JPH06139839A - 交流超電導ケーブル - Google Patents

交流超電導ケーブル

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JPH06139839A
JPH06139839A JP4291501A JP29150192A JPH06139839A JP H06139839 A JPH06139839 A JP H06139839A JP 4291501 A JP4291501 A JP 4291501A JP 29150192 A JP29150192 A JP 29150192A JP H06139839 A JPH06139839 A JP H06139839A
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JP
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superconducting
wire
current
twisted
magnetic field
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JP4291501A
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English (en)
Inventor
Kazuo Funaki
和夫 船木
Susumu Mitsune
進 三根
Mamoru Shimada
守 嶋田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 【目的】超電導素線を流れる電流分布を均一化させ、大
容量電流を安定的に流すことができる信頼性の高い交流
超電導ケーブルを提供することにある。 【構成】この交流超電導ケーブル10は、多数本の超電
導フィラメントを撚り合せた超電導素線11を複数本撚
り合せて一次撚線12を構成し、この一次撚線12を複
数本撚り合せて二次撚線12を構成し、順次同様に撚り
合せて高次の多重撚線13,14を構成する一方、前記
超電導素線11および各撚線12〜14の撚り方向や撚
りピッチを、縦磁界による電流一様化条件あるいはその
近似条件を満足させるように設定したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は商用周波数で用いられ
る交流超電導ケーブルに係り、特に超電導トランス・超
電導発電機、固定子巻線等の超電導機器に使用される交
流超電導ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】交流用超電導ケーブルとしては、従来直
径1μm以下、例えば0.2μmの超電導フィラメント
を数万本有する極細超電導多芯線(超電導素線)が多く
用いられる。交流用超電導多芯線では、交流励磁におけ
る損失を極力低減させるため、ツイストピッチひいては
線径を小さくするので、1本当りの超電導素線の電流容
量が数10A程度に抑えられる。
【0003】この電流容量を大きくするために、従来図
11に示すように超電導素線1を複数本撚り合せた超電
導線2が開発されており、さらに、電流容量の一層増加
を図るため、超電導線を幾重にも撚り合せた多重撚線構
造の超電導ケーブルが開発されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】充分に長尺多芯線の超
電導ケーブルに外部電源から電流を供給すると、この電
流がつくる磁界(多芯線の自己磁界)によって、多芯線
内に分散して配置された多数本の超電導フィラメントが
電磁気的に結合し、その結果、多芯線の外周部付近に配
置された超電導フィラメントに通電電流が局在化する現
象(この現象を多芯線の自己磁界効果という。)が生じ
る。従来の交流超電導ケーブルに50Hzや60Hzの
商用周波数やそれ以上の周波数の交流電流を通電する
と、多芯線の自己磁界効果による通電電流の局在化によ
り、各超電導素線に電流が均一に流れないという問題が
生じる。
【0005】交流超電導ケーブルの各超電導素線を流れ
る通電電流が局在化すると、多数の超電導素線を撚り合
せても、特定の超電導素線に電流が集中し、特定の超電
導素線の限界電流値を超えれば、超電導素線自体の持つ
能力よりも低い電流値において、超電導ケーブルが超電
導状態から常電導状態に転移する。
【0006】すなわち、交流超電導ケーブルを流れる通
電電流が局在化すると、通電電流が短尺線の磁界電流
(直流電流が発生し始めるしきい値)に達していない場
合でも、局所的に電流密度が臨界電流密度に達して常電
導転移が生じ、発熱や不安定性の原因となる。
【0007】このため、従来の交流超電導ケーブルで
は、超電導素線の電流容量に撚り本数を乗じたものより
遥かに低い電流容量しか流すことができず、大電流容量
の交流超電導ケーブルを実現することが極めて困難であ
った。交流超電導ケーブルの電流容量を向上させ、超電
導素線の電流容量に撚り本数を乗じた電流値に近い電流
容量を得るためには、交流超電導ケーブルを如何に構成
したらよいか問題となっていた。
【0008】この発明は、上述した事情を考慮してなさ
れたもので、超電導素線を流れる電流分布を均一化さ
せ、大容量電流を安定的に流すことができる信頼性の高
い交流超電導ケーブルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述した課
