JPH06145792A - 疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH06145792A JPH06145792A JP32730892A JP32730892A JPH06145792A JP H06145792 A JPH06145792 A JP H06145792A JP 32730892 A JP32730892 A JP 32730892A JP 32730892 A JP32730892 A JP 32730892A JP H06145792 A JPH06145792 A JP H06145792A
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以
上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法を提供す
る。 【構成】 C:0.07〜0.2%、Si:1.5〜2.5
%、Mn:1.2〜2.5%、Cr:0.5〜1.5%、C
u:0.1〜1.5%、Ni:0.1〜1.5%、P≦0.0
3%、S≦0.005%、Al:0.01〜0.06%を含
有し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼板をAr3
点以上で仕上げた後、(1)3〜20℃/secの冷却速
度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷し、550℃〜
Ms点で巻き取る。
上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法を提供す
る。 【構成】 C:0.07〜0.2%、Si:1.5〜2.5
%、Mn:1.2〜2.5%、Cr:0.5〜1.5%、C
u:0.1〜1.5%、Ni:0.1〜1.5%、P≦0.0
3%、S≦0.005%、Al:0.01〜0.06%を含
有し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼板をAr3
点以上で仕上げた後、(1)3〜20℃/secの冷却速
度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷し、550℃〜
Ms点で巻き取る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、疲労特性と加工性の優
れた590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板
の製造方法に関するものである。
れた590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
自動車の燃費節減のための軽量化に向けて、高強度鋼板
の適用拡大が進められている。熱延鋼板の分野でも加工
性の優れた高強度鋼板として、これまで、伸びの優れた
フェライトとマルテンサイトを主体とする鋼板(特開昭
54−114425号、特開昭55−38979号、特
開昭60−121225号等)や、残留γを多く含む鋼
板(特開平2−38523)、或いは伸びフランジ性の優
れたフェライトとベイナイトを主体とする鋼板(特開昭
56−130456号、特開昭57−101649号
等)、更には伸びと伸びフランジ性を兼備するフェライ
トとマルテンサイトとベイナイトを主体とする鋼板(特
開昭55−146020、特開昭57−145925)
が提案されている。
自動車の燃費節減のための軽量化に向けて、高強度鋼板
の適用拡大が進められている。熱延鋼板の分野でも加工
性の優れた高強度鋼板として、これまで、伸びの優れた
フェライトとマルテンサイトを主体とする鋼板(特開昭
54−114425号、特開昭55−38979号、特
開昭60−121225号等)や、残留γを多く含む鋼
板(特開平2−38523)、或いは伸びフランジ性の優
れたフェライトとベイナイトを主体とする鋼板(特開昭
56−130456号、特開昭57−101649号
等)、更には伸びと伸びフランジ性を兼備するフェライ
トとマルテンサイトとベイナイトを主体とする鋼板(特
開昭55−146020、特開昭57−145925)
が提案されている。
【0003】しかし、一部の部品では疲労特性が重要で
あり、高強度化により板厚が減少しても所定の疲労強度
を満足する必要があるが、上記提案では充分であるとは
云い難い。
あり、高強度化により板厚が減少しても所定の疲労強度
を満足する必要があるが、上記提案では充分であるとは
云い難い。
【0004】本発明は、かゝる状況のもとで、高強度化
によっても、加工性と共に疲労特性が優れた高強度熱延
鋼板を製造し得る方法を提供することを目的とするもの
である。
によっても、加工性と共に疲労特性が優れた高強度熱延
鋼板を製造し得る方法を提供することを目的とするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上記提案技術に鑑みて鋭意研究を行った結果、Cuの析
出強化と組織の最適化により、良好な伸びと伸びフラン
ジ性(加工性)及び優れた疲労強度を兼備させることがで
きることを見い出し、ここに本発明を完成するに至った
ものである。
上記提案技術に鑑みて鋭意研究を行った結果、Cuの析
出強化と組織の最適化により、良好な伸びと伸びフラン
ジ性(加工性)及び優れた疲労強度を兼備させることがで
きることを見い出し、ここに本発明を完成するに至った
ものである。
【0006】すなわち、本発明は、C:0.07〜0.2
