JPH06152013A - 放電励起型レーザ - Google Patents

放電励起型レーザ

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JPH06152013A
JPH06152013A JP32627892A JP32627892A JPH06152013A JP H06152013 A JPH06152013 A JP H06152013A JP 32627892 A JP32627892 A JP 32627892A JP 32627892 A JP32627892 A JP 32627892A JP H06152013 A JPH06152013 A JP H06152013A
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JP
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laser
discharge
gas
aperture
window
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JP32627892A
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English (en)
Inventor
Takeo Haruta
健雄 春田
Hitoshi Wakata
仁志 若田
Akihiro Suzuki
昭弘 鈴木
Tomohiro Sasagawa
智広 笹川
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極消耗の極めて少ない長寿命な放電励起型
レーザを得ること。 【構成】 ガスを励起する放電部の1対の主電極14の
内、少なくともその一方の主電極の材料が白金、金、ロ
ジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムの内のい
ずれかの金属もしくはこれらの内2つ以上の金属からな
る合金、もしくは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合
金もしくは白金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、
かつその形状が中空のボート型形状をしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はレーザ装置、特に放電
励起型レーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図63は従来の放電励起レーザ装置の1
種であるエキシマレーザの放電部の断面構成図である。
図において、501aおよび501bは1対の主電極、
502は主放電、503a,503b,504a,50
4bは電極に沿って複数個設置された予備電離ピン、5
05は予備電離用のアーク放電、506はガス流、50
7と508は共振器を構成する部分反射鏡と全反射鏡、
509はレーザ光である。
【0003】次に動作を説明する。エキシマレーザは大
気圧以上の圧力で動作させるレーザであるため、単に高
電圧を主電極501aと501b間に印加しても空間的
に均一な放電は起こらず、1点でアーク放電を起こすの
みでありレーザ発振には至らない。
【0004】そこで、まず予備電離ピン503aと50
3bの間、および予備電離ピン504aと504bの間
でアーク放電505を起こす。このアーク放電505か
ら発生する紫外光が主電極501aと501bの間のレ
ーザガスの1部を光電離し、種電子が空間に均一に生成
する。
【0005】この状態において、主電極501aと50
1bの間に急峻な高電圧を印加すると、上記種電子を元
にして空間的に均一な主放電502が形成される。この
主放電502の中で発生した光は共振器507と508
との間を往復し、その間に(主放電の中を通る毎に)指
数関数的に増幅され、やがてレーザ光509として取り
出される。
【0006】図64は、例えばレーザ学会研究会報告、
RTM−86−29(1986)に示されている他の従
来例である。図において、510は開孔電極、511は
誘電体、512は補助電極である。この従来例では、ま
ず、開孔電極510と補助電極512の間に電圧を印加
し、この開孔電極510の内部に誘電体511を介した
コロナ放電を発生させ、このコロナ放電からの紫外光で
主電極501aと開孔電極510の間のレーザガスの1
部を光電離するものである。以後の動作は、先の従来例
と同様である。
【0007】ここで、従来、主電極501a,501b
あるいは開孔電極510の材料としてはニッケルやアル
ミニウムなどが用いられており、長期間動作させると、
放電場において電子やイオンが電極に衝突して電極を物
理的にスパッタしてしまう事や化学的に活性な物質が電
極を化学的にスパッタしてしまう事により、主電極が消
耗してしまう問題点があった。この結果、放電が不安定
になり、レーザ出力の低下を招いていた。
【0008】図65は例えば日経マイクロデバイス2月
号(1987年)第77頁に開示された従来のレーザ装
置例である。図において515は高電圧電源、516は
充電用のリアクトル、517はリアクトル516に直列
に接続された充電用のコンデンサ、518は放電用の一
対の電極を備えた放電部、519はレーザビーム、52
0は電流路、521は放電部518と並列に接続され、
コンデンサ517から電荷が転送されるコンデンサ、5
22は高電圧電源515とコンデンサ517との接続点
と高電圧電源515の他端との間に接続された電荷転送
用の高電圧スイッチ、523は充電開始信号やスイッチ
ング開始信号を送出するための制御部、524a,52
4bは信号を伝送するためのケーブルである。
【0009】次に動作について説明する。図65におい
て、高電圧スイッチ522がOFFの状態で高電圧電源
515に制御部523より信号が入ると、先ず、高電圧
電源515−コンデンサ517−リアクトル516−高
電圧電源515の充電ループが形成されてコンデンサ5
17が充電される。
【0010】次いで、制御部523の信号により高電圧
スイッチ522を点弧させると、コンデンサ517−高
電圧スイッチ522−コンデンサ521−コンデンサ5
17の電荷移行ループが形成されて、コンデンサ517
の電荷がコンデンサ521に移行する。これに伴い、コ
ンデンサ521の両端電圧、即ち、放電部518のなか
に設けられた一対の電極間の電圧が上昇し、コンデンサ
521−放電部518−コンデンサ521のループに電
流が流れて放電が生じる。この放電により放電部518
内のレーザガスが励起され、その際にパルス状のレーザ
ビーム519が発生する。
【0011】図66は例えば特公平2−256238号
公報に示された従来のレーザ装置としてのエキシマレー
ザ装置に用いられる放電回路を示す回路図である。図に
おいて525は高電圧電源、526は高電圧電源525
の一端に接続された充電用のリアクトル、527はリア
クトル526に直列に接続された充電用のコンデンサ、
528はコンデンサ527と高電圧電源525の他端と
の間に設けた放電用の一対の電極、529は一対の電極
528間の放電により発生したレーザビーム、530は
一対の電極528間に並列に接続された充電用のリアク
トル、531は一対の電極528間に並列に接続されコ
ンデンサ527から電荷が転送されるコンデンサ、53
2はリアクトル526とコンデンサ527との接続点と
高電圧電源525の他端との間に接続された電荷転送用
の高電圧スイッチである。この高電圧スイッチ532
は、複数(図示では3個)のFET533を並列にした
回路を内蔵して一体化したモジュール534を図示のよ
うに直並列に接続することにより構成されている。
【0012】図67は上記図66の放電回路を用いたエ
キシマレーザ装置を示す斜視図である。なお、図67で
は図66における高電圧電源525、及びリアクトル5
26,530は図示を省略されている。図67におい
て、充電用のコンデンサ527は、導電板535上に複
数個設けられ一列に配されている。また箱状の導電材か
らなる容器538が設けられ、この容器538には希ガ
ス、ハロゲンガスなどの放電ガス539が満たされると
ともに、一対の細長い放電用の電極528が対向して設
けられ、その一方の電極528は上記導電板535に設
けられ、他方の電極528は上記容器538の底部に設
けられている。
【0013】また導電板535の両側面にはコンデンサ
527より電荷が転送されるコンデンサ531が複数個
接続されている。高電圧スイッチ532は多数のモジュ
ール534を積層して構成されており、2つの導電板5
36と537とによって保持されている。導電板536
はその先端部が最上段のモジュール534に接続され、
下端部が充電用のコンデンサ527に接続されている。
また導電体537は屈曲された形状を成し先端部が最下
段のモジュール534と接続されるとともに、下端部が
容器538及びコンデンサ531に接続されている。以
上の構成により、図66と等価な放電回路が構成され
る。
【0014】次に動作について説明する。図66におい
て、高電圧スイッチ532がOFFの状態で高電圧電源
525が投入されると、先ず、高電圧電源525−リア
クトル526−コンデンサ527−リアクトル530−
高電圧電源525の充電ループが形成されてコンデンサ
527が充電される。
【0015】次いで高電圧スイッチ532が点弧する
と、コンデンサ527−高電圧スイッチ532−コンデ
ンサ531−コンデンサ527の電荷移行ループが形成
されて、コンデンサ527の電荷がコンデンサ531に
移行する。これに伴い、コンデンサ531の両端電圧、
即ち、一対の電極528間の電圧が上昇し、放電開始電
圧に達すると電極528間に放電が生じる。この放電に
より容器538内のレーザガスが励起され、その際にパ
ルス状のレーザビーム529が発生する。
【0016】図68は、上記動作時におけるレーザ装置
各部の電圧、電流波形を示している。図68において、
(a)はコンデンサ531の両端電圧V2、(b)はコ
ンデンサ527からコンデンサ531への電荷の移行に
伴う移行電流I1、(c)はコンデンサ527の両端電
圧V1、(d)は充電電圧モニタ信号、(e)は過電圧
検出信号をそれぞれ表わしている。
【0017】図68にて時刻t1以前は、高電圧スイッ
チ532はOFFしており、高電圧電源525−リアク
トル526−コンデンサ527−リアクトル530−高
電圧電源525の充電ループによりコンデンサ527は
電圧V2はV0 に充電されている。時刻t1以前はコン
デンサ527からコンデンサ531への電荷の移行に伴
う移行電流Iは流れておらず、コンデンサ531の両端
電圧V2は0である。
【0018】時刻t1に高電圧スイッチ532を点弧さ
せると、コンデンサ527からコンデンサ531への電
荷の移行に伴う移行電流I1が流れ始め、同時にコンデ
ンサ527の電圧V1は下がり始め、コンデンサ531
には負極性の高電圧が発生する。やがてコンデンサ53
1の電圧が電極528間の放電開始電圧Vbに達する
と、コンデンサ531−電極528−コンデンサ531
の放電ループに放電電流が流れ、電極528間に放電が
生じる。
【0019】レーザ装置では、動作の安定化や自動化等
の目的で各種の制御が行われている。例えば図69には
コンデンサ527の充電電圧が設定値を越えるのを防ぐ
ための過電圧検出系を備えている場合を示している。こ
こで、540は過電圧検出回路、541は過電圧検出信
号を高電圧電源に伝える信号ケーブルである。
【0020】図69において、過電圧検出回路540は
コンデンサ527の充電電圧を常時検出しており、コン
デンサ527の充電電圧が設定値を越えると過電圧検出
信号を出力する。この過電圧検出信号は信号ケーブル5
41を通じて高電圧電源525に入力され、この高電圧
電源525は過電圧検出信号を受けて充電動作を停止す
る。以上の動作により、コンデンサ527の充電電圧が
設定値を越え、絶縁破壊等の事故が起こるのを防ぐこと
ができる。
【0021】ところで第1の閉ループを電流Iが流れる
場合、その電流により生じた磁束密度Bが第2の閉ルー
プを貫くと電磁誘導作用により第2の閉ループに起電力
eが生じ、第2の閉ループに電流iが流れる。例えば図
70に示す閉ループに電流Iが流れる時、式1、式2に
示すアンペアの周回積分定理で決まる磁束φが生じる。
【0022】 ∫C H・dl=I ・・・・(1)
【0023】 Φ=μHS=BS ・・・・(2)
【0024】ただしHは電流によって生じる磁界、dl
は電流Iの一部分の微小の長さで電流Iの正方向に向く
ベクトル、μは透磁率、Bは磁束密度である。この第1
の電流ループで生じた磁束が図71のように第2の閉ル
ープを貫く時、第2の閉ループには式3に示す電磁誘導
則で決まる起電力e e=−dΦ/dt ・・・・(3) が生じ、第2の電流ループに電流iが流れる。このよう
に生じた第2の電流ループでの起電力eは、ノイズの原
因となり制御系などに悪影響を及ぼす。
【0025】例えば、図72に示すレーザ装置では、コ
ンデンサ527を充電した後、高電圧スイッチ532を
点弧すると、コンデンサ527−高電圧スイッチ532
−コンデンサ531−コンデンサ527の電荷移行ルー
プが形成されて、コンデンサ527の電荷がコンデンサ
531に移行する。この時、電荷の移行により生じる電
流I1は、図72に示すように流れる。この電流I1に
より、式(1)、式(2)で決まる磁束密度Bが電流I
1を形成する面と垂直に生じる。このため、電流I1に
より生じた磁束密度Bが貫く任意の第2の導電体閉ルー
プには式(3)で決まる起電力eが生じ、第2の導電体
閉ループに意図しない電圧、電流が発生する。
【0026】図73は例えば文献(Can.J.Phy
s.63(1985)第214頁)に開示された従来の
エタロンを用いてスペクトルの狭帯域化を行なうエキシ
マレーザの構成を示す図である。図において、545は
レーザガスを励起し、レーザビームを発生させる放電
部、546は全反射鏡、547は部分反射鏡、548,
549は波長撰択素子として用いられているエタロンで
ある。
【0027】次に各部の働きについて説明する。放電部
545にエネルギが投入されると強い光が発生する。こ
の放電部545をはさんで、全反射鏡546と部分反射
鏡547とからなる光共振器を構成すると、放電部54
5より出た光は光共振器中を何度も往復するようにな
る。その際、光は放電部545により増幅され強いレー
ザビームとなり、このレーザビームの一部は部分反射鏡
547より光共振器外にとりだされる。
【0028】548,549のエタロンは数nmの広が
りを持っているエキシマレーザのスペクトルを狭くする
ための波長撰択素子として用いられている。この時、エ
タロンの傾き角は特開昭62−276888号公報に示
されるように光共振器の反射鏡とエタロンの間で第2の
光共振器が構成され、スペクトルが広がる事を防ぐ目的
で、共振器長やビーム径との関係で制限されていた。
【0029】図74は例えば特開平1−149494号
公報に示された従来のガスレーザ共振器の構成図であ
る。図において、551はレーザガスを励起し光を発生
させる放電部、552は全反射鏡、553は部分反射
鏡、554は安定型共振器において、レーザ発振横モー
ドを撰択するためにおかれたアパーチャである。
【0030】次に各部の働きについて説明する。放電部
551にエネルギが投入されると強い光が発生する。放
電部551を出た光は全反射鏡552と部分反射鏡55
3からなる光共振器を往復するようになる。その際、光
は放電部551により増幅され、より強いレーザビーム
となり、このレーザビームの一部は部分反射鏡553よ
り光共振器外に取り出される。ここで、554,555
のアパーチャは開口径によってモードを撰択してレーザ
ビームの発散角を狭く制限する。
【0031】図75は例えば特開昭64−42188号
公報に記載された従来のガスレーザ装置の窓保護構造図
である。図において、561はレーザガス、562はチ
ャンバ、563a、563b(総称する時は563)は
電極、564は放電、565はガス流、567はレーザ
窓、568はレーザビーム、579はガス導入パイプ、
580はアパーチャである。
【0032】次に動作について説明する。ガスレーザで
はレーザガス561がチャンバ562中に充填されてい
る。このチャンバ562中に2つの電極563a,56
3bを向かい合わせて、その電極間で放電564を発生
させると、レーザガス561が励起され、レーザビーム
568が発生する。このレーザビーム568はレーザ窓
567を通ってチャンバ562の外に放射される。
【0033】ところで、ガスレーザを長期間使用すると
レーザ窓567が汚れてチャンバ562の外に取り出せ
るレーザビーム568の割合が低下するという問題が起
こる。この汚れは放電の際にガス流565が発生し、こ
のガス流565が不純物をレーザ窓567の表面に運ぶ
ことにより生ずる。
【0034】そこで、従来例では複数のアパーチャ58
0を電極563a,563bとレーザ窓567の間に設
け、ガス流565をいくらかでも遮ることによりレーザ
窓567の汚れを軽減する。さらに、ガス導入パイプ5
79より不純物の少ないガスを導入してレーザ窓567
を保護するなどの対策が取られている。
【0035】また、図76は特公昭62−45084号
公報に記載されたレーザ装置で、ビームの発散角を制限
するために光軸と平行に薄い板からなるブラインド57
1を設けたもので、572は全反射鏡、573は部分反
射鏡である。このブラインドの詳細は図77の様になっ
ていて、鋼あるいはプラスチックからなる薄板571a
とスペーサ571bを積み重ねた構造になっている。た
だ、レーザ窓567bの外にブラインド571を設けて
いるのでレーザ窓の汚れを防ぐ役割はない。また、材料
が耐ガス性を考慮していないのでチャンバ中に置くこと
はできない。
【0036】図78はガスレーザ装置の他の窓保護構造
図を示すもので、上記図75と同一部分には同一符号を
付して重複説明を省略する。図において、581は放電
によって生成する音響波、582はレーザガス中の不純
物除去装置、583は筒部、584は循環ガス流、58
5はガス導入パイプである。なお、レーザビーム放射動
作は前記図75に示す場合と同じである。
【0037】図79は例えば特公昭60−26312号
公報に示された従来の放電励起型レーザ装置を示す構成
図である。図において591はレーザガス、592はレ
ーザビーム取り出し用の部分反射鏡、593は全反射
鏡、594はホルダ、595はレーザガスを充填するチ
ャンバ、596はレーザビーム、597は気体圧縮ポン
プ、598はフィルタ、599はレーザガスの流れ、6
00,601はパイプ、602a,602b(総称する
時は602)はレーザガスを放電励起するための電極、
603a,603b(総称する時は603)は電極60
2にエネルギーを供給する導電路、604は励起回路で
ある。
【0038】次の動作について説明する。チャンバ59
5内にレーザガスを充填した後、励起回路604から導
電路603a,603bを通じて電極602a,602
b間に高電圧を印加すると、電極602a,602b間
で放電が生じる。この放電によりレーザガス591が励
起され、生じた光が全反射鏡593と部分反射鏡592
の間を何度か往復した後、レーザビーム596が部分反
射鏡592から得られる。
【0039】ここでレーザガス591を励起するための
放電より、電極602の表面は次第にスパッタされ、そ
の際生じた微粉末がチャンバ595内に蓄積される。ま
たチャンバ595内にはその他種々の構成部品が含まれ
るので、必然的に塵などの不純物が多くなり、レーザ発
振動作の持続と共に、微粉末、塵などの不純物が部分反
射鏡592や、全反射鏡593の内面に付着し、レーザ
ビーム強度を減衰させる原因となっていた。
【0040】そこで従来の装置では、部分反射鏡592
や全反射鏡593の内面に不純物の付着するのを防ぐた
めにガス清浄化装置を通したレーザガスを前記部分反射
鏡592の表面に吹き付けるようにしていた。例えば図
79では、気体圧縮ポンプ597によりチャンバ595
内のレーザガスを圧縮し、パイプ601によりフィルタ
598に送る。ここでレーザガス中の塵等の不純物をフ
ィルタ598で捕えた後、パイプ600によりレーザガ
スを部分反射鏡592を支えるホルダ594に導く。ホ
ルダ594はレーザガス吐出口付きホルダであり、チャ
ンバ595の側壁にかん合されている。
【0041】また、この吐出口付きホルダ594には部
分反射鏡592がかん合されている。そして気体圧縮ポ
ンプ597により圧縮されたガスが吐出口付きホルダ5
94のガス吐出口から部分反射鏡592の表面に吹き付
けられるようになっている。
【0042】上述した従来の放電励起型レーザでは、放
電電極602と部分反射鏡592、あるいは放電電極6
02と全反射鏡593の間に何も設けられていなかっ
た。このため放電電極602間に放電が発生した時、電
極間のガス膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタによ
り生じた微粉末が部分反射鏡592や全反射鏡593に
到来し、付着していた。これにより部分反射鏡592の
透過率減少や全反射鏡593の反射率低下が起こり、レ
ーザ出力を減衰させる問題点があった。
【0043】この対策として本出願人は、放電電極60
2と部分反射鏡592、あるいは放電電極602と全反
射鏡593の間の空間に開口部があり、レーザビームを
透過させるアパーチャをレーザビーム中に設けることを
提案している。図80はこの例を示している。図80に
おいて、605はミラーホルダ、606はアパーチャ、
607a,607bはボルト、608a,608bはO
リングである。ミラーホルダ605は部分反射鏡592
を保持し、ボルト607によりチャンバ595の端面に
取付けられている。アパーチャ606は中空円盤609
の中空部に円盤面と垂直方向に多数の薄板610を取付
けた構造になっている。図80にはアパーチャ606が
側断面図として示されている。また図81(a)と図8
1(b)はそれぞれアパーチャ606の正面図と斜視図
である。
【0044】図81(a)に示されるようにアパーチャ
606の円盤609の周辺には取付け用の穴が設けられ
ている。図80にてアパーチャ606の円盤609はチ
ャンバ595とミラーホルダ605の間に設置され、ボ
ルト607a,607bにより固定されている。チャン
バ595にはOリング608a,608bを設けてお
り、このOリングによりアパーチャ606とチャンバ5
95、およびミラーホルダ605の円盤609との接合
部の気密を保っている。ここでアパーチャ606は薄板
610がレーザ光596の光軸と平行になるように設け
られており、また薄板610の厚みが薄いので、アパー
チャ606により遮られるレーザ光の割合は極めて小さ
い。また、図82に示すように、円盤面と垂直方向に交
差する複数の薄板610a,610bを取付けた構造で
もよい。
【0045】次に動作について説明する。チャンバ59
5内にレーザガスを充填した後、励起回路604から導
電路603a,603bを通じて電極602a,602
b間に高電圧を印加すると、電極602a,602b間
で放電が生じる。この時、電極間のガスの膨張に伴い、
電極間の塵や放電スパッタにより生じた微分粉末が放電
空間から外側に飛散する。これらの塵や微粉末は様々な
方向に進むが、部分反射鏡592や全反射鏡593の方
向に飛んだ物のうちレーザビーム596の光軸と平行に
進む飛散物以外はアパーチャ606の薄板610に衝突
し、速度を失う。このようにアパーチャ606を設けた
ことにより、放電空間から部分反射鏡592や全反射鏡
593に到来する飛散物を減らすことができ、部分反射
鏡592の透過率減少や全反射鏡593の反射率低下を
抑えることができる。
【0046】図83、図84は例えば特開平2−399
6号公報に記載された従来のレーザ窓部を示す図であ
り、611a,611b(総称する時は611)はレー
ザ窓、612は窓ホルダ、613a,613b(総称す
る時は613)は窓押さえ、614はレーザヘッド、6
15はパッキン、616はレーザビーム、617は押さ
え枠である。
【0047】次に動作について説明する。エキシマレー
ザやCO2 レーザなどの気体レーザはレーザヘッド61
4の中にレーザガスを封入し、このレーザガスを放電な
どによるエネルギにより励起してレーザビーム616を
発生させている。発生したレーザビーム616はレーザ
ヘッド614にとりつけられたレーザ窓611を通って
外に放射される。
【0048】ところが、エネルギ注入時に電極やレーザ
