JPH06146063A - 耐孔あき性に優れた防錆鋼板 - Google Patents
耐孔あき性に優れた防錆鋼板Info
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- JPH06146063A JPH06146063A JP30091592A JP30091592A JPH06146063A JP H06146063 A JPH06146063 A JP H06146063A JP 30091592 A JP30091592 A JP 30091592A JP 30091592 A JP30091592 A JP 30091592A JP H06146063 A JPH06146063 A JP H06146063A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】耐孔あき性に優れた防錆鋼板の提供。
【構成】電析法により形成されるZnとCrとからなる
合金であり、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.66
〜2.74Å、c=4.61〜4.95Åであるような
構造を有する相、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.
72〜2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるよ
うな構造を有する相および結晶系が立方晶で格子定数が
a=3.00〜3.06Åであるような構造を有する相
から実質的に構成されるZn−Cr合金めっきを施され
てなる耐孔あき性に優れた防錆鋼板。
合金であり、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.66
〜2.74Å、c=4.61〜4.95Åであるような
構造を有する相、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.
72〜2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるよ
うな構造を有する相および結晶系が立方晶で格子定数が
a=3.00〜3.06Åであるような構造を有する相
から実質的に構成されるZn−Cr合金めっきを施され
てなる耐孔あき性に優れた防錆鋼板。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用等に使用される
防錆鋼板に要求される様々な性質の内で、耐孔あき性に
おいて優れた品質を有する防錆鋼板に関する。
防錆鋼板に要求される様々な性質の内で、耐孔あき性に
おいて優れた品質を有する防錆鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】現在自動車用の防錆鋼板として実用化さ
れているのは、電気Znめっき鋼板、電気Zn−Ni合
金めっき鋼板、電気Zn−Fe合金めっき鋼板、合金化
溶融Znめっき鋼板、そのほか様々なものがあるが、い
ずれもZn系のめっき鋼板である。これは鋼に対するZ
nの犠牲防食効果を利用するものである。耐食性を向上
させる最も単純明快な方法はめっき付着量(以後目付量
と称する)を増加することであるが、目付量の増加は加
工性や溶接性、その他の品質の劣化を伴う。そこでZn
に他の元素を合金化することで、純Znに対してより少
ない目付量でも同等の耐食性を得ようという試みがなさ
れてきた。合金化による効果としては腐食電位をより鋼
に近づけてめっき層そのものの腐食速度を抑制すること
及び腐食生成物を安定化すること等が期待される。しか
しながら従来のZn系合金めっき鋼板では、合金化によ
る耐食性向上効果はいまだ不十分であった。
れているのは、電気Znめっき鋼板、電気Zn−Ni合
金めっき鋼板、電気Zn−Fe合金めっき鋼板、合金化
溶融Znめっき鋼板、そのほか様々なものがあるが、い
ずれもZn系のめっき鋼板である。これは鋼に対するZ
nの犠牲防食効果を利用するものである。耐食性を向上
させる最も単純明快な方法はめっき付着量(以後目付量
と称する)を増加することであるが、目付量の増加は加
工性や溶接性、その他の品質の劣化を伴う。そこでZn
に他の元素を合金化することで、純Znに対してより少
ない目付量でも同等の耐食性を得ようという試みがなさ
れてきた。合金化による効果としては腐食電位をより鋼
に近づけてめっき層そのものの腐食速度を抑制すること
及び腐食生成物を安定化すること等が期待される。しか
しながら従来のZn系合金めっき鋼板では、合金化によ
る耐食性向上効果はいまだ不十分であった。
【0003】そこで、近年、Zn系めっき層中にCrを
