JP3153829B2 - 高分子膜モジュールのウィルス除去性能の新規な評価方法 - Google Patents

高分子膜モジュールのウィルス除去性能の新規な評価方法

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JP3153829B2 JP14574392A JP14574392A JP3153829B2 JP 3153829 B2 JP3153829 B2 JP 3153829B2 JP 14574392 A JP14574392 A JP 14574392A JP 14574392 A JP14574392 A JP 14574392A JP 3153829 B2 JP3153829 B2 JP 3153829B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウィルス除去を目的と
して作られた高分子膜モジュールの、ウィルス除去性能
を検査するための検査方法に関する。さらに詳しくは、
血漿や血漿分画製剤、あるいは細胞培養培地、バイオ医
薬品等の蛋白質共存溶液をはじめとする、ウィルスが混
入する可能性のある溶液から、ウィルスないしウィルス
よりも大きさの大きい微生物等、特にその増殖に際し、
宿主細胞が必須である微生物等を除去するために用いら
れる高分子膜モジュールの、ウィルス除去性能を検査す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子膜による物質分離の技術の発達は
近年目覚ましく、またその応用分野もけ極めて広範囲に
及んでいる。高分子膜による物質分離の原理的なメカニ
ズムには、膜の微細な孔による物質の大きさのみに依存
した分離メカニズムだけでなく、膜と物質との種々の物
理的・化学的相互作用(たとえば吸着)を利用した分離
メカニズムも存在する。
【0003】そうした中で、大きさによりウィルスを分
離除去する技術についても、いくつかの高分子膜を用い
た試みがなされている。ウィルス除去用高分子膜、該高
分子膜を用いたモジュール、及び該高分子膜モジュール
によるウィルス除去方法についてはいくつかの特許が出
されている。たとえば、ポリオレフィン膜を用いたもの
として、特開昭60−142860号公報、特開昭60
−142861号公報、特開昭61−168367号公
報等があり、再生セルロース膜を用いたものとしては、
USP No.4,808,315、USP No.
4,857,196、特開昭61−254202号公
報、特開昭61−274707号公報等が知られてい
る。また、リン酸カルシウムを主成分とする多孔体を用
いる、特開昭62−266072号公報のような例もあ
る。
【0004】これらの高分子膜に開孔した微細な孔によ
り物質分離を行なう上で、その孔の測定技術は極めて重
要な役割を担っている。従って従来から、その孔の大き
さの測定方法は数多く知られているが、いずれの方法も
ウィルスの除去性能の検査方法としては、充分ではな
い。すなわち、水銀圧入法による孔径測定は、ミクロン
オーダー以下の孔径の測定のためには、極めて高い圧力
を必要とし、膜にダメージを与える恐れがあるため適当
でない。
【0005】また、水中でのバブルポイントの測定も、
ウィルス除去を目的とする高分子膜のように、孔径が1
00nm(=0.1μm)以下であるような膜の場合に
は、やはり30(kg/cm2 )以上の高圧を必要と
し、検査中に膜にダメージを与える恐れがあるため適当
とはいえない。さらに、電子顕微鏡により、直接孔の大
きさを拡大して見る方法は、直接的に孔の大きさを精度
よく測定できる点で優れているが、大きな欠点として、 小さな孔を拡大すればするほど、膜表面全体の極め
て一部分のみを見ていることになる。 の欠点を補うために、通常は一つのサンプルから
場所をかえて、多数の電子顕微鏡写真を撮って測定する
が、極めて作業が煩雑なうえに、全体を見る点では他の
方法に比べて劣る。 等があり、日常の生産管理の現場では使えない。
【0006】これに対して、日常的に生産管理の場面で
比較的使われている方法としては、高分子膜を通過する
水の透過量を測定して、その値から膜全体としての平均
的な孔径を求める方法があるが、この方法では膜の孔径
の平均値は求められても、孔径の分布のバラツキを知る
ことができず、従って物質除去の際に問題となる、平均
値よりもどのくらい大きな孔が、どれだけ存在するかを
知ることができないために、不充分である。
【0007】ところで、従来から知られているように、
細菌等を除去するための除菌フィルターの分野では、除
菌性能を調べるための検査方法として、インティグリテ
ィ・テストと呼ばれるいくつかの方法が開発され、実用
化されている。それらの主なものとしては、先に述べた
バブルポイントを測定する方法の他に、気体の液体中へ
の拡散速度を調べるティフュージョン法等があり、測定
の仕方として、気体の流量を定量的に調べるフォワード
・フロー法、および適当な圧力で気体の供給をストップ
させ、圧力の低下量から間接的に孔の大きさを知るプレ
ッシャー・ホールド法等がある。(Pall社発行の、
Wayne Pauli著“Field experi
ence in testing membranef
ilter integrity by the fo
rward flowtest method”を参
照)すなわちこれらを大きく大別すると、気泡の発生す
る圧力で検査する方法と、気泡の発生が無視できる圧力
で、気体の液体中への拡散の速さにより検査する方法と
に分けられるが、実用的には、検査すべき膜の孔構造、
均一性、膜の強度、製造方法等から考えて、もっとも適
した方法が選択されている。
【0008】しかし、これらの除菌フィルターの分野で
実施されている検査方法は、いずれも検査に用いる液体
として、水を使用しており、通常の除菌フィルターの最
