JPH0614389B2 - カツプ式飲料自動販売機の原料撹拌装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、コーヒー等の粉末原料に湯を加えて撹拌混
合したホット飲料をカップに入れて販売するカップ式飲
料自動販売機の原料撹拌装置に関する。

〔従来の技術〕

まず頭記カップ式飲料自動販売機の従来における一般構
成を第６図により説明する。図において１は各種の粉末
原料を種類別に収容した粉末原料箱、２は温水槽、３は
冷水槽、４は製氷機、５はカップ６を多数収容したカッ
プ供給機構、７ａは商品取出口に通じるベンドステージ
であり、これら主要部品をキヤビネット内に配備してカ
ップ式飲料自動販売機が構成されている。

かかる構成で、ホット飲料の販売指令が与えられると、
まずカップ供給機構５より１個宛のカップ６がカップシ
ュータ５ａを経てベンドステージ７ａに搬出される。続
いて選択された種類の粉末原料箱１より所定量の粉末原
料が原料シュータ１ａを通じて符号８で示す原料撹拌機
構としてのミキシングボウル内に搬出され、温水槽２の
給湯弁２ａが開放し、給湯ホース２ｂを通じて湯がミキ
シングボウル８内に供給され、ここで粉末原料と湯とを
撹拌してホット飲料を調合する。さらに撹拌調合された
飲料はミキシングボウル８よりホースの流下してカップ
６内に注入される。

上記のように粉末原料を原料として飲料を調合する従来
のカップ式飲料自動販売機では、販売指令によりカップ
６をベンドステージに搬出して待機させ、粉末原料と湯
水を別な位置で原料撹拌機構のミキシングボウルに供給
した上で撹拌混合して飲料を調合し、この飲料を原料撹
拌機構から飲料ホースを通じてベンドステージに搬出さ
れたカップへ注出して販売に供するような方式を採用し
て構成されている。なおこの方式をミキシングボウル内
原料撹拌方式と呼ぶ。

一方、別な方式として予めカップ内に粉末原料を収容し
た粉末原料入りカップをカップ供給機構内に収納してお
き、カップ供給機構からベンドステージに搬出した粉末
原料入りカップへ直接湯水を注入した上で原料撹拌手段
により粉末原料と湯水を撹拌混合して飲料を調合するよ
うにした販売方式のもの、あるいはカップ供給機構から
搬出されたカップを受け取って商品取出口へ機内搬送す
るカップ搬送機構を装備し、かつカップ搬送過程の途上
でカップ内に粉末原料，湯水を順に直接供給した後に、
前記方式と同様にカップ内で粉末原料と湯水を撹拌混合
して飲料を調合するようにした販売方式のものが提案さ
れている。なお、この両方式をカップ内原料撹拌方式と
呼ぶ。

〔発明が解決しようとする課題〕 ところで、前述した従来方式において、前者のミキシン
グボウル内原料撹拌方式のものは次のような問題があ
る。すなわち飲料の混合，供給過程で、原料撹拌機構の
ミキシングボウルおよびこれに続く飲料ホースの内部に
は飲料の溶け残り滓が付着残留するために、販売待機時
間が長いと時間の経過とともにこの飲料滓に細菌が発
生，増殖し、これが次回の飲料販売時の際に飲料に混入
するという衛生上の問題が発生する。このために従来で
は原料撹拌機構および飲料ホースを頻繁に洗浄すること
によって前記問題に対処しているが、この洗浄作業には
手間と時間が掛かり厄介であることから販売管理上の問
題があった。

これに対し、後者のカップ内原料撹拌方式によればカッ
プ内で直接に原料の撹拌を行うので、第６図に示したミ
キシングボウル、およびこれに続く飲料ホース等が不要
となり、したがって飲料滓の付着残留による衛生上の問
題は解消される。

しかしながら、従来のカップ内原料撹拌方式での撹拌
は、ノズルから噴射された湯水により直接粉末原料を溶
解させるとともにノズルの噴射圧およびその圧力により
生起する水流によって、粉末原料を溶解させる方式であ
る。したがって、噴射圧および噴射流量が大きければ、
撹拌力が強くカップ底にある粉末原料を溶解させること
ができるが、撹拌の際に発生する泡も増大し、出来上り
飲料の品質を低下させることになる。また逆に、噴射
圧、噴射流量が小さければ、発生する泡が少なくなるも
のの、撹拌力が弱くカップ底にある粉末原料を溶解させ
ることが困難となる。したがってこの方式の採用は比較
的溶解性の高い、泡立ちの少ない粉末原料に限られる。

