JP2874350B2 - エキシマレーザー装置 - Google Patents

エキシマレーザー装置

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JP2874350B2 JP568991A JP568991A JP2874350B2 JP 2874350 B2 JP2874350 B2 JP 2874350B2 JP 568991 A JP568991 A JP 568991A JP 568991 A JP568991 A JP 568991A JP 2874350 B2 JP2874350 B2 JP 2874350B2
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忠明 三木
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直貴 小杉
睦己 三升
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光リソグラフィや微細
加工等に応用されるエキシマレーザー装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光リソグラフィや微細加工等に応用され
る産業用のエキシマレーザー装置は、レーザー媒質とし
てクリプトン,キセノンなどの希ガスとフッ素,塩素な
どのハロゲンガスを用い、多くは放電によって励起・発
光させ、353nmから193nmまでのいくつかの波長で
発振線を得ることができる紫外線レーザー装置である。
【0003】なかでも、KrFエキシマレーザー装置
は、高効率で248nmという比較的短波長で発振するの
で、リソグラフィ用光源としてもっとも期待されてい
る。
【0004】以下に図2を参照して従来のエキシマレー
ザー装置の構成を説明する。図2において、レーザーガ
ス1は希ガスとハロゲンガスの混合ガスで、レーザー管
2内に封入されている。このレーザーガス1は一対の電
極3の間でパルス的に放電励起され、エキシマ発光を行
う放電部4を形成する。5はレーザー光を取り出すレー
ザー窓である。放電部4より射出された光は、レーザー
管2の両端のレーザー光路6上に設けられた光共振器
(図示せず)によって数回往復したのち、レーザー光と
して半透過鏡(図示せず)から出力される。
【0005】ところで、従来のエキシマレーザー装置
は、ハロゲンガスに対する化学的安定性の面と、レーザ
ーパルス放電から発生する電磁波(ノイズ)を遮蔽する
ために、アルミやステンレスなどの金属を電気的に接地
した金属容器をレーザー管2として用いている。一方、
効率のよいレーザー励起放電を行うには電極3の間に3
0kV前後の高電圧をかける必要がある。したがって、高
電圧が印加された電極3から、接地されたレーザー管2
への絶縁破壊を防止するために、電極3とレーザー管2
との間には適度な空間を設けなければならない。
【0006】また、レーザー窓5が放電部4に近すぎる
と、放電によってスパッタされた金属粒子が、放電の衝
撃によってレーザー窓5に衝突し、レーザー窓5の失透
・劣化を促進する。したがって、レーザー窓5から放電
部4までの間にも適度な空間距離を設けてやる必要があ
る。
【0007】以上の理由から、従来のエキシマレーザー
装置ではレーザー放電部4とレーザー窓5との間にレー
ザーガスが励起されていない領域(以下、非励起領域と
いう)が必然的に生じることになる。図2において、7
が非励起領域に相当する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のエキシ
マレーザー装置では、この非励起領域には、基底状態に
あるハロゲン分子が多数存在する。このハロゲン分子は
レーザー発振波長の近傍において広範囲にわたる連続吸
収スペクトルを有する。例えばKrFエキシマレーザー
の場合、発振波長248nmでの吸収断面積は約1.5×
10ー20cm2なので、フッ素ガスの分圧を4Torrとすれ
ば、1cm当り約0.15%の吸収損失が非励起領域にあ
ることになる。この損失は見かけ上小さいが、非励起領
域はレーザー管の大小の大きさにかかわらず最小限必要
な空間距離であるから、レーザー管が小さくなればなる
ほど放電部の長手方向の長さに対する非励起領域の長さ
の割合いは大きくなる。このため、特に利得長の短い小
型のレーザー管では非励起領域の吸収損失がレーザー出
力の取り出し効率を低下させ、その結果、レーザー出力
が制限される課題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明のエキシマレーザー装置は、レーザー光を取り
出すためのレーザー窓が設けられたレーザー管内にハロ
ゲンガスを含むレーザーガスが封入され、前記レーザー
管内に設けられたレーザー放電部と前記レーザー窓との
間の非励起領域がダクトで覆われ、前記レーザー管の外
部より前記ダクト内に希ガスを注入する手段が設けら
れ、前記レーザー放電部と前記レーザー窓とは空間的に
連通しているものである。
【0010】
【作用】この方法によって、レーザーガスを封入したレ
ーザー管内において、レーザー放電部を除くレーザー光
路上は高純度な希ガスで満たされるので、前記非励起領
域よりハロゲンガスを排除でき、前記ハロゲンガスによ
るレーザー光の吸収損失を最小限に留めることができ
る。
【0011】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0012】図1において本発明実施例のエキシマレー
ザー装置は、レーザー管2内にレーザーガス1を封入
し、このレーザーガス1は一対の電極3の間でパルス的
に放電励起され、エキシマ発光を行うレーザー放電部4
を形成する。5はレーザー光を取り出すレーザー窓、9
はレーザー放電部を除く光路上を希ガスで満たすための
円筒形のダクト、10は希ガス供給のための希ガス注入
ポート、11はハロゲンガス供給のためのハロゲンガス
