JPH06143037A - ワイヤ放電加工方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工方法

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JPH06143037A
JPH06143037A JP15565292A JP15565292A JPH06143037A JP H06143037 A JPH06143037 A JP H06143037A JP 15565292 A JP15565292 A JP 15565292A JP 15565292 A JP15565292 A JP 15565292A JP H06143037 A JPH06143037 A JP H06143037A
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discharge machining
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wire
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Kunihiro Takahara
邦博 高原
Yoshinori Nishiyama
好則 西山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤ電極に発生する太鼓状振動を抑制す
る。 【構成】 上側ガイド部8、或いは下側ガイド部12を
ワイヤ電極Wの加工進行方向へ僅かに進めることにより
ワイヤ電極Wを傾斜させて、これと被加工物14の端面
14aと所定の角度を形成し、この傾斜状態を維持した
まま切込みを開始する。切込み開始後、所定の距離Sだ
け切込みを行なったならば、ワイヤ電極Wの傾斜角度を
NCプログラムの指定角度に徐々に変更し、更に、予め
予定された形状に沿って放電加工を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワイヤ放電加工方法に
係り、特に、放電加工初期におけるワイヤ電極の振動乃
至バタつきを防止したワイヤ放電加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、送行するワイヤ電極に所定の電
圧を印加し、ワイヤ電極と被加工物との間に放電現象を
発生させて、工作物を切断していく装置として、ワイヤ
放電加工機はすでに知られている。この種のワイヤ放電
加工機は、例えば図5に示すように上下動自在になされ
た加工ヘッド2を有しており、この加工ヘッド2の下端
部にテーパ機能を発揮するためにV軸移動機構4及びV
軸と直交するU軸方向へ移動するU軸移動機構6が取り
付けられている。そして、このU軸移動機構6には、割
りダイス等を収容した上側ガイド部8が取り付けられて
いる。
【0003】一方、上記上側ガイド部8の下方には下ア
ーム10が設けられており、この下アーム10の先端部
には、上記上側ガイド部8と対向させてこれより所定間
隔だけ隔てて下側ガイド部12が取り付けられている。
そして、上記上側ガイド部8と下側ガイド部12との間
に被加工物14が固定されている。この下アーム10、
下側ガイド部12及び被加工物14等は図示しない加工
槽内に収容されており、この加工槽はXテーブル及びY
テーブルにより水平面内移動自在になされている。そし
て、ワイヤ電極Wは、図示しないテンション機構によっ
て所定の張力が付与されつつ張架されて、図示しないワ
イヤ電極送り機構及びワイヤ電極巻取り機構によって所
定の方向、例えば下方へ送行しつつ放電加工が行われ
る。この際、一般的には放電の媒体として放電加工用の
加工液が使用され、上記ワイヤ電極Wには図示しない加
工液供給装置より加工液の噴流が供給される。そして、
上記ワイヤ電極Wと被加工物14とを相対移動させつつ
放電加工を行い、テーパ面等を形成する場合には、例え
ばV軸移動機構4或いはU軸移動機構6を適宜移動させ
ることによりワイヤ電極Wを傾斜させ、この状態で放電
加工を行う。
【0004】ところで、この種のワイヤ放電加工機にあ
っては、図6に示すように送行するワイヤ電極Wとこの
電極の各ガイド部8、12におけるダイス11、11と
の間には構造上どうしても、小さな僅かな、例えば10
μm程度のクリアランスが必然的に生じ、従って、ワイ
ヤ電極はワイヤガイド部8、12には完全に支持されず
送行中にワイヤ電極Wに微振動やバタつきが発生する。
すなわち、ワイヤ電極Wに加工用電圧を印加し、ワイヤ