大孔径である、0.5μm以上の最大孔径を有するフィ
ルターの検査方法としては使用できるが、ウィルス除去
を目的とした高分子膜モジュールの検査方法としては、
その検査圧力が高くなりすぎるため使用できない。(ウ
ィルス除去を目的とした高分子膜の最大孔径は少なくと
も0.25μm以下である。) 従って、これら除菌フィルター分野で実施されている検
査方法とは異なる、ウィルス除去を目的とする高分子膜
モジュールの検査方法の開発が必要であった。
【0009】また、除菌フィルターの分野では、評価お
よびインティグリティ・テストという二重検査方式が導
入された。すなわち、除菌フィルターメーカーは、自ら
のフィルターの除菌性能の検査方法の開発(これまで述
べた方法)と同時に、実際に除菌フィルターを使用する
ユーザーに対しても、そのフィルターの除菌性能の検査
方法を提供し、フィルターの使用前、および使用後に、
その検査により除菌性能がチェックできるようにするこ
とが必須となってきた。
【0010】メーカー側の検査と、ユーザー側の検査と
を効果的に組み合わせた検査方式の開発は、ウィルス除
去を目的とする高分子膜モジュールの開発が今後盛んに
なり、ユーザーに実用化されていくうえでは必須のもの
である。単にメーカー側としてのウィルス除去性能の検
査方法の開発のみに止まらず、ユーザー側での高分子膜
モジュールの、使用前、および又は使用後のウィルス除
去性能が所望のレベルを有しているかどうかを確認する
方法までを含めた、体系的な高分子膜モジュールのウィ
ルス除去性能の検査方法の開発が必要であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術で
は達成できない、ウィルス除去を目的とする高分子膜モ
ジュールのウィルス除去性能を検査・選択する検査方法
を提供する。また、上記方法すなわちウィルス除去を目
的とする高分子膜モジュールのウィルス除去性能を検査
・選択する検査方法に続いて、該モジュールのウィルス
除去性能が所望のレベルを維持しているかどうかを確認
する検査方法を実施することを特徴とする、ウィルス除
去性能の評価方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点を解決するため、種々の検査方式、検査条件、検査
回数と検査にともなう膜構造の変化の有無との関係等を
検討することにより、本発明に至った。驚いたことに、
この目的は、高分子膜よりなる高分子膜モジュールの、
該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不活性
な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対して化
学的に不活性な気体を供給して、あらかじめ、該高分子
膜の種類により定められた膜間差圧力Phまで加圧し、
その圧力に達した時点で該気体の供給を止め、あらかじ
め定められた時間での圧力低下量を測定するという、本
発明の特殊なプレッシャーホールド法を用いることによ
り、達成された。
【0013】ここでPhとは、図1において示されてい
る膜間差圧力の値(d)と、膜間差圧力の値(c)とか
ら、次式で表される、あらかじめ定められている圧力の
値である。 (d) < Ph < (c) 望ましくは高分子膜よりなる高分子膜モジュールの、該
高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不活性な
液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対して化学
的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあらかじめ
設定された膜間差圧力の値Phで、気体の供給を止め、
一定時間放置後の圧力低下量を測定すること(以下、検
査1と称する)に続いてモジュールのウィルス除去性能
が所望のレベルを維持しているかどうかを確認するため
の検査方法(以下、検査2と称する)を実施することに
より、ウィルス除去性能の、二重検査方式による評価方
法として達成される。
【0014】なお、本発明において、高分子膜として
は、中空糸状、平膜状、チューブ状等、種々の形状が可
能であるが、モジュールにしたときの大きさの割に濾過
膜面積が大きくできる点で、中空糸状が望ましい。ま
た、該高分子膜から構成されるモジュールの形状として
は、積層タイプ、プリーツタイプ、中空糸の両端をポッ
ティング剤等で固定した、人工腎臓タイプ等のあらゆる
形状のものが適用できる。
【0015】さらに、本発明において、適用される高分
子膜の素材としては、特に限定されるものではなく、有
機高分子、無機高分子のいずれであってもよい。すなわ
ち、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル等の縮合
系高分子、セルロース誘導体、銅アンモニア法セルロー
ス、ビスコース法レーヨン、アセチル化セルロース等の
セルロース誘導体からのケン化等の処理による再生セル
ロース、天然高分子等の有機高分子、および、ガラス、
セラミックをはじめとする無機高分子等のあらゆる素材
が適用される。
【0016】中でも、蛋白質の透過性に優れ、人工腎臓
などで実績のある銅アンモニア法セルロースは、好適な
素材である。本発明において、該高分子膜は、ウィルス
除去に適用できる大きさの孔を有する多孔質膜でなけれ
ばならない。本発明の評価方法の特徴は以下のように整
理できる。
【0017】まず第一の特徴は、検査1が、この検査を
高分子膜モジュールについて実施し、ある特定された値
以下の圧力低下量のモジュールのみを選択することによ
り、検査1によって選択された該高分子膜モジュール
の、目的とするウィルスの除去性能が、あらかじめ設定