題を解決するために、多数本の超電導フィラメントを撚
り合せた超電導素線を複数本撚り合せて一次撚線を構成
し、この一次撚線を複数本撚り合せて二次撚線を構成
し、順次同様に撚り合せて高次の多重撚線を構成する一
方、前記超電導素線および各撚線の撚り方向や撚りピッ
チを、縦磁界による電流一様化条件あるいはその近似条
件を満足させるように設定したものである。
【0010】
【作用】この発明の交流超電導ケーブルにおいては、超
電導素線および撚線の撚り方向および撚りピッチを、縦
磁界(多芯線に沿った磁界)による電流一様化条件ある
いはその近親条件を満足するように設定したので、超電
導ケーブルの多芯線軸に沿った縦磁界を多芯線軸方向に
均一にまたはほぼ均一に印加させることができ、上記多
芯線の自己磁界効果等によって局在化した通電電流を多
数本の超電導フィラメントに一様に分散させて超電導素
線を流れる電流分布をほぼ均一化させることができる。
このため交流超電導ケーブルの多芯線に常電導転移が生
じて発熱作用や断熱不安定性が生じるのを有効的に抑制
でき、大電流容量化して大容量の電流を安定的に流すこ
とができる。
【0011】逆に、電流容量を一定とした場合、超電導
ケーブルの細線化を図ることができ、コスト面や巻線密
度の面で有利である。
【0012】
【実施例】以下、この発明に係る交流超電導ケーブルの
一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0013】図1および図2はこの発明に係る交流超電
導ケーブルの代表例を示すものである。この交流超電導
ケーブル10は超電導トランス、超電導発電機、固定子
巻線、限流器等の超電導機器に用いられる多重撚線構造
の超電導線である。
【0014】交流超電導ケーブル10は例えば4.5mm
Φの直径を有する多重撚線導体であり、この交流超電導
ケーブル10は超電導多芯線の超電導素線11、一次撚
線12、二次撚線13および三次撚線14から構成され
る。
【0015】超電導素線11は例えば図3に示すように
構成される超電導多芯線であり、0.2μmΦ程度の超
電導フィラメント16を多数本、例えば数万本S方向
(あるいはZ方向)に撚り合せて構成される。超電導素
線11は1mmΦ以下例えば0.165mmΦの直径を有
し、この超電導素線11を6本、中央の非超電導線18
廻りにZ方向に撚り合せて一次撚線12が一重の超電導
線として構成される。
【0016】二次撚線13は6本の一次撚線12を中央
の非超電導線19廻りにZ方向に撚り合せて構成される
二重の超電導線である。
【0017】また、三次撚線14は6本の二次撚線13
を中央の非超電導線20廻りにS方向に撚り合せた三次
の超電導線であり、この三次撚線14により多重撚線導
体である交流超電導ケーブル10が構成される。交流超
電導ケーブル10の各撚線12,13,14の中央に配
置される非超電導線18,19,20は例えばステンレ
ス鋼材料製の補強用芯線である。
【0018】この交流超電導ケーブル10は一次、二次
および三次の各撚線12,13,14の撚り方向がZ方
向、Z方向およびS方向を向くZ1 Z2 S3 タイプの6
×6×6型多重撚線導体を構成している。交流超電導ケ
ーブル10の各撚線12,13,14の撚り方向は、Z
1 Z2 S3 タイプに限定されず、S方向とZ方向の組合
せ分に相当する撚り方が考えられる。
【0019】交流超電導ケーブル10の一次撚線12を
構成する超電導素線11は例えば数km〜数10kmの長さ
を有し、例えばNbTiやNb3 Snを主な超電導材料
とする超電導フィラメントを多数本撚り合せたものであ
る。
【0020】図3は、NbTiを主な超電導材料とする
例えば0.165mmΦの超電導素線11の例を示すもの
である。
【0021】この超電導素線11は例えば全体として3
層構造を有し、中央のコア部16aとその外側の中間層
部16bと、中間層部外側のシース部16cとから構成
される。コア部16aは、CuをCuNi(Cu−10
wt%Ni)で被覆したハニカム状マトリックスを構成
しており、このマトリックス21の外側の中間層部16
bはNbTiフィラメント22を密に配置してフィラメ
ント部を構成している。フィラメント部の外側に位置す
るシース部16cはCuNi層とされる。
【0022】中間層部16bのNbTiフィラメント2
1はNbTiをCuとCuNiで被覆した3層構造であ
っても、NbTiをCuNiで被覆した2層構造であっ
てもよい。いずれにしても、超電導素線11は中央側の
Cu/CuNiの安定化銅とその外側のNbTiフィラ
メント22とからなり、表面をCuNi層で被覆したも
ので、絶縁層は設けられていない。
【0023】超電導素線11は例えば0.2μmΦの同
一径の多数本(数万本)の超電導フィラメント16を撚
り合せて構成してもよい。
【0024】次に、交流超電導ケーブルの通電特性につ
いて説明する。
【0025】交流超電導ケーブル10に使用される超電
導素線11には、多数本の超電導フィラメント16から
なる超電導多芯線が用いられ、この超電導多芯線には、
多芯線軸Zに垂直な磁界(横磁界)Btに対する超電導
多芯線11内の超電導フィラメント間の電磁気的結合や
この結合に伴う電磁損失(フィラメント間結合損失)を
抑制するために、通常撚りが施されている。超電導多芯
線11の撚りをツイストという。ツイストされた超電導