そこで、この発明は、先記したカップ内原料撹拌方式に
よるカップ式飲料自動販売機の原料撹拌装置を対象に、
従来装置に改良の手を加えることにより、衛生面の問題
がなく、また泡立ちの少ないしかも充分に溶解された美
味しい飲料が調製できる原料撹拌装置を提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、この発明によれば、粉末原
料が投入されているカップ内にノズルから湯を注入する
ことにより、粉末原料と湯とをカップ内で混合撹拌して
飲料を調合するカップ式飲料自動販売機の原料撹拌装置
において、加圧された湯をカップ内底部に堆積している
粉末原料に向けてかつ噴射地点を変えるように移動しな
がら噴射する移動噴射ノズルと、重力により湯をカップ
内に注入するように固定設置された固定ノズルとを設
け、前記移動噴射ノズルから少量の湯をカップ内に噴射
した後前後固定ノズルから湯をカップ内に注入して該カ
ップ内で粉末原料と湯とを撹拌混合するものとする。

〔作用〕

まず移動噴射ノズルから加圧された少量の湯をカップ内
底部に堆積している粉末原料に向けて噴射することによ
り、該湯はカップ内の粉末原料を貫通して底まで達し、
底よりはね返って粉末原料を舞上げ、また同時に噴射ノ
ズルの移動噴射により湯の噴射記地点が変化するので、
堆積粉末原料に対して死角を生じることなく万遍なく湯
を噴射でき、粉末原料全体を湿らせて、ぬれ性のよい充
分に撹拌混合された濃縮飲料と成す。この湯の噴射の際
に多数の泡が生じるが、湯の噴射を少量で終えることに
よりその後の多数の泡の発生を防止し、引き続いて固定
ノズルより重力で湯を供給することにより、湯の噴出圧
を小さくして泡立ちの少ない飲料に仕上げる。しかも、
固定ノズルからの湯は重力による吐出圧の小さな状態で
あっても、前記したぬれ性のよい濃縮飲料に対して供給
されるため溶解性が損なわれず、したがって泡立ちが少
なく充分に撹拌混合された美味しい飲料が調製できるよ
うになる。

〔実施例〕

以下この発明の実施例を第１図ないし第５図により詳細
に説明する。まず第５図によりこの発明の実施例を組込
んだカップ式飲料自動販売機の全体構成を説明すると、
１２は自動販売機のキャビネットであり、その前面扉に
商品取出口７が開口している。一方キャビネット１２の
庫内上部には各種の原料を収容した粉末原料箱１、温水
槽２、冷水槽３、製氷機４およびカップ供給機構５が図
示のように並べて据付けられ、かつ水冷却槽１１は冷凍
機１０とともに庫内の下部に配置されている。さらに前
記したカップ供給機構５のカップ搬出端から商品取出口
７へ至る間を結んで庫内には水平移動式コンベアとして
成るカップ搬送機構１３の移動経路の途上に、前記した
カップ供給機構５、各種の粉末原料箱１とともに固定ノ
ズル１７、フラットスプレイノズル１４とノズル揺動装
置１５からなる移動噴射ノズル１６の順に並べて配備さ
れている。上記固定ノズル１７は、その中心軸が第３図
の(a)のごとく側面から見ると垂線に対して１０度の角
度を有し、上方より見ると第３図の(b)に示すごとく、
固定ノズル１７の中心軸のカップ底面に対する投影線
が、中心を通らずかつカップ底の円周と２点で交わり、
しかも、ノズル１７による噴射した湯水の到着点がカッ
プ底より１５mm程度となるように固定されている。な
お、２ｃは移動噴射ノズル１６へ供給する湯を加圧する
ための温水ポンプである。

かかる構成で販売指令が与えられると、まずカップ供給
機構５から１個のカップ搬送機構１３のコンベア上のＡ
地点に搬出される。続いてカップ供給機構１３が始動し
てカップ６を原料シュータ１ａの直下に定められたＢ地
点まで移送して一旦停止し、選択された飲料の粉末原料
を粉末原料箱から搬出し、原料シュータ１ａを通じてカ
ップ６内へ投入する。続いてカップ搬送機構１３がカッ
プ６をＣ地点に移送すると、第１図に示す手順で撹拌が
開始する。まず駆動モータ１５ａが回転しヒンジ１５
ｃ、ロッド１５ｂを介して、フラットスプレイノズル１
４が矢印Ｅ（第１図の(1)）の方向に揺動運動する。同
時に給湯弁２ａが開口し、温水ポンプ２ｃが駆動し、湯
が湯水槽２より、給湯ホース２ｂを通して循環する。そ
して、給湯弁２ｄが1.８秒間開口すると、移動噴射ノズ
ル１６のフラットスプレイノズル１４が加圧された湯を
第１図の(1)に示すようにカップ６内に堆積している粉
末原料１８に向けてかつ矢印Ｇで示す範囲で噴射地点を
変えるように移動しながら噴射し撹拌する。