されたレベル以上であるようなモジュールのみを選択す
ることができるような、新規なウィルス除去性能の非破
壊検査方法である点にある。
【0018】本発明の、検査1とは例えば次のようなス
テップからなる方法である。(1)高分子膜よりなる高
分子膜モジュールの、該高分子膜の片側を該高分子膜に
対して化学的に不活性な液体で満たし、(2)膜の反対
側から該高分子膜に対して化学的に不活性な気体を供給
して、(3)膜間差圧力が、図1で示される膜間差圧力
の値(d)及び(c)に対して、次式の関係を満たすよ
うにあらかじめ定められたPhの値に達したときに該気
体の供給を止め、 (d) < Ph < (c) (4)放置して該高分子膜モジュールの膜間差圧力を低
下させ、(5)あらかじめ定められた、気体の供給を止
めてから一定時間経過後の、Phの値からの圧力低下量
を測定し、(6)測定された圧力低下量の値が、あるウ
ィルス除去性能との関係からあらかじめ定められた値に
比べて大きいか小さいかを調べ、(7)そのあらかじめ
定められた値に比べて小さいか、同じ値のモジュールの
みを合格とし、(8)その合格したモジュールのみを選
択することにより、ウィルス除去性能がある一定レベル
以上のモジュールのみを選択する。
【0019】本発明において、定常的に実施するウィル
ス除去性能がある一定のレベル以上の該高分子膜モジュ
ールの選択方法は、以上のとおりであるが、この選択方
法の検査条件と、合格か不合格かの判定の基準とする値
とは、別途あらかじめ定めておく必要がある。それはそ
れぞれ次の様にして定める。選択方法の検査条件の決定
は、例えば次のように行なう。 (1)まず、作るべきモジュールの目標とする平均孔径
を定め、その目標平均孔径の中空糸の製造条件を定め
る。
【0020】その製造条件においては、中空糸の形態・
内径・膜厚等は実質的に一定の範囲になるように管理さ
れ、規格により制限されている。 (2)次に、その中空糸の製造条件で製造される中空糸
ロットの平均孔径、及び最大孔径を制限するためのバブ
ルポイントの規格の範囲を決める。 (3)その条件で製造された、規格に合格している中空
糸を用いて高分子膜モジュールを作成する。 (4)一方で、本発明の特殊なプレッシャーホールド法
に使用する、液体及び気体を決める。 (5)(3)で作成したモジュールを用いて、該モジュ
ールの高分子膜の片側を(4)で選んだ液体で満たし、
膜の反対側から該気体を供給して、図1の膜間差圧力〜
気体供給速度曲線を描く。 (6)少なくともn=3以上のモジュールについて、
(5)のグラフを書き、 その3つの以上のグラフのそれぞれについて、あと
で述べる方法で直線(a)、(b)を書き、点(c)、
(d)を求めて、それを平均するか、 その3つ以上のグラフの中で平均的なグラフを選ん
でそのグラフについて、直線(a)、(b)を書き、点
(c)、(d)を求める。
【0021】等の方法で、求めた圧力低下量の値(c)
及び(d)から、次式を満たす適当な値Phを決める。 (d) < Ph < (c) (7)次に、(3)で作成したモジュールの少なくとも
10本以上を用いて、60秒以内の時間を数点決めて、
先に述べた本発明の検査1の(1)〜(5)の方法でP
hに達してからの圧力低下量を測定する。 (8)最後に、同じモジュールで、(5)の要領で、図
1のグラフを書き、(c)点の膜間差圧力を求める。 (9)その結果を用いて、次のような判断基準で、適切
な圧力低下量の測定時間を決める。
【0022】 同じ時間で同じモジュールを繰り返し
測定したときに、測定値のバラツキが少なく再現性が良
いこと。 (8)で求めた(c)点での膜間差圧力の値と、
(7)で求めた圧力低下量の値とが、よく対応している
測定時間であること。すなわち、第一のモジュールと第
二のモジュールとで、第一のモジュールの方が、(c)
点での膜間差圧力が高ければ、圧力低下量は第一のモジ
ュールの方が常に低くなるという対応がよくとれている
条件であること。
【0023】 、の条件を満たす時間のなかで短
い方の時間を選ぶこと。その理由は、測定時間が長くな
ると、相対的に、最大孔径付近の孔からの気泡の発生だ
けでなく、気体と液体との界面からの拡散の影響の割合
が大きくなるため、好ましくない。なお、このようにし
て,一度決めた、Ph及びPhに達してからの圧力低下
量を測定する時間は、(1)、(2)の中空糸の製造条
件、及び中空糸の平均孔径、バブルポイントの規格が変
わらないかぎり、常にその値を用いることができる。
【0024】概念的には、直線(a)は該高分子膜の気
体と液体との界面からの、気体の液体中への溶解拡散に
よる膜間差圧力〜気体供給速度の関係を表しており、直
線(b)は該高分子膜の気体と液体の界面からの、気泡
の発生を示す曲線から導かれるもので、該モジュールに
存在する高分子膜中の孔径の分布の平均的な値と、相関
がある。また、圧力(c)は直線(a)と(b)との交
点として定義される値であり、圧力(d)は具体的に
は、該モジュールを構成する高分子膜中のもっとも大き
な孔径の孔から最初に気泡が発生するときの圧力を示し
ていると考えられる。
【0025】また、本発明の方法において、モジュール
を選択する基準となる圧力低下量の限界値は、次の様に
して決められる。すなわち、まず除去すべき目的とする
大きさの分かっているウィルスを決める。また、そのウ
ィルスの除去すべきレベルを、下式で定義されるウィル
ス対数阻止係数Φの値で決める。
【0026】Φ=log(No /Nf ) (No :濾過前の元液中のウィルス濃度、 Nf :濾液中のウィルス濃度) 次に、該ウィルスを除去するために適用すべき高分子膜
モジュールの、該高分子膜の平均孔径の大きさを決め
る。通常は、当然ながらこの平均孔径の大きさは、目的
とするウィルスの大きさと同等か、またはより小さい値
であることが必要である。しかし、このウィルスの大き
