JPH06152103A - パターン状金属層を有するプラスチック成形品およびその製造方法 - Google Patents

パターン状金属層を有するプラスチック成形品およびその製造方法

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JPH06152103A
JPH06152103A JP29593792A JP29593792A JPH06152103A JP H06152103 A JPH06152103 A JP H06152103A JP 29593792 A JP29593792 A JP 29593792A JP 29593792 A JP29593792 A JP 29593792A JP H06152103 A JPH06152103 A JP H06152103A
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Japan
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molding material
metal layer
groove
primary
molded body
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JP29593792A
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English (en)
Inventor
Rikio Komagine
力夫 駒木根
Yoshiyuki Ando
好幸 安藤
Toshiyuki Oaku
俊幸 大阿久
Hideki Asano
秀樹 浅野
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属層パターンを高精度化、高密度化するとと
もに、金属層の剥離を防止し、成形品全体を薄くして、
材料コストを下げる。 【構成】プラスチック成形品1は、一次成形材料2のパ
ターン状金属層4に応じた溝2aおよび貫通孔2bをも
つ。一次成形材料2は、無電解めっきすることが困難な
プラスチック成形材料、例えばガラス繊維を加えたポリ
フェニレンスルフィドで構成する。溝2aおよび貫通孔
2bに二次成形材料3が中間まで充填される。二次成形
材料3は、無電解めっきすることが容易なプラスチック
成形材料で、例えば粘度充填剤とガラス繊維を含むポリ
エーテルスルホンで構成する。二次成形材料3の表面は
粗面化される。溝の残りの部分2cに無電解めっきが施
されて金属層4が形成される。貫通孔2bは深さ方向の
中央部が細くなって、二次成形材料3の脱落を防いでい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面にパターン状金属層
を有するプラスチック成形品およびその製造方法、特に
表面に無電解めっきで形成したパターン状金属層を有す
るプラスチック成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面に電気回路パターン等として利用さ
れるパターン状金属層を有するプラスチック成形品は、
近年、電気配線の合理化および形状の自由度を向上させ
るため、配線基板等の基材としてMCB(Molded Circu
it Board)、MID(MoldedInterconnection Device)
などと称され、使用されている。
【0003】このプラスチック成形品は、例えば、特開
昭63−50482号公報に示されているように、金属
めっきが付着し難い樹脂(以下、単に「難めっき性樹
脂」という)と金属めっきが付着し易い樹脂(以下、単
に「易めっき性樹脂」という)を利用した、所謂、2シ
ョット成形品であり、易めっき性樹脂を所定パターンで
二次成形し、その表面に金属めっきを施すことにより成
形品の表面に所定の回路パターンを形成している。
【0004】このプラスチック成形品を製造する場合に
は、図7(A)のように、形成される電気回路のパター
ンに応じたパターン面74を突出させた一次成形(体骨
格部)71を易めっき性樹脂で形成した後、二次成形に
おいて図7(B)のように、パターン面74を除く一次
成形体71の周りを難めっき性樹脂72で包囲して二次
成形体72を形成し、これによって一次成形体71が埋
め込まれたような格好の基礎成形品73を成形する。そ
の後、図7(C)のように粗化処理されたパターン面7
4に無電解めっき処理を行う。この際、図7(D)のよ
うに難めっき性樹脂72の部分には金属が付着せず、易
めっき性樹脂であるパターン面74にのみ金属めっき7
6が形成されるため、金属めっき76を利用して種々の
