JPH0614970Y2 - 回転穿孔工具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、石材、コンクリート、磁器タイル、ガラス、
セラミック等の硬質非金属材料を穿孔すために用いられ
る回転工具に関する。

〔従来の技術〕

この種の回転穿孔工具は、先端に例えばダイヤモンド粒
が燃結されて成る切削部材を有する回転ドリル軸が工具
本体に取り付けされ、本体の回転によって回転ドリルの
切削部材でコンクリート等に穿孔するものである。

しかしながら、上記したコンクリートを穿孔する際に、
切削によって生ずる摩擦熱で、ダイヤモンド粒の損耗が
甚だしく、早期に磨耗して損傷するものであった。

この問題を解決するために、切削部材の冷却を目的とし
て穿孔工具本体に設けた連通孔から切削部材に空気を送
給する提案が特開昭６０−２６２６０８号に開示されて
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

然しながら、上記提案によれば、空気によって切粉が粉
塵となって飛散するので、作業災害の一因となるもので
あった。

これに対置する従来水冷方式では、粉塵防止ができるも
のの、排水によって床面や壁面を汚染する致命的欠点が
避けられなかった。

考案者は上記課題を解決するために、実願昭６３−４４
８３０号にて水を霧化したミスト（ｍｉｓｔ）による切
削部材の冷却技術を開発して既に提案済みである。この
ミスト冷却を回転穿孔工具に適用した場合には、回転穿
孔工具が回転を始めて先端の切削部材からミストが噴き
出すのに約７秒程度から１０数秒遅れる事実を知見し
た。

また、穿孔を終了し回転工具の回転が停止したあとであ
っても、やはり約７秒程度から１０数秒ミストが回転刃
から噴出し続けるというタイムラグがあることを知見し
た。このようなタイムラグは当然、作業能率を低下させ
るばかりか、商品化の妨げとなるものであった。

叙述のタイムラグを生ずる原因を追求したところ、この
タイムラグは回転穿孔工具に穿設された中空回転軸の中
空内部にミストが充満するために要するタイムラグであ
ることが判明した。本考案は、上記のタイムラグが発生
しないようにした回転穿孔工具を提供することを、その
主な目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達するための本考案に係る回転穿孔工具は、
中空回転軸が備えられケーシング外部から導入されるミ
ストが上記中空回転軸から回転ドリルの連通孔を通って
先端の切削部材へと噴出されてなるものであって、上記
中空回転軸の中空部には、該中空部の内径よりも小径の
ノズル管と該ノズル管の先端部に向かって漸次縮径され
たノズル部とから中空パイプ状に成形された細口ノズル
が該細口ノズルの基端側に嵌装され先端にガイド部が形
成された合成樹脂製スリーブによって押し込み固定され
てなることを構成を特徴とするものである。

〔考案の作用〕

ケーシング外部から供給されるミストは、回転穿孔工具
の中空回転軸に供給される。回転中空軸の内部には細口
ノズルが装着されているので、中空回転軸から供給され
るミストは、細口ノズル内に供給される。

ミストは縮小された細口ノズル内で直ちに充満するの
で、速やかに回転ドリルの連通孔内へと供給されて切削
部材から噴出されるに至る。

この細口ノズルで流路の径が縮小される場合には、ミス
ト流速が増して噴出される。

〔実施例〕

図面はいずれも本考案に係る回転穿孔工具の一実施例を
示すもので、第１図は同要部断面図、第２図は細口ノズ
ルの断面斜視図である。

回転穿孔工具１は、ケーシング２の内部に中空回転軸３
が回転駆動され、中空回転軸３には回転ドリル４が装着
される構造である。上記中空回転軸３は、ケーシング２
の内部で継手部５と軸受部６とで回転支持され、上記回
転ドリル４が先端側のチャック部７に装着されている。
上記回転駆動軸４は内部が長さ方向に亘る中空部８に形
成され、この中空部８がケーシング２のミスト供給管９
に連通されており、中空部８には細口ノズル１０が装着
されている。

次に、細口ノズル１０は、中空回転軸３の内径よりも小
径のノズル管３０と、このノズル管３０の先端部に向か
って漸次縮径されたノズル部３１とから中空パイプ状に
成形されている。上記ノズル管３０の内部はミスト導入
容積を縮小できると同時に良好に給送できる程度、例え
ば数mmの狭小内部３２に形成され、その基端側には合成
樹脂製、好ましくは硬質合成樹脂製のスリーブ３３が嵌
装されている。依って、このスリーブ３３のガイド部３
４を案内として中空部８に押し込みされることによっ
て、細口ノズル１０が中空回転軸２の中空部８に位置決
め固定されることとなる。

