JPH06141701A - マルチ移植機のシート押圧装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圃場面に敷設されたシート部材がフロート等
の押圧面で引きずられるのを防止し、機体のスタート当
初からシート部材をズレやシワのない状態で全幅にわた
って圃場面の適正位置に踏圧密着できるマルチ移植機の
シート押圧装置を提供することを目的とする。 【構成】 走行機体１の後方に植付部Ｐを昇降自在に連
結し、ロール支持部３０に横架されたロール状シート部
材ｂを順次後方に繰出して圃場面を被覆しながら植付杆
２１により苗を被覆されたシート部材ｂの上から植付け
るようにしたマルチ移植機において、前記植付部Ｐの下
方に円筒状のローラフロート２２を前後方向に複数本回
転自在に軸支し、上記ローラフロート２２が前記繰出さ
れたシート部材ｂを圃場面に転圧するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マルチ移植機のシート
押圧装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】稲作の分野においては、苗株だけを出し
て田面をビニールフィルム等のシート部材で被覆するこ
とにより、雑草の生えるのを防止して除草剤による環境
汚染の問題を解決し、かつ、植付後における栽培管理の
簡略化と省力化が達成できるため、最近とみにマルチ水
稲栽培法が注目されつつある。

【０００３】また、畑作の分野でも、特に、レタス、白
菜、キャベツ等の生鮮野菜の栽培において、圃場の保温
性を高めて種子の発芽や活着を良好にすると共に降雨時
の土の跳上がりや雑草の発生を防止するため、土壌表面
をシート部材で被覆するマルチ栽培が普及している。

【０００４】そして、上記のようなマルチ栽培用の移植
機（マルチ移植機）は、一般に、走行機体の後方に植付
部を昇降自在に連結し、ロール支持部に横架されたロー
ル状シート部材を順次後方に繰出して圃場面を被覆しな
がら植付杆により苗を被覆されたシート部材の上から植
付けるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なマルチ移植機においては、圃場面にシート部材を被覆
する際、フロート等の押圧手段でシート部材を圃場面に
圧接するようにしているが、シート部材に対するフロー
ト等の押圧力が強すぎるとシート部材が土中にめり込ん
でしまい、逆に弱すぎるとシート部材が浮上がって風等
の影響を受け易くなるためシート部材の全面を適正圧で
田面等の圃場面に確実に密着させる必要がある。また、
敷設直後のシート部材はフロート等で引きずられ易いた
め、シートを共連れしないよう留意する必要がある。

【０００６】従来、圃場面に対するシート部材の押圧手
段として、乗用田植機の植付部下方に設けた慣用のソリ
状フロートを使用したものにおいては、スタート時に、
シート部材を植付部の後方まで引出し、その都度機体後
方で補助者がシート部材の端部側を押さえてシート部材
を引きずりを防止するようにしていたため、そのシート
押さえのために人手を余分に必要とし特に、多条植えの
ものでは、シート部材の幅が広すぎたり、或はシート部
材が複数枚に分割されているため、シート部材の押さえ
に補助者一人では足らず２〜３人を要しているのが実状
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係るマルチ移植
機のシート押圧装置は、上記のような実状の問題点を解
消すべく創案されたものであって、走行機体の後方に植
付部を昇降自在に連結し、ロール支持部に横架されたロ
ール状シート部材を順次後方に繰出して圃場面を被覆し
ながら植付杆により苗を被覆されたシート部材の上から
植付けるようにしたマルチ移植機において、前記植付部
の下方に円筒状のローラフロートを前後方向に複数本回
転自在に軸支し、上記ローラフロートが前記繰出された
シート部材を圃場面に転圧するように構成したことを要
旨とする。

【０００８】

【作用】植付（シート被覆）作業中、ローラフロートが
接地して植付部の沈下を防止しながら転動する。そして
ローラフロートの接地回転によりシート部材は全面が均
一状態で圃場面に踏圧密着させられる。ローラフロート
はシート部材の上から接地回転するためシート部材を引
きずるようなことはなく、作業開始当初からシートの敷
設は確実に行われる。