金属層パターンを形成したプラスチック成形品70を製
造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(1)しかしながら、上記のプラスチック成形品による
と、易めっき性樹脂のパターン面と難めっき性樹脂の表
面が同一平面状態で隣接しているため、無電解めっきに
よってめっき層を形成すると、めっきが厚さ方向のみな
らず幅方向にも析出してしまい、めっき層による回路パ
ターンの幅が一次成形体のパターン面より太くなるとと
もに、めっきは微視的に見るとかなりの凹凸があるた
め、その幅および厚さにバラツキが生じる。このため、
めっき層のパターン精度が低いという不都合がある。
【0006】(2)また、めっき触媒を添加したプラス
チックを易めっき性材料として用いた場合には、難めっ
き性材料と易めっき性材料との界面付近に拡散した触媒
成分の金属イオンにより、金属層パターンの間の絶縁抵
抗が低下するので、金属層パターンを高密度化すること
ができなかった。
【0007】更に、一次成形材料と二次成形材料との密
着がよくない場合には、それらの間に隙間が生じるた
め、無電解めっきの工程でこの隙間にめっき液が侵入す
ることによっても、金属層パターンの間の絶縁抵抗の低
下が生じる。
【0008】(3)更に、めっき層が基礎成形品より少
し突出して設けられているため、何か他のものと衝突し
たときに剥離する恐れがある。成形材料によって本来密
着力が低いものもあり、この場合特に問題となる。
【0009】(4)上記の従来品の他の欠点として、成
形品が全体として三層構造となる場合が多く、成形品全
体の厚みが大きくなる。何故なら、最終成形品の裏面
(金属パターン形成面に対し)の主要な部分には多くの
場合に金属層を形成させないから、この部分は難めっき
性材料で構成することになり、パターンを形成する層
と、骨格部と、裏面の難めっき性層の三層構造となるか
らである。このように三層構造となって厚くなるので、
材料コストも高くなる。
【0010】本発明の目的は、コストが易く、全体の厚
みが薄く、金属層の剥離を防止でき、かつ高精度、高密
度のパターン状金属層を表面に有するプラスチック成形
品およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のパターン状金属
層を有するプラスチック成形品は、無電解めっきするこ
とが困難な第一のプラスチック成形材料で構成され、表
面に所定のパターンに応じた溝を有した第一の成形体
と、無電解めっきすることが容易な第二のプラスチック
成形材料で構成され、前記溝に中間まで充填されること
により前記第一の成形体と一体に成形された第二の成形
体と、前記第二のプラスチック成形材料が充填されない
で残った溝の部分に選択的に無電解めっきにより形成さ
れた前記所定パターン状の金属層とを有するものであ
る。ここで、選択的にとは、全体に無電解めっきを施す
場合に、第一の成形体と溝内にある第二の成形体とのう
ちで、第一の成形体は選ばれず、第二の成形体が選ばれ
て無電解めっきされるという意味である。
【0012】この場合において、前記溝が、表面開口部
より底面の断面積が大きいアンダーカット形であること
が好ましい。
【0013】また、本発明のパターン状金属層を有する
プラスチック成形品の製造方法は、無電解めっきするこ
とが困難な第一のプラスチック成形材料で表面に溝を有
する一次成形体を形成し、無電解めっきすることが容易
な第二のプラスチック成形材料を前記一次成形体の溝に
中間まで注入し、前記一次成形体と一体に二次成形して
二次成形体を形成し、第二のプラスチック成形材料が充
填されないで残った溝の部分に選択的に無電解めっきを
施し、パターン状金属層を形成するものである。
【0014】この場合において、前記一次成形体の形成
は、表面に溝を有する前記一次成形体を射出成形により
形成することが好ましい。
【0015】また、本発明のパターン状金属層を有する
プラスチック成形品の製造方法は、無電解めっきするこ
とが困難な第一のプラスチック成形材料で一次成形体を
形成し、前記一次成形体の表面に溝を切削加工により形
成し、無電解めっきすることが容易な第二のプラスチッ
ク成形材料を前記溝に中間まで注入し、前記一次成形体
と一体に二次成形して、二次成形体を形成し、第二のプ
ラスチック成形材料が充填されないで残った溝の部分に
選択的に無電解めっきを施し、パターン状金属層を形成
するものである。
【0016】この場合において、前記一次成形体の形成
において、表面に所定の溝を有する成形体を射出成形に
より形成し、前記切削加工により前記一次成形体の表面
にさらに別の溝を形成することもできる。
【0017】
【作用】本発明は、一次成形材料に難めっき性材料を、
