JPH06154567A - 膜の保全性試験 - Google Patents

膜の保全性試験

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JPH06154567A
JPH06154567A JP5182118A JP18211893A JPH06154567A JP H06154567 A JPH06154567 A JP H06154567A JP 5182118 A JP5182118 A JP 5182118A JP 18211893 A JP18211893 A JP 18211893A JP H06154567 A JPH06154567 A JP H06154567A
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    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非破壊的に限外濾過膜を試験して膜の粒子保
持能力を測定する方法であって、該方法は、最小寸法か
又はもっと大きい寸法の粒子の保持の程度と第1の因子
との間の標準関係を第1の膜のセットにより測定し、前
記の膜の試料を前記の浸潤液体で濡らし、前記の第1及
び第2の浸入液体を前記の圧力で前記の膜の試料を通し
て通過させて第2の因子を測定し、前記の第2の因子比
を前記の標準関係と比較し、それにより、前記の膜試料
により、最小寸法か又はもっと大きい寸法の前記の粒子
の保持の程度を測定することを含み、前記の浸潤液体及
び前記の浸入液体は前記の膜に対して非破壊的であり、
且つ、前記の膜貫通圧力及び前記の膜貫通流速は前記の
膜に対して非破壊的である、上記の方法を提供するこ
と。 【構成】 上記の方法それ自体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】この発明は、限外濾過膜等の多孔性膜の
保全性を非破壊的に評価するための方法に関する。特
に、この発明は、存在すると膜の粒子保持能力を急激に
低下させる膜中の望ましくない大きい細孔の影響を定量
するための非破壊的試験方法に関する。
【0002】限外濾過(UF)膜中に存在する細孔の多
く(≒80%)は、狭い範囲の細孔分布内にあると広く
信じられている。しかしながら、膜透過性及び(従っ
て)膜貫通輸送は、細孔半径の第4の力に依存するの
で、これらの一層小さい細孔の全膜透過性への貢献は、
通常、10%未満である。結果として、非常に少数の大
きい寸法の細孔が実際に膜性能を制御する。粒子保持が
ふるい機構に基づく膜について、「活性な」細孔寸法の
分布の評価は、かかる膜を通しての選択的輸送を予想す
る場合に、基本的に重要なことである。それ故、粒子保
持を正確に相関させるために、これらの大きい「輸送制
御性」細孔を特性表示することが必要である。
【0003】泡立ち点試験及び空気拡散試験は、種々の
クラスの膜について粒子保持を相関させて予想する企て
において以前から用いられている2つの非破壊的保全性
試験である。泡立ち点試験においては、完全に濡らした
膜を囲いの中に置いて空気と接触させる。次いで、上流
の空気圧を徐々に増加させ、最後に、最大の細孔を通っ
ての空気の選択的浸入を生じさせ、次いで、膜の下流で
空気泡の形成を生じさせる。円筒状細孔と仮定すれば、
これらの泡が最初に観られる圧力(泡立ち点)に対応す
る細孔半径は、下記の改変ヤング−ラプラス毛管方程式
により近似することが出来る
【数1】 (式中、Pは細孔貫通圧力低下、dp は浸入細孔直径で
あり、Θは接触角であり、Kは形状補正因子を表し、及
びγは気−液界面張力である)。毛管力が最大細孔を最
初に空気が浸入するものとするので、泡立ち点試験は、
所定の膜試料中に存在する最大細孔の尺度と考えること
が出来る。それは、粒子保持を相関させて予想すること
の出来る試験を開発するために不可欠なこれらの最大細
孔の特性表示及び定量である。しかしながら、従来の泡
立ち点試験には、それが限外濾過膜の評価に関する場合
に2つの問題がある。第1に、空気/液体界面における
非常に大きい界面張力のために、典型的限外濾過(U
F)膜について泡立ち点を観察するために必要な圧力が
500psi を超える。慣用のUF膜は、通常、この範囲