【０００９】

【実施例】本発明の構成を図面に示された一実施例につ
いて説明すれば、図面にはマルチ移植機としてマルチ装
置を備えた乗用田植機（マルチ移植機）Ａが例示されて
いる。１は前輪２及び後輪３を有し、前部にエンジン４
を、後部寄りに運転席Ｓを搭載した走行機体（乗用田植
機の本機）で、その後方にはアッパリンク５及びロワリ
ンク６からなるヒッチＨ付き昇降リンク７と延長フレー
ム８を介して植付部Ｐが昇降自在かつ着脱自在に連結さ
れている。上記延長フレーム８は、図１及び図３に示す
ように植付部Ｐと一体に連結されており、この延長フレ
ーム８を介在させたことにより、その分、植付部Ｐが通
常の乗用田植機よりも後方へ移動し、また、昇降リンク
７の後端下方部分に空間部ａが形成されるようになって
いて、この空間部ａに後述のロール支持部を配設するよ
うにしてある。なお、植付部Ｐは本機の傾きに関係なく
圃場面（田面）に追随して走行すべく延長フレーム８に
対し支点軸９を介しローリング自在に連結されている
（図３参照）。１０は走行機体１側のＰＴＯ軸１ａと植
付部Ｐ側のドライブケース１１の入力軸１１ａとを連結
する自在継手軸で、この自在継手軸１０は中途部の高さ
をかせぐべく直棒状のものではなく中途部で分割された
屈曲軸が採用され、前後の軸１０ａ，１０ｂは図３に示
すように上記空間部ａの上部側に位置して延長フレーム
８に固定のホルダ１０’に回転自在に支持された中間軸
１０ｃを介して連結されており、自在継手軸１０により
後述のロール支持部の配置スペースが減殺されないよう
配慮した設計となっている。

【００１０】ところで、上記田植機Ａには浅層用と深層
用の流動状肥料を別々に収容した肥料タンク１２，１
３、施肥ポンプ１４，１５、吸引ホース１６、吐出ホー
ス１７及び上下２段の土中施肥部（施肥ノズル）１８，
１９等からなる施肥装置Ｂが装備されており、苗の植付
と同時に側条施肥されるようになっている。上記施肥ノ
ズル１８，１９のうち、１８は浅層施肥施肥ノズル、１
９は深層施肥ノズルで、これらの施肥ノズル１８，１９
は実施例では後述のロール支持部３０に夫々ブラケット
１８ａ，１９ａを介して固定されている（図５参照）。
なお、施肥ノズル１８，１９は上下方向に回動調整固定
自在に構成することもできる。

【００１１】植付部Ｐは前記ドライブケース１１の他に
前高後低状の苗載台２０、ロータリ式の植付杆２１及び
回動自在に横架したローラフロート２２等からなり、こ
の植付部Ｐにマルチ装置が一体的に組込まれた構造とな
っている。

【００１２】前記ローラフロート２２は植付部Ｐの下方
に位置して前後方向に複数本回転自在に、かつ、後方寄
り側を支点（ピン軸２４）として上下方向にスイング可
能に軸支され、このローラフロート２２が圃場面を回転
しながら植付部Ｐを誘導案内すると共に、後述するロー
ル支持部から繰出されるシート部材ｂを順次圃場面に転
圧するように構成されている。すなわち、ローラフロー
ト２２は、例えば合成樹脂等を材質とし円筒状に構成さ
れ、図３及び図６〜図９に示すように、ドライブケース
１１の後部下面に固定のブラケット２３にピン軸２４を
介し所定範囲上下回動自在に枢結されたフレーム２５の
先端に支軸２６により上下揺動自在に連結された三角形
状の軸受２７にシャフト２２ａを介し回転自在に支持さ
れている。そして、上記フレーム２５の前部側は弾機Ｃ
付き屈伸機構Ｄを介して植付部Ｐの固定側に連結されて
おり、したがって、フレーム２５はローラフロート２２
が受ける接地圧の変化に対応して公知慣行のソリ状フロ
ートと同様の動きをし、支軸２６は前後のローラフロー
ト２２のイコライザ支点及び植付部昇降自動制御機構の
油圧感知用支軸となっている。なお、ローラフロート２
２は浮力を充分発揮すべくシャフト２２ａに対する摺動
部等にはシール材が介装されていて内部に泥水が侵入し
ないようになっている。また、油圧感知は、図示しなか
ったがソリ状の専用部材で行うようにしてもよい。２８
は感度調節レバー、２９は植付深さ調節レバー、Ｇは図
示外の油圧バルブに連結された連結具である。

