JPH06146984A - エンジンのベーパ発生検出装置及びエンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンのベーパ発生検出装置及びエンジンの制御装置

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JPH06146984A
JPH06146984A JP4301348A JP30134892A JPH06146984A JP H06146984 A JPH06146984 A JP H06146984A JP 4301348 A JP4301348 A JP 4301348A JP 30134892 A JP30134892 A JP 30134892A JP H06146984 A JPH06146984 A JP H06146984A
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純一 古屋
Toshio Nanba
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】始動時における燃料供給通路内におけるベーパ
の発生量を高精度に推定し、ベーパ発生による燃料噴射
制御性の悪化を防止する。 【構成】始動時に燃圧センサで検出された燃圧STPF
を記憶させておく(S2)。そして、所定時間後の燃圧
RPF(S5→S7)と前記初期燃圧STPFとの偏差
DPFを求める(S8)。ここで、前記偏差DPFを、
初期燃圧STPF及び燃料ポンプの電源電圧VFPに応
じて補正する(S9〜S11)。次いで、前記補正された
偏差DPに基づいてベーパ発生量BPLを推定する(S
12)。そして、ベーパ発生量BPLに応じて、リターン
燃料量の調整、燃圧の増大補正、噴射パルス幅の増大補
正のいずれかを実行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンのベーパ発生検
出装置及びエンジンの制御装置に関し、詳しくは、燃料
供給通路内における燃料ベーパの発生量を推定し得る装
置、及び、燃料ベーパの発生量の検知結果に応じたペー
パ処理及び燃料噴射制御の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンの電子制御燃料噴射
装置においては、燃料噴射弁の開弁制御時間によってエ
ンジンへの燃料供給量を制御することが行われている。
かかる燃料供給装置では、燃料噴射弁に対する燃料の供
給圧力と、燃料噴射弁の噴孔部付近の吸気圧力との差圧
が一定でないと、噴射弁の開弁時間に対応して一定した
燃料を供給させることができなくなる。そこで、燃料噴
射弁に対して燃料ポンプから圧送される燃料の供給圧力
(以下、単に燃圧という。)を調整するためのプレッシ
ャレギュレータの基準圧力室に、スロットル弁下流側の
吸入負圧を導き、前記基準圧力室内の圧力と燃料ポンプ
からの供給圧力との差圧、即ち、噴孔部の吸気圧力と燃
圧との差圧が所定値以上になると、燃料タンクに燃料を
戻すリターン通路を開いて、前記差圧を一定に保つよう
にしていた(特開昭60−212634号公報等参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な燃料供給装置では、要求燃料量の急増などがあっても
前記差圧を一定に保つ必要があるので、前記燃料ポンプ
を必要よりも大きな負荷で駆動させて、燃料ポンプから
必要量よりも多めに燃料が吐き出されるようにしてお
り、前記余分に供給された燃料は、プレッシャレギュレ
ータから余剰燃料として燃料タンクに戻されることにな
っていた。
【0004】ここで、前記プレッシャレギュレータから
燃料タンクに戻される余剰燃料は、エンジンの熱で暖め
られているために、前記余剰燃料を燃料タンクに戻すこ
とは、燃料タンク内の燃料温度を上昇させることにな
り、燃料タンク内に燃料ベーパを発生させてしまうこと
