JPH0614001B2 - 鉄道車両用駆動装置診断方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鉄道車両用駆動装置の診断方法に関する。

（従来の技術） 鉄道車両用駆動装置を診断する方法としては、駆動装置
を解体して洗浄した後、目視等の検査手段により診断す
る第１の方法と、第４図に示すように駆動装置を解体す
ることなく、回転試験台上に駆動装置を装架し、小歯車
軸継手から回転力を与えて回転試験を行い、駆動装置の
外部から軸受振動を検出してこれを解析することによ
り、駆動装置軸受等の異常を診断する第２の方法とが知
られている。

（発明が解決しようとする課題） 前記第１の方法では検査の工数が掛かる上、歯車や軸受
の正常ななじみの効果が失われ、また組立時に異物の混
入等が発生し易い等、検査に伴う不具合の発生が問題と
なる。

また、前記第２の方法では、第４図に示すように、回転
試験台の装架した輪軸は、車軸２のジャーナル部を車軸
支持機構１０で支持し、駆動装置小歯車軸継手６に継手
７を固定し、駆動用プーリ８を介して駆動機構９により
回転力を与える。振動の検出は、小歯車近傍に取りつけ
た振動検出器１１により行い、振動測定器１２により解
析する。この方法は、駆動装置を非解体状態で診断で
き、かつ駆動装置を回転させながら内部の潤滑油を循環
させて洗浄を行うオイルフラッシングと併用できるとい
う利点がある。しかし、駆動装置用の軸受は円錐ころ軸
受であり、軸方向に軸の熱膨張を吸収するエンドプレイ
と呼ばれる隙間が設けられているため、無負荷状態で回
転させた場合軸受の転動体と転動面との接触が不安定で
あり、振動検出が安定的にできないという問題がある。
そこで、通常回転試験台の回転数を高くし、遠心力を利
用して振動検出を可能とする方法が採られている。しか
し、回転数を高くするためには回転試験台の設備が大型
化し、設備費が高騰するという問題が生じる。

本発明はこのような事情に鑑み、駆動装置を非解体状態
で診断し、かつオイルフラッシングとも併用できるとい
う前記第２の方法の利点を活かしつつ、回転試験時に駆
動装置小歯車軸に対して、軸継手を介して前後方向のス
ラスト力を与え、軸受の転動体と転動面との間の接触を
安定化することにより、駆動装置外部からの振動検出手
段による安定的な振動検出を可能とすることを目的とす
る。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前記目的を達成するために、回転試験台に装
架した駆動装置小歯車軸継手に、前後方向のスラスト力
を発生するスラスト力発生機構を接続し、小歯車軸に対
してスラスト力を与えた状態で回転試験を行い、駆動装
置の外部に装着した振動検出手段から得られた振動を解
析することにより、駆動装置を解体することなく駆動装
置内部の異常を診断することを可能とする。

（作用） 本発明においては、駆動装置小歯車軸に対してスラスト
力を与えることにより、円錐ころ軸受のエンドプレイを
強制的になくし、小歯車軸受の転動体と転動面との接触
を安定化することにより、回転に伴う負荷を与えること
と同様の作用を疑似的に与えることができ、これにより
駆動装置外部からの振動検出精度を向上させることがで
きる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。

第１図は、本発明を駆動装置小歯車軸継手を介して回転
力を与える形式の回転試験台に対して適用した例を示し
ている。回転試験台に装架した輪軸は、車軸２のジャー
ナル部を車軸支持機構１０で支持し、駆動装置小歯車軸
継手６に継手７を固定し、駆動用プーリー８を介して駆
動機構９により回転力を与える。スラスト力はスラスト
力発生機構１４とスラスト力伝達機構１３により、小歯
車軸５に伝達される。さらに、車軸２の端部に反力支持
機構１５を取りつけ、スラスト力の反力を支持する。振
動の検出は、小歯車軸受近傍に取りつけた振動検出器１
１により行い、振動測定器１２により解析する。

第２図は、本発明を車輪の踏面を介して回転力を与える
形式の回転試験台に対して適用した例を示している。回
転試験台に装架した輪軸は、駆動装置小歯車軸継手６に
継手７を固定し、スラスト力調整機構１７と調整用ボル
ト１８で設定したスラスト力をバネ１９により発生さ
せ、駆動装置小歯車軸５に伝達する。スラスト力の反力
は、駆動装置ケーシング３の駆動装置ツノ部４に取りつ
けボルト２１固定された支持部材２０により支持され
る。振動の検出は、第１図の実施例と同様、小歯車軸受
近傍に取りつけた振動検出器１１により行い、振動測定
器１２により解析する。なお、回転力は第３図に示すよ
うに、車輪１の下部の駆動輪２２により伝達される。

（発明の効果） 本発明においては、駆動装置を解体することなく駆動装
置内部の診断が可能であり、かつオイルフラッシングと
併用することが可能であるため、検査の工数を削減する
ことができるとともに、小歯車軸にスラスト力を与える
ことにより振動検出精度を向上することができる。しか
も、回転試験台の回転数は高回転である必要がなくなる
ため、設備が小型化でき、特に小歯車軸の継手を介して
回転力を与える形式の回転試験台だけでなく、より作業
性を向上させた車輪踏面駆動型の回転試験台あるいはオ
イルフラッシング装置に対しても適用可能であるという
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本発明の一実施例を示し、第１図
は回転力を小歯車軸継手を介して伝達する形式の回転試
験台に本発明を適用した場合の説明図、第２図は回転力
を車輪踏面を介して伝達する形式の回転試験台に本発明
を適用した場合の説明図である。第３図は、第２図の回
転試験台の場合の回転力伝達機構の説明図、第４図は従
来の回転力を小歯車軸継手を介して伝達する形式の回転
試験台を用いて振動検出を行う場合の説明図である。 １……車輪 ２……車軸 ３……駆動装置ケーシング ４……駆動装置ツノ部 ５……駆動装置小歯車軸 ６……駆動装置小歯車軸継手 ７……継手 ８……駆動用プーリー ９……駆動機構 １０……車軸支持機構 １１……振動検出器 １２……振動測定器 １３……スラスト力伝達機構 １４……スラスト力発生機構 １５……反力支持機構 １６……軸受機構 １７……スラスト力調整機構 １８……調整用ボルト １９……バネ ２０……支持部材 ２１……取りつけボルト ２２……駆動輪

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転試験台上に装架した鉄道車両用駆動装
   置の小歯車軸継手に、前後方向のスラスト力を発生する
   スラスト力発生機構を接続し、小歯車軸に対してスラス
   ト力を与えた状態で回転試験を行い、駆動装置の外部に
   装着した駆動検出手段から得られた振動を解析して、駆
   動装置を解体することなく駆動装置内部の異常を診断す
   ることを特徴とする鉄道車両用駆動装置診断方法。