合金元素として添加する試みがなされている。例えば、
特開平1−191797や特開平3−120393等が
提案されている。確かに、Cr含有率を増加することに
よりZn−Cr合金めっきは従来のZn系合金めっきよ
りも優れた耐食性を示すようになる。
合金元素として添加する試みがなされている。例えば、
特開平1−191797や特開平3−120393等が
提案されている。確かに、Cr含有率を増加することに
よりZn−Cr合金めっきは従来のZn系合金めっきよ
りも優れた耐食性を示すようになる。
【0004】1例としてJIS Z 2371に準拠し
た塩水噴霧試験を行い赤錆が2%発生するまで日数を調
べた結果を図1に示す。以後目付量を示す際に単位を表
す記号(g/m2 )を省略する場合がある。。例えば目
付量30g/m2 の場合には30目付と示す。図中のE
G30と示したものは市販の電気Znめっき鋼板で、3
0目付のものである。GA60は60目付の市販の合金
化溶融Znめっき鋼板である。Zn−Ni30は30目
付のNi含有率13wt%の市販のZn−Ni合金めっ
き鋼板を示す。Zn−Cr合金めっきの付着量はすべて
20目付である。
た塩水噴霧試験を行い赤錆が2%発生するまで日数を調
べた結果を図1に示す。以後目付量を示す際に単位を表
す記号(g/m2 )を省略する場合がある。。例えば目
付量30g/m2 の場合には30目付と示す。図中のE
G30と示したものは市販の電気Znめっき鋼板で、3
0目付のものである。GA60は60目付の市販の合金
化溶融Znめっき鋼板である。Zn−Ni30は30目
付のNi含有率13wt%の市販のZn−Ni合金めっ
き鋼板を示す。Zn−Cr合金めっきの付着量はすべて
20目付である。
【0005】図1より、Zn−Cr合金めっき鋼板の裸
耐食性は合金中のCr含有率の増加によってほぼ直線的
に向上することがわかる。20目付であっても、Cr/
(Cr+Zn)=2wt%以上になると目付量の多いE
G30やGA60よりも優れた裸耐食性を有することが
わかる。このようにZn−Cr合金めっき鋼板の裸耐食
性が優れるのは、腐食環境下においてCrの表面酸化膜
が溶存酸素還元反応を著しく抑制することにより腐食電
流密度が小さくなる、すなわち腐食速度が遅くなる為で
あると考えられる。
耐食性は合金中のCr含有率の増加によってほぼ直線的
に向上することがわかる。20目付であっても、Cr/
(Cr+Zn)=2wt%以上になると目付量の多いE
G30やGA60よりも優れた裸耐食性を有することが
わかる。このようにZn−Cr合金めっき鋼板の裸耐食
性が優れるのは、腐食環境下においてCrの表面酸化膜
が溶存酸素還元反応を著しく抑制することにより腐食電
流密度が小さくなる、すなわち腐食速度が遅くなる為で
あると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の実験結果は裸耐
食性に対するものであるが、現在の自動車車体の製造工
程においては、化成処理後にカチオン電着塗装を行い、
車体外面側ではさらに、中塗り上塗りの3コート塗装ま
で行われるが、内面側は、電着塗装のみで使用されるの
が一般的である。内面側では、ドア、ヘム部等の合わせ
目付近の電着塗装のつきまわりの悪い部分を起点とし
て、塗膜下腐食が進行し、やがて、穴あきにいたるよう
な腐食形態が問題になる場合がある。この場合は、単
に、めっき層そのものの耐食性だけでなく、塗膜との組
み合わせにおいて、総合的な耐食性が要求される。すで
に述べたように、Zn−Cr合金めっき鋼板の裸耐食性
はCr含有率の増加により直線的に向上するのである
が、電着塗装後においてはCr含有率の増加にともない
孔あき腐食が進行する傾向にある。このために、Zn−
Cr合金めっき鋼板は他のZn系めっき鋼板に比べて裸
耐食性は優れるが、耐孔あき性については劣るという問
題があった。
食性に対するものであるが、現在の自動車車体の製造工
程においては、化成処理後にカチオン電着塗装を行い、
車体外面側ではさらに、中塗り上塗りの3コート塗装ま
で行われるが、内面側は、電着塗装のみで使用されるの
が一般的である。内面側では、ドア、ヘム部等の合わせ
目付近の電着塗装のつきまわりの悪い部分を起点とし
て、塗膜下腐食が進行し、やがて、穴あきにいたるよう
な腐食形態が問題になる場合がある。この場合は、単
に、めっき層そのものの耐食性だけでなく、塗膜との組
み合わせにおいて、総合的な耐食性が要求される。すで
に述べたように、Zn−Cr合金めっき鋼板の裸耐食性
はCr含有率の増加により直線的に向上するのである
が、電着塗装後においてはCr含有率の増加にともない
孔あき腐食が進行する傾向にある。このために、Zn−
