JPH0613929B2 - 冷暖房用空気調和機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、冷房用の冷凍サイクルと暖房用のヒートパイ
プとが同一の室内機に組み込まれた冷暖房用空気調和機
に関する。

［従来の技術］ 冷房用に設けられた冷凍サイクルの蒸発器（吸収用熱交
換器）が空調ダクト内に配された室内機に、バーナ等の
加熱手段を併設して、加熱手段の熱をヒートパイプを利
用して室内機の空調ダクト内へ伝達する冷暖房用空気調
和機では、冷媒管とヒートパイプとが同一のフィン群に
それぞれ嵌め合わせられて冷暖房兼用となった特殊な熱
交換器が用いられている。

そして、ヒートパイプにおいて、循環液の循環を促進す
るために、冷暖房兼用の熱交換器は、水平面に対して４
〜５゜の傾斜が与えられて固定されている。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、従来のように、同一のフィンを利用して冷房管
とヒートパイプとを設けた熱交換器では、ヒートパイプ
に対しては所定の傾斜を与える必要があることから、冷
暖房兼用の熱交換器の全体を傾斜して配する必要があ
り、この結果、この熱交換器が配された送風ダクトを含
む室内機が大きくなってしまうという問題がある。

本発明は、冷房能力や暖房能力を低下させることなく、
室内器を小形化することができる冷暖房用空気調和機を
提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、冷媒を循環させる冷凍サイクルと、加熱手段
の熱を伝え傾斜して配されたヒートパイプとを備えた冷
暖房用空気調和機において、前記冷凍サイクルの熱吸収
用熱交換器と前記ヒートパイプの放熱用熱交換器とがそ
れぞれ別々に形成され、室内空気を循環させる送風機を
備えたダクト内に前記熱吸収用熱交換器と前記放熱用熱
交換器とがともに配されたことを技術的手段とする。

［作用］ 本発明では、室内空気を冷却するために冷凍サイクルに
設けられる熱吸収用熱交換器と、暖房を行うための加熱
手段を備えたヒートパイプの放熱用熱交換器とがそれぞ
れ別々に形成される。

このため、ヒートパイプに対して傾斜を与える場合に、
ヒートパイプを備えた放熱用熱交換器のみを傾斜させれ
ばよく、ダクトに対して大きな断面積を必要とする冷凍
サイクルの熱吸収用熱交換器を傾斜させる必要がない。

従って、室内機においては、熱吸収用熱交換器を傾斜さ
せることによって生ずる無駄な空間が少なくなり、室内
機の大形化を防止できる。

［発明の効果］ 本発明では、ダクト内では熱吸収用熱交換器に対して小
形であるヒートパイプの放熱用熱交換器のみを傾斜させ
ればよいため、ヒートパイプの放熱用熱交換器を傾斜さ
せることによってダクトに大きな断面積が必要になるこ
とがない。

従って、室内機を小形化することができる。

［実施例］ 次に本発明を実施例に基づいて説明する。

第２図に示す空気調和機１は、冷房運転のための冷凍サ
イクル１Ａと暖房運転のためのＦＦ式（強制給排気式）
暖房装置１Ｂとを一体にしたもので、室外機１０と室内
機２０とからなる。

室外機１０には、冷房運転時にガス状冷媒を圧縮する冷
媒圧縮機１１、圧縮されて高温になるガス状冷媒の熱を
放出して液冷媒にするための凝縮器１２、液冷媒内の異
物をろ過するろ過器１３があり、凝縮器１２には、空気
を当てて熱交換を促進するための放熱ファン１４が備え
られている。

一方、室内機２０には、室外機１０のろ過器１３から送
られる液冷媒を霧化させて蒸発しやすい圧力に下げる減
圧装置２１、液冷媒を蒸発させて周辺の熱を奪う熱吸収
熱交換器として作用する蒸発器３０がある。

空気調和機１では、室外機１０と室内機２０とは、冷媒
配管２および図示しない電気配線により連結され、以上
の構成によって冷房運転のための冷凍サイクル１Ａが構
成される。

一方、ＦＦ式暖房装置１Ｂは、室外に給気口および排気
口を有し家屋の壁Ｗ等を貫いて設けられた二重構造の給
排気筒３が接続された燃焼器４０と、燃焼器４０の熱を
伝達する２本のヒートパイプ２２を備えた暖房用熱交換
器５０とからなる。

以下、室内機２０を第１図および第３図から第６図に基
づいて具体的に説明する。

第３図は、本実施例の室内機２０を示す正面図であり、
室内機２０は、外側ケーシング２３の底面２３ａを下側
にして、図示しない水準器に合わせて底面２３ａがほぼ
水平になるようにして、室内の壁付近に設置される。

外側ケーシング２３内には室内空気の循環通路を形成す
る送風ダクト２４が設けられ、送風ダクト２４内には、
第１図にも示すとおり、対流ファン２５の羽根車２５
ａ、蒸発器３０および暖房用熱交換器５０が配されてい
る。

