JP3373307B2 - 限外濾過膜の完全性試験方法 - Google Patents

限外濾過膜の完全性試験方法

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JP3373307B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限外濾過膜の粒子除去
性能確認するために行なわれる完全性試験方法に関す
る。さらに詳しくは、ウイルス除去フィルタ−等の限外
濾過膜の粒子除去性能を低下させる膜中の大きな細孔の
影響を把握し、従来行なわれてきた完全性試験方法に比
較して、迅速に且つ簡便に測定できる限外濾過膜の完全
性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】限外濾過膜の粒子除去性能は、該膜中に
存在する細孔のうち、少量の大きい細孔に主に依存する
と考えられる。従って、粒子除去性能を正確に評価する
には、これらの大きい細孔の特性を把握する必要があ
る。従来、膜に対する粒子除去性能と相関させて、個々
の膜の粒子除去性能を予測する完全性試験として、バブ
ルポイント試験、ディフュージョン試験、プレッシャー
ホールド試験、及びフォワードフロー試験がある。
【0003】バブルポイント試験は、膜を試験液で湿潤
させた後、膜の上流を適切な気体で圧力を徐々に増加さ
せ、膜の下流から気泡が発生するような圧力(バブルポ
イントと呼ぶ)を測定する方法である。膜の細孔を円筒
状と仮定すれば、バブルポイントは、次の(1)式(ラ
プラスの式)の圧力として定義することが出来る。
【0004】
【数1】
【0005】気泡は、膜中に存在する最大細孔から最初
に発生するので、バブルポイントは、最大細孔の指標に
なると考えられる。従って、バブルポイントと粒子除去
性能と相関させることによって、膜の粒子除去性能を予
測するることが可能である。しかしながら、限外濾過膜
の評価に対しては、2つの問題がある。第1に、気液界
面(水−空気)ではかなり大きい界面張力のため、通常
の限外濾過膜でバブルポイントを観察するには、40k
g/cm2の程度の圧力をかける必要がある。従って、
通常の限外濾過膜では、膜が破壊されるか、収縮して間
違った結果をもたらす。第2に、試験する膜の膜面積が
増大すると、湿潤した膜を通して拡散する気体の量も増
大するため、実際のバブルポイントの検出が非常に困難
になる。この問題は、試験液に対して溶解性の低い気体
を使用することによって、最小化することは出来るが、
完全に除去することは出来ない。従って、この試験は、
下記の公開特許公報に述べられているように、事実上
膜面積の小さい精密濾過膜に限定される。
【0006】ディフュージョン試験は、膜を試験液で湿
潤させた後、膜の上流を適切な気体をバブルポイント以
下の一定の圧力に加圧し、その湿潤した膜を通過して下
流に拡散する気体流量を測定する方法である。測定圧力
は、通常バブルポイント以下なので、完全な膜はある一
定の拡散流量を示す。しかしながら、拡散流量は、膜面
積に比例して増大するため、膜面積全体に比べて非常に
少ない大きい孔しかない場合は、流量の増加がほとんど
認められず粒子除去性能に関連する大きい孔の検出がで
きない。従って、ディフュージョン試験では、膜の粒子
除去性能と充分な相関関係が得られない。
【0007】プレッシャーホールド法は、膜を試験液で
湿潤させた後、膜の上流を適切な気体をバブルポイント
以下の一定の圧力に加圧し、次いで気体の加圧を遮断
し、規定時間内の圧力降下を測定する方法である。この
試験もディフュージョン試験同様バブルポイント以下で
測定するため、ディフュージョン試験と同様の問題が生
じる。
【0008】フォワードフロー試験は、膜を試験液で湿
潤させた後、膜の上流を適切な気体で特定の圧力を加
え、その湿潤した膜を通過して流れる気体流量を測定す
る方法である。測定圧力は、通常バブルポイント以上で
あるため、湿潤した膜を通過する拡散流量と測定圧力よ