噴射撹拌終了後、給湯弁２ｅが１秒間開口し、給湯ホー
ス２ｆを通して、温水槽２より湯が固定ノズル１７より
重力で第１図の(2)に示すようにカップ６内へ注入さ
れ、カップ内の粉末原料を撹拌する。しかる後に、0.５
秒間固定ノズル１７からの注入を休止した後、再び第１
図の(4)に示すように固定ノズル１７から１秒間カップ
６内へ湯水を注入し撹拌を終了する。このようにして飲
料の調合が済むと、カップ搬送機構１３が再び移動を開
始し、飲料の入ったカップ６を商品取出口７に臨むＤ地
点まで移送して停止し、これで販売動作が終了する。な
お前記一連の販売動作は図示せぬコントローラからの指
令でプログラム制御される。

次にこの発明の撹拌装置における撹拌の作用を説明す
る。フラットスプレイノズル１４により、そのノズル１
４を揺動させながらカップ６内底部に堆積している粉末
原料１８に向けて湯を噴射させると、その噴射圧によ
り、湯はカップ内の堆積粉末原料１８を貫通して底まで
達し、底よりはね返って粉末原料１８を上方へ舞上げ
る。同時にノズル１４の揺動運動により湯の噴射地点が
変化するので、堆積粉末原料１８に対して死角を生じる
ことなく粉末原料全体に湯が噴射され、粉末原料と湯と
が充分に撹拌混合されたぬれ性のよい濃縮飲料を生成す
る。しかし該ノズルでの噴射を継続すると、噴射圧が強
いためカップ内に注入される湯が、水面に突入する際に
空気を巻込み多数の泡を発生させることになり、これで
出来上がった飲料は泡の多い品質の低下したものとな
る。そこで、フラットスプレイノズル１４による撹拌時
間を少なくして、該ノズルにより噴射されて湯が粉末原
料全体を十分に湿らせたぬれ性のよい濃縮飲料状態とな
った時点で噴射撹拌を終了し、その後の多数の泡の発生
を防止する。次に固定ノズルより重力で湯を注入し、泡
立ちを少なくしつつぬれ性のより濃縮飲料を撹拌して充
分に撹拌混合する。固定ノズルによる湯の注入を２回に
分割しているのは、固定ノズルで注入する際に生ずる泡
の発生を抑制するためである。この抑制作用を次に説明
する。泡の発生理由としては、ノズルによりカップ内に
注入された湯が液面に突入の際に空気を巻込み、その空
気を中心として泡が発生する。特に液中の溶解不十分な
粉末原料の表面には、極わずかの気相が存在し、この気
相を上記の泡とが結合して、より大きな泡を形成すると
考えられる。そこで、ノズルからの湯を間欠注入する方
式では、湯注入時には粉末原料を溶解させ、泡を発生す
るが、注入休止時に新たに泡を発生させることなく、水
流の慣性で粉末原料を溶解させ、粉末原料が溶解するこ
とにより、泡の発生源が減少するので次に撹拌効果が不
十分であり、他は良い。また泡立ちに関しては、該入射
角が大きい程泡の発生が少ない。固定ノズルから注入さ
れる湯がカップ内壁面に当たる地点での高さを、０mm，
１５mm，４０mmにして実験検討すると、０mm，４０mmで
は撹拌が不十分であり、１５mmが撹拌十分で、泡立ちは
この逆となった。固定ノズルからの湯注入総量を同一と
して、注入回数を１，２，４回に分割して撹拌効果おび
泡立ちを調べると２回までは撹拌効果がよく、また泡立
ちに関しては回数の多い方が少ない。上記結果をまとめ
たものを次表に示す。