の圧力にかけられると、縮んで誤った結果へと導く。第
2に、試験すべき膜域が増すと、濡れた膜を通しての空
気拡散の大きいバックグラウンドのために実際の膜泡立
ち点が一層検出困難になる。この問題は濡らす液体に低
溶解度を有する気体を用いることにより最小化し得る
が、拡散は、溶解度効果のためにすべてを除去すること
は出来ない。従って、この試験は、本質的に、小さい領
域のマイクロフィルターに限定される。
【0004】空気拡散試験においては、膜を再び濡らし
て空気と接触させる。空気圧をその膜の泡立ち点より下
のある規定値まで増加させてその濡れた膜を通っての拡
散及び対流による空気流の全量を記録する。圧力の操作
は、通常、膜の泡立ち点より十分に低いので、完全な膜
は拡散流のみを示す。事実、膜試料中に存在する大きい
欠陥(測定可能な対流空気流に貢献するもの)のみが検
出され得る。それ故、理論的基礎に基づいて、この試験
は、大きい欠陥に対する感度しか有しないので完全な膜
の粒子保持に十分相関するとは期待し得ない。
【0005】この種々のクラスのUF膜の特性決定及び
細孔寸法分布測定のための浸透微孔(permoporometric
)技術が、下記により開示されている: 「膜形態及び輸送特性」、Desalination, 53巻、11(198
5)、 「コンピューター駆動式の限外濾過膜用ポロシメータ
ー」、Characterisationof Porous Solids, K.K. Unger
等、283(1988)、 「限外濾過膜における浸透微孔性研究」、J. Membrane
Sci.41巻、69(1989)、及び「直接的微孔質データと限外濾
過膜の性能との相関」、Proc. Biochem. Int'l., 111(1
990)。 この浸透微孔技術において、典型的に泡立ち点試験にて
遭遇する空気−液体界面を、今般、2つの混合出来ない
液体間の界面と置換する。この2相液系を用いる鍵とな
る利点は、多くの不混和性の液体の対に関する非常に小
さい界面張力であり、ナノメーター寸法の細孔に選択的
に浸入するために必要な低い膜貫通圧を生じる。更に、
2つの相が全く不混和性なので、競争するバックグラウ
ンドの拡散流がなく、直線的に計れ且つ膜表面積によら
ない技術を生じる。従って、この技術は、UF膜の特性
決定に顕著に適している。
【0006】開示された浸透微孔技術においては、膜試
料を先ず2つの相互に不混和性の液相の1つで濡らす
(浸潤相)。次いで、他の不混和性の液相(浸入相)を
膜囲いの上流に置く。次いで、浸入相を膜試料を通して
所定の流速で順次ポンプで送り、その結果の平衡の上流
圧力を記録する。泡立ち点試験と同様に、最低流速(最
低圧力)で浸入される最初の細孔は、膜試料中に存在す
る最大細孔である。しかしながら、非常に小さい界面張
力を有する2つの不混和性の液体の利用は、これらのU
F膜に存在する大きい細孔への完全な浸入に必要な圧力
が20psi より小さいという利点を有する。種々の浸入
相流速に対応する上流圧力、2つの不混和性の液体の界
面張力の知識を用い且つ、特定の数学的モデルが正しい
と仮定するならば、この試験は、膜試料の有効細孔寸法
分布を計算することが出来る。この計算した全細孔寸法
分布に基づいて、慣用のUF膜の性能を相関させること
が出来るであろう。
【0007】この開示された技術は限外濾過膜の粒子保
持能力を迅速且つ非破壊的に相関させることに関する場
合、該技術に関する2つの主要な制限がある。第1に、
開示された技術は、試験する膜試料の全有効細孔寸法分
布の生成(所望の精度によって、2〜3時間又はそれ以
上かかる非常に単調な方法)に依存する。更に、これら
の参照文献により開示された2相系は、UF特性決定試
験を通して、イソブタノール:メタノール:水(15:
7:25v/v/v)系である。この溶媒系は、慣用の
UF膜から除去するのが困難であり且つ殆どの生物学的
液体に対して有毒である。これらの理由の故に、この特
定の2相系の利用を含む任意の試験は、試験を破壊的な
ものにするであろう。
【0008】非破壊的であり且つ試験される各膜試料に
ついて全有効細孔寸法分布を測定する単調な方法を回避
する限外濾過膜用の迅速な保全性試験を提供することは
望ましい。更に、かかる膜の表面積、多孔性、及び厚み
(これらは、膜試料間で大きく異なるかも知れず、しば