り低いバブルポイントを示す細孔から気泡として発生す
る流量の和が測定される。従って、限外濾過膜の評価に
対しては、前記のバブルポイント試験の第1の問題点を
克服することは、困難である。
【0009】ところで、限外濾過膜の特性評価や細孔の
孔径分布測定に関する技術としては、下記のものが公知
である。 ”膜の形態及び輸送特性" ,Desalinatio
n,53,11(1985) ”限外濾過膜の直接的多孔質データと特性との相
関”,Proc. Biochem.Int’L,11
1(1990) ”インテグリティー試験の可能な湿潤−乾燥可逆性限
外濾過膜及びその試験方法”特開平6−79149号公
報 ”膜の保全性試験”,特開平6−154567号公報 これら公知の技術では、前記バブルポイント試験等にお
ける気液界面を2つの互いに混和しない液相間の界面に
置き換えられている。この2液相間の界面張力が表面張
力(気液界面の界面張力)に比べて、非常に小さくする
ことができるため、限外濾過膜のような細孔に低圧で選
択的に透過させることが可能となる。
【0010】これら公知の技術のうち及びは、2つ
の互いに混和しない液相のうち、膜に対して親和性の高
い方の液相(湿潤液)で、最初に膜を湿潤させた後、も
う一方の液相(透過液)を規定の流速で膜に送り、生じ
る上流の圧力を測定する方法である。これらの方法は、
バブルポイント試験と同様に最低流速(最低圧)で透過
する最初の細孔は、膜中で最も大きい細孔となる。種々
の透過液流速に相当する上流の圧力と界面張力から、適
切な数式を用いて膜の孔径分布を計算することができ
る。この方法で測定された推定孔径分布と限外濾過膜の
粒子除去性能と相関づけることは可能である。しかし、
これらの方法は、完全な孔径分布を測定するのに2〜3
時間以上かかるという問題点があった。
【0011】また、の技術は、湿潤液で最初に膜を湿
潤させた後、透過液の透過圧力を徐々に増加させ、湿潤
した膜を通過して流れる透過液の流量を測定することに
よって、その流量が急激に上昇する部分の勾配を流量0
に外挿した点KUFを求める方法である。KUFは、粒子除
去性能と相関関係があり、完全性試験として利用するこ
とが可能である。
【0012】さらに、の技術は、所定の孔径に選択的
に透過する液の流量と全ての孔に透過する液量との比の
対数(保全性試験値P)を求める方法である。このP
は、粒子除去性能と相関関係があり、完全性試験として
利用することができる。従って、及びの技術は、
及びのような公知の技術と比較すれば、より迅速に測
定できる限外濾過膜の完全性試験の方法となりうる。し
かしながら、の技術は、KUFを正確に測定するには、
圧力上昇速度を自動で一定に調整する必要があるため、
装置が複雑になる。またの技術は、透過流量の測定を
2回行なう必要があり、操作はかなり煩雑となる問題点
があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
行われてきた完全性試験に比較して、さらに迅速に且つ
簡便に測定でき、粒子除去性能を予測できる限外濾過膜
の完全性試験方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、迅速に測定
できる限外濾過膜の完全性試験方法に関して鋭意研究を
重ねた結果、非常に迅速に且つ簡便に測定できる完全性
試験方法を見いだし、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、湿潤液で濡らした限外濾過膜に湿潤液
と混和しない透過液を一定圧力(保持圧)で透過させた
後、透過液の供給を遮断し、一定時間経過後の圧力低下
値/又は一定圧力(到達圧)まで低下するのに要する時
間を測定することを特徴とする限外濾過膜の完全性試験
方法である。
【0015】本発明において用いる湿潤液及び透過液
は、2つの互いに混和しない液相である。この2つの液
相のうち、一方の液相を湿潤液とし、もう一方の液相を