%、Si:1.5〜2.5%、Mn:1.2〜2.5%、C
r:0.5〜1.5%、Cu:0.1〜1.5%、Ni:0.1
〜1.5%、P≦0.03%、S≦0.005%、Al:
0.01〜0.06%を含有し、必要に応じて更にCa≦
0.01%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物より
なる鋼板をAr3点以上で仕上げた後、3〜20℃/sec
の冷却速度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷し、そ
の後、30℃/sec以上の冷却速度で冷却した後、55
0℃〜Ms点で巻き取ることにより、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM、 なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
%、Si:1.5〜2.5%、Mn:1.2〜2.5%、C
r:0.5〜1.5%、Cu:0.1〜1.5%、Ni:0.1
〜1.5%、P≦0.03%、S≦0.005%、Al:
0.01〜0.06%を含有し、必要に応じて更にCa≦
0.01%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物より
なる鋼板をAr3点以上で仕上げた後、3〜20℃/sec
の冷却速度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷し、そ
の後、30℃/sec以上の冷却速度で冷却した後、55
0℃〜Ms点で巻き取ることにより、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM、 なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
【0007】また、他の本発明は、上記化学成分を有す
る鋼板をAr3点以上で仕上げた後、30℃/sec以上の
冷却速度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで冷却した後、
3〜20℃/secの冷却速度にて2〜20秒間徐冷し、
その後、30℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550
℃〜Ms点で巻き取ることにより、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
る鋼板をAr3点以上で仕上げた後、30℃/sec以上の
冷却速度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで冷却した後、
3〜20℃/secの冷却速度にて2〜20秒間徐冷し、
その後、30℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550
℃〜Ms点で巻き取ることにより、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
【0008】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
る。
【0009】
【0010】まず、本発明における鋼の化学成分の限定
理由について説明する。
理由について説明する。
【0011】C:Cは所望の低温変態生成物を確保する
のに重要な元素であり、含有量が0.07%未満では所
望の低温変態生成物体積率が得られず、また、0.2%
を超えて含有させると低温変態生成物を70%以上生成
したり、硬いマルテンサイトを20%以上生成すること
により加工性を劣化させる。よって、C含有量は0.0
7〜0.2%の範囲とする。
のに重要な元素であり、含有量が0.07%未満では所
望の低温変態生成物体積率が得られず、また、0.2%
を超えて含有させると低温変態生成物を70%以上生成
したり、硬いマルテンサイトを20%以上生成すること
により加工性を劣化させる。よって、C含有量は0.0
7〜0.2%の範囲とする。
【0012】Si:Siは伸びをあまり劣化させることな
く強度(TS)を上昇させる元素であり、所望の強度を確
保するには1.5%以上含有させる必要がある。しか
し、含有量が2.5%を超えると、多量の赤スケール発
生により表面の肌荒れがひどく、商品価値を損なう上、
生産性も阻害する。よって、Si含有量は1.5〜2.5
%の範囲とする。
く強度(TS)を上昇させる元素であり、所望の強度を確
保するには1.5%以上含有させる必要がある。しか
し、含有量が2.5%を超えると、多量の赤スケール発
生により表面の肌荒れがひどく、商品価値を損なう上、
生産性も阻害する。よって、Si含有量は1.5〜2.5
%の範囲とする。
【0013】Mn:Mnは低温変態生成物の生成を促進す
る元素であり、所定の低温変態生成物体積率を得るには
1.2%以上添加する必要がある。しかし、2.5%を超
えて多く含有させるとその効果が飽和する。よって、M
n含有量は1.2〜2.5%の範囲とする。
る元素であり、所定の低温変態生成物体積率を得るには
1.2%以上添加する必要がある。しかし、2.5%を超
えて多く含有させるとその効果が飽和する。よって、M
n含有量は1.2〜2.5%の範囲とする。
【0014】Cr:Crは低温変態生成物の生成を促進す
る元素であり、所定の低温変態生成物体積率を得るには
0.5%以上含有させる必要がある。しかし、1.5%を
超えて含有させてもその効果は飽和する。よって、Cr