【００１３】なお、本実施例ではシート部材ｂの横幅は
図５に示すように植付幅よりも広くなっており、また、
ローラフロート２２としてシート部材ｂの横幅全幅にわ
たる長尺ローラを前後に２本配置した構造のものが示さ
れているが、ローラフロート２２は左右に複数本に分割
したものでもよく、また、前後方向に３本以上配置して
もよい（図１０参照）。さらに、ローラフロート２２の
本数、サイズ並びに材質等は実施に際し適宜変更し得
る。また、ローラフロート２２は圃場条件等に対応して
交換可能に或は増減可能に構成することもできる。

【００１４】３０はロール状に巻込んだシート部材（以
下単にロールともいう）ｂを収納支持するロール支持部
で、前記空間部ａを利用し植付部Ｐの前側下部に位置さ
せて植付部Ｐに装着されている。すなわち、図４に示す
ように植付部Ｐに横架されているパイプフレーム３１に
固定された左右のロールホルダ３２が後輪３の近傍まで
延出され、その延出端側には後面側にシート繰出口３３
を有し、かつ左右両端を開放したダクト状のロール収納
用ケース３４が固定され、ケース３４の左右開放部は後
部側を支点３５とする開閉式のロール収納口蓋３６で覆
われていて、ケース３４内へのシート部材ｂの装填（植
付作業開始時及び作業中の補給）は機体の左右いずれの
側方からでも行えるようになっている（図５参照）。そ
して、ロール収納口蓋３６には外方に手動によるシート
繰出し用撮み３７ａを有するロール支持軸３７が回動自
在に支持され、ロールｂは芯軸ｂ’を介し左右のロール
支持軸３７間に弾発的に挟持されるようになっている。

【００１５】なお、シート部材ｂとして、マルチ栽培に
使用されている通常のビニールシートを使用し得るが、
本発明では、一般に、「ダンボール用中芯材」と称して
販売されているものを使用することができ、このものは
無漂白のため黄褐色の古紙を１００％使用した再生紙で
あり、硬紙状の腰の強い性状のものであるため、マルチ
栽培用のシート部材としての充分使用に耐えるものであ
りながら、田面への敷設後（移植後）４０〜５０日で再
生紙が泥中で溶解解消するものである。

【００１６】ところで、上記ロールｂは、実施例では一
工程での植付幅全幅を同時に被覆すべく広幅の１本状の
ものが使用され、ロールｂを収納支持するケース３４も
略機幅に相当する幅広に形成されているが、ロールｂ及
びケース３４は夫々複数本に分割した構成にしてもよ
い。分割式の場合は、ロール収納用ケース３４は段違い
状に又は前後にずらして配置する。

【００１７】一方、ケース３４の下部にはロールｂの収
納作業を容易にするため、ガイドローラ３８がケース３
４内に突出した作用位置と下方に退避した非作用位置と
切換自在に設けられており、その切換操作はレバー３９
でカム４０を回動させて行うようになっている。