さと平均孔径の大きさとの関係は、必ずしも絶対的なも
のではなく、一般的にはウィルスの大きさを求めるため
に用いられる方法と、平均孔径を求めるために用いられ
る先に述べたような方法とは、同じ方法ではないため、
厳密な大きさの値としては、相互にずれがあることが考
えられ、従ってウィルスの大きさと平均孔径の大きさと
の関係は、あくまでもひとつの目安である。
【0027】このようにして、適用する高分子膜モジュ
ールの、該高分子膜の平均孔径を決め、先に述べたよう
な方法により、該高分子膜モジュールの平均的な、膜間
差圧力〜気体供給速度曲線から、Ph値を定め、その他
の必要な測定のための条件を設定すれば、目的とするウ
ィルスの、目的とするウィルス対数阻止係数Φの値を得
るための、圧力低下量の限界値(上限値)を決定するこ
とができる。
【0028】たとえば、表面張力が15.0(dyne
/cm)のパーフロロカーボンを液体に用い、窒素ガス
を気体として用いて、少なくともn=20本以上の該高
分子膜モジュールの中空糸の内側から加圧し、それぞれ
の目的により定められた圧力Phで窒素の供給を止め、
15秒経過後の圧力低下量を測定する方法を用いれば、
目的とするウィルスの大きさ、目的とするウィルス対数
阻止係数の値Φ:適用する高分子膜の平均孔径の組合せ
により、下記のように圧力低下量の限界値(上限値)を
決定することができるのである。
【0029】たとえば、目標とする平均孔径が35nm
である、高分子膜を用いて作った、すくなくともn=2
0本以上の、膜面積が0.03m2 の高分子膜モジュー
ルについて、先にのべたPhの値を8.0(kg/cm
2 )として、15秒間での圧力低下量を測定し、(その
際に圧力低下量を大きくばらつかせるためには、場合に
よっては意図的に、別の製造条件で作られる平均孔径の
大きな−たとえば75nm程度の平均孔径の−中空糸を
わずかに添加して、高分子膜モジュールを作ることもあ
る)次に、それらのモジュールについて、ウィルスの大
きさが45nm前後である日本脳炎ウィルス(JEV)
の入った液体を濾過して、ウィルスの除去性能を調べ
る。その結果を、グラフ化すると、図3の様になる。た
とえば、日本脳炎ウィルスのウィルス対数阻止係数Φの
値で、4.5以上であるようなモジュールのみを選択し
たいとすれば、グラフから圧力低下量の値で2.5(k
g/cm2 )以下にすればよく、圧力低下量の限界値
(上限値)は、2.5(kg/cm2 )に、設定され
る。
【0030】また、別の例としては、ウィルスの大きさ
が100nm前後である後天性免疫不全症候群(AID
S)ウィルス(HIV)の除去性能を、ウィルス対数阻
止係数Φの値で、5.0以上とするためには、75nm
の平均孔径の高分子膜を用いて、膜面積が0.01m2
の高分子膜モジュールを作り、先に述べたPhの値を
4.0(kg/cm2 )として、15秒間での圧力低下
量を測定したときに、圧力低下量の限界値(上限値)
は、1.5(kg/cm2 )に、設定される。
【0031】このようにして、一度、目的とするウィル
ス、目標とする該ウィルスのウィルス対数阻止係数の値
で表した除去性能のレベルを定め、適切な高分子膜の平
均孔径を設定し、Phの値を設定して、圧力低下量とウ
ィルス対数阻止係数との関係を測定で求め、圧力低下量
の限界値(上限値)を設定すれば、その後は、圧力低下
量がその限界値以下であるような、該高分子膜モジュー
ルのみを選択することにより、実質的に目的とするウィ
ルス、目標とする該ウィルスのウィルス対数阻止係数の
値が一定の値以上であるような高分子膜モジュールのみ
が選択されていることになるのである。
【0032】ここで注意すべき点は、除菌フィルターで
は、細菌が宿主細胞を必要とせず自己増殖が可能である
ため、性能の検査時、対象とする濾液中には細菌が実質
的に存在してはならない。一方、ウィルス除去フィルタ
ーの場合には、ウィルスが自己増殖性がないため、多く
の除去方法を多数組み合わせることが可能であり、その
ためウィルス除去性能としての要求は、先に示したウィ
ルス対数阻止係数Φの、一定値以上という表現で示され
る。
【0033】したがって、ウィルス除去性能の検査方法
は、いずれもこのΦの絶対値と相関性の強い物性値を測
定していることが必須である。理論的には、このような
相互の関係は、ある程度一定の製造方法で作られた高分
子膜を使用した場合に、より精度よく成立すると考える
ことができ、従って、該高分子膜の膜構造は、いくつか
の指標により限定されていることが望ましい。
【0034】また、実質的にも、あらかじめ、該高分子
膜モジュールを構成すべき高分子膜を選択せずにモジュ
ールを作成し、作成された該高分子膜モジュールのすべ
てについて本発明の方法を適用して、圧力低下量の値
で、選択するよりも、あらかじめ該高分子膜の段階で、
いくつかの指標により膜構造を限定し、一定の範囲の膜
構造を有する高分子膜のロットのみを選択する方法が、
通常より望ましい方法である。
【0035】このような観点から、この方法を用いるこ
とにより、ウィルス除去性能を精度よく特定した値以上
に保つためには、該高分子膜の膜構造、すなわち該高分
子膜の平均的な孔径分布がある一定の範囲に保たれてい
ることがより望ましいと考えられる。そのためには実質
的には、平均孔径、および最大孔径が特定された範囲内
にある高分子膜の製造バッチのみを選定し、かつ、この
高分子膜で構成されたモジュールにおいて上記方法で測
定される圧力低下量が、一定の範囲のモジュールのみを
選択する方法がより望ましい方法である。
【0036】高分子膜としての平均孔径は、通常は膜を
通過する水の透過量から求める方法により、下式により
求められる。
【0037】
【数1】
【0038】ただし、ここで、vは水の透過量(ml/
min)、tは該高分子膜の膜厚(μm)、μは水の粘