ここでは、対流ファン２５として、貫流ファンが用いら
れているため、送風ダクト２４は、空気の流れを規制す
るための案内板としても機能する。

蒸発器３０は、１．３mm間隔で設けられた多数のフィン
３１と、長い棒状の複数の冷媒管３２と、冷媒管３２を
接続するＵ字管３３とからなる。冷媒管３２は、各フィ
ン３１にバーリング加工された複数の嵌合穴にそれぞれ
圧入され貫通してから拡管処理して嵌合されていて、各
冷媒管３２は、蒸発器３０の端部で連結用のＵ字管３３
によって連結されて一本の冷媒通路を形成して、冷房運
転時の熱吸収用熱交換器を形成している。

一方、暖房用熱交換器５０は、各ヒートパイプ２２を挿
入するためのダミー管５１に多数のフィン５２が１．６
mm間隔で備えられたもので、蒸発器３０と同様に、ダミ
ー管５１は、各フィン５２にバーリング加工された複数
の嵌合穴にそれぞれ圧入され貫通してから拡管処理が施
されている。

ここでは、暖房用熱交換器５０のフィン５２は、第１図
に示すとおり、蒸発器３０におけるフィン３１より面積
が小さく設定されている。

ここでは、室内機２０の正面に送風ダクト２４の開口と
して設けられた吸込口２４ａ側に蒸発器３０が配され、
その下流側に暖房用熱交換器５０が配され、送風ダクト
２４に対して矩形の断面形状を呈する蒸発器３０は、ほ
ぼ水平で上向き（約１５゜）に配され、暖房用熱交換器
５０のみが水平面に対して燃焼器４０側が下向きになる
ように約４゜の傾斜を与えられて送風ダクト２４内に配
されている。

また、ここでは、第３図に示すとおり、傾斜して配され
た暖房用熱交換器５０は、室内機２０の正面から透視し
た場合に、蒸発器３０の後方に隠れてしまっているた
め、送風ダクト２４の断面の高さ方向の長さを小さくで
きる。

なお、暖房用熱交換器５０は、必ずしも蒸発器３０の後
方に隠れてしまう必要はなく、多少食み出してもよい。

なお、暖房用熱交換器５０の下流には送風ダクト２４内
に気流を発生させる羽根車２５ａが配され、送風ダクト
２４の下流端には、室内機２０から吹き出す空気の方向
を決める可動式の手動ルーバー２６と、ギャドモータモ
ータ２７ａによって運転中に自動的に上下方向に変化さ
せる自動ルーバー２７とが備えられ、外側ケーシング２
３にはこれらの各ルーバー２６、２７を介して吹出口２
８が設けられている。

なお、第１図において、２９は蒸発器３０で生じるドレ
ンを受けるドレン受けであり、２９ａは、ドレンを室内
機２０外へ導く排水管である。

暖房用熱交換器５０は、各ダミー管５１内にそれぞれヒ
ートパイプ２２が挿入され、ヒートパイプ２２によって
伝達される燃焼器４０の燃焼熱で送風ダクト２４を通過
する空気を加熱する。

一方、燃焼器４０は、第４図に示すように、燃焼ケース
４１内にバーナプレート４２を配して、燃焼用空気を燃
焼ファン４３により供給する全一次空気燃焼式バーナと
なっており、暖房用熱交換器５０に挿入されるヒートパ
イプ２２の他端は、燃焼器４０内に配されている。

燃焼ケース４１内の各ヒートパイプ２２には、燃焼器４
０との熱交換を促進するために、各ヒートパイプ２２毎
に、それぞれ形状の異なった複数のフィン５３とフィン
５４、５５が備えられている。

バーナプレート４２から離れた排気筒接続口４４側に配
されたヒートパイプ２２に備えられたフィン５３は、第
５図に示すとおり、矩形板の両端部がそれぞれ直角に折
り曲げられて、コ字形状の断面を呈するもので、各フィ
ン５３の折り曲げ部５３ａの先端は、隣接するフィン５
３と接触して、連続した側面を形成している。

バーナプレート４２に近い側のヒートパイプ２２では、
両端に備えられたフィン５４では、フィン５３と同様
に、矩形板の両端部がそれぞれ直角に折り曲げられた折
り曲げ部５４ａを有し、コ字形状の断面を呈するもので
ある。

一方、両端のフィン５４を除く内側のフィン５５は、上
記のフィン５３、５４と同様に折り曲げ部５５ａを有し
ているが、ヒートパイプ２２との嵌合板部５５ｂでは、
バーナプレート４２側が削除されている。このため、各
フィン５５はヒートパイプ２２と嵌合されると、各フィ
ン５４、５５の折り曲げ部５４ａ、５５ａの先端は、隣
接するフィン５４、５５と接触して連続した側壁面を形
成し、また、折り曲げ部５５ａの下部は嵌合板部５５ｂ
より突出した突出壁５５ｃをなし、バーナプレート４２
方向へ垂下した垂下部となっている。