に湯を注入した時には連続注入と比較して、はるかに泡
の発生を抑制することが出来る。発明者の行ったコーヒ
ーの撹拌実験による知見は下記のとおりである。フラッ
トスプレイノズルの噴射圧を0.05，0.１，0.２kg／cm²
とし、また噴射亮量を２０cc，３０cc，４０ccとして撹
拌力、泡立ちを検討すると噴射圧が高いほど、また噴射
量が多いほど撹拌力は良いが反対に泡の発生が多くな
る。固定ノズルの給湯弁２ｅより供給される湯の流量を
3.３／min，1.６／min，と２種類で検討すると、3.
３／minの場合には撹拌が十分であり、1.６／minで
は撹拌が不十分であった。また固定ノズルの取付位置の
検討として、垂線よりの角度を５゜，１０゜，１５゜に
した場合を検討したが何れの場合にも撹拌能力には差が
なく角度が１５゜の時に泡立ちが多い。上方より見た固
定ノズルの取付位置では第４図に示すように、ノズルか
ら注入される湯が、上方から見てカップ内壁面に衝突す
る入射角を０゜，４５゜，９０゜にして検討した。その
結果、該入射角が９０゜の場合 〔発明の効果〕 この発明によれば、粉末原料が投入されているカップ内
にノズルから湯を注入することにより、粉末原料と湯と
をカップ内で混合撹拌して飲料を調合するカップ式飲料
自動販売機の原料撹拌装置において、加圧された湯をカ
ップ内底部に堆積している粉末原料に向けてかつ噴射地
点を変えるように移動しながら噴射する移動噴射ノズル
と、重力により湯をカップ内に注入するように固定設置
された固定ノズルとを設け、前記移動噴射ノズルから少
量の湯をカップ内に噴射した後前記固定ノズルから湯を
カップ内に注入して該カップ内で粉末原料と湯とを撹拌
混合するようにしたので、ミキシングボウル内撹拌方式
のような衛生面での問題がなく、しかも泡立ちが少ない
かつ充分に溶解された美味しい飲料を調製することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図はこの発明の実施例を示す図であっ
て、第１図はその撹拌工程における異なる状態での説明
図、(1)は移動噴射ノズルによる撹拌状態、(2)は固定ノ
ズルによる撹拌状態、(3)は体止状態、(4)は２回目の固
定ノズルによる撹拌状態、(5)は出来上がり状態をそれ
ぞれ示す図、か２図はそれぞれのノズルに湯を供給する
給湯弁のタイムチャート、第３図は固定ノズルの取付位
置を示す説明図で、(a)は正面から見た状態をそれぞれ
示す図、第４図は固定ノズルの実験時の取付位置を上か
ら見て示す説明図、第５図はこの発明を適用したカップ
式飲料自動販売機全体の構成図、第６図は従来例を示す
カップ式飲料自動販売機の全体構成図である。 １……粉末原料箱、２……温水槽、２ａ，２ｄ，２ｅ…
…給湯弁、２ｂ，２ｆ……給湯ホース、２ｃ……温水ポ
ンプ、３……冷水槽、４……製氷機、５……カップ供給
機構、６……カップ、７……商品取出口、７ａ……ベン
ドステージ、１２……キャビネット、１３……カップ搬
送機構、１４……フラットスプレイノズル、１５……ノ
ズル移動装置、１６……移動社パネル、１７……固定ノ
ズル、１８……粉末原料。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粉末原料が投入されているカップ内にノズ
   ルから湯を注入することにより、粉末原料と湯とをカッ
   プ内で混合撹拌して飲料を調合するカップ式飲料自動販
   売機の原料撹拌装置において、加圧された湯をカップ内
   底部に堆積している粉末原料に向けてかつ噴射地点を変
   えるように移動しながら噴射する移動噴射ノズルと、重
   力により湯をカップ内に注入するように固定設置された
   固定ノズルとを設け、前記移動噴射ノズルから少量の湯
   をカップ内に噴射した後前記固定ノズルから湯をカップ
   内に注入して該カップ内で粉末原料と湯とを撹拌混合す
   るようにしたことを特徴とするカップ式飲料自動販売機
   の原料撹拌装置。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、移動噴射ノズルの噴射圧を0.05kg／cm²ないし0.15k
   g／cm²にしたことを特徴とするカップ式飲料自動販売機
   の原料撹拌装置。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、移動噴射ノズルの噴射量を２５ccないし３５ccとし
   たことを特徴とするカップ式飲料自動販売機の原料撹拌
   装置。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、固定ノズルから注入する湯量を２分割して注入する
   ようにしたことを特徴とするカップ式飲料自動販売機の
   原料撹拌装置。
5. 【請求項５】特許請求の範囲第１項または第４項記載の
   ものにおいて、固定ノズルは、該ノズルの中心軸が垂線
   に対して１５゜以内に、カップの上方から見て湯の注入
   方向とカップ内壁面とのなす湯の入射角が３０゜ないし
   ６０゜に、かつ注入される湯がカップ内壁面に衝突する
   位置がカップ底面より５mmないし２５mmの高さになるよ
   うに取付けられていることを特徴とするカップ式飲料自
   動販売機の原料撹拌装置。