【００１８】４１は植付部Ｐが上昇した状態（機体回行
時等）にあるとき、シート部材ｂを下方から受止め支持
するシート受体で、ローラフロート２２の前方から（実
施例ではロール支持部３０の下部側から）植付部Ｐの下
方を迂回させて後方へ延設されている。このシート受体
４１は側面視で逆へ字形状を呈する棒状体又は板状体か
らなっていて植付幅方向に適間隔を存して複数本配設さ
れており、各シート受体４１は前記レバー３９の操作で
前部側を支点として略水平姿勢を保持する作用姿勢と下
向きに傾斜する傾斜姿勢とに切換自在に構成されてい
る。

【００１９】４２は植付部Ｐに対し支軸４３を中心に上
下動自在に装着されたシート切断用のカッタで、このカ
ッタ４２は基端操作部４４ａを運転席Ｓの近傍に臨ませ
た側面視倒へ字形状かつ平面視でコ字形状を呈するアー
ム４４の後端にシート部材ｂの敷設幅全幅にわたって固
定されている。次工程に移行する機体回行時は、アーム
４４の基端操作部４４ａを押上げることによりアーム４
４後端のカッタ４２部が支軸４３を支点として下方に回
動し、これによりを田面に被覆されたシート部材ｂを田
面に接地している状態のまま切断し得るようになってい
る。また、上記カッタ４２は一枚状のものではなく横方
向に多数連続状に配置した多数刃（実施例では８枚刃）
により構成されており、各刃の取付用ボルト４５を外す
ことにより部分交換可能となっている。そして、カッタ
４２は切断時以外は上方退避位置に位置決めすべくアー
ム４４は図示外のスプリング又はストッパ等の位置決め
機構を介して図１の実線図示の位置に保持されている。

【００２０】さて、走行機体１の左右両側方にはシート
部材ｂの予備ロール４６を支持する予備ロール支持部４
７が走行機体に沿わせて前後方向に配置されており、左
右の予備ロール支持部４７は夫々外側方へ向け回動可能
に構成されている。すなわち、運転席Ｓの後方両側には
支えフレーム４８が先端側を機体の側方に若干張出した
状態で平面視ハ字形状に固定されており、その張出端側
には、予備ロール４６を前後左右から受止め支持すると
共に予備ロール４６出入れ時のガイド作用を果たさせる
べく４個のガイドローラ４９を回転自在に軸支した予備
ロール支持部４７が支軸５０を介して外側方に回動可能
に連結されており、植付部Ｐを上昇させた状態で予備ロ
ール支持部４７を外側方へ略９０度回動させたとき、予
備ロール支持部４７に支持されている予備ロール４６が
植付部Ｐ側に横架されたロール支持部３０のロール収納
用ケース３４の収納口に合致し、ロール支持部３０への
予備ロール４６の装填作業（補給作業）を機体の片側か
ら予備ロール４６を押込むようにして容易に行えるよう
になっている。

【００２１】ところで、予備ロール４６は、図１及び図
２に示すようにバンパー５１の前面側にも１本支持し得
るようになっている。すなわち、バンパー５１にもブラ
ケット５２を介して予備ロール支持部５３が設けられ、
この支持部５３に予備ロール４６がバンド５４で横向き
に保持されており、この前部側の予備ロール４６が機体
のバランスウエイトを兼ねるようになっている。

【００２２】上記実施例では、マルチ田植機Ａを例にし
て説明したが、本発明は、畑作作物の苗を圃場に移植す
る畑のマルチにも利用できる。したがって、本発明はマ
ルチ田植機に限らず、畑作用のものを含めてマルチ移植
機一般に採用し得る。

【００２３】上記の構成において、植付作業（シート被
覆作業）を開始するに際しては、先ず、植付部Ｐをリフ
トアップした状態にしてロール支持部３０及び予備ロー
ル支持部４７，５３にロール状に巻込んだシート部材
（ロール）ｂと予備ロール４６を夫々装填する。そし
て、シート繰出し用撮み３７ａを回動操作してロール支
持部３０に装填したロールｂの繰出端部側をシート繰出
口３３からローラフロート２２の後方位置まで引出す。
この際、シート受体４１を下方に回動させておくことに
より、シート部材ｂの引出し作用を容易に行える。つい
で、シート受体４１を上方に回動復帰させ、植付部Ｐを
下降接地させると、シート受体４１は泥中に没入すると
共に、上記引出されたシート部材ｂはローラフロート２
２により田面に押圧される（図１参照）。