透過液とした時、透過液の流量が圧力に比例して上昇す
る場合と、湿潤液と透過液を逆の組合せとした時、透過
液がある圧力になるまで膜を透過しない場合とがある。
本発明において用いる湿潤液と透過液の組合せは、後者
の組合せで実施しなければならない。また、(1)式の
関係を利用して、下記の保持圧における特定の孔径以上
の大きさの細孔に透過するよう湿潤液と透過液間の界面
張力を調整することが必要である。さらに、本発明の湿
潤液及び透過液としては、膜及び容器に損傷を与えない
ものであり、毒性が低く、且つ膜から容易に除去できる
液体を使用することが望ましい。湿潤液と透過液を構成
する互いに混和しない液相を得る具体的な方法として
は、イソブタノ−ル/メタノ−ル/水、イソブタノ−ル
/エタノ−ル/水、n−ヘキサン/エタノ−ル/水等と
いった水と2相分離する有機溶媒の組み合わせに双方に
溶解する液体を混合して界面張力を調整する方法、及び
アセトン/水/塩化ナトリウム、アセトニトリル/水/
塩化ナトリウム、イソプロパノ−ル/水/硫酸アンモニ
ウム、ポリエチレングリコ−ル/水/硫酸アンモニウム
等といった水と混和する有機溶媒の組み合わせに塩を溶
解させることによって相分離させる方法等が挙げられ
る。
【0016】本発明において用いる保持圧は、膜の弾性
限界以下が望ましい。保持圧が膜の弾性限界を超えると
膜に不可逆的な膨張が起こり、繰り返し測定の信頼性が
失われる。保持圧は膜の種類等によって異なるが、一般
には10kg/cm2 以下である。本発明において、膜
の粒子除去性能を予測するためには、最初にウィルスの
ような粒子径の判った粒子を含んだ溶液を全体の孔径分
布を変化させた種々の限外濾過膜で濾過し、該膜の粒子
除去性能を決定する。粒子除去性能の指標として、
(2)式で計算される対数除去率Φを求める。
【0017】
【数2】
【0018】次に、全体の孔径分布の変化に対して最も
高い検出力を示す透過液の供給遮断後の時間のΔP1を
決定し、このΔP1とΦの相関曲線を作成する。このと
きΔP1を測定するための一定時間(以下、第1の一定
時間という)は、膜の孔径分布が大きくなる変化に対し
て最も圧力低下の差が大きくなる時間、即ち検出力が最
も高くなるような時間を設定すればよい。第1の一定時
間は保持圧等によって異なるが、一般に0.5〜30分
後、好ましくは2〜10分後が採用できる。この相関曲
線から、ΔP1を測定することによって、膜の粒子除去
性能(Φ)を予測することが可能となる。本発明者らの
検討によれば、ΔP1の測定は、透過液の供給遮断後、
5分程度でもよいことが判明し、従来の完全性試験方法
に比較して、非常に迅速に測定できる完全性試験方法と
なる。
【0019】本発明の完全性試験においては、上記の如
く透過液の供給遮断後一定時間経過後の圧力低下値を測
定する代わりに、透過液の供給遮断後一定圧力(到達
圧)まで低下するのに要する時間(ΔT1)を決定し、
ΔT1とΦの相関曲線を作成し、この相関曲線からΔT
1を測定することによって、膜の粒子除去性能(Φ)を
予測することも可能である。
【0020】ところで、本発明者は、限外濾過膜の粒子
除去性能を低下させる細孔の孔径分布の変化の可能性と
して、大きく分けて下記の2つの場合があることを発見
した。すなわち、第1は、図1に示したように細孔の孔
径分布が全体的に大きくなる場合であり、第2は、図2
に示したように本来の細孔の孔径分布から外れた大きな
孔ができる場合である。
【0021】第1の一定時間経過後の圧力低下値(ΔP
1)によって該膜の粒子除去性能を予測する上記試験方
法は、限外濾過膜の孔径分布が全体的に大きくなる場合
は検出できるが、膜が本来有している細孔の孔径分布か
ら外れた大きい孔が少数しか存在しない場合は、これを
検出できない。従って、後者の大きな孔が存在する可能
性があるときには、上記方法と限外濾過膜が本来有して
いる孔径分布から外れた大きな孔の有無を検出する試験
とを組み合わせる必要がある。
【0022】本発明の限外濾過膜が本来有している孔径