含有量は0.5〜1.5%の範囲とする。
る元素であり、所定の低温変態生成物体積率を得るには
0.5%以上含有させる必要がある。しかし、1.5%を
超えて含有させてもその効果は飽和する。よって、Cr
含有量は0.5〜1.5%の範囲とする。
【0015】Cu:Cuは析出強化により強度(TS)を増
加させるだけでなく、疲労特性にも影響を及ぼす元素で
あり、0.1%未満ではその効果は少なく、また、1.5
%を超えて多量に含有させてもその効果は飽和する。よ
って、Cu含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。
加させるだけでなく、疲労特性にも影響を及ぼす元素で
あり、0.1%未満ではその効果は少なく、また、1.5
%を超えて多量に含有させてもその効果は飽和する。よ
って、Cu含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。
【0016】Ni:NiはCu含有による熱間脆性を防止
すると共に、フェライトの生成を助長させる元素であ
り、0.1%未満ではその効果は少なく、また、1.5%
を超えて多量に含有させてもその効果は飽和する。よっ
て、Ni含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。
すると共に、フェライトの生成を助長させる元素であ
り、0.1%未満ではその効果は少なく、また、1.5%
を超えて多量に含有させてもその効果は飽和する。よっ
て、Ni含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。
【0017】P:Pはフェライト粒界に偏析して粒界脆
化を生じ易いので、0.03%以下に抑制する必要があ
る。
化を生じ易いので、0.03%以下に抑制する必要があ
る。
【0018】S:SはMnS等の非金属介在物を生成
し、伸び、伸びフランジ性を劣化させるので、含有量は
少ない程好ましく、0.005%以下とする必要があ
る。
し、伸び、伸びフランジ性を劣化させるので、含有量は
少ない程好ましく、0.005%以下とする必要があ
る。
【0019】Al:Alは鋼の脱酸のために必要な元素で
あり、含有量が0.01%未満では脱酸効果は少なく、
また、0.06%を超えて多量に含有させると、アルミ
ナ系の非金属介在物が生成し易くなり、かつ微細なAl
Nが多量に析出し易くなるため加工性を劣化させる。よ
って、Al含有量は0.01〜0.06%の範囲とする。
あり、含有量が0.01%未満では脱酸効果は少なく、
また、0.06%を超えて多量に含有させると、アルミ
ナ系の非金属介在物が生成し易くなり、かつ微細なAl
Nが多量に析出し易くなるため加工性を劣化させる。よ
って、Al含有量は0.01〜0.06%の範囲とする。
【0020】Ca:Caは加工性に悪影響を及ぼす非金属
介在物の形態を変えて加工性を向上させる元素であり、
必要に応じて添加することができる。添加する場合、そ
の含有量が0.01%を超えてもその効果は飽和するの
で、0.01%以下とする。
介在物の形態を変えて加工性を向上させる元素であり、
必要に応じて添加することができる。添加する場合、そ
の含有量が0.01%を超えてもその効果は飽和するの
で、0.01%以下とする。
【0021】次に本発明鋼の組織の規定理由について述
べる。
べる。
【0022】フェライトは、軟質なため、鋼板に伸びを
付与するのに重要である。しかし、フェライト体積率
(VfF)は、30%未満では強度(TS)−伸び(El)バラ
ンスが劣化する(図1)。よって、フェライトは体積率
(VfF)で30%以上である必要がある。
付与するのに重要である。しかし、フェライト体積率
(VfF)は、30%未満では強度(TS)−伸び(El)バラ
ンスが劣化する(図1)。よって、フェライトは体積率
(VfF)で30%以上である必要がある。
【0023】マルテンサイトは、強度を向上させるのに
重要であり、所望の強度を得るにはマルテンサイトを1
%以上含有させる必要がある。しかし、マルテンサイト
は硬質なため孔拡げ加工時に割れの起点となり易く、2
0%より多いと強度(TS)−伸びフランジ性(λ)バラン
スが劣化する(図2)。よって、マルテンサイトは体積率
(VfM)で1〜20%である必要がある。なお、ここで
マルテンサイトには残留γ(オーステナイト)を含むもの
とする。
重要であり、所望の強度を得るにはマルテンサイトを1
%以上含有させる必要がある。しかし、マルテンサイト
は硬質なため孔拡げ加工時に割れの起点となり易く、2
0%より多いと強度(TS)−伸びフランジ性(λ)バラン
スが劣化する(図2)。よって、マルテンサイトは体積率
(VfM)で1〜20%である必要がある。なお、ここで
マルテンサイトには残留γ(オーステナイト)を含むもの
とする。
【0024】ベイナイトは、余り伸びフランジ性を劣化
させることなく強度を向上させるのに有効であり、その
体積率(VfB)が低温変態生成物の体積比でVfB/Vf
M≧2の関係を満足することにより、強度−伸びフラン
ド性(λ)バランスの優れた高強度鋼板を得ることができ
る(図3)。なお、ここでベイナイトには微細な炭化物を
有する疑似パーライトも含むものとする。
させることなく強度を向上させるのに有効であり、その
体積率(VfB)が低温変態生成物の体積比でVfB/Vf
M≧2の関係を満足することにより、強度−伸びフラン
ド性(λ)バランスの優れた高強度鋼板を得ることができ
る(図3)。なお、ここでベイナイトには微細な炭化物を
