JPH0614764A - ファイブロネクチンコート細胞培養器具及びその製造方法 - Google Patents
ファイブロネクチンコート細胞培養器具及びその製造方法Info
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- JPH0614764A JPH0614764A JP17254192A JP17254192A JPH0614764A JP H0614764 A JPH0614764 A JP H0614764A JP 17254192 A JP17254192 A JP 17254192A JP 17254192 A JP17254192 A JP 17254192A JP H0614764 A JPH0614764 A JP H0614764A
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- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12M—APPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
- C12M23/00—Constructional details, e.g. recesses, hinges
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- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ファイブロネクチンをコートした培養器具
は、細胞の接着と伸展を向上させ、接着系細胞の培養に
良好な特性を有するが、ファイブロネクチンが不安定で
失活し易いため保存がきかず、また滅菌を施すことも出
来ない。このような欠点をなくし、コート後の長期保存
と滅菌の可能なファイブロネクチンコート細胞培養器具
を提供することを目的とする。 【構成】 表面の接触角が40度以下、または低温プラ
ズマ等の処理により接触角が40度以下とした基材の表
面に、ファイブロネクチンの薄膜(1〜10μg/cm
2 )をコートする。
は、細胞の接着と伸展を向上させ、接着系細胞の培養に
良好な特性を有するが、ファイブロネクチンが不安定で
失活し易いため保存がきかず、また滅菌を施すことも出
来ない。このような欠点をなくし、コート後の長期保存
と滅菌の可能なファイブロネクチンコート細胞培養器具
を提供することを目的とする。 【構成】 表面の接触角が40度以下、または低温プラ
ズマ等の処理により接触角が40度以下とした基材の表
面に、ファイブロネクチンの薄膜(1〜10μg/cm
2 )をコートする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファイブロネクチンを
コートした細胞培養器具及びその製造方法に関するもの
である。
コートした細胞培養器具及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】シャーレ、フラスコ、マルチプレートな
どの細胞培養器具は、主としてポリスチレン成形品の表
面に低温プラズマ処理、コロナ放電処理等を施し、親水
性を付与したものが市販されている。これらの細胞培養
器具は、足場依存性の細胞では、株化細胞、初代細胞を
問わず、線維芽細胞、平滑筋細胞、血管内皮細胞、角膜
細胞などの培養に広く用いられている。また、血液系細
胞として、株化したリンパ球であるNS−1,MOLT
−4,HUT 78,MT−4,Jurkat などのいわゆ
る足場非依存性の浮遊細胞等にも広く使用されている。
どの細胞培養器具は、主としてポリスチレン成形品の表
面に低温プラズマ処理、コロナ放電処理等を施し、親水
性を付与したものが市販されている。これらの細胞培養
器具は、足場依存性の細胞では、株化細胞、初代細胞を
問わず、線維芽細胞、平滑筋細胞、血管内皮細胞、角膜
細胞などの培養に広く用いられている。また、血液系細
胞として、株化したリンパ球であるNS−1,MOLT
−4,HUT 78,MT−4,Jurkat などのいわゆ
る足場非依存性の浮遊細胞等にも広く使用されている。
【0003】しかし、細胞の種類によって、これらの細
胞培養器具上では細胞の増殖は認められるものの、細胞
の増殖が不十分だったり、細胞の増殖形態が悪かったり
する。特に、初代培養においてはそれが顕著である。そ
こで、コラーゲン、ゼラチンといった細胞外マトリック