があった。かかる問題点を解消し得る技術として、所望
の燃料供給圧(所望の差圧)が得られるように、燃料ポ
ンプの吐出量を制御するシステムがある。しかしなが
ら、このようなシステムでは、前記問題点を解消するた
めに噴射弁付近の燃料供給通路から燃料をタンク内に戻
すことをしない(又は僅かな量しか戻さない)から、燃
料供給通路内に燃料ベーパが発生している状態で始動を
行わせるときに、リターン燃料による積極的な燃料循環
が期待できず、燃料ベーパがそのまま噴射弁から噴射さ
れてしまうことになる。このため、エンジンの要求燃料
よりも実際に噴射供給される燃料量が少なくなって混合
気の空燃比がリーン化し、始動性が悪化することがあっ
た。
【0005】ここで、始動時及び始動直後に冷却水温度
に応じて燃料噴射量の増量補正を行うことが行われてい
るが、前記燃料ペーパの発生状態を冷却水温度の状態か
ら精度良く推定することはできず、最適な増量補正を施
すことは困難であった。本発明は上記問題点に鑑みなさ
れたものであり、燃料供給通路内におけるベーパの発生
量を高精度に推定することができる装置を提供すると共
に、ベーパ発生量の推定結果に基づいてベーパ発生時に
おける空燃比制御性の悪化を防止できる装置を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのため本発明にかかる
エンジンのベーパ発生検出装置は、燃料タンク内の燃料
を燃料ポンプにより吸引し、該吸引された燃料を燃料供
給通路を介して燃料噴射弁に圧送する構成としたエンジ
ンのベーパ発生検出装置であっては、図1に示すように
構成される。
【0007】図1において、燃圧検出手段は、燃料供給
通路における燃料の供給圧力を検出し、圧力上昇演算手
段は、燃料ポンプの作動開始時に燃圧検出手段で検出さ
れた燃料供給圧力の上昇割合を演算する。そして、ベー
パ発生量推定手段は、圧力上昇演算手段で演算された燃
料供給圧力の上昇割合に基づいて、燃料ポンプの作動開
始時における燃料供給通路内の燃料ベーパの発生量を推
定する。
【0008】ここで、圧力上昇演算手段で演算された上
昇割合を、燃料ポンプの作動開始時に燃圧検出手段で検
出された燃料供給圧力のレベルに基づいて補正設定する
圧力レベルによる補正手段を設けることが好ましい。ま
た、圧力上昇演算手段で演算された上昇割合を、燃料ポ
ンプの電源電圧に基づいて補正する電源電圧による補正
手段を設けると良い。
【0009】一方、本発明にかかるエンジンの制御装置
は、燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより吸引し、該
吸引された燃料を燃料供給通路を介して燃料噴射弁に圧
送する構成としたエンジンの制御装置であって、図2又
は図3に示すように構成される。図2において、リター
ン通路は、燃料供給通路から燃料を燃料タンクに戻す通
路であり、リターン燃料量調整手段は、前記リターン通
路を介して燃料タンクに戻される燃料量を調整する。
【0010】また、ベーパ検知手段は、前記燃料供給通
路内の燃料ベーパの発生量を検知し、リターン燃料量制
御手段は、ベーパ検知手段で検知された燃料ベーパの発
生量に応じてリターン燃料量調整手段で調整される燃料
量を制御する。図3において、噴射量制御手段は、燃料
噴射弁の開弁時間をエンジンの運転条件に応じて制御す
る。また、ベーパ検知手段は、燃料供給通路内の燃料ベ
ーパの発生量を検知し、噴射量補正手段は、燃料噴射弁
による燃料噴射量をベーパ検知手段で検知された燃料ベ
ーパの発生量に応じて補正する。
【0011】
【作用】かかる構成のエンジンのベーパ発生検出装置に
よると、燃料ポンプの作動開始時に燃料供給圧力の上昇
割合が求められ、ベーパ発生時に前記上昇割合が鈍る特
性に基づいてベーパ発生量が検出される。ここで、燃料
供給圧力のレベルや燃料ポンプの電源電圧によって、前
記圧力上昇割合が変化するので、演算された上昇割合を
前記パラメータに基づいて補正するようにした。