しば、多くの保全性試験結果の解釈における困難性を大
きくする変数である)に依存しない試験を提供すること
は好ましい。更に、かかる高い精度で特定のUF膜が所
定寸法のウイルス等の粒子を保持し得るかどうかを予想
することを可能にするが、実際には測定をするために該
膜を粒子を含む液体溶液について試す必要がないような
試験を提供することは好ましい。
【0009】
【発明の要約】本発明は、開示された浸透微孔技術の新
規な改変によって、迅速且つ非破壊的に計れ、ウイルス
等の種々の寸法の粒子の保持を再現可能に相関させて予
想する限外濾過膜用試験を開発し得るという発見に基づ
いている。数学的モデルの正しさ及び有効細孔寸法分布
を計算するための浸入相流速の段階的増加に対応する種
々の膜貫通圧力の測定の両者に依存した従来技術と異な
り、本発明は、特性流速比を計算するための2データ点
のみの生成に依存する。液−液浸入技術を用いて、2つ
の膜の透過性の比を前もって選択した一対の相互に不混
和性の液体を用いる運転条件にて測定する(該液体の一
方を膜浸潤剤として用い、他方を浸入液として用い
る)。第1の運転条件(特定の膜貫通圧力)を、所定の
寸法範囲内の細孔に選択的に浸入するように選択する。
特定の2相系について、この第1の運転圧力は、保持を
相関させようと試みる粒子の寸法にのみ依存する。第2
の運転条件(第2の前もって選択した膜貫通圧力又は水
透過性測定の何れか)は、殆どすべての膜細孔が浸入さ
れるように選択する。これらの2つの透過性測定の比の
対数は、適当な標準曲線を用いて、試験した膜試料の粒
子保持能力の直接的非破壊的尺度である。
【0010】2つの透過性測定の比が得られたときは、
その結果の値は、膜表面積、多孔度、曲がり及び厚みに
依存しない。これは、所定の限外濾過膜を種々の寸法の
モジュール内に配列し得て且つ複数の保全性試験の必要
性が除かれるので有利である。更に、成分が共に容易に
膜構造からフラッシュ出来て且つ該膜と有害に相互作用
しない適当な2相系を選択することにより、開発した相
関性試験を非破壊的にすることが出来る。これは又、こ
の試験を、次いで、前使用及び後使用の両方に用いて限
外濾過膜の保全性を確認することが出来るので有利であ
る。
【0011】未試験膜の粒子保持能力を予想するために
必要な標準曲線は、下記の方法によって作成する。第1
に、限外濾過膜の試料をウイルス粒子等の既知の寸法の
非吸着性粒子を含む液体溶液で試験して膜の粒子保持能
力を測定する。保持粒子濃度の透過粒子濃度に対する比
のlog10はLRVと呼ばれ、膜試料の固有の粒子保持
能力の尺度である。この膜試料を、次いで、上記の流速
の透過性比を得ることによってこの開発した液−液浸入
試験により特性決定する。種々のLRV値の限外濾過膜
試料を用いてこの実行を繰り返して、粒子保持能力を測
定した流速比に関係させる標準曲線を作成することが出
来る。この生成した標準相関関係から、未試験膜の粒子
保持能力を非破壊的方法にて単にその透過性比を測定す
るだけで予想することが出来る。
【0012】
【特定の実施態様の説明】任意の限外濾過膜の性能は、
特定の溶質又は懸濁固形物を保持するその能力に依存し
ている。有害に大きい細孔の限外濾過膜内の存在は、ウ
イルス等の粒子を有効に保持するその能力を急激に劣化
させ得る。更に、膜工程ステップを完全に確認するため
に、前及び後使用膜保全性を確実にする何らかの手段を
有することが必要である。これらの理由の故に、限外濾
過膜内に存在するこれらの大きい細孔の存在を実際に特
性決定し定量する適当な非破壊的試験を開発することが
肝要である。従って、新規な計れる液−液浸入保全性試
験を開発した。かかる膜の例は、米国特許第5,01
7,292号に開示されたもの(本明細書中に参考とし
て援用する)等の限外濾過膜として機能する複合膜、慣
用の不整UF膜等を含む。
【0013】本発明は、開示された液体浸透微孔技術へ
の新規な改変の利用に基づいており、一定の膜貫通圧力
又は膜貫通流速を注意深く制御する。(a) 前もって選択
した一定の膜貫通運転圧力にて測定した2つの膜透過性
の比又は(b) 前もって選択した膜貫通圧力を達成するよ
うに選択した2つの膜貫通流速の比を、所定の限外濾過
膜について、相互に不混和性の液体(その一方は膜浸潤
剤として用い、他方は浸入液体として用いる)を用いて