度(cp)、ΔPは水の透過量測定時の膜間差圧力(m
mHg)、Aは該高分子膜の有効表面膜(m2 )、αは
該高分子膜の空孔率(%)を表している。しかし、他の
方法(たとえば、電子顕微鏡により直接孔径を測定する
方法等)によって求めることを妨げるものではない。
【0039】高分子膜としての最大孔径は、高分子膜自
体のバブルポイントを測定することにより、通常は求め
られるが、他の方法により求めることもできる。バブル
ポイントの測定は、たとえばASTM−F316−80
に記載されている方法を用いて行い、最大孔径の推定
は、下式により行なうことができる。
【0040】
【数2】
【0041】ただし、ここで、τは測定に使用した液体
の表面張力(dyne/cm)、θは接触角、Pはバブ
リングポイントの圧力(kg/cm2 )を示している。
これらの方法によって、平均孔径、最大孔径を求め、そ
の範囲を限定することにより、高分子膜自体の平均的な
孔径分布を、一定の範囲に限定することができる。
【0042】かくして選定された、平均的な孔径分布の
限定された、該高分子膜を用いて作られたモジュールの
一本ずつについて、非破壊で全数検査を実施することに
より、ウィルス除去性能と相関性のある、上記の方法で
測定される圧力低下量が、ある特定された範囲内にある
モジュールを選択することにより、検査1の実施後のモ
ジュールのウィルス除去性能を、特定した値以上に保つ
ことが可能となる。この具体的な例については、後述の
実施例に示すとおりである。
【0043】検査1の、非破壊の、圧力低下量の具体的
な測定方法としては、たとえば以下に示す条件で実施す
る特殊なプレッシャー・ホールド法が好ましい。すなわ
ち、該高分子膜の片側を満たす液体の、表面張力は25
(dyne/cm)以下が望ましく、膜の反対側から加
圧する気体は、該液体中への溶解度が、オストワルド溶
解度係数で1.0(cm3 −気体/cm3 −液体)以下
であるような気体が望ましい。また、気体の供給を止め
て圧力低下量を測定する時間は、60秒以内の短時間が
望ましい。
【0044】この方法により、水の表面張力である70
〜75(dyne/cm)に比較して、1/3の25
(dyne/cm)以下の表面張力の液体を使用するこ
とにより、水の場合の1/3以下の圧力で測定できるこ
ととなり、たとえば100nmの最大孔径を有する高分
子膜モジュールの気泡の発生する圧力を、水の場合の約
30(kg/cm2 )から、10(kg/cm2)以下
に下げることができる。
【0045】気泡発生圧力を下げたとはいえ、極めて微
細な孔からなる高分子膜の、孔構造の拡大・破壊を避け
るためには、明確に気泡の発生が認められる圧力まで加
圧を行なうバブルポイント等の方法よりも、本発明の特
殊なプレッシャー・ホールド法を用いるほうが、より望
ましいと考えられる。具体的には、従来のプレッシャー
・ホールド法が、通常は気泡の発生し始める圧力よりも
低い圧力で、気体の液体中への溶解拡散量を主に測定す
る方法であったのに対して、より望ましい方法として
は、例えば最初に気泡が発生し始める圧力以上の圧力で
昇圧を止め、60秒以内の短時間での圧力低下を測定す
ることにより、実質的に気体の液体中への拡散による圧
力低下の影響を小さくして、該高分子膜モジュールの最
大孔径を測定する方法が、より有効である。
【0046】このような方法により選択された、圧力低
下量が一定の値以下であるモジュールは、ウィルス除去
性能が特定された値以上であることは、後述の実施例を
示すとおりである。本発明の第二の特徴は、検査2を適
用した場合、本発明の検査1の圧力低下量を測定する方
法が、ウィルス除去性能を極めて良く反映できる方法で
あるため、従来の除菌フィルターの場合には、使用時に
も厳密に行なっていた、ウィルス除去性能が維持されて
いるかどうかの検査を、検査1を併用することによっ
て、そのモジュールの使用時までの間に、膜になんらか
の損傷が与えられたかどうかを確認する(検査2)だけ
で、使用時においてもウィルス除去性能が維持されてい
ることが、実質的に確かめられる点にある。
【0047】もちろん、本発明において、検査1を実施
することは必須条件であり、この検査を実施することに
より、その検査時点でのウィルス除去性能は、例外なく
特定した値以上に保たれる。従って、その後、該高分子
膜モジュールが、実質的に該高分子膜に何らの損傷も受
けなければ、確実に使用時においても、そのウィルス除
去性能が発揮される。
【0048】しかし、もしも検査1を実施した後におい
て、該高分子膜モジュールが、実質的に該高分子膜に何
らの損傷も受けていないことを、完全には保証できない
場合には、検査1に続いて、該高分子膜モジュールが、
実質的に該高分子膜に何らの損傷も受けていないこと
を、確認する方法(検査2)を併用するほうが、より望
ましい。
【0049】この場合、検査2の方法は、通常は、該高
分子膜の最大孔径や、平均孔径がどの程度変化したかを
厳密に調べる必要はなく、膜が損傷を受けたかどうかを
調べるだけで足りる。すなわち、検査1を実施後使用す
るまでの間に、物理的な衝撃や、凍結・高熱等の温度変
化、使用時の無理な圧力等により、膜が損傷を受けたが
どうかを調べれば良く、たとえば簡便な「リーク検査」
のような方法で十分である。
【0050】検査2に供されるモジュールはすべて例外
なく、検査1の非破壊検査が実施されていることが重要
である。すでに説明したとおり検査1は、非破壊検査で
あることが不可欠であり、この非破壊検査を該モジュー
ルのすべてに実施することにより、該モジュールの少な
くとも商品としての出荷時のウィルス除去性能が、一定
の管理幅内に存在することが実証される。
【0051】一方、検査2の役割は、検査1の後で、通
常は使用前または、使用後において、該モジュールのウ
ィルス除去性能が、検査1の実施時点に比べて実質的に