電極Wを被加工物14に接近させると、これらの間に放
電が発生する。この場合、放電の発生位置は特定されな
い。この放電のエネルギーにより加工が開始されるが、
同時に放電発生時に生じる力がワイヤ電極Wに振動を与
えることになる。上述した通り、ワイヤ電極Wは完全に
ダイス11、11に支持されているのではないために、
振動の支点も定まっていない。従って、振動の状態は特
定できない。
【0005】この振動は、被加工物14の外側端面14
aから加工開始後、暫らく経過して加工が進行し、ワイ
ヤ電極Wが被加工物14中に完全に切り込んだ状態のと
きには、ワイヤ電極Wは被加工物14に挟まれたような
状態となるので上記振動は小さく押さえられるので問題
はほとんど生じない。しかしながら、加工を開始した当
初においては、図7に示すようにワイヤ電極Wは大きく
振動することになる。このようなワイヤ電極Wの振動
は、ガイドクリアランス、電極径、張力、上下ガイド間
距離あるいは放電発生位置等種々の影響を受け、一様な
状態ではない。そして、加工の進行とともに、ワイヤ電
極Wは被加工物14の内部に切り込んで行き、ある程
度、加工が進行すると前述のように被加工物14がワイ
ヤ電極Wを挟むような状態となって、この結果、ワイヤ
電極の振動幅は徐々に収束して、所定の距離に到達した
ときにこの振動は非常に小さくなる。
【0006】このため、例えば直径0.15mmのワイ
ヤ電極を使用して厚さ200mmの、例えば材質SKD
−11よりなる被加工物を放電加工した場合には、図7
の被加工物中央断面図にも示すように被加工物14の外
側端面の切り込み口の開口幅Lは、上から20mmのと
ころでL1=0.230〜0.250mm、中央部のと
ころでL2=0.345〜0.355mm、下から20
mmのところでL3=0.325〜0.250mmとな
り、中央部がえぐられて太鼓状の形状となり、特に被加
工物の中央部でその誤差が著しく大きくなって所望の形
状が得られない。しかも、切り込み口のエッジ部16に
丸みが生じて深さL4=約0.4mm、幅L5=0.0
525mmに渡ってダレが発生するという問題があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のような状況にお
いて、端面部分が製品形状と直接関係ないような場合に
は、問題は生じないが、この端面部分が製品形状と直接
関係するような場合であって、高い製品精度が要求され
るときには、前述のような放電加工のみで加工を完了す
ることができない。そのため、例えば図8(a)、
(b)に示すように被加工物14の端面に複数の溝部1
8を形成する場合には、第1の加工方法として図9に示
すように、加工進行方向の被加工物14の端面14bと
は別の側面の端面14cよりワイヤ電極Wで切り込んで
行ってNCプログラムにより矢印方向に加工を進めて所
望の形状20に加工する加工方法がある。この場合に
は、所望の形状20の部分においては、ワイヤ電極Wは
被加工物に挟まれた格好になるためワイヤ電極Wの振動
は小さくなり、ダレが生じにくくなっている。
【0008】しかしながら、この加工方法にあっては、
上記加工進行方向の端面14bと平行になるように切り
込む分だけ余計に加工時間がかかるという問題があっ
た。また、点Dに示されるコーナ部分においては、ワイ
ヤ電極Wの振動とは別にコーナ形状の精度における問題
点、例えばテーブル送り上の問題、ワイヤ電極の微震の
影響による問題、或いはワイヤ電極の遅れによる影響な
どによって発生するダレの問題等を考慮する必要もあっ
た。更に、上述のような各種の事情を予め考慮してNC
プログラムを作成しておかねばならず、加工作業を非常
に難しくしていた。また、第2の加工方法として、図1
0に示すようにワイヤ電極を被加工物14の外側端面1
4bに対して平行状態に張架したまま切り込んで行って
所望の深さよりも深い溝部18を形成し、その後、別の
作業工程で余分な深さに相当する不要部分22を研磨等
により削り取って所望の形状を完成する方法が行われて
いる。
【0009】この加工方法にあっては、ワイヤ電極の太
鼓状振動によってダレが生じた部分を不要部分22とし
て削除してしまうので、適正な形状が得られるが、この
場合には、NCプログラムを作成する際に、予め研磨し
て除去する寸法だけ補正しなければならず、煩雑であっ
た。更には、研磨面を元の形状の端面14bと平行にな
るように研磨する必要があり、そのため、研磨作業は熟
練した能力が必要であった。また、このような研磨作業
は慎重に行わなければならず、非常に時間がかかって作