測定する。次いで、これらの比の一方又は両方を前もっ
て測定した標準曲線(同じクラスの膜用に作成したも
の)と比較するが、該曲線はlog保持値(LRV;ふ
るい係数の負の対数)等の粒子保持特性をステップ(a)
又は(b) にて測定した比と相関させる。
【0014】標準曲線は、類似の限外濾過膜試料をウイ
ルス粒子等の既知の寸法の粒子を含む液体で試験するこ
と及び本発明に従って測定される特性流比を測定するこ
との両者によって得られる。一度標準曲線を作成したな
らば、ウイルス粒子等の粒子を保持する限外濾過膜の能
力は、一定の膜貫通圧力又は一定の膜貫通流速手順から
得られるその特性比を測定することによって測定するこ
とが出来る。この標準曲線は、試験する膜試料の粒子保
持能力の直接測定を、ウイルス粒子等の特定の寸法の粒
子を用いて限外濾過膜を実際に試験することなく行なう
ことを可能にする。
【0015】特性比を測定する動機には2つの面があ
る。第1に、理論的観点から、適当に測定した比は、膜
LRVの近似的尺度であることを示すことが出来る。硬
質であること、直径dp の球形粒子であることを仮定
し、及び通常膜細孔を通っての溶質の制約されない輸送
を妨害する流体力学的力を無視するならば、膜LRV
は、下記式により近似することが出来る
【数2】 (式中、Qtot は、所定の運転条件のセット下での膜試
料を通っての流れの全量であり、Qdpは、これらのdp
(溶質粒子直径)以上の寸法の膜細孔を通っての流量を
表す)。この開発した液−液浸入技術は、この流速比を
測定するために顕著に適している。第2に、2つの異な
る透過性の比を得るこの新規なアプローチは、保全性試
験値が膜表面積、多孔性、曲がり及び厚みの違いにより
影響されないことを可能にする。従って、1つの値
(比)は、本質的に、限外濾過膜を特定の寸法の粒子を
保持するその能力に関して特性表示し、異なる膜の非破
壊的比較を可能にする。更に、所定の限外濾過膜は、種
々の寸法のモジュール内に配列することが出来、複数の
保全性試験の必要性を除去する。
【0016】一定の膜貫通圧力特性比を測定するため
に、膜試料を先ず2つの不混和性の液体の一方(浸潤
相)で濡らす。他の不混和性の液体(浸入相)を膜試料
の上流に置き、選択したある所定のレベルに圧力をかけ
て特定の寸法の粒子が出入り出来るそれらの細孔に選択
的に浸入させる。この特定の運転圧力は、保持を相関さ
せることを試みている粒子の寸法及び試験に用いる特定
の2相液系の両者に依存する。系を平衡化させた後に、
その結果の平衡化浸入相流速を測定する。第2の運転条
件は、殆どすべての膜細孔が浸入されるように選択す
る。これは、(a) 浸入相圧力をすべての膜細孔に有効に
浸入させる他の所定のレベルまで増加させて再びその後
の平衡浸入相流速を測定するか又は(b) 水透過性等の全
膜透過性に関係する他の測定を得ることによって達成し
得る。本質において、この第2の運転条件で行なった流
れ測定は、全膜試料の全透過性Qtot の尺度であるが、
他方、もっと低圧での浸入相の流れは特定寸法の粒子が
出入り出来る膜試料中に存在する最大細孔の透過性Qdp
の尺度である。式(2)で計算した場合は、両方の運転
条件のセットから適当な標準曲線を用いて得たこれらの
2つの流速の比の対数は、試験した膜試料の粒子保持能
力の直接的な非破壊的尺度である。
【0017】別法として、類似の2ステップ手順を続け
ることが出来、該手順においては膜貫通流速を特定の膜
貫通圧力を達成するように維持する。膜試料を先ず不混
和性の液体の一方(浸潤相)で濡らし、他方の不混和性
の液体(浸入相)を膜試料の上流に置く。次いで、浸入
相を、ある前もって選択した値より低い膜貫通圧力を達
成するように選択したある任意に低い流速で膜試料を通
してポンプで送って所定の寸法の粒子が出入り出来るそ
れらの細孔に浸入させる。次いで、この浸入流速を、所
望の膜貫通圧力が達成され且つ維持されるまで順次増大
させる。従って、この標的膜貫通圧力を維持する浸入流
速が所望の値である。膜試料中に存在するすべての膜細
孔の完全な浸入を果たすために、浸入相流速を、次い
で、第2の前もって選択した膜貫通圧力が達成され且つ
維持されるまで増加する。前記のように、この第2の運
転条件は、一般性を失わずに、水透過性等の全膜透過性