スやファイブロネクチン、ラミニン、ヒドロネクチンと
いった接着因子などを培養面にコートし、細胞の接着
性、増殖性を高めることにより対処されることが多い。
胞培養器具上では細胞の増殖は認められるものの、細胞
の増殖が不十分だったり、細胞の増殖形態が悪かったり
する。特に、初代培養においてはそれが顕著である。そ
こで、コラーゲン、ゼラチンといった細胞外マトリック
スやファイブロネクチン、ラミニン、ヒドロネクチンと
いった接着因子などを培養面にコートし、細胞の接着
性、増殖性を高めることにより対処されることが多い。
【0004】なかでも、ファイブロネクチンは生体由来
の細胞外マトリックスとして広く使用されている。ファ
イブロネクチンをコートすることにより、細胞の接着及
び伸展が向上する。V79などの株化細胞では接着及び
伸展度合が良く、又、血管内皮細胞の初代培養において
は、増殖性が向上し、細胞の形態も良好である。又、ラ
ット肝実質細胞の初代培養においても接着性が良好であ
る。
の細胞外マトリックスとして広く使用されている。ファ
イブロネクチンをコートすることにより、細胞の接着及
び伸展が向上する。V79などの株化細胞では接着及び
伸展度合が良く、又、血管内皮細胞の初代培養において
は、増殖性が向上し、細胞の形態も良好である。又、ラ
ット肝実質細胞の初代培養においても接着性が良好であ
る。
【0005】このように、ファイブロネクチンは接着系
の細胞の培養に良好な特性を有しているが、難点として
不安定なことが挙げられる。そのため、上記の一般の培
養器具にコートして滅菌を施すことが出来ない。従っ
て、ファイブロネクチンをコートした培養器具を使用す
るためには、予め滅菌してある培養器具に、無菌的操作
という面倒な方法でファイブロネクチンをコートしなけ
ればならないという欠点があった。
の細胞の培養に良好な特性を有しているが、難点として
不安定なことが挙げられる。そのため、上記の一般の培
養器具にコートして滅菌を施すことが出来ない。従っ
て、ファイブロネクチンをコートした培養器具を使用す
るためには、予め滅菌してある培養器具に、無菌的操作
という面倒な方法でファイブロネクチンをコートしなけ
ればならないという欠点があった。
【0006】従来、一般に行われてきたファイブロネク
チンのコートの1例を挙げると次のようになる。まず、
無菌的に調整された市販のファイブロネクチンを燐酸緩
衝液で希釈して、これを培養器具内に表面をカバーする
十分量を入れ、1〜2時間、時によっては24時間静置
し、ファイブロネクチン溶液を除いた後、無菌純水で洗
い室温で乾燥させる。
チンのコートの1例を挙げると次のようになる。まず、
無菌的に調整された市販のファイブロネクチンを燐酸緩
衝液で希釈して、これを培養器具内に表面をカバーする
十分量を入れ、1〜2時間、時によっては24時間静置
し、ファイブロネクチン溶液を除いた後、無菌純水で洗
い室温で乾燥させる。
【0007】このように、ファイブロネクチンを一般の
培養器具にコートしようとした場合、かなり手間がかか
る。その理由の1つが、コート後のファイブロネクチン
の不安定さであり、これに加えて、操作をクリーンベン
チなどの無菌環境下で行わねばならない煩雑さがあっ
た。従って、ファイブロネクチンを予めコートした細胞
培養器具を市販しようとした場合、上記のような無菌環
境下の多くの工程が必要であり、またコート後の保存管
理も難しく、コストが高くつくことになる。
培養器具にコートしようとした場合、かなり手間がかか
る。その理由の1つが、コート後のファイブロネクチン
の不安定さであり、これに加えて、操作をクリーンベン
チなどの無菌環境下で行わねばならない煩雑さがあっ
た。従って、ファイブロネクチンを予めコートした細胞
培養器具を市販しようとした場合、上記のような無菌環
境下の多くの工程が必要であり、またコート後の保存管
理も難しく、コストが高くつくことになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、主に神経系
細胞の培養用として、ファイブロネクチンをコートした
均一で安価な細胞培養器具を供給するため、コート後の
長期保存及び滅菌が可能な性能を賦与し、これにより比
較的簡単な工程で、しかも必ずしも滅菌的操作を必要と
しない、ファイブロネクチンをコートした細胞培養器具
及びその製造方法の開発を目的とするものである。
細胞の培養用として、ファイブロネクチンをコートした
均一で安価な細胞培養器具を供給するため、コート後の
長期保存及び滅菌が可能な性能を賦与し、これにより比