多芯線11は各超電導フィラメントを単位長さ当りの巻
数がツイストピッチlp の逆数に等しいコイルと見做す
ことができる。
【0026】超電導多芯線11に均一あるいはほぼ均一
な縦磁界が印加されると、空間的に均一な磁界配位に対
する非飽和領域の電流分布は隣接する超電導フィラメン
ト内のElectric Center Lineで囲まれる領域に鎖交する
全磁束の保存条件から導くことができる。
【0027】図4において、通電電流It 、均一横磁界
t 、均一縦磁界Bl に対する電流分布jの時間変化
は、
【数1】
【数2】 で表わされる。
【0028】すなわち、超電導多芯線11にほぼ均一な
縦磁界が印加されると、超電導フィラメントコイルに鎖
交する磁束に応じて超電導フィラメントに起電力が発生
するが、起電力は超電導フィラメントコイル径の自乗に
比例するため、コイル径の異なった超電導フィラメント
間には起電力の差に基づいて超電導フィラメントに電流
が誘起される。
【0029】また、超電導フィラメントがほぼ一様に分
散配置された超電導多芯線11においては鎖交磁束の時
間変化が0であるので、超電導フィラメントコイル間の
起電力差により超電導フィラメントに誘起される電流密
度jshは、(1)式より右辺第1項の電流の拡散項を無
視すると、
【数3】 で表わされる。
【0030】この(3)式において、縦磁界Bl は均一
な縦磁界の大きさ(磁束密度)であり、超電導多芯線1
1の撚り方(S方向またはZ方向)により決定される値
である。但し、各磁界や電流の向きの正方向は超電導多
芯線11のツイストの方向に対応している。
【0031】また、(3)式より、超電導多芯線11の
半径をrw とすると、超電導多芯線11の通電電流IT
と断面積πr 2 との関係は次のパターンに分類され
る。
【0032】
【数4】IT > πrw2 ・jsh ……(4)
【数5】IT = πrw2 ・jsh ……(5)
【数6】IT < πrw2 ・jsh ……(6)
【0033】超電導多芯線11において、(4)式と
(6)式の場合、図5(A),(B)に示すように半径
方向の電流分布が模式的に表わされ、また、(5)式の
場合には、外周部に飽和領域が存在せず均一分布が達成
されるので、断熱不安定性が回避される。
【0034】(5)式から明らかなように、超電導多芯
線11内の全電流が通電電流IT のとき飽和領域が発生
せず、電流が均一化されることがわかる。遮蔽電流密度
は縦磁界によって決まるので、撚線導体中では撚りピッ
チ等の撚線構造を上手く設計して撚線の自己磁界中の縦
成分を調整することによりこの電流均一化条件を達成す
れば、交流用超電導の安定性を飛躍的に向上させること
が可能になる。
【0035】してみると、超電導多芯線において、自己
磁界効果等によって局在化した通電電流IT を一様化す
るための条件は、超電導多芯線の平均的電流密度をjT
とすると、
【数7】 で与えられる。
【0036】いわゆる(3)式および(7)式より超電
導多芯線内の通電電流を一様化するための縦磁界B
l は、
【数8】 で与えられる。この(8)式は縦視界における電流一様
化条件である。
【0037】しかして、超電導多芯線に(8)式を満足
させたり、近似的に満足させる撚り方向(右撚り=S方
向、左撚り=Z方向)と撚りピッチ(ツイストピッチI
p )を与えると、超電導多芯線11内を流れる通電電流
が一様化あるいはほぼ一様化され、電流容量の増加が図
れる。
【0038】また、超電導多芯線11に縦磁界を印加さ
せても安定性の向上が図れる領域は、図6に示す線分
a,b,c,dの境界で囲まれた領域である。
【0039】(1)線分a:この線分aの境界より左側
の領域(Bl <0)では、縦磁界Bl の印加によって超
電導多芯線外周部の飽和領域がさらに増加して安定性が
低下する。 (2)線分b:通電電流が超電導多芯線の臨界電流に達
するところ。 (3)線分c:縦磁界による遮蔽電流が飽和するとこ
ろ。 (4)線分d:この境界より右側の領域では、縦磁界の
印加によって超電導多芯線外周部の飽和領域がさらに増
加して安定性が低下する。 (5)線分e:超電導多芯線内の電流分布が一様になる
条件。
【0040】図6においても、安定化領域は線分a,
b,c,dで囲まれた領域であるが、できるだけ(8)
式の電流一様化条件を満足させる直線eの近くが望まし
い。図6において、縦軸は通電電流IT 、横軸は縦磁界
l である。縦磁界Bl の正方向の定義は、超電導多芯
線が右(S)ツイストの場合、通電電流の方向と逆方
向、左(Z)ツイストの場合、通電電流の方向と同方向
である。
【0041】また、ここでは臨界電流Ic は、一定とし
て示しているが、一般に、臨界電流Ic は超電導多芯線
11が置かれている磁界の大きさと方向に依存するの
で、磁気的環境を条件にする必要がある。ここでは、実
際に使用される条件と環境下で対象としている超電導多
芯線に電流IT が通電されているときその多芯線が晒さ
れる磁界のうち、横成分(横磁界)のみが単独の多芯線
に印加されたときの臨界電流とする。
【0042】また、超電導多芯線11に印加される縦磁
界Bl の範囲が広過ぎる場合には、図7の線分a′,
b,c′,d′の境界で囲まれた領域で充分に安定化を
向上させ得ることが解った。
【0043】すなわち、
【数9】 の領域が、安定化領域であることが解ったが、この場合
にも、直線eの電流一様化条件に近いことがより望まし
い。