分布から外れた大きな孔の有無を検出する試験として
は、例えば欠陥のない膜の平均的なバブルポイント以下
のある圧力(通常、0.5〜5kg/cm2 )で気体の
発生の有無を検出するテストであるリーク試験や市販の
リ−クテスタ−、例えばエアリ−クテスタ(コスモ計
器)等が使用でき、これらのうち高価な装置を必要とし
ない等の点からリ−ク試験が好ましい。また、リ−クテ
ストの際に用いる液体としては水、エタノ−ル、イソプ
ロパノ−ル等が、気体としては空気、窒素、ヘリウム等
が好ましい。
【0023】更に、本発明者らは、上記第2の孔径分布
の変化を検出すべく鋭意研究を重ねた結果、第2の孔径
分布の変化を検出できることから、その信頼性が著しく
向上した限外濾過膜の完全性試験方法を見いだした。す
なわち、膜が本来有している細孔の孔径分布から外れた
大きい孔が少数しか存在しない場合には、湿潤液で濡ら
した限外濾過膜に湿潤液と混和しない透過液を一定圧力
(保持圧)で透過させた後、透過液の供給を遮断し、一
定時間経過後(以下、第2の一定時間という)の圧力低
下値によって、該膜に粒子除去性能を低下させる本来の
孔径分布から外れた少数の大きな孔が存在するかどうか
を予測することができる。
【0024】湿潤液、透過液及び保持圧は、上記の第1
の一定時間経過後の圧力低下値(ΔP1)によって該膜
の粒子除去性能を予測する上記試験方法と同様にして決
めればよい。膜の粒子除去性能を低下させる本来の孔径
分布から外れた大きな孔が存在するかどうかを予測する
のに必要な第2の一定時間経過後の圧力低下値(ΔP
2)の正常範囲は、正常膜のΔP2を相当数測定するこ
とによって統計的に決めることができる。また、正常膜
に人為的に欠陥を作った膜のΔP2を測定することによ
って、統計的にΔP2に有意差がでるような透過液の供
給遮断後の時間を決定すればよい。このときΔP2を測
定すべき経過時間は保持圧等によって異なるが、一般に
0.5〜120分後、好ましくは2〜60分後が採用で
きる。
【0025】また、上記の如く透過液の供給遮断後一定
時間経過後の圧力低下値を測定する代わりに、透過液の
供給遮断後一定圧力(到達圧)まで低下するのに要する
時間ΔT2を測定する方法も可能である。この時、ΔT
2の正常範囲は正常膜のΔT2を相当数測定することに
よって統計的に決めることができる。また、正常膜に人
為的に欠陥を作った膜のΔT2を測定することによっ
て、統計的にΔT2に有為差がでるように到達圧を決定
すればよい。
【0026】更に、用いる湿潤液、透過液及び保持圧を
同じに設定することによって、ΔP1及びΔP2/又は
ΔT1及びΔT2を一度に測定することができる。これ
によって、孔径分布が全体的に大きくなる場合だけでな
く、本来の膜の孔径分布から外れた少数の大きな孔が存
在する場合も含めて、粒子除去性能を予測することがで
き、簡便で且つ信頼性が著しく向上した限外濾過膜の完
全性試験方法となる。
【0027】本発明の試験方法は湿潤液で粘弾性を示す
限外濾過膜に応用でき、特に中空糸膜の測定として好適
である。
【0028】
【実施例】以下に実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を制限しない。
【0029】
【実施例1】特開平4−371221号公報に記載の方
法を用いて製造した平均孔径14.5nm、16.5n
m、19.0nm、21.0nm、25.5nm、3
0.0nm、及び35.0nmを有する銅アンモニア法
再生セルロース性中空糸膜から膜面積0.03m2のフ
ィルターを製造した。
【0030】次に、牛血清10%を含有するD−MEM
培養液にタイター106.6のポリオウィルス(粒子径2
5nm)を加え、各フィルターに対して90ml濾過し
た後、濾液の濾液のタイターを測定したところ、各々1
0.6、100.7、102.1、103.7、105.0、1
5.6、105.7であった。フィルターの対数除去率Φを
(2)式で求めると、各々Φ=6.0、5.9、4.