注入ポートである。12は希ガス注入ポート10および
ハロゲンガス注入ポート11に流入するガスの流量を調
節するマスフローコントローラ、13はレーザー管2内
のガス圧を一定に保つためのガス排出弁である。また、
図1に示すように、レーザー放電部4とレーザー窓5と
は空間的に連通している。
【0013】上述したように、レーザー管2は電気的に
接地されているため、ダクト9の材料としては、一部ま
たは全部が絶縁体の材料が望ましい。そこで、本発明者
は、レーザー管2の内壁に配設する前記ダクトの材料と
して純度99%のアルミナセラミックを用いた。
【0014】次に本発明実施例のエキシマレーザーの動
作を図1にしたがって説明する。本実施例ではレーザー
ガス1としてヘリウムで稀釈したクリプトンガスとフッ
素ガスの混合ガスを用いている。レーザー動作中は、希
ガス注入ポート10より希ガスを、ハロゲンガス注入ポ
ート11よりハロゲンガスを常時注入している。前記各
ポートより注入されるガスは、レーザー管2内でレーザ
ーガス1の組成と同一組成となるよう、流量をマスフロ
ーコントローラ12で制御する。これらのガスは、レー
ザー管2内に設けたクロスフローファン(図示せず)に
よって瞬時に均一に撹拌される。レーザーガス1は一対
の電極3間でパルス的に放電励起され、エキシマ発光を
行うレーザー放電部4を形成する。このとき発生する光
がレーザー管2の両端のレーザー光軸6上に設けられた
光共振器(図示せず)によって、数回往復反射したの
ち、レーザー光として半透過鏡(図示せず)から出力さ
れる。この時、エキシマ発光がレーザー放電部4で増幅
され、前記光共振器内を往復しながらレーザー発振が立
ち上がる過程において、非励起領域7は上述した手段に
よって吸収損失のない希ガスで満たされるので、レーザ
放電部4で増幅されたレーザー光は損失を受けること
なくレーザー窓5まで到達することができる。
【0015】本発明者らの実験によると、フッ素ガスを
分圧で4Torr含むレーザーガスを封入したレーザー管2
の内壁にアルミナセラミックのダクト9を68mm突き出
して非励起領域7を希ガスで満たす部分の長さを約20
cmとし、さらにレーザー窓近傍の希ガス注入ポート10
より高純度なヘリウムガスを毎分1l注入してレーザー
窓5からレーザー放電部4近傍までの間に滞在させ、
ーザー放電部から射出されたレーザー光が非励起領域
7に存在していたハロゲンガスによって受ける吸収損失
を取り除くことによって、レーザー出力の取り出し効率
を10〜20%向上させることができた。これは、フッ
素の吸収係数0.15%/cmから考えると、非励起領域
7の長さ20cmの損失は3%で、左右両方の非励起領域
7を合わせた単一通過損失の約6%より大きい。これ
は、単にハロゲンガスによる吸収損失を取り除いただけ
でなく、非励起領域7を希ガスで満たすことで、その他
の残留不純物も同時に取り除かれた。その結果、これら
の不純物による吸収・散乱損失も低減したことによると
考えられる。
【0016】いずれにしても、ダクト9、希ガス注入ポ
ート10を設置していない従来のエキシマレーザー装置
と比較すると大幅な品質改善になり、本発明の効果が確
認された。なお、本実施例ではハロゲンガスとしてフッ
素を用いているが塩素,臭素などのハロゲンガスについ
ても同様の効果がある。
【0017】以上のような構成を有するので、本発明の
エキシマレーザー装置はレーザー管内において、レーザ
ー放電部を除くレーザー光路上に存在するハロゲンガス
によるレーザー光の吸収を低減することにより、レーザ
ー出力を向上することができ、産業用レーザーとして最
適の特性を得ることができるものとなる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように本発明のエキシマレ
ーザー装置では、レーザー管2内の、レーザー放電部4
を除くレーザー光路6上に存在するハロゲンガスを排除
する手段を配設することによって、ハロゲンガスによる
レーザー光の吸収を低減し、その結果レーザー出力の向
上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエキシマレーザー装置の実施例を示す
概略図
【図2】従来のエキシマレーザー装置の概略図
【符号の説明】
1 レーザーガス 2 レーザー管 3 電極 4 放電部 5 レーザー窓 6 レーザー光軸 7 非励起領域 8 高圧導入端子 9 ダクト 10 希ガス注入ポ−ト 11 ハロゲンガス注入ポ−ト 12 マスフローコントローラ 13 ガス排出弁
フロントページの続き (72)発明者 三升 睦己 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−237176(JP,A) 特開 平2−39580(JP,A) 特開 昭54−98593(JP,A) 特開 昭63−58882(JP,A) 特開 昭61−96784(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/03 - 3/038

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザー光を取り出すためのレーザー窓が
    設けられたレーザー管内にハロゲンガスを含むレーザー
    ガスが封入され、前記レーザー管内に設けられたレーザ
    ー放電部と前記レーザー窓との間の非励起領域がダクト
    で覆われ、前記レーザー管の外部より前記ダクト内に希
    ガスを注入する手段が設けられ、前記レーザー放電部と
    前記レーザー窓とは空間的に連通していることを特徴と
    するエキシマレーザー装置。
  2. 【請求項2】前記ダクトの一部または全部が、絶縁体で
    構成されることを特徴とする請求項1記載のエキシマレ
    ーザー装置。
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