【0044】ところで、交流超電導ケーブル10は多重
撚線導体として構成される。
【0045】一般に、多重撚線において、縦磁界Bl
通電電流IT とは比例関係にあるが、各撚線レベル(一
次、二次、三次…)の撚り方向や撚りピッチは簡単な関
係式で表わせない。
【0046】しかし、多重撚線構造と超電導多芯線軸に
沿った縦磁界の大きさとの間にはコンピュータ等の解析
によって一義的に関係が定められているので、超電導多
芯線11内の電流分布の一様化に要求される縦磁界Bl
の大きさが与えられる、磁界計算の解析に基づき、多様
な多重撚線のタイプに即して要求を満たす撚り方向や撚
りピッチを(8)式の電流一様化条件で決定できる。
【0047】すなわち、磁界計算の解析に基づき、多重
撚線の各種タイプに即して(8)式の縦磁界における電
流一様化条件を満たす、あるいは近似的に満たす多重撚
線の撚り方向や撚りピッチを決定すればよい。
【0048】図8は、磁界計算解析に基づいて(8)式
の電流一様化条件を満たす、最適化された多重撚線の撚
り方向と撚りピッチを示す。
【0049】図8には交流超電導ケーブルに6×6×6
型3重撚線導体を用いた例を示す。
【0050】3重撚線導体の諸元は、
【外1】 である。
【0051】図8は、交流超電導ケーブルとして4種類
(撚線構造:S3 Z2 Z1 ,S3 Z2 S1 ,S3 S2 Z
1 およびS3 S2 S1 )のタイプの3重撚線構造に対し
て、最適化された超電導素線11のツイストピッチと最
終導体である3重撚線導体の撚りピッチを示すものであ
る。図8から超電導素線(超電導多芯線)のツイストピ
ッチlP は、各素線構造とも1〜2mmの範囲に納まって
いるが、最終導体の撚りピッチは撚線構造に依存してい
ることが解る。3重撚線導体における撚線構造におい
て、S3 Z2 Z1 タイプは、一次撚線が左(Z方向)撚
り、二次撚線が左(Z方向)撚り、三次撚線が右(S方
向)撚りの例を示す。
【0052】なお、本発明の交流超電導ケーブルの一実
施例では、6×6×6型のZ1 Z2S3 タイプの3重撚
線構造の例を示したが、撚線構造は種々のタイプがある
一方、3重撚線構造に限定されず、一重撚線であって
も、二重撚線であっても、あるいは四重以上の多重撚線
であってもよい。
【0053】また、多重撚線の各レベルの中心に補強用
芯線として非超電導線を配置したが、この非超電導線に
代えて超電導線を使用し、図1および図2に示す6×6
×6型多重撚線導体を7×7×7型多重撚線導体として
もよい。中心に超電導線を採用した場合、各超電導線の
インピーダンスを等しくするため、中央の超電導線が外
側の超電導線と順次入れ替わるように撚り合せるとよ
い。
【0054】さらに、交流超電導ケーブルの多重撚線導
体は、図9に示すように、3×3×3型多重撚線導体3
0としても、図10に示すように矩形撚線導体31とし
てもよい。
【0055】図9に示す多重撚線導体30は3重撚線構
造の例を示し、3本の例えば右(S方向)撚りの超電導
素線11をZ方向に撚り合せて一次撚線32を構成す
る。そして、この一次撚線32を3本Z方向に撚り合せ
て二次撚線33を、二次撚線33をZ方向に撚り合せて
三次撚線34を構成し、Z1 Z2 Z3 タイプの3重撚線
導体を構成したものである。
【0056】図10に示す矩形撚線導体31は、6本
(あるいは7本)の超電導素線11を撚り合せて一次撚
線35を構成し、この一次撚線35を矩形断面の補強用
芯材としての非超電導線36の周りに多数本巻き付けて
二次撚線37を構成したものである。非超電導線36の
周りに多重撚線を巻き付けるようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上本発明に係る交流超電導ケーブルに
おいては、超電導素線および各撚線の撚り方向や撚りピ
ッチを縦磁界による電流一様化条件あるいはその近似条
件を満足させるように設定したので、超電導多芯線(超
電導素線)の自己磁界効果等によって局在化した通電電
流を多数本の超電導フィラメントに一様に分散させ、超
電導素線を流れる電流分布を均一化させることができ
る。このため、交流超電導ケーブルの多芯線に常電導転
移が生じて発熱作用させたり、断熱不安定性が生じるの
を有効的に抑制でき、大電流容量化を図ることができ
る。
【0058】電流容量を一定とした場合には、超電導ケ
ーブルの細線化を図ることができ、コスト低減や巻線密
度の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る交流超電導ケーブルの一実施例
を示す斜視図。
【図2】図1に示した交流超電導ケーブルの断面図。
【図3】交流超電導ケーブルに用いられる超電導素線
(超電導多芯線)を例示的に示す図。
【図4】交流超電導ケーブルに用いられる超電導素線に
対する磁界配位を示す図。
【図5】(A)および(B)は縦磁界下における超電導
素線の電流分布を示す図。
【図6】安定化が向上する縦磁界と通電電流の関係を示
す図。
【図7】縦磁界の範囲が大きい場合における縦磁界と通
電電流の関係を示す図。
【図8】この発明に係る交流超電導ケーブルにおいて、
最適化された撚線におけるツイストピッチと最終撚りピ
ッチの関係を示す図。
【図9】この発明に係る交流超電導ケーブルの他の実施
例を示す斜視図。
【図10】この発明に係る交流超電導ケーブルの第3実
施例を示す斜視図。
【図11】従来の交流超電導ケーブルを示す断面図。