に関係する値を生じる何らかの別の試験手順で置き換え
ることが出来る。第1の運転条件のセット下で得た流速
は、特定の寸法の粒子が出入り出来る膜試料中に存在す
るそれらの細孔を通る流れQdpの尺度である。同様に、
第2の運転条件のセット下で得た流速は、全膜試料の全
透過性Qtot の尺度である。運転条件の両セットから得
たこれらの2つの流速の比の対数は、等式(2)にて計
算した場合、適当な標準曲線を用いて、試験した膜試料
の粒子保持能力の直接的尺度である。この技術は、小さ
い液体流れを再現可能に送達する技術が小さい液体流れ
を再現可能に測定する技術より進んでいるので、非常に
小さい流速を含む場合に適用可能性を有し得る。
【0018】本発明中の重要なステップは、それらの所
望の寸法範囲の細孔に選択的に浸入させるために必要な
標的膜貫通圧力の演繹的決定である。第1に、既知の又
は測定可能な界面特性の適当な液体2相系を選択して限
外濾過膜を特性決定しなければならない。液−液界面張
力( γ )の知識及び相関関係を測定すべき特定の粒子寸
法を用いて、それらの所定粒子寸法より大きい細孔に選
択的に浸入させるために必要な近似的圧力範囲を、等式
(1)により与えられる改変ヤング/ラプラス毛管方程
式を用いて決定することが出来る。第2に、実験的に、
保全性試験流速比をこの計算した圧力範囲内の中間の圧
力における膜試料の粒子保持能力に関係させる標準曲線
を測定することによって、両者が試験感度を最大にする
と同時に相関誤差を最小にする最適圧力を決定すること
が出来る。この手順は実施例1にて説明する。
【0019】この試験で用いる2つの不混和性液体は、
試験を非破壊性にするために、膜を傷つけ又は劣化させ
るべきではない。即ち、これらの液体は膜の機械的強度
に有害に作用すべきでない(液体が膜に対し溶剤作用を
示す場合等)。更に、これらの液体は膜から容易に除去
されるべきであり又は、完全に除去可能でないならば、
膜で処理する液体組成物に毒性作用を示すべきでない。
例えば、血清等の生物学的液体をこの膜を通して濾過し
てウイルス粒子等の望ましくない粒子を除去する場合
に、この膜細孔内に保持された液体は(たとえあるとし
ても)、血清中の蛋白質を劣化させるべきでない。かか
る無害の系の例は、ポリエチレングリコール(MW80
00)、硫酸アンモニウム及び水を重量比10:15:
75で混合して形成した2相系である。この2相系は低
い界面張力、ナノメーター寸法の細孔に実際の圧力によ
って浸入させるための2相系の必要な特性を有する。更
に、ポリエチレングリコール及び硫酸アンモニウムの両
者は、膜から水で容易に除去され得、両者は多くの製薬
的応用のための許容し得る無毒性試薬である。この液体
系の生物学的許容性は、生物学的に毒性である従来技術
のメタノール/イソブタノール/水系と対照的である。
下記の実施例はこの発明を説明するが制限するものでは
ない。
【0020】
【実施例】実施例1 開発した液−液浸入保全性試験を用いて、ミリポア社
(マサチューセッツ州、Bedford 在)から市販されてい
るViresolve/70(商標)及び Viresolve/180(商標)
膜、並びに米国特許第5,017,292号の実施例1
に従って20〜21%のKynar 濃度及び8〜15℃の流
延温度で製造した種々のプロトタイプ膜のΦX−174
(28nmバクテリオファージ)保持能力を相関させて
予想した。この実施例で用いた特定の2相液系は、分子
量8000のポリエチレングリコール(PEG800
0)、硫酸アンモニウム及び脱イオン水の混合(重量比
10:15:75)により形成した2相からなり、それ
を調製して少なくとも6時間平衡化させた。この2相系
を、両主成分PEG8000及び硫酸アンモニウムがVi
resolve (商標)膜細孔構造から容易にフラッシュされ
且つ両者が製薬応用について許容し得る無毒性試薬であ
るので用いた。
【0021】図1に示した装置を形成して液−液浸入流
速比を種々の試験膜試料について測定した。図1に示す
ように、浸入液体(例えば、この実施例で用いた2相系
の硫安リッチなボトム相)は、圧力分配容器10に収容
される。加圧ガスを圧力分配容器10に制御された圧力
源(示してない)から導管12及び圧力分配容器14
(圧力低下目的のために用いる空のタンク)を介して供