二次成形材料に易めっき性材料を用い、難めっき性材料
で構成される一次成形体の溝へ、易めっき性材料で構成
される二次成形体を中間まで充填し、易めっき性材料で
構成される二次成形体の残りの溝に無電解めっきにより
パターン状金属層を形成したものであり、これによりコ
ストが安く、全体の厚みが薄い、高精度、高密度のパタ
ーン状金属層を表面に有するプラスチック成形品が実現
できる。
【0018】本発明において、無電解めっきすることが
容易なプラスチック成形材料(易めっき性材料)とは、
一次成形材料として用いる難めっき性材料に比して無電
解めっきすることが容易なものと言う意味である。従っ
て、無電解めっきすることが困難なプラスチック成形材
料(難めっき性材料)とは、無電解めっきが如何なる場
合でも困難または不可能なものを意味するのではなく、
易めっき性材料との相対的な無電解めっき適性を表わし
ている。本発明で重要なことは、易めっき性材料と難め
っき性材料の無電解めっき適性の差により、二次成形材
料の表面に選択的にパターン状金属層を形成させること
が可能なことである。
【0019】一次成形に用いる難めっき性材料は、一次
成形体が最終成形品の骨格を形成し、また二次成形の際
の中子として機能するため、剛性、寸法安定性、耐熱性
が要求され、電気的特性も考慮しなければならないの
で、通常、いわゆるエンジニアリングプラスチックの中
から選ばれる。例えば、ポリカーボネート、ポリエーテ
ルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
フェニレンスルフィドが好ましい。あるいはフェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬
化性樹脂を用いてもよい。これらの樹脂にガラス繊維、
チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウム等のフィラーを
添加してもよい。
【0020】二次成形に用いる易めっき性材料について
も、一次成形材料と同種の樹脂を用いることができる
が、表面にパターン状金属層を選択的に形成させるた
め、一次成形材料より低分子量で、粗面化され易いか、
特定の溶剤、薬品等に浸され易いもの、あるいはパラジ
ウム、金、銀等の貴金属を含む触媒を添加したものを用
いる。二次成形材料はまた、一次成形材料より成形温度
が低いことが、一次成形材料の変形を防ぐ意味からは好
ましいが、射出成形条件によって変形を防ぐことが可能
であればその限りでない。金属パターンの線幅および線
間隔を小さく、つまり高密度化するためには、一次成形
材料の剛性が高く、二次成形材料の流動性が高いことが
望ましいが、構造によってはその限りでない。
【0021】一次成形体の表面の溝とは、表面にパター
ン状金属層が形成される二次成形材料を注入すべき部分
であり、有底の溝に限定されず、反対面に貫通した孔で
あってもよい。この溝は、一次成形の際に射出成形など
により同時に形成させても良いが、一次成形後、一次成
形体に切削等の加工で形成させてもよい。溝の一部を一
次成形の際に形成させ、残りの一部、例えば一次成形の
際に形成できない種類の溝を一次成形後の加工で形成さ
せてもよい。
【0022】二次成形材料が充填される一次成形材料の
溝の壁面に逆テーパを付けてもよい。すなわち、溝の表
面開口部より底面の断面積が大きいアンダーカット形と
する。逆テーパは大きい程よいが、射出成形により溝を
形成する場合は材料によっては一次成形が困難となるた
め、一般的には0.1〜1%が好ましい。これにより、
一次成形材料と二次成形材料の接着性が悪い場合にも、
前処理を含むめっき工程で一次成形材料と二次成形材料
の間が部分的に剥離して、二次成形材料が脱落すること
が防がれる。また、これは金属層の剥離防止にも効果が
ある。
【0023】二次成形において、二次成形材料を一次成
形材料の溝に注入するには、通常のように、射出成形を
用いることができる。この時、二次成形材料は溝の中間
部まで注入する。これは残った溝の部分に金属層を形成
させるためである。従って、残った溝の深さは、形成す
る金属層の厚さに応じ、それと同じか、または深くする
のがよい。すなわち、金属層の表面は一次成形材料の表
面と同一面か、または一段下がった面に位置する。しか
し、溝が若干浅く金属層の表面が一次成形材料の表面よ
り高くなっても用途によっては問題ない。
【0024】金属層を形成させるための無電解めっき
は、二次成形に用いた易めっき性材料の表面を粗化した
後、必要に応じパラジウム、金、銀等の貴金属の化合物
より成る触媒を付与する前処理と、めっきを施す工程か
ら成る。
【0025】二次成形材料の表面はめっき層に対する十
