JPH0614049Y2 - デイ−ゼルエンジンの排気還流装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ディーゼルエンジンの排気還流装置に関す
る。

（従来の技術） 自動車の排気ガス対策の一環として、窒素酸化物（ＮＯ
ｘ）を低減するため、排気ガスの一部（ＥＧＲガス）を
吸気系に還流する装置がある。

ティーゼルエンジンの排気還流装置としては、従来例え
ば第３図に示すようなものがある（実公昭61-14616号公
報参照）。

これについて説明すると、１はディーゼルエンジン、２
は吸気通路、３は排気通路であり、排気通路３と絞弁７
より下流側の吸気通路２を結ぶ排気還流通路４と、この
排気還流通路４の途中に介装される還流量制御弁６と、
この還流量制御弁６をバキュームポンプ１９および負圧
調整弁１２を介して制御する制御回路１０を備え、運転
頻度の高い低中速回転域、低中負荷域で排気還流を行っ
て窒素酸化物の排出を低減するようになっている。ま
た、１３は負荷検出器、１４は回転検出器である。

排気還流通路４の途中にはフィルタ１７が介装され、こ
のフィルタ１７によって排気還流ガス中のカーボン、未
燃燃料やオイル成分からなる有機成分等の排気微粒子を
捕集し、これら排気微粒子が排気還流通路４を通って還
流されるのを防止するようになっている。

フィルタ１７を加熱するヒータ１８が設けられ、このヒ
ータ１８は還流量制御弁６の閉弁時に通電され、フィル
タ１７に捕集された排気微粒子を加熱して、排気微粒子
のうち80％程度を占めるカーボンと有機成分を焼却する
ようになっている。また、この排気微粒子の焼却に必要
な助燃空気は常時通気通路２と連通する補助通路８を介
して流れる排気還流ガスを利用している。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、ディーゼルエンジンの場合、燃料の軽油中に
含まれる硫黄が原因で排出されるサルフェート（Ｓ
Ｏ_４）が排気微粒子のうち３％程度を占める。しかしな
がら、このサルフェートはヒータ１８に加熱されても焼
却できず、ガス化してフィルタ１７から離脱し補助通路
８を通って吸気通路２からシリンダ内に吸入され、吸入
空気中に含まれる水分と結合して硫酸（Ｈ_２ＳＯ_４）と
なってエンジン内部の腐食摩耗を来す心配があった。そ
のため、排気還流量に制限を受けるという問題点が起こ
った。

本考案は、こうした従来の問題点を解消することを目的
とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案では、排気通路と吸気
通路を結ぶ排気還流通路と、この排気還流通路の途中に
介装される還流量制御弁と、この還流量制御弁を運転条
件に応じて開閉させる制御手段を備えたディーゼルエン
ジンの排気還流装置において、触媒をコーティングした
筒状のセラミックフォームフィルタと、このセラミック
フォームフィルタの外側に排気通路の一部を、内側に排
気還流通路と連通する内部空間をそれぞれ画成するケー
スとを備えた還流ガス清浄器を排気通路の途中に介装
し、排気還流通路の管部を前記還流ガス清浄器の内部空
間に同軸的に設け、かつこの管部は先端部を閉塞すると
ともにセラミックフォームフィルタの内周面に臨む多数
の小孔を等間隔的に開口した。

（作用） 上記構成に基づき、排気還流が行われる低中速回転域、
低中負荷域では、排気ガスの温度は低くく、流速も小さ
いため、セラミックフォームフィルタに排気微粒子を有
効に捕集する。

一方、排気還流が停止される高速、高負荷運転条件で
は、セラミックフォームフィルタに捕集した排気微粒子
を高温高速排気流により有効に離脱させて、セラミック
フォームフィルタの目詰まりを防止するとともに、サル
フェート等の有害物質がエンジンに還流することを防止
する。

セラミックフォームフィルタを通過する排気流の分布
は、排気還流通路の管部に開口した多数の小孔により、
円周方向及び軸方向につき均一化されるので、上記排気
微粒子の捕集及び離脱は効率よく行われる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、ディーゼルエンジン１は排気通路
３を流れる排気ガスの一部を吸気通路２に導く排気還流
通路４と、その還流量を調節する還流量制御弁６を備
え、還流量制御弁６にバキュームポンプ１９からの負圧
が負圧通路１５により負圧調整弁１２を介して導かれ、
負圧調整弁１２は制御回路１０の信号に基づいて作動す
る。制御回路１０はエンジン負荷検出器１３とエンジン
回転検出器１４からの検出信号に基づいて低中速回転
域、低中負荷域を主に還流量制御弁６を開弁させる。

排気還流通路４は排気通路２に還流ガス清浄器２０を介
して接続する。還流ガス清浄器２０は、第２図にも示す
ように、排気マニホールド３５に接続されるケース２１
と、ケース２１の内部に介装される円筒状の触媒付きセ
ラミックフォームフィルタ２８を備える。このセラミッ
クフォームフィルタ２８はケース２１によって画成され
る排気通路３を横断するように介装し、このセラミック
フォームフィルタ２８の内部空間２８Ａに排気還流通路
４の一端を開口させる。

セラミックフォームフィルタ２８はセラミックを材質と
する３次元網状骨格を有し、触媒とコーティングする。

セラミックフォームフィルタ２８の両端にはケース２１
との間にシール材としてインターラムマット２４，２５
をそれぞれ介装するとともに、緩衝材としてステンレス
線を網状に編んだウイヤーメッシュマット２３，２６お
よび環状キャップ２２，２７をそれぞれ介装する。