【符号の説明】 10,30,31 交流超電導ケーブル 11 超電導素線(超電導多芯線) 12,32,35 一次撚線(超電導線) 13,33 二次超電導(超電導線) 14,34 三次超電導(超電導線) 18,19,20 非超電導線(補強用芯線) 36 非超電導線(補強用芯材)
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 交流超電導ケーブル
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は商用周波数で用いられ
る交流超電導ケーブルに係り、特に超電導トランス・超
電導発電機、固定子巻線等の超電導機器に使用される交
流超電導ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】交流用超電導ケーブルとしては、従来直
径1μm以下、例えば0.2μmの超電導フィラメント
を数万本有する極細超電導多芯線(超電導素線)が多く
用いられる。交流用超電導多芯線では、交流励磁におけ
る損失を極力低減させるため、ツイストピッチひいては
線径を小さくするので、1本当りの超電導素線の電流容
量が数10A程度に抑えられる。
【0003】この電流容量を大きくするために、従来図
11に示すように超電導素線1を複数本撚り合せた超電
導線2が開発されており、さらに、電流容量の一層増加
を図るため、超電導線を幾重にも撚り合せた多重撚線構
造の超電導ケーブルが開発されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】充分に長尺多芯線の超
電導ケーブルに外部電源から電流を供給すると、この電
流がつくる磁界(多芯線の自己磁界)によって、多芯線
内に分散して配置された多数本の超電導フィラメントが
電磁気的に結合し、その結果、多芯線の外周部付近に配
置された超電導フィラメントに通電電流が局在化する現
象(この現象を多芯線の自己磁界効果という。)が生じ
る。従来の交流超電導ケーブルに50Hzや60Hzの
商用周波数やそれ以上の周波数の交流電流を通電する
と、多芯線の自己磁界効果による通電電流の局在化によ
り、各超電導素線に電流が均一に流れないという問題が
生じる。
【0005】このため、従来の交流超電導ケーブルで
は、超電導素線の電流容量に撚り本数を乗じたものより
遥かに低い電流容量しか流すことができず、大電流容量
の交流超電導ケーブルを実現することが極めて困難であ
った。交流超電導ケーブルの電流容量を向上させ、超電
導素線の電流容量に撚り本数を乗じた電流値に近い電流
容量を得るためには、交流超電導ケーブルを如何に構成
したらよいか問題となっていた。
【0006】この発明は、上述した事情を考慮してなさ
れたもので、超電導素線を流れる電流分布を均一化さ
せ、大容量電流を安定的に流すことができる信頼性の高
い交流超電導ケーブルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上述した課
題を解決するために、多数本の超電導フィラメントを撚
り合せた超電導素線を複数本撚り合せて一次撚線を構成
し、この一次撚線を複数本撚り合せて二次撚線を構成
し、順次同様に撚り合せて高次の多重撚線を構成する一
方、前記超電導素線および各撚線の撚り方向や撚りピッ
チを、縦磁界による電流一様化条件あるいはその近似条
件を満足させるように設定したものである。
【0008】
【作用】この発明の交流超電導ケーブルにおいては、超
電導素線および撚線の撚り方向および撚りピッチを、縦
磁界(多芯線に沿った磁界)による電流一様化条件ある
いはその近似条件を満足するように設定したので、超電
導ケーブルの多芯線軸に沿った縦磁界を多芯線軸方向に
均一にまたはほぼ均一に印加させることができ、上記多
芯線の自己磁界効果等によって局在化した通電電流を多
数本の超電導フィラメントに一様に分散させて超電導素
線を流れる電流分布をほぼ均一化させることができる。
このため交流超電導ケーブルの多芯線に常電導転移が生
じて発熱作用や断熱不安定性が生じるのを有効的に抑制
でき、大電流容量化して大容量の電流を安定的に流すこ
とができる。
【0009】逆に、電流容量を一定とした場合、超電導
ケーブルの細線化を図ることができ、コスト面や巻線密
度の面で有利である。
【0010】
【実施例】以下、この発明に係る交流超電導ケーブルの
一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0011】図1および図2はこの発明に係る交流超電
導ケーブルの代表例を示すものである。この交流超電導
ケーブル10は超電導トランス、超電導発電機、固定子
巻線、限流器等の超電導機器に用いられる多重撚線構造
の超電導線である。
【0012】交流超電導ケーブル10は例えば4.5mm
Φの直径を有する多重撚線導体であり、この交流超電導
ケーブル10は超電導多芯線の超電導素線11、一次撚
線12、二次撚線13および三次撚線14から構成され
る。
【0013】超電導素線11は例えば図3に示すように
構成される超電導多芯線であり、0.2μmΦ程度の超
電導フィラメント16を多数本、例えば数万本S方向
(あるいはZ方向)に撚り合せて構成される。超電導素
線11は1mmΦ以下例えば0.165mmΦの直径を有
し、この超電導素線11を6本、中央の非超電導線18
廻りにZ方向に撚り合せて一次撚線12が一重の超電導