ヘッド内壁から不純物が発生し、この不純物とレーザビ
ームとの反応によりレーザ窓611の内壁に炭素や金属
となって堆積する。その結果、レーザ窓611の透過率
が低下して、レーザヘッド614の外に放射されるレー
ザビーム616が弱くなってしまう。
【0049】そこで、レーザ窓を取り替える必要が生じ
るが、これらの気体レーザの特徴としてレーザヘッド6
14の内部に外気、特に水分が混入すると、初期のレー
ザ出力が低下するばかりか動作中にレーザヘッド614
の内壁に吸着された不純ガスが脱着してくるため、連続
動作時におけるレーザ出力の低下が著しい。この現象を
回避するためのには、べーキングなどを念入りに行なわ
なければならなかった。
【0050】そこで、外気の混入をなくすか、できるだ
け少なくするため、2枚のレーザ窓611a,611b
を窓押え613a,613bを介して固定した窓ホルダ
612を、パッキン615を押し潰してレーザヘッド6
14内を気密状態にし、レーザヘッド614に装着して
いる。
【0051】レーザビーム616によりレーザ窓611
aが汚れるが、この際、レーザ窓611aと611bの
交換手順は以下のとおりである。まず、レーザヘッド6
14の内部を(図84において紙面左側)を大気圧にし
た後、押さえ枠617をゆるめ、窓ホルダ612を紙上
上方向にスライドさせる。レーザ窓611bがレーザビ
ーム616を通過させることができる位置までスライド
したら、再び押さえ枠617によりレーザヘッド614
を気密状態にする。その後レーザヘッド内のガスを交換
して発振の準備をするとともにレーザ窓611aを取り
替えるかクリーニングしておくというわけである。レー
ザ窓611bを交換するときも同様である。
【0052】図85は例えば特開昭61−203689
号公報に記載された従来のエキシマレーザ用窓であり、
621はレーザヘッド、622は第2のレーザ窓、62
3は第1のレーザ窓、624はレーザガス室、625は
圧力加減室、626は窓枠、627はパッキング、62
8は歯車、629はモータである。
【0053】次に動作について説明する。エキシマレー
ザやCO2 レーザなどのガスレーザでは放電により発生
した不純なガスが発生する。これがレーザビームによっ
て分解し、レーザ窓に炭素や金属がこびりつく。その結
果、レーザ窓の透過率が低下してレーザ窓から出て行く
レーザ出力を少なくする。
【0054】そこで、従来例ではレーザヘッド621に
第2のレーザ窓622と第1のレーザ窓623の2重の
窓を設けている。レーザ窓622はレーザガス室624
と圧力加減室625を遮るために設けられているもの
で、窓枠626をパッキング627に押しつけることに
よりレーザガスが外にもれるのを防いでいる。
【0055】この例ではレーザ窓622として大型の窓
を用い、窓枠626の周面に設けられた歯車628を介
してモータ629で回転駆動することにより、レーザビ
ームがレーザ窓622を通過する箇所を替えることがで
きる。従って、炭素や金属がこびりつくのはもっぱらレ
ーザが透過した箇所だけであるから、レーザ窓622の
汚れた箇所をずらせて新しい箇所を利用するようにすれ
ば、すべての箇所が汚れるまでレーザを連続的に使用で
きる。
【0056】また、圧力加減室625は高圧にすること
により、レーザ窓622を取付けた窓枠626をパッキ
ング627に押しつけるための力を発生する。従来例で
は一旦、圧力加減室625の圧力をレーザガス室624
の圧力とほぼ同じにした後、モータ629により歯車6
28を介して窓枠626を回し、レーザビームが通過す
るレーザ窓622の箇所をずらせた後、再び圧力加減室
625の圧力を高圧にする。
【0057】
【発明が解決しようとする課題】図63、図64に示す
従来の装置は以上のように構成されているので、長期間
動作させると、放電によるスパッタリング等により主電
極が消耗し、放電が不安定になる結果、レーザ出力が低
下してしまうという問題点があった。
【0058】図65に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、レーザ励起回路を流れる電流が作る
磁束が外部に漏れていた。これにより、制御系などに悪
影響を及ぼす問題点があった。
【0059】例えば、閉ループを電流が流れる場合、そ
の電流により生じる磁束Φが別の第2の閉ループを貫く
と電磁誘導作用により第2の閉ループに起電力eが生
じ、第2の閉ループに電流が流れる。第2の閉ループに
は前記式(3)に示す電磁誘導則で決まる起電力eが生
じ、第2の電流ループに電流が流れる。このように生じ
た第2の電流ループでの起電力eは、ノイズの原因とな
り制御系などに悪影響を及ぼす。
【0060】従来例では高電圧電源515−コンデンサ
517−リアクトル516−高電圧電源515の充電ル
ープやコンデンサ517−高電圧スイッチ522−コン
デンサ521−高電圧電源515の電荷移行ループ、コ
ンデンサ521−放電部518−コンデンサ521の放
電ループ、あるいは高電圧スイッチ522が閉じられた
後にできる高電圧電源515−高電圧スイッチ522−
高電圧電源515のループなどが磁束を発生する第1の
ループとなる。
【0061】一方、第2のループとしては制御装置52
3から高電圧電源515あるいは高電圧スイッチ522
への信号線、高電圧電源515からの電力供給ライン
(あるいはアース)からなるループやあるいはレーザを
構成する金属部がたまたまループを形成し、ここに発生
した電位がアース電位を不安定にする場合がある。その
結果、低い電圧の信号を扱っている制御装置523など
に誤った信号が発生し誤動作の原因となる。
【0062】また通常、高電圧電源515や高電圧スイ
ッチ522あるいは電流路には浮遊のインダクタンスが
存在し、電流変化に応じた電圧が生じている。この電圧
が信号線やアースあるいは電力供給ラインを通じて制御
装置523に達すると前と同じように誤動作の原因とな
る。
【0063】図66乃至図72に示す従来の装置は以上
のように構成されているので、レーザ励起回路を流れる
電流が作る磁束が外部に漏れていた。これにより、上記
磁束が貫く導電体閉ループに起電力が生じ、制御装置な
どに悪影響を及ぼす問題点があった。
【0064】例えば図68(d)は、図69における過
電圧検出回路540での充電電圧モニタ信号の例であ
る。図68(d)にて、Vmはコンデンサ527の充電
電圧が設定値を越えないか過電圧検出回路540でモニ
タしている充電電圧モニタ信号である。この充電電圧モ
ニタ信号Vmはコンデンサ527の充電電圧V1を分圧
したもので、この充電電圧V1の何分の1かの値になっ
ている。図68(d)にて±Vsは、過電圧検出回路5
40における過電圧検出設定値である。過電圧検出回路
540では、充電電圧モニタ信号Vmが±Vsを越える
と過電圧検出信号Vtを出力する。そしてこの過電圧検
出信号Vtは信号ケーブル541を通じて高電圧電源5
25に入力され、高電圧電源525の充電動作を停止す
る命令となる。
【0065】図68(d)にて、制御系が正常で充電電
圧モニタ信号Vmは±Vsを越えていない場合は、過電
圧検出回路540はコンデンサ527の充電電圧が設定
値を越えていないと判断し、過電圧検出信号Vtを出力
せず、高電圧電源525は通常の動作を続ける。
【0066】ところが、従来の装置ではレーザ励起回
路、とくに高電圧スイッチ532を流れる電流が作る磁
束が外部に漏れていたため、過電圧検出回路540、過
電圧検出信号を高電圧電源525に伝える信号ケーブル
541を含む閉ループを、レーザ励起回路を流れる電流
が作る磁束の一部が貫き、この閉ループ内に起電力を発
生させていた。
【0067】この起電力は例えば図68(d)に示すよ
うに、充電電圧モニタ信号VmにノイズVnとして混入
する。この時、ノイズVnの振幅が±Vsを越えると、
実際にはコンデンサ527の充電電圧は設定値を越えて
いないものにもかかわらず、コンデンサ527の充電電
圧が設定値を越えていると判断し、過電圧検出信号Vt
を出力する。これにより高電圧電源525は充電動作を
停止して保護状態となり、レーザ装置の動作はストップ
してしまう。このように従来の装置では、上記の様な例
をはじめとする制御系の誤動作が生じる問題点があっ
た。
【0068】図73に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、パルス幅数十nsの短パルスレーザ
であるため、励起開始から共振器外へ取り出されるまで
に、光は共振器内を数往復しかせず、共振器によってレ
ーザ発振横モードの撰択がなされないために、一般に2
mrad以上の広い発散角を持ったものとなっている。
このような広い発散角を持つ光は、レンズを用いても十
分に集光できないため、基板への穴開けなどの加工には
適さないものとなっていた。
【0069】エキシマレーザ共振器に挿入されてよく用
いられるエタロンは、波長を選択する効果と同時に、発
散角を制限する効果も持っているが、上記従来例は波長
選択素子としてのみ用いられており、発散角を制限する
ために重要なパラメータである傾き角なども、主にスペ
クトル幅への影響を考慮して制限されており、発散角を
制限する効果は全く発揮されていなかった。また、エタ
ロンを用いたエキシマレーザでは、主に露光用に用いら
れていたため、光の干渉によるスペクトルの影響をなく
すためレーザビームの発散角は狭くするよりむしろ拡げ
る工夫がなされていることもあった。
【0070】図74に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、共振器内にいくつか存在する安定な
レーザ発振横モードのうちの1つだけのモードだけを発
振させることによって高品質のレーザビームを得る技術
が用いられており、共振器内に設けられたアパーチャ
は、共振器内にいくつか存在する安定なレーザ発振横モ
ードのうちの1つを選択する目的で、最低次数のモード
のビーム径の1.1〜1.9倍の開口径に設定されてい
た。
【0071】エキシマレーザはパルス幅数10nsのパ
ルスレーザであるため、放電部で発生した光が、部分反
射鏡から放出されるまでに、共振器内を2〜3往復しか
しない。そのためエキシマレーザの共振器は、光が共振
器内に定在波となって閉じこもり、安定なモードだけが
選択されるという連続発振レーザの共振器の果たす役割
をほとんど果たさない。
【0072】例えば、高反射鏡と部分反射鏡の両方に平
面鏡を用いた共振器の場合、安定なレーザ発振横モード
は1つだけしか存在しない。そのモード(TEM00)
のレーザビーム径は理論的に無限大になるので、どのよ
うな径のアパーチャを用いてもこのモードを選択できる
はずである。発散角はθ=λ/πW(λは光の波長、W
はビーム径)と与えられるので、発散角はほとんど0に
なるはずである。ところがエキシマレーザの発散角は、
平面鏡を用いた共振器の場合2mrad程度になってい
る。
【0073】このように、レーザ発振横モードを選択す
る目的で挿入されるアパーチャは、パルス幅が短く、モ
ードが形成される以前に発振が終了するエキシマレーザ
に対しては効果がなく、エキシマレーザを対象としたも
のではない。そのために、エキシマレーザ共振器に従来
のような開口径を持つアパーチャを用いても、単一モー
ドが選択されず、取り出されるレーザビームは広い発散
角をもったものとなることがあった。
【0074】また、文献(Can.J.Phys.63
(1985)第214頁)に示されるように、エタロ
ン、回析格子等の波長選択素子を持つ狭帯域化エキシマ
レーザの場合には、共振器内にアパーチャを持つ構成の
ものがある。これは波長選択素子の分解能が素子への入
射角によって影響を受けるため、入射角を制限して波長
選択素子の選択効率を向上させるために設けられたもの
であり、レーザビームの発散角を小さくする目的で設け
られたものではない。実際に、回析格子を用いた狭帯域
化エキシマレーザでは、アパーチャを持った構成で2m
rad以上の発散角になっている。
【0075】さらに、特開昭63−9178号公報に示
される様に、レーザガスを密封するチャンバー内の、レ
ーザビームを射出するレーザ窓付近にアパーチャを持っ
たエキシマレーザも知られているが、これは放電部から
放出される不純物粒子からレーザ窓を保護する目的で設
けられたものであり、レーザビームの発散角を制限する
ためのものではない。このように、従来のエキシマレー
ザでは、取り出されるレーザビームの発散角が広く加工
に適さないという問題点があった。
【0076】図75に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、ガスレーザを長期間使用すると、レ
ーザ窓567が汚れてチャンバ562の外に取り出せる
レーザビーム568の割合が低下するという問題が起こ
る。この汚れは放電の際にガス流565が発生し、この
ガス流565が不純物をレーザ窓567の表面に運ぶこ
とにより生ずる。
【0077】そこで、従来例では複数のアパーチャ58
0を電極563とレーザ窓567の間に設け、ガス流5
65をいくらかでも遮ることによりレーザ窓567の汚
れを軽減する。さらに、ガス導入パイプ579より不純
物の少ないガスを導入してレーザ窓567を保護するな
どの対策が取られている。
【0078】また、図76は特開昭62−5084号公
報に記載されたレーザ装置で、ビームの発散角を制限す
るために光軸と平行に薄い板からなるブラインド571
を設けたものである。ブラインド571の詳細は図77
の様になっていて、鋼あるいはプラスチックからなる薄
板571aとスペーサ571bを積み重ねた構造になっ
ている。ただ、この装置では窓567bの外にブライン
ド571を設けているので窓の汚れを防ぐ役割はない。
また、材料が耐ガス性を考慮していないので、チャンバ
中に置くことはできない。
【0079】図78に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、長期間使用するとレーザ窓567が
汚れてチャンバ562の外に取り出せるレーザビーム5
68の割合が低下すると言う問題が起こる。この汚れの
原因は、(1)長期運転でレーザガス中に不純物が混ざ
り、同レーザガスがレーザ窓567に吹き付けられる事
によるものと、(2)放電564を発生させた際に、そ
の放電により音響波581が発生し、この音響波581
が放電564に起因するスパッタ物をレーザ窓567の
表面に運ぶことによるものの2つがある。
【0080】そこで、従来例では、筒部583を設け、
循環ガス流584がレーザ窓567に当り難くするとと
もに、複数のアパーチャ580を電極563とレーザ窓
567の間に設け、放電564によって生成する音響波
581をいくらかでも遮ることにより、レーザ窓567
の汚れを軽減する工夫がなされている。さらにガス導入
パイプ585を設け、そこから不純物除去装置582を
経た混在不純物の少ないレーザガスを導入して、不純物
を含んだレーザガスや音響波581がレーザ窓567の
到達し難くする等の対策が取られていた。
【0081】しかし、アパーチャ580はレーザビーム
568を取り出すため、レーザビーム568の口径より
も大きなビーム通過用の穴を設けてあるため、放電56
4によって生成する音響波581を遮る効果に乏しく、
レーザ窓567の汚れも著しく改善されることはなかっ
た。また、混在不純物の少ないレーザガスを導入して音
響波581を押戻す点においても、導入レーザガスの量
が少ないため、十分な効果は得られていなかった。
【0082】逆に、混在不純物の少ないレーザガスの導
入量を増そうとすると、多量のレーザガスに対応した不
純物除去装置582が必要となり、レーザ窓567の交
換よりも多額のランニングコストがかかることとなり本
末転倒の結果を招いてしまう。この結果、レーザの長期
運転時に問題となるレーザ窓の汚れを有効に防ぐことが
できなかった。
【0083】図79乃至図82に示す従来の装置は以上
のように構成されているので、レーザ装置の使用ととも
にアパーチャの薄板に塵や微粉末がたまる現象がおこっ
ていた。この薄板部にたまった塵や微粉末はレーザ光路
中にあり、レーザ光を遮ったり散乱させたりしてレーザ
出力を低下させる悪影響をおよぼしていた。
【0084】また従来のアパーチャ606は図80に示
すようにチャンバ595に取付けられているので、アパ
ーチャ606にたまった塵や微粉末を取り除く時には、
ボルト607、ミラーホルダ605をはずしてアパーチ
ャ606を外部に取り出さなければならず、この際チャ
ンバ595の気密を破りチャンバ内に外気が流入してい
た。このためアパーチャ606にたまった塵や微粉末を
取り除く際には、チャンバ595内のレーザガスを捨て
なければならず、レーザガスが無駄になっていた。
【0085】また例えばエキシマレーザのようにフッ
素、塩素などのハロゲンガスをはじめとする反応性の高
いガスをレーザガスとして用いるレーザでは、一旦チャ
ンバ内に外気を流入させると、外気中の水分等と反応し
てハロゲンガス等のレーザガス成分の減少や反応による
不純物の生成が起こり、レーザ出力の低下を引き起こし
ていた。この出力低下に対処するためには、チャンパ5
95内で放電をさせてはレーザガスを何度も入れ替える
作業が必要で、多大なレーザガス消費および作業時間を
要求されていた。
【0086】図83、図84に示す従来の装置は以上の
ように構成されているので、混入する外気を最小限にす
ることができた。しかし、図84に示された空間619
bに残る外気はレーザヘッド内に入り、逆に空間619
aにあったレーザガスは外に拡散する。レーザヘッドに
入った外気は量が少なくともレーザの特性を劣化させ
る。一方、外に漏れ出したレーザガスはレーザを操作し
ている人の健康を損なうという問題点があった。
【0087】図85に示す従来の装置は以上のように構
成されているので、圧力加減室という余分な部屋を設け
ることが必要であった。しかも、レーザ窓をずらす必要
が生じるたびにこの圧力加減室に高圧を発生させるため
の装置が別に必要であった。
【0088】また、この構造でレーザガスを遮ろうとす
ると、大きなレーザ窓にかかる圧力が大きくなり、この
圧力をもたせるためにレーザ窓の厚みを厚くする必要が
あった。たとえば直径200mmのレーザ窓で4気圧を
もたせようとすると、10から15mmの厚みが必要と
なる。一方、エキシマレーザで用いることができるレー
ザ窓の材質はCaF2 ,MgF2 などに限られており、
大きく厚いレーザ窓はたいへん高価である。そのため、
消耗品であるレーザ窓の価格がレーザのランニングコス
トを押し上げる要因になっていた。
【0089】請求項1乃至請求項9の発明は上記のよう
な問題点を解消するためになされたもので、長時間動作
においても、電極消耗の極めて少ない長寿命な放電励起
型レーザを得ることを目的とする。
【0090】請求項10乃至請求項14の発明は、レー
ザの励起回路を流れる電流が原因で生じるノイズが、制
御装置の誤動作を引き起さないようにすることを目的と
する。
【0091】請求項15乃至請求項18の発明は、レー
ザの励起回路、特に高電圧スイッチを流れる電流が原因
で生じるノイズが、高電圧スイッチまたは励起回路の外
部に伝わるのを防止することを目的とする。
【0092】請求項19と請求項20の発明は、レーザ
ビームの発散角が小さい加工に適した放電励起型レーザ
を得ることを目的とする。
【0093】請求項21乃至請求項23の発明は、発散
角の小さなレーザビームを放出する放電励起型レーザを
得ることを目的とする。
【0094】請求項24乃至請求項28の発明は、レー
ザ窓の汚れを有効に防ぐことを目的とする。
【0095】請求項29乃至請求項35の発明は、レー
ザの出力低下を防止するとともに保守時間を短縮するこ
とを目的とする。
【0096】請求項36と請求項37の発明は、レーザ
窓に起因するレーザ特性の低下、ガス漏れ等の不都合を
防止することを目的とする。
【0097】請求項38と請求項39の発明は、レーザ
を長期間連続的に使用できるようにすることを目的とす
る。
【0098】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る放
電励起型レーザは、1対の主電極の内、少なくともその
一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ルテニウ
ム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金属もし
くは、これらの内2つ以上の金属からなる合金、もしく
は白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白金
−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつその形状が
中空のボート型形状としたものである。
【0099】請求項2の発明に係る放電励起型レーザ
は、中空のボート型電極の内部に熱伝導性の良い材料を
充填して放電電極を構成したものである。
【0100】請求項3の発明に係る放電励起型レーザ
は、中空のボート型電極の内部にガスを循環するように
したものである。
【0101】請求項4の発明に係る放電励起型レーザ
は、中空のボート型電極に鍔を形成したものである。
【0102】請求項5の発明に係る放電励起型レーザ
は、中空のボート型電極の鍔と電極曲面部との接合部分
を該電極曲面部とは反極性の曲率を有する曲面としたも
のである。
【0103】請求項6の発明に係る放電励起型レーザ
は、1対の主電極内、少なくともその一方の主電極の材
料が白金、金、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イ
リジウムの内のいずれかの金属もしくは、これらの内2
つ以上の金属からなる合金、もしくは白金−ロジウム−
酸化ジルコニウム合金もしくは白金−ロジウム−酸化ト
リウム合金であり、かつ、光軸に直交する断面形状が円
弧形状をしており、かつ少なくとも放電に対応する部分
に複数の開孔が設けられているとともに、前記円弧形状
電極の放電面とは反対側に近接して誘電体を挟むように
補助電極を設けたものである。
【0104】請求項7の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電に対応する主電極の部分に設けた開孔の光軸方
向の長さを、主放電の生じる空間の光軸方向の長さより
も長くしたものである。
【0105】請求項8の発明に係る放電励起型レーザ
は、円弧形状電極の放電面とは反対側に沿って中空のパ
イプ形状の誘電体を配置し、このパイプ形状の誘電体内
部に補助電極を設置したものである。
【0106】請求項9の発明に係る放電励起型レーザ
は、ボート型形状の電極として、厚み0.1mm以上で
2mm以下の白金もしくは金、もしくは白金−ロジウム
合金あるいは0.1mm以上で1mm以下のロジウム、
ルテニウム、オスミウム、あるいは0.1mm以上で
0.5mm以下のイリジウムを用い、かつ、いずれの場
合も前記ボート型形状の電極の凹部の幅に対する深さの
比が1以下としたものである。
【0107】請求項10の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧を印加するための高電圧電源と、この高電圧
電源より充電されるコンデンサと、このコンデンサの電
荷を放電させるための高電圧スイッチとを備え、制御装
置から発生された制御信号を上記高電圧電源あるいは上
記高電圧スイッチに光ファイバを用いて伝達するもので
ある。
【0108】請求項11の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧を印加するための高電圧電源と、この高電圧
電源より充電されるコンデンサと、このコンデンサの電
荷を放電させるための高電圧スイッチと、上記高電圧電
源あるいは上記高電圧スイッチを制御するための信号を
発生する制御装置と、上記高電圧電源と上記高電圧スイ
ッチと上記コンデンサと上記放電部を電気的に接続する
ための電流路とアースを備え、上記のアースと上記の電
流路との接続箇所を1箇所以下にしたものである。
【0109】請求項12の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧を印加するための高電圧電源と、この高電圧
電源より充電されるコンデンサと、このコンデンサの電
荷を放電させるための高電圧スイッチと、上記高電圧電
源あるいは上記高電圧スイッチを制御するための信号を
発生する制御装置と、上記高電圧電源あるいは上記の高
電圧スイッチに電力を供給するラインと、上記制御装置
に電力を供給するラインを備え、上記高電圧側の供給ラ
インと上記制御装置側の供給ラインの間にノイズを低減