較的簡単な工程で、しかも必ずしも滅菌的操作を必要と
しない、ファイブロネクチンをコートした細胞培養器具
及びその製造方法の開発を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに鋭意研究の結果、本発明者らは、基材表面に強い親
水性を付与した後、その表面にファイブロネクチンをコ
ートすることにより、安定化し、長期にわたって保存し
てもファイブロネクチンの効果が持続し、かつ、電子
線、ガンマー線、エックス線などの放射線滅菌を施して
もファイブロネクチンの効果が失われないことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
めに鋭意研究の結果、本発明者らは、基材表面に強い親
水性を付与した後、その表面にファイブロネクチンをコ
ートすることにより、安定化し、長期にわたって保存し
てもファイブロネクチンの効果が持続し、かつ、電子
線、ガンマー線、エックス線などの放射線滅菌を施して
もファイブロネクチンの効果が失われないことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、空気中での水滴滴下によ
り測定した基材表面の接触角が40度以下である器具、
もしくは表面処理により基材表面の接触角を40度以下
とした器具の表面に、ファイブロネクチンを、1〜10
μg/cm2 の範囲でコートしたことを特徴とするファイ
ブロネクチンコート細胞培養器具、及びその製造方法で
あり、さらには、前記器具を形成する基材がプラスチッ
クであり、該基材の表面を低温酸素プラズマもしくは低
温空気プラズマで処理し、基材表面の接触角を40度以
下とする工程や、前記基材表面にファイブロネクチン溶
液を接触させ、洗浄、乾燥した後、さらに放射線照射に
より滅菌する工程を含む。
り測定した基材表面の接触角が40度以下である器具、
もしくは表面処理により基材表面の接触角を40度以下
とした器具の表面に、ファイブロネクチンを、1〜10
μg/cm2 の範囲でコートしたことを特徴とするファイ
ブロネクチンコート細胞培養器具、及びその製造方法で
あり、さらには、前記器具を形成する基材がプラスチッ
クであり、該基材の表面を低温酸素プラズマもしくは低
温空気プラズマで処理し、基材表面の接触角を40度以
下とする工程や、前記基材表面にファイブロネクチン溶
液を接触させ、洗浄、乾燥した後、さらに放射線照射に
より滅菌する工程を含む。
【0011】本発明における細胞培養器具は、ファイブ
ロネクチンコート前の基材表面の、空気中での水滴滴下
により測定した接触角が40度以下であることが特徴で
ある。接触角が40度を越えると、ファイブロネクチン
の保存や放射線滅菌における安定性が損なわれる。その
理由は十分には解明されていないが、親水性化による表
面の極性が、コートされたファイブロネクチンの構造的
な要因に関連するものと推測される。また、基材表面の
接触角が40度より大きい場合は、予め表面処理を施し
て親水化した後、ファイブロネクチンをコートしてもよ
い。基材表面の親水化処理の方法としては、低温プラズ
マ処理、コロナ放電処理、化学的処理などがあるが、接
触角40度以下の親水性が必要なこと、処理後その親水
性を長く維持する必要があること、処理の簡便性等から
低温酸素プラズマ及び低温空気プラズマによる処理が適
当である。
ロネクチンコート前の基材表面の、空気中での水滴滴下
により測定した接触角が40度以下であることが特徴で
ある。接触角が40度を越えると、ファイブロネクチン
の保存や放射線滅菌における安定性が損なわれる。その
理由は十分には解明されていないが、親水性化による表
面の極性が、コートされたファイブロネクチンの構造的
な要因に関連するものと推測される。また、基材表面の
接触角が40度より大きい場合は、予め表面処理を施し
て親水化した後、ファイブロネクチンをコートしてもよ
い。基材表面の親水化処理の方法としては、低温プラズ
マ処理、コロナ放電処理、化学的処理などがあるが、接
触角40度以下の親水性が必要なこと、処理後その親水
性を長く維持する必要があること、処理の簡便性等から
低温酸素プラズマ及び低温空気プラズマによる処理が適
当である。
【0012】本発明において使用する細胞培養基材の種
類は特に限定しないが、ハンドリングなどを考慮した場
合、プラスチックであることが望ましい。また、細胞培
養の過程で顕微鏡により観察する必要があることから、
透明であることが必要で、このような条件に適したプラ