分な接着力を有しなければならないので、一般にそのた
めの前処理を行う必要がある。まず、アルカリクリー
ナ、界面活性剤、有機溶剤等により成形品に付着してい
る離型剤や脂分等の汚れを除去する。次にクロム酸/硫
酸、水酸化カルシウム、弗化水素酸/硝酸、酸性弗化ア
ンモニウム/硝酸等のエッチング液を用いて、表面を粗
面化する。
【0026】二次成形材料の外面に選択的に金属層を形
成させるためには、二次成形材料に予めめっき触媒を添
加する方法、二次成形材料を選択的に粗面化する方法、
および両者の併用がある。二次成形材料に予め添加する
無電解めっき触媒としては周期率表第5列第VIII属の金
属の化合物、例えばハロゲン化物が好ましい。具体例は
塩化パラジウムである。二次成形材料の選択的な粗面化
は、例えば、二次成形材料は膨潤させるが、一次成形材
料は膨潤させないような溶剤を用いることにより可能で
ある。
【0027】二次成形材料に予め無電解めっきに対する
触媒を添加しない場合には、表面粗面化の後に触媒付与
の工程を付加してもよい。触媒付与の方法としては、キ
ャタリスト−アクセラレータ法、すなわちパラジウム、
錫等の金属の混合触媒液に浸漬後、塩酸、しゅう酸等の
酸で活性化して、二次成形材料の粗面化された表面にパ
ラジウム等を析出させる方法と、センシタイジング−ア
クティベーティング法、すなわち塩化第一錫、塩化ヒド
ラジン、次亜燐酸等の強い還元剤を粗面化された二次成
形材料の金属パターン形成部分に吸着させた後、パラジ
ウム、金等の貴金属イオンを含む触媒液に浸漬し、貴金
属を析出させる方法がある。
【0028】前処理後、無電解(化学)めっきの方法を
用いて、銅、ニッケル等のめっきを施す。無電解めっき
により銅の上にニッケル、さらに金をめっきする場合も
ある。金属層を電気回路パターンの配線部として用いる
場合には、一般に、銅層あるいは銅層の上にニッケル、
金、ハンダ等の層を単独にまたは組み合わせて、形成さ
せる。無電解めっき層の上に、この層を導体として通常
の電気めっきによりさらに同種または異種の金属層を形
成してもよい(例えば無電解めっき銅層の上に電気めっ
きニッケル層)。この方法は、無電解めっきにより金属
層の充分な厚さが得られない場合に有用である。
【0029】二次成形材料の露出面(二次成形体の溝
部)に金属層を選択的に形成させることにより、合成樹
脂成形品の外面には、二次成形材料の露出部分(二次成
形体の溝部)の形状に従い、パターン状の金属層が形成
される。
【0030】上記溝部の深さは一定である必要はなく、
その深さを部分的に変えることにより、金属層面の高さ
(深さ)を変えてもよい。
【0031】金属層面を一段下げ、溝を残し、その部分
にソルダレジスト等の絶縁材料を埋込み、絶縁特性の向
上、ひいては高密度化または半田付け性の向上が可能で
ある。
【0032】
【実施例】
[実施例1]本発明による金属パターンを有するプラス
チック成形品の一例を図1(A)および(B)に示す。
図1(B)は図1(A)中の直線I−Iに沿った断面図
である。プラスチック成形品1は一次成形材料2の金属
パターンに応じた溝2aおよび貫通孔2bに二次成形材
料3が中間まで充填され、残りの部分に無電解めっきを
施して金属層4が形成されたものである。貫通孔2bは
深さ方向の中央部が細くなっており、二次成形材料3の
脱落を防いでいる。一次成形材料2はガラス繊維を30
重量%加えたポリフェニレンスルフィド(polyph
enylenesulfide)、二次成形材料3は粘
度充填剤(パラジウム0.1重量%を含む)15重量%
とガラス繊維30重量%を含むポリエーテルスルホン
(polyethersulfone)である。このプ
ラスチック成形品1は、下記のような方法で製造され
る。
【0033】ガラス繊維を加えたポリフェニレンスルフ
ィドを一次成形材料2として用い、図2(A)および
(B)に示す形状の一次成形体11を射出成形する。射
出成形温度は310℃、金型温度は150℃とした。図
2(B)は図2(A)の直線II−IIに沿った断面を示す
が、直線II−IIは図1(A)の直線I−Iに対応してい
る。一次成形体11は、溝2aおよび貫通孔2bを有す
る。
【0034】次に、一次成形体11の溝2aおよび貫通
孔2bに、二次成形材料3としてパラジウム触媒とガラ
ス繊維を含むポリエーテルスルホンを射出成形により充
填し、一次成形体11と一体に成形して、図3(A)お
よび(B)に示す二次成形品13を得る(本発明では、
一次成形体の溝に充填された二次成形材料で構成される
部分を二次成形体とよぶ。従って、二次成形品は、一次
成形体と二次成形体とで構成されるものである。)。射
出成形温度は360℃、金型温度は150℃とした。