5、2.9、1.6、1.0、0.9であった。
【0031】次に、各フィルターのΔP1を測定するた
めに、図3に示したような装置を組み立てた。この実施
例で用いた互いに混和しない2液相は、iso−ブタノ
ール:水:エタノール=30.7:61.3:8.0
(重量比)を混合後平衡状態にして得られるものを用い
た。この2つの液相間の界面張力は、滴重法(「コロイ
ドと界面の科学」第三版、広川書店、64〜66)で測
定し、0.5dyn/cmであった。
【0032】ΔP1の測定手順を下記に示す。まず、2
液相のうちの下層部になる膜素材であるセルロースとの
親和性の高い水豊富相を湿潤液として、図に示した圧
力分配容器に入れる。次に、圧力分配容器に若干の圧力
をかけ、鉗子1及び鉗子2を開けて、膜の上流(中空
部)のエア抜きを行なった。。次に、鉗子2を閉塞し、
膜の下流(膜の外側)に向けて湿潤液の濾過を行ない、
フィルター容器を湿潤液で満たし、鉗子1を閉塞した。
次に、湿潤液の入った圧力分配容器を2液相のうちの上
層部になるiso−ブタノール豊富相(透過液)を入れ
た圧力分配容器に交換した。次に、圧力分配容器に若干
の圧力をかけ、鉗子1及び鉗子2を開けて、膜の上流
(中空部)の液抜きを行なった。このとき、エアの混入
による測定のばらつきを除くために、膜の中空部、フィ
ルター上部の配管、及び圧力トランスミッター内のエア
を完全に除去することが望ましい。次に、鉗子2を閉塞
し、膜の上流の圧力(保持圧)を1kg/cm2に調整
し、膜の状態を安定させるために10分間放置した。次
に、鉗子1を閉塞して、透過液の供給を遮断し、記録計
で圧力の低下を記録した。その圧力低下の結果を図4に
示す。その結果、透過液の供給遮断後約5分の圧力低下
の値が、膜の孔径分布の変化に対して、最も検出力が高
いことが判った。これより、透過液供給遮断後5分の圧
力低下をΔP1とし、これと前記の対数除去率Φとの相
関関係を図5に示した。従って、限外濾過膜のΔP1を
測定することにより、ポリオウィルスの除去性能を予測
できる。
【0033】また、図4において透過液供給遮断後0.
7kg/cm2 まで低下するのに要する時間をΔT1と
し、これと前記対数除去率Φとの相関関係を図6に示し
た。従って、限外濾過膜のΔT1を測定することによ
り、ポリオウィルスの除去性能を予測できる。
【0034】
【実施例2】また、同様に特開平4−371221号公
報に記載の方法で、平均孔径14.5nmを有する銅ア
ンモニア法再生セルロース性多孔性膜から、膜面積1.
0m 2のフィルターを10本製造した(正常フィルター
とする)。次に同様のフィルターの一部に約6μmの孔
の開いた(6μmの孔は、水中でのリークテストで0.