【0012】一方、上記構成のエンジンの制御装置で
は、燃料供給通路内の燃料ベーパの発生量を検知し、該
検知結果に基づいて、即ち、ベーパ発生量に応じて燃料
供給通路からリターン通路を介して燃料タンクに戻され
る燃料量を調整する。また、燃料供給通路内の燃料ベー
パの発生量を検知し、該検知結果に基づいて燃料噴射弁
による燃料噴射量を補正することで、ベーパ発生による
実際の噴射量の低下を補償する。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。一実施例の燃料供給装置を示す図4において、
燃料タンク1内の燃料は、燃料ポンプ2によって吸引さ
れ、該燃料ポンプ2から吐き出された燃料は燃料供給通
路3を介して各燃料噴射弁4に圧送される。
【0014】前記燃料噴射弁4は、ソレノイドに通電さ
れて開弁し、通電停止されて閉弁する電磁式燃料噴射弁
であり、後述するコントロールユニット9から送られる
エンジンの要求燃料量に対応する所定パルス幅(開弁時
間)の駆動パルス信号に応じて開弁制御され、図示しな
いエンジンのスロットル弁下流側の吸気管内に燃料を噴
射供給する。
【0015】前記燃料供給通路3には、燃料フィルタ5
が介装されると共に、燃料噴射弁4の近傍で燃料供給圧
力(以下、単に燃圧という。)PFを検出する燃圧検出
手段としての燃圧センサ6が設けられている。該燃圧セ
ンサ6で検出される燃圧RPFは、後述する燃料ポンプ
2の駆動制御に用いられ、前記燃圧RPFに基づいて燃
料ポンプ2への印加電圧VFPが調整されるようになっ
ている。
【0016】また、前記燃料噴射弁4で噴射されなかっ
た燃料を燃料タンク1に戻すためのリターン通路7が燃
料供給通路3から延設されており、該リターン通路7の
燃料供給通路3からの分岐部には、リターン燃料量調整
手段としての電磁開閉弁8が介装されている。そして、
前記電磁開閉弁8が開制御されると、燃料供給通路3と
燃料タンク1とが絞りを介して連通されるようになり、
燃料供給通路3内から所定量の燃料が燃料タンク1内に
戻される。
【0017】前記燃料ポンプ2の駆動電圧VFP及び前
記電磁開閉弁8の開閉動作は、マイクロコンピュータを
内蔵したコントロールユニット9によって制御されるよ
うになっており、かかる制御のために前記コントロール
ユニット9には、前記燃圧センサ6からの検出信号が入
力されると共に、図示しないエンジンの吸入負圧PBを
検出するブーストセンサ10、スタートスイッチ11、イグ
ニッションスイッチ(IGSW)12などからの信号が入
力されるようになっている。
【0018】コントロールユニット9は、前記燃圧セン
サ6で検出される燃圧RPFと、前記ブーストセンサ10
で検出される吸入負圧PBとの差圧が一定値になるよう
に、燃料ポンプ2への印加電圧VFPを調整して燃圧R
PFを制御する。また、電磁開閉弁8の開閉制御につい
ては後述する。また、本実施例において、前記コントロ
ールユニット9は、燃料噴射弁4の開弁時間を介してエ
ンジンへの燃料供給量を制御する機能(噴射量制御手段
としての機能)を有しており、かかる制御のために、エ
アフローメータ13からの吸入空気流量検出信号Q、クラ
ンク角センサ14からの回転速度信号Neなどが入力され
るようになっている。
【0019】そして、コントロールユニット9は、燃圧
と吸入負圧との差圧が一定値に調整されていることを前
提として、吸入空気流量Qと回転速度Neとに基づいて
基本噴射パルス幅Tp(基本開弁時間)を演算する一
方、始動及び始動後補正係数等を含んむ各種補正係数C
OEFを設定し、前記基本噴射パルス幅Tpを各種補正
係数COEFで補正して最終的な噴射パルス幅Tiを設
定する。そして、前記噴射パルス幅Tiの駆動パルス信
号を燃料噴射弁4に対して所定タイミングで出力するこ
とで、エンジンの要求に見合った燃料を、間欠的に噴射
供給させる。
【0020】ここで、コントロールユニット9は、図5
のフローチャートに示すように、エンジン始動時に燃料