有する疑似パーライトも含むものとする。
【0025】本発明鋼は以上の3相を主体とした組織と
することにより、高強度化しても優れた疲労特性と良好
な加工性を具備させることができる。
することにより、高強度化しても優れた疲労特性と良好
な加工性を具備させることができる。
【0026】次に本発明における製造条件について説明
する。
する。
【0027】上記化学成分を有する鋼についての熱間圧
延の仕上げ温度は、Ar3点以上とする必要がある。Ar3
点未満ではフェライト加工組織の残存により伸び、伸び
フランジ性が劣化するので好ましくない。他の熱延条件
は特に制限はない。
延の仕上げ温度は、Ar3点以上とする必要がある。Ar3
点未満ではフェライト加工組織の残存により伸び、伸び
フランジ性が劣化するので好ましくない。他の熱延条件
は特に制限はない。
【0028】仕上げ熱延の後、良好な伸び、伸びフラン
ジ性に重要なフェライトの生成を促進するため、2通り
の冷却方法を採用する。すなわち、3〜20℃/secの
冷却速度でAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷するか、或
いはAr3点〜Ar1点の2相域まで30℃/sec以上の冷
却速度で冷却した後、3〜20℃/secの冷却速度で1
〜20秒間徐冷する。これらの冷却条件では所要のフェ
ライトが生成する。
ジ性に重要なフェライトの生成を促進するため、2通り
の冷却方法を採用する。すなわち、3〜20℃/secの
冷却速度でAr3点〜Ar1点の二相域まで徐冷するか、或
いはAr3点〜Ar1点の2相域まで30℃/sec以上の冷
却速度で冷却した後、3〜20℃/secの冷却速度で1
〜20秒間徐冷する。これらの冷却条件では所要のフェ
ライトが生成する。
【0029】その後、伸びフランジ性を劣化させるパー
ライトの生成を抑制するため、30℃/sec以上の冷却
速度で急冷し、550℃〜Ms点で巻き取る必要があ
る。その後の冷却途中に残留γの一部がマルテンサイト
に変態することにより、ベイナイト主体の低温変態生成
物が得られる。
ライトの生成を抑制するため、30℃/sec以上の冷却
速度で急冷し、550℃〜Ms点で巻き取る必要があ
る。その後の冷却途中に残留γの一部がマルテンサイト
に変態することにより、ベイナイト主体の低温変態生成
物が得られる。
【0030】次に本発明の実施例を示す。
【0031】
【0032】表1に示す化学成分を有する鋼を真空溶解
した後、30mm板厚まで粗圧延し供試材とした。これを
1200℃に加熱し、表2に示す条件にて板厚4mmまで
圧延した後、表裏面を3.5mmまで研磨し、引張り試験
(JIS5号)、孔拡げ試験〔孔拡げ率λ=(成形後の孔
径−初期孔径)/初期孔径×100%〕、平面曲げ疲労
試験を行った。それらの結果を得られた組織と共に表3
に示す。なお、各組織の面積率は、SEM写真の画像解
析より求めた。
した後、30mm板厚まで粗圧延し供試材とした。これを
1200℃に加熱し、表2に示す条件にて板厚4mmまで
圧延した後、表裏面を3.5mmまで研磨し、引張り試験
(JIS5号)、孔拡げ試験〔孔拡げ率λ=(成形後の孔
径−初期孔径)/初期孔径×100%〕、平面曲げ疲労
試験を行った。それらの結果を得られた組織と共に表3
に示す。なお、各組織の面積率は、SEM写真の画像解
析より求めた。
【0033】表3において、No.1〜No.4は本発明例
であり、いずれもTS≧590N/mm2の高強度で、T
S×El≧15000かつTS×λ≧50000と良好
な加工性を示し、更に疲労限/TS×100>50(%)
と優れた疲労特性を示す。
であり、いずれもTS≧590N/mm2の高強度で、T
S×El≧15000かつTS×λ≧50000と良好
な加工性を示し、更に疲労限/TS×100>50(%)
と優れた疲労特性を示す。
【0034】一方、比較例のNo.5〜No.10は本発明
範囲から外れた化学成分の例であり、またNo.2-A〜
No.2-Dは本発明範囲内の化学成分(鋼No.2)である
ものの圧延条件が本発明範囲から外ずれた例であるが、
強度か疲労特性か加工性のいずれかにおいて劣ってい
る。
範囲から外れた化学成分の例であり、またNo.2-A〜
No.2-Dは本発明範囲内の化学成分(鋼No.2)である
ものの圧延条件が本発明範囲から外ずれた例であるが、
強度か疲労特性か加工性のいずれかにおいて劣ってい
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
TS≧590N/mm2の高強度化によっても、良好な加
工性と共に疲労特性が優れた高強度熱延鋼板を製造する
ことができる。
TS≧590N/mm2の高強度化によっても、良好な加
工性と共に疲労特性が優れた高強度熱延鋼板を製造する
ことができる。
【図1】フェライト体積率(VfF)と強度(TS)−伸び
(El)バランスの関係を示す図である。
(El)バランスの関係を示す図である。
【図2】マルテンサイト体積率(VfM)と強度(TS)−
伸びフランジ性(λ)バランスの関係を示す図である。
伸びフランジ性(λ)バランスの関係を示す図である。
【図3】低温変態生成物の体積比(VfB/VfM)と強度
(TS)−伸びフランジ性(λ)バランスの関係を示す図で
ある。
(TS)−伸びフランジ性(λ)バランスの関係を示す図で
ある。
【図4】(a)〜(c)は実施例における各種の製造条
件を示す図であり、冷却1、冷却2、冷却3は表2中の
冷却条件に対応している。
件を示す図であり、冷却1、冷却2、冷却3は表2中の
冷却条件に対応している。