ケース２１にフランジ部４０を形成する一方、排気還流
通路４を画成する管部４１にフランジ部３２を形成し、
両フランジ部４０と３２はガスケット３３を介して接合
し、ボルト３１により締付け固定する。排気還流通路４
を構成する管部４１は内部空間２８Ａにセラミックフォ
ームフィルタ２８と同軸的に位置するようにケース２１
に挿入固定されており、その先端部４１Ｂは閉塞される
とともに、セラミックフォームフィルタ２８の内周面に
臨む外周部４１Ｃには多数の小孔４３が等間隔的に開口
形成されている。

このように構成してあり、次に作用について説明する。

エンジン１の低中速回転域、低中負荷域では、排気還流
制御弁６が開弁して排気還流が行われ、窒素酸化物の排
出量を抑える。このとき排気還流ガスは図中大略矢印で
示すようにセラミックフォームフィルタ２８を通過して
排気還流通路４に流入するが、セラミックフォームフィ
ルタ２８は３次元骨格構造を有して排気微粒子を付着さ
せる接触面積が大きいため、排気流速の比較的に小さい
低中速回転域では排気微粒子の捕集効率が40〜70％と安
定し、燃料の軽油中に含まれる硫黄が原因で排出される
サルフェート（ＳＯ_４）も有効に捕集される。また排気
温度の低い低中負荷域でも排気微粒子中の有機成分がミ
スト状となって結合剤の役割を果たし、カーボン等の固
相成分も有効に付着させる。

エンジン１の高負荷域、高速回転域では、排気還流が停
止されることにより、出力の低下やスモークの増加を防
止する。

セラミックフォームフィルタ２８に触媒をコーティング
しているために、触媒作用によりカーボンの燃焼温度を
通常より200℃程度低下させる。これにより高負荷域で
排気温度が350〜400℃を越えて上昇するのに伴いセラミ
ックフォームフィルタ２８に付着したサルフェートや有
機成分がガス化して離脱する。

また、回転数が高まるのに伴って排気流速が大きくなる
とセラミックフォームフィルタ２８に付着した固相成分
が剥離する、ブローオフ現象が発生する。

したがって、セラミックフォームフィルタ２８に付着し
たサルフェートも高速高温排気流により気化するかある
いは固相成分のままフローオフされて離脱し、排気通路
３を通って外部に排出され、エンジン１に還流されるこ
とを防止する。

この場合排気還流通路４には排ガスが図中大略矢印で示
すように各小孔４３を介して吸入されることにより、セ
ラミックフォームフィルタ２８を通過する排気ガスの分
布を均一にする。その結果、セラミックフォームフィル
タ２８による排気微粒子の捕集効率を高め、高温再生時
の再生ムラを防止するとともに、ブローオフによるセラ
ミックフォームフィルタ２８の目詰まりを防止する。

（考案の効果） 以上の通り本考案によれば、排気通路の途中に触媒をコ
ーティングしたセラミックフォームフィルタを介装し、
このセラミックフォームフィルタの内部空間に排気還流
通路の一端を開口させたため、排気還流が行われる低中
速回転域、低中負荷域にセラミックフォームフィルタに
排気微粒子を有効に捕集する一方、排気還流が停止され
る高速高負荷運転域でセラミックフォームフィルタに捕
集した排気微粒子を離脱させてセラミックフォームフィ
ルタの目詰まりを防止し、サルフェート等の有害物質が
エンジンに還流することを防止し、その結果、エンジン
の耐久性を損なうことなく、排気還流量を適正に設定す
ることが可能となる。

特に、本考案は、セラミックフォームフィルタの内周部
に臨むように排気還流通路の端部に多数の小孔を等間隔
的に開口してフィルタ上の排気流分布の均一化を図った
ので、上述した排気微粒子の捕集や離脱を効率化でき、
またこれによりセラミックフォームフィルタや還流ガス
清浄器の小型化を図れるという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体構成図、第２図は
同じく還流ガス清浄器の断面図、第３図は従来例を示す
全体構成図である。 １……ディーゼルエンジン、２……吸気通路、３……排
気通路、４……排気還流通路、６……還流量制御弁、７
……絞弁、１０……制御回路、１２……負圧調整弁、１
３……負荷検出器、１４……回転検出器、２０……還流
ガス清浄器、２８……セラミックフォームフィルタ、２
８Ａ……内部空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】排気通路と吸気通路を結ぶ排気還流通路
   と、この排気還流通路の途中に介装される還流量制御弁
   と、この還流量制御弁を運転条件に応じて開閉させる制
   御手段を備えたディーゼルエンジンの排気還流装置にお
   いて、触媒をコーティングした筒状のセラミックフォー
   ムフィルタと、このセラミックフォームフィルタの外側
   に排気通路の一部を、内側に排気還流通路と連通する内
   部空間をそれぞれ画成するケースとを備えた還流ガス清
   浄器を排気通路の途中に介装し、排気還流通路の管部を
   前記還流ガス清浄器の内部空間に同軸的に設け、かつこ
   の管部は先端部を閉塞するとともにセラミックフォーム
   フィルタの内周面に臨む多数の小孔を等間隔的に開口し
   たことを特徴とするディーゼルエンジンの排気還流装
   置。