線として構成される。
【0014】二次撚線13は6本の一次撚線12を中央
の非超電導線19廻りにZ方向に撚り合せて構成される
二重の超電導線である。
【0015】また、三次撚線14は6本の二次撚線13
を中央の非超電導線20廻りにS方向に撚り合せた三次
の超電導線であり、この三次撚線14により多重撚線導
体である交流超電導ケーブル10が構成される。交流超
電導ケーブル10の各撚線12,13,14の中央に配
置される非超電導線18,19,20は例えばステンレ
ス鋼材料製の補強用芯線である。
【0016】この交流超電導ケーブル10は一次、二次
および三次の各撚線12,13,14の撚り方向がZ方
向、Z方向およびS方向を向くZ1 Z2 S3 タイプの6
×6×6型多重撚線導体を構成している。交流超電導ケ
ーブル10の各撚線12,13,14の撚り方向は、Z
1 Z2 S3 タイプに限定されず、S方向とZ方向の組合
せ分に相当する撚り方が考えられる。
【0017】交流超電導ケーブル10の一次撚線12を
構成する超電導素線11は例えば数km〜数10kmの長さ
を有し、例えばNbTiやNb3 Snを主な超電導材料
とする超電導フィラメントを多数本撚り合せたものであ
る。
【0018】図3は、NbTiを主な超電導材料とする
例えば0.165mmΦの超電導素線11の例を示すもの
である。
【0019】この超電導素線11は例えば全体として3
層構造を有し、中央のコア部16aとその外側の中間層
部16bと、中間層部外側のシース部16cとから構成
される。コア部16aは、CuをCuNi(Cu−10
wt%Ni)で被覆したハニカム状マトリックスを構成
しており、このマトリックス21の外側の中間層部16
bはNbTiフィラメント22を密に配置してフィラメ
ント部を構成している。フィラメント部の外側に位置す
るシース部16cはCuNi層とされる。
【0020】中間層部16bのNbTiフィラメント2
1はNbTiをCuとCuNiで被覆した3層構造であ
っても、NbTiをCuNiで被覆した2層構造であっ
てもよい。いずれにしても、超電導素線11は中央側の
Cu/CuNiの安定化銅とその外側のNbTiフィラ
メント22とからなり、表面をCuNi層で被覆したも
ので、絶縁層は設けられていない。
【0021】超電導素線11は例えば0.2μmΦの同
一径の多数本(数万本)の超電導フィラメント16を撚
り合せて構成してもよい。
【0022】次に、交流超電導ケーブルの通電特性につ
いて説明する。
【0023】交流超電導ケーブル10に使用される超電
導素線11には、多数本の超電導フィラメント16から
なる超電導多芯線が用いられ、この超電導多芯線には、
多芯線軸Zに垂直な磁界(横磁界)Btに対する超電導
多芯線11内の超電導フィラメント間の電磁気的結合や
この結合に伴う電磁損失(フィラメント間結合損失)を
抑制するために、通常撚りが施されている。超電導多芯
線11の撚りをツイストという。ツイストされた超電導
多芯線11は各超電導フィラメントを単位長さ当りの巻
数がツイストピッチlp の逆数に等しいコイルと見做す
ことができる。
【0024】超電導多芯線11に均一あるいはほぼ均一
な縦磁界が印加されると、空間的に均一な磁界配位に対
する非飽和領域の電流分布は隣接する超電導フィラメン
ト内のElectric Center Lineで囲まれる領域に鎖交する
全磁束の保存条件から導くことができる。
【0025】図4において、通電電流It 、均一横磁界
t 、均一縦磁界Bl に対する電流分布jの時間変化
は、
【数1】
【数2】 で表わされる。
【0026】すなわち、超電導多芯線11にほぼ均一な
縦磁界が印加されると、超電導フィラメントコイルに鎖
交する磁束に応じて超電導フィラメントに起電力が発生
するが、起電力は超電導フィラメントコイル径の自乗に
比例するため、コイル径の異なった超電導フィラメント
間には起電力の差に基づいて超電導フィラメントに電流
が誘起される。
【0027】また、超電導フィラメントがほぼ一様に分
散配置された超電導多芯線11においては鎖交磁束の時
間変化が0であるので、超電導フィラメントコイル間の
起電力差により超電導フィラメントに誘起される電流密
度jshは、(1)式より右辺第1項の電流の拡散項を無
視すると、
【数3】 で表わされる。
【0028】この(3)式において、縦磁界Bl は撚線
内の素線に沿って空間的に変化する縦磁界の平均値(均
一な縦磁界成分)の大きさ(磁束密度)であり、超電導
多芯線11の撚り方(S方向またはZ方向)により決定
される値である。但し、例えば縦磁界の正方向は超電導
多芯線11が右(S)ツイストの場合、通電電極の方向
と逆方向、左(Z)ツイストの場合、通電電極の方向と
同方向である。
【0029】また、(3)式より、超電導多芯線11の
半径をrw とすると、超電導多芯線11の通電電流IT
と断面積πr 2 との関係は次のパターンに分類され
る。
【0030】
【数4】IT > πrw2 ・jsh ……(4)
【数5】IT = πrw2 ・jsh ……(5)
【数6】IT < πrw2 ・jsh ……(6)
【0031】超電導多芯線11において、(4)式と
(6)式の場合、図5(A),(B)に示すように半径
方向の電流分布が模式的に表わされ、また、(5)式の
場合には、外周部に飽和領域が存在せず均一分布が達成
されるので、断熱不安定性が回避される。
【0032】(5)式から明らかなように、超電導多芯