この突出壁５５ｃは、第４図に示すとおり、バーナプレ
ート４２を固定する固定部材４５の上端面４５ａに接触
して配されている。また、両端のフィン５４の嵌合板部
５４ｂも、突出壁５５ｃと同様に、バーナプレート４２
を固定する固定部材４５の上端面４５ａに接触して配さ
れ、これら突出壁５５ｃおよびフィン５４は、バーナプ
レート４２全体を取り囲む防炎壁を形成し、この防炎壁
は燃焼室の側壁４１ａと間隙４６をなして設けられてい
る。

この結果、燃焼ガスは、防炎壁によって形成された通路
内を通過して、その外側を通過しない。従って、燃焼ガ
スが燃焼ケース４１の側壁４１ａに沿って上昇するのを
防止でき、燃焼ケース４１の温度上昇および過熱を防止
できる。

これら各フィン５３〜５５と各ヒートパイプ２２との接
合は、各フィン５３〜５５に形成された穴に、それぞれ
のヒートパイプ２２が圧入された後に、溶融した約２０
０℃のはんだ液中に浸されて、密着性および熱伝導性が
図られる。

また、ここでは、前述のとおり、フィン５２とダミー管
５１と予め一体化されており、第６図に示すとおり、燃
焼器４０側の各フィン５３〜５５を備えたヒートパイプ
２２は、暖房用熱交換器５０のダミー管５１内へ挿入さ
れて一体化される。

この場合、ダミー管５１の内径とヒートパイプ２２の外
径とは、その間に０．２〜０．３mmのクリアランスが設
けられる関係にあり、挿入時には、ヒートパイプ２２の
外側に熱伝導性のシリコン系のオイルコンパウンドが塗
布される。

この結果、フィン５１とヒートパイプ２２との接合は、
フィン５１とヒートパイプ２２とを直接接合する場合と
比べて、容易に接合できる。

燃焼ファン４３のスクロールケーシング４３ａには、燃
料管６０により導かれる燃料ガスを噴出するためのノズ
ル６１が設けられている。

燃料管６０には、ノズル６１から上流に向かって比例弁
６２、主電磁弁６３、元電磁弁６４が設けられ、それぞ
れ燃料ガス量の調節および遮断を行う。

ヒートパイプ２２により連結された暖房用熱交換器５０
は、水平面に対してヒートパイプ２２が４゜の角度をな
すように送風ダクト２４内に配されている。

以上のとおり、本発明では、冷凍サイクル１Ａの蒸発器
３０と、燃焼器４０によって加熱されるヒートパイプ２
２を備えた暖房用熱交換器５０とを、別々に形成したた
め暖房用熱交換器５０と比べて大形の蒸発器３０を傾斜
させる必要のある暖房用熱交換器５０と関係なく送風ダ
クト２４内に容易に配することができる。従って、送風
ダクト２４の断面積が小さくなり、室内機２０の外側ケ
ーシング２３等を小さくすることができる。

また本実施例では、蒸発器３０と暖房用熱交換器５０と
を送風ダクト２４内に直列に配したため、さらに、送風
ダクト２４の断面積を小さくでき、この結果、室内機２
０の小形化を図ることができる。

また本実施例では、冷凍サイクル１Ａにおける蒸発器３
０と、燃焼器４０内に配されるヒートパイプ２２を備え
た暖房用熱交換器５０とをそれぞれ別々に製造できるた
め、製造が容易になる。

上記の実施例では、蒸発器３０の背面と暖房用熱交換器
５０の前面とが送風ダクト２４内で接触して配されたも
のを示したが、蒸発器３０の背面と暖房用熱交換器５０
の前面とを間隔をおいて配してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す空気調和機の室内機の内
部を示す側面断面図、第２図は本実施例の空気調和機の
構成を示す概略図、第３図は本実施例の室内機の内部を
示す正面断面図、第４図は本実施例の燃焼器を示す側面
断面図、第５図は本実施例の燃焼器におけるヒートパイ
プとフィンとの構造を示す斜視図、第６図は本実施例に
おける暖房用熱交換器の構成を示す分解図である。 図中、１……空気調和機（冷暖房用空気調和機）、１Ａ
……冷凍サイクル、４０……燃焼器（加熱手段）、２２
…ヒートパイプ、２４……送風ダクト（ダクト）、２５
…対流ファン（送風機）、３０……蒸発器（熱吸収用熱
交換器）、５０……暖房用熱交換器（放熱用熱交換
器）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】冷媒を循環させる冷凍サイクルと、加熱手
   段の熱を伝え傾斜して配されたヒートパイプとを備えた
   冷暖房用空気調和機において、 前記冷凍サイクルの熱吸収用熱交換器と前記ヒートパイ
   プの放熱用熱交換器とがそれぞれ別々に形成され、室内
   空気を循環させる送風機を備えたダクト内に前記熱吸収
   用熱交換器と前記放熱用熱交換器とがともに配されたこ
   とを特徴とする冷暖房用空気調和機。