するためのフィルタを備えたものである。
【0110】請求項13の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧を印加するための高電圧電源と、高電圧電源
より充電されるコンデンサと、このコンデンサの電荷を
放電させるための高電圧スイッチ、上記高電圧電源ある
いは上記高電圧スイッチを制御するための信号を発生す
る制御装置を備え、上記高電圧電源と上記電圧スイッチ
の間にインダクタンスを設けたものである。
【0111】請求項14の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧電源より充電されるコンデンサと、上記コン
デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、上
記高電圧電源あるいは上記高電圧スイッチを制御するた
めの信号を発生する制御装置とを備え、上記高電圧電源
と上記高電圧スイッチと上記放電部と上記コンデンサを
上記制御装置からシールドしたものである。
【0112】請求項15の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備えたもの
である。
【0113】請求項16の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備え、この
金属カバーの破った部分に屈曲部、または金属ハニカ
ム、または金属メッシュを設けたことものである。
【0114】請求項17の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、こ
の高電圧スイッチを通じて電流が流れる導電板からなる
電流ループに直交する向きに、前記高電圧スイッチおよ
び導電板と分離した複数の導体を設け、かつ、前記導体
を互いに接続したものである。
【0115】請求項18の発明に係る放電励起型レーザ
は、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、こ
の高電圧スイッチを通じて電流が流れる導電板を包含す
る金属容器を備え、この金属容器内を冷媒で満たしたも
のである。
【0116】請求項19の発明に係る放電励起型レーザ
は、ビームの発散角を制限するために、光共振器内にエ
タロンを、エタロン反射面の法線と光軸のなす角θがと
なるように傾けて挿入したものである。
【0117】請求項20の発明に係る放電励起型レーザ
は、光共振器内にエタロンを放電の方向に光軸に対して
傾けて挿入したものである。
【0118】請求項21の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザビームの発散角を制限するために、光共振器
内の反射鏡近傍にレーザビームの口径を制限するアパー
チャを設けたものである。
【0119】請求項22の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザビームの発散角を制限するために、光共振器
内の反射鏡近傍にレーザビームの口径を制限するアパー
チャを設け、このアパーチャの口径dをd<0.008
・Lとしたものである。
【0120】請求項23の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザガスを励起し光を発生させる放電励起部の幅
Dと光共振器の長さLの関係を、D<0.008・Lと
したものである。
【0121】請求項24の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザビーム軸と平行な複数の薄板により形成され
たブラインドアパーチャを、放電部と上記レーザ窓の間
に配設したものである。
【0122】請求項25の発明に係る放電励起型レーザ
は、NiあるいはAlあるいはPtあるいは、これらの
合金で形成された複数の薄板をレーザビーム軸と平行に
構成されたブラインドアパーチャを、上記放電部と上記
レーザ窓の間に配設したものである。
【0123】請求項26の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザビーム軸と平行で、かつ、多数の穴を有する
複数の薄板により構成されたブラインドアパーチャを、
上記放電部と上記レーザ窓の間に配設したものである。
【0124】請求項27の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間に配設したアパーチャを備
え、このアパーチャと上記レーザ窓との間に該アパーチ
ャの口径よりも大きな断面積の拡大室を設けたものであ
る。
【0125】請求項28の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間に配設したアパーチャを備
え、このアパーチャと上記レーザ窓との間に該アパーチ
ャの口径よりも大きな断面積の拡大室を設け、この拡大
室内のレーザガスを上記チャンバに戻すガス循環パスを
該拡大室に設けたものである。
【0126】請求項29の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間のレーザビーム中に配設して
レーザビームを通過させるアパーチャを備え、このアパ
ーチャをはさんで両側にガス吹き出し部とガス吸引部を
設けたものである。
【0127】請求項30の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間のレーザビーム中に配設して
レーザビームを通過させるアパーチャを備え、このアパ
ーチャをはさんで両側にガス吹き出し部とガス吸引部を
設け、このガス吹き出し部またはガス吸引部にガス中の
不純物除去機構を接続したものである。
【0128】請求項31の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間のレーザビーム中に配設して
レーザビームを通過させるアパーチャを備え、このアパ
ーチャにガス吹き付け機構を設けたものである。
【0129】請求項32の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間のレーザビーム中に配設して
レーザビームを通過させるアパーチャを備え、このアパ
ーチャを振動させる駆動部を設けたものである。
【0130】請求項33の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電部とレーザ窓の間の空間にアパーチャを脱着自
在に取付け、前記アパーチャと放電空間との間に手動ま
たは自動的に開閉し放電空間の気密を保つためのバルブ
を装着したものである。
【0131】請求項34の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電が生じる空間と前記レーザ窓の間の空間にアパ
ーチャを脱着自在に取付け、前記アパーチャと放電空間
との間に手動または自動的に開閉し該放電空間の気密を
保つためのバルブを装着し、前記レーザ窓とバルブの間
にガス吸気機構、あるいはガス供給機構を設けたもので
ある。
【0132】請求項35の発明に係る放電励起型レーザ
は、放電が生じる空間と前記レーザ窓の間の空間にアパ
ーチャを脱着自在に取付け、前記アパーチャと放電空間
との間に手動または自動的に開閉し該放電空間の気密を
保つためのバルブが装着され、前記レーザ窓とバルブの
間に前記アパーチャあるいはミラーホルダ、あるいはチ
ャンバを加熱するヒータを設けたものである。
【0133】請求項36の発明に係る放電励起型レーザ
は、複数のレーザ窓を保持するスライド可能な窓ホルダ
と、上記窓ホルダによりレーザヘッド内部を気密状態に
保つための気密手段と、上記レーザヘッドと上記レーザ
窓との間にできる複数の空間をそれぞれ排気あるいは吸
気する吸排気機構を設けたものである。
【0134】請求項37の発明に係る放電励起型レーザ
は、複数のレーザ窓を保持するスライド可能な窓ホルダ
と、上記窓ホルダによりレーザヘッド内部を気密状態に
保つための気密手段と、上記レーザヘッドと上記レーザ
窓との間にできる空間を排気あるいは吸気する吸排気機
構と、上記レーザ窓を交換する際、上記レーザヘッドの
気密を保つ平坦面を上記窓ホルダに設けたものである。
【0135】請求項38の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザ窓とは別に、レーザビームの面積の複数倍の
面積を持つレーザ窓をレーザヘッド内で上記レーザ窓の
レーザガス側に設けるとともに、上記レーザ窓を移動さ
せる移動機構を備えたものである。
【0136】請求項39の発明に係る放電励起型レーザ
は、レーザ窓とは別に複数個のレーザ窓をレーザヘッド
内で上記レーザ窓のレーザガス側に設けるとともに、上
記複数のレーザ窓を順次移動させる移動機構を備えたも
のである。
【0137】
【作用】請求項1の発明のおける電極は、中空のボート
型電極としたことにより、消耗が少なく、ピンホールや
クラックがなく、信頼性が向上する。
【0138】請求項2の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の内部に熱伝導性の良い材料を充填したこと
により、電極の温度上昇を押されることができる。
【0139】請求項3の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の内部にガスを循環させることにより、電極
の冷却効果が向上する。
【0140】請求項4の発明における電極は、中空のボ
ート型電極に鍔を設けたことにより、電極の固定が容易
である。
【0141】請求項5の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の鍔と電極曲面部との接合部分を該電極曲面
部とは反極性の曲率を有する曲面としたことにより、押
し型で電極を整形する時の凹部のストレスを著しく緩和
し、放電電極断面の製作精度を向上させることができ
る。
【0142】請求項6の発明における電極は、円弧形状
電極の放電面とは反射側に近接して、誘電体を挟むよう
に補助電極を設けたことにより、電極幅方向の電界緩和
をスムースに行なうことができ、より安定な放電を形成
することができる。
【0143】請求項7の発明に於ける電極は、放電に対
応する部分に複数の開孔を設け、この開孔の光軸方向の
長さを主放電の生ずる空間の光軸方向の長さよりも長く
したことにより、主放電部の端部で起こりがちな強いス
トリーマ放電を予備電離で緩和することができる。
【0144】請求項8の発明における電極は、中空のパ
イプ形状の誘電体を配置し、このパイプ形状の誘電体内
部に補助電極を設置したことにより、請求項7の発明と
同様の作用、効果が得られる。
【0145】請求項9の発明における電極は、ボート型
形状の凹部の幅に対する深さの比が1以下としたことに
より、所望の電極形状精度が得られる。
【0146】請求項10の発明における放電励起型レー
ザは、制御装置から高電圧電源あるいは高電圧スイッチ
に信号を光ファイバを介して伝送することにより、制御
装置の誤動作の原因をなくすることができる。
【0147】請求項11の発明における放電励起型レー
ザは、大電流が流れる電流路とアースとの接続をなくす
るか、1箇所のみにしたことにより、制御装置の誤動作
を防止することができる。
【0148】請求項12の発明における放電励起型レー
ザは、高電圧側の電力供給ラインと制御装置の電力供給
ラインの間にフィルタを設けたことにより、高圧電源あ
るいは高電圧スイッチの回路内に生じた起電力が制御装
置に達するのを防ぐことができる。
【0149】請求項13の発明における放電励起型レー
ザは、高電圧電源と高電圧スイッチの間にインダクタン
スを設けたことにより、高電圧電源や高電圧スイッチに
生じる起電力を低くすることができる。
【0150】請求項14の発明における放電励起型レー
ザは、高電圧回路と制御装置の間にシールドを設けたこ
とにより、磁力線が制御装置にある第2のループを貫く
ことをなくする。
【0151】請求項15の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電
圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲に金属カ
バーを設けたことにより、前記高電圧スイッチを通じて
流れる電流が原因で生じるノイズが該高電圧スイッチや
励起回路の外部に伝わるのを防ぐことができる。これに
より、レーザ装置の制御系の誤動作を防ぐことができ
る。
【0152】請求項16の発明における放電励起型レー
ザは、金属カバーの一部を破り、破った部分に屈曲部、
または金属ハニカム、または金属メッシュを設けたこと
により、この部分から冷却用の空気、水、あるいは油な
どの冷媒を通して高電圧スイッチの冷却を行なうことが
できる。
【0153】請求項17の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電
圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲に複数個
の金属板を設け、前記複数の金属板を接合導体でつない
だことにより、前記高電圧スイッチを通じて流れる電流
が原因で生じるノイズが高電圧スイッチや励起回路の外
部に伝わるのを防ぐことができる。これにより、レーザ
装置の制御系の誤動作を防ぐことができ、前記複数の金
属板の接合導体間に隙間を設けることが可能となり、こ
の隙間から冷却用の空気、水、あるいは油などの冷媒を
通して前記高電圧スイッチの冷却を行なうことができ
る。
【0154】請求項18の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電
圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲を、内部
を冷媒で満たした金属で覆ったことにより、前記高電圧
スイッチを通じて流れる電流が原因で生じるノイズが該
高電圧スイッチや励起回路の外部に伝わるのを防ぐこと
ができる。これにより、レーザ装置の制御系の誤動作を
防ぐことができ、内部を冷媒で満たした金属により該高
電圧スイッチの冷却を行なうことができる。
【0155】請求項19の発明における放電励起型レー
ザは、エタロン反射面の法線と光軸のなす角θとしたエ
タロンを共振器内に挿入したことにより、エタロンがレ
ーザ光の発散角を制限する素子として働き、レーザ光の
発散角を2mrad以下に小さくすることができる。
【0156】請求項20の発明における放電励起型レー
ザは、エタロンを放電の方向に光軸に対して傾けて共振
器内に挿入したことにより、エタロンがレーザビームの
発散角を制限する素子として働き、放電電極で光が反射
することによって、光が特に広い発散角を持つ放電方向
について、レーザビームの発散角を小さくすることがで
きる。
【0157】請求項21の発明における放電励起型レー
ザは、光共振器内の反射鏡近傍にレーザビームの口径を
制限するアパーチャを設けたことにより、高品質のビー
ムを得ることができる。
【0158】請求項22の発明における放電励起型レー
ザは、アパーチャの口径dをd<0.008・Lとする
ことにより、高精度での加工を可能にすることができ
る。
【0159】請求項23の発明における放電励起型レー
ザは、放電部の幅DをD<0.008・Lとすることに
より、上記請求項22の発明と同様の作用、効果が得ら
れる。
【0160】請求項24の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム軸と平行な複数の薄板により形成さ
れたブラインドアパーチャを、上記放電部と上記レーザ
窓の間に配設したことにより、レーザ窓の汚れを防ぎ、
レーザ窓の寿命を延ばすことができる。
【0161】請求項25の発明における放電励起型レー
ザは、ブラインドアパーチャをNi,Al,Ptのいず
れか、これらの合金で構成したことにより、レーザガス
におかされない。
【0162】請求項26の発明における放電励起型レー
ザは、ブラインドアパーチャを多数の穴を有する薄板に
より構成したことにより、ガス流を防ぐ能力が増大す
る。
【0163】請求項27の発明における放電励起型レー
ザは、アパーチャとレーザ窓との間に該アパーチャの口
径よりも大きな断面積の拡大室を設けたことにより、衝
撃波を和らげ、スパッタされた物質のトラップ効果を著
しく改善できる。
【0164】請求項28の発明における放電励起型レー
ザは、アパーチャとレーザ窓との間に設けた拡大室内の
レーザガスを上記チャンバに戻すガス循環パスを設けた
ことにより、レーザ窓保護の効果を著しく高めることが
できる。
【0165】請求項29の発明における放電励起型レー
ザは、放電が生じる空間とレーザ窓の間のレーザビーム
中に、開口部をもちレーザビームを通過させるアパーチ
ャを設け、前記アパーチャをはさんで両側にガス吹き出
し部とガス吸引部を設けたことにより、放電時の電極間
のガスの膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより
生じた微粉末が部分反射鏡や全反射鏡に到来し、付着す
るのを防ぐとともに、前記アパーチャに微粉末が蓄積す
るのを防ぐことができる。さらにガス吸引部から前記微
粉末をチャンバ外に取り出すことができるので、チャン
バ内に微粉末が蓄積するのを防ぐことができる。これに
より放電励起型レーザの出力低下を防止するとともに保
守時間を短縮することができる。
【0166】請求項30の発明における放電励起型レー
ザは、上記アパーチャをはさんで両側にガス吹き出し部
とガス吸引部を設け、前記ガス吹き出し部、またはガス
吸引部にガス中の不純物除去機構を接続したことによ
り、放電時の電極間のガスの膨張に伴い、電極間の塵や
放電スパッタにより生じた微粉末が部分反射鏡や全反射
鏡に到来し、付着するのを防ぐとともに、前記アパーチ
ャに微粉末が蓄積するのを防ぐことができる。さらにガ
ス吸引部から前記微粉末をチャンバ外に取り出すことが
できるので、チャンバ内に微粉末が蓄積するのを防ぐこ
とができ、前記ガス吹き出し部、またはガス吸引部に接
続したガス中の不純物除去機構により前記微粉末が再び
チャンバ内に戻るのを防ぐことができる。これにより放
電励起型レーザの出力低下を防止するとともに保守時間
を短縮することができる。
【0167】請求項31の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム中に設けたアパーチャにガスを吹き
付ける機構を設けたことにより、放電時の電極間のガス
の膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより生じた
微粉末が部分反射鏡や全反射鏡に到来し、付着するのを
防ぐとともに、前記アパーチャに微粉末が蓄積するのを
防ぐことができる。これにより放電励起型レーザの出力
低下を防止するとともに保守時間を短縮することができ
る。
【0168】請求項32の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム中に設けたアパーチャを振動させる
駆動部を設けたことにより、放電時の電極間のガスの膨
張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより生じた微粉
末が部分反射鏡や全反射鏡に到来し、付着するのを防ぐ
とともに、前記アパーチャに微粉末が蓄積するのを防ぐ
ことができる。これにより放電励起型レーザの出力低下
を防止するとともに保守時間を短縮することができる。
【0169】請求項33の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム中にアパーチャを脱着自在に取付
け、前記アパーチャと放電空間との間に手動または自動
的に開閉し該放電空間の気密を保つためのバルブを設け
たので、バルブを閉めてからアパーチャを取り外すこと
により、チャンバ内に外気を混入させずにアパーチャに
たまった塵や微粉末を取り除くことができる。これによ
り、レーザガスを無駄にしなくてすむ。
【0170】請求項34の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム中にアパーチャを脱着自在に取付
け、前記アパーチャと放電空間との間に手動または自動
的に開閉し該放電空間の気密を保つためのバルブを装着
し、レーザ窓と上記バルブの間にガス吸気機構、あるい
はガス供給機構を設けたことにより、バルブを閉めてか
らアパーチャを取り外し、チャンバ内に外気を混入させ
ずにアパーチャにたまった塵や微粉末を取り除くことが
できる。また、アパーチャの塵や微粉末を取り除き再び
該アパーチャを取り付けた時、バルブを閉めた状態でア
パーチャの真空引きをしたり、アパーチャのガスをレー
ザガスで何度か置換することができる。こうすることに
より、アパーチャ組み上げ時に外気がチャンバ内に混入
するのをより効果的に防ぐことができ、保守時間を短縮
することができる。
【0171】請求項35の発明における放電励起型レー
ザは、レーザビーム中にアパーチャを脱着自在に取付
け、前記アパーチャと放電空間との間に手動または自動
的に開閉し該放電空間の気密を保つためのバルブを装着
し、レーザ窓と上記バルブの間に前記アパーチャあるい
はミラーホルダ、あるいはチャンバを加熱するヒータを
設けたことにより、バルブを閉めてからアパーチャを取
り外し、チャンバ内に外気を混入させずにアパーチャに
たまった塵や微粉末を取り除くことができる。また、ア
パーチャの塵や微粉末を取り除き再びアパーチャを取り
付けた時、バルブを閉めた状態でアパーチャあるいはミ
ラーホルダ、あるいはチャンバをヒータで加熱すること
により、アパーチャあるいはミラーホルダ、あるいはチ
ャンバに付着した水分等の不純物を除去することができ
る。こうすることによりアパーチャ組み上げ時に不純物
がチャンバ内に混入するのをより効果的に防ぐことがで
き、保守時間を短縮することができる。
【0172】請求項36の発明における放電励起型レー
ザは、窓ホルダとレーザヘッド間の空間の排気吸気が可
能なようにしたので、外気がレーザヘッド内に混入した
り、レーザヘッド内のガスが漏れだして操作をしている
人の健康を害するということがなくなった。
【0173】請求項37の発明のおける放電励起型レー
ザは、窓ホルダとレーザヘッドの間にすきまがないよう
にしたことにより、外気がレーザヘッド内に混入した
り、レーザヘッド内のガスが漏れだして操作をしている
人の健康を害するということがない。
【0174】請求項38の発明における放電励起型レー
ザは、レーザヘッド内に広い領域を持つレーザ窓を設け
たので、このレーザ窓により圧力を保つ必要はなく薄く
て安価な材料でレーザ窓を構成できるようになる。ま
た、圧力加減室も不要になる。
【0175】請求項39の発明における放電励起型レー
ザは、複数個のレーザ窓をレーザヘッド内に順次移動可
能に設けたことにより、請求項38の発明と同一の作用
効果が得られるとともにレーザ窓の汚れを軽減すること
ができる。
【0176】
【実施例】
実施例1.現在まで、放電励起型レーザの電極消耗に関
して有効な材料はわかっていなかったが、図5に示す様
に、電極材料として白金、金、ロジウム、ルテニウム、
オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金属もしく
は、これらの内2つ以上の金属からなる合金、若しくは
白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白金−
ロジウム−酸化トリウム合金が有効であることを見い出
した。しかし、これらの金属は高価であり、従来の電極
の様にインゴットからの削り出しで製作したのでは非現
実的な価格となってしまう。
【0177】一方、従来の電極の上にコートしようとす
ると、コート部の厚みとして図5のデータから見て30
μm以上、望ましくは200μm以上の厚みが必要であ
るのに対し、メッキでは本質的に10μmの厚みまでし
かコートできない。無理に厚メッキを施すとクラックが
はいってしまう。また蒸着などの手段では、ピンホール
ができ、この中にトラップされた不純物によってレーザ
ガスの劣化が起こってしまう。このため、上記の様は材
料で信頼性の高い、かつ安価な電極をつくることはでき
なかった。
【0178】図1はこの発明による実施例1の電極形状
を示したものである。図において、13は放電にさらさ
れる電極表面、14はボート型電極、15はボート型電
極に設けられた鍔、アはボート型電極14と鍔15の接
合部である。材料は白金を用いており、その厚みは0.