5kg/cm2の圧力をかけたとき気泡が連続的に発生
したことから、(1)式により推定した。欠陥フィルタ
ーとする)。
【0035】次にΔP2を測定するために、図3に示し
た装置を組み立て、実施例1と同様の方法で、透過液遮
断後の圧力低下を測定した。その圧力低下の結果を表1
に示す。透過液の供給遮断後、約40分で正常フィルタ
ーと欠陥フィルターとは有意差が認められる。上記欠陥
フィルターように望ましくない大きな孔が存在すると、
前記ΔP1とと対数除去率Φとの相関関係が成立しない
ことから、大きな孔のより確実な検知方法が必要とな
る。そのために測定時間を長く取ることによって、もう
少し小さい孔でも確実に検知することできるようにな
る。例えば、この実施例2のデータから透過液供給遮断
後60分の圧力低下をΔP2として、正常フィルターの
平均値±3×標準偏差を基準範囲とすれば、ほぼ確実に
本来の孔径分布から外れた少数の大きな孔が存在する場
合でも検知可能である。
【0036】また、透過液の供給遮断後、種々の圧力
(到達圧)まで低下するのに要する時間(分)の結果を
表2に示す。約0.3kg/mm2 まで低下するのに要
する時間で正常フィルタ−と欠陥フィルタ−とは有意差
が認められる。上記のように大きな孔をより確実に検知
するには到達圧をより低くすればよい。例えば、この実
施例2のデ−タから到達圧0.2kg/mm2 まで低下
するのに要する時間をΔT2として正常フィルタ−の平
均値±3×標準偏差を基準範囲とすれば、ほぼ確実に本
来の孔径分布から外れた少数の大きな孔が存在する場合
でも検知可能である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の限外濾過膜の完全性試験方法
は、迅速で且つ簡便に粒子除去性能を予測できる。さら
に、限外濾過膜の本来の孔径分布から外れた大きい孔の
存在の有無を検知できる試験と組み合わせることによ
り、完全性試験の信頼性が非常に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】限外濾過膜の細孔の孔径分布が全体的に大きく
なる場合の孔径分布の変化の模式図である。
【図2】限外濾過膜の本来の細孔の孔径分布から外れた
大きな孔ができる場合の孔径分布の変化の模式図であ
る。
【図3】本発明の測定装置の概念図である。
【図4】実施例1の実験結果で、透過液の供給遮断後の
時間と圧力低下の関係を示すグラフである。
【図5】実施例1の実験結果で、透過液遮断後5分のΔ
P1とポリオウィルスの除去率(Φv )との相関関係を
示すグラフである。
【図6】実施例1の実験結果で、透過液の供給遮断後
0.7kg/cm2 まで低下するのに要する時間とポリ
オウィルスの除去率(Φv )との相関関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 圧力トランスミッター 2 記録計 3 鉗子1 4 鉗子2 5 排液受け 6 圧力分配容器 7 圧力計 8 圧力調整弁 9 圧縮空気 10 限外濾過膜フィルター 11 シリコンゴム栓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−178925(JP,A) 特開 平4−348252(JP,A) 特開 平7−132215(JP,A) 特開 平6−79149(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 15/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤液で濡らした限外濾過膜に湿潤液と
    混和しない透過液を一定圧力(保持圧)で透過させた
    後、透過液の供給を遮断し、一定時間経過後の圧力低下
    値/又は一定圧力(到達圧)まで低下するのに要する時
    間を測定することを特徴とする限外濾過膜の完全性試験
    方法。
  2. 【請求項2】 透過液の供給を遮断した後0.5〜30
    分経過後の圧力低下値ΔP1を測定することによって膜
    の粒子除去性能を予測する請求項1記載の限外濾過膜の
    完全性試験方法。
  3. 【請求項3】 限外濾過膜が本来有している孔径分布か
    ら外れた大きな孔の有無を検出する試験を併用する請求
    項2記載の限外濾過膜の完全性試験方法。
  4. 【請求項4】 透過液の供給を遮断した後0.5〜12
    0分経過後の圧力低下値ΔP2を測定することによって
    該膜に粒子除去性能を低下させる本来の孔径分布から外
    れた少数の大きな孔が存在するかどうかを予測する請求
    項1記載の限外濾過膜の完全性試験方法。
  5. 【請求項5】 透過液の供給を遮断した後0.5〜30
    分経過後の圧力低下値ΔP1を測定することによって膜
    の粒子除去性能を予測する試験と、透過液の供給を遮断
    した後0.5〜120分経過後の圧力低下値ΔP2を測
    定することによって該膜に粒子除去性能を低下させる本
    来の孔径分布から外れた少数の大きな孔が存在するかど
    うかを予測する試験とを行う請求項1記載の限外濾過膜
    の完全性試験方法。
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