業能率が極めて悪いという問題もあった。上述したよう
な問題は、被加工物14の外側端面14aから放電加工
を開始する場合のみならず、例えば図11(a)、
(b)に示すように被加工物14に円形の刳り貫き孔2
4を形成し、この刳り貫き孔24を区画する内側端面1
4dより放射状に溝部18を加工形成する場合にも発生
していた。本発明は、以上のような問題点に着目し、こ
れを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の
目的は、ワイヤ放電加工開始時において、ワイヤ電極が
振動乃至バタつきすることを阻止することができるワイ
ヤ放電加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、上側ガイド部と下側ガイド部との間に
張架したワイヤ電極を送行させつつこのワイヤ電極と被
加工物とを相対移動させて放電加工を行なうワイヤ放電
加工方法において、前記被加工物の端面より切り込んで
放電加工を行うに際して、放電加工に入る前に、前記ワ
イヤ電極を加工進行方向に対して傾斜させてこれを前記
端面に対して所定の角度に設定し、前記ワイヤ電極を傾
斜させた状態で被加工物に所定の距離だけ放電加工を施
し、その後、前記ワイヤ電極の傾斜角度を予め指定され
た指定角度に徐々に変更しながら放電加工を施し、前記
ワイヤ電極の傾斜角度が前記指定角度に到達したなら
ば、予め設定された形状に沿って放電加工を行うように
構成したものである。
【0011】
【作用】本発明は、以上のように構成したので、最初に
ワイヤ電極が被加工物に切り込んだときに、ワイヤ電極
が傾斜されるとワイヤ電極とワイヤガイド部とが接触し
てこすられた状態でワイヤ電極が送行される。するとワ
イヤ電極とワイヤガイド部とのクリアランスのために生
じていたワイヤ電極のバタつきがなくなり、特に、上ガ
イド部、或いは下ガイド部に近い振幅の小さい部分が放
電開始点となる。すなわち、ワイヤ電極の振動はあたか
も手で止めたかのように押さえ込まれる。その結果、こ
の振動乃至バタつきは急速に収束されてしまい、被加工
物に切り込んだ部分ほとんど振動を生ずることなく放電
加工を継続して行く。このため、被加工物の端面の加工
形状は、太鼓状振動を転写したような形状にはならず、
しかも端面エッジ部分もよりシャープに形成されること
になる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係るワイヤ放電加工方法を添
付図面に基づいて詳述する。本発明方法を実施するため
のワイヤ放電加工機は、図5に示すものと同様のものが
使用され、NCプログラムを本発明方法に沿って組み替
えることにより本発明が実施される。従って、図5に示
すワイヤ放電加工機の構成については、先に説明したこ
とから、ここではその説明を省略する。本発明方法の第
1実施例について、図1及び図2に基づいて詳述する。
図1は、上側ガイド部を進行方向に向けて進めることに
よってワイヤ電極を傾斜させた状態で切込みを行なう状
態を示す説明図、図2はワイヤ電極による切込み開始時
に太鼓状振動が抑制される状態を説明するための説明図
である。ワイヤ電極Wは、ワイヤ電極送り機構から送り
出され、上側ガイド部8及び下側ガイド部12を通過し
た後に、下アーム10(図5参照)を介してワイヤ電極
巻取り機構によって巻き取られる。被加工物14の移動
は、Xテーブル、Yテーブルを動かすことによって行な
われ、下アーム10はコラム(図示せず)側に固定され
て、テーブルが移動することで被加工物に対して相対移
動し得るようになっている。また、上側ガイド部8の水
平面内の移動は、加工ヘッド2に設けたV軸移動機構4
及びU軸移動機構6を操作することにより行なわれる。
【0013】まず、放電加工に入るに先立って、図2
(a)にも示すように上側ガイド部8を加工進行方向へ
適宜距離だけ進ませることによりワイヤ電極Wを傾斜さ
せて、これを被加工物14の外側端面14aに対してθ
の角度に設定する。本実施例においては、加工開始の端
面14aはほぼ垂直状態に設定されている場合について
述べる。上記ワイヤ電極と端面との間で形成される角度
θは、少なくとも0°にならないように設定する。この
状態では、図2(a)に示すように送行するワイヤ電極
が、上下側ガイド部8、12を支点として大きな振動を
している。このようにワイヤ電極Wが傾斜されるとワイ
ヤ電極Wとワイヤガイド8、12乃至ダイスが接触し、
これらがこすられた状態でワイヤ電極が送行される。こ
のようにワイヤ電極が垂直方向に張架されている状態と