スチック材料としては、ポリスチレン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエステル樹脂、TPX樹脂などが挙げ
られる。
類は特に限定しないが、ハンドリングなどを考慮した場
合、プラスチックであることが望ましい。また、細胞培
養の過程で顕微鏡により観察する必要があることから、
透明であることが必要で、このような条件に適したプラ
スチック材料としては、ポリスチレン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエステル樹脂、TPX樹脂などが挙げ
られる。
【0013】本発明において使用するファイブロネクチ
ンとしては、ヒト血清由来、牛血清由来、ブタ血清由来
のいずれを用いても良い。また、ファイブロネクチンの
溶解に用いる溶媒としては、特に制限はないが、ファイ
ブロネクチンが溶解し、ファイブロネクチンを変質させ
るものでなければ、何でも使用することができるが、コ
ート対象がポリスチレンなどのプラスチックであること
を考慮すると、水、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、燐酸緩衝液、及びこれらを混合したものがよい。
ンとしては、ヒト血清由来、牛血清由来、ブタ血清由来
のいずれを用いても良い。また、ファイブロネクチンの
溶解に用いる溶媒としては、特に制限はないが、ファイ
ブロネクチンが溶解し、ファイブロネクチンを変質させ
るものでなければ、何でも使用することができるが、コ
ート対象がポリスチレンなどのプラスチックであること
を考慮すると、水、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、燐酸緩衝液、及びこれらを混合したものがよい。
【0014】ファイブロネクチンのコートの厚さは、1
〜10μg/cm2 が適切であり、これより薄いと目的表
面が十分にコートされず、ファイブロネクチンの効果が
不十分でばらつきも大きくなる。また、この厚さより厚
いと基材表面の極性のファイブロネクチン層への効果が
およばなくなり、安定性、耐放射線滅菌性が得られなく
なる。
〜10μg/cm2 が適切であり、これより薄いと目的表
面が十分にコートされず、ファイブロネクチンの効果が
不十分でばらつきも大きくなる。また、この厚さより厚
いと基材表面の極性のファイブロネクチン層への効果が
およばなくなり、安定性、耐放射線滅菌性が得られなく
なる。
【0015】ファイブロネクチン溶液と基材表面の接触
時間は特に限定しないが、基材表面の接触角が40度以
下であれば、十分である。また、ファイブロネクチンを
基材表面に結合させた後の洗浄は、ファイブロネクチン
溶液を溶解するのに用いたのと同一の溶媒を用いるのが
基本であるが、純水を用いてもよい。洗浄後の乾燥工程
は、室温で実施することが基本であり、40℃を越える
とファイブロネクチンの効果が失活する恐れがある。
時間は特に限定しないが、基材表面の接触角が40度以
下であれば、十分である。また、ファイブロネクチンを
基材表面に結合させた後の洗浄は、ファイブロネクチン
溶液を溶解するのに用いたのと同一の溶媒を用いるのが
基本であるが、純水を用いてもよい。洗浄後の乾燥工程
は、室温で実施することが基本であり、40℃を越える
とファイブロネクチンの効果が失活する恐れがある。
【0016】最後の滅菌は、ガンマー線滅菌、電子線滅
菌、エックス線滅菌などの放射線による滅菌により実施
する。EOG滅菌(エチレン−オキサイドガス滅菌)な
どの化学的滅菌や、高圧蒸気滅菌のような高熱をかける
滅菌法では、ファイブロネクチンを変性させる恐れがあ
るので実施しないほうがよい。このようにして得られた
ファイブロネクチンコート細胞培養器具は、滅菌後室温
保存でも、長期にわたって、ファイブロネクチンの効果
を維持することが出来る。
菌、エックス線滅菌などの放射線による滅菌により実施
する。EOG滅菌(エチレン−オキサイドガス滅菌)な
どの化学的滅菌や、高圧蒸気滅菌のような高熱をかける
滅菌法では、ファイブロネクチンを変性させる恐れがあ
るので実施しないほうがよい。このようにして得られた
ファイブロネクチンコート細胞培養器具は、滅菌後室温
保存でも、長期にわたって、ファイブロネクチンの効果
を維持することが出来る。
【0017】
【実施例】次に実施例により、本発明をより具体的に説
明する。 実施例1 射出成形した直径35mmのポリスチレン樹脂製シャーレ