Cr合金めっき鋼板は他のZn系めっき鋼板に比べて裸
耐食性は優れるが、耐孔あき性については劣るという問
題があった。
【0007】したがって、本発明は、耐孔あき性に優れ
た防錆鋼板を提供することを目的とする。
た防錆鋼板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上述べてきた課題を解
決するために、本願発明者等が鋭意検討してきた結果、
電析法により形成されるZnとCrとからなる合金であ
り、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.66〜2.7
4Å、c=4.61〜4.95Åであるような構造を有
する相、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.72〜
2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるような構
造を有する相および結晶系が立方晶で格子定数がa=
3.00〜3.06Åであるような構造を有する相から
実質的に構成されるZn−Cr合金めっきを行うことに
より耐孔あき性の優れたZn−Cr合金めっき鋼板を得
られることが明らかとなった。
決するために、本願発明者等が鋭意検討してきた結果、
電析法により形成されるZnとCrとからなる合金であ
り、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.66〜2.7
4Å、c=4.61〜4.95Åであるような構造を有
する相、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.72〜
2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるような構
造を有する相および結晶系が立方晶で格子定数がa=
3.00〜3.06Åであるような構造を有する相から
実質的に構成されるZn−Cr合金めっきを行うことに
より耐孔あき性の優れたZn−Cr合金めっき鋼板を得
られることが明らかとなった。
【0009】
【作用】以下本発明をさらに詳細に説明する。従来、Z
nとCrとからなる2元系合金の熱平衡状態において安
定な合金としては、結晶系が六方晶で格子定数がa=1
2.89Å、c=30.5Åであるような構造の相(θ
相)が報告されている。例えば、M.Hansen Constitutio
n of binary alloys. p.571 McGRAW-HILL に記載されて
いる平衡状態図を参照されたい。θ相の組成は必ずしも
明らかではないが、Cr/(Cr+Zn)=3.8〜7
wt%の範囲にあるとされている。この他の合金は報告
されていない。すなわち、熱平衡状態におけるZnとC
rの2元系合金に関してはZnのη相、θ相、C
r相の3つの相のみが存在すると考えられている。
nとCrとからなる2元系合金の熱平衡状態において安
定な合金としては、結晶系が六方晶で格子定数がa=1
2.89Å、c=30.5Åであるような構造の相(θ
相)が報告されている。例えば、M.Hansen Constitutio
n of binary alloys. p.571 McGRAW-HILL に記載されて
いる平衡状態図を参照されたい。θ相の組成は必ずしも
明らかではないが、Cr/(Cr+Zn)=3.8〜7
wt%の範囲にあるとされている。この他の合金は報告
されていない。すなわち、熱平衡状態におけるZnとC
rの2元系合金に関してはZnのη相、θ相、C
r相の3つの相のみが存在すると考えられている。
【0010】ところで、一般的に電析法で得られる合金
の場合には、必ずしも熱力学的に安定な相になるとは限
らず、非平衡相が生成することもありうる。また、めっ
き浴組成や電解条件等の製造条件により様々な相が現れ
る可能性がある。このため同一の合金組成であっても相
構造が異なる可能性がある。本願発明者等は、耐孔あき
性と相構造との間には相関があると考えている。そこ
で、電析法の特質を生かして、相構造を特定することに
より耐孔あき性に優れためっき層を得られるのではない
かと考えた。
の場合には、必ずしも熱力学的に安定な相になるとは限
らず、非平衡相が生成することもありうる。また、めっ
き浴組成や電解条件等の製造条件により様々な相が現れ
る可能性がある。このため同一の合金組成であっても相
構造が異なる可能性がある。本願発明者等は、耐孔あき
性と相構造との間には相関があると考えている。そこ
で、電析法の特質を生かして、相構造を特定することに
より耐孔あき性に優れためっき層を得られるのではない
かと考えた。
【0011】ZnとCrとの2元系合金に関してはその