給する。バルブ16を開くと、加圧された浸入液体を導
管18及びT型接続20を通し、該接続点で加圧浸入相
を圧力変換器22により測定し、継続的にモニターし且
つ制御する。浸入液体は、導管24、浸入相流速を継続
的にモニターするサーマルパルスユニット(M-Tek Corp
oration, ペンシルベニア州、 Pittsburgh 在)等の流
速測定装置26、及び導管28を通って、試験すべき所
望の膜試料を収容する膜試験用セル30へ進む。膜試料
32(浸潤相中に5分間置くことによりPEG−800
0リッチなトップ相で予め濡らしたもの)を試験用セル
30内に、導管28内の加圧浸入液体が膜32を通って
試験用セル30の下の受け器34中へ進むように配置す
る。この膜試料32は、試験用セル30中に、被膜で覆
った表面が上流に向くように配置する(典型的運転プロ
トコールによるViresolve (商標)膜の正常な向き)。
次いで、制御された源(示してない)の圧力を、圧力変
換器22により所望の流圧が達成されるまで増加させ
る。
【0022】望ましい系の圧力を下記の方法にて測定し
た。この実施例で用いたPEG:硫酸アンモニウム:水
の系について、2つの不混和相の間の界面張力は、文献
に報告されているように、0.2〜2dyne/cm である。
更に、ΦX−174(28ナノメーターのバクテリオフ
ァージ)の保持を予想する相関を有することは望まし
い。円形口を有する円筒状細孔であり接触角0と仮定す
れば、数式1で与えられるヤング/ラプラス方程式は、
現実の界面張力に依存して、28ナノメーターより大き
いそれらの細孔に選択的に浸入するためには約4〜40
psi の圧力範囲が必要であることを予報する。次いで、
この最良相関を与え且つ試験感度を最大にする範囲内の
最適圧力を実験的に決定することが必要である。
【0023】制御された源(示してない)の圧力を、圧
力変換器22により測定する系の圧力が4psid(所望範
囲内の最低圧力)を示すまで増加させる。この系を10
分間にわたり平衡化させ、その時間にて浸入相流速を、
流れユニット26からの1分間にわたる流れの読みを平
均することにより測定する。この源圧力を5psidに増加
し、再び系を10分間平衡化させてからその平衡浸入相
流速を測定する。関心のある全圧力範囲に及ぶまで、系
の圧力を増加させては上記の手順を繰り返す。
【0024】最高の系の圧力に対応する浸入相流速を測
定した後、全系の浸入液体を、圧力分配容器10を取り
はずして含有物を廃棄し及び制御された源の圧力を20
psidに増加させることによりパージする。導管を完全に
パージした後に、後続の水透過性試験のための脱イオン
水を圧力分配容器10中に入れる。制御された源の圧力
を、圧力変換器22により測定する系の圧力が5psid
(膜の水透過性値を測定するために望ましい膜貫通圧力
降下)を示すまで増加させる。この系を5分間平衡化さ
せ、その時間にて水流速を、流れユニット26からの1
分間にわたる流れの読みを平均することにより測定す
る。最終的に、膜試料についての保全性試験値を、各試
験圧力にて、下記式により与えられる補正された流速比
の対数として計算する
【数3】 (式中、Pは系の浸入相流速QP に対応する圧力であ
り、Qwater は5psi で測定した水流速である)。式3
中の分子の比P/5は、水流速と浸入流速の測定の間の
圧力差を補正するために用いる。
【0025】試験する膜ロットのウイルス保持能力を測
定するために、各膜ロットからの試料をΦX−174
(28ナノメーターのバクテリオファージ)を含む溶液
を用いて、接線流セル中のリン酸緩衝塩溶液中で、15
00秒-1剪断及び0.005cm/分の束の条件下で試
験した。透過物及び供給溶液の試料を、その宿主細菌を
用いてプラークアッセイすることによりΦX−174濃
度についてアッセイした。希釈シリーズを生成して、透
過物及び供給流の両者中の絶対濃度を測定した。膜LR
Vを、供給流濃度の透過物濃度に対する比の対数として
計算した。
【0026】図2は、18、19及び20psi の膜貫通
圧力で試験した種々の膜試料について、保全性試験結果
のlog流速比を、膜のΦX−174LRVの関数とし
て示す。図2に見られるように、示した各圧力におい
て、膜試料の粒子保持能力と保全性試験流速比との間に