低下していないことを、膜の損傷の有無によって確認す
る点にある。本発明者等は、先に述べたように、圧力低
下量を測定する検査1の方法が、ウィルス除去性能を極
めて良く反映できる方法であるならば、そのモジュール
が使用時までの間に、膜になんらかの損傷が与えられた
かどうかを確認することにより、使用時においてもウィ
ルス除去性能が維持されていることが確かめられると考
え、使用時に該モジュールの膜の損傷の有無を調べる方
法を提供する。
【0052】その一つとはいわゆる「リーク検査」であ
り、確認すべきウィルス除去性能から考えて、ありえな
い程度の低い圧力(たとえば、水中で0.1(kg/c
2 )以上、2.0(kg/cm2 )以下の圧力での
「リーク検査」)での気泡の発生の有無を調べる方法で
ある。他の一つの方法は、孔の拡大・損傷により、気泡
の発生はなくとも水中への気体の拡散量が増加していな
いかどうかを調べる方法である。具体的には、「リーク
検査」と同様に、確認すべきウィルスの除去性能から考
えて、ありえない程度の低い圧力(たとえは水中で0.
1(kg/cm2 )以上、2.0(kg/cm2 )以下の
圧力)まで、加圧して気体の供給を止め、一定時間での
圧力の低下量を測定する方法である。通常は前者の方法
で充分である。
【0053】しかし、それでもさらにウィルスの除去性
能のレベルを確かめる必要がある場合には、使用後の破
壊検査方法として、本発明者等は、ウィルス代替モデル
物質の除去性能の検査方法を提供する。すなわち、ウィ
ルスの粒子径に近い粒子径をもち、しかも粒子径分布が
シャープな、ウィルス代替モデル物質を含む水分散液を
濾過することにより、間接的にウィルス除去性能を把握
しようとする方法である。
【0054】このような目的のために使用できるウィル
ス代替モデル物質の例としては、金コロイド粒子や、ポ
リスチレン・ラテックスの微粒子などがあるが、その粒
子径がウィルスの大きさに近く、粒子径分布がシャープ
なものが望ましく、他の代替物質も使用できる。ウィル
ス代替モデル物質を用いて、間接的にウィルス除去性能
を把握する方法は、たとえば次のような方法である。
【0055】先に述べたように、35nmの高分子膜を
用いて作成した、0.03m2 の膜面積の高分子膜モジ
ュールでJEVの除去性能を、ウィルス対数阻止係数Φ
の値で4.5以上とするためには、先に述べた条件での
圧力低下量の限界値(上限値)は、2.5(kg/cm
2 )であるが、この基準値に合致するように選択された
高分子膜モジュールについて、ウィルス代替物質である
40nmの平均粒子径を持つ金コロイドを含む水分散液
を用いて、金コロイド粒子の除去性能を、ウィルスの場
合と同様に、金コロイド粒子の対数阻止係数Φg として
求めたところ、圧力低下値が2.5(kg/cm2 )以
下である高分子膜モジュールは、すべて例外なく、Φg
の値が2.5以上であった。従って、この場合にはウィ
ルス除去性能が維持されているかどうかを金コロイド
(40nm)を用いて調べ、Φg の値が2.5以上であ
れば、維持されていると推測できることになる。
【0056】本発明の方法を実施するための具体的な装
置の例を模式的に示すと図2の様になる。図2におい
て、液体には、パーフロロカーボンを使用し、中空糸の
外側をこのパーフロロカーボンで満たす。一方、気体に
は窒素ガスを選び、中空糸の内側から導入している。窒
素ガスのラインに設置された圧力センサーにより、気体
の供給を止める圧力Phを検知し、バルブを閉止させ、
一定時間での圧力低下量を測定する方法がとられてい
る。
【0057】具体的には、従来のプレッシャー・ホール
ド法が、通常は気泡の発生し始める圧力よりも低い圧力
で、気体の液体中への溶解拡散量を主に測定する方法で
あったのに対して、より望ましい方法としては、例えば
最初に気泡が発生し始める圧力以上の圧力で昇圧を止
め、60秒以内の短時間での圧力低下を測定することに
より、実質的に気体の液体中への拡散による圧力低下の
影響を小さくして、該高分子膜モジュールの最大孔径を
測定する方法が、より有効である。
【0058】以下に、本発明を実施例により具体的に説
明する。
【0059】
【実施例】
(実施例1〜8)ウィルス除去を目的として作られた、
銅アンモニア法再生セルロースからなる中空糸膜の、膜
を透過する透水量から求めた平均孔径が、35.0±0
nmであり、また表面張力が15.0(dyne/c
m)であるようなパーフロロカーボンを液体に用い、窒
素ガスを気体に用いたときのバブルポイントが、9.5
±0.5(kg/cm2 )の範囲(最大孔径で、約60
〜70nmに対応)にあるものから、有効膜面積が、
0.03m2 となるようなモジュールを10本作った。
【0060】このモジュールの一本ずつを、表面張力が
15.0(dyne/cm)である上記と同じパーフロ
ロカーボンを液体に用い、窒素ガスを気体として用い
て、Ph=8.0(kg/cm2 )の圧力まで中空糸の
内側から加圧し、その圧力で窒素の供給を止め、15秒
経過後の圧力低下量を測定したところ、10本中8本
(No.1〜8)は、日本脳炎ウィルス(JEV)のウ
ィルス対数阻止係数Φが、4.5以上となるようにあら
かじめ定めた圧力低下量の上限値である、2.5(kg
/cm2 )以下の値であったが、残りの一本(No.
9)は、上限値を越えており、他の一本(No.10)
は、モジュール内の中空糸膜の数カ所からの気泡の発生
が激しく、Ph=8.0(kg/cm2 )まで加圧する
ことができなかった。
【0061】従って、圧力低下量が2.5(kg/cm
2 )以下であった8本を選択して、モジュール内に水を
充填し、121℃×30分の高圧蒸気滅菌を実施したの
ち、ウィルスの大きさが、45nm前後である日本脳炎
ウィルス(JEV)の除去性能を調べた。なお、ウィル