5mmである。このボート型電極14はオス、メスの押
し型で製作し、0.5mm厚の白金板をプレス成形した
のもである。電極凹部の深さは5mmに設定した。この
深さは20mm以下にとどめるべきで、それ以上の深さ
に設定すると、白金板が延びに耐えきれず切れてしま
う。
【0179】この限界深さは電極形状や材料によって異
なるが、通常の放電励起型レーザにおける放電幅4〜4
0mm、ギャップ長5〜40mmに対応する電極形状
で、電極材料として白金、金、ロジウム、ルテニウム、
オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金属もしく
は、白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白
金−ロジウム−酸化トリウム合金を用いた場合には、こ
の限界深さは、凹部の幅に対する深さの比が1に近いポ
イントで決められることがわかった。この比として、1
以上に成るような形状を設計した場合、いずれの場合も
電極形状精度が±200μ以上となってしまい、電極と
して仕様出来ないか、最悪の場合は上記の様に金属材料
が延びに耐えきれずに切れてしまう事が分かった。これ
らの金属のうち2種以上の合金を用いた場合もほぼ同様
であると考えられる。
【0180】
【表1】
【0181】表1は厚みと電極放電面の面粗さとを示し
たものである。放電を電極間に均一に起こすためには、
電極長手方向の面粗さとして±200μm以下であり、
できれば±100μm以下が望ましい。表1から明らか
な様に実用的なボート型電極を作るためには、0.1m
m以上の厚みが必要である。
【0182】一方、厚過ぎると、プレス整形時の復元力
(プレス整形前の形状に戻ろうとする力)が強くなるた
め、設計どおりの形状をつくることができなくなってし
まう。上記材料毎に試作した結果、白金、金、白金−ロ
ジウム合金、金−ロジウム合金の場合で2mm、ロジウ
ム、ルテニウム、オスミウムの場合で1mm、イリジウ
ムの場合で0.5mmが上限の厚みであった。
【0183】また、図1に示すようにボート型電極14
と鍔15の接合部アに凹部の曲率とは反対の曲率で曲面
を設けることにより、押し型で電極を整形する時の凹部
のストレスを著しく緩和し、放電電極断面の製作精度を
向上させることができる。放電を幅方向に均一に起こす
ためには、±50μm以下の精度が必要である。
【0184】
【表2】
【0185】表2は白金を材料とした際に、曲率半径
0.5mmの曲面、曲率半径2mmの曲面、曲面を設け
なかった場合の3ケースについて、放電にさらされる電
極表面13の製作精度を示す。この表2より、すくなく
とも0.5mm以上の曲率半径の曲面を設けた方が良い
ことがわかる。
【0186】ボート型電極の放電にさらされる電極表面
13の形状としては、チャン型、ロゴスキー型あるいは
これらを基準に変形させたもの、あるいは楕円、円の一
部等を用いることができる。
【0187】実施例2.図2は、この発明による実施例
2の電極形状を示したもので、上記ボート型電極の内部
に銅、アルミニウムなどのように、白金、金、ロジウ
ム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれ
かの金属もしくは、これらの内2つ以上の金属からなる
合金、等よりも熱伝導性の良い材料16を充填する事に
より構成された電極を示している。
【0188】放電が不安定になり、強いストリーマが混
在した放電になると、電極表面の温度が上昇し、熱的に
電極材料である金属の表層が溶融もしくは、昇華する事
による電極の消耗が無視できなくなる。これに対して
は、出来るだけ電極の温度上昇を押さえることが有効で
ある。
【0189】
【表3】
【0190】表3は、ボート型電極材料に白金(熱伝導
率0.17cal/cm・℃。sec)を用い、その内
部にアルミニウム(熱伝導率0.53cal/cm・℃
・sec)を充填した構造にした場合の電極消耗量を示
したもので、均一なグロー状放電下では大きな差異は見
られないが、ストリーマが混在した放電下では大きな差
異が確認できる。
【0191】電極材料に金を用いる場合は、そもそも金
の熱伝導率が0.71cal/cm・℃・secと高い
ため、熱伝導は電極に沿って有効におこなわれるが、ボ
ート型電極14の凹部を金属16で充填する事により、
凹部内部におけるガス中の熱伝導を金属媒質で置き換え
られる事になり、冷却効果は著しく向上する。
【0192】凹部内部のガス中の熱伝導を促進する意味
で、凹部にガスが滞留しないようにガスを循環させる事
は有効である。
【0193】実施例3.図3はこの発明による実施例3
の電極形状を示したもので、図3(a)は斜視図、図3
(b)は側面図である。
【0194】電極対の内、一方のボート型の電極14を
開孔電極10とした場合、従来のように平板の開孔電極
を用いる場合に比べて、電極幅方向の電界緩和をスムー
スに行なうことができ、より安定な放電を形成すること
ができる。開孔電極材料は上記した材料を用い、断面形
状は円弧型であるが、光軸方向は上記のボート型電極1
4と異なり電極長手方向の両端部は電界を徐々に緩和す
る構造になっていない。これは誘電体の設置および補助
電極との間の絶縁性を考慮したためである。
【0195】この電界緩和は主放電部の端で強いストリ
ーマ放電が発生する事を防ぐために行なわれている。本
実施例3では、電極長手方向の電界緩和は、もう一方の
ボート型電極14が、その役割を担っている。ただし、
開孔部を主放電部よりも長く設けることにより、主放電
部の端部で起こりがちな強いストリーマ放電を予備電離
で緩和する工夫をしてある。
【0196】尚、断面形状を円弧型と記述したが、この
円弧形状は、チャン型、ロゴスキー型あるいはこれらを
基準に変形させたもの、あるいは楕円、円の一部等であ
ってよいものである。
【0197】図4は上記ボート型電極14の固定構造を
示したもので、図4(a)は分解斜視図、図4(b)は
固定状態の横断面図である。図4において、17は取付
けネジ、18はボート型電極14の両側に形成された鍔
15,15にあけられたネジ挿通穴、19は台座、19
a,19aは台座19の両側に設けたネジ穴である。
【0198】従って、図4(b)に示すように、台座1
9にボート型電極14を重ね合せ、取付けネジ17を挿
通穴18,18に通してネジ穴19a,19aにねじ込
んで、ボート型電極14を台座19に固定することがで
きる。
【0199】実施例4.図6はこの発明の実施例4を示
す回路図であり、以下、この発明の一実施例を図につい
て説明する。図6はこの発明をエキシマレーザに適用し
た場合の実施例を示すもので、21は高電圧電源、22
は充電用のリアクトル、23はリアクトル22に直列に
接続された充電用のコンデンサ、24は放電用の一対の
電極を備えた放電部、25はレーザ光、26は電流路、
27は放電部24と並列に接続され、コンデンサ23か
ら電荷が転送されるコンデンサ、28は高電圧電源21
とコンデンサ23との接続点と高電圧電源21の他端と
の間に接続された電荷転送用の高電圧スイッチ、29は
充電開始信号やスイッチング開始信号を送るための制御
装置、30a,30bは信号を伝送するためのケーブ
ル、Eはアースである。
【0200】次に動作について説明する。高電圧スイッ
チ28がOFFの状態で制御装置29より充電開始指令
が高電圧電源21に入力されると、先ず、高電圧電源2
1−リアクトル22−コンデンサ23−高電圧電源21
の充電ループが形成されてコンデンサ23が充電され
る。
【0201】次いで高電圧スイッチ28が点弧すると、
コンデンサ23−高電圧スイッチ28−コンデンサ27
の電荷移行ループが形成されて、コンデンサ23の電荷
がコンデンサ27に移行する。これに伴い、コンデンサ
27の両端電圧、即ち、放電部24内にある一対の電極
間の電圧が上昇し、放電開始電圧に達すると電極間に放
電が生じる。この放電により媒質が励起され、その際に
パルス状のレーザ光25が発生する。この回路上の動作
は、図65の従来例で述べたものと同様である。
【0202】このような過程で放電回路にあるループに
は大電流が流れ、磁束が発生する。この磁束が第2のル
ープを横切ると、このループに起電力が生じて誤動作の
原因となる。特に制御装置は扱う電圧が数ボルトと低い
ので、起電力により誤動作が起こりやすい。そこで第2
のループを形成する信号線を光ファイバとして電気的に
絶縁した。この結果、第2のループが形成できず、誤動
作を受けることがなくなった。
【0203】このように、光ファイバで第2のループを
切断すれば起電力は発生しないから第1のループをシー
ルドする必要は特になく、簡単な構成で誤動作を防ぐこ
とができる。
【0204】光ファイバからの信号を受けて高電圧電源
21や高電圧スイッチ28を動作させるためには、おの
おのの装置の中に光信号を再び電気信号に変換するため
の光電変換装置が必要となる。この光電変換装置は起電
力の影響を受けることになるが、高電圧電源21あるい
は高電圧スイッチ28のアースEと電位を等しくするこ
とにより電位差を保つことができる。
【0205】光ファイバを用いると、高電圧電源21や
高電圧スイッチ28の浮遊のインダクタンスにより生じ
た電圧を絶縁する効果もある。また、磁力線の影響が小
さい場合には光ファイバではなく、信号線の両端あるい
は片方にフォトカプラを用いて絶縁してもよい。この場
合フォトカプラを駆動する電源やアースを高電圧側と制
御装置側で分ける必要がある。
【0206】また、上記浮遊のインダクタンスによる電
位により制御装置が誤動作することを防ぐために、大電
流が流れる電流路26を高電圧電源21や放電部24の
アースから分離したので、アースに電位が生じることが
なく、制御装置を誤動作させることがない。
【0207】実施例5.図7はこの発明の実施例5を示
す回路図であり、アースと電流路は完全に分離するか、
図7に示すように、電流路26は高電圧電源21あるい
は放電部24のいずれか1箇所だけでアースに落してお
く。電流路26との接続が1箇所であれば、アースに電
流が流れることはなく、誤動作を生じない。
【0208】実施例6.図8はこの発明の実施例6を示
す回路図であり、一つの電力供給ラインから高電圧電源
21や高電圧スイッチ28の電力供給ライン32aと制
御装置の電力供給ライン32bを得るために、ノイズを
吸収するためのラインフィルタ33a,33bを各ライ
ンあるいはいずれかのラインに挿入したものである。
【0209】これは、高電圧電源21あるいは高電圧ス
イッチ28の回路内に生じた起電力が電力供給ラインを
伝わって制御装置に達するのを防ぐものである。この場
合の起電力は供給ラインの総ての線に同じ位相で生じる
ことが多いため、フェライトコアにラインを巻き付ける
ことで対策できることが多い。
【0210】実施例7.図9はこの発明の実施例7を示
す回路図であり、高電圧電源21と高電圧スイッチ28
の間にインダクタンス34を設けたものである。これ
は、高電圧電源21−高電圧スイッチ28−高電圧電源
21のループに電流が流れる速度を遅くすることによ
り、高電圧電源21や高電圧スイッチ28に生じる起電
力を低くしようというものである。このインダクタンス
34はコンデンサ23と充電用のリアクトル22とで決
まる時定数をレーザの発振周波数より短くし且つ高電圧
電源21−高電圧スイッチ28−高電圧電源21のルー
プ時定数をコンデンサ23−高電圧スイッチ28−コン
デンサ27のループ時定数より長くしておけばよい。
【0211】実施例8.図10はこの発明の実施例8を
示す回路図であり、大電流が流れると予想されるところ
をシールドボックス35で覆い、制御装置29をこのシ
ールドボックス35の外に設けたものである。このシー
ルドボックス35により、磁力線が制御装置29にある
第2のループをつらぬくことがなくなる。
【0212】実施例9.図11はこの発明の実施例9を
示す回路図であり、シールドボックス36を制御装置2
9を覆うように設けたもので、このシールドボックスお
よび図10のシールドボックス35は必ずしも密閉構造
になっている必要はなく、放電回路の向きから考えて制
御装置29に磁力線が達しないよう遮っていればよい。
【0213】実施例10.図12はこの発明の実施例1
0をエキシマレーザに適用した場合を示すもので、図6
6、図67と対応する部分には同一符号を付して説明を
省略する。図12において、48は高電圧スイッチ28
を通じて電流が流れる導電板41〜43の周囲に設けた
金属カバーである。この金属カバー48はネジ49a〜
49dにて容器45に取付けられている。この金属カバ
ー48と容器45により、高電圧スイッチ28を通じて
電流が流れる導電板42は周囲を覆われている。
【0214】次に動作について説明する。まず前記図9
に示すように、高電圧スイッチ28がOFFの状態で高
電圧電源21が投入されると、先ず高電圧電源21−イ
ンダクタンス34−コンデンサ23−リアクトル22−
高電圧電源21の充電ループが形成されてコンデンサ2
3が充電される。次いで高電圧スイッチ28が点弧する
と、コンデンサ23−高電圧スイッチ28−コンデンサ
27の電荷移行ループが形成されて、コンデンサ23の
電荷がコンデンサ27に移行する。
【0215】これに伴い、コンデンサ27の両端電圧、
即ち、放電部24の中にある一対の電極間の電圧が上昇
し、放電開始電圧に達すると放電部24に放電が生じ
る。この放電により容器14内のレーザガスが励起さ
れ、その際にパルス状のレーザビーム25が発生する。
この回路上の動作は、図60の従来例で述べたものと同
様である。ここで、従来の装置では、コンデンサ23の
電荷がコンデンサ27に移行する際に生じる電流I1に
より生じた磁束がレーザ励起回路の外部に漏れ、前記磁
束が誘導する起電力により制御系が誤動作していた。
【0216】本実施例10では、金属カバー48と容器
45により、高電圧スイッチ28を通じて電流が流れる
導電板42の周囲が覆われているので、この部分を流れ
る電流によって生じる磁束は外部に出る前に金属カバー
48に侵入する。
【0217】ここで、一般に磁束はより透磁率の大きな
部分を通る性質がある。このため、前記磁束の大部分は
外部の大気よりも透磁率の大きな金属カバー48内を通
ることになる。図13はこの様子を図示している。図1
3は、図12におけるコンデンサ23−高電圧スイッチ
28−コンデンサ27の電荷移行ループの上から見た断
面図であり、47はこの電流ループにより生じた磁束で
ある。
【0218】本実施例10では、金属カバー48の内部
に磁気回路が形成され、磁束47の大部分は金属カバー
48の外部には出ない。また金属カバー48は金属導体
であるので、金属カバー48により静電シールドされ
て、電気力線が外部に出ることもない。金属カバー48
の材料には、静電シールドに対しては導電性の高い材
料、例えば、銅、アルミニウムなどが良く、磁束シール
ドに対しては、鉄、ステンレスなどの磁化しやすい材料
が良い。
【0219】図14(a)〜(e)は、それぞれ本実施
例における各部の電圧、電流波形図であり、図14
(a)はコンデンサ27の両端の電圧V2、図14
(b)はコンデンサ23からコンデンサ27への電荷の
移行に伴う移行電流I1,図14(c)はコンデンサ2
3の両端の電圧V1、図14(d)は過電圧検出回路3
4(図9参照)での充電電圧モニタ信号、図14(e)
は過電圧検出回路での過電圧検出信号を表わしている。
この図14(a)、(b)、(c)の動作は図68の場
合と同じである。ここで従来の装置の場合は図68に示
すように、過電圧検出回路540(図69参照)での充
電電圧モニタ信号Vmに過電圧検出設定値±Vsを越え
るノイズVnが混入し、制御系の誤動作の原因となって
いた。
【0220】これに対し、本実施例10の場合は上述し
たように、高電圧スイッチ28を流れる電流により生じ
る磁束が金属カバー48の外部に出るのを防いでいるの
で、過電圧検出回路34での充電電圧モニタ信号Vmに
混入するノイズVnを過電圧検出設定値±Vsより小さ
く抑えることができる。このため、図14に示すように
充電電圧モニタ信号Vmが過電圧検出設定値±Vsより
小さい場合には、過電圧検出回路34は過電圧検出信号
Vtを出力せず、高電圧電源21は通常の動作を続ける
ことができる。
【0221】上記実施例では、レーザ装置の制御系とし
て過電圧検出回路34を用いた場合について述べたが、
過電流検出回路、レーザ出力一定制御回路等、その他の
制御系を用いる場合についても同様であり、上記実施例
と同様の効果を奏する。
【0222】また上記実施例では、金属カバー48でレ
ーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電圧スイッ
チを通じて電流が流れる導電板を覆った場合について述
べたが、金属カバー48で高電圧スイッチ28を覆った
場合についても同様であり、上記実施例と同様の効果を
奏する。
【0223】また上記実施例では、高電圧スイッチ28
を複数の半導体スイッチを直並列接続して構成した例を
示したが、1個の半導体スイッチあるいは複数の高速ス
イッチング素子を直列接続、または並列接続して形成し
た高電圧スイッチを用いた場合も上記実施例と同様の効
果を奏する。
【0224】また上記実施例では、高電圧スイッチ28
として半導体スイッチを使用した例を示したが、サイラ
トロン等の真空管スイッチ、その他の高電圧スイッチを
用いた場合も上記実施例と同様の効果を奏する。
【0225】実施例11.上記実施例10では高電圧ス
イッチ28と該高電圧スイッチを通じて電流が流れる導
電板42の周囲を金属カバー48と容器45により完全
に覆ったものを示した。ところが完全に高電圧スイッチ
28を封入すると、高電圧スイッチ28の冷却の点で問
題が生じる場合がある。そこで、本実施例11はこの問
題点を解決するために金属カバー48の一部を破り、そ
こに屈曲部を設けたもので、この実施例11を図15、
図16に示す。
【0226】図15は図9におけるコンデンサ23−高
電圧スイッチ28−コンデンサ27の電荷移行ループを
上からみた断面図であり、50a,50bはそれぞれ金
属カバー48の一部を破りそこに設けられた屈曲部、5
1aは屈曲部50aの途中に設けられた排気用のファ
ン、51bは屈曲部50bの途中に設けられた吸気用の
ファンである。
【0227】図15の例では、金属カバー48の一部を
破り、そこに屈曲部50a,50bを設けているので、
この屈曲部を冷却用の空気が通り、高電圧スイッチ28
を冷却することができる。一方、直進性の高い電磁波は
この屈曲部50a,50bを通ることができない。この
ようにして本実施例11では金属カバー48の外部で電
磁波による制御系の誤動作が起こるのを防ぎ、かつ高電
圧スイッチ28を冷却することができる。
【0228】また上記実施例では、屈曲部50a,50
bを設けた金属カバー48でレーザ励起回路に用いる高
電圧スイッチ28と前記高電圧スイッチを通じて電流が
流れる導電体42を覆った場合について述べたが、図1
6に示すように屈曲部50a,50bを設けた金属カバ
ー48で高電圧スイッチ28のみを覆った場合も上記実
施例と同様の効果を奏する。
【0229】上記実施例では、金属カバー48の一部を
破り、そこに屈曲部50a,50bを設けたが、この屈
曲部の代わりに、金属カバー48を破った部分に金属メ
ッシュを用いてここで電磁波が減衰するようにしてもよ
い。図17はこの例を示したもので、図17にて52
a,52bは金属カバー48の一部を破りその部分に取
り付けた金属メッシュである。金属メッシュ52a,5
2bの外側にはそれぞれファン51a,51bを取り付
けてある。これら金属メッシュ52a,52b及び、フ
ァン51a,51bを通じて冷却用の空気が通り、高電
圧スイッチ28を冷却することができる。
【0230】上記実施例では、金属カバー48の一部を
破り、そこに屈曲部50a,50bを設けたが、この屈
曲部の代わりに、金属カバー48を破った部分に金属ハ
ニカムを用いてここで電磁波が減衰するようにしてもよ
い。図18はこの例を示したもので、図18にて53
a,53bは金属カバー48の一部を破りその部分に取
り付けた金属ハニカムである。金属ハニカム53a,5
3bの外側にはそれぞれファン51a,52bを取り付
けてある。これら金属ハニカム53a,53b及びファ
ン51a,51bを通じて冷却用の空気が通り、高電圧
スイッチ28を冷却することができる。
【0231】上記実施例では高電圧スイッチ28を空気
で冷やす例を示したが、金属カバー48、及び屈曲部5
0a,50bに水、油などの冷媒を通してもよく、上記
の各実施例と同様の効果を奏する。
【0232】実施例12.図19のような平板状の高電
圧スイッチ28は電流帰還導板と一組になってループを
形成している。この場合、磁力線の方向はこのループに
対してほぼ一方向に出現する。そこで、図20に示すよ
うに、高電圧スイッチ28の両端に磁力線の方向を遮る
ように電磁シールド54a,54bを設け、2つの電磁
シールドを接合金属55でつなぐことによって磁気回路
を形成する。その結果、ほとんどの磁力線はこの磁気回
路の中を通り外部に漏れない。このような構成の場合、
接合金属55にすきまを設けることが可能になり、この
隙間から高電圧スイッチ28を冷却することができる。
【0233】実施例13.図21は実施例13を示すも
のである。上記実施例11では高電圧スイッチ28と該
高電圧スイッチを通じて電流が流れる導電板42の周囲
を金属カバー48と容器45により完全に覆ったものを
示した。ところが完全に高電圧スイッチ28を封入する
と、高電圧スイッチ28の冷却の点で問題が生じる場合
がある。本実施例はこの問題点を解決するためのもの
で、図21において、56は内部に空洞をもつ金属カバ
ー、57は金属カバー56内部の空洞部に注入された冷
媒である。
【0234】図21の実施例では高電圧スイッチ28を
覆う金属カバー56の内部に空洞を設け、内部に冷媒5
7を満たしているので、高電圧スイッチ28で発生する
熱を前記金属カバー56を通じてとることができる。こ
こで高電圧スイッチ28の周囲にファンを設け、高電圧
スイッチ28の周囲の空気を金属カバー56の内面に送
るようにすると、冷却効果はより一層高まる。また金属
カバー56に冷媒出入り口を設け、冷媒57を外部に設
けた熱交換器で冷却しながら、熱交換器−金属カバー5
6間を循環させてもよい。
【0235】図22のように高電圧スイッチ28を電磁
シールド221により密閉構造にするとともに、磁気シ
ールド221内を冷媒222で満たす構成にしてもよ