ような非平衡相の合金の報告例はなく、もちろんJCP
DSカードのデータも無い。そこで電析法により得られ
るZn−Cr合金の相構造を詳細に調べた。手法として
は、様々な製造条件により、Cr/(Cr+Zn)=0
〜30wt%の範囲の組成の合金を電析させ、X線回折
法により結晶格子面間隔の変化を調べた。以後Cr/
(Cr+Zn)(wt%)で表される量をCr含有率と
称する。
ような非平衡相の合金の報告例はなく、もちろんJCP
DSカードのデータも無い。そこで電析法により得られ
るZn−Cr合金の相構造を詳細に調べた。手法として
は、様々な製造条件により、Cr/(Cr+Zn)=0
〜30wt%の範囲の組成の合金を電析させ、X線回折
法により結晶格子面間隔の変化を調べた。以後Cr/
(Cr+Zn)(wt%)で表される量をCr含有率と
称する。
【0012】Cr含有率=0wt%の場合、すなわち純
Znの場合には結晶系が六方晶、格子定数a=2.66
5Å、c=4.947Åのη相である。ところが、Cr
含有率を徐々に増加するにつれて、すなわちη相にCr
を固溶させていくと結晶系を保ったままでa軸方向に伸
びて、逆にc軸方向には縮むことがX線回折データによ
る格子面間隔の変化からわかった。Cr含有率=5wt
%付近までは、このようにη相にCrを固溶することで
格子定数が連続的に変化し格子定数a=2.66〜2.
74Å、c=4.61〜4.95Åの相のみが存在する
ことが明らかになった。本願発明者等はこの相をηxと
定義する。
Znの場合には結晶系が六方晶、格子定数a=2.66
5Å、c=4.947Åのη相である。ところが、Cr
含有率を徐々に増加するにつれて、すなわちη相にCr
を固溶させていくと結晶系を保ったままでa軸方向に伸
びて、逆にc軸方向には縮むことがX線回折データによ
る格子面間隔の変化からわかった。Cr含有率=5wt
%付近までは、このようにη相にCrを固溶することで
格子定数が連続的に変化し格子定数a=2.66〜2.
74Å、c=4.61〜4.95Åの相のみが存在する
ことが明らかになった。本願発明者等はこの相をηxと
定義する。
【0013】さらにCr含有率を増加していくと、ηx
とは明らかに異なる相によると考えられるX線回折ピー
クが現れるようになる。ただし、これらのピークの出現
するCr含有率は製造条件によって異なる。結晶系と格
子定数とを仮定して繰り返し計算を行った結果とX線回
折から得られた格子面間隔を比較することにより、ηx
の他に新たに結晶系が六方晶で、格子定数がa=2.7
2〜2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるよう
な構造を有する相(δx相と定義する)及び結晶系が立
方晶で格子定数がa=3.00〜3.06Åであるよう
な構造を有する相(Γx相と定義する)が存在すること
が明らかになった。以上の結果を図2に示す。ηx相、
δx相及びΓx相が現れるCr含有率は製造条件によっ
て異なるので一概にはいえないが、いくつかの製造条件
下で得られた結果を例として図3に示す。以上述べてき
たように、電析Zn−Cr合金の相構造は3つの相のみ
から構成されると考えられる。
とは明らかに異なる相によると考えられるX線回折ピー
クが現れるようになる。ただし、これらのピークの出現
するCr含有率は製造条件によって異なる。結晶系と格
子定数とを仮定して繰り返し計算を行った結果とX線回
折から得られた格子面間隔を比較することにより、ηx
の他に新たに結晶系が六方晶で、格子定数がa=2.7
2〜2.78Å、c=4.43〜4.60Åであるよう
な構造を有する相(δx相と定義する)及び結晶系が立
方晶で格子定数がa=3.00〜3.06Åであるよう
な構造を有する相(Γx相と定義する)が存在すること
が明らかになった。以上の結果を図2に示す。ηx相、
δx相及びΓx相が現れるCr含有率は製造条件によっ
て異なるので一概にはいえないが、いくつかの製造条件
下で得られた結果を例として図3に示す。以上述べてき
たように、電析Zn−Cr合金の相構造は3つの相のみ
から構成されると考えられる。
【0014】次に、様々な条件で製造されたZn−Cr
合金めっき鋼板の耐孔あき性とCr含有率との関係を調
べたところ、実質的にηx相、δx相およびΓx相から
構成されるZn−Cr合金めっき鋼板の耐孔あき性は、
単相や2相の各組み合わせにより構成されるZn−Cr
合金めっき鋼板に比べて著しく優れていることが明らか
になったのである。
合金めっき鋼板の耐孔あき性とCr含有率との関係を調
べたところ、実質的にηx相、δx相およびΓx相から
構成されるZn−Cr合金めっき鋼板の耐孔あき性は、
単相や2相の各組み合わせにより構成されるZn−Cr
合金めっき鋼板に比べて著しく優れていることが明らか