【００２４】この状態で植付部Ｐ及び施肥装置Ｂを始動
させて作業を開始すると、機体１の前進に伴ってシート
部材ｂがロール支持部３０から順次繰出されて田面に被
覆（全面マルチ）され、被覆されたシート部材ｂの上か
ら植付杆２１で苗が植付けられると共に、土中施肥部１
８，１９により土中の浅層と深層の上下２段に側条施肥
される。

【００２５】ところで、植付部Ｐはローラフロート２２
の浮力を受けながらローラフロート２２の接地回転によ
り圃場面を誘導案内されるため、ソリ状フロートのよう
な泥土抵抗を受けることがなく、したがって本機１の牽
引荷重を極力減少させることができると共に、田面を乱
す泥押しも解消される。そして、圃場面は植付に先行す
るローラフロート２２によりシート部材ｂの上からシー
ト幅の全幅にわたって均平に整地される。

【００２６】また、ローラフロート２２はシート部材ｂ
上を摺動することはなく転動によりシート部材ｂを圃場
面に踏圧するものであるため、踏圧作用に無理がなく圃
場面が比較的固かったり凹凸があったとしても擦過に起
因してシート部材ｂを切裂いたり傷めたりすることがな
く圃場面に安定状態で確実に密着させられる。本実施例
では、シート部材ｂとしてビニールシートではなく再生
紙を使用したので、この利点は著大である。

【００２７】さらに、ロール支持部３０から順次繰出さ
れてくるシート部材ｂは接地始端側において、接地回転
中のローラフロート２２によりシート全幅にわたって均
一な引出し作用を受けて後方へ的確に誘導案内されるた
め、シート部材ｂの敷設作用が極めて円滑に行われるば
かりでなく、ローラフロート２２によりシート部材ｂの
横幅方向が時間的なズレがなく同時にしかもシート部材
ｂの全幅が均一圧力で踏圧される）ので、部分的にシワ
が発生したり浮上がり個所が生じたりすることがなく、
シート全面が圃場面に展伸した緊張状態に敷設される。

【００２８】一方、植付作業開始時には、シート部材ｂ
の接地長さが短い（接地面積が少ない）こともあって、
シート部材ｂを上方から単に押圧するだけでは前述のよ
うに機体の前進に伴ってシート部材ｂが引きずられ易い
ものであるが、ローラフロート２２がシート部材ｂを圃
場面に押圧しながら転動するため、慣用のソリ状フロー
トのようにスタート時、フロートがシート部材ｂを引き
ずって共連れするようなことはなく、機体のスタート当
初からシート部材ｂはズレやシワの発生のない状態で全
幅にわたって圃場面の適正位置に的確に踏圧密着され
る。したがって、従来のもののように引きずりを防止す
べくシート部材ｂの末端側を補助者が手で押さえている
必要はない。

【００２９】また、ローラフロート２２は前後方向に複
数本配設されているので、その分植付部Ｐの接地圧が下
がると共に、シート部材ｂに対する踏圧作用はローラフ
ロート２２の本数に対応し複数段にわたって繰返し行わ
れるため圃場面への密着度合いにバラツキがなく、シー
ト部材ｂの全体が圃場面に対して均一状態に踏圧密着さ
せることができる。

【００３０】なお、植付深さは植付深さ調節レバー２９
により調整でき、また植付部昇降自動制御は、支軸２６
を油圧感知用支軸としたことにより従来のものと略同様
に作動させることができる。

【００３１】ところで、本実施例では、シート部材ｂと
して再生紙を利用しているので、移植後４０〜５０日で
再生紙が泥中で溶解解消するため、慣行栽培技術の利用
が可能となるばかりでなく、シート部材を回収する面倒
で多大な労力を要する作業が不要となり、マルチ栽培の
省力化と天然資源の再利用化が達成されるうえ、風によ
るシート部材の飛散も解消される。