【0035】二次成形品13の外面を常法により脱脂処
理し、N,N−ジメチルホルムアミドに2分間浸漬した
後、温度60℃のクロム酸/硫酸エッチング液に4分間
浸漬してエッチングによる粗面化を行った。水洗後、常
法により無電解銅めっきを行い、金属層4として銅を3
0μmの厚さに析出させ、金属層4の表面41と一次成
形体11の表面21を同一面とした。このようにして、
図1(A)および(B)に示すプラスチック成形品1が
得られる。
【0036】金属層4による回路パターンが溝部2c
(二次成形材料3が充填されないで残った溝の部分)に
依存して形成されるため、それより太くなったり、また
不均一になったりすることがない。また厚さの制御が容
易である。このため高精度な回路パターンが得られる。
また金属層4が溝部2c内に位置しているため異物に衝
突することがなく、従って剥離することがなくなる。よ
って密着力が多少低くても問題ない。
【0037】さらに二次成形体12が骨格部をもって繋
がっているのではなく、互に溝に隔たれて独立している
ため、絶縁抵抗の低下がなく高密度化ができる。加え
て、実質的に一層構造であるので、材料コストを易く、
全体を薄くもできる。
【0038】[実施例2]図4(A)に示すように、一
次成形材料2の溝2aの側壁に逆テーパをもたせた。一
次成形品の射出成形が容易なように、側壁の傾き(D/
E)は0.2/100とした。それ以外は、製造方法と
も実施例1と同様である。実施例1の効果に加え溝2a
の側壁の逆テーパにより、充填された二次成形材料3お
よびその表面の金属層4の脱落が防がれる。
【0039】[実施例3]実施例2において、図4
(B)に示すように金属層面41を一段低くする。他は
実施例2と同様である。これにより、実施例2の効果に
加え、さらに絶縁特性が向上し高密度化が可能となっ
た。
【0040】[実施例4]図5に示すように、二次成形
材料3が充填される溝2aの側壁に、実施例2と同様、
逆テーパをもたせた。ただし側壁の傾き(D/E)は5
/100である。溝2aの側壁の傾きが大きいため、こ
のプラスチック成形品51は次のようにして製造する。
【0041】図6(A)に示すような断面形状の一次成
形品61を射出成形等により貫通孔2bも同時に形成し
た後、切削加工により図6(B)に示すように溝2aを
形成させる。一次成形品61の溝2aおよび貫通孔2b
に、実施例1と同様にして二次成形材料3を充填し、実
施例1と同様に、前処理を経て無電解めっきを施す。こ
の時、半田付実装部となる金属層4aの表面41aは一
次成形体2の表面21と同一面とするが、配線部となる
金属層4bの表面41bは表面21より一段低くその残
りの溝部2dにはその後ソルダレジスト6を埋め込ん
だ。
【0042】これにより、実施例3の効果に加え半田付
性と絶縁特性も共に向上した。
【0043】[比較例]図7(d)に示す断面をもつ従
来のプラスチック成形品70を、易めっき性材料74と
して粘度充填剤(パラジウム0.1重量%を含む)15
重量%とガラス繊維30重量%を含むポリエーテルスル
ホンを、難めっき性材料72としてガラス繊維を30重
量%加えたポリフェニレンスルフィドを用いて構成し
た。プラスチック成形品70、一次成形材料、二次成形
材料、金型の形状以外は実施例1と同様にして製造し
た。
【0044】金属層76が幅方向に析出してしまい低い
パターン精度しか得られなかった。また異物に衝突する
ことにより金属層76が剥離する恐れがあった。よって
密着力の低い材料も使えなくなる。加えて3層構造とな
るため、コストが高くなりかつ全体が厚くなるという問
題があった。
【0045】
【発明の効果】 (1)請求項1に記載のプラスチック成形品によると、
溝内にパターン状金属層を有しているのでめっき太りが
なくなり全体の厚さが薄く、また金属パターンが溝寸法
で決められるため高精度、高密度のパターンをもつこと
ができ、さらに金属層は溝内に納っているため金属層の
剥離を有効に防止することができる。
【0046】(2)請求項2に記載のプラスチック成形
品によると、溝がアンダーカット形であるので、本来密
着力のでない樹脂の場合でも両者間の剥離を有効に防止
でき、また金属層の剥離をも一層有効に防止できる。
【0047】(3)請求項3に記載のプラスチック成形
品の製造方法によると、成形品を薄くできるため製造コ
ストが安価となり、また溝内に選択的に無電解めっきを
施すことにより高精度かつ高密度な金属パターンの形成
が可能であり、ファインパターンの形成に特に有効で、
信頼性も向上する。。
【0048】(4)請求項4に記載のプラスチック成形
品の製造方法によると、一次成形体の射出成形の際、表
面の溝を同時に形成するので、製造コストが一層安価に
なる。