い。さらに、この冷媒222の温度を外部で取るために
熱交換器223を設けると、冷媒効果はより一層高ま
る。電磁シールド221は熱の良導体で構成するのがよ
い。電磁シールド221内に冷媒222を攪拌するため
の機構を設ければさらに効率よく熱を奪うことができ
る。
【0236】実施例14.図23はこの発明の実施例1
4によるエキシマレーザの構成を示す図である。図にお
いて、61はレーザガスを励起して光を発生させる放電
部、62は全反射鏡、63は部分反射鏡、64は発散角
を制限する素子として用いられているエタロンである。
【0237】次に各部の動作について説明する。放電部
61にエネルギーが投入されると、強い光が発生する。
この放電部61をはさんで、全反射鏡62と部分反射鏡
63とからなる光共振器を構成すると、放電部61より
出た光は共振器中を何度も往復するようになる。その
際、光は放電部61により増幅され強いレーザビームと
なる。このレーザビームの一部は部分反射鏡63より光
共振器外に取り出される。このとき、エタロン64は発
散角を制限する素子としてはたらき、レーザビームが共
振器を往復しながら、エタロンを通過する度に大きな発
散角を持った成分が切り取られて、小さな発散角を持つ
レーザビームが取り出される。
【0238】エタロン64は、ギャップ間隔1、面反射
率R、ギャップ間の屈曲率n、入射角θ、光の波長λと
すると、「文献(AMNON YARIV 光エレクト
ロニクスの基礎(1988)第100−103頁)」に
示されたように
【0239】 T=(1−R)2 /(1−R)2 +4Rsin2 (δ/2)・・・・(4)
【0240】 δ=4πnlcosθ/λ ・・・・(5)
【0241】の様な透過率Tを持っている。δがδ=2
mπ(mは任意の整数)となっているときに透過率は1
となり、δの値がこの条件からずれると透過率が下が
る。ここでエタロン64への入射角θを大きくしていく
と(エタロンの傾き角を大きくすることに相当する)δ
の波長に対する変化率
【0242】 ∂δ/∂λ=4πnlcosθ/λ2 ・・・・(6)
【0243】は絶対値が次第に小さくなっていくのに対
し、δの入射角に対する変化率
【0244】 ∂δ/∂θ=4πnlcosθ/λ ・・・・(7)
【0245】は絶対値が次第に大きくなる。つまり入射
角θ(エタロン傾き角)が大きくなると、波長がわずか
に変化しても、δがほとんど変化しないため、光の透過
率がほとんど変わらなくなるのに対して、入射角θがエ
タロンを通過する光がある程度の発散角を持つことなど
によってわずかに変化したときには、δが大きく変化し
て透過率も大きく変化することになる。エタロン傾き角
を大きくするほど波長に対する分解能は低下し、入射角
に対する分解能は向上することがわかる。
【0246】図24にギャップ間隔1=500μmのエ
タロンを、波長λ=248nmの光が垂直に入射したと
き最大の透過率になるように設定したときの、波長λ、
入射角θに対するエタロン64の透過率の変化を示す。
図において、色の薄いところが透過率の高い領域であ
る。図24のAの領域は、入射角θが小さい、つまり、
エタロン傾き角が小さい領域であり、波長λに対する分
解能が良く、入射角θに対する分解能が悪くなってい
る。エタロン64を波長撰択素子として用いる時はこの
領域で用いられる。それに対してBの領域は、エタロン
傾き角が大きな領域であり、波長λに対する分解能は低
いが入射角θに対する分解能は高くなっている。
【0247】これまでエキシマレーザでは、エタロン6
4は波長撰択素子として用いられていたので、エタロン
傾き角はそれほど大きくとる事なく、波長λに対する分
解能が良く、入射角θに対する分解能が悪い、入射角θ
の小さな設定で用いられてきた。
【0248】ここでは、入射角θを十分大きく設定し
て、エタロン64を共振器内に挿入することにより、発
散角の大きな光がエタロン64を通過する際、大きな発
散角をもつ成分がエタロン64によって通過できなくな
り、十分に発散角の狭い光だけをとり出すことができ
る。
【0249】エタロン64の透過率が0.5となるよう
な発散角Φは上記の透過率の式より
【0250】
【数1】
【0251】の様に表すことができる。エキシマレーザ
の発散角は普通2mrad程度なので、Φは2mrad
以下にすれば発散角を制限する効果をエタロン64にも
たせることができる。このことからθは
【0252】
【数2】
【0253】を満たすように設定すれば、レーザ光の発
散角を小さくできる。
【0254】実施例15.図25はこの発明の実施例1
5によるエキシマレーザの構成を示す図である。エタロ
ン64を十分に傾けて共振器に挿入しても傾き方向と垂
直の方向には発散角を制限する効果はほとんどない。一
方エキシマレーザでは放電のための金属製の電極66に
共振器を往復する光が当って反射するため、放電方向は
それと垂直な方向と比較して、2倍程度発散角が大きく
なっている。
【0255】このことから、エタロン64によって発散
角を制限する効果のあるエタロン64の傾き方向を、発
散角のより大きな放電方向と一致させることによって、
効果的に発散角を制限することができる。また、エタロ
ン64を挿入する位置は共振器内のどこでもよい。
【0256】実施例16.図26はこの発明の実施例1
6によるエキシマレーザの構成を示す図であり、上記図
25と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略す
る。
【0257】以下、図26の各部の動作について説明す
る。放電部61にエネルギーが投入されると強い光が発
生する。放電部61を出た光は全反射鏡62と部分反射
鏡63からなる光共振器を往復するようになる。その
際、光は放電部61により増幅され、より強いレーザビ
ームとなる。このレーザビームの一部は部分反射鏡63
より光共振器外に取り出される。この際、アパーチャ6
5によって大きな発散角成分がカットされる。
【0258】ここで、安定型共振器の中で発散角をもっ
とも小さくできる反射鏡に平面鏡を用いた共振器を考え
る。はじめに放電部61から放出される光はすべての方
向に放出されるが、全反射鏡62と部分反射鏡63で反
射されて再び放電部61を通過する光だけが増幅されレ
ーザビームとなる。ここで、図27に示すように、共振
器内にアパーチャ65がある時は、さらにアパーチャ6
5によってレーザビームの進む方向が限定される。部分
反射鏡63から取り出されるレーザビームの発散角は最
後に通過したアパーチャ65によって決まり、はじめに
光が放出された位置から最後のアパーチャ65を見た時
の見込み角がレーザビームの発散角Φになる。このた
め、共振器から取り出されるレーザビームの発散角Φ
は、共振器長L、取り出されるまでの共振器往復回数
n、共振器内のアパーチャ65の口径dから
【0259】 Φ=2arctan(1/2d/(2nL))〜d/(2nL)…(10)
【0260】の様になる。エキシマレーザでは共振器2
往復程度でレーザビームが取り出されるので、共振器往
復回数nを2往復とすると、安定型共振器で発散角Φの
レーザビームを得るには
【0261】 d<4LΦ ・・・・(11)
【0262】の様な口径のアパーチャ65を用いれば良
い。
【0263】実施例17.図28はこの発明の実施例1
7によるエキシマレーザの構成を示す図であり、高密度
基板の穴開け加工等では、直径0.1mm以下の穴をあ
けることが要求されている。レーザビームを集光したと
きの集光径Dはレーザビームの発散角Φと集光レンズの
焦点距離Fによって次の様に決まる。
【0264】 D=F・sin(Φ) ・・・・(12)
【0265】集光レンズの焦点距離Fを小さくすれば集
光径Dは小さくなるが、焦点距離の短いレンズは収差が
大きくなることから、実用的には焦点距離Fが50mm
よりも小さいレンズは用いることができない。焦点距離
50mmのレンズで0.1mmの集光径に集光するため
にはレーザビームの発散θは2mrad以下でなければ
ならない。
【0266】発散角Φを2mradとすると、アパーチ
ャ65の口径dはd=0.008/Lとなる。そのた
め、加工用エキシマレーザではアパーチャ65の口径d
は0.008・L以下に設定しなければならない。
【0267】実施例18.図29はこの発明の実施例1
8によるエキシマレーザの構成を示す図である。放電部
61では、放電部61の外を通る光は増幅されないため
に、放電部61の幅を制限することによって、アパーチ
ャ65を挿入した時と同様にビーム幅を制限することが
できる。そのため、放電部幅Dを0.008・L以下に
設定することによって、口径dが0.008・L以下の
アパーチャ65を挿入したのと同様な効果を得ることが
でき、レーザビームの発散角を2mrad以下にするこ
とができる。
【0268】実施例19.図30はこの発明の実施例1
9を示す図であり、図30において、71はレーザガ
ス、72はチャンバ、73a,73b(総称して73と
称す)は電極、74は放電部、75はガス流、77はレ
ーザ窓、78レーザビーム、79はガスパイプ、80は
ブラインドアパーチャである。
【0269】次に動作について説明する。ガスレーザで
はレーザガス71がチャンバ72中に充填されている。
このチャンバ72中に2つの電極73a,73bを向か
い合わせて、その電極間で放電74を発生させると、レ
ーザガス71が励起され、レーザビーム78が発生す
る。このレーザビーム78はレーザ窓77を通ってチャ
ンバ72の外に放射される。
【0270】ところで、ガスレーザを長期間使用する
と、レーザ窓77が汚れてチャンバ72の外に取り出せ
るレーザビーム78の割合が低下するという問題が起こ
る。この汚れは放電の際にガス流75が発生し、このガ
ス流75が不純物をレーザ窓77の表面に運ぶことによ
り生ずる。
【0271】このガス流は特に指向性があるわけではな
く、広がりながらレーザ窓77に達する。一方、レーザ
ビーム78はせいぜい2mradの広がりしかなく、ほ
ぼ光軸に平行なままレーザ窓77に達する。そこで、薄
い板を光軸に平行に積み重ねてブラインドアパーチャ8
0を設けると、レーザビーム78はほとんど通すがガス
流75は通さないようにすることができる。レーザビー
ム78の一部は薄い板により遮られるが、板厚を例えば
100μm程度にすれば1ないし2cmの大きさをもつ
レーザビーム78に対してブラインドアパーチャ80に
より失われるエネルギーはわずかである。このブライン
ドアパーチャ80を放電部74とレーザ窓77の間に配
置すればよい。
【0272】ブラインドアパーチャ80はレーザガス7
1中に配置されるので、レーザガスにおかされない材料
であることが必要である。例えば、Ni,Al,Pt,
あるいはNi合金の薄い板あるいはアルミナなどのセラ
ミック、あるいは合成石英、CaF2 ,MgF2 などの
材料を用いる。あるいは不純物の主な成分である金属粉
を除くためシート状の磁石を用いてもよい。この場合は
フッ化ニッケルあるいはフッ化マグネシウムのコーティ
ングを施したほうがよい。
【0273】また、レーザビームの鏡面反射を防ぐため
に薄い板の表面を荒い面にするか図31のように多数の
穴80aをあけてもよい。穴をあけるとガス流75を防
ぐ能力を増すこともできる。
【0274】さらに、図32のように薄い板を積み重ね
る際に仕切り板80bを設けてもよい。このようにすれ
ば紙面内に広がるガス流も紙面に垂直に広がるガス流も
同時に遮ることができる。また、断面形状がハニカム状
にしてもよい。いずれにしてもブラインドアパーチャ8
0の壁が光軸と平行になるようにすればよい。
【0275】あるいは図33のように短冊状の薄板80
cを互いに並べてもよい。薄板80cのすきま80dよ
りガス流がもれるため、レーザ窓まで達する不純物を少
なくすることができる。また、図34のように従来のア
パーチャ580と併用してもよい。
【0276】さらに、図30のようにガスパイプ79を
用いて、清浄なガスをレーザ窓77側から導入すれば、
レーザ窓の保護にはより効果がある。
【0277】実施例20.図35はこの発明の実施例2
0を示す図であり、上記図30と同一部分には同一符号
を付して重複説明を省略する。81はアパーチャ、82
は拡大室である。
【0278】次に動作を説明する。放電部74によって
生成したガス流75の一部はアパーチャ81を通り抜け
て、流速は数十〜200m/sで筒部83をレーザ窓7
7方向に伝搬していく。しかし、拡大室82に入った所
で断面積の増加により流速が弱められる。ところで、通
常アパーチャ81の口径はレーザビーム78を通す程の
大きさに設定されており、例えば20mm×10mm程
である。
【0279】一方、不純物除去機構85からガスパイプ
79を通じて導入される混在不純物の少ないレーザガス
の量は通常10L/min程度であり、上記の口径から
換算すると、80m/s程度の流速のガス流で逆方向に
押し戻そうとしていることになる。
【0280】拡大室82の断面積を100mm×100
mmに取ったとすると、放電部74によって生成したガ
ス流75の流速は数〜40m/sに低減されることにな
り、その一部がアパーチャ81を通ってレーザ窓方向へ
向かおうとするが、上記の流速の比較から、不純物除去
機構85を経た混在不純物の少ないレーザガスによって
十分に押し戻すことが可能となる。
【0281】さらに、図36に示す様に、拡大室82内
のガス抜き部材86を該拡大室とチャンバ72を連通し
て設け、押戻したガス流を上記ガス抜き部材86を介し
てチャンバ72内に戻すようにしてもよい。
【0282】実施例21.図37はこの発明の実施例2
1を示す図であり、図37において、91はミラーホル
ダ95内にガスを導入するガス吹き出し部としてのガス
導入パイプ、99はチャンバ72からガスを外部に出す
ガス吸引部としてのガス排出パイプである。
【0283】次に動作について説明する。前述したよう
にレーザガスを充填したチャンバ72内に電極73a,
73bを配置した放電励起型レーザでは、電極73a,
73b間に放電を生じさせることによってレーザガス7
1を励起し、レーザビーム78を得る。この時、電極間
のガスの膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより
生じた微粉末が放電空間から外側に飛散する。これらの
塵や微粉末は様々な方向に進むが、例えば前記図26に
示す全反射鏡62や部分反射鏡63の方向に飛んだ物の
うち、レーザビーム78の光軸と平行に進む飛散物以外
はアパーチャ96の薄板に衝突し、速度を失う。従来の
装置ではこのようにレーザ装置の使用とともにアパーチ
ャ96の薄板に塵や微粉末がたまる現象がおこってい
た。
【0284】本実施例は、前記アパーチャ96をはさん
で両側にガス吹き出し部とガス吸引部を設けたものであ
る。図37にてガス導入パイプ91を通じてレーザガス
をミラーホルダ95内に導入する。これによりガス導入
パイプ91からアパーチャ96を通って放電部74に向
かうガス流が生じる。このガス流により、アパーチャ9
6上の塵や微粉末は吹き飛ばされて放電部74の方向に
向かう。ここで本実施例では、アパーチャ96をはさん
でガス吹き出し部と反射側にガス吸引部99を設けてい
るので、アパーチャ96上から吹き飛ばされた塵や微粉
末を含むレーザガスは放電部74には至らず吸引部99
に吸い込まれる。
【0285】以上のようにして、アパーチャ96上から
塵や微粉末を除去し、前記塵や微粉末がレーザ光を遮っ
たり散乱させてレーザ出力が低下するのを防ぐことがで
きる。それとともに、アパーチャ96上から吹き飛ばさ
れた塵や微粉末が放電部74に至ってレーザ励起用放電
に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0286】上記実施例では、アパーチャ96として図
81(a)に正面図を示したように、中空の円盤の中空
部に円盤面と垂直方向に平行に薄板を取付けた構造にな
っている物を用いたが、図82に正面図を示すように中
空の円盤の中空部に円盤面と垂直方向に交差する複数の
薄板を取付けた構造になっている物を用いても同様の効
果を奏する。
【0287】実施例22.図38はこの発明の実施例2
2を示す図である。実施例21に述べた放電励起型レー
ザでは、アパーチャ96上から吹き飛ばされた塵や微粉
末の処理は行なっていない。このため吹き飛ばされた塵
や微粉末はチャンバ72内に残り、再びアパーチャ9
6、部分反射鏡62の方向に飛来する可能性がある。ま
たチャンバ72内に残った塵や微粉末はレーザ励起用の
放電を不安定にする要因ともなり、レーザ動作に悪影響
を及ぼす可能性がある。
【0288】この問題を解決するために本実施例は、ア
パーチャ96をはさんで両側にガス吹き出し部101と
ガス吸引部102を設け、ガス吹き出し部101とガス
吸引部102とを接続するパイプ103の途中にガス再
生器104、フィルタ105、ポンプ106を設けたも
のである。
【0289】次に動作について説明する。ガス吹き出し
部101から吹き出したレーザガスは、アパーチャ96
上の塵や微粉末を吹き飛ばして放電部74の方向に向わ
せる。ここでアパーチャ96をはさんでガス吹き出し部
101と反対側にガス吸引部102を設けているので、
アパーチャ96上から吹き飛ばされた塵や微粉末を含む
レーザガスは放電部74には至らず吸引部102に吸い
込まれる。吸引部102にはパイプ103を通じてガス
再生器104に接続されており、このガス再生器104
において、吸引されたレーザガス中のレーザ発振に寄与
しない不純ガスが取り除かれる。さらに吸引されたレー
ザガスは次段のフィルタ105に導かれる。フィルタ1
05にてレーザガス中の塵や微粉末は除去され、ポンプ
106により再びガス吹き出し部101に送り出され
る。
【0290】以上のように本実施例22によれば、アパ
ーチャ96上から吹き飛ばされた塵や微粉末を除去する
ことができ、前記塵や微粉末がチャンバ72内に残って
再びアパーチャ96、部分反射鏡62の方向に飛来した
り、レーザ励起用の放電を不安定にすることを防ぐこと
ができる。なお上記実施例ではガス再生器104とフィ
ルタ105を用いる例について述べたが、フィルタ10
5のみを用いてもよい。
【0291】実施例23.図39はこの発明の実施例2
3を示す図である。本実施例は前記実施例22の構成に
おいて、アパーチャ96と放電部74の間のチャンバ内
面にガス流制御板110を取付けたもので、この場合、
ガス流制御板110がレーザ光を遮られないように該ガ
ス流制御板の高さを調整しておくことが必要である。
【0292】図39の構成においては、ガス吹き出し部
101から吹き出しガスは、アパーチャ96上の塵や微
粉末を吹き飛ばして放電部74の方向に向かう。その途
中でこのガス流制御板110に当り、吹き飛ばされてき
た塵や微粉末は速度を失い、吸引部102に吸い込まれ
てチャンバ外に出される。このようにして、ガス流制御
板110を設けることにより、より効果的にレーザガス
中に塵や微粉末を除去することができる。
【0293】実施例24.図40はこの発明の実施例2
4を示す図である。図40において、91a,91bは
それぞれミラーホルダ95に取付けられ、アパーチャ9
6に吹き付けるガスをミラーホルダ95内に導入するガ
ス導入パイプ、95a〜95gはそれぞれミラーホルダ
95内部に設けられたガス吹き付け用の穴である。
【0294】本実施例では、アパーチャ96に対するガ
スを吹き付ける機構を設け、アパーチャ96に塵や微粉
末がたまるのを防いでいる。ガス導入パイプ91a,9
1bを通じてレーザガスをミラーホルダ95内に導入す
る。図40に示す例ではミラーホルダ95内に複数個の
ガス吹き付け用の穴95a〜95gが設けられており、
これらの穴により導入されたガスはアパーチャ96の各
部分にわたって吹き付けられるように方向付けられる。
【0295】また、図40に示す実施例ではアパーチャ
96の薄板の一部が吹き付けガスの流れを妨げないよう
に、各薄板の長さを調整してある。以上のようにしてア
パーチャ96の各部分にガスが吹き付けられ、アパーチ
ャ96上の塵や微粉末は吹き飛ばされる。このようにし
て、薄板部にたまった塵や微粉末がレーザビームを遮っ
たり散乱させてレーザ出力を低下させることを防ぐこと
ができる。
【0296】実施例25.なお上記実施例25では、ミ
ラーホルダ95内に複数個のガス吹き付け用の穴95a
〜95gを設けたものを示したが、ミラーホルダ95内
にアパーチャ96にガスを吹き付けるためのガス導入路
107a,107bを設けてもよい。その実施例を図4
1に示す。
【0297】図41において、107はミラーホルダ9
5内に設けたガス導入路であり、その出口はアパーチャ
96に向いている。ガス導入パイプ91a,91bを通
じて導入されたレーザガスは、ガス導入路107a,1
07bでアパーチャ96の各部分にわたって吹き付けら
れるように方向付けられる。このようにしてアパーチャ
96の各部分にガスが吹き付けられ、アパーチャ96上
の塵や微粉末は吹き飛ばされる。以上のようにして、薄
板部にたまった塵や微粉末がレーザ光を遮ったり散乱さ
せてレーザ出力を低下させることを防ぐことができる。
【0298】実施例26.なお上記実施例26では、ミ
ラーホルダ95内に複数個のガス吹き付け用の穴95a
〜95gを設けたものを示したが、ガス導入パイプ91
a,91bの出口にガス流分岐板を設けても同様の効果
を奏する。その実施例を図42に示す。
【0299】図42において、108a,108bはガ
ス導入パイプ91a,91bの出口に対向して、ミラー
ホルダ95内に設けたガス流分岐板である。ガス導入パ
イプ91a,91bを通じて導入されたレーザガス流
は、ガス流分岐板108a,108bでアパーチャ96
の各部分にわたって吹き付けられるように分岐される。
このようにしてアパーチャ96の各部分にガスが吹き付
けられ、アパーチャ96上の塵や微粉末は吹き飛ばさ
れ,上記各実施例と同様にレーザ出力を低下させること
を防ぐことができる。
【0300】実施例27.図43はこの発明の実施例2
7を示す図である。図43において、121はアパーチ
ャ96を振動させる駆動部、122は駆動部121の振
動をアパーチャ96に伝える振動伝達部である。
【0301】次に動作について説明する。図43におい
て、駆動部121は例えば電動機等により振動を発生す
る部分である。この駆動部121は例えば棒状、または
板状等の形状をした振動伝達部122を通じてアパーチ
ャ96に接続されている。これによりアパーチャ96に
振動が伝わる。このようにしてアパーチャ96を振動さ
せることにより、アパーチャ96上の塵や微粉末をより