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/58
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.07〜
0.2%、Si:1.5〜2.5%、Mn:1.2〜2.5
%、Cr:0.5〜1.5%、Cu:0.1〜1.5%、N
i:0.1〜1.5%、P≦0.03%、S≦0.005
%、Al:0.01〜0.06%を含有し、残部が鉄及び
不可避的不純物よりなる鋼板をAr3点以上で仕上げた
後、3〜20℃/secの冷却速度にてAr3点〜Ar1点の
二相域まで徐冷し、その後、30℃/sec以上の冷却速
度で冷却した後、550℃〜Ms点で巻き取ることによ
り、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM、 なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.07〜0.2%、Si:1.5〜
2.5%、Mn:1.2〜2.5%、Cr:0.5〜1.5
%、Cu:0.1〜1.5%、Ni:0.1〜1.5%、P≦
0.03%、S≦0.005%、Al:0.01〜0.06
%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼板
をAr3点以上で仕上げた後、30℃/sec以上の冷却速
度にてAr3点〜Ar1点の二相域まで冷却した後、3〜2
0℃/secの冷却速度にて2〜20秒間徐冷し、その
後、30℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550℃〜
Ms点で巻き取ることにより、 フェライト体積率(VfF):30%以上、 マルテンサイト(含残留γ)体積率(VfM):1〜20
%、 ベイナイト(含微細な炭化物を有する疑似パーライト)体
積率(VfB): VfB≧2×VfM なる3相を主体とした組織を得ることを特徴とする疲労
特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有す
る高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 前記鋼が、更にCa≦0.01%を含有す
るものである請求項1又は2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32730892A JPH06145792A (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32730892A JPH06145792A (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06145792A true JPH06145792A (ja) | 1994-05-27 |
Family
ID=18197686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32730892A Pending JPH06145792A (ja) | 1992-11-12 | 1992-11-12 | 疲労特性と加工性の良好な590N/mm2以上の強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06145792A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998020180A1 (en) * | 1996-11-05 | 1998-05-14 | Pohang Iron & Steel Co., Ltd. | Method for manufacturing high strength and high formability hot-rolled transformation induced plasticity steel containing copper |
US9732405B2 (en) | 2011-03-18 | 2017-08-15 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Hot rolled steel sheet and method of producing same |
-
1992
- 1992-11-12 JP JP32730892A patent/JPH06145792A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998020180A1 (en) * | 1996-11-05 | 1998-05-14 | Pohang Iron & Steel Co., Ltd. | Method for manufacturing high strength and high formability hot-rolled transformation induced plasticity steel containing copper |
US9732405B2 (en) | 2011-03-18 | 2017-08-15 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Hot rolled steel sheet and method of producing same |
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