異なり、ワイヤ電極Wとワイヤガイド乃至ダイスとのク
リアランスのために生じていたワイヤ電極Wの振動乃至
バタつきがなくなる。このようにワイヤ電極を所定の角
度だけ傾斜させて振動をなくしたならば、次に、この傾
斜状態を維持したまま、ワイヤ電極と被加工物14とを
接近させて、被加工物14の上端エッジ部の加工開始点
Pより切込みを開始する。
【0014】ワイヤ電極Wを傾斜させて加工を開始しよ
うとした場合、図2(b)に示すように極間が先に狭く
なるP点で比較的放電が発生しやすくなる。この部分は
振幅が比較的小さい部分であり、かつ上述したような作
用により振動を生じにくくしている。この際、ワイヤ電
極Wに微小な振動が生じていることがあるが、ワイヤ電
極が被加工物に切り込んでいくと、これが切り込んだ溝
に押さえられるような形となり、この微小な振動は収束
していく。すなわち、このような状態で、上記ワイヤ電
極Wの傾斜状態を維持しながら、図2(c)にも示すよ
うに更に放電加工により切込みを行い、図2(d)にも
示すように所定の距離Sだけ進める。この距離Sは、例
えば被加工物14の下端エッジ部がワイヤ電極W2によ
り切込みを開始するまでの距離に設定する。すなわち、
距離Sだけ切込みを行なうと、被加工物14の全厚さに
渡ってワイヤ電極による切込み加工が開始される。具体
的には、被加工物14の厚さ200mmで、電極の径が
0.15mmの場合には、上記所定の距離Sを、例えば
0.4mmに設定する。従って、前記したワイヤ電極と
外側端面14aとのなす角度θは、tanθ=0.4/
200となり、例えば約0.5°に設定する。尚、この
値は実験値をメモリし、自動設定するようにしてもよ
い。この場合、切込みを進めて行くに従って、図2
(c)に示すようにワイヤ電極は被加工物14により挟
持される形となってあたかも手で止めたかのように微小
な振動は更に押さえ込まれ、そして、図2(d)に示す
ようにワイヤ電極が距離Sだけ進んで被加工物14の全
厚さに渡って加工部が形成されると、微小な振動は急速
に収束してしまい、被加工物に切り込んだワイヤ電極は
ほとんど太鼓状の振動を生じることがない。従って、こ
の被加工物14の外側端面の加工部の開口形状は、太鼓
状振動を転写したような形状にはならず、また、端面エ
ッジ部分もよりシャープに形成される。尚、図示例にお
いては、上下側ガイド部8、10は、被加工物14の水
平面よりもかなり離れているが、実際においてはこれら
各ガイド部8、10は、被加工物14の水平面に極めて
接近させて設置されている。尚、上記傾斜角度θは、少
なくともワイヤ電極とガイド部のダイスとが接触し得る
角度とする。
【0015】このようにして、所定の距離Sだけ切込み
を行なったならば、次に、この放電加工を継続しなが
ら、予めNCプログラムで指定された指定角度にワイヤ
電極の傾斜角度を徐々に変更して行く。図示例にあって
は、ワイヤ電極W3は水平面に対してほぼ垂直状態にな
されており、NCプログラムで指定された指定角度は0
°の場合を示す。このようにして、ワイヤ電極W3の傾
斜角度がNCプログラムによる指定角度に到達したなら
ば、更に、放電加工による切込みを継続して行き、予め
設定された形状に沿って放電加工を行なう。この実施例
においては、被加工物14の外側端面14aは水平面に
対してほぼ垂直状態になされ、また加工開始前における
ワイヤ電極Wもほぼ鉛直方向に沿って送行していること
から、ワイヤ電極Wを角度θだけ傾斜させることによ
り、このワイヤ電極と外側端面との間で角度θを形成す
るようにしたが、外側端面が傾斜している場合には、そ
の傾斜角に対応させて、ワイヤ電極の傾斜角度を変えて
上記角度θを維持するように設定する。例えば被加工物
14の外側端面14aが予め鉛直に対して角度θだけ傾
斜しているような場合には、ワイヤ電極Wを何ら傾斜さ
せることなく、すなわち傾斜角度0°でもって切込みを
開始するようにする。
【0016】また、図示例にあっては、被加工物14の
外側端面14aより切り込みを開始する場合について説
明したが、これに限らず、例えば図12に示すように被
加工物14の刳り抜き孔24を区画する内側端面14d
から切り込みを開始する場合にも適用することができ
る。尚、被加工物の中央部まで切り込んだ時点で徐々に
ワイヤ電極を戻しても形状だれを減少させる効果を得る
ことができる。また、ワイヤ電極の傾斜角度を維持する
切り込みの距離は、少なくともワイヤ電極の加工部分が
被加工物に半分以上くい込むまでとし、望ましくは、ワ
イヤ全体がくい込んだ距離とする。
【0017】次に、図3に基づいて本発明方法の第2実