供給通路3内に発生しているベーパ量を推定する機能
(ベーパ発生量推定手段としての機能)を有しており、
更に、後述するようにかかる推定結果に基づいて前記電
磁開閉弁8の開閉制御及び前記燃料噴射弁4による噴射
量の補正制御を行うようになっている。
【0021】図5のフローチャートにおいて、まず、ス
テップ1(図中ではS1としてある。以下同様)では、
イグニッションスイッチ(IGSW)12がOFF状態か
らONに切り換えられたか否かを判別する。ここで、イ
グニッションスイッチ12がOFF状態からONに切り換
えられると、ステップ2へ進み、燃圧センサ6で検出さ
れた燃圧RPFを読み込み、該燃圧RPFを初期燃圧と
してSTPFにセットする。
【0022】次に、ステップ3へ進み、イグニッション
スイッチ12がONされてからの経過時間を計測するため
のタイマーTIMをゼロスタートさせる。また、ステッ
プ4では、燃料ポンプ2に対する実際の供給電圧VFP
のレベルを読み込む。このような初期処理が終了する
と、次回からはステップ1からステップ5へ進む。
【0023】ステップ5では、イグニッションスイッチ
12がONされたときにゼロスタートさせたタイマーTI
Mと所定値とを比較し、タイマーTIMが所定値にまで
カウントアップされるまでは、ステップ6へ進んで、タ
イマーTIMのカウントアップを実行させる。そして、
前記タイマーTIMが所定値にまでカウントアップされ
ると、ステップ5からステップ7へ進み、そのときに燃
圧センサ6で検出された燃圧RPFを読み込む。
【0024】次のステップ8では、上記ステップ7で読
み込んだ燃圧RPFと、前記ステップ2で設定したイグ
ニッションスイッチ12がONされたときの初期燃圧ST
PFとの偏差DPFを演算する。前記偏差DPFは、イ
グニッションスイッチ12がONされてから所定時間内に
おける燃圧RPFの上昇分(上昇割合)に相当し、上記
ステップ8が圧力上昇演算手段に相当する。
【0025】また、ステップ9では、前記初期燃圧ST
PFに基づいて前記偏差DPFを補正するための補正係
数DPSTを設定する。このステップ9の機能が、圧力
レベルによる補正手段に相当する。更に、ステップ10で
は、ステップ4で求めた燃料ポンプ2に対する供給電圧
VFPに基づいて前記偏差DPFを補正するための補正
係数DPVFを設定する。このステップ10の機能が、電
源電圧による補正手段に相当する。
【0026】そして、ステップ11では、前記偏差DPF
に前記補正係数DPST,DPVFを乗算して補正し、
該補正結果をベーパ発生量を推定するために用いる燃圧
RPFの上昇割合DPとする。ステップ12では、前記上
昇割合DPに基づいてベーパ発生量ランクを決定する。
即ち、エンジン停止直後の再始動時などで、燃料供給通
路3内にベーパが発生している状態で燃料ポンプ2の作
動を開始させると、図6に示すように、ベーパがない場
合に比べ燃圧RPFの上昇が鈍る傾向を示す。そこで、
始動時に実際の燃圧RPFの上昇割合を求め、該上昇割
合からベーパの発生量を推定させるものであり、前記ス
テップ12がベーパ発生量推定手段に相当する。
【0027】尚、前記燃圧RPFの上昇割合は、ベーパ
発生量の他に、圧力上昇開始時の圧力レベルや燃料ポン
プ2の電源電圧に応じて変化するので、前記補正係数D
PST,DPVFで偏差DPFを補正することで、前記
圧力上昇開始時の圧力レベルや燃料ポンプ2の電源電圧
の影響を排除するようにした。ところで、前記図4に示
した燃料供給システムでは、燃圧センサ6により検出さ
れる燃圧RPFとブーストセンサ10で検出される吸入負
圧PBとの差圧が一定値になるように、燃料ポンプ2の
印加電圧(吐出量)を制御するから、前記電磁開閉弁8
を閉じてリターン燃料を零とした状態で燃料供給が行え
る。
【0028】しかしながら、上記のようにしてベーパ発
生量を推定した結果、多量のベーパが燃料供給通路3内
に発生していると推定される場合には、リターン燃料を