強い直線的相関があり、19psi で得られる相関が最良
である。18psi より低い圧力では、この膜LRVの変
化を検出するための開発した液体浸入試験の感度は低下
し、準最適相関を生じる。同様に、20psi より大きい
圧力では、この液体浸入試験の感度は再び犠牲となる。
この情報から、19psi がΦX−174の通過を相関さ
せるための最適試験圧力であると決定した。
【0027】図3は、19psi で測定した結果の保全性
試験値を、種々の試験した膜ロットについて、膜のΦX
−174保持の関数として示す。理論的証拠から予想さ
れるように、膜試料の粒子保持能力と保全性試験流速比
との間の強い直線的相関がある。更に、3LRV膜は、
1.5LRV膜から容易に区別し得る2.3LRV膜か
ら容易に区別し得る。換言すれば、バクテリオファージ
の99.9%を除去する(3LRV)膜とウイルスの9
9.5%を除去する(2.3LRV)膜との間の差が容
易に識別し得る。
【0028】実施例2 この開発した液−液浸入保全性試験を用いて、ミリポア
社(マサチューセッツ州、Bedford 在)から市販されて
いるPZHK及びViresolve/70(商標)膜、並びに米国
特許第5,017,292号の実施例1に従って20〜
21%に及ぶKynar 濃度及び8〜15℃に及ぶ流延温度
にて作成した種々のプロトタイプ膜のΦX−174(2
8nmバクテリオファージ)保持能力をも相関させて予
想した。この実施例で用いた特定の2相液系は、再び、
分子量8000のポリエチレングリコール(PEG−8
000)、硫酸アンモニウム及び18脱イオン水の混合
(重量比、10:15:75)から形成された2相から
なった。
【0029】実施例1で用い且つ図1に示したのと同じ
装置を再び形成し、フローセル26を通る実際の浸入流
を用いて液−液浸入流速比を測定した(今度は、毛管コ
イルを通して生じた圧力降下を測定することによりモニ
ターした)。前と同様に、膜試料32を、実施例1と同
様にしてPEG−8000リッチなトップ相で予め濡ら
し、被覆した表面を上流に向けて、導管28内の加圧浸
入液体が膜32を透過して試験用セルの下の受け器34
に進むように試験用セル30内に配置した。空気調節器
によって、源圧力(示してない)を、圧力変換器22に
より測定する系の圧力が19psidに平衡化するまで徐々
に増加させる(該圧力は、それらの寸法が28ナノメー
ターより大きい膜細孔への選択的浸入にほぼ対応する望
ましい膜貫通圧力であり、実施例1で説明したように、
ΦX−174の通過を相関させるのに最適の圧力である
ことが経験的に決定されたものである)。この圧力平衡
化工程の間に、圧力が高い程一層小さい直径の細孔の選
択的浸入を生じるので、最大の注意を払って圧力変換器
22により測定する系の圧力が19psi を超えないこと
を確実にする。圧力平衡化工程の後に、浸入相流速を、
毛管コイルを横切る圧力低下及びこの圧力低下を実際の
浸入相流速に関係させる検量線から計算する。
【0030】19psid膜貫通圧力にて浸入相流速を計算
した後、源圧力(示してない)を、圧力変換器22によ
り測定する系の圧力が28psidに平衡化するまで徐々に
増加させる。膜試料中に存在するすべての細孔の完全な
浸入にほぼ対応するので、この圧力を選択した。再び、
この高圧条件下で浸入相流速を、毛管コイルを横切る圧
力低下及び、この圧力低下を実際の浸入相流速に関係さ
せる検量線から計算する。この高い膜貫通圧力にて計算
した流れから、全膜透過性の尺度(実施例1で測定した
水透過性値と同義の値)を得ることが可能である。最終
的に、試験した各膜試料についての保全性試験値を0.
68(19/28)倍の28psidで測定した浸入相流速
の19psidで測定した浸入相流速に対する比の対数とし
て計算する。この0.68因子(19/28)を用い
て、28psid及び19psid浸入流速測定間の圧力差を補
正する。
【0031】図4は、生じた保全性試験のlog流速比
を、種々の試験した膜試料について、膜のΦX−174
LRVの関数として示している。この膜のΦX−174
LRV値は、実施例1で論じたのと同じ実験プロトコー
ルを用いて測定した。図2に見られるように、膜試料の
粒子保持能力と保全性試験流速比との間には強い相関関
係がある。実施例1におけるように、3LRV膜は2.