施例について説明する。先の第1実施例にあっては、上
側ガイド部を加工進行方向へ僅かに進ませることにより
ワイヤ電極を傾斜させたが、これに替えて第2実施例で
は下側ガイド部を進行方向へ僅かに相対移動させて進ま
せることによりワイヤ電極を傾斜させている。すなわ
ち、まず、ほぼ鉛直方向に沿って送行しているワイヤ電
極において、下側ガイド部を進行方向に向かって僅かに
相対移動させて進めて、ワイヤ電極を進行方向に向かっ
て所定の角度だけ傾斜させる。そして、この傾斜状態を
維持したままワイヤ電極W5を進め、下側ガイド部近傍
のワイヤ電極により加工開始点Cより切り込みを開始す
る。このように切り込みを開始した後、上側ガイド部近
傍のワイヤ電極が被加工物14の加工を開始するまで、
ワイヤ電極W6を前記所定の角度の傾斜状態に維持しな
がら所定の距離Sだけ切り込み加工を行なう。
【0018】このようにして、被加工物14の厚さ全体
に渡って加工が開始されたならば、放電加工による切リ
込みを継続しながらワイヤ電極W7の傾斜角度をNCプ
ログラムの指定角度へ徐々に変更して行く。そして、ワ
イヤ電極W8の傾斜角度がNCプログラムの指定角度に
到達したならば、その後はNCプログラムに指定された
形状に沿ってワイヤ電極W9を前進させて放電加工を継
続的に行なう。
【0019】次に、図4に基づいて本発明方法の第3実
施例について説明する。先の第1及び第2実施例にあっ
ては、被加工物の加工面が垂直状態に形成する場合につ
いて説明したが、本実施例にあっては切り込んでいく面
に対してテーパがある場合について説明する。図4に示
すように、まず、上側ガイド部8を進行方向に沿って僅
かに相対的に進めることによって、ワイヤ電極Wを進行
方向に対して所定の角度だけ傾斜させる。この動作と並
行して、或いはこの動作が完了した後、NCプログラム
に指定されたテーパ面を形成するために、ワイヤ電極W
をこの進行方向に対して直交する面内においてテーパ面
の角度に相当する角度αだけ傾斜させる。このようにし
て傾斜されたワイヤ電極W10を前進させてこれを加工
開始点Cに到達させる。そして、切り込み加工を開始し
た後、下側ガイド部10近傍のワイヤ電極が被加工物1
4の加工を開始するまで、ワイヤ電極W11を上記所定
の角度の傾斜状態を維持しながら放電加工を行なう。
【0020】そして、所定の距離だけ切り込みが進んで
下側ガイド部10近傍のワイヤ電極が加工を開始した
ら、更に放電加工を継続しながらワイヤ電極のワイヤ進
行方向の傾斜を徐々に小さくして行き、最終的に進行方
向の傾斜角度を0°にする。この場合、テーパ面を形成
するために、ワイヤ電極進行方向に直交する面内におい
てテーパ面の角度と同じ角度だけは傾斜が維持されてい
る。そして、この傾斜状態を維持しながら、ワイヤ電極
W12はNCプログラムに設定された形状に沿って放電
加工により切り込みが行なわれて行くことになる。この
ように、本発明においては放電加工開始時にワイヤ電極
の進行方向に対して、これと被加工物の端面との間に僅
かな傾斜角度を設けるようにしたので、加工初期におい
てはワイヤ電極と端面とが一点で接触し、その後、徐々
に切り込んで行くように加工が行なわれる。従って、ワ
イヤ電極とガイド部とが接触してワイヤ電極のバタつき
がなくなり、ワイヤ電極に発生していた振動は抑制さ
れ、加工開口部が過度に大きくなること阻止することが
できる。
【0021】この作用は、前記第1及び第2実施例を比
較して明確なように、上側ガイド部近傍のワイヤ電極か
ら切り込む場合も、下側ガイド部近傍のワイヤ電極から
切り込む場合も同様に発揮される。また、ワイヤ電極を
加工進行方向へ傾斜させて行く場合には、ワイヤ電極と
被加工物との間で放電が開始される前に所定の傾斜角度
に到達してさえいれば、テーブル、すなわち被加工物を
相対移動させながら行なうようにしてもよいし、また、
ワイヤ電極Wを最初から所定の角度だけ傾けておいても
よいし、テーブルを相対移動させながらワイヤ電極を所
定の角度に傾けてもよい。また、被加工物の厚さ及び材
質等に関係なく前述したような作用効果が発揮されるの
は勿論である。更には、本発明方法を実施するための装
置としては、テーパ加工が可能な装置であれば、図5に
示すようなワイヤ放電加工機に限定されない。
【0022】第1実施例の方法を、ワイヤ電極の直径
0.15mm、被加工物の厚さ200mmの条件のもと
に行なった結果、図10に示すような切込み口の開口幅
Lは、上から20mmの所でL1=0.230〜0.2
5mm、中央部の所でL2=0.245〜0.265m