効果的に落とすことができる。また、前記図38に示し
たガス吹き付け機構、ガス中の不純物除去機構と併用す
れば塵や微粉末の除去が容易に行なえる。
【0302】実施例28.図44はこの発明の実施例2
8を示すものである。図43では駆動部121をチャン
バ72の外部に設けた例を示したが、本実施例は小型駆
動部122をチャンバ72やミラーホルダ95の内部に
設けたものである。図44では駆動部121はミラーホ
ルダ95内部の溝にはめ込まれており、この駆動部12
1とアパーチャ96は振動伝達部122で接続されてい
る。チャンバ72とミラーホルダ95の間の気密はOリ
ング123aにより保たれている。このように駆動部1
21をチャンバ72やミラーホルダ95の内部に設ける
ことにより、装置をコンパクトにできるとともに、Oリ
ングに触れる部分を振動させずにすみ、気密の維持をよ
り容易に行なうことができる。
【0303】実施例29.図45、図46はこの発明の
実施例29を示す図であり、前記図37乃至図44と同
一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図4
5において、131はチャンバ72とミラーホルダ95
の間に設けた空洞部、132はチャンバ72と空洞部1
31の間に設けたゲートバルブである。このゲートバル
ブ132は手動または自動的に開閉する。
【0304】次に動作について説明する。チャンバ72
内にレーザガスを充填し、チャンバ72内に電極73
a,73bを配置した放電励起型レーザでは、電極間に
放電を生じさせることによって、レーザガス71を励起
し、レーザビーム78を得る。この時、電極間のガスの
膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより生じた微
粉末が放電空間から外側に飛散する。これらの塵や微粉
末は様々な方向に進むが、全反射鏡62や部分反射鏡6
3の方向に飛んだ物のうちレーザビーム78の光軸と平
行に進む飛散物以外はアパーチャ96の薄板に衝突し、
速度を失う。従来の装置ではこのようにレーザ装置の使
用とともにアパーチャの薄板に塵や微粉末がたまる現象
が起っていた。
【0305】本実施例では、チャンバ72とアパーチャ
96の間にゲートバルブ132を設け、ゲートバルブ1
32の外側でアパーチャ96を取り外せる構造になって
いる。アパーチャにたまった塵や微粉末を取り除く際に
は、ゲートバルブ132を締めてチャンバ72内の気密
を保ち、その後でネジ134を外してミラーホルダ9
5、アパーチャ96を取り外す。こうすることにより、
チャンバ72内のレーザガスをそのままに保ったまま、
アパーチャ96にたまった塵や微粉末を取り除くことが
できる。このようにしてアパーチャにたまった塵や微粉
末を取り除く際にレーザガスを捨てなくてもよくなり、
レーザガスを無駄にしなくてもよい。
【0306】また例えばエキシマレーザのようにフッ
素、塩素などのハロゲンガスをはじめとする反応性の高
いガスをレーザガスとして用いるレーザでは、一旦チャ
ンバ内に外気を流入させると、外気中の水分等と反応し
てハロゲンガス等のレーザガス成分の減少や反応による
不純物質の生成が起こり、レーザ出力の低下を引き起こ
していた。この出力低下に対処するためには、チャンバ
72内で放電をさせてはレーザガスを何度も入れ替える
作業が必要で、多大なレーザガス消費および作業時間を
要求されていた。
【0307】本実施例では、アパーチャの塵や微粉末を
取り除く際にゲートバルブ132を閉じることにより、
外気がチャンバ内に流入するのを抑えることができる。
このため、チャンバ72内で放電をさせてはレーザガス
を入れ換える作業を何度も行なう必要がなく、レーザガ
ス消費および作業時間を大幅に縮小することができる。
【0308】上記実施例では、ゲートバルブ132を閉
めた後、アパーチャ96と同時に部分反射鏡63もチャ
ンバの気密を保ったまま取り外すことができる。このた
めチャンバ72内のレーザガスをそのままに保ったまま
部分反射鏡63のメンテナンスを行なうこともできる。
【0309】上記実施例では、アパーチャ96として、
前記図81(a)に正面図を示したように中空の円盤の
中空部に円盤面と垂直方向に平行に薄板を取付けた構造
になっている物を用いたが、図82に正面図を示すよう
に中空の円盤の中空部に円盤面と垂直方向に交差する複
数の薄板を取付けた構造になっている物を用いても同様
の効果を奏する。
【0310】実施例30.図47はアパーチャとして穴
あき円盤を用いたこの発明の実施例30を示す図であ
る。図47において、133a〜133dはそれぞれミ
ラーホルダ95内に設けた穴あきアパーチャ、134a
〜134dは穴あきアパーチャ133a〜133dにあ
けられた穴である。穴133a〜133dはレーザビー
ム78の断面よりも大きく、レーザビーム78はこの穴
133a〜133dを通じて全反射鏡62と部分反射鏡
63の間を往復する。
【0311】この穴あきアパーチャ133a〜133d
により、放電空間から全反射鏡62や部分反射鏡63の
方向に飛んだ不純物のうちレーザビーム78の光軸と平
行に進む飛散物以外は、穴あきアパーチャ133a〜1
33dの円盤部に衝突し、速度を失う。このように穴あ
きアパーチャ133a〜133dを設けたことにより、
放電空間から全反射鏡62や部分反射鏡63に到来する
飛散物を減らすことができ、部分反射鏡63の透過率減
少や全反射鏡62の反射率低下を抑えることができる。
【0312】しかし、この時、到来した飛散物は穴あき
アパーチャ133a〜133d内で落ち、次第にたまっ
ていく。そしてある程度たまると、チャンバ内にガス流
などにより舞いあげられ、放電空間やミラーの方向にた
だよい、レーザ励起用放電に悪影響をおよぼしたり、全
反射鏡62、部分反射鏡63の反射率を低下させる原因
となっていた。
【0313】そこで、本実施例ではゲートバルブを閉め
てチャンバ72内の気密を保ち、その後でネジ134を
はずしてミラーホルダ95、アパーチャ133a〜13
3dを取り外して、穴あきアパーチャにたまった塵や微
粉末を取り除くものである。こうすることにより、チャ
ンバ72内のレーザガスをそのままに保ったままアパー
チャ133a〜133dにたまった塵や微粉末を取り除
くことができるとともにレーザガスを捨てなくてもよく
なり、レーザガスを無駄にしなくてもよい。
【0314】実施例31.図48はこの発明の実施例3
1を示す図である。図48において、135はミラーホ
ルダ95に設けたガス給・排気口、136はガス給・排
気口135に取り付けたガスパイプ、137はガス給気
機構、138は真空ポンプ、139a,139bはそれ
ぞれガスパイプ136の途中に設けたバルブである。
【0315】次に動作について説明する。アパーチャ9
6を取り外して該アパーチャにたまった塵や微粉末を取
り除くまでの手順は実施例30と同様である。すなわ
ち、ゲートバルブ132を閉めてチャンバ72内の気密
を保ち、その後でネジ134を外してミラーホルダ9
5、アパーチャ96を取り外す。こうすることにより、
チャンバ72内のレーザガスをそのままに保ったままア
パーチャ96にたまった塵や微粉末を取り除くことがで
きる。
【0316】ここでアパーチャ96を再び装着する際、
実施例30ではミラーホルダ95、および空洞131内
に大気が残り、取付け後にゲートバルブ132を開いた
時、この大気がチャンバ72内に混入する可能性があ
る。特にミラーホルダ95、および空洞131内の容積
が大きい場合には混入する大気の量が大きく、レーザ出
力を低下させる原因となる。
【0317】この問題を解決するために本実施例では図
48に示すようにミラーホルダ95にガス給・排気口1
35を設け、その先にガスパイプ136、バルブ139
a,139bを介してガス給気機構137、真空ポンプ
138を接続している。これにより、アパーチャ46に
たまった塵や微粉末を取り除き再びアパーチャ96を装
着する際、ゲートバルブを開ける前に、バルブ139a
を閉めた状態でバルブ139bを開け、真空ポンプ13
8を動作させることによりミラーホルダ95、および空
洞131内に残った大気を除去することができる。この
ようにしてアパーチャ96を取付ける際にチャンバ72
内に大気が混入するのを防ぐことができる。
【0318】さらに図48ではガス給・排気口135に
ガス給気機構137が接続されていることにより、アパ
ーチャ96を装着してからゲートバルブ132を開ける
前にミラーホルダ95、および空洞131内を何度かレ
ーザガスで置換することができる。
【0319】エキシマレーザのようにフッ素、塩素など
のハロゲンガスをはじめとする反応性の高いガスをレー
ザガスとして用いるレーザでは、このようにミラーホル
ダ95、および空洞131内にレーザガスを入れるとミ
ラーホルダ95、および空洞131内の水分等とレーザ
ガスが反応し、不純物質を生成する。この後バルブ13
9aを閉じてバルブ139bをあけ真空ポンプ138を
動作させることにより、ミラーホルダ95、および空洞
131内の不純物質を外部に出すことができる。これを
何度か繰り返してミラーホルダ95、および空洞131
内に付着している水分等をより効果的に除去した後、ゲ
ートバルブ132を開ければ、チャンバ72内に混入す
る不純物質をより減少させることができる。
【0320】上記実施例ではガス給気機構137と真空
ポンプ138を設けた場合を示したが、真空ポンプ13
8のみを用いてもよい。
【0321】実施例32.図49はこの発明の実施例3
2を示す図である。図49において、140はミラーホ
ルダ95に取付けられたヒータである。
【0322】上記実施例では、アパーチャ取り付け時に
ミラーホルダ95、及び空洞131内に残る水分等をよ
り効果的に除去するために、ミラーホルダ95、及び空
洞131内を何度かレーザガスで置換する機構を設けた
が、図49に示すようにミラーホルダ95、空洞131
内、アパーチャ96を加熱するヒータを設け、この部分
を加熱すると、水分等の不純物を除去する効果はより一
層高まる。
【0323】エキシマレーザのようにフッ素、塩素など
のハロゲンガスをはじめとする反応性の高いガスをレー
ザガスとして用いるレーザでは、ミラーホルダ95、空
洞131内、アパーチャ96内に、ガス給・排気口13
5を通じてレーザガスを満たし、この部分をヒータ14
0で加熱して不純物とレーザガスを反応させた後にポン
プでこの部分を真空引きする。
【0324】この操作を何度か繰り返した後ゲートバル
ブを開ければ、チャンバ72内に混入する不純物質を極
めて少なくすることができる。またヒータ140を用い
てミラーホルダ95、空洞131内、アパーチャ96を
加熱すると、不純物とレーザガスの反応が早く進むた
め、不純物除去に要する時間が少なくてすみ、作業時間
を短縮することができる。
【0325】実施例33.図50乃至図52はこの発明
の実施例33を示す図であり、図50は横断平面図、図
51は縦断正面図、図52は窓を交換した縦断正面図で
ある。
【0326】図50乃至図52において、151a,1
51bはレーザ窓、152は窓ホルダ、153a,15
3bは窓押え、154はレーザヘッド、155はパッキ
ン、156はレーザビーム、157はくさび、158
a,158bは窓ホルダ152の貫通穴161a,16
1bに接続したパイプにして、この貫通穴161,16
1bは空間159a,159bに連通している。160
a,160bはパイプ158a,158bを通じて空間
159a,159bに供給されるパージガスである。
【0327】上記くさび157はパッキン155を押し
潰し、レーザヘッド4内を気密状態にしている。くさび
157を用いると、窓ホルダ152をスライドさせる
際、ねじをゆるめる必要がなく、取扱いが容易である。
他にもスライドする際に気密性を保てる構造であればな
んでもよい。
【0328】以下、レーザビーム156により、レーザ
窓151aが汚れた場合、このレーザ窓151aを新し
いレーザ窓151bに交換する手順を図53を用いて説
明する。まず、ステップST53−1でレーザ窓の交換
手順を開始し、ステップST53−2で空間159bに
残留しているガスをレーザに無害なガス(例えばヘリウ
ム、ネオンなどの希ガスや乾燥窒素、乾燥空気など水分
を含まないガス)に置き換える。実施例では空間159
bにガスを送り込むため、パイプ158bより無害なガ
スを導入する。このガスはレーザヘッド154と窓ホル
ダ152のすきまから漏れだし、同時に空間159bに
残留していたガスも排出する。159bの気密性が高け
れば排気後ガスを導入することにより、この操作をスム
ースに進めることができる。
【0329】次いで、ステップST53−3で空間15
9aに接続されたパイプ158aを封じきる。その際、
レーザヘッド154の内部を大気圧にしておいた方がよ
い。くさびを用いているので、この操作は必ずしも必要
ではないが、スライドを容易にするにはレーザヘッド1
54の内外の圧力差をなくすほうがよいからである。ス
テップST53−4では窓ホルダ152を紙上上方向に
スライドさせ、図52のような状態になるようにする。
スライドさせるにはねじなどを用いて紙面内の上下方向
に力を加えればよい。レーザ窓151bがレーザビーム
156を通過させることができる位置までスライドした
ら、窓ホルダを固定する。
【0330】ステップST53−5では空間159aに
残ったガスをパイプ158aで排気し、つづいて窓押え
153aをはずしてレーザ窓151aを取り出す。この
際、外気が空間159aに漏れ込むがかまわない。レー
ザ窓の汚れ具合によって、新しいレーザ窓151bに取
り替えるかクリーニングするかを判断し、ステップST
53−6で再びレーザ窓151aを固定する。ステップ
ST53−7ではレーザヘッド内のガスを置換して発振
の準備をする。
【0331】以上のステップにおいてステップST53
−2,4,7はこの順で行なわなければならないが、ス
テップ53−3,5,6はステップST53−2以後、
レーザ窓151bを交換するまでにこの順で行なえれば
よい。レーザ窓151bを交換する順序も同様である。
【0332】以上の実施例では2枚のレーザ窓について
考えたが、3枚以上のレーザ窓がある場合でも同様であ
る。
【0333】実施例34.図54は別の実施例34を示
した図である。この場合、少なくとも1枚のレーザ窓1
51を交換するために窓ホルダ152をスライドさせた
とき、窓ホルダ152の平坦な面がレーザヘッド154
のレーザ出射口にくるような構造になっておればよい。
【0334】レーザ窓151がレーザビーム156によ
り汚れた場合、レーザ窓151を新しいレーザ窓に交換
する手順を説明する。まず、レーザヘッド154の内部
を大気圧にしておく。この操作は必ずしも必要ではない
がスライドを容易にするにはレーザヘッド154の内外
の圧力差をなくすほうがよいからである。
【0335】ついで、窓ホルダ152を紙上上方向にス
ライドさせ、窓ホルダ152の平坦な面152aがレー
ザビーム出射位置までスライドしたら、窓ホルダ152
を固定する。その後、空間159に残ったガスをパイプ
158で排気し、つづいて無害なガス(例えばヘリウ
ム、ネオンなどの希ガスや乾燥窒素、乾燥空気等水分を
含まないガス)を空間159にほぼ大気圧になるまで封
入したのち窓押え153を外し、レーザ窓151取り出
す。この際空間159に漏れ込むがかまわない。レーザ
窓の汚れ具合によって、新しいレーザ窓に取り替えるか
クリーニングするかを判断し、汚れのないレーザ窓を窓
ホルダ152に固定する。
【0336】本実施例ではパイプ158より無害なガス
を空間159に導入しているが、この導入ガスはレーザ
ヘッド154と窓ホルダ152のすきまから漏れ出し、
同時に空間159に残留していたガスも排出する。空間
159の気密性が高ければ排気後ガスを導入することに
より、この操作をスムーズに進めることができる。
【0337】その後、再び窓ホルダ152をスライドさ
せ、レーザ窓151によりレーザビーム156を取り出
すことのできる位置(当初の位置)まで移動させる。こ
の際、外気の漏れ込みを防ぐため無害なガスを微量でも
導入しつづけた方がよい。その後、レーザヘッド154
内のガスを置換して発振の準備をする。
【0338】以上の実施例33,34ではレーザ窓を考
えたが、レーザ光共振器を構成する全反射鏡あるいは部
分反射鏡であっても同じである。また、この発明では直
線的にスライドさせることを考えたが、窓ホルダを回転
させることによりレーザ窓を交換できるようにしてもよ
い。
【0339】実施例35.図55はこの発明の実施例3
5を示すもので、図55において、171はレーザヘッ
ド、172は第1のレーザ窓、173は第2のレーザ窓
としての透明窓、174a,174bはレーザガス室、
175は圧力加減室、176は窓枠、177はパッキン
グ、178は窓枠176の周面に形成された歯車176
aと噛合する歯車、179は歯車178の回転軸180
に固定された移動用ノブである。次に本実施例の動作に
ついて説明する。本実施例ではレーザガス室174a,
174bを封じきる機能を透明窓173にもたせている
ため、従来例では圧力加減室であったところもレーザガ
ス室の一部174bであり、レーザガスが充満してい
る。この構成ではレーザ窓172には圧力がかからな
い。そこで、従来例より薄い窓を使うことが可能になっ
た。
【0340】レーザ窓172は歯車178と移動用ノブ
179により回動させることができるようになってい
る。移動用ノブ179はレーザヘッド171を貫通して
いるが、ここには円筒軸シールあるいは磁性流体シール
を用いてレーザガスを大気中に漏れださないようにして
いる。
【0341】レーザ窓172がレーザビーム156の大
きさの複数倍の大きさを持っていると、汚れる度にレー
ザビームの通過場所を変えて、レーザ出力を回復するこ
とができる。その結果、レーザ室を大気に開放すること
なく長い期間にわたってレーザを使用することが可能に
なった。
【0342】レーザ窓172はモータを利用して自動的
に回動させてもよいが、本実施例では移動の頻度が低い
ので、移動用ノブ179を手で回せばよい。また、この
実施例では歯車178を利用したが、窓をずらせる機能
であればなんでもよい。
【0343】図56乃至図60はレーザ窓172の例を
示したものである。図56は窓枠176に歯車とかみあ
わせるための歯中176aを設け、レーザヘッドの外か
ら歯車178を回すことによりレーザ窓172を平行に
ずらすことができる。
【0344】図57は回転させる例である。いずれの場
合でも特に長方形あるいは円形にこだわるものではな
く、また、ずらせる方向も斜めでもなんでもよい。窓の
広さがレーザビームより広く、ずらすことにより複数回
の使用が可能であればよい。
【0345】さらに図58,59は複数個の小さなレー
ザ窓172を窓枠176に固定したものである。これら
のレーザ窓には圧力を持たせていないので、このような
構成でも簡単に実現できる。一般に、小さなレーザ窓1
72a〜172d,172a〜172gを複数個使用す
るほうが大きな1枚のレーザ窓172を使用するより安
価になる。
【0346】図60は透明シート162を巻き取るよう
にしたものである。たとえば、ある種のフッ素系の樹脂
(例えば旭硝子製のサイトップ)はエキシマレーザのガ
スによる劣化が少ない上、非常に薄くできるので、光が
通過したとき、エキシマレーザの波長でも吸収がほとん
どない。
【0347】そこでこの樹脂をシート状にして巻き取っ
ておき、ビームが通過した箇所が汚れたら巻き上げて新
しい箇所を出すようにしたものである。この樹脂はCa
2やMgF2 に比べてさらに安価である。しかも、巻
取量を多くすれば、長期間にわたってレーザヘッド1の
内部を大気にさらすことなく使用することができる。
【0348】実施例36.図61はアパーチャユニット
181を取付けた実施例36を示すもので、このアパー
チャユニット181は例えば特開昭64−42188号
公報に示されている。レーザ窓172を汚す不純物の大
多数はガス流75により生成されるもので、放電部74
からレーザ窓172に向かって飛んできたものである。
しかしながら、この不純物の飛散方向はレーザビーム1
82に比べれば広がっている。
【0349】そこで、レーザビーム156の面積より少
し広いアパーチャユニット181を用いれば、飛散する
不純物のほとんどを防ぐことができ窓の汚れが減少す
る。図61にあるように複数のアパーチャ181a〜1
81dを用いてユニットを形成すれば、これらすべてを
通過する不純物しかレーザ窓172に達することができ
ず効果が増す。
【0350】現在使用していないレーザ窓の部分あるい
は複数個のレーザ窓の内、使用していないレーザ窓を汚
さないためにもアパーチャ181a〜181dは必要で
ある。アパーチャユニット181と移動するレーザ窓1
72を併用することにより、長期間にわたってレーザヘ
ッドの内部を大気にさらすことなく使用できる。さら
に、特公昭64−42188号公報に示されているガス
の吹き付け方向を併用することにより、レーザ窓172
を保護するようにすれば、使用期間をさらに延長するこ
とができる。
【0351】実施例37.図62はレーザガス室を17
4a,174bに二分して連絡管193で接続した実施
例37を示すもので、図62では連絡管の途中にダスト
フィルタ194を設けている。不純物の大部分はレーザ
ガス室174aから直接飛んでくるもので、レーザ窓1
72により防ぐことができるが、中にはガス状のフッ素
化合物となってただようものもある。これが透明窓17
3を汚すことがある。これを防ぐためにはレーザ窓17
2と透明窓173を密着すればよいのであるが、現実に
はレーザ窓172を密着でかつ移動可能にするのは難し
い。
【0352】そこで、レーザ窓172によりできたレー
ザガス室174bとレーザガス室174aを連絡管19
3で接続することにより圧力差をなくすとともに、連絡
管の途中にダストフィルタ194を設ける。これによ
り、透明窓173の汚れを軽減することができる。さら
に、連絡管193の途中に低温トラップ(図示せず)を
設けると不純物を完全に取り除くことができる。ここで
用いられたパッキン177は従来例のようにガスを封じ
きる能力はなくてもよく、不純物が透明窓に達しにくい
ようにすればよい。
【0353】あるいは特公昭64−42188号公報に
おける清浄なガスの吹き出し口はレーザガス室174b
の空間に設けてあってもよい。清浄なガスがこの空間を
満たすため、透明窓173の汚れの進行を遅らせること
ができる。この場合はパッキン177は不要であり、清