スの除去性能を調べる前に、使用前の「リーク検査」を
1.0(kg/cm2 )の圧力で実施したところ、8本
ともにリークは見られなかった。その時のJEVの除去
性能を先に述べたΦの値で表すと、すべて5.0以上の
値であった。
【0062】なお、これらのモジュールについて、念の
ため、使用後の確認を、平均の粒子径が、40nmの金
コロイド粒子の水分散液を用いた金コロイド粒子の除去
性能Φg の測定による方法(No.1,3,5,7の各
モジュール)と、「リーク検査」による方法(No.
2,4,6,8の各モジュール)で実施した。結果は表
1に示すとおり、金コロイドのΦg は、すべて3.2以
上であり、先に述べた値2.5以上であるから、使用時
までに膜の損傷はなかったと推定される。同様に、リー
ク検査でも異常は見られなかった。
【0063】
【比較例1〜2】先の実施例において、除外された(N
o.9,No.10)の2本について同様に水充填を行
い、同じように高圧蒸気滅菌後、使用前の「リーク検
査」を実施したところ、(No.10)は0.9(kg
/cm2 )程度の圧力で中空糸膜の一部から気泡の発生
が見られ、明らかに大きな孔が存在すると考えられた。
【0064】一方、(No.9)については、「リーク
検査」では気泡の発生はなかった。この2本について同
様にJEVの除去性能を調べ、Φの値で表すと表1のよ
うになり、(No.9)は、明らかに、実施例に比較し
てΦの値が低く、目標とするウィルス対数阻止係数Φの
レベルである、4.5以上にならなかった。(No.1
0)では、ほとんどのウィルスが漏れた。
【0065】なお、(No.9)のモジュールについて
は、念のため実施例と同じ金コロイド粒子(平均粒子径
40nm)を用いて、金コロイドのΦg の値を求めたと
ころ、1.2となり、明らかに実施例のモジュールの値
に比較して低い値を示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明により、非破壊検査によって簡易
かつ精度よくウィルス除去性能を評価することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要件である圧力Phの選定の基礎とな
る膜間差圧力〜気体供給速度曲線図である。
【図2】本発明の方法に用いる装置の一例を示す図であ
る。
【図3】本発明の方法の実施例における圧力低下量〜ウ
ィルス対数阻止係数の関係を示す相関関係図である。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子膜よりなる高分子膜モジュール
    の、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不
    活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対し
    て化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあら
    かじめ設定された膜間差圧力の値Phで、気体の供給を
    止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定することを特
    徴とする、高分子膜モジュールのウィルス除去性能の新
    規な評価方法。ここで、Phの値は、一定範囲の平均孔
    径、最大孔径を有する高分子膜を作るために定められた
    条件で製造して得られた、一定範囲の平均孔径、最大孔
    径を有する、上記測定、すなわち高分子膜よりなる高分
    子膜モジュールの、該高分子膜の片側を該高分子膜に対
    して化学的に不活性な液体で満たし、膜の反対側から該
    高分子膜に対して化学的に不活性な気体を供給して、下
    記に述べるあらかじめ設定された膜間差圧力の値Ph
    で、気体の供給を止め、一定時間放置後の圧力低下量を
    測定することに供される高分子膜モジュールに用いられ
    る高分子膜と実質的に同等の高分子膜を用いて作ったモ
    ジュールについて、該高分子膜の片側を該高分子膜に対
    して化学的に不活性な液体で満たし、膜の反対側から該
    高分子膜に対して化学的に不活性な気体を供給して、図
    1に示す膜間差圧力〜気体供給速度曲線を描き、最初に
    表れる膜間差圧力の増加に比例して気体供給速度が増加
    する直線部分を、膜間差圧力の増加する方向に延長した
    直線を(a)とした時、膜間差圧力〜気体供給速度曲線
    が、該直線(a)から分岐し始める点における膜間差圧
    力の値を(d)とし、その点における気体供給速度の
    2.5倍、及び3.0倍の気体供給速度を示す膜間差圧
    力〜気体供給速度曲線上の点(e)及び(f)を結んで
    得られる直線(b)と、直線(a)との交点における膜
    間差圧力の値を(c)とした時、 (d) < Ph < (c) の式を満たす圧力として、あらかじめ定めた値である。
  2. 【請求項2】 高分子膜よりなる高分子膜モジュール
    の、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不
    活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対し
    て化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあら
    かじめ設定され た膜間差圧力の値Phで、気体の供給を
    止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定することに先
    立って、高分子膜としての平均孔径、および最大孔径を
    測定することにより高分子膜を選定し、該高分子膜によ