ゼロとした状態では、燃料噴射弁4から燃料と共にベー
パが噴射されて、所期の燃料量を噴射供給させることが
できなくなる。そこで、本実施例では、図7のフローチ
ャートに示すようにして、ベーパ発生量の推定結果に基
づいてリターン通路7を開いて、ベーパを燃料タンク1
内に排出させるようにする。尚、本実施例において、リ
ターン燃料量制御手段としての機能は、前記図7のフロ
ーチャートに示すようにコントロールユニット9が備え
ている。
【0029】図7のフローチャートにおいて、まず、ベ
ーパ検知手段としてのステップ21では、前記図5のフロ
ーチャートに示すようにして、始動時における燃圧の上
昇割合に基づいてベーパ発生量のランクを検出する。ス
テップ22では、前記ベーパ発生量の推定結果に基づく初
期設定が終了しているか否かを判別し、初期設定がなさ
れていない場合には、ステップ23へ進む。
【0030】ステップ23では、ステップ21で求めた前記
ベーパ発生量ランクに基づいて、電磁開閉弁8を開制御
する時間VOTをセットする。ここで、ベーパ発生量ラ
ンクが高く、多量のベーパが発生していると推定されて
いるときほど、前記時間VOTとして長い時間を設定さ
せるようにしてある。次のステップ24では、上記ステッ
プ23で設定された時間VOTを計測するためのタイマー
TIMVをゼロスタートさせ、ステップ25では、前記電
磁開閉弁8を開制御する。
【0031】尚、前記ステップ21におけるベーパ発生量
ランクの検出においては、電磁開閉弁8は閉状態に固定
しておく。上記のように、ベーパ発生量ランクに応じて
電磁開閉弁8を開く時間VOTを設定すると、今度はス
テップ22からステップ26へ進み、前記時間VOTとタイ
マーTIMVによる計測時間とを比較し、タイマーTI
MVによる計測時間が時間VOTに達していないときに
は、ステップ27へ進み、電磁開閉弁8を開状態に保った
ままタイマーTIMVを更新させる。
【0032】一方、ステップ26で時間VOTが経過した
ことが判別されると、ステップ28へ進み、電磁開閉弁8
を閉じて、ベーパ排出のための電磁開閉弁8の開制御を
終了させる。このように、始動時にベーパ発生量の推定
結果に基づいて電磁開閉弁8を開くようにすれば、燃料
供給通路3内の燃料が速やかに循環されて、燃料噴射弁
4からベーパが噴射されてしまうことを回避できると共
に、時間VOTをベーパ発生量の推定結果に応じて設定
することで、無駄なリターン燃料の発生が防がれる。
尚、上記実施例では、電磁開閉弁8の開弁時間VOTを
ベーパ発生量に応じて可変設定したが、電磁開閉弁8の
開度をベーパ発生量に応じて調整させても良い。
【0033】上記実施例では、ベーパ発生量の推定結果
に基づいて電磁開閉弁8を開制御させてベーパを燃料タ
ンク1内に排出させるようにしたが、リターン燃料を発
生させてベーパを排出させる代わりに、燃圧RPFを強
制的に上昇させて、同じ噴射時間(開弁時間)に対して
得られる噴射量を通常よりも多くし、ベーパを含むこと
による噴射量の減少分を補償させるようにしても良い。
【0034】かかる燃圧補正を行う実施例を図8のフロ
ーチャートに従って以下に説明する。尚、図8のフロー
チャートに示す制御は、燃圧の増大制御によって噴射量
を増大させるものであり、コントロールユニット9にお
ける噴射量補正手段としての機能を示す。図8のフロー
チャートにおいて、まず、ベーパ検知手段としてのステ
ップ31では、前記図5のフローチャートに示すようにし
て、燃圧RPFの上昇割合からベーパ発生量のランクを
判定する。
【0035】次のステップ32では、燃圧補正の初期設定
が終了しているか否かを判別し、非終了時には、ステッ
プ33へ進む。ステップ33では、ベーパ発生量のランクに
応じて燃圧の増大補正代DLTPを設定する。ここで
は、ベーパの発生量が多いときほど、噴射弁の開弁時間
に対する実際の噴射量の減少度合いが大きくなるから、
ベーパ発生量のランクが高いときほど増大補正代DLT