3LRV膜から容易に識別され、それは1LRV膜から
容易に識別される。定性的に、図4の結果は、絶対値が
幾分異なるにもかかわらず、図3のそれに非常に類似し
ている。これは、各実施例において異なる正規化因子を
用いたので予想されることである(実施例1において
は、5psi の水流速であり、実施例2においては、28
psi の浸入相流速を用いた)。従って、予報的粒子保持
相関関係の作成において、任意の運転条件又は膜特性
(全膜透過性と相関する)を、矛盾しない限り保全性試
験相関において適当な正規化因子として用いることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜の保全性試験値を測定するために実施例1及
び2で用いた装置の図式表示である。
【図2】18、19及び20psi の試験圧力にて実施例
1に従って作成した標準曲線である。
【図3】実施例1に従って作成した標準曲線である。
【図4】実施例2に従って作成した標準曲線である。
【符号の説明】
10 圧力分配容器 12 導管 14 圧力分配容器 16 バルブ 18 導管 20 T型接続 22 圧力変換器 24 導管 26 流速測定装置 28 導管 30 試験用セル 34 受け器

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非破壊的に限外濾過膜を試験して膜の粒
    子保持能力を測定する方法であって、該方法は、 最小寸法か又はもっと大きい寸法の粒子の第1の膜のセ
    ットによる保持の程度と第1の因子との間の標準関係を
    測定し{該第1の因子は、一定の膜貫通圧力で測定した
    前記の膜のセットを通っての第1の浸入液体の流速(該
    膜は前記の浸入液体と不混和性の浸潤液体で濡れてい
    る)の、前記の膜の細孔の殆ど完全な浸入を達成する一
    定の圧力で測定した前記の第1の膜のセットを通っての
    第2の浸入液体の流速に対する比からなる}、 前記の膜試料を前記の浸潤液体で濡らし、 前記の第1及び第2の浸入液体を前記の圧力で前記の膜
    試料を通して通過させて第2の因子を測定し{該第2の
    因子は、前記の一定の膜貫通圧力で測定した前記の膜試
    料を通っての前記の第1の浸入液体の流速(該膜試料は
    前記の浸入液体と不混和性の浸潤液体で濡れている)
    の、前記の膜試料の細孔の殆ど完全な浸入を達成する前
    記の一定の膜貫通圧力で測定した前記の膜試料を通って
    の前記の第2の浸入液体の流速に対する比からなる}、 前記の第2の因子比を前記の標準関係と比較し、それに
    より、前記の膜試料による最小寸法か又はもっと大きい
    寸法の前記の粒子の保持の程度を測定することを含み、 前記の浸潤液体及び前記の浸入液体は前記の膜に対して
    非破壊的であり、且つ、 前記の膜貫通圧力及び前記の膜貫通流速は前記の膜に対
    して非破壊的である、上記の方法。
  2. 【請求項2】 前記の測定した流速が直接前記の膜貫通
    圧力を定めることにより確立される、請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 前記の流速を、前記の膜貫通圧力を達成
    するように調節する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の第1の浸入液体及び前記の第2の
    浸入液体が同一である、請求項1、2又は3の何れか1
    つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 第2の浸入液体が水である、請求項1、
    2又は3の何れか1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記の浸入液体が硫酸アンモニウムに富
    み且つポリエチレングリコールに乏しい水であり、本質
    的に、ポリエチレングリコールに富み且つ硫酸アンモニ
    ウムに乏しい水からなる前記の浸潤液体と平衡化され、
    前記の浸入液体が前記の浸潤液体と不混和性である、請
    求項1、2又は3の何れか1つに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記の膜が限外濾過膜である、請求項
    1、2又は3の何れか1つに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記の膜が限外濾過膜として機能する複
    合膜である、請求項1、2又は3の何れか1つに記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 前記の膜が限外濾過膜である、請求項4
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記の膜が限外濾過膜として機能する
    複合膜である、請求項4に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記の膜が限外濾過膜である、請求項
    5に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記の膜が限外濾過膜である、請求項
    6に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記の膜が限外濾過膜として機能する
    複合膜である、請求項5に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記の膜が限外濾過膜として機能する
    複合膜である、請求項6に記載の方法。
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