線11内の非飽和領域の全遮蔽電流が通電電流IT のと
き飽和領域が発生せず、電流が均一化されることがわか
る。遮蔽電流密度は縦磁界によって決まるので、撚線導
体中では撚りピッチ等の撚線構造を上手く設計して撚線
の自己磁界中の縦成分を調整することによりこの電流均
一化条件を達成すれば、交流用超電導の安定性を飛躍的
に向上させることが可能になる。
【0033】してみると、超電導多芯線において、自己
磁界効果等によって局在化した通電電流IT を一様化す
るための条件は、超電導多芯線の平均的電流密度をjT
とすると、
【数7】 で与えられる。
【0034】いわゆる(3)式および(7)式より超電
導多芯線内の通電電流を一様化するための縦磁界B
l は、
【数8】 で与えられる。この(8)式は縦磁界における電流一様
化条件である。
【0035】しかして、超電導多芯線に(8)式を満足
させたり、近似的に満足させる撚り方向(右撚り=S方
向、左撚り=Z方向)と撚りピッチ(ツイストピッチI
p )を与えると、超電導多芯線11内を流れる通電電流
が一様化あるいはほぼ一様化され、電流容量の増加が図
れる。
【0036】また、超電導多芯線11に縦磁界を印加さ
せても安定性の向上が図れる領域は、図6に示す線分
a,b,c,dの境界で囲まれた領域である。
【0037】(1)線分a:この線分aの境界より左側
の領域(Bl <0)では、縦磁界Bl の印加によって超
電導多芯線外周部の飽和領域がさらに増加して安定性が
低下する。 (2)線分b:通電電流が超電導多芯線の臨界電流に達
するところ。 (3)線分c:縦磁界による遮蔽電流が飽和するとこ
ろ。 (4)線分d:この境界より右側の領域では、縦磁界の
印加によって超電導多芯線外周部の飽和領域がさらに増
加して安定性が低下する。 (5)線分e:超電導多芯線内の電流分布が一様になる
条件。
【0038】図6においても、安定化領域は線分a,
b,c,dで囲まれた領域であるが、できるだけ(8)
式の電流一様化条件を満足させる直線eの近くが望まし
い。図6において、縦軸は通電電流IT 、横軸は縦磁界
l である。縦磁界Bl の正方向の定義は、超電導多芯
線が右(S)ツイストの場合、通電電流の方向と逆方
向、左(Z)ツイストの場合、通電電流の方向と同方向
である。
【0039】また、ここでは臨界電流Ic は、一定とし
て示しているが、一般に、臨界電流Ic は超電導多芯線
11が置かれている磁界の大きさと方向に依存するの
で、磁気的環境を条件にする必要がある。ここでは、実
際に使用される条件と環境下で対象としている超電導多
芯線に電流IT が通電されているときその多芯線が晒さ
れる磁界のうち、横成分(横磁界)のみが単独の多芯線
に印加されたときの臨界電流とする。
【0040】また、超電導多芯線11に印加される縦磁
界Bl の範囲が広過ぎる場合には、図7の線分a′,
b,c′,d′の境界で囲まれた領域で充分に安定化を
向上させ得ることが解った。
【0041】すなわち、
【数9】 の領域が、安定化領域であることが解ったが、この場合
にも、直線eの電流一様化条件に近いことがより望まし
い。
【0042】ところで、交流超電導ケーブル10は多重
撚線導体として構成される。
【0043】一般に、多重撚線において、縦磁界Bl
通電電流IT とは比例関係にあるが、各撚線レベル(一
次、二次、三次…)の撚り方向や撚りピッチは簡単な関
係式で表わせない。
【0044】しかし、多重撚線構造と超電導多芯線軸に
沿った縦磁界の大きさとの間にはコンピュータ等の解析
によって一義的に関係が定められているので、超電導多
芯線11内の電流分布の一様化に要求される縦磁界Bl
の大きさが与えられる、磁界計算の解析に基づき、多様
な多重撚線のタイプに即して要求を満たす撚り方向や撚
りピッチを(8)式の電流一様化条件で決定できる。
【0045】すなわち、磁界計算の解析に基づき、多重
撚線の各種タイプに即して(8)式の縦磁界における電
流一様化条件を満たす、あるいは近似的に満たす多重撚
線の撚り方向や撚りピッチを決定すればよい。
【0046】図8は、磁界計算解析に基づいて(8)式
の電流一様化条件を満たす、最適化された多重撚線の撚
り方向と撚りピッチを示す。
【0047】図8には交流超電導ケーブルに6×6×6
型3重撚線導体を用いた例を示す。
【0048】3重撚線導体の諸元は、
【外1】 である。
【0049】図8は、交流超電導ケーブルとして4種類
(撚線構造:S3 Z2 Z1 ,S3 Z2 S1 ,S3 S2 Z
1 およびS3 S2 S1 )のタイプの3重撚線構造に対し
て、最適化された超電導素線11のツイストピッチと最
終導体である3重撚線導体の撚りピッチを示すものであ
る。図8から超電導素線(超電導多芯線)のツイストピ
ッチlP は、各素線構造とも1〜2mmの範囲に納まって
いるが、最終導体の撚りピッチは撚線構造に依存してい
ることが解る。3重撚線導体における撚線構造におい
て、S3 Z2 Z1 タイプは、一次撚線が左(Z方向)撚
り、二次撚線が左(Z方向)撚り、三次撚線が右(S方
向)撚りの例を示す。
【0050】なお、本発明の交流超電導ケーブルの一実
施例では、6×6×6型のZ1 Z2S3 タイプの3重撚
線構造の例を示したが、撚線構造は種々のタイプがある
一方、3重撚線構造に限定されず、一重撚線であって
も、二重撚線であっても、あるいは四重以上の多重撚線
であってもよい。