Pを大きく設定するようにしてある。
【0036】上記ステップ33で設定された増大補正代D
LTPは、ステップ34で所定値ΔPずつ減少修正され、
該修正結果が0以下となったことがステップ35で判別さ
れると、ステップ36で増大補正代DLTPを零として、
ベーパ発生量に応じた燃圧補正を終了させる。前記増大
補正代DLTPは、ステップ37において、基本差圧に加
算され、該加算結果が最終的な目標差圧CPFとして設
定される。コントロールユニット9では、燃圧センサ6
で検出される燃圧RPFとブーストセンサ10で検出され
る吸入負圧PBとの差圧が、前記目標差圧CPFになる
ように燃料ポンプ2の印加電圧を制御する。
【0037】更に、始動時のベーパを含む燃料の噴射に
よる噴射量の減少を補償する技術としては、図9のフロ
ーチャートに示すように、噴射パルス幅Tiを増大補正
するようにしても良く、前記パルス幅Tiの増大補正機
能が噴射量補正手段に相当する。図9のフローチャート
において、まず、ステップ41では、前記図5のフローチ
ャートに示すようにして、燃圧RPFの上昇割合からベ
ーパ発生量のランクを判定する。
【0038】ステップ42では、ベーパ発生量に基づく噴
射パルス幅の補正制御の初期セットが終了しているか否
かを判別し、非終了時にはステップ43へ進む。ステップ
43では、前記各種補正係数COEF(←1+KSTPF
+KASPF+・・・)に含まれる始動時増量補正係数
KSTPFを、ベーパ発生量ランクに応じて設定する。
また、ステップ44では、同じく前記各種補正係数COE
Fに含まれる始動後増量補正係数KASPFを、やはり
ベーパ発生量ランクに応じて設定する。
【0039】ここで、始動時増量補正係数KSTPF及
び始動後増量補正係数KASPFは、ベーパ発生量ラン
クが高くベーパ発生量が多いときほど大きな値として設
定され、より噴射パルス幅を増大補正するようになって
いる。上記のようにして始動時増量補正係数KSTPF
及び始動後増量補正係数KASPFを、ベーパ発生量ラ
ンクに応じて設定すると、ステップ45ではスタートスイ
ッチ11のオン・オフを判別する。
【0040】スタートスイッチ11がON状態であるとき
には、前記ステップ43,44で設定した始動時増量補正係
数KSTPF及び始動後増量補正係数KASPFをその
まま用いて噴射パルス幅Tiの補正を行わせる。一方、
スタートスイッチ11がOFFされると、ステップ46へ進
み、前記始動後増量補正係数KASPFを所定値aずつ
減少修正し、次のステップ47では、前記始動時増量補正
係数KSTPFをゼロリセットする。
【0041】ステップ48では、ステップ46で減少修正さ
れた前記始動後増量補正係数KASPFが0以下になっ
たか否かを判別し、0にまで減少修正されたときには、
ステップ49で補正係数KASPFを0とするが、0にま
で減少していないときには、再度ステップ46における減
少修正を実行させるべくそのまま終了させる。即ち、ス
タートスイッチ11がOFFされると、直ちに始動時増量
補正係数KSTPFをゼロリセットし、始動後増量補正
係数KASPFについては徐々に0にまで減少させるよ
うにする。
【0042】上記のようにして始動時のベーパ発生量の
推定結果に基づいて始動時増量補正係数KSTPF及び
始動後増量補正係数KASPFを設定させることで、ベ
ーパを含んだ燃料を噴射弁4が噴射することによる噴射
量の減少を補償することができる。尚、上記図7〜図9
の各フローチャートに示す制御では、始動時の燃圧上昇
割合に基づいたベーパ発生量の推定結果を用いて各種の
制御を実行させるようにしたが、他のベーパ検知方法を
用いても良いことは明らかである。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、始
動時における燃料供給通路内におけるベーパ発生量を精
度良く推定することができる一方、ベーパ発生時にベー
パが燃料と共に燃料噴射弁から噴射されることを抑止で