になったのである。
【0015】すなわち、電析法により形成されるZnと
Crとからなる合金であり、結晶系が六方晶で格子定数
がa=2.66〜2.74Å、c=4.61〜4.95
Åであるような構造を有する相、結晶系が六方晶で格子
定数がa=2.72〜2.78Å、c=4.43〜4.
60Åであるような構造を有する相および結晶系が立方
晶で格子定数がa=3.00〜3.06Åであるような
構造を有する相から実質的に構成されるZn−Cr合金
めっきを行うことにより耐孔あき性の優れたZn−Cr
合金めっき鋼板を得られることが明らかになった。
Crとからなる合金であり、結晶系が六方晶で格子定数
がa=2.66〜2.74Å、c=4.61〜4.95
Åであるような構造を有する相、結晶系が六方晶で格子
定数がa=2.72〜2.78Å、c=4.43〜4.
60Åであるような構造を有する相および結晶系が立方
晶で格子定数がa=3.00〜3.06Åであるような
構造を有する相から実質的に構成されるZn−Cr合金
めっきを行うことにより耐孔あき性の優れたZn−Cr
合金めっき鋼板を得られることが明らかになった。
【0016】すでに述べたように、実質的にηx相、δ
x相とΓx相から構成されるZn−Cr合金めっきを得
るためのCr含有率の範囲は製造方法により異なるため
に一義的には定義できないが、5〜30wt%であるこ
とが望ましい。5wt%未満ではδx相やΓx相が現れ
ないためであり、30wt%超では塗装前のめっき相の
密着性が劣化してしまい、本願発明の効果を損なうため
である。また目付量としては10〜40g/m2 が望ま
しい。10g/m2 未満では耐食性が不十分であるため
であり、40g/m2 超ではコストメリットがなくなる
からである。
x相とΓx相から構成されるZn−Cr合金めっきを得
るためのCr含有率の範囲は製造方法により異なるため
に一義的には定義できないが、5〜30wt%であるこ
とが望ましい。5wt%未満ではδx相やΓx相が現れ
ないためであり、30wt%超では塗装前のめっき相の
密着性が劣化してしまい、本願発明の効果を損なうため
である。また目付量としては10〜40g/m2 が望ま
しい。10g/m2 未満では耐食性が不十分であるため
であり、40g/m2 超ではコストメリットがなくなる
からである。
【0017】本願発明のZn−Cr合金めっきを得るた
めの製造条件については必ずしも限定するものではない
が、例えば硫酸浴から電析させる場合には、主剤として
硫酸亜鉛および硫酸クロム、電導助剤として硫酸ナトリ
ウム、pH緩衝剤としてほう酸や各種有機酸類、そのほ
か各種界面活性剤を添加することができる。このほか、
浴pH、浴温、液流速、電解電流密度等を適宜選択する
ことにより望ましい相構成とする。相構造にはこれらの
条件がすべて影響するので、これらの条件の組み合わせ
が適切な場合に実質的にηx相、δx相およびΓx相の
みからなる合金めっきが得られる。
めの製造条件については必ずしも限定するものではない
が、例えば硫酸浴から電析させる場合には、主剤として
硫酸亜鉛および硫酸クロム、電導助剤として硫酸ナトリ
ウム、pH緩衝剤としてほう酸や各種有機酸類、そのほ
か各種界面活性剤を添加することができる。このほか、
浴pH、浴温、液流速、電解電流密度等を適宜選択する
ことにより望ましい相構成とする。相構造にはこれらの
条件がすべて影響するので、これらの条件の組み合わせ
が適切な場合に実質的にηx相、δx相およびΓx相の
みからなる合金めっきが得られる。
【0018】なお、実際の工業的規模における電気めっ
きでは、最適めっき条件においても不可避的にηx相、
δx相およびΓx相以外の相が混入するケースがありう
るが、純ηx相、δx相およびΓx相からなるめっきと
同程度の効果を発揮する範囲であれば、多少の異相の混
入を拒むものではなく、そのような範囲を含めて本発明
では実質的にηx相、δx相およびΓx相から成るもの
と規定する。
きでは、最適めっき条件においても不可避的にηx相、
δx相およびΓx相以外の相が混入するケースがありう
るが、純ηx相、δx相およびΓx相からなるめっきと
同程度の効果を発揮する範囲であれば、多少の異相の混
入を拒むものではなく、そのような範囲を含めて本発明
では実質的にηx相、δx相およびΓx相から成るもの
と規定する。
【0019】
【実施例】以下に本願発明の効果を実施例をもとに説明
する。 (実施例)表1に発明例及び比較例の製造条件、目付
量、Cr含有率及び相構成を示す。いずれも原板として
板厚0.7mmの冷延鋼板を用いて、常法に従い脱脂酸
洗を行った後にめっきを行い試料を作製した。本発明例
はいずれも実質的にηx相、δx相とΓx相から構成さ