m、下から20mmの所でL3=0.235〜0.25
5mmとなり、従来方法と比較して、特に、中央部L2
における開口幅が極めて小さくなっており、本発明方法
が優れた振動抑制効果を発揮することが判明した。ま
た、加工に入る前に、予めワイヤ電極を加工進行方向へ
表1に示すように0°〜12°だけ加工面に対して傾斜
させたときの形状のダレ(図7参照)を測定し、確認し
た。
【0023】
【表1】
【0024】表1から明らかなように、ワイヤ電極の傾
斜角度に対して寸法L4はほとんど変化はないが、傾斜
角度を0から増加するに行ってダレの寸法L5は次第に
小さくなり、傾斜角度0.5°程度で効果が見られてダ
レの寸法L5はかなり減少し、特に傾斜角度1°〜12
°の範囲ではダレの寸法L5は大幅に減少して僅かな変
動はあるものの約5μmと一定となっており、良好な効
果を示している。また、ワイヤ電極の傾斜角度を12°
を超えて大きくしても、上記の結果より判断すれば同様
な効果を得られるものと考えられる。このように、ワイ
ヤ垂直懸加状態と本発明方法のようにワイヤ電極を少し
でも傾けた状態とでは、本発明のようにワイヤ電極を少
しでも傾けた場合の方が、加工精度を向上させることが
できた。これは、見かけ上でもはっきり認識することが
できた。尚、この傾斜角度はあまり大き過ぎると噴流が
かかりにくくなったり、次の加工プログラム形状に影響
を及ぼすことになるので、好ましくはそのような問題が
生じない程度で、傾斜させるのがよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような優れた作用効果を発揮するとこができる。ワ
イヤ放電加工開始時におけるワイヤ電極自体の振動を抑
制することができる。従って、加工端面における加工部
の開口幅を必要最小限に押さえてこれが過度に拡がるこ
とを防止でき、また、加工部にダレが発生することも阻
止することができ、加工精度を大幅に向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上側ガイド部を進行方向に向けて進めることに
よって、ワイヤ電極を傾斜させた状態で切込みを行なう
状態を示す説明図である。
【図2】ワイヤ電極による切込み開始時に振動が抑制さ
れる状態を説明するための説明図である。
【図3】下側ガイド部を進行方向に向けて進めることに
よってワイヤ電極を傾斜させた状態で切込みを行なう状
態を示す説明図である。
【図4】テーパ面を形成する場合に本発明方法を適用し
た状態を示す説明図である。
【図5】ワイヤ放電加工機を示す概略構成図である。
【図6】ワイヤ電極とガイド部のダイスとの関係を示す
図である。
【図7】ワイヤ電極の加工時のダレの発生を示す図であ
る。
【図8】加工形状の具体例を示す説明図である。
【図9】加工端面にダレを形成しないために従来採用さ
れていた加工方法を説明するための説明図である。
【図10】加工端面にダレを形成しないために従来採用
されていた他の加工方法を説明するための説明図であ
る。
【図11】加工形状の他の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】 2 加工ヘッド 4 V軸移動機構 6 U軸移動機構 8 上側ガイド部 10 下アーム 12 下側ガイド部 14 被加工物 14a 外側端面 14b 内側端面 P,C 加工開始点 S 距離 W ワイヤ電極 θ 所定の角度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上側ガイド部と下側ガイド部との間に
    張架したワイヤ電極を送行させつつこのワイヤ電極と被
    加工物とを相対移動させて放電加工を行なうワイヤ放電
    加工方法において、前記被加工物の端面より切り込んで
    放電加工を行うに際して、放電加工に入る前に、前記ワ
    イヤ電極を加工進行方向に対して傾斜させてこれを前記
    端面に対して所定の角度に設定し、前記ワイヤ電極を傾
    斜させた状態で被加工物に所定の距離だけ放電加工を施
    し、その後、前記ワイヤ電極の傾斜角度を予め指定され
    た指定角度に徐々に変更しながら放電加工を施し、前記
    ワイヤ電極の傾斜角度が前記指定角度に到達したなら
    ば、予め設定された形状に沿って放電加工を行うように
    構成したことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
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