さらに詳述すると、前記中空回転軸３は、ケーシング２
の内部において図示しない駆動モータによって回転され
る回転伝達軸１１を介して回転駆動される構造である。
この場合には、前記継手部は、固定側の雄嵌合子１２と
これに中空回転軸４の一端を穴１６に組付した雌嵌合子
１３とから構成される。即ち、雄嵌合子１２から突出さ
れる環状鍔部１４が雌嵌合子１３の環状受講１５に嵌合
して水密回転状態とされ、嵌合部位にはＯリング材１７
が内装されていることが望ましい。図示しないが、Ｏリ
ング材１７に代えて、或いはこれに連ねてボールベアリ
ングを内装して回転効果をあげる構造も可能である。上
記雄嵌合子１２には前記ミスト供給管１１の先端が接続
されているので、これが回転自在な中空回転軸４へ連通
されて構成される。図中２３は粉塵が侵入しないための
シール、２４は水密状態に押圧するばねである。

次に、前記軸受部６としては、ボールベアリングの如き
ベアリング２１で中空回転軸３の他端を支持できる。中
間部位にも軸受２２を配置して振れ防止構造にすること
もできる。

さらに、チャック部７としては、例えばくさび面２５と
これに続く雌ねじ穴２６とを有する場合には、回転ドリ
ル４の基端側でのテーパ部４０と雄ねじ部４１とでチャ
ッキングする構造にすることがでけいる。上記回転ドリ
ル４には、基端側から先端側へと連通孔４２が形成さ
れ、先端側の切削部材４３へと噴出可能に構成されてい
る。この場合に、基端側で拡径に対応して連通孔４２が
大きくなっているので、この空間にも細口ノズル５０を
装着しておくことが出来る。

上記構成によれば、中空回転軸３の回転によって回転ド
リル４が回転されるが、これに伴って継手部５の雌嵌合
子１３が水密状態で回転される。勿論、細口ノズル１０
は中空回転軸３と同時に回転されている。

ミスト供給管９から供給されるミストは、継手部５から
細口ノズル１０の狭小内部３２へ供給され、これから回
転ドリル３の細口ノズル５０へと供給されるので、直ち
に切削部材４３を冷却すると同時に、切粉をウエットな
状態とする。

細口ノズル１０には、ノズル部３１が形成されているの
で、狭小内部３２でのミスト流速を増すことができ、噴
射効果を高めることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の回転穿孔工具によれば、中
空回転軸内に細口ノズルが装着されているから、ミスト
の導入容積が縮小されることによってミスト噴出のタイ
ムラグを極めて少なくすることができ、作業効率を向上
することができる。

また、細口ノズルの縮径されたノズル部によりミストの
流速が増して噴射効果を高めることができる。

また、細口ノズルはその基端側に嵌装された先端にガイ
ド部が形成された合成樹脂製スリーブにより、中空回転
軸の中空部に押し込み固定される構成であるため組立が
容易である。

さらに、細口ノズルが合成樹脂製スリーブによって中空
回転軸の中空部に保持されているため回転ドリルの連通
孔と細口ノズルとの軸心が確実に位置合わせされ、組立
時に細口ノズルの先端が回転ドリルの連通孔とずれて細
口ノズルの機能を損なうことがない。

本考案によって実際に達成できた効果は次の通りであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はいづれも本考案に係る回転穿孔工具の一実施例を
示し、第１図は同要部断面図、第２図は細口ノズルの切
欠斜視図である。 １……回転穿孔工具、２……ケーシング ３……中空回転軸、４……回転ドリル ５……継手部、６……軸受部 ８……中空部、９……ミスト供給管 １０……細口ノズル、３０……ノズル管 ３２……狭小内部、３３……スリーブ ３４……ガイド部、４３……切削部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中空回転軸が備えられケーシング外部から
   導入されるミストが上記中空回転軸から回転ドリルの連
   通孔を通って先端の切削部材へと噴出されてなるもので
   あって、上記中空回転軸の中空部には、該中空部の内径
   よりも小径のノズル管と該ノズル管の先端部に向かって
   漸次縮径されたノズル部とから中空パイプ状に成形され
   た細口ノズルが該細口ノズルの基端側に嵌装され先端に
   ガイド部が形成された合成樹脂製スリーブによって押し
   込み固定されてなることを特徴とする回転穿孔工具。