メタノール輸送手段又
は貯蔵装置の配管中にイオン交換樹脂筒を設置すること
により、メタノールの輸送中等で汚染されたメタノール
中の不純物、特に海水に起因する塩素イオンを極めて容
易に、且つ安価で、安全に除去することができる。なお
イオン交換筒においては輸送中に汚染された塩素イオン
等のみでなく、例えばメタノール合成装置の起動時や原
料の天然ガス中に窒素が相当量含まれる場合などにおい
ては、窒素ガスから微量のアンモニアやアミンが生成し
その臭気が問題となることがあるが、アミン類もイオン
交換樹脂筒において除去されるので、このような臭気問
題も本発明により解決される。本発明により、高品質の
メタノールが供給され、化学装置や燃焼装置の腐食、伝
熱効率の低下及び触媒への悪影響などのトラブルが解消
されることになるので、本発明の工業的意義は極めて大
きい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタノール輸送手段又は貯蔵装置の受入れ
    又は出口配管部にイオン交換樹脂筒を設置し、メタノー
    ルを通液させることを特徴とするメタノール精製方法
  2. 【請求項2】イオン交換樹脂筒が強酸性陽イオン交換樹
    脂および強塩基性イオン交換樹脂を混合した単一筒であ
    る請求項1記載のメタノール精製方法
  3. 【請求項3】イオン交換樹脂に対する通液速度がLSV
    (液空間速度)で50〜500hr-1の範囲である請求
    項1記載のメタノール精製方法
  4. 【請求項4】メタノール輸送手段又は貯蔵装置の受入れ
    又は出口配管部にイオン交換樹脂筒を設置することを特
    徴とするメタノール精製装置
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