【0051】また、多重撚線の各レベルの中心に補強用
芯線として非超電導線を配置したが、この非超電導線に
代えて超電導線を使用し、図1および図2に示す6×6
×6型多重撚線導体を7×7×7型多重撚線導体として
もよい。中心に超電導線を採用した場合、各超電導線の
インピーダンスを等しくするため、中央の超電導線が外
側の超電導線と順次入れ替わるように撚り合せるとよ
い。
【0052】さらに、交流超電導ケーブルの多重撚線導
体は、図9に示すように、3×3×3型多重撚線導体3
0としても、図10に示すように矩形撚線導体31とし
てもよい。
【0053】図9に示す多重撚線導体30は3重撚線構
造の例を示し、3本の例えば右(S方向)撚りの超電導
素線11をZ方向に撚り合せて一次撚線32を構成す
る。そして、この一次撚線32を3本Z方向に撚り合せ
て二次撚線33を、二次撚線33をZ方向に撚り合せて
三次撚線34を構成し、Z1 Z2 Z3 タイプの3重撚線
導体を構成したものである。
【0054】図10に示す矩形撚線導体31は、6本
(あるいは7本)の超電導素線11を撚り合せて一次撚
線35を構成し、この一次撚線35を矩形断面の補強用
芯材としての非超電導線36の周りに多数本巻き付けて
二次撚線37を構成したものである。非超電導線36の
周りに多重撚線を巻き付けるようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】以上本発明に係る交流超電導ケーブルに
おいては、超電導素線および各撚線の撚り方向や撚りピ
ッチを縦磁界による電流一様化条件あるいはその近似条
件を満足させるように設定したので、超電導多芯線(超
電導素線)の自己磁界効果等によって局在化した通電電
流を多数本の超電導フィラメントに一様に分散させ、超
電導素線を流れる電流分布を均一化させることができ
る。このため、交流超電導ケーブルの多芯線に常電導転
移が生じて発熱作用させたり、断熱不安定性が生じるの
を有効的に抑制でき、大電流容量化を図ることができ
る。
【0056】電流容量を一定とした場合には、超電導ケ
ーブルの細線化を図ることができ、コスト低減や巻線密
度の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る交流超電導ケーブルの一実施例
を示す斜視図。
【図2】図1に示した交流超電導ケーブルの断面図。
【図3】交流超電導ケーブルに用いられる超電導素線
(超電導多芯線)を例示的に示す図。
【図4】交流超電導ケーブルに用いられる左ツイストの
超電導素線に対する磁界配位を示す図。
【図5】(A)および(B)は縦磁界下における超電導
素線の電流分布を示す図。
【図6】安定化が向上する縦磁界と通電電流の関係を示
す図。
【図7】縦磁界の範囲が大きい場合における縦磁界と通
電電流の関係を示す図。
【図8】この発明に係る交流超電導ケーブルにおいて、
最適化された撚線におけるツイストピッチと最終撚りピ
ッチの関係を示す図。
【図9】この発明に係る交流超電導ケーブルの他の実施
例を示す斜視図。
【図10】この発明に係る交流超電導ケーブルの第3実
施例を示す斜視図。
【図11】従来の交流超電導ケーブルを示す断面図。
【符号の説明】 10,30,31 交流超電導ケーブル 11 超電導素線(超電導多芯線) 12,32,35 一次撚線(超電導線) 13,33 二次超電導(超電導線) 14,34 三次超電導(超電導線) 18,19,20 非超電導線(補強用芯線) 36 非超電導線(補強用芯材)
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三根 進 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 嶋田 守 神奈川県横浜市鶴見区末広町2の4 株式 会社東芝京浜事業所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の超電導フィラメントを撚り合せ
    た超電導素線を複数本撚り合せて一次撚線を構成し、こ
    の一次撚線を複数本撚り合せて二次撚線を構成し、順次
    同様に撚り合せて高次の多重撚線を構成する一方、前記
    超電導素線および各撚線の撚り方向や撚りピッチを、縦
    磁界による電流一様化条件あるいはその近似条件を満足
    させるように設定したことを特徴とする交流超電導ケー
    ブル。
JP4291501A 1992-10-29 1992-10-29 交流超電導ケーブル Pending JPH06139839A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5929385A (en) * 1996-05-10 1999-07-27 The Furukawa Electric Co., Ltd AC oxide superconductor wire and cable
EP2017856A1 (de) * 2007-07-17 2009-01-21 Nexans Supraleitfähiges elektrisches Kabel
JP2021048154A (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 株式会社日立製作所 伝導冷却型超伝導コイル

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