【0049】(5)請求項5に記載のプラスチック成形
品の製造方法によると、一次成形体を形成した後に、そ
の表面に切削加工により溝を形成するので、一次成形体
と同時形成できない種類の溝を形成できる。
【0050】(6)請求項6に記載のプラスチック成形
品の製造方法によると、表面に所定溝を有する成形体を
射出成形により形成した後、切削加工によりさらに別の
溝を形成するので、射出成形により可能な溝と切削加工
により可能な溝の二種類の溝を形成することができ、溝
種類の自由度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパターン状金属層を有するプラス
チック成形品の第一実施例を示す平面図および断面図。
【図2】第一実施例によるプラスチック成形品の製造方
法の一工程における一次成形体の平面図および断面図。
【図3】第一実施例によるプラスチック成形品の製造方
法の一工程における二次成形体の平面図および断面図。
【図4】第二の実施例における同一面の金属層をもつプ
ラスチック成形品および一段下げた金属層をもつプラス
チック成形品の部分断面図。
【図5】第三の実施例におけるプラスチック成形品の断
面図。
【図6】第三の実施例における溝の形成過程を示す一次
成形体の断面図。
【図7】従来のパターン状金属層を有するプラスチック
成形品およびその製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
1、51 プラスチック成形品 2 一次成形材料 2a 溝 2b 貫通孔 2c、2d 溝部 3 二次成形材料 4、4a、4b 金属層 11 一次成形体 12 二次成形体 13 二次成形品 41、41a、41b 金属層表面 21 一次成形体表面
フロントページの続き (72)発明者 浅野 秀樹 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無電解めっきすることが困難な第一のプラ
    スチック成形材料で構成され、表面に所定のパターンに
    応じた溝を有した第一の成形体と、無電解めっきするこ
    とが容易な第二のプラスチック成形材料で構成され、前
    記溝に中間まで充填されることにより前記第一の成形体
    と一体に成形された第二の成形体と、前記第二の成形体
    が充填されないで残った溝の部分に選択的に無電解めっ
    きにより形成された前記所定パターン状の金属層とを有
    することを特徴とするパターン状金属層を有するプラス
    チック成形品。
  2. 【請求項2】前記溝が、表面開口部より底面の断面積が
    大きいアンダーカット形である請求項1に記載のパター
    ン状金属層を有するプラスチック成形品。
  3. 【請求項3】無電解めっきすることが困難な第一のプラ
    スチック成形材料で表面に溝を有する一次成形体を形成
    し、無電解めっきすることが容易な第二のプラスチック
    成形材料を前記一次成形体の溝に中間まで注入し、前記
    一次成形体と一体に二次成形して二次成形体を形成し、
    前記第二のプラスチック成形材料が充填されないで残っ
    た溝の部分に選択的に無電解めっきを施してパターン状
    金属層を形成することを特徴とするパターン状金属層を
    有するプラスチック成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】前記一次成形体の形成は、表面に溝を有す
    る前記一次成形体を射出成形により形成する請求項3に
    記載のパターン状金属層を有するプラスチック成形品の
    製造方法。
  5. 【請求項5】無電解めっきすることが困難な第一のプラ
    スチック成形材料で一次成形体を形成し、前記一次成形
    体の表面に溝を切削加工により形成し、無電解めっきす
    ることが容易な第二のプラスチック成形材料を前記溝に
    中間まで注入し、前記一次成形体と一体に二次成形して
    二次成形体を形成し、前記第二のプラスチック成形材料
    が充填されないで残った溝の部分に選択的に無電解めっ
    きを施してパターン状金属層を形成することを特徴とす
    るパターン状金属層を有するプラスチック成形品の製造
    方法。
  6. 【請求項6】前記一次成形体の形成において、表面に所
    定の溝を有する成形体を射出成形により形成し、前記切
    削加工により前記一次成形体の表面にさらに別の溝を形
    成する請求項5に記載のパターン状金属層を有するプラ
    スチック成形品の製造方法。
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