浄なガスがレーザ窓の周囲を通ってレーザガス室に入る
ようにする。また、特公昭64−42188号公報では
清浄なガスを得るため低温トラップを用いているが、1
ミクロン程度のダストトラップであっても同様の効果を
期待できる。
【0354】以上の実施例37における透明窓173に
レーザ光の一部あるいは全部を反射させるための反射コ
ートを施すことにより、レーザを発振させるための光共
振器を構成できるのはもちろんである。この場合、レー
ザヘッドの外に新たに光共振器を設ける必要がなく装置
を簡単にできる。
【0355】
【発明の効果】請求項1の発明における電極は、中空の
ボート型電極としたので、消耗が少なく、ピンホールや
クラックがなく、信頼性が向上する。
【0356】請求項2の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の内部に熱伝導性の良い材料を充填したの
で、電極の温度上昇を押されることができる。
【0357】請求項3の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の内部にガスを循環させる構成としたので、
電極の冷却効果が向上する。
【0358】請求項4の発明における電極は、中空のボ
ート型電極に鍔を設けたので、電極の固定が容易であ
る。
【0359】請求項5の発明における電極は、中空のボ
ート型電極の鍔と電極曲面部との接合部分を該電極曲面
部とは反極性の曲率を有する曲面としたので、押し型で
電極を整形する時の凹部のストレスを著しく緩和し、放
電電極断面の製作精度を向上させることができる。
【0360】請求項6の発明における電極は、円弧形状
電極の放電面とは反射側に近接して、誘電体を挟むよう
に補助電極を設けたので、電極幅方向の電解緩和をスム
ースに行なうことができ、より安定な放電を形成するこ
とができる。
【0361】請求項7の発明における電極は、放電に対
応する部分に複数の開孔を設け、この開孔の光軸方向の
長さを主放電の生ずる空間の光軸方向の長さよりも長く
構成したので、主放電部の端部で起こりがちな強いスト
リーマ放電を予備電離で緩和することができる。
【0362】請求項8の発明における電極は、中空のパ
イプ形状の誘電体を配置し、このパイプ形状の誘電体内
部に補助電極を設置したので、請求項7の発明と同様の
作用、効果が得られる。
【0363】請求項9の発明における電極は、凹部の幅
に対する深さの比が1以下としたので、所望の電極形状
精度が得られる。
【0364】請求項10の発明における放電励起型レー
ザは、制御装置から高電圧電源あるいはスイッチに信号
を光ファイバを介して伝送する構成としたので、制御装
置の誤動作の原因をなくすることができる。
【0365】請求項11の発明における放電励起型レー
ザは、大電流が流れる電流路とアースとの接続をなくす
るか、1箇所のみにしたので、制御装置の誤動作を防止
することができる。
【0366】請求項12の発明における放電励起がたレ
ーザは、高電圧側の電力供給ラインと制御装置の電力供
給ラインの間にフィルタを設けたので、高圧電源あるい
はスイッチの回路内に生じた起電力が制御装置に達する
のを防ぐことができる。
【0367】請求項13の発明における放電励起型レー
ザは、高電圧電源とスイッチの間にインダクタンスを設
けたので、高電圧電源やスイッチに生じる起電力を低く
することができる。
【0368】請求項14の発明における放電励起型レー
ザは、高電圧回路と制御装置の間にシールドを設けたの
で、磁力線が制御装置にある第2のループを貫くことを
なくする。
【0369】請求項15の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電
圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲に金属カ
バーを設けたので、前記高電圧スイッチを通じて流れる
電流が原因で生じるノイズが高電圧スイッチや励起回路
の外部に伝わるのを防ぐことができる。これにより、レ
ーザ装置の制御系の誤動作を防ぐことができる。
【0370】請求項16の発明における放電励起型レー
ザは、金属カバーの一部を破り、破った部分に屈曲部、
または金属ハニカム、または金属メッシュを設けたこと
により、この部分から冷却用の空気、水、あるいは油な
どの冷媒を通して前記高電圧スイッチの冷却を行なうこ
とができる。
【0371】請求項17の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと該高電
圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲に複数個
の金属板を設け、前記複数の金属板を接合導体でつない
だので、前記高電圧スイッチを通じて流れる電流が原因
で生じるノイズが高電圧スイッチや励起回路の外部に伝
わるのを防ぐことができる。これにより、レーザ装置の
制御系の誤動作を防ぐことができ、前記複数の金属板を
接合導体間に隙間を設けることが可能となり、この隙間
から冷却用の空気、水、あるいは油などの冷媒を通して
前記高電圧スイッチの冷却を行なうことができる。
【0372】請求項18の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ励起回路に用いる高電圧スイッチと前記高
電圧スイッチを通じて電流が流れる導電板の周囲を、内
部を冷媒で満たした金属で覆ったので、前記高電圧スイ
ッチを通じて流れる電流が原因で生じるノイズが高電圧
スイッチや励起回路の外部に伝わるのを防ぐことができ
る。これにより、レーザ装置の制御系の誤動作を防ぐこ
とができ、内部を冷媒で満たした金属により高電圧スイ
ッチの冷却を行なうことができる。
【0373】請求項19の発明における放電励起型レー
ザは、エタロンをエタロン反射面の法線と光軸のなす角
θが前記(4)式を満足するように共振器内に挿入した
ので、エタロンがレーザ光の発散角を制限する素子とし
て働き、レーザ光の発散角を2mrad以下に小さくす
ることができる。
【0374】請求項20の発明における放電励起型レー
ザは、エタロンを放電の方向に光軸に対して傾けて共振
器内に挿入したので、エタロンがレーザ光の発散角を制
限する素子として働き、放電電極で光が反射することに
よって光が特に広い発散角を持つ放電方向について、レ
ーザ光の発散角を小さくすることができる。
【0375】請求項21の発明における放電励起型レー
ザは、光共振器内の反射鏡近傍にレーザビームの口径を
制限するアパーチャを設けたので、高品質のビームを得
ることができる。
【0376】請求項22の発明における放電励起型レー
ザは、アパーチャの口径dをd<0.008・Lとした
ので、高精度での加工を可能にすることができる。
【0377】請求項23の発明における放電励起型レー
ザは、放電励起部の幅DをD<0.008・Lとするし
たので、上記請求項22の発明と同様の作用、効果が得
られる。
【0378】請求項24の発明における放電励起型レー
ザは、レーザ光軸と平行な複数の薄板により形成された
ブラインドアパーチャを、上記放電励起部と上記レーザ
窓の間に配設したので、窓の汚れを防ぎ、窓の寿命を延
ばすことができる。
【0379】請求項25の発明における放電励起型レー
ザは、ブラインドアパーチャをNi,Al,Ptのいず
れか、これらの合金で構成したので、レーザガスにおか
されない。
【0380】請求項26の発明における放電励起型レー
ザは、ブラインドアパーチャを多数の穴を有する薄板に
より構成したので、ガス流を防ぐ能力が増大する。
【0381】請求項27の発明における放電励起型レー
ザは、アパーチャとレーザ窓との間に該アパーチャの口
径よりも大きな断面積の拡大室を設けたので、衝撃波を
和らげ、スパッタされた物質のトラップ効果を著しく改
善できる。
【0382】請求項28の発明における放電励起型レー
ザは、上記拡大室内のレーザガスを上記チャンバに戻す
ガス循環パスを設けたので、レーザ窓保護の効果を著し
く高めることができる。
【0383】請求項29の発明における放電励起型レー
ザは、放電が生じる空間と前記レーザ光学部品の間のレ
ーザ光路中に、開口部をもちレーザ光を通過させるアパ
ーチャを設け、前記アパーチャをはさんで両側にガス吹
き出し部とガス吸引部を設けたので、放電時の電極間の
ガスの膨張に伴い、電極間の塵や放電スパッタにより生
じた微粉末が部分反射鏡や全反射鏡に到来し、付着する
のを防ぐとともに、前記アパーチャに微粉末が蓄積する
のを防ぐことができる。さらにガス吸引部から前記微粉
末をレーザチャンバ外に取り出すことができるので、レ
ーザチャンバ内に微粉末が蓄積するのを防ぐことができ
る。これにより放電励起型レーザの出力低下を防止する
とともに保守時間を短縮することができる。
【0384】請求項30の発明における放電励起型レー
ザは、上記アパーチャをはさんで両側にガス吹き出し部
とガス吸引部を設け、前記ガス吹き出し部、またはガス
吸引部にガス中の不純物除去機構を接続したので、放電
時の電極間のガスの膨張に伴い、電極間の塵や放電スパ
ッタにより生じた微粉末が部分反射鏡や全反射鏡に到来
し、付着するのを防ぐとともに、前記アパーチャに微粉
末が蓄積するのを防ぐことができる。さらにガス吸引部
から前記微粉末をレーザチャンバ外に取り出すことがで
きるので、レーザチャンバ内に微粉末が蓄積するのを防
ぐことができ、前記ガス吹き出し部、またはガス吸引部
に接続したガス中の不純物除去機構により前記微粉末が
再びチャンバ内に戻るのを防ぐことができる。これによ
り放電励起型レーザの出力低下を防止するとともに保守
時間を短縮することができる。
【0385】請求項31の発明における放電励起型レー
ザは、上記アパーチャにガスを吹き付ける機構を設けた
ので、放電時の電極間のガスの膨張に伴い、電極間の塵
や放電スパッタにより生じた微粉末が部分反射鏡や全反
射鏡に到来し、付着するのを防ぐとともに、前記アパー
チャに微粉末が蓄積するのを防ぐことができる。これに
より放電励起型レーザの出力低下を防止するとともに保
守時間を短縮することができる。
【0386】請求項32の発明における放電励起型レー
ザは、上記アパーチャを振動させる駆動部を設けたの
で、放電時の電極間のガスの膨張に伴い、電極間の塵や
放電スパッタにより生じた微粉末が部分反射鏡や全反射
鏡に到来し、付着するのを防ぐとともに、前記アパーチ
ャに微粉末が蓄積するのを防ぐことができる。これによ
り放電励起型レーザの出力低下を防止するとともに保守
時間を短縮することができる。
【0387】請求項33の発明における放電励起型レー
ザは、放電が生じる空間とレーザ光学部品の間の空間に
アパーチャを脱着自在に取付け、前記アパーチャと放電
空間との間に手動または自動的に開閉し放電空間の気密
を保つためのバルブを設けたので、バルブを閉めてから
アパーチャ部を取り外すことにより、チャンバ内に外気
を混入させずにアパーチャ部にたまった塵や微粉末を取
り除くことができる。これにより、レーザガスの無駄を
無くすることができる。
【0388】請求項34の発明における放電励起型レー
ザは、放電が生じる空間とレーザ窓の間の空間にアパー
チャを脱着自在に取付け、前記アパーチャと放電空間と
の間に手動または自動的に開閉し放電空間の気密を保つ
ためのバルブを装着し、前記レーザ窓とバルブの間にガ
ス吸気機構、あるいはガス供給機構を設けたので、バル
ブを閉めてからアパーチャを取り外すことにより、チャ
ンバ内に外気を混入させずにアパーチャにたまった塵や
微粉末を取り除くことができる。また、アパーチャの塵
や微粉末を取り除き再びアパーチャを取り付けた時、バ
ルブを閉めた状態でアパーチャの真空引きをしたり、ア
パーチャのガスをレーザガスで何度か置換することがで
きる。こうすることにより、アパーチャ組み上げ時に外
気がチャンバ内に混入するのをより効果的に防ぐことが
できる。これにより放電励起型レーザの保守時間を短縮
することができる。
【0389】請求項35の発明における放電励起型レー
ザは、放電が生じる空間とレーザ窓の間の空間にアパー
チャを脱着自在に取付け、前記アパーチャと放電空間と
の間に手動または自動的に開閉し放電空間の気密を保つ
ためのバルブが装着され、前記レーザ窓とバルブの間に
前記アパーチャあるいはミラーホルダ、あるいはチャン
バを加熱するヒータを設けたので、バルブを閉めてから
アパーチャを取り外すことにより、チャンバ内に外気を
混入させずにアパーチャにたまった塵や微粉末を取り除
くことができる。さらにアパーチャに外気を混入させず
にアパーチャにたまった塵や微粉末を取り除くことがで
きる。また、アパーチャの塵や微粉末を取り除き再びア
パーチャを取り付けた時、バルブを閉めた状態でアパー
チャあるいはミラーホルダ、あるいはチャンバをヒータ
で加熱する構成としたので、アパーチャあるいはミラー
ホルダ、あるいはチャンバに付着した水分等の不純物を
除去することができる。こうすることによりアパーチャ
組み上げ時に不純物がチャンバ内に混入するのをより効
果的に防ぐことができる。これにより放電励起型レーザ
の保守時間を短縮することができる。
【0390】請求項36の発明における放電励起型レー
ザは、窓ホルダとレーザヘッド間の空間の排気吸気が可
能な構成としたので、外気がレーザヘッド内に混入した
り、レーザヘッド内のガスが漏れだして操作をしている
人の健康を外するということがなくなった。
【0391】請求項37の発明のおける放電励起型レー
ザは、窓ホルダとレーザヘッドの間にすきまがない構成
としたので、外気がレーザヘッド内に混入したり、レー
ザヘッド内のガスが漏れだして操作をしている人の健康
を害するということがない。
【0392】請求項38の発明における放電励起型レー
ザは、レーザヘッド内に広い領域を持つレーザ窓を設け
たので、このレーザ窓により圧力を保つ必要はなく薄く
て安価な材料でレーザ窓を構成でき、圧力加減室を不要
とすることができる。
【0393】請求項39の発明における放電励起型レー
ザは、複数個のレーザ窓をレーザヘッド内に順次移動可
能に設けたので、請求項38の発明と同一の作用効果が
得られるとともにレーザ窓の汚れを軽減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による実施例1の電極形状を示した縦
断面図である。
【図2】この発明による実施例2の電極形状を示した横
断面図である。
【図3】この発明による実施例3の電極形状を示したも
ので、図3(a)は外観斜視図、図31(b)はその側
面図である。
【図4】実施例3におけるボート型電極の固定構造を示
したもので、図4(a)は分解斜視図、図4(b)は固
定状態の横断面図である。
【図5】電極材料の電極消耗量を示す特性図である。
【図6】この発明による実施例4を示す回路図である。
【図7】この発明による実施例5を示す回路図である。
【図8】この発明による実施例6を示す回路図である。
【図9】この発明による実施例7を示す回路図である。
【図10】この発明による実施例8を示す回路図であ
る。
【図11】この発明による実施例9を示す回路図であ
る。
【図12】この発明の実施例10による放電励起型レー
ザを示す一部を縦断した斜視図である。
【図13】図12の放電励起型レーザにおける磁路を示
す正面図である。
【図14】上記実施例10の動作を説明する電圧、電流
の波形図である。
【図15】この発明による実施例11を示す概要図であ
る。
【図16】上記実施例11の変形例を示す概要図であ
る。
【図17】上記実施例11の変形例を示す概要図であ
る。
【図18】上記実施例11の変形例を示す概要図であ
る。
【図19】この発明による実施例12におけるレーザ電
流と磁力線の関係を示す斜視図である。
【図20】上記実施例12の変形例を示す平面図であ
る。
【図21】この発明による実施例13を示す縦断斜視図
である。
【図22】上記実施例13の変形例を示す概要図であ
る。
【図23】この発明による実施例14を示す概要図であ
る。
【図24】入射角に対するエタロン波長の透過特性図で
ある。
【図25】この発明による実施例15を示す平面図であ
る。
【図26】この発明による実施例16を示す平面図及び
側面図である。
【図27】上記実施例16におけるアパーチャによる発
散角制限の様子を示す図である。
【図28】この発明による実施例17を示す平面図であ
る。
【図29】この発明による実施例18を示す平面図であ
る。
【図30】この発明による実施例19を示す平面図であ
る。
【図31】上記実施例19におけるブラインドアパーチ
ャの構造を示す斜視図である。
【図32】上記実施例19におけるブラインドアパーチ
ャの構造を示す斜視図である。
【図33】上記実施例19におけるブラインドアパーチ
ャの構造を示す斜視図である。
【図34】上記実施例19におけるブラインドアパーチ
ャの構造を示す斜視図である。
【図35】この発明による実施例20を示す縦断面図で
ある。
【図36】上記実施例20の変形例を示す縦断面図であ
る。
【図37】この発明による実施例21を示す縦断面図で
ある。
【図38】この発明による実施例22を示す縦断面図で
ある。
【図39】この発明による実施例23を示す縦断面図で
ある。
【図40】この発明による実施例24を示す縦断面図で
ある。
【図41】この発明による実施例25を示す縦断面図で
ある。
【図42】この発明による実施例26を示す縦断面図で
ある。
【図43】この発明による実施例27を示す縦断面図で
ある。
【図44】この発明による実施例28を示す縦断面図で
ある。
【図45】この発明による実施例29を示す縦断面図で
ある。
【図46】上記実施例29におけるアパーチャの変形例
を示す正面図である。
【図47】この発明による実施例30を示す縦断面図で
ある。
【図48】この発明による実施例31を示す縦断面図で
ある。
【図49】この発明による実施例32を示す縦断面図で
ある。
【図50】この発明による実施例33を示す要部の横断
平面図である。
【図51】上記実施例33の縦断正面図である。
【図52】上記実施例33の窓を交換した状態の縦断正
面図である。
【図53】上記実施例33の動作を説明するフローチャ
ート図である。
【図54】この発明による実施例34の動作を説明する
断面図である。
【図55】この発明による実施例35を示す縦断正面図
である。
【図56】上記実施例35におけるレーザ窓を示す斜視
図である。
【図57】上記実施例35におけるレーザ窓を示す斜視
図である。
【図58】上記実施例35におけるレーザ窓を示す斜視
図である。
【図59】上記実施例35におけるレーザ窓を示す斜視
図である。
【図60】上記実施例35におけるレーザ窓を示す斜視
図である。
【図61】この発明による実施例36を示す縦断正面図
である。
【図62】この発明による実施例37を示す縦断正面図
である。
【図63】従来の放電励起レーザ装置の一種であるエキ
シマレーザの放電部の断面構成図である。
【図64】従来の他のレーザ放電部の断面構成図であ
る。
【図65】従来のレーザ装置の回路図である。
【図66】従来のレーザ装置に用いられる放電回路図で
ある。
【図67】従来のレーザ装置を示す斜視図である。
【図68】従来のレーザ装置の動作を説明する電圧、電
流の波形図である。
【図69】従来のレーザ装置の制御系を示す回路図であ
る。
【図70】電流と磁束密度の関係説明図である。
【図71】磁束密度と起電力の関係説明図である。
【図72】電流と磁束密度の関係説明のための従来のレ
ーザ装置の斜視図である。
【図73】エタロンを用いた従来のレーザ装置の構成図
である。
【図74】従来のアパーチャを用いてレーザ発振横モー
ドの選択を行なうレーザ装置の構成図である。
【図75】従来のレーザ装置の窓保護構造図である。
【図76】従来のレーザ装置の概要図である。
【図77】図76のレーザ装置に用いられているブライ
ンドの斜視図である。
【図78】従来のレーザ装置における窓保護構造の説明
図である。
【図79】従来のレーザ装置を示す縦断面図である。
【図80】従来のレーザ装置を示す縦断面図である。
【図81】アパーチャの構成を示す図で、図81(a)
は正面図、図81(b)は斜視図である。
【図82】他のアパーチャの構成を示す正面図である。
【図83】従来のレーザ装置におけるレーザ用窓の正面
図である。
【図84】図83のA−A線に沿う縦断面図である。
【図85】従来のレーザ装置のレーザ用窓部の縦断面図
である。
【符号の説明】
11 誘電体 12 補助電極 13 放電面 14 電極 15 鍔 16 熱伝導性の良い材料 21 高電圧電源 23 コンデンサ 24 放電部 26 電流路 28 高電圧スイッチ 29 制御装置 30a,30b 光ファイバ 32a,32b 電力を供給するライン 33a,33b フィルタ 34 インダクタンス 42 導電板 45 金属容器 48 金属カバー 50a,50b 屈曲部 52a,52b 金属メッシュ 53a,53b 金属ハニカム 62 全反射鏡 63 部分反射鏡 64 エタロン 72 チャンバ 77 レーザ窓 78 レーザビーム 80 ブラインドアパーチャ 80a 穴 82 拡大室 99 ガス吸引部 101 ガス吹き出し部 121 駆動部 132 バルブ 140 ヒータ 152 窓ホルダ 171 レーザヘッド 172 第1のレーザ窓 173 第2のレーザ窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹川 智広 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属からなる合金、
    もしくは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしく
    は白金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつその
    形状が中空のボート型形状をしていることを特徴とする
    放電励起型レーザ。
  2. 【請求項2】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの2つ以上の金属からなる合金、も
    しくは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは
    白金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつその形
    状が中空のボート型形状をしており、この中空のボート