に低温酸素プラズマ処理を施し、表面の接触角が35度
のシャーレを得た。これに、ファイブロネクチン(牛血
清由来)を純水に溶解して、0.005%濃度に調製し
た溶液を1ml入れ、約2時間放置した。その後、溶液を
捨て、純水で1回洗浄し、室温で乾燥させた後、ガンマ
ー線滅菌を施して、培養試験に供した。 実施例2 実施例1で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、室温で6ケ月間保存し試験に供した。
明する。 実施例1 射出成形した直径35mmのポリスチレン樹脂製シャーレ
に低温酸素プラズマ処理を施し、表面の接触角が35度
のシャーレを得た。これに、ファイブロネクチン(牛血
清由来)を純水に溶解して、0.005%濃度に調製し
た溶液を1ml入れ、約2時間放置した。その後、溶液を
捨て、純水で1回洗浄し、室温で乾燥させた後、ガンマ
ー線滅菌を施して、培養試験に供した。 実施例2 実施例1で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、室温で6ケ月間保存し試験に供した。
【0018】比較例1 住友ベークライト(株)製の培養用シャーレ(MS−1
0350、接触角60度)に、無菌的操作により0.0
05%ファイブロネクチン溶液を2ml入れ、約2時間放
置した後、溶液をあけ、無菌純水により洗浄し、クリー
ンベンチ内で乾燥して得たファイブロネクチンコートシ
ャーレを、培養試験に供した。 比較例2 比較例1で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、6ケ月間室温保存した後、試験に供した。
0350、接触角60度)に、無菌的操作により0.0
05%ファイブロネクチン溶液を2ml入れ、約2時間放
置した後、溶液をあけ、無菌純水により洗浄し、クリー
ンベンチ内で乾燥して得たファイブロネクチンコートシ
ャーレを、培養試験に供した。 比較例2 比較例1で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、6ケ月間室温保存した後、試験に供した。
【0019】比較例3 比較例1で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
に、ガンマー線滅菌を施した後、試験に供した。 比較例4 比較例3で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、6ケ月間室温保存した後、試験に供した。 比較例5 比較例1で使用した、住友ベークライト(株)製の培養
用シャーレ。
に、ガンマー線滅菌を施した後、試験に供した。 比較例4 比較例3で得られたファイブロネクチンコートシャーレ
を、6ケ月間室温保存した後、試験に供した。 比較例5 比較例1で使用した、住友ベークライト(株)製の培養
用シャーレ。
【0020】上記実施例及び比較例の試料シャーレを用
いて、V79細胞について、細胞の初期接着性、及び増
殖形態(伸展度合)を調べた。 1 細胞の初期接着率の測定 ASF104培地(味ノ素社製)を用い、1 ×104 個/
mlの濃度で2mlずつ各シャーレに播種し、細胞播種後、
10分及び30分での細胞の接着率を測定した。 2 細胞の伸展度合の観察 ASF104培地(味ノ素社製)を用い、1 ×104 個/
mlの濃度で2mlずつ各シャーレに播種し、培養24時間
での細胞の増殖形態を倒立顕微鏡により観察した。
いて、V79細胞について、細胞の初期接着性、及び増
殖形態(伸展度合)を調べた。 1 細胞の初期接着率の測定 ASF104培地(味ノ素社製)を用い、1 ×104 個/
mlの濃度で2mlずつ各シャーレに播種し、細胞播種後、
10分及び30分での細胞の接着率を測定した。 2 細胞の伸展度合の観察 ASF104培地(味ノ素社製)を用い、1 ×104 個/
mlの濃度で2mlずつ各シャーレに播種し、培養24時間
での細胞の増殖形態を倒立顕微鏡により観察した。
【0021】各測定、観察の結果は表1に示した通り
で、本発明におけるファイブロネクチンコート細胞培養
器具は、コート後にガンマー線滅菌を施してもファイブ
ロネクチンの効果は失活せず、長期間保存してもファイ
ブロネクチンの効果が変わらず維持されていることが明
白である。
で、本発明におけるファイブロネクチンコート細胞培養
器具は、コート後にガンマー線滅菌を施してもファイブ
ロネクチンの効果は失活せず、長期間保存してもファイ