き、また、ベーパを含む燃料を噴射することによる噴射
量の減少を補償することができるようになるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例のシステム構成を示す図。
【図5】実施例におけるベーパ発生量の推定制御を示す
フローチャート。
【図6】ベーパ発生量による燃圧上昇特性の違いを示す
タイムチャート。
【図7】実施例におけるリターン燃料量制御を示すフロ
ーチャート。
【図8】実施例における燃圧補正制御を示すフローチャ
ート。
【図9】実施例における噴射パルス幅の補正制御を示す
フローチャート。
【符号の説明】
1 燃料タンク 2 燃料ポンプ 3 燃料供給通路 4 燃料噴射弁 6 燃圧センサ 7 リターン通路 8 電磁開閉弁 9 コントロールユニット 10 ブーストセンサ 11 スタートスイッチ 12 イグニッションスイッチ 13 エアフローメータ 14 クランク角センサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより吸
    引し、該吸引された燃料を燃料供給通路を介して燃料噴
    射弁に圧送する構成としたエンジンのベーパ発生検出装
    置であって、 前記燃料供給通路における燃料の供給圧力を検出する燃
    圧検出手段と、 前記燃料ポンプの作動開始時に前記燃圧検出手段で検出
    された燃料供給圧力の上昇割合を演算する圧力上昇演算
    手段と、 該圧力上昇演算手段で演算された燃料供給圧力の上昇割
    合に基づいて、前記燃料ポンプの作動開始時における前
    記燃料供給通路内の燃料ベーパの発生量を推定するベー
    パ発生量推定手段と、 を含んで構成されたエンジンのベーパ発生検出装置。
  2. 【請求項2】前記圧力上昇演算手段で演算された上昇割
    合を、前記燃料ポンプの作動開始時に前記燃圧検出手段
    で検出された燃料供給圧力のレベルに基づいて補正設定
    する圧力レベルによる補正手段を設けたことを特徴とす
    る請求項1記載のエンジンのベーパ発生検出装置。
  3. 【請求項3】前記圧力上昇演算手段で演算された上昇割
    合を、前記燃料ポンプの電源電圧に基づいて補正する電
    源電圧による補正手段を設けたことを特徴とする請求項
    1又は2のいずれかに記載のエンジンのベーパ発生検出
    装置。
  4. 【請求項4】燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより吸
    引し、該吸引された燃料を燃料供給通路を介して燃料噴
    射弁に圧送する構成としたエンジンの制御装置であっ
    て、 前記燃料供給通路から燃料を燃料タンクに戻すリターン
    通路と、 該リターン通路を介して燃料タンクに戻される燃料量を
    調整するリターン燃料量調整手段と、 前記燃料供給通路内の燃料ベーパの発生量を検知するベ
    ーパ検知手段と、 該ベーパ検知手段で検知された燃料ベーパの発生量に応
    じて前記リターン燃料量調整手段で調整される燃料量を
    制御するリターン燃料量制御手段と、 を含んで構成されたエンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより吸
    引し、該吸引された燃料を燃料供給通路を介して燃料噴
    射弁に圧送する構成としたエンジンの制御装置であっ
    て、 前記燃料噴射弁の開弁時間をエンジンの運転条件に応じ
    て制御する噴射量制御手段と、 前記燃料供給通路内の燃料ベーパの発生量を検知するベ
    ーパ検知手段と、 前記燃料噴射弁による燃料噴射量を前記ベーパ検知手段
    で検知された燃料ベーパの発生量に応じて補正する噴射
    量補正手段と、 を含んで構成されたエンジンの制御装置。
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