    りモジュールを形成せしめることを特徴とする、請求項
    1記載の評価方法。
  3. 【請求項3】 高分子膜よりなる高分子膜モジュール
    の、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不
    活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対し
    て化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあら
    かじめ設定された膜間差圧力の値Phで、気体の供給を
    止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定することに用
    いる液体の、表面張力が25(dyne/cm)以下で
    あり、さらに加えて高分子膜よりなる高分子膜モジュー
    ルの、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に
    不活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対
    して化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあ
    らかじめ設定された膜間差圧力の値Phで、気体の供給
    を止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定すること
    用いる気体の該液体に対する溶解度が、オストワルド溶
    解度係数で1.0(cm−気体/cm2 −液体)以下
    であることを特徴とする、請求項1、又は請求項2に記
    載の評価方法。
  4. 【請求項4】 高分子膜よりなる高分子膜モジュール
    の、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不
    活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対し
    て化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあら
    かじめ設定された膜間差圧力の値Phで、気体の供給を
    止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定することにお
    いて、膜間差圧力Phで気体の供給を止め放置する時間
    が、その時間で検査したときに、検査した第一のモジュ
    ールの圧力低下量が第二のモジュールの圧力低下量に比
    べて小さければ、第二のモジュールは例外なく、第一の
    モジュールに比べて図1の(c)で示される膜間差圧力
    の値が低くなるような対応のある時間であることを特徴
    とする、請求項1、請求項2、又は請求項3記載の評価
    方法。
  5. 【請求項5】 高分子膜よりなる高分子膜モジュール
    の、該高分子膜の片側を該高分子膜に対して化学的に不
    活性な液体で満たし、膜の反対側から該高分子膜に対し
    て化学的に不活性な気体を供給して、下記に述べるあら
    かじめ設定され た膜間差圧力の値Phで、気体の供給を
    止め、一定時間放置後の圧力低下量を測定することに続
    いて、該モジュールのウィルス除去性能が所望のレベル
    を維持しているかどうかを確認するための、非破壊、又
    破壊の検査を実施することを特徴とする、請求項1又
    は請求項2記載の評価方法。
  6. 【請求項6】 非破壊検査方法が、膜の片側を水で満た
    し、膜の反対側から、気体により0.1(kg/cm
    2 )以上、2.0(kg/cm2 )以下の圧力に加圧し
    たときの、気泡の発生を調べる方法であることを特徴と
    する、請求項5記載の評価方法。
  7. 【請求項7】 非破壊検査方法が、膜の片側を水で満た
    し、膜の反対側から、気体により0.1(kg/c
    2 )以上、2.0(kg/cm2 )以下の圧力に加圧
    して、気体の供給を止め、60秒以上の時間での圧力の
    低下量を測定する方法であることを特徴とする請求項5
    又は請求項6記載の評価方法。
  8. 【請求項8】 破壊検査方法が、ウィルス代替モデル物
    質を用いた、ウィルス代替モデル物質粒子の除去性能の
    評価方法であることを特徴とする、請求項5、請求項6
    又は請求項7記載の評価方法。
  9. 【請求項9】 モジュールを構成する高分子膜が、中空
    糸であることを特徴とする、請求項1〜8いずれかに記
    載の評価方法。
  10. 【請求項10】 モジュールを構成する高分子膜が、銅
    アンモニア法再生セルロースからなることを特徴とす
    る、請求項1〜9いずれかに記載の評価方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の方法で評価したのち、
    あらかじめ特定のウィルスの除去性能をもとにして定め
    られた圧力低下量の値と比較して圧力低下量の低い高分
    子膜モジュールのみを選択することを特徴とする、請求
    項1〜10いずれかに記載の方法を含む高分子膜モジュ
    ールの選択方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の方法で選択された高
    分子膜モジュールを用いることを特徴とする、ウィルス
    を含む溶液からの、ウィルスの除去方法。
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