ブロネクチンの効果が変わらず維持されていることが明
白である。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明に従うと、コート後の滅菌が可能
で、製造工程においては無菌的操作の必要がなく、特別
な無菌的環境をつくる必要がなく、設備的に簡便なもの
ですむため低コストでの生産が可能である。又、室温で
も長期にわたる保存ができるため、輸送や保管の際に冷
蔵庫などの特別な設備を必要とせず、流通的にみてもコ
ストを低く抑えることができ、量産し広く供給できるフ
ァイブロネクチンコート細胞培養器具として好適であ
る。
で、製造工程においては無菌的操作の必要がなく、特別
な無菌的環境をつくる必要がなく、設備的に簡便なもの
ですむため低コストでの生産が可能である。又、室温で
も長期にわたる保存ができるため、輸送や保管の際に冷
蔵庫などの特別な設備を必要とせず、流通的にみてもコ
ストを低く抑えることができ、量産し広く供給できるフ
ァイブロネクチンコート細胞培養器具として好適であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 空気中での水滴滴下により測定した基材
表面の接触角が40度以下である器具、もしくは表面処
理により基材表面の接触角を40度以下とした器具の表
面に、ファイブロネクチンを、1〜10μg/cm2 の範
囲でコートしたことを特徴とするファイブロネクチンコ
ート細胞培養器具。 - 【請求項2】 空気中での水滴滴下により測定した基材
表面の接触角が40度以下である器具、もしくは表面処
理により基材表面の接触角を40度以下とした器具に、
水、メチルアルコール、エチルアルコール、燐酸緩衝
液、もしくはこれらの2種以上からなる混合液にファイ
ブロネクチンを溶解させた溶液を注入して基材表面に接
触させ、該溶液を排出し、洗浄した後、40℃以下の温
度で乾燥することを特徴とするファイブロネクチンコー
ト細胞培養器具の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2において器具を形成する基材が
プラスチックであり、該基材の表面を低温酸素プラズマ
もしくは低温空気プラズマで処理し、基材表面の接触角
を40度以下とすることを特徴とするファイブロネクチ
ンコート細胞培養器具の製造方法。 - 【請求項4】 前記基材表面にファイブロネクチン溶液
を接触させ、洗浄、乾燥した後、さらに放射線照射によ
り滅菌することを特徴とする、請求項2もしくは請求項
3に記載のファイブロネクチンコート細胞培養器具の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17254192A JPH0614764A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | ファイブロネクチンコート細胞培養器具及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17254192A JPH0614764A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | ファイブロネクチンコート細胞培養器具及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0614764A true JPH0614764A (ja) | 1994-01-25 |
Family
ID=15943804
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17254192A Pending JPH0614764A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | ファイブロネクチンコート細胞培養器具及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0614764A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10023505A1 (de) * | 2000-05-13 | 2001-11-22 | Fraunhofer Ges Forschung | Reaktormodul mit Kapillarmembranen |
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