【００３２】

【発明の効果】本発明は上述したように構成したので、
走行機体の牽引荷重を減少させることができるものであ
りながら、圃場面は植付に先行するローラフロートによ
りシート部材の上からシートの横幅の全幅にわたって均
平に整地できる。

【００３３】また、ローラフロートはシート部材上を摺
動することはなく転動によりシート部材を圃場面に踏圧
するものであるため、踏圧作用に無理がなく圃場面が比
較的固かったり凹凸があったとしても擦過に起因してシ
ート部材を切裂いたり傷めたりすることがなく圃場面に
安定した状態で確実に密着させることができる。

【００３４】さらに、シート部材の接地始端側では回転
中のローラフロートがシート部材の全幅にわたって誘導
案内するため、シート部材の敷設作用が極めて円滑に行
われるばかりでなく、ローラフロートによりシート部材
の横幅方向が同時にしかも全幅が均一圧力で踏圧される
ので、部分的にシワが発生したり浮上がり個所が生じた
りすることがなくシート全面を圃場面に展伸した緊張状
態に敷設することができる。

【００３５】また、ローラフロートがシート部材を圃場
面に押圧しながら転動するため、慣用のソリ状フロート
のようにスタート時シート部材を引きずって共連れする
ようなことはなく、スタート当初からシート部材はズレ
やシワの発生のない状態で全幅にわたって圃場面の適正
位置に的確に踏圧密着させることが可能となる。したが
って、従来のもののように引きずりを防止すべくシート
部材の末端側を手で押さえるための補助者を不要にでき
る。

【００３６】さらにまた、ローラフロートは前後方向に
複数本配設されているので、その分植付部の接地圧を下
げることができると共に、シート部材に対する踏圧作用
はローラフロートの本数に対応し複数段にわたって繰返
し行われるため、圃場面への密着度合いにバラツキがな
く、シート部材の全体を圃場面に対して均一状態に踏圧
密着させることができ、これによりシート部材の敷設精
度を一層高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を装備したマルチ移植機の作業状態を示
す側面図である。

【図２】マルチ移植機の平面図である。

【図３】マルチ装置の側面図である。

【図４】植付部の上昇時におけるシート部材とシート受
体の作用を示す拡大側面図である。

【図５】植付部の平面図である。

【図６】要部の斜視図である。

【図７】要部の側面図である。

【図８】油圧感知部の分解斜視図である。

【図９】ローラフロート取付部と油圧感知部の斜視図で
ある。

【図１０】本発明の他の実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ２１ 植付杆 ２２ ローラフロート ２４ ピン軸（ローラフロート支点） ２５ ローラフロート支持フレーム ２６ 支軸 ２７ 軸受 ３０ ロール支持部 ４１ シート受体 ４２ カッタ ４６ 予備ロール ４７ 予備ロール支持部 ５３ 予備ロール支持部 Ａ マルチ移植機 Ｂ 施肥装置 Ｐ 植付部 ｂ シート部材（ロール）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三谷 誠次郎 鳥取県鳥取市橋本260番地鳥取県農業試験 場内 (72)発明者 川戸 和文 鳥取県鳥取市橋本260番地鳥取県農業試験 場内 (72)発明者 米村 一 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １三菱農機株式会社内 (72)発明者 藤本 精吾 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １三菱農機株式会社内 (72)発明者 細田 幸雄 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １三菱農機株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体の後方に植付部を昇降自在に連
   結し、ロール支持部に横架されたロール状シート部材を
   順次後方に繰出して圃場面を被覆しながら植付杆により
   苗を被覆されたシート部材の上から植付けるようにした
   マルチ移植機において、前記植付部の下方に円筒状のロ
   ーラフロートを前後方向に複数本回転自在に軸支し、上
   記ローラフロートが前記繰出されたシート部材を圃場面
   に転圧するように構成したことを特徴とするマルチ移植
   機のシート押圧装置。