れるのに対して、比較例は単相ないしは2相の組み合わ
せから構成されるものである。表1に示す試料を用いて
耐孔あき性を評価した。耐孔あき性の評価は、150m
m×70mmの試験片に通常の自動車用冷延鋼板に行わ
れるのと同じ燐酸亜鉛化成処理を行った後に、カチオン
電着塗装(日本ペイント社製パワートップU−100、
20μm)を施し、カッターナイフにて素地に達する傷
をつけ、複合腐食試験を用いて図4に示すサイクルの腐
食環境に1ヶ月間曝した後に、傷つけ部周辺での最大板
厚減少量を測定することで行った。図5より本願発明の
条件を満たすZn−Cr合金めっき鋼板の耐孔あき性
は、比較例に比べても、またEG30、Zn−Ni30
およびGA60に比べても優れていることがわかる。
する。 (実施例)表1に発明例及び比較例の製造条件、目付
量、Cr含有率及び相構成を示す。いずれも原板として
板厚0.7mmの冷延鋼板を用いて、常法に従い脱脂酸
洗を行った後にめっきを行い試料を作製した。本発明例
はいずれも実質的にηx相、δx相とΓx相から構成さ
れるのに対して、比較例は単相ないしは2相の組み合わ
せから構成されるものである。表1に示す試料を用いて
耐孔あき性を評価した。耐孔あき性の評価は、150m
m×70mmの試験片に通常の自動車用冷延鋼板に行わ
れるのと同じ燐酸亜鉛化成処理を行った後に、カチオン
電着塗装(日本ペイント社製パワートップU−100、
20μm)を施し、カッターナイフにて素地に達する傷
をつけ、複合腐食試験を用いて図4に示すサイクルの腐
食環境に1ヶ月間曝した後に、傷つけ部周辺での最大板
厚減少量を測定することで行った。図5より本願発明の
条件を満たすZn−Cr合金めっき鋼板の耐孔あき性
は、比較例に比べても、またEG30、Zn−Ni30
およびGA60に比べても優れていることがわかる。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上述べてきたように、本願発明は耐孔
あき性が優れた自動車用等に使用される防錆鋼板を提供
するものである。
あき性が優れた自動車用等に使用される防錆鋼板を提供
するものである。
【図1】 Zn−Cr合金めっき鋼板の裸耐食性と合金
組成との関係を示す図である。
組成との関係を示す図である。
【図2】 電析Zn−Cr合金の相構造(1)ηx、
(2)δxおよび(3)Γxを説明する図である。
(2)δxおよび(3)Γxを説明する図である。
【図3】 製造条件1〜3による電析Zn−Cr2元系
合金の組成による相構造の変化(1)〜(3)および熱
平衡状態の相構造(4)を示す図である。
合金の組成による相構造の変化(1)〜(3)および熱
平衡状態の相構造(4)を示す図である。
【図4】 実施例で行った複合腐食試験のサイクルを示
す図である。
す図である。
【図5】 Zn−Cr合金めっき鋼板の耐孔あき性と合
金組成との関係を示す図である。
金組成との関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 片 山 道 雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 望 月 一 雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 大 沼 啓 明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (1)
- 【請求項1】電析法により形成されるZnとCrとから
なる合金であり、結晶系が六方晶で格子定数がa=2.
66〜2.74Å、c=4.61〜4.95Åであるよ
うな構造を有する相、結晶系が六方晶で格子定数がa=
2.72〜2.78Å、c=4.43〜4.60Åであ
るような構造を有する相および結晶系が立方晶で格子定
数がa=3.00〜3.06Åであるような構造を有す
る相から実質的に構成されるZn−Cr合金めっきを施
されてなる耐孔あき性に優れた防錆鋼板。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30091592A JPH06146063A (ja) | 1992-11-11 | 1992-11-11 | 耐孔あき性に優れた防錆鋼板 |
PCT/JP1993/000956 WO1994001602A1 (en) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Rustproof steel sheet excellent in various characteristics including corrosion resistance |