    型電極の内部に熱伝導性の良い材料を充填して構成した
    ことを特徴とする放電励起型レーザ。
  3. 【請求項3】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属からなる合金、
    もしくは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしく
    は白金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつその
    形状が中空のボート型形状をしており、この中空のボー
    ト型電極の内部にガスを循環するようにしたことを特徴
    とする放電励起型レーザ。
  4. 【請求項4】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属からなる合金、もしくは白金−ロジウム−酸化ジルコ
    ニウム合金もしくは白金−ロジウム−酸化トリウム合金
    であり、かつその形状が中空のボート型形状をしてお
    り、この中空のボート型電極が鍔を有し、この鍔を利用
    してボート型電極を固定することを特徴とする放電励起
    型レーザ。
  5. 【請求項5】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属からなる合金、
    もしくは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしく
    は白金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつその
    形状が中空のボート型形状をしており、この中空のボー
    ト型電極の鍔と電極曲面部との接合部分を該電極曲面部
    とは反極性の曲率を有する曲面としたことを特徴とする
    放電励起型レーザ。
  6. 【請求項6】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属から合金、もし
    くは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白
    金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつ、光軸に
    直交する断面形状が円弧形状をしており、かつ少なくと
    も放電に対応する部分に複数の開孔が設けられていると
    ともに、上記円弧形状電極の放電面とは反対側に近接し
    て誘電体を挟むように補助電極を設けたことを特徴とす
    る放電励起型レーザ。
  7. 【請求項7】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属から合金、もし
    くは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白
    金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつ、光軸に
    直交する断面形状が円弧形状をしており、かつ少なくと
    も放電に対応する部分に複数の開孔が設けられていると
    ともに、上記円弧形状電極の放電面とは反対側に近接し
    て誘電体を挟むように補助電極を設け、上記開孔の光軸
    方向の長さが主放電の生ずる空間の光軸方向の長さより
    も長くしてあることを特徴とする放電励起型レーザ。
  8. 【請求項8】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部の少なくとも1対の主電極の内、少なく
    ともその一方の主電極の材料が白金、金、ロジウム、ル
    テニウム、オスミウム、イリジウムの内のいずれかの金
    属もしくは、これらの内2つ以上の金属から合金、もし
    くは白金−ロジウム−酸化ジルコニウム合金もしくは白
    金−ロジウム−酸化トリウム合金であり、かつ、光軸に
    直交する断面形状が円弧形状をしており、かつ少なくと
    も放電に対応する部分に複数の開孔が設けられていると
    ともに、前記円弧形状電極の放電面とは反対側に沿って
    中空のパイプ形状の誘電体を配置し、このパイプ形状の
    誘電体内部に補助電極を設置したことを特徴とする放電
    励起型レーザ。
  9. 【請求項9】 エネルギを注入することにより、ガスを
    励起する放電部のボート型形状の電極を厚み0.1mm
    以上で2mm以下の白金もしくは金、もしくは白金−ロ
    ジウム、合金あるいは0.1mm以上で1mm以下のロ
    ジウム、ルテニウム、オスミウム、あるいは0.1mm
    以上で0.5mm以下のイリジウムを用い、かつ、前記
    電極の凹部の幅に対する深さの比が1以下に構成したこ
    とを特徴とする放電励起型レーザ。
  10. 【請求項10】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、この高電圧電源より充電されるコンデンサと、この
    コンデンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチ
    と、上記高電圧電源あるいは上記高電圧スイッチを制御
    するための信号を発生する制御装置を備え、上記の信号
    を伝達する手段として光ファイバを用いたことを特徴と
    する放電励起型レーザ。
  11. 【請求項11】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、この高電圧電源より充電されるコンデンサと、この
    コンデンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチ
    と、上記高電圧電源あるいは上記高電圧スイッチを制御
    するための信号を発生する制御装置と、上記高電圧電源
    と上記高電圧スイッチと上記コンデンサと上記放電部を
    電気的に接続するための電流路とアースを備え、上記の
    アースと上記の電流路との接続箇所を1箇所以下にした
    ことを特徴とする放電励起型レーザ。
  12. 【請求項12】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、この高電圧電源より充電されるコンデンサと、この
    コンデンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチ
    と、上記高電圧電源あるいは上記高電圧スイッチを制御
    するための信号を発生する制御装置と、上記高電圧電源
    あるいは上記高電圧スイッチに電力を供給するライン
    と、上記制御装置に電力を供給するラインを備え、上記
    高電圧側の供給ラインと上記制御装置側の供給ラインの
    間にノイズを低減するためのフィルタを備えたことを特
    徴とする放電励起型レーザ。
  13. 【請求項13】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、この高電圧電源より充電されるコンデンサと、この
    コンデンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチ
    と、上記高電圧電源あるいは上記高電圧スイッチを制御
    するための信号を発生する制御装置を備え、上記高電圧
    電源と上記高電圧スイッチの間にインダクタンスを設け
    たことを特徴とする放電励起型レーザ。
  14. 【請求項14】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、この高電圧電源より充電されるコンデンサと、この
    コンデンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチ
    と、上記高電圧電源と上記高電圧スイッチと上記コンデ
    ンサと上記放電部を結ぶ電流路と、上記高電圧電源ある
    いは上記高電圧スイッチを制御するための信号を発生す
    る制御装置とを備え、上記高電圧電源と上記高電圧スイ
    ッチと上記放電部と上記コンデンサを上記制御装置から
    シールドしたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  15. 【請求項15】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
    デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
    部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
    電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備えたこと
    を特徴とする放電励起型レーザ。
  16. 【請求項16】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
    デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
    部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
    電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備え、この
    金属カバーの破った部分に屈曲部、または金属ハニカ
    ム、または金属メッシュを設けたことを特徴とする放電
    励起型レーザ。
  17. 【請求項17】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
    デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
    部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
    電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備え、上記
    高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて電流が流
    れる導電板からなる電流ループに直交する向きに、上記
    高電圧スイッチおよび導電板と分離した複数の導体を設
    け、かつ、上記導体を互いに接続したことを特徴とする
    放電励起型レーザ。
  18. 【請求項18】 エネルギを注入することによりガスを
    励起する放電部と、高電圧を印加するための高電圧電源
    と、高電圧電源より充電されるコンデンサと、このコン
    デンサの電荷を放電させるための高電圧スイッチと、内
    部に上記高電圧スイッチ及び該高電圧スイッチを通じて
    電流が流れる導電板を包含する金属カバーを備え、上記
    金属容器内を冷媒で満たしたことを特徴とする放電励起
    型レーザ。
  19. 【請求項19】 レーザガスを励起し光を発生させる放
    電部と、一方が高反射鏡になる2枚の反射鏡からなる光
    共振器を備え、レーザビームの発散角を制限するため
    に、上記光共振器内にエタロンを、エタロン反射面の法
    線と光軸のなすθとなるように傾けて挿入したことを特
    徴とする放電励起型レーザ。
  20. 【請求項20】 レーザガスを励起し光を発生させる放
    電部と、一方が高反射鏡になる2枚の反射鏡からなる光
    共振器を備え、この光共振器内にエタロンを放電の方向
    に光軸に対して傾けて挿入したことを特徴とする放電励
    起型レーザ。
  21. 【請求項21】 レーザガスを励起し、光を発生させる
    放電部と、すくなくとも一方が高反射鏡になる2枚の反
    射鏡からなる光共振器を備え、レーザビームの発散角を
    制限するために、上記光共振器内の反射鏡近傍にレーザ
    ビームの口径を制限するアパーチャを設けたことを特徴
    とする放電励起型レーザ。
  22. 【請求項22】 レーザガスを励起し、光を発生させる
    放電部と、すくなくとも一方が高反射鏡になる2枚の反
    射鏡からなる光共振器を備え、レーザビームの発散角を
    制限するために、上記光共振器内の反射鏡近傍にレーザ
    ビームの口径を制限するアパーチャを設け、このアパー
    チャの口径dをd<0.008・L(Lは共振器長)と
    したことを特徴とする放電励起型レーザ。
  23. 【請求項23】 レーザガスを励起し、光を発生させる
    放電部と、すくなくとも一方が高反射鏡になる2枚の反
    射鏡からなる光共振器を備え、上記放電励起部の幅Dを
    D<0.008・L(Lは共振器長)としたことを特徴
    とする放電励起型レーザ。
  24. 【請求項24】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓とを備え、レーザビーム軸と平行
    な複数の薄板により形成されたブラインドアパーチャ
    を、上記放電部と上記レーザ窓の間に配設したことを特
    徴とする放電励起型レーザ。
  25. 【請求項25】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓とを備え、NiあるいはAlある
    いはPtあるいは、これらの合金で構成され、レーザビ
    ーム軸と平行な複数の薄板により形成されたブラインド
    アパーチャを、上記放電部と上記レーザ窓の間に配設し
    たことを特徴とする放電励起型レーザ。
  26. 【請求項26】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓とを備え、レーザビーム軸と平行
    で、かつ、多数の穴を有する複数の薄板により形成され
    たブラインドアパーチャを、上記放電部と上記レーザ窓
    の間に配設したことを特徴とする放電励起型レーザ。
  27. 【請求項27】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の
    間に配設したアパーチャを備え、このアパーチャと上記
    レーザ窓との間に該アパーチャの口径よりも大きな断面
    積の拡大室を設けたことを特徴とする放電励起型レー
    ザ。
  28. 【請求項28】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の
    間に配設したアパーチャを備え、このアパーチャと上記
    レーザ窓との間に該アパーチャの口径よりも大きな断面
    積の拡大室を設け、この拡大室内のレーザガスを上記チ
    ャンバに戻すガス循環パスを該拡大室に設けたことを特
    徴とする放電励起型レーザ。
  29. 【請求項29】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の
    間のレーザビーム中に配設したレーザ光を通過させるア
    パーチャを備え、このアパーチャをはさんで両側にガス
    吹き出し部とガス吸引部を設けたことを特徴とする放電
    励起レーザ。
  30. 【請求項30】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の
    間のレーザビーム中に配設したレーザ光を通過させるア
    パーチャを備え、このアパーチャをはさんで両側にガス
    吹き出し部とガス吸引部を設け、このガス吹き出し部ま
    たはガス吸引部にガス中の不純物除去機構を接続したこ
    とを特徴とする放電励起型レーザ。
  31. 【請求項31】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザビームを外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の
    間のレーザ光路中に配設したレーザ光を通過させるアパ
    ーチャを備え、このアパーチャにガスを吹き付ける機構
    を設けたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  32. 【請求項32】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電部と、レーザ光を外部へ取り出すために上記チャンバ
    に設けたレーザ窓と、上記放電部と上記レーザ窓の間の
    レーザビーム中に配設したレーザビームを通過させるア
    パーチャを備え、このアパーチャを振動させる駆動部を
    設けたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  33. 【請求項33】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電励起部と、レーザ光を外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓を備え、上記放電励起部と上記レ
    ーザ窓の間の空間にアパーチャを脱着自在に取付け、前
    記アパーチャと放電空間との間に手動または自動的に開
    閉し放電空間の気密を保つためのバルブを設けたことを
    特徴とする放電励起型レーザ。
  34. 【請求項34】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電励起部と、レーザ光を外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓を備え、放電が生じる空間と前記
    レーザ窓の間の空間にアパーチャを脱着自在に取付け、
    前記アパーチャと放電空間との間に手動または自動的に
    開閉し該放電空間の気密を保つためのバルブを設け、前
    記レーザ窓と前記バルブの間にガス吸気機構、あるいは
    ガス供給機構を設けたことを特徴とする放電励起型レー
    ザ。
  35. 【請求項35】 レーザガスを充填するチャンバと、こ
    のチャンバ内で放電により上記レーザガスを励起する放
    電励起部と、レーザ光を外部へ取り出すために上記チャ
    ンバに設けたレーザ窓を備え、放電が生じる空間と前記
    レーザ窓の間の空間にアパーチャを脱着自在に取付け、
    前記アパーチャと放電空間との間に手動または自動的に
    開閉し該放電空間の気密を保つためのバルブを設け、前
    記レーザ窓と前記バルブの間に前記アパーチャあるいは
    ミラーホルダ、あるいは前記チャンバを加熱するヒータ
    を設けたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  36. 【請求項36】 レーザを発生するためのレーザヘッド
    と、レーザビームを反射あるいは透過させるための複数
    のレーザ窓と、上記複数のレーザ窓を保持するスライド
    可能な窓ホルダと、上記窓ホルダによりレーザヘッド内
    部を気密状態に保つための気密手段と、上記レーザヘッ
    ドと上記レーザ窓との間にできる複数の空間をそれぞれ
    排気あるいは吸気する吸排気機構を設けたことを特徴と
    する放電励起型レーザ。
  37. 【請求項37】 レーザを発生するためのレーザヘッド
    と、レーザビームを反射あるいは透過させるための少な
    くとも1つのレーザ窓と、上記レーザ窓を保持するスラ
    イド可能な窓ホルダと、上記レーザ窓ホルダによりレー
    ザヘッド内部を気密状態に保つための気密手段と、上記
    レーザヘッドと上記レーザ窓との間にできる空間を排気
    あるいは吸気する吸排気機構と、上記レーザ窓を交換す
    る際、上記レーザヘッドの気密を保つ平坦面を上記窓ホ
    ルダに設けたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  38. 【請求項38】 レーザを発生させるためのレーザガス
    を大気から隔離するためのレーザヘッドと、上記レーザ
    ヘッドと大気の間に設けられ、上記レーザヘッド内で発
    生したレーザビームを透過あるいは反射させるための第
    1のレーザ窓と、上記第1のレーザ窓とは別にレーザビ
    ームの面積の複数倍の面積を持つ第2のレーザ窓をレー
    ザヘッド内で該第1のレーザ窓のレーザガス側に設ける
    とともに、上記第2のレーザ窓を移動させる移動機構を
    備えたことを特徴とする放電励起型レーザ。
  39. 【請求項39】 レーザを発生させるためのレーザガス
    を大気から隔離するためのレーザヘッドと、上記レーザ
    ヘッドと大気の間に設けられ、上記レーザヘッド内で発
    生したレーザビームを透過あるいは反射させるための第
    1のレーザ窓と、上記第1のレーザ窓とは別に複数個の
    第2のレーザ窓をレーザヘッド内で該第1のレーザ窓の
    レーザガス側に設けるとともに、上記複数の第2のレー
    ザ窓を順次移動させる移動機構を備えたことを特徴とす
    る放電励起型レーザ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5923693A (en) * 1996-03-07 1999-07-13 Tadahiro Ohmi Discharge electrode, shape-restoration thereof, excimer laser oscillator, and stepper
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WO2021206838A1 (en) * 2020-04-06 2021-10-14 Cymer, Llc Conduit system, radiation source, lithographic apparatus, and methods thereof

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