AU45143/93A AU671843B2 (en) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Rustproof steel sheet excellent in various characteristics including corrosion resistance |
ES93914985T ES2125338T3 (es) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Utilizaciones de una chapa de acero resistente a la oxidacion y que presenta caracteristicas mejoradas comprendida la resistencia a la corrosion. |
EP93914985A EP0607452B1 (en) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Uses of a rustproof steel sheet excellent in various characteristics including corrosion resistance |
CA002118714A CA2118714A1 (en) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Corrosion resistant steel sheets improved in corrosion resistance and other characteristics |
DE69321097T DE69321097D1 (de) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Verwendung eines rostbeständigen stahlblechs mit verschiedenen hervorragenden eigenschaften v.a. korrosionsbeständigkeit |
US08/204,298 US5510196A (en) | 1992-07-10 | 1993-07-09 | Corrosion resistant steel sheets improved in corrosion resistance and other characteristics |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30091592A JPH06146063A (ja) | 1992-11-11 | 1992-11-11 | 耐孔あき性に優れた防錆鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06146063A true JPH06146063A (ja) | 1994-05-27 |
Family
ID=17890664
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30091592A Withdrawn JPH06146063A (ja) | 1992-07-10 | 1992-11-11 | 耐孔あき性に優れた防錆鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06146063A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020047425A (ko) * | 2000-12-13 | 2002-06-22 | 권수식 | 표면특성이 우수한 전기아연도금강판 |
KR100428019B1 (ko) * | 2000-12-13 | 2004-04-30 | 현대하이스코 주식회사 | 표면품질이 우수한 전기아연도금강판의 제조방법 |
-
1992
- 1992-11-11 JP JP30091592A patent/JPH06146063A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20020047425A (ko) * | 2000-12-13 | 2002-06-22 | 권수식 | 표면특성이 우수한 전기아연도금강판 |
KR100428019B1 (ko) * | 2000-12-13 | 2004-04-30 | 현대하이스코 주식회사 | 표면품질이 우수한 전기아연도금강판의 제조방법 |
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